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歩夢イベント1
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果林イベント1
果林イベント2
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せつ菜イベント2
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ミアイベント2
ミアイベント3
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ランジュイベント1
ランジュイベント2
ランジュイベント3
ランジュイベント4
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歩夢ルート1
歩夢ルート2
歩夢ルート3
かすみルート1
かすみルート2
かすみルート3
しずくルート1
しずくルート2
しずくルート3
果林ルート1
果林ルート2
果林ルート3
愛ルート1
愛ルート2
愛ルート3
彼方ルート1
彼方ルート2
彼方ルート3
せつ菜ルート1
せつ菜ルート2
せつ菜ルート3
エマルート1
エマルート2
エマルート3
璃奈ルート1
璃奈ルート2
璃奈ルート3
栞子ルート1
栞子ルート2
栞子ルート3
ミアルート1
ミアルート2
ミアルート3
ランジュルート1
ランジュルート2
ランジュルート3
歩夢END
かすみEND
しずくEND
果林END
愛END
彼方END
せつ菜END
エマEND
璃奈END
栞子END
ミアEND
ランジュEND
歩夢キズナ1
歩夢キズナ2
歩夢キズナ3
歩夢キズナ4
歩夢キズナ5
かすみキズナ1
かすみキズナ2
かすみキズナ3
かすみキズナ4
かすみキズナ5
しずくキズナ1
しずくキズナ2
しずくキズナ3
しずくキズナ4
しずくキズナ5
果林キズナ1
果林キズナ2
果林キズナ3
果林キズナ4
果林キズナ5
愛キズナ1
愛キズナ2
愛キズナ3
愛キズナ4
愛キズナ5
彼方キズナ1
彼方キズナ2
彼方キズナ3
彼方キズナ4
彼方キズナ5
せつ菜キズナ1
せつ菜キズナ2
せつ菜キズナ3
せつ菜キズナ4
せつ菜キズナ5
エマキズナ1
エマキズナ2
エマキズナ3
エマキズナ4
エマキズナ5
璃奈キズナ1
璃奈キズナ2
璃奈キズナ3
璃奈キズナ4
璃奈キズナ5
栞子キズナ1
栞子キズナ2
栞子キズナ3
栞子キズナ4
栞子キズナ5
ミアキズナ1
ミアキズナ2
ミアキズナ3
ミアキズナ4
ミアキズナ5
ランジュキズナ1
ランジュキズナ2
ランジュキズナ3
ランジュキズナ4
ランジュキズナ5
Ending~Re:Love to Live~
Ending~Back to Usual~
Ending~TOKIMEKI~
歩夢
ランジュ
エマ
愛
せつ菜
かすみ
栞子
しずく
ミア
彼方
果林
璃奈
???
子供たち
みんな
ふたり
主人公
子供A
子供B
子供C
クラスメイト
園芸部部長
図書委員
バレー部部員
陸上部マネージャー
推理小説研究会 会員
5人
4人
全員
生徒
マイ
男の子
はんぺん
薫子
右月
左月
保健の先生
保健室の先生
菜々
体育教師
女生徒1
女生徒2
クラスメイトA
クラスメイトB
クラスメイトC
ツムギ
バスケ部部長
演劇部部長
美里
理事長
教師
遥
女生徒
アラン
バレー部員
クラスメイトA
クラスメイトB
保健医
愛、せつ菜
社交ダンス部部長
一同
(そこにいたのは、初めて見るような、いつも見てきたような、
不思議な歩夢ちゃんだった)
(ひたむきで一生懸命なところはずっと見てきた歩夢ちゃん)
(一緒に歩こうと手を取って導いてくれる自信に満ちた
歩夢ちゃんは初めて見る)
(初めて見るけど、これは間違いなく
もともと歩夢ちゃんが持ってた歩夢ちゃんらしさ……
スクールアイドルになって表に出てきた歩夢ちゃんの魅力……)
(私は、こうなる歩夢ちゃんが見たいと思ったから、
歩夢ちゃんをスクールアイドルに誘ったんだった……)
歩夢ちゃーーーーん!!
……わあっ!? ど、どうしたの、苦しいよ~
スクールアイドルになってくれてありがとう!
一緒にスクールアイドルに夢中になってくれてありがとう!!
え? え?
スクールアイドルになって、ってお願いして本当によかった!!
あなた……もしかして……
うん、全部思い出した
歩夢ちゃんの気持ち、嬉しかった。歩夢ちゃんは、
私のために夢への一歩を踏み出してくれてたんだね
……そうだよ。
私は、あなたの願いならなんでも叶えてあげたいんだから
でも、この「夢」は私だけでもあなただけでも叶わないの
ふたり一緒じゃなきゃ叶わないし、意味がないの
だから……もう絶対忘れないでね!
忘れられないよ!
うん!
忘れられないよ!
歩夢ちゃんの想いが伝わってきてゾクゾクしちゃった
今までも歩夢ちゃんとは楽しい日々を過ごしてたと思ってたけど、
もっとその先に行こう、って伝えてくれてたよね?
ふふふっ、ちゃんと受け止めてくれて嬉しい!
だって私は歩夢ちゃんの「ファン第1号」だもん
歩夢ちゃんと一緒に過ごすこれからを考えるとワクワクする。
歩夢ちゃんとだったらどんな毎日でも楽しいから
うん!
もし、忘れちゃったら……
え? もう絶対忘れないよ!
うん、わかってる。でも私も決心したの。
もし、またあなたが記憶を失うことがあっても、
私なら何度でもあなたを取り戻せる、って
だから、あなたは何も心配しなくていいよ。全部私に任せて!
歩夢ちゃん……ますます頼もしくなっちゃったね
そうだよ! だってそうじゃないと、あなたの隣にいられないもん
これは私の決意なの。ずーっとあなたを離さないよ!
……ねえ、ねえってば!
もしかして、まだ寝ぼけてるの?
わかった、ゆうべまた遅くまで作曲してたんでしょ。
目がとろんとしてるよ?
……歩夢ちゃん?
ごめん、一瞬うとうとしてた
ふふふっ、あなたって昔からそう。眠たいとき、
すぐ顔に出るからわかるよ。でも、そろそろ家を出ないと
え、今何時……って、もうこんな時間!?
部長なのに朝練に遅刻しちゃう!
じゃあ、私、玄関の前で待ってるね
わかった。急いで準備して私も出るよ!
うん、待ってるから大丈夫だよ。
あなたと一緒に学校行きたいもん
ふああ……
ふふふっ、おっきなあくび
歩夢ちゃんの動画見たら止まらなくなっちゃって……
え?
えへへ、作曲で夜更かしだったらちょっとはカッコつくんだけど、
実は違うんだ。この前のライブの動画、繰り返し見ちゃってさ~!
やっぱり歩夢ちゃんにスクールアイドルやって、って
お願いしたのは大正解、ってしみじみしてた
も、もう~!
そうだ、歩夢ちゃんにライブの出演依頼が来てたよ!
え?
ほら、前に一緒に行ったチャペルのあるお台場の施設!
あそこでイベントをするから歩夢ちゃんにも歌ってほしいんだって
ええ!? ほ、ほんとに!?
あんな素敵なところにお呼ばれするなんて……
うう、嬉しいけど緊張するよ~……
大丈夫だって! 歩夢ちゃんは頼もしくなったんだから!
私が記憶なくしてうじうじしてるときの歩夢ちゃん……
かっこよかったな~!
すごく頼もしくてずっとついていきたい、って思った!
……ねえ、聞いてもいい?
あなた、記憶をなくしてた間のことも全部覚えてるの?
もちろんだよ! 忘れるなんてもったいなさすぎる!!
もったいないから忘れない……とはならない気もするけど
覚えていてくれてよかった……
私もちゃんと覚えていられてよかった。だって歩夢ちゃん、
思い出すのと引き換えにこの1ヶ月の記憶が無くなるのは寂しい、って
言ってくれてたもんね
あーん! それだけは忘れて~!
あははっ、残念でした
あっ、もう着くね。今日も部活頑張るぞ~!!
おはよー!
早啊!
おはよ~!
おはよう、ふたりとも今日も早いね
愛さんもいるよ~
私もです!
はいはい! かすみんもいますよー!
ええっ、みんなどうしたの!? 早朝練習あったっけ?
この前の歩夢さんのライブに感銘をうけて、
みんな自主的に集まったんですよ
今日は私が小さなおにぎり持ってきました!
ふああ……
ミアも頑張って起きたのよ!
昨日、歩夢のライブ動画を見て夜更かししたけど頑張ったの!
ちょっと!! 別にそんなんじゃないから!
ふふふっ、ミアちゃんありがとう、なでなで
子供扱いはやめてよね!
なんか、日常~って感じだねえ
今のを日常にカウントしないでよ!
はっ! 日常と言えば……
今日、小テストだね。果林ちゃん勉強してきた?
ふう……日常って残酷よね
果林さん……
わかります、かすみんはわかりますよ、果林先輩!
かすみさんにはこの前の小テストの結果を聞いていませんね、
どうでしたか?
きゃいん……
かすみさん、またみんなでお勉強だね……
次は逃さない。璃奈ちゃんボード「きらりん」
果林先輩、日常から逃げ出しましょう!!
やっぱり私の毎日にはスクールアイドルが必要なんだな~
どうしたの、急に?
なんか改めて思っちゃった
記憶がなくても普通に過ごせるけど、
なんだか足りないものがあるような気がしてたんだ
なくても生活はできるけど、あるとないとじゃ毎日の充実度が違う。
そういうものって人それぞれあるんだろうけど、
私の場合はそれが「スクールアイドル」なんだよね
もう知らなかった頃にはどうしたって戻れない
私の日常に「スクールアイドル」があるのは
当たり前のことになっちゃってるんだよ
……私もそうだな
私の毎日にも、スクールアイドルは必要
それと、スクールアイドル活動を応援してくれる人も
ひとりでも私を好き、って言ってくれる人がいたら、
私はスクールアイドルになれるの
だから、あなたが最初のひとりになってくれて嬉しかった
私、お呼ばれしたライブも精一杯歌うね。
だから一番そばで見てて!
歩夢ちゃん、準備はいい?
うん……
緊張してる……?
えへへ、やっぱりちょっと緊張しちゃう
でも大丈夫だよ
どんな時だってあなたがそばにいてくれるってわかってるから!
うん! ずっと一緒だよ。いってらっしゃい!
いってきます!
みなさーーーん! かすみんへの声援をお願いしまーーーす!
かすみちゃん、かわいいよお~~~!
ありがとっ! さあ、盛り上がっていきましょーー!
かすみさーーん、こちらを見てくださーい!
ボクの声が聞こえてるよね、かすみーー!
かすみちゃーーん、とってもかわいいよ~!
(……かすみちゃんの声、懐かしい曲……)
(私、前にも見てる。何度も何度も見た光景だってわかる……)
(そうだよ……ここでコンテストがあって……)
(健康体操、生け花大会、木工技術頂上決戦、一輪車チャレンジ、
全部負けて……)
(栞子ちゃんが根気よく教えてくれたおかげで交通ルールクイズで
優勝して……!)
(かすみちゃんがホームアイドルになった思い出の場所……!)
(そう……そうだよ!
どんなときでも諦めず一生懸命で、強がってるけど不安もあって、
それでも乗り越えちゃうかすみちゃん……!)
(どうして忘れちゃってたんだろう……。大好きで、ずっと
かすみちゃんのそばで夢を応援したい、って思ってたのに……)
かすみちゃーーーん!! 日本一かわいいよーーーーー!!
はあ、はあ……
かすみちゃん……
どうでしたか? かすみんのかわいさ爆発でした?
大爆発だよ!
えっ……
あの……どの曲が一番かわいかったですか?
全部最高にかわいくて全部一番だから決められない!
かすみちゃん、ほんっとうにかわいかった!!
先輩……!
考えてみれば、私出会ったときから
かすみちゃんのことかわいいなって思ってた
ひとりで一生懸命部室を守ってて、
私と歩夢ちゃんのこと追い返そうとしてるのに
ひとりにしてほしくないみたいな雰囲気もあって
私たちが入部希望ってわかったときの笑顔なんか最高にかわいくって
先輩、記憶が……!
いつもみんなを元気づけてくれるムードメーカーで、
心配なことがあってもできちゃいそうって思わせてくれるんだよね
悩みはひとりでかかえちゃいがちなところがあるから
そこは心配で仕方なかったけど、
かすみちゃんには自分で乗り越えちゃう強さがあって……
そんなことないですっ!
かすみん、強くいたいけど、強くなんてないんです……
かすみんのことを強い子だって思ってくれるなら、
それは先輩のおかげです
先輩がかすみんのことを信じてくれるから、
かわいいって言ってくれるから……
だからいつも笑顔で頑張れるんですーー!!
あーーーーん! やっと思い出してくれました!
先輩のばかばかばか! かすみん本当に寂しかったんですからね!
でもすきすきーーー!!
私もかすみちゃんのこと好きだよ
今でも好きでいてくれるの?
私もかすみちゃんのこと好きだよ
忘れちゃってたのに!
でも、もう一度かすみちゃんを好きになれて
前よりもっと好きになっちゃった
それならかすみんだって同じです!
先輩は記憶がなくても先輩でしたもん!
かわいいって言葉にはしてくれなかったけど、
かすみんのことずっと見つめてくれました!
あれって、かすみんのことかわいいって
思っててくれたからですよね?
そ、そうだけどどうしてわかったの?
えーーーーーん! 当たった~~~~!!!
え!? 何が!?
うわーーーん、よかったですーーー!
そうだったらいいなってずっと思ってたので~~!
いつもの先輩なら、
さっきみたいに「かすみちゃんかわいいね」って
いっぱい言ってくれましたから
でも記憶がないときの先輩は、
何か思ってそうだけど言葉には出してくれなくて……
あのとき、言葉には出さないけどかすみんのことかわいいって
思っててくれたらいいなって、ずっと……ずーーーっと……
信じててよかったぁ! うえーーーん!
ご、ごめんね。なんか……口に出せなくて……
ぐすっ……いいんです。これからいっぱい言ってくれれば
先輩は、これから先もずっとずーっと、
かすみんのこと「かわいいね」って言ってください
今でも好きでいてくれるの?
当然です!
かすみちゃんとの大切な思い出、忘れちゃったのに……
でもちゃんと思い出してくれました
そうだけど……
先輩の記憶の底にはちゃんとあったんです。
かすみんとのたくさんの時間が
かすみんと先輩との思い出はすごくすごく強いものだから、
忘れるなんてできないんです
思い出を忘れちゃったとしても無くなってるわけじゃない、
そこにあるんだろうなってわかってました
だからかわいい療法が一番効果あるって思ったんです
うん、すごく効果あった
……メイド服はやりすぎだったかもしれませんけど
メイド服、かわいかったーー!
ひええ、やめてください~!
ファッションショーもかわいかった!
何を着ても似合うよね、かすみちゃん!
うう……
ほんとは恥ずかしいのに、私のために頑張ってくれてありがとう
かすみちゃんの一番かわいいところって、そういうところだと思う
きゅ、急に恥ずかしくなってきました……
でもやっぱり!
かすみんのこと、かわいいねってもっと言ってください!
かすみさん、次のホームアイドルのライブはいつですか?
わたしも知りたい! 応援グッズ作って行くからね!
ええっ!? おふたりともどうしたんですか!?
この前のライブがすごく楽しかったんです!
うんうん!
街のみんなに愛されてる、ってのがひしひしと伝わってきたよね
ご近所みんなの妹~、って感じだったよね。
愛さずにいられないよ~
私も、あんなライブしてみたい
えへへっえへへっ! も、も~、みなさん褒めすぎですよお!
まあ、今日はちょっと時間あるのでもうちょっと話したければ
聞きますけど
ああいうライブをできるのがかすみちゃんなんだよね!
会場にいる私たちを見つめてくれる目がキラキラでかわいくって、
絶対に目が離せないの!
曲の合間に私たちが応援できるパートがあって、
ライブ中に気持ちを通わせることができて最高!
この溢れる気持ち、全部届けなきゃ、って思う!!
あ、あの、先輩、その辺で……。恥ずかしくなってきました……
ごめんね、この子昔から夢中になると止まらないんだ
そっ……そんなのかすみんだって知ってますけど!
そのくらいかすみんと先輩は濃密な時間を過ごしてますけど!!
この話、まだ続く? 私はそろそろランニングに行ってこようかしら
ランジュも行くわ。かすみのライブを見ていたら、
ランジュもミニライブがしたくなっちゃったんだもの!
ミニライブもいいかもね。ボクもやってみようかな
ミニライブでツアーなんてどうですか?
おもしろそう! 先輩、どう思いますか?
最高に楽しそう! 聞いただけでワクワクしちゃうよ!
ちょっとみなさん! 勝手に話変えないでくださーい!
まだかすみんのターンですよーー!
恥ずかしがってはいますけど……いますけど、
もっと褒めてほしいんですから!!
うえ~ん、ライブ大成功のかすみんが買い出し係なんて~
ランニング、ビリだったからね……
りな子とミア子には勝てると思ったのに
結構自信あったんだ……
ええと……ほら、きっとまだライブの疲れが残ってたんだよ
そっか! そうですね~、うんうん!
あっ、先輩荷物重くないですか? かすみんまだ持てますよ~
ううん、大丈夫。
かすみちゃん、ちょっとだけ夕焼けを見ていかない?
はい!
……私、嬉しかったんだ
え? 何がですか?
全然何も覚えてない私のことを頼ってくれてありがとう
えー! なな、なんですかそんな改まって!
かすみんが先輩のこと頼るのは当たり前です!
でも何も覚えてなかったでしょ? 全然役に立てなかったと思う
役に立つっていうか……そういうのじゃなくて……
……かすみんが先輩にお願いしたいことってひとつだけなんです
いつでもかすみんのそばにいて、かわいいよって言ってくれて、
一緒に楽しんでくれること
あ、ひとつじゃなかった……3個になっちゃいました
お願い3個は欲張りかもですけど、かすみんには絶対に絶対に
必要なことなんです
それがないと、不安になっちゃうから……
この前のライブのときも、始まる前急に不安になっちゃいました
でも、今まで先輩がかすみんにくれた言葉を思い出して
乗り越えられたんです!
かすみんがかわいくいられるのも、強くいられるのも、
先輩がそばにいてくれるからなんです
先輩にかわいいね、って言ってほしいんです
ずっとずっと言ってほしいんです
な、泣かないで、かすみちゃん
(かすみちゃんの涙が夕陽に照らされてダイアモンドみたいに
キラキラ輝いてる。こんなにきれいなのに悲しい涙……
これから先は、もしも涙を流すなら嬉し涙にしてあげたい)
かすみちゃんのお願い、絶対にきく! 約束するよ!
だから私からもお願いしていいかな?
ずっとかすみちゃんのそばにいたい、かわいいって言いたい……
これからも、一緒に楽しませてほしい!
もちろんです! 先輩とかすみんの約束です!
(まるで映画みたいな映像が頭に浮かぶ)
(赤い夕陽が差し込む夕方の踊り場、
そこで一生懸命練習してる女の子)
(何にそんなに必死になってるのかわからないけど、
汗いっぱいで励んでる)
(私はその姿を見て、ただただ眩しさを感じる。
何かにまっすぐでいる人は眩しい。たとえ私の知らないことでも、
まっすぐさを持ってるだけで尊敬できる)
(その子の視線が、踊り場の下を通り過ぎる人にふと移る)
(一瞬で通り過ぎたあの人を、その子はずっと目で追ってる)
(今まで熱心に続けていた稽古のことなんて
忘れてしまったかのように)
(そして、その子の目は新たな決意に満ちる。
きっとあの人を笑顔にするようなお芝居をするんだと……)
(……その子の姿がだんだんしずくちゃんに重なっていく)
(どんなときも一途にお芝居に向き合っていたしずくちゃん)
(一番素敵なスクールアイドルを演じるんだと、
ノートを何冊もいっぱいにしてたしずくちゃん……)
(……頭の中がしずくちゃんでいっぱいになっていく。
前の私と同じように……)
しずくちゃーーーん!!
はあ、はあ……先輩っ、おかえりなさーーーーーい!!!
あの、先輩、これ冷やしたタオルです……大丈夫ですか?
ごめん、ありがとう……たぶんそろそろ平気だと思う……
途中から先輩が泣きっぱなしだったから、
私ちょっとドキドキしちゃいました
ご、ごめん……本当に……
でも、あれは泣く……
そう……ですかね?
参考までに聞きたいんですが、どのあたりが……?
「私は、きちんと私を出せていたでしょうか?」のあたりくらいで
グッときてその先総崩れだった
わ……そこでもう泣いちゃって……たんですね
誰でも泣くと思う
泣かせるためのお芝居ではなかったのですが……
先輩の胸を打てたのなら、成功だったのかな
えへへ……
あっ、聞きたかったんだけど、
『あなたの理想のヒロイン』のお芝居、あれも脚本だったの?
曲の話はしたけど、脚本を書いてるところは見なかったな、って
思って……
あれはアドリブですよ
えっ、アドリブ!?
はい、ライブパートへの移行がうまくいかなくて……
時間稼ぎしちゃいました
じ、時間稼ぎなんてものじゃなかったよ!?
あの曲にぴったりのお芝居だった!
あの曲の中の子が出てきたのかと思った!!
ふふっ、私、言ったことありますよね?
「私、アドリブも上手にできるようになったんですよ」って
そうだったね……
なんかもう……ひとり芝居からライブに流れる構成とか内容とか
本当に……あまりにも濃密で……あれって全部計算してやった?
ち、違いますよ! もちろん私の得意なことをするぞ、って
気持ちはありましたけど、ライブ前のは本当にアドリブですから!
本当に……アドリブが上手くなって……
本当かなあ……?
本当に……アドリブが上手くなって……
な、なんでちょっと悲しそうな顔するんですか!?
私の成長を喜んでくださーーーい!!
本当かなあ……?
本当です!
というか、アドリブが上手になってることを
もっと褒めてくださーーーい!
はい、先輩、あーん
大丈夫、自分で食べられるから!
えー、ダメですよ。役作りに付き合ってくれる、って
約束したじゃないですか!
新婚さんの気持ちを掴むための新婚旅行ごっこなんですから
協力してください!
わかりました……あーん……
おいしいですか?
わ、すっごくおいしい! しずくちゃんも食べてみなよ!
じゃあ、あーん、ってしてください
あ、あ、あーん……
はむっ……。ふふっ、おいしいですね、先輩!
ごめんね、なんか照れちゃってあんまり新婚さんごっこ
うまくできないや
お芝居のなかの旦那さまも照れ屋なので先輩がぴったりです
ほんと!? よかった、安心した!
私の中の新婚さんのイメージってすごくラブラブで、
手を繋いだらひとときも離さないとか、おしゃべりするときは
内緒話でするとか、ジュースはハートの二股ストローで飲むとか
そういうイメージだったからさ~
……そのイメージ、どこで身につけたんですか?
歩夢ちゃんが読んでる漫画
歩夢さん……なんて信頼できるセンスなんでしょう!
できるだけそのイメージでいきましょう!
それじゃお芝居の旦那さんのイメージと違ってこない?
ちょっと違うかもしれませんが……
きっと照れ疲れてラブラブになる、ということもあると思います
ある……かな?
あるんです!
やっと着いたね
新幹線の中ではずっとおしゃべりしてようと思ったのに……
途中で寝てしまって悔しいです……
あはは、かわいい顔してぐっすりだったよ
かっ……! あ、ありがとうございます……
ずっと私に寄りかかってたし、それはそれで新婚さんっぽいから
ありじゃない?
うう……私ったら、どうして覚えてないの……!
え、何か言った?
い、いえ、なんでもないです。
それより、近くに夕日がきれいに見えるビーチがあるらしいので
ちょっと行ってみませんか?
うん!
うわあ……!
すごいね!
とってもきれいですね!
まだ海に入るのは早いかな?
そうですね……さすがに……
でも、このくらいなら……えいっ
うわっ!? も~、やったな~! えーい!
きゃあっ!? あはははっ
…………先輩の記憶が戻って、本当によかったです
新しい日々を積み上げていくことも大切ですが、
新しい日々は過去によって彩られるものですもんね
過去の積み重ねがあるから、
新しい日々への愛おしさも増すんです……
それって、新しいお芝居のセリフ?
違いますよ。私の言葉です
せっかくなので、改めて言わせてください……
先輩と出会って、私と先輩の物語の幕は上がりました
そして今回のことで、私たちの舞台はふたりにとって
かけがえのないものってことが証明されたと思います
……私は、先輩の理想のヒロインのままですよね?
もちろんだよ
じゃあ……この先、第2章も、第3章も、
ふたりの物語を一緒に紡いでください……!
(夢でもありえないようなステージ……)
(荘厳な会場を舞台にした果林さんのライブ)
(真紅のカーテンに豪奢なシャンデリア、見事なレリーフが施され
意匠をこらした内装、すべてが壮麗なステージなのに、
そんなものは全然目に入らない。果林さんしか目に入ってこない)
(ううん、目に入ってこないんじゃない。
果林さん以外を見せてもらえない。
背景ですらシャットアウトされる感覚……)
(ああ、こんな気持ちにしてもらえるなんて……)
(鮮烈な魅力で私の目を惹きつける。
自分と同じくらいの情熱を持って見つめないと許さない、って
言ってくれてる……)
(どうして私は、こんな感覚を忘れていられることができたんだろう)
―果林さーーーーん!!
はあっ、はあっ……
どうだったかしら? 本当の私を―
これ以上見せちゃダメ!!!
え?
ダメだよ果林さん、
これ以上そんな果林さんを見せたら大変なことになっちゃう!
なんていうか、普通に生活できなくなる!
えっと……?
果林さんは何もしなくても人を惹きつけちゃう人なのに
こんなライブを見せられたらずっとずーーーっと
果林さんのことしか考えられなくなっちゃうでしょ!
ていうかもう、少なくとも今週1週間分の授業で覚えたことは吹っ飛んだよね。記憶容量って上限があるもん。一瞬も忘れたくないライブを
見せられちゃったらそれ以外はいりません、って脳が言う!
あーーー今も『Starlight』が頭の中で再上映されてる!
再上映されちゃうとどんどん果林さんに頭も心も奪われちゃう!
いや、差し出しちゃう! 差し出さずにいられない!!
ま、待って待って! 落ち着いて!
簡単に落ち着けたら苦労しない!
あはははっ、ねえ、キミ全部思い出したのね?
今のキミ、私が知ってるキミだわ
……あれ?
……そういえば……そうみたい……
こっちに来て。もっとよく顔を見せてちょうだい
えっ、待って、なんでこんな……ええーーーーー!?
そろそろ落ち着いた?
うーん……まだ混乱してる……
記憶が戻ったこととかいろいろ……思い出してはいるんだけどね、
そんなことより別のことで頭がいっぱいになっちゃってダメ
果林さんやみんなに言わなきゃいけないことがあるのに、
どうしてもそのことに集中しきれなくて……
あら、どうして?
……果林さん、わかってるくせに……
ちょっとわからないから、言葉にしてくれない?
恥ずかしいんだけど……
私も恥ずかしいくらい自分をさらけ出したわよ?
キミも同じようにしてくれなきゃいや
うう……
果林さんのライブが、すごすぎて……
私が今まで見てきた果林さんのパフォーマンスは、
果林さんが見せてもいい、って思ってる顔だったんだね……
みんなに見て欲しい、自分以外目にいれて欲しくない、
誰より一番になりたい、って気持ちをまっすぐぶつけてきてくれてた
だけど本当はもうひとつの側面が存在してて……、
果林さんの望みの裏側、っていうか……
果林さんと同じくらい強い気持ちで私がのめり込まないと
許さない、っていう独占欲
私、まさか果林さんがそんなことを求めてくれてるなんて
思わなくて……
そうね、キミの思った通りの気持ちを込めて歌ったわ
だけど、こんなパフォーマンスをさせたのはキミよ
えっ……?
私だって最近まで知らなかったわ、自分のこんな気持ち
自分のパフォーマンスに表と裏があるなんて考えたこともなかった。
いつだって全力で臨んでいたつもり
だけど、あの曲に教えられたの。
私にはもう一つの欲望があるんだ、って
あの曲は、ただ自分を魅せつけるだけの曲じゃない
キミが言った通りの激情が隠されてる
それは確かに私の中にあったものよ。
だけどずっと私自身も知らなかった
キミはそんな秘密を初めからわかって
あの曲のなかに隠し込んでいたのね……
いや、そういうわけじゃ……
本当に?
キミがなんの確証もなくそんなギミックを入れるはずがないと
思うんだけど?
絶対にそうだ、って確信があったわけじゃないよ。
そうだったらいいな、とは少し思ってたかもしれないけど……
だってこんなの単なる私の欲望だもん。もしも果林さんが
そういう気持ちでいてくれたら、なんて幸せだろう、って……
果林さんの曲なのに、自分のわがままを入れちゃうなんて……
本当にごめんなさい
ふふふっ
……果林さん?
ねえ、私今、とっても満たされた気持ちよ
だって、この瞬間、私とキミは秘密の共犯者になったんだもの
あの曲には、私とキミ、ふたりぶんの欲望が隠されてる……
な、なんかそれじゃ本来の曲の意味と違っちゃうよ……?
いいえ、何も違わないし何も変わらないわ
ただ明確になってしまっただけよ
あの曲は自分の欲望を魅せて、貫く曲。
そこにもっと深い欲望が加わっただけ
今の私は、もっともっと深くあの曲と融合できる気がする
キミがそばにいてくれれば……ね
果林さん……
なあに?
もう一回、私のためだけに『Starlight』を歌ってもらえないかな?
そうしたら、私も覚悟を決められると思うから
ふふっ、いいわよ。しっかり覚悟を決めてちょうだい
ふふふふっ……
すっかり元の果林ちゃんに戻ったねえ~
え……ちょっと浮かれすぎてるんじゃない?
そうかな? 果林ちゃんはいつも朗らかだよ~
はいはい、何とでも言ってちょうだい
別に文句があるわけじゃないよ……
いや……その顔は、なんかあるねえ
果林ちゃんのライブが見れなかったのがそんなに嫌だった?
そっ……そういうわけじゃない!
全然そういうわけじゃないけど!
相談くらいしてくれてもいいじゃん……
ボクだってちょっとは心配してたんだぞ
ん~、それは確かにそうかも~。彼方ちゃんも心配だったよ~
でしょ?
ふたりとも……
果林ちゃんはこう見えて意外と恥ずかしがり屋なんだよ
あの子にしか見せたくないライブ……だったんだよ、きっと!
えっ、エマ!? なんでそんなこと……!
ふふっ、わたしにだって隠し事はできないんだからね、果林ちゃん
こわ……
エマちゃんには隠し事しないようにしよ~っと……
ねえねえ、それより果林ちゃん!
またオーディションに受かったってほんと?
ええ、まあね
おお~、次はどんなことするの~?
秘密♪
うわあ……ガーデンパーティの会場だ! すごい!
今日はどんなお仕事なの?
ちょっとしたドレスを着るのよ
ドレスか~。果林さん、華やかな服似合うもんね
それで、私はどんなお手伝いをしたらいいのかな?
今日はね、お手伝いじゃなくてお勉強をしてほしいの
勉強?
そう。最近思い知ったのよね。
勉強ってどこで役に立つかわからないからしておくものね……、って
でもまあ、今日のは絶対に役に立つからやってほしいの
……よくわかんないけど、わかった。見て学べばいいんだね?
ええ。じゃあ、着替えてくるから待っててちょうだい
うん!
お待たせ
果林さん!?
きれい!!
果林さん!?
ふふっ、どうかしら?
ど、どうかしら、って……すごくきれいだけど……
ダーメ。褒めるなら「だけど」なんて使わないの。
もう1回聞くわよ、どうかしら?
すごくきれいです……! 花嫁さんみたい!
キミの?
えええっ!? いや、えっと……
どう?
幸せにします……
きれい!!
うわあ、すごくきれいだね、果林さん!
……褒めてくれて嬉しいけど、もっとびっくりしてほしかったな
びっくりしたけど、それよりきれい! って思っちゃった
ずっと見ていたいなあ
ずっと見ていられる方法、あるわよ? わかる……?
え!? ええっと……それって……
ずーっと見ていたいなら、覚悟を決めてちょうだいね
き、決めます……!
ふふふっ、私も心を決めるわ
これから一生、キミには私以外を考えられなくさせちゃう
そして、私もキミ以外を考えないわ
ここで誓い合いましょう
うん!
果林さん!
あら、どうしたの、そんなに慌てて?
た、た……大変なことになってる……!!
大変なこと……?
この前のウェディングドレスの記事が
スクールアイドル掲示板で話題になってる!!
同好会にもたくさんメールがきてて……
あら、嬉しいわね
話題になってるのはいいことなんだけど、記事を見たみんなが……
果林さんに一番似合うドレスをデザインする、って、
なんか競争になってて……
ドレスのデザイン画がどんどんアップされていってて……
ええ!?
一番になったデザインのドレスを実際に作って
果林さんに着てもらいたい、って……
実際に……
すごく盛り上がっちゃってるんだけどどうする? 大丈夫かな?
私は着るわよ、一番になったデザイン
あ、着てもらえるの? 大丈夫? よかった~!
じゃあ、デザイン画のコンテストやっちゃおうか。
私、投票システム作るね
ちょっと待って、キミがやることは別でしょ?
え?
キミは私に誰かがデザインしたドレスを着てほしい?
それともキミ自身がデザインしたドレスを着てほしい?
………………
どう?
今すぐドレスのデザインを考えて、私が一番になります……
よろしい!
ふふっ、キミがデザインしてくれたドレスを着るの、
楽しみにしてるわね!
うわあ~~~! これが愛ちゃんのライブ!!
元気な曲がいっぱいでアガる~!
……と思ったらこんな曲もあるんだ!?
おお……いつもの愛ちゃんと全然違う……
次が最後の曲……『めっちゃGoing!!』だ!
(愛ちゃんが、ふたりの特別、って言ってくれた曲)
(楽しいは自分次第、立ち止まらずに動き出せばいい、って
誘ってくれる)
(愛ちゃんについて行けば絶対に楽しいことが待ってる)
(そして、私も楽しいが作れるようになる……)
(ああ、もっと曲のこと考えたいけど無理! 一緒に歌いたい!)
Going! Going! Moving! Moving!
みんな、ありがとーーー! サイコーに楽しかったね!!
次のライブまでに、もっと楽しいこと考えてくるから
待っててねーーー!!
ふう、楽しかった~! 見ててくれた!?
愛ちゃーーーーん!!
うわあっ!?
今日のライブも最高だったよ~~!
愛ちゃんのライブってやっぱりテンション上がって楽しすぎる!
一緒に歌って盛り上がれるのって一体感やばいよね!
『友&愛』はやっぱ愛トモのみんなが一番盛り上がるよね!
コール激ムズだけどそれだけ自分も曲に参加してるんだ、って
気持ちになって気合いが入る!
『楽しいの天才』は病院ライブのこと思い出しちゃうね。
患者さんだけじゃなくて看護師さんとかお医者さんも楽しんでくれて、
病院全体がハッピーに包まれてほんと愛ちゃんって楽しいの天才!
『Diabolic mulier』ではアナログゲーム研究部が作った映画が
浮かんだよ。吸血姫のどうしようもない想いが伝わって
どうにかしてあげたい、って思っちゃった!
それでそれで……
ストーップ! ストップストップ!
今、何て言った……?
え?
何って感想だけど……?
そうだけど、あのさ……君、全部思い出してない?
…………ほんとだ!!!!
えええっ!? 先輩、記憶戻ったんですか!?
うん、いつの間にか……
あーん! よかったよ~~~~!!!
あはは、心配かけてごめんね
みんなも、ほんとごめん……
謝らないでください、今はみんなで喜びましょう
だね~。でも、どんな感じで記憶が戻ったのかは気になる~
どんな感じ……?
あ、だんだん思い出してきたな~、みたいな感じ?
それとも、愛のライブでぶわーっと思い出した感じ?
うーん……どっちも違うかな……
愛ちゃんのライブを観てて、最初はちゃんと聞いて思い出すぞ……
とか身構えてたんだけど
でも楽しくなっちゃって一緒に盛り上がっちゃって……
ライブの後、愛ちゃんに感想伝えたら―
思い出話まじりの感想だったから、こりゃ絶対思い出してるなと
思って言ったんだよ~。「全部思い出してない?」って
「あ、今思い出した」みたいなのは全然なくて……
むしろ「え、私忘れてたんだっけ?」みたいな……
脳って……未知の器官……。璃奈ちゃんボード「うむうむ」
だけど愛の歌がきっかけ、ってことには変わりないわね
それほどのパワーがありますもんね、愛さんには!
あははっ、照れるじゃーん! もっと言って!
すぐ調子乗るんだからなあ、愛は
調子乗る愛さんだっていいもんでしょ、あははっ
愛さんのそういうところがあの方の記憶を戻したのかもしれませんね
そうそう! ま、なにがきっかけだっていーよ。
結果オーライ! でしょ?
うん!
みんな、改めてこれからもよろしくお願いします!!
愛ちゃん、ほんとにこの道で大丈夫……?
へーきへーき!
この道の先に未知が待っている……なんつって!
あはははっ、道の先に未知!? うまい! あははははっ!
……って、それじゃダメでは!?
バレたか
バレるよ~
でもまあ、平気だって!
ちゃんと矢印通りに進んでるし、ちゃんと道だもん
未知だけど
あはははっ、ダジャレでごまかさないで、笑っちゃうから~!
笑顔はすべてを切り拓く! 愛さんを信じてよ♪
仕方ないなあ
ガイドブックによると、この先に絶景があるんだよ
それを、愛さんのトーキョー・サイキョーコースに加えたい!!
あれ? それってもう作ってなかったっけ?
ほら、原宿探検したときに……
そうなんだけど、新しいの作りたくなっちゃったんだ~!
ほら、挑戦したいことノートに書いてあるでしょ?
うわっ!? 前見せてもらったときからすごく増えてるね!?
だってどんどん浮かんでくるんだもん~
100人でダルマさんが転んだをやる、ってのも入れたんだ……
入れたよー、楽しそうだもん
ニジガク七不思議を八不思議にする、も入ってる……
愛さんはニジガクに伝説を残す!!
もちろん君も手伝ってくれるよね!
愛ちゃんとならなんでも挑戦したくなるからね
……あれ、水の音がしてきた
未知が待ってるぞ! すすめーーー!
うわあ~~~、キレーーーー!
東京にもこんな場所があるんだね
ちょっと足つけてみない?
えっ、冷たそう……
それがいーんじゃん!
ぎゃー、つめたーいって友達と言い合うのが楽しいの!
ってことで、そりゃーー!
ひゃ~~~! つ、冷たい……!
凍える~~~~!!
あはははっ! いい顔!
愛ちゃんだって冷たさで引きつってるよ……
確かに。思った以上に冷たかった……
でも、これ夏は絶対気持ちいーよね!
だからトーキョー・サイキョーコース絶叫最新版に付け加えよ~っと
絶叫って……
いいね!
絶叫って……
何事も刺激があるほうがいいって! カリンも言ってた
果林さんの言う「刺激」とは違うような……
まあまあ! だいたい似たようなもんだって!
いいね!
次はみんなをこのコースに呼ぶぞ~~!
……ただし、もうちょっとあったかくなってからだね
でも、みんなでつめたーいって騒ぐのも楽しいかも
いい思い出になるよね!
うお~、絶景なり~!
気持ちいい場所だね!
うん!
ね! 写真撮ろ!
あはは、そうだね。こんなすごい景色、
記録に残さなきゃもったいないよね
……愛さんにとっては、君と一緒の景色はいつだって
すごいものに映るよ
楽しくて嬉しくて、大切な景色
前、50年後、一緒に今日の思い出話をしよう、って
言ったこと覚えてる?
うん、スカイダイビングをしたときだよね
そうそう!
あのとき言ったこと、ちょっと言い足りなかったな、って思っててさ
愛さんが言いたかったのはね、50年後に話せる思い出を、
たくさん作っていこうね、ってこと!
話しきれないくらいの思い出を、君と作りたい!
うん、私も愛ちゃんと共有できる思い出がたくさんほしい!
じゃあ、これからはキミと一緒に挑戦したいことノートを
埋めていきたいな
愛さんと、いろんな楽しいことしようね!!
(ゆったりと包み込んでくれる彼方さんの歌声が
夢の世界へ連れて行ってくれる)
(……これが、彼方さんのライブ)
ここから先はね、彼方ちゃんをじ~っと見つめるのが
あなたのお仕事だよ
あなたのこと、夢の世界でお迎えに行くから……
だから、安心して待っててね
(覗き込んでくれた彼方さんの瞳に映っていた私は
とっても安心した顔をしていた)
(彼方さんが迎えに来てくれる、って、心から信じていたから)
(頭がふわふわする……何より知ってる、懐かしい感覚……)
(覚めない夢に連れて行ってくれる……)
……ーい。おーい!
え?
あ、やっと夢の世界から戻ってきたね~
彼方さんだ……
ふふっ、まだ寝ぼけちゃってるの?
彼方さんだーーーー!!
うわあっ!? どど、どうしたの~~~!?
本当に迎えに来てくれた……!
私、ここに戻ってくることができたよ!!
え……? じゃあ……
全部思い出したよ
ただいま、彼方さん!
全部思い出したよ
ほんと? 彼方ちゃんとのこと、全部覚えてる?
全部覚えてる!
ただいま、彼方さん!
……えへへ、お迎え大成功だったんだね~!
よかったよかった~
ほんとに……ぐすっ……
あれ、ごめんね、泣くとこじゃないのにね……
あれれ、なんか……止まらない……うっ……
うええ~ん!!
彼方さん、はい、替えのタオル……
うう、ありがと……
タオル取り換えるくらい泣いちゃうなんて恥ずかしいよ~
お目目もお鼻も真っ赤だし……
もっと……もっとちゃんと
お姉さんとしてお迎えするはずだったのにな~
うまくいかないんだぜ……
あははっ、彼方さん照れてるね
これは仕方ないんだよお~!
うう~恥ずかしいから彼方ちゃんのこと見ないで~
見せてよ。私だって散々情けないところを見せたんだから
これでおあいこ
えーん!
ねえ、彼方さん。私のこと、迎えにきてくれてありがとう
私が居たい場所がわかったよ
それはここ……同好会であり、みんなのそばであり、彼方さんの隣
彼方さんの隣で、
彼方さんのわがままをいっぱい叶えてあげられるのが幸せ
彼方ちゃん、スクールアイドルをやることがわがままだと
思ってたんだけど、もっと欲張りになっちゃったんだよ? それでも?
それでもだよ。だって私、前に言ったことあるよね
「私は彼方さんに頼られると自分に自信が持てるんだ」って
私ね、多分、自分に自信が持てなくなったことが原因で
全部忘れちゃったんだと思う。大好きなみんなが遠くに行っちゃって、
私ができることはもうなさそうだなと思って……
暗い虹の夢もそこからきたんじゃないかな
けど、夢の中の彼方さんが甘えてくれて、現実の彼方さんも
頼ってくれて、そのことが私を元気づけてくれたんだ。
任せて! って気持ちになれた
記憶がなくても、私は彼方さんに頼られたかったんだよ
だから今はもっと頼られたいと思ってる
あなた……彼方ちゃんに甘すぎない? 大丈夫?
大丈夫だよ!
うーん……。じゃあ、彼方ちゃん、今よりもっとあなたに
わがまま言っちゃう
でも、あなたも彼方ちゃんにわがまま言ってほしいな
彼方ちゃんは、大好きな子のわがままならききたいの
だからこれからはお互いわがまま言い合いたいな! ね?
うん!
彼方先輩! 昨日の配信の新コーナーおもしろかったです~!
あれいいよね! 「みんなで考える夢診断」!
夢診断には諸説ありますから、それらを参考にしつつ
自分の置かれた状況を加味して自分で紐解いてゆく……
というのは謎解き要素もあって楽しいです!
真面目に考えることもできるし、エンタメ要素もあるんだよなあ
えへへ、そんなに褒められるとニコニコになっちゃうぜ~!
かすみん、ピンクのシュークリームに食べられたと思ったら
流れるプールでユニコーンの浮き輪につかまってカメから逃げてたって
夢を見たんですけど、これってどういうことなんですかね?
高熱が出たときに見る夢じゃん
結構かわいい夢でしょっ!
ランジュの夢も聞いて! 学園の図書室で借りた本を開いたら
同好会のみんなが出てきて飲茶パーティーをしたの!
最高の夢すぎて起きるのが辛かったわ!
夢とは自由なものですね……
栞子ちゃんはどんな夢を見たの?
私ですか? 私は……姉のバイクの後ろに乗せられる夢です。
怖かったです
正夢になりそうね、それは
やめてください! 二人乗りは危険です!
見たい夢を見る方法とかってないんですかね?
とっても見たい夢があるんですが……
山盛りの焼き立てパンに囲まれる夢が見たいな~
ミクロサイズになって、璃奈ちゃんボードの基盤の中を探検したい
夢の中では自由自在なんてみんなの憧れだよねえ
次の新コーナーはそれかな?
そうしよう~! 調べなくっちゃだね~
……あっ! 彼方ちゃん閃いちゃった……!
どうしたの?
次のライブにやりたいこと!
彼方ちゃんと一緒に見たい夢をみよう~ってライブがしたいなあ
手伝ってくれる?
もちろんだよ!
やっほ~、こっちこっち~
あ、彼方さん!
あのね、ここ……
前、みんなで来たところだよね。覚えてるよ!
愛ちゃんが彼方さんのライブのときに感じる空気に似てる、って
言って、彼方さんもこういうステージを作ってみたい、って言って……
客席にはクッションを敷き詰めて、
みんなに寝っ転がりながら楽しんで欲しいんだよね
おお……記憶力が増してる……?
彼方さんとのことだもん、忘れないよ
照れるんだぜ~
彼方ちゃんね、あなたが言ってくれた通りのライブがして
みたいんだ~。だからこの場所を研究しよ!
うん、隅から隅まで見てまわろうね
えへへ……
また彼方ちゃんのわがままに付き合ってくれてありがとうね!
お礼を言うのは早いよ。まだ実現できてないもん。
叶ったらふたりでお祝いしよう!
そうだね~
彼方ちゃん……夢の中でも現実でもあなたといられて、本当に幸せ
私も幸せだよ
これからは彼方ちゃんがもっともーーっと幸せにするからね!
みんな、楽しんでくれてますかーーー!
まだまだ盛り上がっていきましょーーー!
(これが、せつ菜ちゃんのライブ……。
クラスの子たちがあんなに興奮してたのも納得だよ)
(胸の奥に火が灯る。鼓動がどんどん早くなる)
(映像から感じられた何百倍もの熱意で包まれるこの感じ……。
確かに私は知ってる)
(地に足がつかなくてフワフワした高揚感、息をするのも
忘れるような圧倒的な存在感、まっすぐ伝えられる「大好き」に
射抜かれる衝撃、せつ菜ちゃんしか目に入らないこの感じ……)
次の曲は……『CHASE!』
(これ……この曲……せつ菜ちゃんとの初めての曲……)
(日常と非日常の間で潰されそうになってた
あのときのせつ菜ちゃんが抱えてた、今にも爆発しそうな激情)
(思いのままに走り出したい、なりたい自分を掴みたい、
そんな自分を押さえ込んでたせつ菜ちゃん……)
(その殻を破らなきゃ「優木せつ菜」じゃないと思ったんだ……。
そして、「優木せつ菜」なら殻を破れる。だから駆け出して、って……)
(駆け出したせつ菜ちゃんはすごかった。
本当に「大好き」で世界をいっぱいにした。私はそんな姿を見て……)
(ああ、忘れたいって思うなんてバカだった。
忘れたって私はせつ菜ちゃんに惹かれた。
力になりたい、って思ってた)
(どんなことになっても、
私の世界にせつ菜ちゃんは必要な人なんだ……)
はあ、はあ……。気持ちよかったですーーー!
最高のライブができました!
あなたも楽しんでくれましたか?
うん! すっごく楽しかった!
それとね、私……思い出せた!!
えっ……
思い出せたよ、せつ菜ちゃん!
ほ……本当に……?
うん! 試してみて
ええと……では、私が家出をしたときに泊まりにいった方の家は?
最初はエマさんの寮に行ったよね。
律儀に寮の宿泊許可を取ったから
そこでお母さんにも居場所がバレちゃってたね
その後はかすみちゃんち。
かすみちゃんがせつ菜ちゃんの秘密を知りたがってたのに
お掃除とお勉強を強行した、って聞いたよ
あ、当たってます!
よっ……、よかった、ですーーーー! あーーーーーん!
わっ!? せ、せつ菜ちゃん泣かないで、せつ菜ちゃーーん!
せつ菜ちゃん、落ち着いた……?
は、はい……
どうしてそっぽ向いてるの?
ヒーローは泣き顔を見せないものなんです
って、あんな姿を見せておいて、ですけど。えへへ……
私にとっては、どんな姿でもせつ菜ちゃんはヒーローだよ
え……?
私、せつ菜ちゃんにはたくさん弱音吐いちゃった。
でも、せつ菜ちゃんはそんな私を安心させてくれたでしょ。
だから、せつ菜ちゃんは私のヒーローなんだ
えへへ……。私、本物のヒーローになれたんですね!
そうなれたのは、やっぱりあなたのおかげです
今まであなたはずっと私のやりたいことを応援してくれました。
そのおかげで私は野望に向かって一直線でいられました
その中で、私は少しずつなりたい自分になれて、
走り出した先の輝きを掴むことができて……
今までのことがあったから、
あなたのことも自分のことも信じて突き進めたんです!
せつ菜ちゃん……
……ということで、ひとつはっきりさせておきたいのですが……
うん?
スクールアイドルのライブを見て記憶が戻った、ということは、
やはりスクールアイドルに記憶喪失の原因があったのでしょうか……
そのことなんだけど……
……ちょっと違うような気がしてて。
スクールアイドルに関係するか、っていうと関係はしてるんだけど、
問題は私だったんだと思う
同好会が10人になってから11人になって13人になって……
みんなそれぞれすごいスクールアイドルに成長していって……
なんだかもう、私の役目は終わったんじゃないか、って
みんな遠くに行っちゃったな、なんて……そんな風に思っちゃって
自分がいる理由がわからなくなっちゃった。
そうしたらみんなのことを忘れちゃってて……
自分がいる理由……あなたがわからないのなら、私が教えます
これは私だけではなく、同好会のみなさんも
絶対に同じ答えを言うはずです
あなたが必要な理由……
それは、私たちがあなたがいなきゃダメって思っているからです!
役目は終わったなんて言わないでください。
あなたがいないと私たちは自分の気持ちを100%表現できません!
遠くに行ったなんて思わないでください。
私たちはいつもあなたを隣に感じながら歌っています!
あなたがあなたのままそばにいてくれることが、
私たちにとっては何より大切なんです!!
うん……! ずっとそばにいさせてほしい!
私のまま、そばにいていいの?
うん……! ずっとそばにいさせてほしい!
だって私、もうみんなから離れられないもん!
私たち……
いえ、私だってあなたのことを離しませんよ!
私の野望を叶える姿を、特等席で見ていてください!
私のまま、そばにいていいの?
もちろんです!
あなたは記憶があってもなくても
私たちのことを一番に考えてくれました
そして、私たち……
いえ、私もあなたがそばにいてくれない世界は考えられないんです
だから、私からもお願いします
これからも一番近くで私を応援してください!
映画おもしろかったね!
はい……4DXの臨場感はたまりません!!
本当にドラゴンの背に乗った気分が味わえました!
それに戦闘シーンの衝撃もすごかったですよね、
斬って斬られて吹っ飛んで……あの子の感じたすべてを
私も味わえたのだと思うと感情移入もひとしおです!
あはは、そうだね! ねえ、映画の話するならどこか入ろうか?
あ……今日は映画の他にも行きたい場所がありまして……
そうなの? どこ?
カラオケです!
ああ、カラオケいいね! あの映画のオープニング曲も
もう入ってるだろうしアニメシリーズの挿入歌とかもあるはず……
何を歌おうか迷っちゃうね
そうですね……。でも、その……
今日はそういう曲を歌うのではなくてですね……
もっと熱い想いをぶつけたいと言うか……
熱い思いをぶつけたい……。じゃあみんなのことも呼ぶ?
みんな一緒のほうが盛り上がるんじゃないかな
ああっ、そういうのでもなくて!
ええと……その……
あなただけに、私の熱い想いを聴いてほしいんです!!
私だけ?
はい。今後、もしかしたらまたあなたが不安になってしまう時が
くるかもしれません
もちろんそんなことにならないよう、私は頑張るつもりです!
でも物事に絶対はないので、あなたに……刻んでおきたいんです
私は遠くになんて行きません。あなたのことを
ずっと頼りにしています、必要です、そばにいてほしいです……
そういう気持ち全部、あなたに知っていてほしい……
私がどれだけあなたのことが大好きか、感じてください!
はあ、はあ……!
この曲は、私がたまに感じることがあるヤキモチを表した曲でした……
はあ、はあ……
う、うん、伝わった。ねえ、せつ菜ちゃん、
ちょっと飲み物でも飲んで休憩したら?
もう連続30曲だよ!?
あ、ではあと70曲残ってますね!
そんなに用意してきたの!?
これでも半分に絞ったのですが……
200曲あったんだ……
だって、あなたが忘れることができないような
思い出を作るんですから!
普段伝えきれていない気持ちも
全部あなたには知っていてほしいんです
私の全部を受け止めてください!!
わかった! 受け止める!
全部受け止めるからちょっと休んで!
あと1曲だけ! 1曲だけ聴いてくれたら休憩します!!
絶対しないでしょ~~!!
みんな、お昼ご飯おいしかった~?
はーい!
いっぱい食べたかなー?
はーい!
よかったあ~! じゃあ、ここからはまたわたしの歌を楽しんでね
一緒に歌ってくれてもいいし、踊ってもいいよ~!
それでは歌います。『Evergreen』
(……ケルト音楽に似た郷愁を感じさせる始まり)
(そして、一瞬で雪が解ける)
(そう、この歌声……あたたかな太陽の光が降り注ぐ
一面の花畑みたいなエマさんの歌声……)
(焦がれてやまないこの声……)
(……どうして忘れていられたんだろう、
こんなに優しく包み込んでくれる人を前にして)
みんな! 今日は本当にありがとう~!
最高の1日だったよ~!
お礼を言うのはこちらです。
子供たちのために、本当にありがとうございました
ううん、全員にお礼を言いたいのはやっぱりわたし!
大好きな歌を一日中歌っていられて、子供たちの笑顔も見れて、
とっても幸せだったもん!
栞子ちゃん、あとで依頼してくださった方にもお礼を送らせてね
はい!
なんだか不思議な感じね……。
朝から動いて疲れているはずなのに心地いいわ
私もです! なんというかこれは……
そう、滝に打たれたような!!
滝……?
滝から出るマイナスイオンに包まれたような~ってことじゃない?
彼方ちゃん、今それに包まれてるもん~……寝ちゃいそ……
心地いい疲れ……? いや、疲れてる感じしないなあ
癒された感じだよね~
ランジュ、まだエマの歌声にうっとりしてるわ~
ランジュ先輩まで!?
んも~、みなさんまったりしすぎじゃないですかあ~?
と言いつつ、かすみさんもさっきからずっと
私にもたれかかってまったりしてない?
してる。璃奈ちゃんボード「ジーッ」
えっ、うそ!?
わかるわ、かすみちゃん……自覚なくまったりしちゃう感じ……
エマ先輩の癒し力が高いから負けちゃうんですぅ……
みんなまったりしてていいよ~
あ、飲み物がないね
今日はわたしがオリジナルドリンク作っちゃうよ~
ちょっと待っててね!
お手伝いします……と言いたいところなのですが、
立ち上がれません……
なんだかもう、エマちゃんに甘えたくてたまらないんだぜ~
みんな、しっかりするのよ……!
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
は~い……
みんな、ドリンクを飲んだら今日はもう解散にしようか
今日のお礼はまた今度改めてするよ。
だからおうちでゆっくり休んでね
そうね、今日はエマからもらった子守唄のCDを聴きながら
眠ることにするわ~
じゃあ、みんな、今日は本当にありがとうね!
また明日ね、おやすみなさーい!
おやすみ~
おやすみ~
おやすみなさい
おやすみ~
おやすみ~
おやすみなさい
おやすみ~
おやすみなさい
おやすみ~
おやすみ~
あの……
ん? どうしたの?
エマさん……ちょっとだけふたりで話す時間をもらえないかな?
わ~、夜景がきれいだね~!
コンサートの後で疲れてるのに引き止めてごめんね
大丈夫! わたし全然疲れてないよ
でも、どうしたの? ふたりで話したいなんて……
あのね……私、思い出したんだ
え……?
ええっ!? ほ、ほんとに!?
うん、ほんとに。全部思い出した
わあ~~~!! よかったね! ほんとによかった~!
みんなも心配してたからはやく教えてあげよ?
うん、あとでちゃんと話す。でもエマさんに最初に言いたかったんだ
だって、エマさんの歌を聞いて記憶が戻ったから
わたしの歌?
そう、私がリクエストした『Evergreen』を聞いて……
頭の中にぱあっと光が射した気がしたんだ
エマさんが目指すスクールアイドルは、誰かに安心をあげる
スクールアイドル。私も心からの安心をもらったんだと思う
私、みんながどんどんすごいスクールアイドルになっていくのを見て、
もう私のサポートなんていらないんじゃないか、って……
必要ないんじゃないか、って思っちゃった
それが記憶喪失になった原因だと思う
あなたがいらないなんて……
うん、今はわかる。すごくわかった! エマさんが教えてくれたから
エマさんは、記憶があっても無くても私のことを必要としてくれた
だから、私がここにいたいと思うかどうかだけなんだよね
私、あの曲を聞いて心が軽くなった。自分がいるところは世界中で
一番安全な場所、包み込んでもらえる場所なんだ、って思った
わたしは……あなたの故郷になれたのかな
うん
それ以上かも
うん。私が一番安心できる場所
えへへ……。わたし、またひとつなりたいものになれちゃった!
スクールアイドルにもなれて、あなたの故郷にもなれて、
日本に来て本当によかった!
それ以上かも……
それ以上?
原点、って言うか……
なにがあっても立ち戻る場所
これから先もいろんなことがあると思う。
でも、なにがあっても心があり続ける場所。私の拠り所
うれしいな
私、なにがあってもあなたの拠り所でいるからね!
先輩またスイスに行っちゃうんですかーーー!?
かすみんも行きたいですーーー!
かすみさん、どうどう
このお見送りも2回目ね
二度あることは三度ある、にはなりたくないな~。
次は愛さんだって行きたい!
ふふっ、もちろんだよ! だって私、絶対に叶えたい目標があるの
エマの目標? ランジュも知りたいわ! 教えて、エマ!
あなたとの初めてのデートのときに話したこと……覚えてる?
初めてのデート!?
なんですか、なんですかそれーー!
あ、えっと……いつかみんなとスイスでライブをしたい、って話?
そう!
みんなでライブができたら、
家族や親戚をたくさん呼んで楽しんでもらうんだ
それでその夜は、同好会のみんなをお家に招待しておいしいものを
たくさん食べてもらって、次の日はわたしの大好きな場所に
案内するの。秘密の滝は秘密だけどみんなになら教えちゃう
あっ、ネーヴェちゃんたちにも紹介しなきゃ!
スイスでライブなんて素敵です!
ぜひ実現させたいですね!
ってことならベイビーちゃん、
エマとの旅行はただの旅行じゃなくなるよ
え?
ライブ会場の下見を兼ねてもらわなくちゃ
ええっ!?
お昼寝場所の下見も兼ねてほしいんだぜ~
責任重大だ……
ミッションの成功を祈る。璃奈ちゃんボード「ビシッ」
ふふっ、任せて~!
じゃあ、みんな、行ってきます!!
空気の匂いが日本と違う……懐かしいな、この空気……
ふふっ、ここを懐かしく思ってもらえてうれしいな
ねえ、ここに寝て空を見てみて
吸い込まれそうになるね……
でしょう?
こうやって見上げてるとね、どこにでも行けちゃうような、
でもここに止まっていたいような、そんな気持ちになるんだあ
故郷って不思議だよね。
いつかこことは違う場所に行きたい、っていう気持ちも、
ずっとこの場所にいたい、っていう気持ちも両方あるの
……でも、たとえ離れてもいつかは戻ってきたい場所でしょ?
うん、そうだね
……そろそろ家に行く?
もうちょっとここにいさせて
もう絶対に忘れない様に、エマさんの故郷を
全部焼きつけておきたいから
……それよりこっちを見てほしいな
あなたの故郷は……わたしでしょ?
この景色より、わたしを焼きつけて
もう絶対に、忘れないように……
おやすみ~
(私、璃奈ちゃんのこと全然わかってなかったのかも……。
大人しくて控えめで……って思ってた)
(だけどステージの上ではこんなにも力強い。
全身の感覚が璃奈ちゃんに吸い寄せられる)
(璃奈ちゃんが持つ葛藤も願望も全部さらけ出している。
困難なことがあっても繋がることができれば関係ない、って
教えてくれる)
(……そう、璃奈ちゃんってそういう子だった。
一見わかりにくいようだけど、奥底にはたくさんの気持ちを抱えて、
共有しようとしてくれる)
(繋がることを諦めないでくれる。迎えにきてくれる)
(そんな璃奈ちゃんだから、私はこの曲を作れたんだ……)
(想いを乗せて、誰とでも繋がれる曲)
(こんなふうに歌ってくれてありがとう、璃奈ちゃん……!)
……はあ~……
見つけた!
どこに行っちゃったのかと思った
……え、あれ? ここどこ!?
中庭だよ
……あ、ほんとだ。ライブが終わって……
ボーッとしたまま歩いてたみたい……
……大丈夫?
ダメかも。完全に心がライブのままで……
璃奈ちゃんのパフォーマンスが最高すぎて! わかってたことだけど
璃奈ちゃんはライブのたびに進化していっちゃうから
毎回初めて観たみたいな感動に襲われて幸福度がやばい!
今日の『ドキピポ☆エモーション』はとくにやばかった!
だって、璃奈ちゃんはもう誰かと繋がることができてるのに
まだまだもっともっと繋がりたいって言ってて
でも、わがままで言ってるわけじゃなくて絶対できるから
そうしようよって言ってるだけなのがあまりにもかわいくて!
叶えてあげたくて!!
璃奈ちゃん、前配信アプリ作ったよね? あれ改造しよう!
文字だけじゃなくて音声でもオンライン上で交流できるようにしたら
世界中の人と話しながら配信を楽しめるよね!?
ま、ま、待って、一気に言われると処理できない
あ……ごめん……つい……
もしかしてだけど……記憶、戻った?
あっ、ごめん! 思い出したって言ってなかった!
ごめんね、たくさん心配してくれてたよね!
私また自分のことばっかりしゃべっちゃって……!!
……よかった
ほ、ほんとに、よかった……
……うん
全部璃奈ちゃんのおかげ。私のためにライブをしてくれてありがとう
私たちの初めての曲を、あんな風に歌ってくれてありがとう
璃奈ちゃんが迎えにきてくれた、って思った
私のほうこそ、ありがとう
前の私だったら、こんなこと絶対にできなかった
成功したのは、あなたと過ごした時間と
あなたがくれた気持ちや言葉があったから
あのね、覚えてるかな?
「顔は隠してても心は隠してない」って言ってくれたこと
そういえば、そんな会話したことあったね
今回は、それと同じだなと思ったの
私が「顔は隠してても心は隠してない」ように、
あなたも「記憶は隠れてても心は隠れてない」
だって、スクールアイドルのこと全部忘れちゃっても、
同好会に来てくれて、私たちと仲良くしてくれて、動画も見てくれてた
だから、心は隠れてないと思えたの
それがわかったから、私は顔も心も隠さないで、
「出てきて」ってお願いしながら歌った
出てきてくれて、本当によかった
私たち、また少し深く、繋がれたね
……うん!!
璃奈ちゃーん、おはよう!
おはよう
今日はどこ行く? 前に観たゲームが原作の映画のスピンオフが
やってるからそれ観に行く?
うーん……
今日は、別のとこ行きたい
前、映画を観に行ったときのこと、覚えてる?
うん、その時はお散歩して公園に行ったよね
そう。そのとき、たまには見つめあえる時間を作ろうね、って
約束……した
その約束、あんまり実行できてないから、
映画じゃない遊びがしたい……
……璃奈ちゃん、もしかして
拗ねてる?
甘えてる?
拗ねてる?
拗ねては、ない……
いや……拗ねてる顔してる……
うう……あなたに隠し事ができないの、たまに本当に困る……
甘えてくれてる?
……そうかも
だめ?
ううん、甘えてもらえて嬉しい!
じゃあ、手もつないでほしい……
猫ちゃん……いっぱいいる……!
一度、来てみたかった
あはは、喜んでもらえてよかった。
璃奈ちゃん、顔がとろけちゃいそうだよ
どの子も、とろけちゃうくらいかわいいもん
かわいいなあ……
……あれ? あれれ?
璃奈ちゃんに猫が引き寄せられてる……
はんぺんの匂いがするのかな?
えっと……みなさん、私についてる猫ちゃんの匂いは、
はんぺん、っていう子です
お散歩の達人で、賢くて、勇気がある、ニジガクの人気者です
もし、会うことがあったら、仲良くしてあげてね
あはは、どの子も聞き入ってるね
猫ちゃんは、匂いからいろいろな情報をかぎ取る、っていうから、
はんぺんのこと知ってくれてるとこだと思う。ジッとしてる……
あ、膝の上に……
猫ちゃんが、乗ってくれた……
あ、もう1匹いった
膝があったかい……ふわふわ……
よしよし、いい子だね
璃奈ちゃん、写真撮ってあげる。あとでみんなにも見せよう
……あなたと2ショットじゃ、ダメ? あ、猫ちゃんもいるけど
私、あなたと見つめあえる時間もだけど、
寄り添う時間も……欲しいから
もちろんいいよ! 写真撮ろう~! いくよ~、3,2,1!
見て、すごくいい写真!
(そういえば……
ライブのときに、こんな顔を見せてくれたような気がする……)
うん
ねえ……。あのライブのとき……
最後、璃奈ちゃん笑顔を見せてくれたよね?
え? そうだった……かな
うん、絶対そう見えた。意識してなかった?
……わかんない。あなたのことで、頭がいっぱいだったから
私のことを思ってあんな顔をしてくれたんだとしたら、すごく幸せ!
これからも、もっともっといろんな璃奈ちゃんを見せてね!
……うん!
(栞子ちゃんの動きに合わせて、衣装の袖がひらひらと舞う)
(いつも冷静で穏やかな栞子ちゃんから出てるとは思えない
きっぱりとした意志を感じさせる声)
(目の前に「在る」とわかってる、感じているけど怯んで近づけない、
手を伸ばせないままの私の背中に手を当ててくれてる)
(あたたかく、心強いてのひら)
(「一歩前に踏み出してみれば明日は変わる」
……そう、そうだよね。
私は変わっていかなきゃ。立ち尽くしたままじゃいられない)
(……おぼろげだった輪郭が絵を結ぶ。私が怖かったこと、
嫌だと思ったこと)
(……思い出せてよかった。全然怖くなんてないものだったから)
はい、どうぞ
栞子ちゃん……今いいかな?
もちろんです! どうぞ入ってください
えっと……朝会でのパフォーマンス、すごくよかった
ありがとうございます
少しでもあなたへのエールになっていたら幸せです
うん、すごいエールをもらっちゃった
本当はあの後すぐに言いたかったんだけど、
なんて言ったらいいかわからなくて……
私、全部思い出したよ、栞子ちゃん
え……ええっ!? 本当ですか!?
す、すぐみなさんに報告しないと!!
ちょ、ちょっと待って!
その前に栞子ちゃんに話したいことがあるんだ!
私にですか……?
うん
私のこと、ずっと支えてくれてありがとう。
大丈夫だよ、って背中を押してくれてありがとう
考えてみたら、記憶をなくしてからずっとそうしてもらってたよね
朝会で『決意の光』を歌ってくれたとき、
やっと立ち向かうことができたんだ……
よかったです……
あなたの記憶が戻ったことはもちろんですが、
あなたにこれまでの恩を少しでもお返しできたことが嬉しいです
この曲はあなたが私のすべてを掬い上げてくれたもの。
自分はこんなふうに思っていたんだと気づかせてくれた曲です
その曲であなたの助けになれたことを幸せに思います
それと……もう一つ、とても幸せなことがあるんです
また少し、私の目指すスクールアイドルに近づけたんだな、って!
誰かの背中を押してあげられるスクールアイドルになりたい、って
言ってたもんね。私も押してもらえた
思い切って進んだ先には怖いものなんてなかった、って、
栞子ちゃんは知ってたからあんなに力強く訴えかけてくれたんだね
ふふっ、そうかもしれません
今の私は、自分の目で見ること、
挑戦してみることで得られるものの尊さを知っていますから
前、栞子ちゃんが自分に任せてほしい、って言ってくれたのは
こういうことだったんだね
そうなのですが、
正直こんなにうまくいくとは夢にも思っていなかったんです。
ちょっとしたきっかけになれば、くらいの気持ちで……
きっかけだなんて! すごくダイレクトに刺さったよ!
やっぱり、スクールアイドルの曲にはそういう力があるんだよね……!
私、スクールアイドルがこんなに好きだったことを思い出せて
よかった。私にはスクールアイドル以上に情熱を燃やせるものは
ない、って改めてわかった!
これから先どんなことになっても、
私にはスクールアイドルしかないんだ……
これから先どんなことになっても……?
あっ、ううん、なんでもないんだ。
私が勝手に想像しちゃったことだから
もしかして、それが記憶を失った原因だったりしますか?
……たぶん、そうかなと思う
これも、みんなに話さなきゃいけないよね……
たくさん迷惑かけちゃったし、説明しなきゃ
……私はそうは思いません
心に秘めていたいこともありますから
一番大事なのは、あなたの記憶が戻ったことです。
それだけで十分ですよ!
……栞子ちゃんにも、秘めていたいことってある?
それでいいのかな?
……栞子ちゃんにも、秘めていたいことってある?
ありますよ
そうなんだ!
姉への思いとか……特別で複雑で、
まだ誰にもうまく説明できる気がしません
でも……いつかちゃんと整理できたら、
あなたにも聞いてもらいたいです……
それでいいのかな?
少なくとも私にとっては
いえ、きっと同好会のみなさんも同じように思うはずです!
だって、自分ひとりであなたとの思い出を抱えているのは
苦しいですから……
あなたとのかけがえのない思い出は、あなたと共有していたいんです
栞子ちゃん、話って何?
あの……私、あなたと思い出作りがしたいんです。
この先何があってもぜっっったいに忘れられないような、
印象的な思い出を
あははっ! サバンナみたいな?
サバンナは……まだ印象が薄かったようなので、
もう少し思い切った場所がいいかもと考えています
サバンナ以上となると……エベレストとか南極とか砂漠とか……
あ、アマゾンとか!?
宇宙です
う!? 宇宙……???
はい、宇宙です
今は民間でも受け入れてくれるところがあるそうで、
両親に相談したらなんとかなりそうなんです
ええ!? なんとかなっちゃうの……?
でも、宇宙飛行士さんの訓練とかすごく長くて厳しいって
テレビで見たことあるよ? 私たちみたいな一般人が行けるの?
ご安心ください。
宇宙旅行といっても日帰り旅行のような感じですから
そこまで大仰な訓練は必要ありません
ただそうですね……人間ドックのようなメディカルチェック、
重力に耐える訓練、大きな重力から無重力に変わるときの衝撃に
慣れる訓練、無重力下での体勢の維持と基本的な座学だけです
あっ、訓練の他には各種保険への加入と飛行証明書などの発行も
必要ですね
そ、そうなんだ……
ちょっと大変な海外旅行、って感じです!
(栞子ちゃんって……薫子先生の進化系だったんだな……)
ここが……宇宙旅行への出発点、スペース・ポート……!
いよいよ宇宙旅行ですね!
ここまできちゃったよ……訓練も乗り切れちゃった……
やれるもんだ……
あなたとなら、どんなことでもできる気がします!
私も栞子ちゃんとならなんでもできちゃいそう。
ここまでこれちゃったし
ふふっ、嬉しいです
スクールアイドルも大冒険も楽しくてたまりません
ふたりだけの忘れられない思い出……作りましょうね。
さあ、出発です!
うわあ……!!
あ、見てください! 地球ですよ!
地球ってあんなに蒼いんですね!
ネットで見る写真よりずっときれい……
キラキラのキャンディみたいです!
あんなに大きな場所で、私たちって出逢えたんですね……
ものすごい確率です。それだけで運命を感じます
うん。こんなに広い世界で、同じ時代の同じ場所にいて、
同じものを好きになれる確率って想像もつかないくらい
低いはずだもんね
ええ、限りなくゼロに近い、
奇跡のような確率であなたに出逢えたんです
だから、あなたは私にとってこんなにも特別なんですね
私にとっても栞子ちゃんは特別だよ
あなたがいてくれたから、今の私がいます
これからもずっとずっと、あなたのそばにいさせてください……
(『I'm still...』の始まりは静かな水の底。
水の底からゆらゆらと揺れる陽の光を眺めている)
(煌めく日差しに焦がれて浮かび上がり、
水の中では曖昧だった自分の輪郭を感じとる)
(立ち上がり、歩き出す……
それに呼応するように明るく力強くなるミアちゃんの歌声)
(今、ミアちゃんは過去に向き合ってる。そして私も……)
(なんてつまらないことで過去を捨てようとしてたんだろう)
(「自分なんて必要ない」なんて恐怖は、
ひとりで抱えなくたってよかった。みんなに頼ればよかった)
(こんなに勇気づけてくれる人がいるんだから……)
はあ、はあ……
聞こえる、この歓声……すごくいいパフォーマンスができたね
ベイビーちゃんの伴奏も―
ミアちゃん!!
え!? ちょっ……なに? どうしたんだよ!?
全部思い出したから
えっ!
私の一部を取り戻してくれてありがとう! 忘れちゃってごめん!
ミアちゃんが過去に向き合ってる姿、すごく頼もしかったよ。
心強かった。ミアちゃんがそういう姿を見せてくれたから
私も思い出せたんだと思う
本当にありがとう!! でもやっぱりごめんね~~~!!
ちょっとちょっと、落ち着きなよ!
ありがとうとごめんってそればっかり!
それにこんなステージ袖で泣いてたら……
あー、もう、こっち来て!
イベント抜け出させちゃってごめん……
もう謝らなくていいって。一生分くらい聞いてる
う……わかった。でもなんでカラオケルームなの?
だって……泣き顔見られるのって恥ずかしいだろ?
やっぱり大人だ……ミアちゃん……
当たり前だろ
改めてだけど、本当に全部思い出したんだね?
うん
忘れたきっかけも……?
たぶんアレだろうな、って心当たりはある
でもそれは言わない
ええっ!? なんでさ!? きっかけがわかれば
これから先、ボクたちも気をつけることができるだろ!?
ううん、誰かに気をつけてもらうようなことじゃないんだ。
私の心の弱さのせいだから
でもさ……
ミアちゃんの歌を聞いてもう絶対大丈夫だ、って思えたよ
いいことも悪いことも、経験してきたこと全部が私の誇り。
それが目の前の困難を乗り越える力になる。
ミアちゃんが言ってたことがよくわかった
だから私もそういう風に生きていくよ
もう絶対にこんなことはないから安心して
……キミって結局そうだ。ひとりで納得して答えを出して……
ボクが年下だから頼ってくれないの!?
え!?
そりゃわかるよ! いくら大人ぶってもボクはまだ子供だもんね!
だけど対等でいさせてよ!
キミがボクを思ってくれるのと同じくらいボクも思ってる!
ボクがキミに文句言うのと同じくらい
キミも言ってくれなきゃいやだ!!
うわああああん!
ミ、ミアちゃん! ごめん! ごめんね~~~!!
ぐすっ……
あの……約束するね。私もミアちゃんと同じくらい文句言う……
……ヤダ。やっぱりボクよりは少なくして
えええ……
だってベイビーちゃんに言いたいことがあるのは
いつだってボクのほうなんだから
これから、覚悟してよ
きゃ~~~~ん! これが100万ドルの夜景なんですね~~!
今時まだそんな言い方する人いたんだ
むっ! かすみんのこと年寄り扱いしないで!
実際年上だろ
でもミア子はこの国では大学生でしょ!
かすみんまだ高校1年生だもん!!
あらあら……いつもと真逆の言い争いねえ
微笑ましいねえ
エマっちだけに?
あはははは! ほほえましいエマさん!?
あははっ、愛ちゃん最高だよ~!
ベイビーちゃんも黙って! ちゃんとこの景色を胸に刻んでよね!
はい……
ほら、眺めてみて
明日はここで過ごしてる人みんなに
ボクたちのパフォーマンスを見せるんだよ
なんだかここまで来てもまだ実感が湧きませんね。
同好会がこんなところに招待されたなんて……
「こんなところ」までスクールアイドルの魅力が伝わっている、って
ことですよ!
そうよ! 空港でも出迎えてくれたファンの子たちがいたじゃない
あれは嬉しかったよね!
飛行機から降りてねむねむさんだった彼方ちゃんも
おめめぱっちりになったもんなあ~
私たちがやってきたことを、海の向こうのみなさんも楽しんでくれて
いるなんてすごいことですよ!
明日も、楽しんでもらおうね。璃奈ちゃんボード「にっこりん」
では、明日に備えてホテルに戻りましょうか?
もうちょっとだけいいかな? この景色を刻みたい
ミアちゃんが育ったこの街を……
(……なんか眠れないな。気持ちが昂っちゃってる)
(お水でも飲もうかな……)
眠れないの?
あ、ごめん、起こしちゃった?
いや……
なんか、ちょっと緊張しちゃって……
明日は伴奏もさせてもらうからちゃんと寝なきゃなんだけどね
ミアちゃんも緊張してる?
ミアちゃんは落ち着いてるね
ミアちゃんも緊張してる?
そんなのしてないよ
……ってのは嘘
あはは、よかった、同じだ!
それって喜ぶところ?
だって、この不安を乗り越えるのがひとりじゃないっていうだけで
心強いもん
ここを乗り越えればまた……
またひとつ自分を誇れる
うん
ふたりで成長していくってのも悪くないか
明日、楽しもうね!
もちろんさ!
ミアちゃんは落ち着いてるね
そう見える?
……あれ、緊張してる顔?
どうだろうね
ベイビーちゃんの緊張が解けるまで話し相手になってあげてもいいよ
ほんと? 助かる!
ミアちゃんの故郷でライブができることになってすごく嬉しいんだ。
でも、ミアちゃんはニジガクのミアちゃんだから私たちのものだよ、
っていう気持ちもあってなんか複雑なんだよね……
なにそれ……
こういうのって独占欲っていうのかな
……キミがそう思うならそうなんじゃない?
ライブを明日に備えて思うことじゃないな、って気もするんだけど、
なんか考えちゃって……
ほんとだよ、今考えることじゃないよソレ
じゃあ、ライブが終わったら一緒に考えてもらっていい?
ええ!?
……なんか話したら緊張が解けたかも。
眠くなってきちゃった……ふああ
ちょっと待ってよ! ベイビーちゃん寝るな!
すう、すう……
なんて気持ちにしてくれるんだよ……もう……
いい天気ー! ライブ日和だね!
そうだね
ミアちゃんのご家族も来てくれるかな?
うん、駆けつける、って言ってたよ
ボク、ここで歌えるのが嬉しい。
キミやみんなと一緒だからできたことだ
あははっ、まだ何も始まってないよ! ほら、行こう!
うん!
Hey everyone, thanks for coming! I'm Mia Taylor, a school idol.(みんな、よく来てくれたね! ボクはスクールアイドルのミア・テイラーだ)
I'm thrilled to perform in front of you all with my awesome friends. Let's have a great time together today!(頼もしい友人と一緒に、みんなの前でパフォーマンスすることができて嬉しいよ。今日は一緒に楽しもう!)
It'll be an amazing day! I promise.(最高の1日にすることを約束するよ!)
いくよ、ベイビーちゃん。ボクたちの曲を奏でよう!
すべてをランジュに委ねちゃいなさい
支配してあげるわ!!
うわあっ!?
(今の何!? 突風が吹いたみたいだった!
これがランジュちゃんのパフォーマンス!?)
(射抜くような視線、身動きができなくなるほどの衝撃)
(新しい、未知なる世界への希求と羨望)
(「私が来てあげたんだから遊んでちょうだい」っておねだりされてる
みたいだ……)
(…………)
(……そう、私はそういう幼いわがままがかわいくて仕方なかった)
(ほんの些細なことで大仰に騒ぐ姿がいじらしくて、かわいくて、
何でも叶えてあげたかった)
(ランジュちゃんが真っ直ぐ前を向いて突き進んでいくところを
見たくて、たまに横を向いて私に笑いかけてくれるのが嬉しくて)
(そばにいたいと思っていたのは、私だったのに……)
観てた!? 最高のランジュだったでしょ!?
アナタの記憶は戻ったのかしら? 戻ったわよね!?
…………
やっぱりね!
え、私、何も言ってないけど……
ランジュをみくびらないでちょうだい
その目を見ればわかるの
アナタしか持っていない「特別な個性」が戻ってきたんだもの!
そんなのわかるの!?
さすがランジュちゃんだね!
そんなのわかるの!?
わかるに決まってるでしょ?
ランジュとアナタがどれほどの時間を過ごしたと思っているの?
……いや、まだそこまで長くはなかったかな、って……
……確かにそうだったわね
不思議だわ。
ランジュにはもうずっと長い時間を過ごした大切な人に思えたの
でも間違いだったから訂正するわね
ま、待って待って! 訂正しなくて大丈夫!
どうせこれから長い時間を過ごすことになるんだから……
そうでしょ?
ふふっ、わかってるわね、アナタ! その通りよ!
さすがランジュちゃんだね!
当然ね。ランジュは成長したんだから!
アナタと出会ってからのランジュの人生は予想もできないものだったわ
あんなにうまくいかないことなんてなかったんだもの
だけど、アナタと出会ってからのほうがランジュは生きてる、って
感じるの
アナタがその目でランジュを見てくれるなら、
もっともっと成長できる
だからもう一度言うわね。ランジュのそばから離れちゃダメよ!
ねえ、本当によかったの?
え、何が?
だって、ボランティアに付き合ってくれとは頼んでないわ
あはは、そうだね。でも私も興味出ちゃったから
まだランジュちゃんみたいに巣箱は作れないけど、はんぺんの毛を
集めたり巣箱が下から見えないように枝でガードを作るとか、
そういうことならできるでしょ?
……ランジュがお願いしてないことも、してくれるのね
え、何か言った?
な、何でもないわ!
それより、帰ったらランジュが巣箱の作り方を教えてあげるわね
最初は難しいけど、慣れれば簡単よ!
最高に居心地のいい巣箱を作りましょうね!
いたっ! うう、巣箱造りって大変だね……
最初はランジュもたくさん絆創膏を貼ったわ
アナタにも貼ってあげる。手を出しなさい
……よし、これでいいわ
この絆創膏は、アナタがチャレンジしたことを表す勲章よ。
誇りなさい
ランジュちゃんいいこと言うなあ。私、やる気出た!
ふふっ、だってランジュは大部長だもの!
部長の士気を高めることだって大事な仕事よ!
……あれ? ねえランジュちゃん、そこに置いてあるノートって、
みんなとやりたいことが書いてあるノート?
ええ、そうよ
前の最新版ノートに書いてあることも叶っちゃったから、
これは最新改訂版よ
へえ……見てもいいかな?
もちろんよ! はい!
……なになに、「みんなでエベレスト登頂」「みんなで死海に遊びに行く」「みんなでオーストラリアでホーストレッキング 」
あはは、お出かけ先がいっぱいだね
そうなの。次はみんなでもっと遠くにお出かけがしたくて……
あなたも頼んでくれない?
ランジュがお金を出すからみんなでピラミッドを見に行かない!?
う、うーん……それは……
ほら、それぞれのご家庭の事情もあるだろうし……
もうちょっと先の目標にしてみたら?
そうなの? 仕方ないわね……
でも先の楽しみができた、ってことよね!
ふふっ、ランジュ、みんなと一緒にどこまでも行きたいの!
みなさん!! 大変ですーーー!!
なに、騒々しいなあ
大変なお誘いが来てしまったんです……! なんと……!
海外のフェスへの参加依頼です!!!
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
ええええ!?
海外ってどこ!?
ここに詳しくあります、見てください!
おおお……
ついに海外から……
スクールアイドルの魅力が世界に広まったということですね!
これはもう行くしかないですよねっ!
学んできた語学を試す機会でもありますよね……!
もしものときのために、通訳アプリ、作ろうかな
そんなのいらないって! かすみんのボディランゲージで
全部解決できるから! 大船に乗ったつもりでいなって!
大きくても泥舟じゃあね
泥じゃないっ!!
ど、どうする? 本当に行くの……?
これは……またとないチャンスだよね……
そうだよね! わたし出たい!
きゃあっ! 決まりね! ランジュたちの歌を届けましょう!
(……大丈夫。私は……私がみんなのそばにいたいんだから!)
ふえーん、ボディランゲージは万国共通なはずなのにい~!
だから「これください」くらいは練習しようね、って言ったでしょ!
りな子……翻訳アプリは……?
いらないって、かすみちゃんが言ったから……
あーん! ミア子、かすみんのそばから離れないでえ!
ちょっ……!? くっつくなよ、暑いんだから!
(ついに来ちゃった……こんなところまで……)
(でもみんな楽しそう。こんな立派なフェスに出られるだもん、
楽しみで仕方ないよね)
(それに、これはランジュちゃんのみんなとやりたいことノートに
あったことにピッタリ当てはまってる)
(「みんなと一緒にどこまでも行きたい」こんなに早く叶うなんてよかった!!)
ねえ、ちょっといい?
あ、どうしたの? 何か足りないものとかある?
そうじゃないの
ちょっと、手を繋いでもいい?
手? いいけど……
まさか、ランジュのやりたいことがこんなに早く叶うなんて
思わなかったわ。みんなでここに立てるなんて夢みたいよ
願いが叶ってよかったね
だけど、アナタ、何かヘンなこと考えてるわね?
え? そんなことないよ
目を見ればわかるのよ
きっと、昔のランジュもそんな目をしていたのね
アタシはね、自分から離れていくものは、
自分に必要ないものなんだ、って思ってたの
そう思う方が楽だし、強くいられるから
だけど同好会に入ることができて、そうは思えなくなった
諦められなくなった
もがくことでもっと強くなれるとわかった
だから、アナタももがきなさい。もがいて強くなるの
アナタの不安がなんなのか、ランジュにはわからないけど、
この手を絶対に離さない。一緒にもがくわ
……わかったわね!
……うん! ランジュちゃん……ありがとう!
私も、何があっても諦めない。もがいて強くなる
ランジュちゃんの隣に立つのにふさわしい自分でいる!
遊園地リベンジですーーー!
今日こそはボクたちの最高のプランをご覧に入れるよ
アーリーチケットその他もろもろ、準備オッケーだからね~
みんなと一緒なら並んでる時間も全然苦じゃないけど?
それは愛さんたちもみんな同じだけどさ、やっぱ前回ミスったし、
今度こそーって気持ちがある!
愛さん、負けず嫌い
そ! 愛さん結構そういうとこある!
愛たちが練りに練った、っていうコース、ランジュは楽しみよ!
ジェットコースターに乗りたいな~!
私はお化け屋敷でお化け役の人を観察したいです!
お任せください! では、出発でーす!
えーと……パレード待ちはこの辺りでできるみたい
シートを持ってきているので敷きますね
本当に準備完璧だね
ふふふ~、言った通りだったでしょ?
本当ですね。スムーズに回れてしまってびっくりです。
ジェットコースターなんて2回も乗れちゃいましたし
お城のミステリーツアーも面白かったわ
ミラーハウスはちょっとドキドキしたね
メリーゴーランドは帰る前にもう1回乗りたいです~!
はむはむ……
エマ、それおいしい?
うん! とってもおいしいよ~
ミルクティ味のチュロスなら何本でも食べられちゃう!
クリームがいっぱい入ったふわふわのカステラもおいしかったし、
分厚いベーコンが入ったハンバーガーも満足度高かったな
もぐもぐ……抹茶ミルク味のポップコーンも、おいしい
あっ、あそこにキャラクターモチーフのアイスが売ってますよ!
パレード待ちしてる間に買ってきちゃいましょうか
くっくっく……アトラクションだけじゃなくパークグルメも
制覇の勢いですねえ! やっぱりこの計画は完璧ですー!
あーあ、先輩とのデートのときにもこういう感じで案内したかったな
あの日はあの日で楽しかったよ。
買い物しながらみんなの好みがわかっていって、
記憶がない私にとってはすごく新鮮な時間だったな
……そういえば、私がどうして記憶をなくしちゃったか、
みんながいるところで説明したことなかったね
別にしなくてもいいよ。思い出してくれたんだし……
ううん、やっぱり言っておかなきゃ
私ね、みんながテレビに出てるのを見て、
ああ遠くに行っちゃったな……って思っちゃったんだ
あんなすごい場所に立てるようになったみんなには、
私にできることはもうなさそうだな、って……
これは私が―
なんてこと言うんですか! おばかさんですか、先輩は!!
えっ!? いや、だから……
先輩が必要ないだなんて、私たちにはありえないことです!
そうだよ! 記憶がなかったときのこと思い返してみてよ。
愛さんたち、君から離れるなんてことできなかったでしょ!?
確かに……いつでも部室に来ていいよ、って……
というか、私たち、あなたのこと連れて行っちゃってた
朝練にも連れて行っちゃってたよね、私……
本当ならもっと寝ていてもいいのにいつも通りに起こして……
うう、ごめんね!
そんなこと気にしないでよ! 私は楽しかったし!
キミのその気持ちを、私たちは利用しちゃってたのよね
お姉さんなのに我慢できなくって……
だって、私たちにはもう、あなたがいない同好会は考えられないんです
そうよ。いつも隣でランジュのことを褒めてよ!
かすみんのこともかわいい、って言ってください!
悔しいけど、ボクは作曲家としてもベイビーちゃんから学ぶことは
ある。スクールアイドルとしても、作曲家としてもキミが必要なんだ
あなたが感じることは止められません。
これから先、またそう感じるときがくるかもしれません
ですが、私たちはいつでもあなたの隣にいます
わたしたちはね、あなたがいてくれたから同好会、っていう
仲間になれたんだよ。この場所を作って、
わたしたちを包み込んでくれたのはあなた
あなたっていう存在がないと、
わたしたちはわたしたちでいられないんだよ
私たちがしてきたことは、キミがいてこそ成し遂げられたこと
ばかりよ。こんな経験は他にないわ
君と一緒だから……一緒なら、愛さんたちは無敵なんだよ。
なんでもできる、って心から思える
一緒に進んでいくのよ、これから、どこまでも!
……うん! ありがとう、みんな!
またみんなに勇気づけられちゃったな……
これでもう秘密も不安も無し。これからもよろしくね!!
……あ、パレード始まるみたいだよ!
お疲れ様……あれ、何してるの? 璃奈ちゃんボード「はてな」
昨日みんなで行った遊園地のこと書いてるんだ
えっ、でもそれって……
うん。これ、練習ノートだけど……部活のことだけじゃなくて、
みんなと過ごした時間のことは全部書いておこうかなと思って
なんか、改めて思ったんだよね。みんなと過ごす日々って、
いつか大人になっても絶対に忘れたくない、
どんな些細なことでも覚えていたい、って
ふとしたときに、そういえばこんなことがあったなとか、
こんなことしたなとか、ずっと思い出せるように記憶に刻みたい
ほら、勉強でもそうでしょ? 字を書いたほうが記憶に残る!
だから、みんなとの毎日は全部ここに残したいんだ……
どれどれ、ちょっと見せて
えーと……「彼方さんが飲みたがってたホットクランベリージュースが
売り切れだったから、次は飲みたい」?
備忘録……?
備忘録も大事だよ~
彼方ちゃんの言ったこと覚えててくれてうれし~! ありがとね~!
かすみんのことはなんて書いてあります!?
「かすみちゃんはメリーゴーランドの白馬に乗りたがってたけど
ロバとゾウにしか乗れなかったから、次は白馬を取ってあげたい」
ですって
あーん先輩すきすきっ! 一緒に白馬乗ってくださーい!
ふふふっ、この調子だとどんどん練習ノートが埋まっちゃうね。
また新しいのをプレゼントしなきゃ!
●月■日 生徒会のお手伝いをした
栞子ちゃん、こっちの書類、仕分け終わったよ
私のほうも
おふたりとも、いつもありがとうございます。助かります
あとは私のほうでやりますので、もう帰っていただいて大丈夫ですよ
でもこれ、ファイルに閉じて各部活に配りに行くやつでしょ?
まだまだやることあるよね?
そうですね。でもこれは私のやるべきことですから
……私にとっても、やるべきことだよ
え?
お友達のお手伝いはやるべきことでしょ?
あの……?
栞子ちゃんのお仕事が早く終われば、一緒に部活もできるし、
そのあと遊びにも行けるもん
また手芸屋さんに付き合ってほしいし、
この子も一緒に3人で何か作れたらいいな、って思ってるし……
栞子ちゃんの時間、私にもちょうだい……
わ、私の時間など好きにしてくださってかまいません!
じゃあ、できるとこまで手伝わせてね、栞子ちゃん!
で、では……お言葉に甘えます
ふふふっ、もっと甘えてくれると嬉しいな
●月☆日 愛ちゃんの愛バース作戦会議!
ふむふむ……
愛ちゃん、何を読んでるの?
ん? メタバースの本!
ああ、いつかニジガクみたいな世界を作りたい、って言ってたもんね
そうそう、だからお勉強中!
とはいっても学べば学ぶほど奥が深いんだよね~
愛さん、新しい本、借りてきたよ
おおっ、サンキュー、りなりー!
璃奈ちゃんが持ってる本も……メタバース?
うん
愛バースはりなりーの力も絶対必要なのです!
私も、手伝いたい。璃奈ちゃんボード「むんっ」
いつでも好きなときに行けて、行ったら大好きなお友達がいて、
本を読んだりお話をしたり、ゲームをしたり、ライブをしたり
やりたいことができる、大好きな場所
愛さんと、実現させるんだ
頑張るぞー!
おー!
●月△日 仲良しだからこその喧嘩?
果林さん、こんにちはー!
来たよ~!
いらっしゃい、ふたりとも。入ってちょうだい
おじゃましまーす
おじゃましまーす
お話の前に、先に果林ちゃんのお部屋の片づけを……あれ?
思ったよりきれいだね……?
まあね。ミアやランジュにしっかりしなさい、って言っている以上、
私がだらしないままいられないから
あ……そう、だね
寮生活って自分でなんでもやらなきゃいけないから大変だと思うけど、
みんなちゃんとしててすごいね
ランジュちゃんも掃除も洗濯もできるようになった、って言ってたし、
ふたりがいいお手本なんだろうね
そうならなきゃね
……エマ? どうしたの?
なんでもない……
な、なんでもない、って顔じゃないでしょ!?
なんでもないの!
言ってくれなきゃわからないわ
言いたくないもん
そんなこと言わないで……なんでも話そうって約束したでしょ?
喧嘩になっても私たちならちゃんと仲直りできるんだし、話してよ
……こんなことで凹んでる自分がイヤなの
エマさん、ちゃんと話したほうがいいよ
……ふたりとも、呆れない?
呆れるわけないでしょ
うん
あのね……
わたし、果林ちゃんのお世話をするのが好きなの。やってると、
果林ちゃんはわたしを必要としてくれてると思って嬉しいの
なにかしてあげたくてたまらないのに、
わたしがしてあげられることが無くなっちゃうのはイヤ
でもでも、果林ちゃんにとっては自立できるのが一番なのは
わかってて……
エマ!!! ごめんなさい!!
この子が来るから見栄を張ってたわ!!
え!?
引き出しのなか……ぐちゃぐちゃ……
とりあえず全部見えないところに押し込んじゃえ、って……
私全然見本になれないのよ~!!
……せっかくの素敵なお洋服がしわしわになっちゃってるよ。
ふふふっ、洗いなおして、きれいに畳もうね
果林ちゃんが苦手なことは、わたしにサポートさせてほしいの。
その代わり、わたしが苦手なことはサポートして
できることあるかしら……?
あるよ! そうだよね?
うん!
●月○日 得意科目ができますように!
う~~~ん……
あれ、かすみちゃん宿題してるの? えらいね
あ、先輩!
そうなんです、今日は部活の前にやっちゃおうかなと思って
だけど……うーん……しず子が何て言ってたか思い出せないんです……
しずくちゃん? ああ、古典のお話を教えてもらってたの?
今日は古典じゃないんですよ
古典は、しず子が今っぽく説明してくれておもしろいから
ちょっとわかるようになってきたんですよね
これって古典がおもしろいんじゃなくて、しず子の説明が
おもしろいのかも、って思って、物理も説明してもらったんです
やっぱり話はおもしろくって、
なるほどな~って思ったはずなんですけど……
公式の暗記まではできなかったみたいです~ふえ~ん!
でもチャレンジしてるのはえらいよ!
果林先輩は得意科目あるって聞いてかすみん焦ってますからね!
かすみんもなにか得意科目作らなきゃです!
あーあ、かわいくおしゃれする授業があれば優等生なのにな~!
●月○日 しずくちゃんは面倒見がいい!
あ、先輩、かすみさん見ませんでしたか?
かすみちゃん? 部室で宿題してたよ
しずくちゃん、かすみちゃんにいろいろ教えてあげてるんだね
ふふっ、最近のかすみさん、
ちょっとやる気が出てきたみたいなんですよね
まあ、かすみさんのことなので一時的なブームかもしれませんが、
こういう機会は逃しちゃダメだね、って
栞子さんや璃奈さんとも話してみんなで教えてるんです
かすみさんって素直だから、納得できれば覚えてくれるんですよね
あははっ、勉強にも素直だなんてかすみちゃんらしいね
ふふっ、そうですよね
今週末勉強会をするので、先輩も教えに来てもらえませんか?
私!? 教えられるほど成績良くないよ!?
先輩が来てくれればみんなやる気が出ますから
そう? じゃあ行こうかな!
●月※日 お休み前の朗読動画の新作求む!
ねえねえ、しずくちゃん
なんですか、彼方さん?
もう、お休み前の朗読の動画は作らないの?
あ、それ私も思ってた!
エマさんの子守唄と同じくらい良く眠れるんだよね
そうそう、そうなんだよ~
彼方ちゃん、しずくちゃんの優しい声で眠りにつきたいよ~
そ、そんなに褒めてもらえるとは……なんか照れます
お芝居と朗読はまたちょっと違うんですが、
私の朗読でよければまた作ります!
え、ほんと!? やった~!
じゃあじゃあ、彼方ちゃん読んで欲しいのがあるんだよ~
双子のお星様のお話!
聞いたことがないお話です……海外の昔話ですか?
あ、それってもしかして……
あなたにはわかっちゃった?
そりゃわかるよ! 彼方さんが作ったお話でしょ?
ええっ、彼方さんが!?
そうなの。前、不眠症の子から相談をもらってね、
眠れても眠れなくても楽しめるような
お話を作ろうと思って考えてみたんだ~
それでしたら、彼方さんが読んだほうがいいのでは……?
ん~、でも彼方ちゃん、しずくちゃんに読んでもらいたいんだよね
今からちょっと話すから、気に入ったら読んでもらえない!?
お願い!
わ、わかりました……
じゃあ話すね~
これは双子のお星様のお話です。
彼方ちゃんとあなたは、とっても仲良しの双子星
ふたりでおしゃべりしたり、歌ったり、
ときには流れ星になって競争したり、毎日楽しく過ごしています
お月様がもう寝なさい、と言っても、双子星は眠くありません。
だってふたりでいると楽しくて、ず~っと起きていたいから
お月様に隠れて、おしゃべりを続けます。明日は何して遊ぼうか、
どこまで冒険しようか。明日が来るのが待ちきれません
明日が待ちきれないから、お日様を迎えにいっちゃおう。
双子星は駆け出しました。お日様のいるところまで、あと少し……
だけどいつの間にか、双子星は夢の中。
夢の中でも双子星は一緒です。
お月様がやさしくふたりを照らしていました
―っていうお話なんだ。あ、出だしの「彼方ちゃんとあなたは」の
部分は「私とあなたは」に変えてもらって……
彼方さん、彼方さん……
え?
しずくちゃん、寝ちゃったみたい
すう……すう……
あらら
この相談はまた改めてだね。おやすみ、しずくちゃん……
●月◇日 ミアちゃん、頑張れ!
ねえ、璃奈の好きな食べものってなに?
ハンバーガー
ハンバーガー以外で
じゃあ……愛さんのおばあちゃんが作るぬか漬けかな
うっ……、それも除外で
難しい……。明日まで考えてもいい?
わかった。明日教えて
うん、じゃあまた明日ね。バイバイ
Bye!
…………ずっと見てるけど、なに?
あ、ごめんね! 珍しいやりとりしてるなと思って
どうしてそんなに璃奈ちゃんの好物が気になるの?
ボクが作ってあげたいからだよ
え!? ミアちゃんが!?
そう。前、璃奈とベイビーちゃんがボクのために
特別なハンバーガーを作ってくれたことがあったろ?
すごく嬉しかったから、璃奈にもお返ししたいんだ
璃奈のあとなら、ベイビーちゃんの好きなもの作ってあげてもいいよ
あはは、ありがとう! 楽しみにしとく!
ついでに、璃奈ちゃんになにか作ってあげるときも
手伝わせてほしいな。私も璃奈ちゃんの好きなもの気になるし
……仕方ないな。手伝わせてあげるよ
●月▼日 ランジュちゃんは日々成長している!
ねえ、どうしたらランジュは栞子を困らせないようになれる?
え!? 別に困らせてはないんじゃない!?
いいえ、困らせてるわ。だって栞子はランジュが言ったことが変だと
直してくれたり軌道修正してくれたりするもの
そうでしょ?
うーん……そういうこともあるかな……
ランジュはそういう部分も直していきたいのよ。
どうしたら栞子に迷惑をかけないようになれるかしらね……
私は、ランジュちゃんは今のままでいいと思うけどな
多分、栞子ちゃんもそう思ってると思うよ。ね、栞子ちゃん?
隠れてないで出てきなよ
あ、はい……
アイヤー!? 栞子いたの!?
部活が始まるのでおふたりを呼びに来たんですが……
栞子ちゃんからも言ってあげなよ
……ランジュ、私は迷惑だなんて思っていません。
子供の頃からの友達と今を一緒に過ごせて、
毎日嬉しいと思っているんです
私は、まっすぐで隠しごとの下手なランジュが好きです。
そのままのあなたでいてください
栞子ーーー!! わかったわ!
ランジュはランジュのまま栞子とずっといるわね!!
栞子もアナタもランジュのそばにいるのよ!
うん!
はい!
●月□日 ライバルはお互いを高め合う存在!
ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー
はい、ここまで
ふたりとも、なんかまた一段とダンスに磨きがかかったね
ありがとうございます! 果林さんと居残り練習をした成果ですね!
まったく……せつ菜ったら私をひとりで居残りさせてくれないんだから
だって……果林さんには離されたくないですもん
それはこっちのセリフよ、せつ菜
あははっ、ふたりとも負けず嫌いなんだね
そうね。自分のそういうところ、せつ菜にはいくらぶつけても
同じ熱さで返ってくるから安心できるわ
私も同じです!
みんなと切磋琢磨できる時間は無駄にしたくありません!
ということで、今日もやっちゃいますか! 居残り練習!
望むところよ
●月★日 お裾分けは幸せ2倍!
うわあ、かわいいパフェだね~!
ですよねっ、ですよねっ! 期間限定のウサギさんパフェなんです~!
食べるのがもったいないね~
ほんとだね。でもアイスが溶けちゃうから……いただきます!
あむ……んん~、おいしい!
いろんなフルーツが乗っててどれから食べようか迷っちゃうな
歩夢先輩、この中のフルーツだと何が好きですか?
全部好きだけど……桃かな?
じゃあ、かすみんの桃あげます! はい、どーぞ!
ええっ!? い、いいよいいよ、かすみちゃんが食べて!
歩夢先輩が食べてください
だって歩夢先輩、いちごのパフェ食べるとき
いつもかすみんにひとついちごくれるじゃないですか。
いつかちゃんとお礼したいな、って思ってたんです
そうなの? じゃあ、ありがたくいただいちゃうよ?
どうぞ!
はむっ……んん~、幸せ……
えへへ……かすみんも幸せです!
(今日もいい1日だったな……。おいしそうにパフェを食べる歩夢ちゃんとかすみちゃんを見てたらすごく幸せな気持ちになっちゃった)
(みんなの隣にいると、毎日をアルバムにしまいたくなる)
(こんなに素敵なもの、こんなに大切なもの、
どうして一瞬でも手放してもいいなんて思っちゃったんだろう)
(もう絶対にそんなことしたくない……ううん、しないしできない)
(私はみんなにそう誓うよ)
……あ、この気持ち、曲にしてみようかな
みんなと私の誓いの曲……
なななっ、なにっ、あの曲ーーーーーっ!?!?
あはははっ、愛ちゃん、みんなと同じ!
え? 同じ? 何が?
反応よ
ベイビーちゃんの新曲を聞いたんだろ?
そ、そう! ヤバくない!?
めっちゃヤバい。璃奈ちゃんボード「キラキラ」
今朝ここに飛び込んでくる人みーんな同じ反応なんですよ
かすみさんもすごい勢いでしたよね
そりゃそうですよ!
あんなあんな……なんていうか……だってあれは……!!
永遠の約束の曲、だよね
私たち、誓い合っちゃったわね
ランジュはもう夢見心地だわ
みんな、ちょっとそれは大袈裟かも……
全然大袈裟じゃないよお!
無意識であんな直接的な曲を作ったというなら、
ちゃんと自覚してほしいです!
自覚って?
えっ、ここでそんな鈍いコトある!?
今はこれでいいんですよ、愛さん。この曲は先輩からのメッセージです。そこに気持ちを乗せてお返しすればわかってもらえます
それもそっか!
じゃあ、早速お返しさせてほしいよね!
いいわね
ランジュはいつでも準備OKラ!
ええ!? いいの!?
もちろんです! あなたには早く気持ちを伝えたいんですから!
大好きなあなた……
私たちの心をいっぱいにしてくれるあなたに向けて歌うよ!!
……!!!
先輩? せんぱーい!
固まっちゃってるみたいだね。おーい、ベイビーちゃん、大丈夫?
だい……じょうぶでは、ないかも。なんかすごく……
私の想像なんかよりすごいものを受け取っちゃって……
言葉が出ないっていうか……
私、この曲は「みんなと私の誓いの曲」と思って作ったんだ。
もう絶対にみんなとの時間を手放したりしないように、
私は誓うんだ、っていう曲
そういうつもりだったんだけど、なんだかこれは……
先輩、気がついてくれてましたか? そうです!
これはかすみんたちと先輩の、いわゆる「そういう意味」での……
きゃー! これ以上は恥ずかしくて言えませんっ!!
そ、そういう意味での……だね……
わたしたちの気持ちは決まってるよ。あなたはどう?
うん、私も同じ
これからもずっと、みんなとの未来を追い続けたい
どんなことがあっても乗り越えていける、って、今なら心から誓える
私たちも誓うよ。これからもずっとずっと、私たちとあなたは一緒!
どこにいても、何があってもこの誓いを忘れないよ!
(歌の1音1音、振り付けのひとつひとつ、投げかけてくれる視線、
差し出してくれる手のひら、込められた想い)
(あの日、秋葉原の街頭ビジョンで見たあのライブと同じくらいの
情熱に包み込まれる)
(一瞬で虜になるこの感覚)
(どうして忘れることができたんだろう。私は全力で
スクールアイドルを応援したい、って思ってたのに……)
(自分なんてもう必要ないんじゃないか、なんて、
どうして思えたんだろう?)
(私は受け入れられてる。それだけでいい。
受け入れられているのなら、彼女を応援していいんだから)
(応援していられることが、私には一番大事なことなんだから……)
えーと……この度は、大変ご迷惑をおかけしまして……
その……ほんっっっとごめんなさい!!!!
あはははっ、いーっていーって!
ほら、顔あげてよ~顔が膝とごっつんこしてるよ~!
いや~でも、1ヶ月も心配させっぱなしでみんなの時間を
無駄にしちゃったし……
無駄? どうして? 全然無駄なんかじゃなかったわよね?
そうね、おどおどしてるキミも……かわいかったわよ♥
うっ……
あー、もう! 果林先輩、いきなりユーワクしないでくださいっ!
先輩っ、ぜーんぜん気にしなくて大丈夫ですからね! 記憶がなくても
先輩はかすみんたちのこといっぱいサポートしてくれましたもん!
ただし……
かすみんのことあんまり「かわいい」って言ってくれてはいなかったので、1ヶ月分言って欲しいです……
い、いっぱい言うね!
あの、記憶を失ってしまった原因というのはわかったのでしょうか
も、もちろん、言いたくなければ言わなくて大丈夫です!
ただ、今後私たちが何に気をつけたらいいのか知りたくて……
あ、それは何にも気をつけてもらわなくて大丈夫!
みんなはずっとそのままでいて!
……それでいいのですか?
うん! 私、みんなを応援するのが好きだし、ずーっと応援したいと
思ってる。だけどそれができなくなったら……って考えちゃったんだ
でもそれって全然不安に思うようなことじゃないんだよね。
どんな私でもみんなは受け入れてくれて、同好会の一員として
接してくれて、いろんなお手伝いをさせてくれて……
私がどう変わっても、みんなは変わらなかった
だからみんなにはそのままでいてほしいんだ
あなたが応援してくれなきゃ、私たちは私たちでいられないよ……
だからもう、ぜったい変なこと考えちゃだめだよ!
うん、約束するよ
こういうの、「雨降って地固まる」って言うんでしょ?
いい言葉だね~
ま、とにかく全部元通りってことならいいじゃん
というわけで、さあベイビーちゃん、ゆっくりしてる暇なんてないよ?
え?
ソロライブをしたら、みんなでのライブもしたくなっちゃったんだな~
そうなんですよね。ステージを自分ひとりの世界に染め上げるのも
気持ちがいいのですが、みなさんと作る世界も見てみたいんです
全員で、となると、規模も大きくなる。
これは、あなたの協力がないと難しい
だから、ニジガクのライブ……作って!
ニジガクのライブか~! 楽しそう!
どんなライブにしよっか?
それはもう、燃え上がるスクールアイドル愛を叫ぶライブです!
歌いながらバズーカで飛んでみたいです!!
かすみんがお姫様になるライブがいいです~。ティアラを作って、ドレスもひらひらのフワフワのを作って、真っ白な馬車で登場ですー!
会場全員でダルマさんが転んだ、これしかない。
ライブでやったらサイコーに楽しそー!!
客席に降りて歌いたいわ。もっと近くで私を見てもらいたいから
ランジュは龍に乗ってみんなのところに飛んでいくわよ!
それでランジュとお友達になってもらうの!
わたしは湖のほとりでお花を摘みながら歌いたいなあ。
お花の冠をみんなにプレゼントしたい!
手品を取り入れたステージに挑戦してみたいです。
手品師に憧れる女の子の成長ストーリーを演じます!
璃奈ちゃんロボット、作る! 璃奈ちゃんボード「むんっ」
私は会場の隅に相談コーナーを作りたいです。
何か迷いがある人のお手伝いをしたいです!
彼方ちゃんはそうだな~、ハンモックが欲しいな~
今までとは違ったジャンルの曲を作ってみたいな
ベイビーちゃん、協力してよ
わ、私もあなたの協力が必要だよ! えっとえっと……
またみんなでお花を育てたいの。次はみんなで大きな花壇を作りたい
それぞれ好きなお花の種を持ってきてもらって、
みんなの好きなお花でいっぱいにするの!
あははっ、みんなやりたいこといっぱいだね!
これだけバラバラな私たちをまとめ上げられるのは、あなただけです
だからわがまま言っちゃうんだな~
アナタが叶えてくれるものね!
みんなが私に叶えさせてくれるんだよ
それで喜んでもらえるのがどれだけ嬉しいか……
だから頑張るね! ニジガクの最高のライブにしよう!
(今日のライブ……すごかったなあ……)
(スクールアイドルのライブって、あんな感じなんだ)
(心地いい圧力……魅力に押し潰されそうになる。
精一杯受け止めて、声援に乗せて返す)
(だから、前の私はスクールアイドルに夢中だったんだろうな)
(今の私は何も覚えてない。何も思い出せてない。
ただここにいるだけの人だけど)
(スクールアイドルにどうしようもなく惹かれちゃってるのは本当)
(こんな私でもいいなら、
またスクールアイドルを近くで応援したい……!)
おはよう、早いね
おはよう、歩夢ちゃん
……ねえ、何かあった?
え? どうして?
なんだか、目がキラキラしてるから
うーん……。たぶん、輝いてるみんなを見て、
もっとみんなを知りたい、見たい、と思ったから……かも!
先輩! スクールアイドルのこともっと知りたいとか
見たいとか思ってる、ってほんとですか!?
やっぱりそれってかすみんのステージを見たからですか!?
かすみ、残念だけどきっとランジュのステージよ!
ね、そうよね!?
え、えっと……
先輩、私のステージだったと言ってもいいんですよ
私のステージじゃないかなあ……
彼方ちゃんかも~
私の大好きが届いたんですね!
愛さんとめっちゃ楽しー時間過ごしたからじゃない?
私と繋がれたから、だと思う
ベイビーちゃん、ボクに夢中だっただろ?
私のことを熱い眼差しで見つめてくれたわよね?
私の想いが届いたのだと思います
ここは間をとって、
わたしのステージで目覚めちゃったんじゃないかなあ?
あはは……
みんなのステージのおかげだよ。
目の前で見て、完全に虜になっちゃった
私、何も思い出せてない。それは本当にごめんなさい
だけどもう一度、イチからみんなのサポートをさせてほしい。
支えさせてほしい、応援したい!!
だから……お願いします!!
きゃあっ! そんなのこっちがお願いするほうよ!
うわっ!? ラ、ランジュちゃん、苦しいよ!
そんなこと言っても離さないわ!
愛さんもーー!
かすみんもですーー!
わーー!?
私たちの……新しい始まりだね!
みんな……準備はいい?
もちろんよ。早く出たくてたまらないわ
会場からの熱気がここまで伝わってきますね!
あなたが作ってくれたライブ……頑張ってくるね!
今日はテレビ中継も入ってるよ!
みんなのパフォーマンスが日本中……ううん、世界中に伝わるんだね!
日本一かわいいスクールアイドルとして、
全世界に認識されちゃうかも、ってことですね!
この「大好き」を世界に広めましょう!
早く歌いたくてたまらないわ~!
歌う順番、やっぱり一番にしてほしい
ええっ!? そういう変更ってありなの? じゃあボクも一番がいい!
私も立候補します!
おお、栞子ちゃんが立候補するなんてめずらしい……。
気合いが入ってるね~
はい!
今日のためにあの方がどれだけ尽力してくださったか見てきましたから
私も精一杯のパフォーマンスで応えたいです!
わたしもだよ!
あの子のために、みんな張り切っていこーね!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
おーーー!
みんな! いってらっしゃい!!
(夢みたいなステージが幕を開ける。みんなとファンのパワーが絡まり合って場に充満する……これは、私が見たかった景色)
(ある日出会ったまぶしいきらめき。私は一瞬で夢中になった)
(自分のすぐそばにもそのきらめきが隠れていたことに気づいて、
私の胸はトキメキで溢れた……)
あの子、今朝はちゃんと起きれたかなあ?
……確かめてみよ
起きてるかな……
ふああ……。あ、歩夢ちゃん、おはよう~
昨日眠れなかったの? 体調平気?
う、うん、平気だよ……?
(歩夢ちゃんがスクールアイドルだなんて信じられなくて
動画見てて夜更かしした、なんて……言えないよね)
でも、ちょっとクマができてるよ……
大丈夫大丈夫。じゃあ、また後でね!
う、うん……。玄関の前で待ってるね
やっぱり記憶喪失になったこと、気に病んでるのかな……
それはそうだよね、思い出がなくなるなんて、
私だったら耐えられないもん
私が……もっともっとサポートしなくっちゃ!
……あれ、歩夢ちゃん? どうしたの、音楽科に用事?
うん、あなたが困ってないかなと思って
次って音楽室での授業だったよね?
そうだけど、よく知ってるね?
ふふっ、だってあなた、音楽室での授業は大好き、って
前に言ってたでしょ?
そうだっけ?
そうだよ~。だからなんとなく時間割も覚えちゃってたの。
ねえ、音楽室の場所はわかる?
あははっ、それは大丈夫だって。心配して来てくれたの?
ちょっとだけね。大丈夫ならいいんだ、じゃあまたね!
うわっ、歩夢ちゃん!?
えへへ、もうすぐランチに来る頃だなと思って待ってたんだ
あはは、じゃあタイミングばっちりだったね。
今日は何食べるか決めてる?
まだ迷い中。でも今日の日替わりはだし巻き卵定食だったよ。
あなたの大好きなメニューだよね
わ、今日の日替わりだし巻き卵なんだ!
……だけどここってなんでもおいしいよね
わ、今日の日替わりだし巻き卵なんだ! それにしようかな
だし巻き卵好き! ……だけどここってなんでもおいしいよね
迷うな~~!
うーん……。やっぱりだし巻き卵がいいかな……
ふふふっ、じゃあ私も同じのにしようっと
ねえ……学園生活でもそれ以外でも、困ってることない?
うーん……2年生になってからの授業を忘れちゃってるのが痛いけど、
それ以外は大丈夫だと思う
そっか……。被ってる授業だったら私が全部教えてあげるね!
ありがとう! すごく助かる~!
任せて! どんなことでも私が力になるから!
……って当てはめていくと、解が求められるんだよ
なるほど……。ありがとう、わかった!
歩夢ちゃんに聞いてよかった~!
ふふふっ、あなた、前もそんなこと言ってたよね
やっぱりわからないところは一緒なんだね、あはは……
最近のことはほんとすっかり覚えてなくって……
最近じゃないよ、幼稚園のとき
え? 幼稚園のとき?
うん。お絵かきをしてるときにね、みどりのクレヨンがなくて
どうしよう、って言ってたあなたに、青の上から黄色のクレヨンで
塗ると緑っぽくなるよ、って教えてあげたの
そうしたら、さっきみたいに「歩夢ちゃんに聞いてよかった」って
笑顔になって……かわいかったなあ……
そう……だっけ?
だけど、あの頃、私があなたのために何かしてあげられたのって
そのときだけ……
私っていつもあなたの後ろをついて歩いてばっかりで、園庭で
遊ぶ時だってあなたと一緒じゃないとすぐに不安になっちゃって……
何で遊んだらいいのかわからなくて、花壇の端っこに座り込んじゃう
私の手をひっぱって滑り台やブランコに誘ってくれたのは、
いつもあなただったよね
あ、それはなんか覚えてるかも。でも私の記憶だと、
いつも歩夢ちゃんを振り回しちゃってたと思うんだけど……
ううん、そんなことない!
私を楽しいところに連れて行ってくれるのは、
いつだってあなただったの!
幼稚園で夏祭りがあったのは覚えてる?
スーパーボールすくいしたよね?
ヨーヨー釣りとかしたんだっけ?
ああ、あったよね。スーパーボールすくいしたよね?
そうそう!
ああ、あったよね。ヨーヨー釣りとかしたんだっけ?
そうそう! あとスーパーボールすくいも。
あなたは金のラメが入ったやつがどうしても欲しい、って頑張ってたよ
私はひとつしか取れなかったんだけど、
あなたは自分が取ったピンクのスーパーボールを私にくれたんだ~
あと、ビーズのアクセサリー作りもしたよね!
できあがったのをふたりで交換しあったの覚えてる?
あなたが作ったエメラルドグリーンのブレスレット、
今も飾ってあるんだ
ほんと? 今も持っててくれるなんて嬉しいな、ありがとう!
歩夢ちゃん、記憶力すごいね
そうかな? 普通だと思うよ?
……ねえ、もしかして、2年になってからのことだけじゃなくて
他のことも忘れちゃってない? 大丈夫……?
なんか、歩夢ちゃんの記憶力がすごすぎて大丈夫って
言いにくいけど……たぶん大丈夫だと思う……
本当かなあ……心配だよ……
はーい
こんな時間にごめんね~!
ううん、気にしないで。どうしたの?
うん、物理でわからないところを教えてほしくて……
あれ、何見てるの?
あ、これ? えへへ、お弁当作りの本!
おかずのレパートリーを増やしたいなあと思って
私も見ていい? わあ……カラフルだなあ……
今のお弁当って本当にかわいいよね!
ピックやおかずカップだっていろんな種類があるし、
見てるといろいろ試してみたくなっちゃうんだよね
ねえ、この中だったらどのおかずが食べたい?
えー、難しいな。どれもおいしそうだし……
ひと口ハンバーグとか……グラタンとか!
ひと口ハンバーグとグラタンだね。練習してみる!
いや、でもやっぱり……
歩夢ちゃんには卵焼きをいっぱい作ってほしいな……
この前日替わり定食で食べただし巻き卵もおいしかったけど、
やっぱり歩夢ちゃんの卵焼きのほうが好きだな~って思っちゃった
えっ!? そ、そうかな……! えへへ……
小学校のときから作ってるから、あなたにとっては慣れた味……
なのかな
いや、いつも心からおいしいな、って思ってるよ!
昔から食べさせてもらってるもんね!
いや、いつも心からおいしいな、って思ってるよ!
昔から食べさせてもらってるもんね!
いつもおいしいな、って思ってるよ
でも、私が初めて作った卵焼きを食べたときは泣いちゃったでしょ?
ええ!? 泣いてないよ!?
私、覚えてるもん!
あなたのお母さんが風邪で寝込んでて、でもあなたは卵焼きが
食べたい、って言うから、私、挑戦してみたんだよね
だけど焦げちゃうし味付けも変だったし
うまく巻けなくて炒り卵みたいになっちゃって……
でも、あなたは食べてくれたんだよ。
歩夢ちゃんが作ってくれたから、って
だけど、やっぱりおいしくなくて食べながら泣いちゃったの
それで私も泣いちゃって、ふたりで泣いてたんだよね
うう……そうだっけ……? 私、わがまますぎる……!
せっかく作ってくれたのにごめんね!
ううん、だってあなたは食べてくれたもん。嬉しかったよ!
あの出来事があったから、
私、絶対卵焼きだけは上手に作れるようになろう、って決めたんだ
歩夢ちゃん……
だから、学食のよりおいしい、って言ってもらえて嬉しい!
いつか歩夢ちゃんの卵焼きがなきゃダメ! って
言ってもらえるようにもっともっと頑張るね
歩夢ちゃん、毎日朝早いけどちゃんと休めてる?
大丈夫だよ!
毎日欠かさず頑張ってて、尊敬しちゃうよ
朝から練習なんて、大変じゃない?
毎日欠かさず頑張ってて、尊敬しちゃうよ
うん、朝から体を動かさないとそわそわしちゃうんだ
朝から練習なんて、大変じゃない?
最初は大変だったけど、今はもうこれが普通だから大丈夫!
だけど……あなたは付き合わなくてもいいんだよ?
朝練がなければもっと寝てられるんだよ?
うん、まあそうなんだけど……。小中通して同じ部活になるのは
初めてだし、なんか見ていたいんだよね
えっ、もしかして何か―
う、ううん、何か思い出せたわけじゃないんだ
なんか、うまく説明できないんだけど……
歩夢ちゃんが頑張ってる姿も見ていたいし……
それに、お隣さんで同じ学園に通ってるんだから
通学は一緒のほうがいいでしょ?
ふふふっ、一緒だと楽しいもんね
だからかな、高校を選んでるときはなんだか不安になってたな……
幼稚園から中学校まで一緒だったでしょ?
高校は離れ離れになっちゃうのかな、って
え、そうだったの!?
そうだよ。あなたは音楽を学べるところを探してたでしょ?
言ってくれればよかったのに……
言えないよ。あなたが好きなことは応援したいもん
合唱コンクールでピアノを弾いてるあなたがすごく素敵で……
ずっとこんな楽しそうな顔でいてほしい、って思ったの
だから、ニジガクを考えてる、って話を聞いたときは嬉しかったんだ。
ニジガクには普通科があるし、また3年間同じところに通えるんだもん
でも、受験勉強キツかったよね
お互い頑張ったね~
落ちる夢とか見たもん
ふふふっ、その話してたよね
歩夢ちゃんが泣きそうな顔で聞いてて、
これは頑張らなきゃやばいと思った
ええ!? そんな顔してないよ!
ううん、してた! これはハッキリ覚えてるから!
あーん、それは忘れてほしい!
あはははっ
でもさ、お互い希望通りの進学ができて、
また一緒に通えて本当によかったね
うん!
歩夢ちゃん、録画できたよ
はあ、はあ……。ありがとう
見直してもいいかな?
うん、どうぞ
うーん……ここはもうちょっと……腕をあげた方がいいかな……
なんかすごいね、そんな1センチ単位みたいな修正をするんだ
うん! そのほうがいいと思うから
見てくれるみんなには一番素敵なところを見てほしいんだ
……あの歩夢ちゃんが「見てもらいたい」かあ……
すごい向上心だね、歩夢ちゃん
……あの歩夢ちゃんが「見てもらいたい」かあ……
そうだよ! びっくりしてる?
うん、しちゃう
すごい向上心だね、歩夢ちゃん
そうかな? みんな同じだと思うよ?
みんな同じ、かあ……
あー……やっぱり、このままは嫌だな……
私、歩夢ちゃんと思い出話してると楽しいんだよね。
あんなことあったな、とか、そんなことあったっけ、
とか話すのが楽しい
だからその思い出の一部を忘れちゃってるのはいやかも
思い出せたらいいのにな……って、そうは言っても簡単にどうこう
できることじゃないってのもわかってるんだ! 今のは忘れて!
さ、練習続けよう、歩夢ちゃん!
う、うん……
(あの子、やっぱり私が思うよりずっと不安だったんだ……)
(それはそうだよね。あれだけスクールアイドルに夢中だったのに
全部忘れちゃって……きっと何かが足りない、って
心のどこかで感じてるんだよ……)
(あの日、アキバの街頭ビジョンで見たμ'sとAqoursの合同ライブ……
あれであの子の心は一瞬でスクールアイドルに囚われちゃった)
(それで次の日には早速ニジガクのスクールアイドルを探しに行って、
かすみちゃんに出会って……)
(そう、あの時は同好会消滅の危機だったんだよね)
(でもあの子は絶対に諦めなくて、せつ菜ちゃん……菜々ちゃんに
お願いしに行って「メンバーを10人集めれば同好会は存続」っていう
約束をしてきて……)
(あれも無茶だったなあ。本来なら5人いれば同好会は成り立つのに、
倍の10人集めなきゃいけなかったんだもん)
(同好会に離れてた人に戻って来て、ってお願いしたり、
スカウトしたり、いろいろあったなあ)
(それで、最後にはせつ菜ちゃんの心も変えて、10人集めることに
成功して……それが11人、13人になって……!)
(曲もたくさん作って、ライブもたくさんして……
全部が大事な思い出だよ)
(私も、やっぱりこのままはいや。あの子には思い出してほしい)
(…………決めた。私、あの時に負けないくらいのパフォーマンスを
あの子に見せる)
(あの子の心を一瞬で虜にしたあのライブ……
あんなライブをして、もう一度あの子の心を奪うの……!)
日本一かわいーいスクールアイドル、かすみんで~す♥
あなたのハートにラブリーチューン!
(わあ、かわいいな……)
今のどうでした? 新しいポーズなんですけど!
うーん、あざとい
マネできないよお~
計算されつくしたあざとさで尊敬に値します
あざとくなーーい! 計算もしてないっ!
マネできない、っていうのは褒め言葉だからいいですけどっ
先輩は今のかすみんどうでした?
え、私? えっと……
む~……
先輩ってば、本当に全部忘れちゃったんですか?
ほんのちょ~~~っとでも覚えてませんか?
とくにかすみんのこと!
ごめん、本当に何も覚えてなくて……
じゃあ特別に教えちゃいますけど、先輩ってばかすみんの
大ファンだったんですよ。毎日毎秒かすみんのことかわいい、って
言ってくれてましたからね!
そうだったんだね
そうですよう! 早く思い出してくれなきゃ!
……よし、かすみんは決めました。
かすみんが先輩の記憶を取り戻してみせます!!
かすみさん、まずは見守るほうが……
記憶喪失にはショックが必要、とも言うじゃん
たしかに、そういう療法もありますね
かすみんが考えた方法なら大丈夫だよ!
だって、かわいいかわいいかすみんを毎日見せるかわいい療法を
するんだもん! そういうショックなら大丈夫でしょ?
新しい医療の世界だねえ~
もー、かすみんは真剣なんです!!
(いつも一生懸命でかわいいんだな、かすみちゃん……)
(私のためにいろいろしてくれてありがたいな……)
(いつも一生懸命でかわいいんだな、かすみちゃん……)
(私のためにいろいろしてくれてありがたいな……)
私たち、ここでよくお話をしていたんですよ
そうなんだ
気がついたらもう真っ暗、みたいなこともあったよね
だいたいそんな感じになっちゃうんだよね
みんなとのおしゃべりは楽しくって
みなさん、何飲みます?
ドリンクバーだよね。自分で取りに行くよ
あっ、あっ! それはかすみんに任せてください!
それと……
かすみんにオリジナルドリンクを作らせてくれませんか?
オリジナルドリンク?
ドリンクバーにあるものを混ぜて作るんですよ
かすみちゃんが作るドリンク、いつもおいしいんだよね~
わたし大好き!
えへへっ、えへへっ! そうなんです!
かすみん、オリジナルドリンク作るの得意なんですよ!
先輩も、いつも「おいしいよ」って言ってくれてました!
そっか、じゃあ……今日もお願いしていいかな?
もちろんですっ!
愛さんもかすかすのドリンク大好き! 飲みたーい!
愛さんにも作って~!
かすかすじゃなくて、かすみんですっ!
でも褒めてくれたから作ってはあげますけど……
かすみちゃんはいいこだね~
お、おいしい!!!
複雑に絡み合うマリアージュ!!
お、おいしい!!!
複雑に絡み合うマリアージュ!!
えっへん! これは先輩がおいしいって言ってくれた
29番目のレシピで作ったものです!
この時はずーっとこれをおかわりしてくれてて~
ほら! 思い出してきませんか!?
ご、ごめん……。
懐かしい気はするんだけど……
懐かしい!? ってことは記憶の扉は開き掛けてるってことですね!
他のレシピも試す価値ありですー!!
うーん……
あれ、どうしたの、かすみさん?
新しい決めポーズが思いつかないの?
思いつかないわけじゃないんだけど……
何が効いてるかわかんなくって……
きいてる?
先輩に、だよぉ。かわいいポーズはいくらでも思いつくんだ。
でも先輩に見せてもイマイチ反応がわかりにくいっていうか……
ねえしず子、先輩ってかすみんのどんなところをかわいいって
言ってくれてたっけ?
……いつもそう言ってた記憶しかないな
あーん! それはそう!!
でもそれだけじゃダメなんだよね……
もっともーーっとかわいいところを見せなきゃ……!!
はい?
先輩、こんばんは~……お邪魔しちゃってます……
かすみちゃん!? と、とりあえず入って!
あの、急に来ちゃってすみません
連絡くれたら迎えに行ったのに!
どうしたの? 何かあった?
連絡くれたら迎えに行ったのに!
どうしたの? 何かあった?
えーと……勢いで来ちゃったトコもあるんですけど……その……
先輩の記憶を取り戻すお手伝いをもっと頑張りたくて……
あ、かわいい療法っていうやつ、だよね? いつもありがとう……
(毎日毎日考えるのって大変なのに……)
(かわいいポーズは本当にかわいいんだけど、
私のためにたくさん考えてくれてるところもすごくかわいいんだよね。
毎日刺激をもらってるのに思い出せなくて申し訳ないな)
効いてますかね……?
効いてると思いたいな。まだ思い出せてないけど
よかったー! 効いてるって思ってくれてて安心しました!
先輩、ちょっと待っててくださいね!
え?
(かすみちゃん、どうしたのかな……?
私、このまま待ってて大丈夫?)
にゃにゃ~ん! かすみんだにゃんっ!
かすみんは寂しがりやの猫さんなので、
ずーっとそばにいてくれなきゃダメにゃん!
毎日なでなでして、かわいいよー、って言ってにゃん!
(どうですか! どうですか先輩!
かすみんがここまでしたんですよお!!)
(かっ……かわいい……!!! 息が止まる!)
(えっ、えっ!? かわいいことしかわからない!)
(かっ……かわいい……!!!
どうしよう、何も言葉がでない! 息が止まる!)
(えっ、えっ!? どういうこと!? かわいいことしかわからない!)
せ~んぱいっ! 猫ちゃんのこともっと見てくださいにゃん♪
なんだか……疲れた顔してるわね、かすみちゃん
ええっ!? やだやだー、かすみんのかわいいお顔がー!
ランジュが疲れに効くお茶を入れてあげたわよ! ほら、飲んで!
ありがとうございます、
ランジュ先輩……はあ、おいし~
それで、かすみがそうなってる原因は何?
ランジュが解決してあげられること?
え!? いや、これはなんというか……
かすみんだけの問題です
かすみちゃんがそう言うならそうなんでしょうけど、
話だけでも聞いたらダメ? 私もランジュも心配なのよ
あーん!
果林先輩もランジュ先輩もかすみんのことが大好きなんですね!
かすみんもすきすきっ!
じゃあ、ちょっと話しちゃおうかなあ……
かすみん、先輩の記憶が戻ってほしいな、って思ってるんです。
それで、かすみんのかわいいところをいっぱい見せるっていう
かわいい療法を試してるんですけど……
ランジュそれ知ってるわよ!
かすみが毎日あの子の前でかわいいポーズを披露してるのよね?
昨日はもっと思い切ったことを試してみたんです
でも、先輩ってば固まっちゃってーーー! あーーーん!
思い切ったことってなにか聞いてもいい?
あ、それはかすみんと先輩だけの秘密なので
なによう! ランジュたちも知りたいわ!
絶対絶対秘密なんですー! かわいい療法の企業秘密なんですから!
ふふっ、企業秘密じゃ仕方ないわね
はあ……。先輩ってかすみんのどんなところが一番かわいいって
思ってくれてたのかな~。果林先輩やランジュ先輩はわかりますか?
かすみはいつもかわいいけど?
嬉しいですけどアドバイスが欲しいです~!
アドバイスねえ……。じゃあ、
あの子がいつどういう顔をしていたかを思い出してみたらどう?
どんなときに一番いい顔をしていたか……
どんな時に一番いい顔をしてたか、かあ……。うーーーん……
先輩っていつもかすみんのことかわいい、って
褒めてくれてたからなあ。一番って言われてもな~
にこ先輩と戦った9番勝負のときだって、動画を見た人たちからの
評価はダメだったけど先輩だけは後から褒めてくれたし
かすみちゃんはラップもかわいいね、って
おばか王になったときは……ちょっとびっくりしてたかもだけど……
でもでも、先輩はいつだってかすみんのこと褒めてくれて……
いつだって……
その中でも一番を決めるなら、そうだなあ……
やっぱり、ライブのとき……かなあ……
……うん、やっぱライブだよね!
ステージの上のかすみんのことを見てくれてる先輩の顔が
一番素敵だったもん!
よしっ、ライブをしてさいこ~にかわいいかすみんを見てもらおっ!
そうすればかわいい療法が効いて思い出してくれるはず!
でも……ライブってどうしたらできるの?
いつも先輩が準備とかしてくれてたからわかんないよー!
先輩、助けてー!
かすみちゃん、昨日は電話ありがとうね
いえ……なんか、ライブするなら先輩に相談しなきゃー、って
思って、焦って電話しちゃったんですけど
よく考えたら先輩もわからないですよね……
……昔の私って頼りがいがあったみたいだね。
そういうときすぐに電話してもらえるなんてすごいって思っちゃった
もちろんです! 先輩はかすみんたちのやりたいことをなんでも
叶えてくれましたもん!
スクールアイドルフェスティバルもそうだし、校内フィルムフェスティバルのときだってイメージにぴったりの曲を作ってくれて……
かすみんがホームアイドルになりたくてコンテストにでたときも
ずっと特訓に付き合ってくれましたし
(こんなふうに話してもらえるなんて、
私、いろいろなことやれてたんだな……)
あーーーっ! そっか、ホームアイドル!! ホームアイドルで
やったみたいなミニライブなら、かすみんでもできますっ!!
え?
あ、ホームアイドルっていうのはですね、かすみんの街のご当地アイドルみたいなもので、商店街のイベントに出たり、区役所のイベントの広報をしたり、街のためにいろんなことをするんですよ
楽しそうだね
えへへ、すーっごく楽しいんですよ! ご近所のみなさんが素敵な時間を過ごせるようお手伝いができるの、嬉しいです!
あ、話ズレちゃいました
あのですね、先輩。かすみん、ライブをしようと思います。
それを見てもらえますか?
うん、すごく見たい! あと、役に立てるかはわからないけど
前みたいにお手伝いをさせてもらえると嬉しいな
ほんとですか!? かすみん、ひとりでもできると思うんですけど……
先輩がいてくれると心強いです! お願いします!
うん!
かすみ、フライヤーこんな感じでどう?
すっご! やるじゃんミア子!
当たり前だろ
かすみちゃん、探してた小物、お台場のお店にあるみたいだよ
ほんとですか!? やったー! 買いに行ってきます!
私が行って来ようか? かすみちゃん、他の準備で忙しいでしょ?
ボクも、ハンバーグのコッペパン作ってくれるなら行ってもいいよ
も~、ミア子はかすみんが作るコッペパン大好きなんだから~
別にそういうのじゃない!
あ、かすみちゃん、商店街の人から電話みたい
はい、中須です! はい、はい……あっ……わ、わかりました!
すぐ準備しますーー!
大丈夫……?
だ、大丈夫です! ちょっと申請書の提出を忘れちゃってて……
それだったら、ステージの設計図案の叩き台作ってみたんだ。
必要機材のリストも。
あ、もろもろの申請書は今、栞子ちゃんに確認してもらってるから
せ、せ……せんぱ~~~い!!
どうしてそんなことできちゃうんですか!?
記憶戻ってるんじゃないですか!?
あはは……残念ながら戻ってはないんだけど、
練習ノートをみたらやり方が書いてあったから真似してみた
やるじゃん、ベイビーちゃん
記憶がなくても頼りになる先輩すきすきーーー!
わっ!? あはは! もっと頑張るね!
かすみんはもっともっともーっと頑張ります!
ちょっと、しお子のとこ行ってきますねー!
やる気満々、って感じだね
うん、見てるこっちがワクワクしてくる。
もっともっとお手伝いできたらいいな……!
(かすみちゃんのライブ、楽しみだな!)
(私もかすみちゃんのためにもっと頑張りたい……)
(記憶は相変わらずだけど、この充実感は懐かしい感じがする。
かすみちゃんのライブ、楽しみだな!)
(見よう見まねで役に立ててるかはわからないけど、私もかすみちゃんのためにもっと頑張りたい……。ライブ、楽しみだな!)
さあさあ先輩、かすみん特製コッペパン食べてくださいね~!
ありがとう。でも、かすみちゃんの分は?
すかさず、かすみんのこと心配してくれる先輩すきすきっ!
かすみんのはこれです! 特製コールスローコッペパン!!
お野菜たっぷりです!
あ、かすみちゃん、一応ダイエット期間のこと気にしてくれてたんだ
気にするよお! だってビューティー部のお約束だもん!
でも、先輩はかすみんたちがおいしい~って食べてる姿を見る方が
好きって言ってくれたし、プチダイエット期間、ってことにしない?
そうですね……。私も、ちょっと物足りないなと思っていましたし
うん、私たち運動もしてるし、プチにしてもいいよね
異議なし、賛成。璃奈ちゃんボード「ピコーン」
ところで、ビューティー部って何?
そういう部活を兼部してるの?
あ、違うんです。
これは私たち1年生が好きでやってる企画みたいなものです
以前、スクールアイドルファンサイトというところからニジガクの
スクールアイドルが夢中になっているものについて教えてほしい、
という企画をいただいたんです
ちょうどそのとき、生徒会の右月さんと左月さんから
ヨガを教えてもらっていまして、それがきっかけで私たちは
「ビューティー」に夢中になっているという動画を作りまして
そのまま夢中になっている、という感じです
先輩がかすみんたちの動画を撮ってくれたんですよ。
様々なビューティー修行に励むいたいけなかすみんが主役でした!
そうだったんだね
厳しく険しいビューティー道をゆくかすみんのことを
1分1秒ごとにかわいいかわいいと褒め称えてもくれたんですよお!
そうだったっけ?
そういう記憶はありませんが……
そういうことにしといてよお!
かすみさん、先輩に嘘ばかり教えるのはメッ、だよ!
あれ? えーと……そこまで厳しく険しい道のりではなかった……?
そこまでではないですが……
でも、決して平坦な道ではありませんでした……
とてもとても難しいヨガのポーズがありまして、
毎日練習に励みました。しかし壁は高く、誰もが諦めかけていました
けれど私には諦めることはできませんでした。ここで諦めればビューティー道はそこで終わってしまう……毎日毎日地道に鍛錬を重ね、
そしてついには会得することができたのです……!!
高みに上り詰めたんだね!
ほ、ほんとに?
しずくちゃん……すごいね! 高みに上り詰めたんだね!
えへへっ
ほ、ほんとに?
本当です!
ごめんね、お芝居見せてもらってるのかと思っちゃって……
……確かに、ちょっとだけ芝居掛かってしまいました。えへへ……
確かに一番最初にカラスのポーズができるようになったのは
しずくちゃんだけど、私たちもすぐできるようになったよね?
そうだったと記憶しています
しず子盛りすぎなんだよなあ~
ちょ、ちょっとだけでしょーーー!
それに私はみんなにコツを教えてあげたもん!
ちょっとくらいいい格好させてよ~! あーーん!
(あれ、あそこにいるのはしずくちゃん……?
何をしてるんだろう。もうすぐ部活だから呼びに行こうかな)
「籠の中に閉じ込められてしまった鳥。
まだ飛べるかしら、まだ愛の花をついばめるかしら」
「愛の歌を歌い、雨に濡れた石畳の上で踊る私を早く見つけて、
私のもとへ来て」
「彼は生きている、そして私の元へ降り立つはずだから」
「いくつの夜を越えようとも、私はいつまでもここで待っている」
(すごい……なんて胸にくる演技なんだろう!
しずくちゃんなのにしずくちゃんじゃないみたいだった)
えっ……? 先輩!?
い、今の、見ていたんですか!?
うん、部室に行く途中だったんだけど、しずくちゃんがいるのが
見えたから一緒に行こうって誘おうと思って……
でも引き込まれちゃった
今のって演劇部の次のお芝居?
いえ、今のはこの前観たお芝居を真似していただけです……
『ノートル=ダム・ド・パリ』をアレンジしたお芝居で、
エスメラルダという女の子の不思議な魅力を
自分でも表現してみたくなっちゃいました
不思議な魅力……少女性と妖艶さ……って感じなのかな
わ、わかりますか!? そうなんです! エスメラルダには
そういうところがあるんです! だから想い人がいるのに他の人から
恋をされてしまい、大変なことになってしまうんです!!
確かにあんな子が目の前にいたら恋しちゃうよ……
恋されちゃうのも大変なんだな、って思います
しずくちゃんって演じるときは別人になっちゃうんだね。
本当にそこにエスメラルダがいるみたいだったよ
はい! 私はその人になりきるつもりで演じています
私が目指すのは、演技のその先にあるもの……
演じる人物そのものになって、その人生を生きること
これは、演劇部の私にもスクールアイドルの私にも
一貫している信念なんです
信念……?
演じるということは「フェイク」でもあります
でも私はフェイクで終わらせたくない。
いろんな人生を本物として生きてみたい……
水車小屋で働く少女、貴族との結婚なんてまっぴらと思っている女性、
農民、怪盗、海賊……すべてを私のものにしたい
そして最高のスクールアイドルを演じて、
最高のスクールアイドルとして生きたい
欲張りなんです、私
欲張りだなんて思わないよ
ちゃんと信念があるんだね
欲張りだなんて思わないよ。
ちゃんと信念があるんだね
そこまで強い気持ちを持てるなんてすごいよ!
ありがとうございます……。
でも、先輩ならわかってくれると信じてました!
先輩。私の原点、そして力の源は、「演じたい」という気持ちです
見ててください! もう一度演じてみますね!
先輩は……エスメラルダに恋しちゃう……と言ってくれたので!
あれ、しずくちゃんからだ。なんだろう……?
こんばんは。もし明日、
時間があれば先輩に付き合ってほしいところがあるんですが、
ご都合いかがですか?
「大丈夫だよ」と
(付き合ってほしいところってどこだろう?
しずくちゃんのことだからお芝居とか映画とかかな……)
わーっ、見てください! ベリーとはちみつがたっぷりです!
おいしそうだね!
お皿貸してください。私が切り分けますね
わあっ、パンケーキ焼き立てですよ!
切るとほかほかの湯気が……いい匂い~!
よいしょ……と。さあどうぞ、先輩!
ありがとう! あむっ……んん~、おいしい……!!
はむ……。んー、ふわふわでキメが細かい生地が
はちみつをたっぷり吸って最高です!
ベリーも甘くてジューシーです!
あ、先輩……ふふっ、お口の横にクリームがついちゃってますよ
え、どこ!?
ここです……はい、きれいになりました
ご、ごめんね、後輩にこんなことさせて……
ありがとう!
ご、ごめんね、後輩にこんなことさせて……
ふふっ、私のお口に何かついていたときに、
先輩が同じように拭いてくれたらチャラですよ!
しずくちゃん、しっかりしてるからそんなことなさそう……
一生チャラにならないよ……
ありがとう!
私、年上なのにしずくちゃんに頼りっぱなしで情けないな……
ごめんね
しずくちゃんしっかりしてるから、つい……
私、しっかりしてるように見えますか?
もちろんだよ! このお店だって予約してくれてたし。
来たとき外の大行列を見て、今日は入れないかな、って
諦めかけたもん
えへへ……。実はこのお店、1回それで入れなかったんです
え?
前にも先輩と来たことがあるんですよ。
でも行列ができるほどとは思っていなくて……
だから絶対リベンジしたかったんです。
絶対、先輩と季節限定のパンケーキを半分こしたかったんです
今日、ちゃんとできてよかったです!
そうだったんだ……。あの、ごめんね、前のこと覚えてなくて
先輩が謝ることじゃないですよ。
先輩は悪くありません!
でも、せっかくリベンジできたのに一緒に喜べなかったし……
それでも一緒に「おいしいね」って笑い合うことができました。
私にはそれが何より大事なことです
先輩……もう悪いとか思わないでください……
私たち、新しい思い出を一緒に作ることはできるんですから
役になりきることで何度でも人生を繰り返せるように、
失ってしまっても新しく積み上げていけば、
また先輩の日々は作られるんです
私はそう思います!
うん、ありがとう、しずくちゃん
ねえ、今回のしずくちゃんの役柄知ってる?
知ってる! 若草物語のベス役でしょ?
たくさんの姉妹がいるところはエマと似てるわね
ふふっ、私は長女だけどね~。
今日のお芝居は現代版アレンジがされてるらしいよ。
どうなるのか楽しみ~!
(わあ……ニジガクの演劇部ってコンクール受賞歴があるくらい
うまいって聞いてはいたけど……本当にすごいんだな)
(部長さんとしずくちゃんが物語をリードして、私たちの心も引っ張っていってくれる)
(ああ、あそこにいるのはしずくちゃんじゃない……ベスなんだ……)
すごいお話だったね! 現代版アレンジってどういうことかと
思ったけど、あんなラストが待ってるなんて……!
うん……うん……! わたし、涙が止まらないよ~
しずくちゃんにベスが乗り移ったみたいだったわね。
素晴らしかったわ!
うう、早くしずくちゃんに感想伝えたい……
行ってきたら? キミ、しずくちゃんにお花を用意してたでしょ?
えっ、どうして知ってるの!?
どんな花がいいか、ってエマに聞いてたじゃない?
あなたに電話で聞かれたとき、果林ちゃんも一緒だったんだ~
そ、そうだったんだ……なんか恥ずかしいな
しずくちゃんのところに行ってあげなよ。きっと喜ぶよ!
うん……行ってくる!
失礼します……
あ、先輩!
しずくちゃん、舞台お疲れ様! これ……
わあ、きれいなお花! ありがとうございます、先輩っ!
嬉しいです……!
どんどん引き込まれちゃった
こんなアレンジ初めて観た!
すごくいいお芝居だったよ。どんどん引き込まれちゃった
すごくいい脚本だったね! こんなアレンジ初めて観た!
それに演じてるみんなもすごくて……
最初はしずくちゃん頑張れ、って思ってたのに、いつの間にかそこに
いるのはベスなんだ、って気になっちゃって……カーテンコールのとき
もしずくちゃんだっけベスだっけ、って混乱しちゃった
何よりの褒め言葉です
私、もっともっとしずくちゃんのお芝居が観たい
だけど……私は今までにもたくさんしずくちゃんのお芝居を観てきた
はずだよね。忘れたくなかったな
せ、先輩、顔を上げてください!
えっと……私、これからもずっとお芝居は続けます!
それに演劇部の次の公演も決まってますし、
もっともっと観てもらえます!
でも、同じ公演は二度とないでしょ?
お芝居はひとつひとつが唯一無二の時間だもん
これからたくさん観ることができるのは嬉しいけど、今までのも全部、
しずくちゃんが演じた役を覚えていたかった……
先輩……
はあ…………
……しずくちゃん、元気ないね?
お弁当に嫌いなものでも入ってた?
私のれんこんはさみ揚げと交換しますか?
ふう…………
しーずー子~!
えっ!? あ、ごめん、何か言った?
元気ないね、って
お弁当に嫌いなものでもあったの、って
私のれんこんはさみ揚げと交換しますか、と
あわわっ、ごめん! 心配してくれてたの!?
だって、ずっとぼんやりしてるから……。しずくちゃんのこと、
心配だよ。璃奈ちゃんボード「うるうる」
ぼんやりしちゃうよ……あんなこと言われたら……
あのね、昨日先輩が演劇部の公演を観に来てくれたときにね……
最初はしずくちゃん頑張れ、って思ってたのに、いつの間にかそこに
いるのはベスなんだ、って気になっちゃって……カーテンコールのとき
もしずくちゃんだっけベスだっけ、って混乱しちゃった
何よりの褒め言葉です
私、もっともっとしずくちゃんのお芝居が観たい
だけど……私は今までにもたくさんしずくちゃんのお芝居を観てきた
はずだよね。忘れたくなかったな
せ、先輩、顔を上げてください!
えっと……私、これからもずっとお芝居は続けます!
それに演劇部の次の公演も決まってますし、
もっともっと観てもらえます!
でも、同じ公演は二度とないでしょ?
お芝居はひとつひとつが唯一無二の時間だもん
これからたくさん観ることができるのは嬉しいけど、今までのも全部、
しずくちゃんが演じた役を覚えていたかった……
って言われちゃったんだ。気持ちは本当に嬉しいんだけど、
先輩の状況を考えると何ともいえなくて……
記憶のことは、どうしようもないことですもんね……
でも先輩はものすごく悔しいって思ってるんだよね……
きっと、思い出したいんだろうね
前にも言われたんだ。覚えてなくてごめんね、って
でもそのとき私は言ったの
これからまた新しい思い出は作れます、役になりきることで
何度でも人生を繰り返せるように、新しく積み上げていけば、
また先輩の日々は作られるんです、って
あの時は、本当にそう思ってたんだ。
だから元気づけたくてそう言ったの
……だけど、やっぱり私も覚えててほしかった
忘れられちゃうのは寂しいよ……
前に言ったこととは反対になっちゃうけど、
先輩に思い出してもらえるよう、何かしてもいいと思う?
あったり前じゃん! かすみんたちとのことを忘れちゃってるのは
先輩にとってもマイナス! もったいない!
かすみんは思い出してもらえるようにかわいい療法試してるもん!
しず子もしず子にしかできないことやりな!
うん、しずくちゃんもやるべきだと思う
数撃ちゃ当たる……ではありませんが、記憶を取り戻すための正解は
誰にもわからないんです。みんなでそれぞれのやり方を試しましょう、
しずくさん!
みんな~~~、ありがと~~~~!! 私もやる!
先輩に思い出してほしいもん!!
あ、果林さん、こんにちは
あら、こんにちは
何読んでるの?
ん? これはファッションの歴史についての参考書よ
そっか、果林さんはライフデザイン学科でも
ファッションデザイン専攻なんだよね
ふふっ、覚えてくれたのね
うん! みんなのこともっと知りたいから……って、うわっ、なに!?
なに、って熱がないかと思って。張り切ってくれるのは嬉しいけど、
無理はダメよ、ね?
は、はい……
ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー
はい、今日はここまで
はあ、はあ……ありがとうございました……
疲れたあ~……
でも彼方ちゃん、今日教えてもらったステップは完璧に覚えたぜ~
果林さん、レッスンありがとうございました!
ありがと~、果林ちゃん
いいのよ、その代わり、私にもふたりが得意なことを教えてちょうだい
みんな、タオルとドリンクどうぞ!
(すごいなあ……果林さんってすごくしっかりしてる人なんだ……
なんだか気遅れしちゃうな)
ねえ
は、はい!
もしよかったら、今日私の部屋に遊びに来ない?
改めて親交を深めましょ
お、おじゃまします……
ふふっ、そんな緊張しなくていいのよ
適当に座ってて、お茶でも―
果林ちゃーん、お洗濯物畳んできたよ~
もう、あれだけため込んじゃダメだよ、って……あれ?
あなたも来てたんだね、いらっしゃーい!
エマ!!
果林! 数学の問題、全部解説つけておいたわよ!
こんなのランジュなら楽勝なの!
きゃあっ! エマもアナタもいるのねー!
ランジュ……!
えっと……
(洗濯物? ため込んで? 数学の問題? 解説……?)
寮って賑やかでいいね~!
果林さんってもしかして……
寮って賑やかでいいね~!
変に空気読まなくていいから~~~~!!
果林さんってもしかして……
それ以上は言わないで!!
(果林さんってもしかして、
そんなに近付き難い人じゃ……ないのかな?)
わあ……すごい。いつもこういう場所で撮影するの?
いつもこういう所なら楽なんだけどね
どういうこと?
雑誌の撮影で着る衣装って正反対の季節のものを着ることが多いのよ。
夏発売の雑誌のために夏服で真冬の公園で撮影、なんてことばかりなの
ええっ!? 過酷だ……!
ふふっ。でも、そう思わせないようにするのよ
ほら、撮影が始まるわよ。見ててちょうだい!
(うわあ……これがモデルをしてるときの果林さん……)
(すごいな、シャッターが切られるたびに
ポーズも表情もくるくる変わる……)
(あ、きれい! かっこいい! 魅力的!)
(見てる私の気持ちもシャッター音ごとに変わっていく……)
(果林さんに振り回されてる感じ。でも……すごくドキドキして
この時間が終わってほしくないと思ってしまう)
ふう……
お疲れ様、果林さん。もう終わり?
え? まだこれからよ。
今日着る服はまだまだあるし、最近メイクアップのコーナーも
もらえたからメイクシーンの撮影もあるの
それってどのくらいかかるの?
夜までには終わると思うわ
……モデルさんのお仕事って、本当に大変なんだ……
ふふっ、まあ、拘束時間は長い方かもね
キミは好きなときに帰っていいわよ
う、うん、わかった。……あ、果林さん、呼ばれてるよ!
あ、ほんとね。じゃあ……好きなだけ見学していってね
(好きなときに帰って、って言うけど……
こんなの全部見たいに決まってるよ)
好きなときに帰っていい、って言ったのに
あはは……、だってずっと見ていたくて
あはは……、帰り時を見失っちゃって
あはは……、だってずっと見ていたくて
あはは……、帰り時を見失っちゃって
果林さんってすごいんだね。シャッターが切られるたびに
新しい果林さんが生まれていく、って感じで……見とれちゃった
ありがと
でも、こんな魅力的なお姉さんのことを忘れちゃうなんてな~
え!?
私の魅力がキミの記憶に刻み込まれてなかった、ってことだもんな~
ご、ごめんなさいっ! あと近いです!
ふふふっ、私はこの距離感なの
慣れてね♥
(どうしてこんな場所に……)
……あれ、果林さんだ。はい、もしもし?
ねえ、キミ、プール好きだったわよね?
え? いや、嫌いな場所ではないけど好きだった……かな?
そのはずよ。忘れちゃったのかもしれないわね
ということで、明日はプールに行きましょう
雑誌の撮影の時にチケットをもらったのよ
すごくおもしろいアトラクションがあるんですって!
どうしたの、ボーッとして?
あ、いや、なんだかすごいスピード感で生きてるな、って
感じがして……
スピード感は大事よ、うかうかしてたら楽しい時間は
すぐ終わっちゃうもの。今を全力で楽しまなきゃ
さ、行きましょ!
え!? ま、待って、まだアレに乗る心の準備ができてない!!
うう……
ほら、怖くないから目を開けて
でも……
じゃあ、私だけを見ていればいいわ。他のことなんか目に入れないで、
私だけを見てるの。いい?
う、うん……
ほら、どう!? 楽しいでしょ?
うわわわっ、は、速いよ~~~! 怖い~~~!
怖いなら私を見てなさい! いいわね!
はいいい!
はあ、はあ……
爽快だったわね~! キミはどうだった?
ドキドキしたけど……楽しかった!
怖かったよ~~~!
ドキドキしたけど……楽しかった!
やっぱり私、プール好きだったのかも!
怖かったよ~~~!
うふふ
ねえ、ちょっと飲み物を買いに行かない? 喉が乾いたわ
うん!
はあ~、おいしい! ……あれ?
ねえ、果林さんって変わったホクロがあるんだね
え? そうだけど……ねえ、今までまったく気づいてなかったの!? ずっと水着だったのに!? あんなに密着してウォータースライダーを滑ったのに!?
えっとその……うん、今気づいた。
ずっと果林さんの顔見てたから……
……仕方ない子ねえ。このホクロも朝香果林の魅力のひとつなの
ちゃーんと見て、覚えてね
う、うん、わかった。ちゃんと見えてるし覚えるから……
あの、ちょっと近い……
赤くなるキミもかわいいけど……
そう目を逸らされるのはつまんないわ
もう少し私に慣れてもらわなきゃね
だから近すぎます……!
あら、あの子からだわ
「今日は1日ありがとう! すごく楽しかった!
またプールに行こうね!」
ふふっ、かわいいんだから……
でも、水着を褒めるの忘れてるわよ
だっていつものあの子……どんな私を見せても「大ファン」って
言ってくれてたあの子なら……
もっと言ってくれるわ。水着がセクシーとかスタイルがいいとか、
こっちが恥ずかしくなるくらいの勢いで褒め倒してくれるのに……
……ううん、慢心はダメよ、果林。問題は私
あの子が口に出さずにいられないほどの魅力を見せられてないだけ
だわ、きっと
圧倒的な魅力を見せるには……やっぱり、アレしかないわね
果林ちゃん、朝だよ~
……あれ? いない……
はあっ、はあっ……
果林ちゃん!
果林! ランジュたちより先に来てるなんてずるいわ!
ああ、おはよう、ふたりとも
ふう~……
果林ちゃんが自主的に早起きするなんて……!
もしかして、またモデルさんのコンテストに出るの!?
きゃあっ! それなら今度はランジュも見に行きたいわ!
それにそれに、またトロフィーが増えたらランジュが磨くの!
待って待って、ふたりとも。コンテストには出ないわよ?
え?
え?
スクールアイドルのイベントに出ようと思ってるの
最高の朝香果林をあの子に刻み込みたいのよ
最高の果林……! 素敵ね! そんな刺激の強いものを見せられたら
あの子の記憶も戻っちゃうんじゃないかしら?
なるほど、ショック療法だね
ショック療法、っていうのは……そそられない響きね
でも、そのくらいの衝撃をあの子に見せたいわ。
そして、あの子の記憶も戻ってくれたら最高ね
(ここがスクールアイドルイベントの会場……で、合ってるんだよね?
たくさん人もいるし……うわあ、結構席埋まってるな)
(見に来て、って言ってたけど、果林さんはどこかな……)
あ、ベイビーちゃんこっちだよ!
あ、ミアちゃん、みんな! すごい人だね~!
だって今日は果林ちゃんが出るからね~
果林ちゃんに射抜かれたい、って人がいっぱいだよ~!
ほかのみんなも来れたらよかったのにね
ランジュ悔しがってたな~
大丈夫!
動画はバッチリ撮るから、あとでみんなで上映会をしようね~
来てくれたのね、ありがとう
果林さん、今日は私、手伝わなくてよかったの?
今から果林さんのステージを見るの楽しみ!
うん! 果林さん、今日は私、手伝わなくてよかったの?
ええ。今日はただ見ていてほしくって
うん! 今から果林さんのステージを見るの楽しみ!
最高の私を披露するわ。会場中の視線を私ひとりに釘付けにしてみせる
そしてキミの……ううん、今言うことじゃなかったわ
?
じゃあ、また後でね!
恥ずかしい……なんて浅はかだったのかしら、私……!
私の最高のパフォーマンスを見せればあの子は……、って
勝手に思い込んで!
合わせる顔がないわよ……
か、果林ちゃ~ん……そう落ち込まないで……ね?
そ、そうだよ~。そんなに都合よく記憶なんて戻らないよ! ね?
でも、まあ気持ちはわかるね。あれだけ自信満々に言ってたらさ
ミアちゃんっ!!!
ミアちゃんっ!!!
なんとでも言って……なにもかもミアの言う通りよ……
果林ちゃ~~~ん!!
果林ちゃ~~~ん!!
ほんっっっと恥ずかしい……!
どういう顔してあの子に会えばいいのよ~~!
あの子から連絡きてたりしないの?
きたわよ
なんて言ってた!?
「果林さんの完成されたパフォーマンスは圧巻でした」
「今日はすごく楽しいイベントに招待してくれてありがとう」
「果林さんの完成されたパフォーマンスは圧巻でした」ですって……
「今日はすごく楽しいイベントに招待してくれてありがとう!」
ですって……
そっか~~~~……
そっか~~~~……
ボクもパフォーマンスの完成度には圧倒されたよ。
体もダンスも歌もきっちり最高に仕上がってた。
だけどさ……なんていうかなあ……うーん……
いつもの感じがない、っていうか……
果林、自分の動画見直した?
え?
ミアちゃん、それはもうちょっと後でも……
待って、みんななにかわかってるの?
彼方ちゃんたち、な~~~んにもわかってないよ?
わかってるって顔してるわね、彼方。動画を見直すわ
私、またやっちゃってたのね……
独りよがりで押しつけるようなパフォーマンスよ、こんなの
いくら完成度が高くてもダメ。
こんなのはスクールアイドルじゃない……
果林ちゃんは何に対しても真面目な努力家さんだからさ、完璧な自分を、魅力を見せたい、って気持ちが勝っちゃっただけだよ
そうだよね。果林ちゃんのその情熱は本物だよ
見せつけようとしなくたっていいんだよ、果林。
いつもの果林なら、ボクたちが勝手に釘付けになるんだから
気負いすぎ
……そうかも
私、ちゃんと考えてみるわ……
話聞いてくれてありがとう。凹んでる場合じゃないわね……
買い出し担当決めじゃんけーーーん!
じゃーんけーん……ぽんっ!
あいこでしょっ!
うわーーーー負けたあ!!
見事な負けだね
これだけ人数がいるのに、きれいにひとり負けってあるんですね……
はあ~、やっと買い出し担当から開放されましたあ
かすみさん、2回連続で行ってましたもんね
愛ちゃん、ひとりで大丈夫? わたし、付いて行こうか?
だいじょぶだいじょぶ!
みんな練習しててよ、愛さんがちゃちゃっと行ってくるからさ
あの、よかったら私が行こうか?
ほら、私がいても見てるだけだし……暇だから
んー……、じゃあ一緒に付いてきてくれるとうれしーな!
うん!
んーと、これで全部揃ったかな~
ねえ、愛ちゃん、ちょっと聞いてもいい? こういう備品の
買い出しって……もしかして今までは私が行ってたんじゃない?
いや、今までもじゃんけんして決めてたよ?
君に付いて行きたいから!
ってことはやっぱり私が担当だったんだよね!
ご、ごめんね、もっと早く聞けばよかった……
言ってくれればよかったのに……
ご、ごめんね、もっと早く聞けばよかった……
言ってくれればよかったのに……
あはは! いいっていいって!
今までだってじゃんけんで決めてたんだし、何も変わってないからさ
変わってない、ってことはないよね……
愛ちゃんは私が全部忘れちゃってるこの状態で大丈夫?
気にならない?
愛さんは君が元気ならいいよ。
倒れたって聞いたときめっちゃ心配したんだよ
でも……
んー、まあ、寂しい気持ちがないわけじゃないけど仕方のないことだし、君は君だもん
それにさ、これからまた一緒に過ごせるんだから、
新しい記憶はいっぱい作れるでしょ?
愛さんと楽しい思い出いっぱい作ろうよ!!
ってことで、ちょっと寄り道しちゃお!
この前ちょっと冒険チックな抜け道見つけたんだ~。
そこ通って帰ろ!
冒険!? 抜け道!?
えへへ、愛さんそういう楽しそうなこと大好きなんだ!
愛さんってそーゆー子なんだ、って覚えてね!
愛ちゃん、大事な話って何?
愛さん、すごい本を教えてもらっちゃった……!
すごい本?
図書委員の子がこっそり見せてくれたの。
愛ちゃんこういうの好きでしょ、って……見て!
『ニジガクの七不思議』……?
すごいでしょすごいでしょ! ワクワクするーーー!!
っと、ここでは静かにしなきゃだね……
ほら、見て見て、これがニジガクの七不思議なんだって
「真夜中に響く音楽室のピアノ」「学園内を疾走する人体模型」
「真夜中、異世界に繋がる教室」「四次元に連れて行かれる階段」
「無人の体育館に木霊するボールの音」「花壇の上の黒いモヤ」
「真実の姿を写す鏡」
全部おもしろそ~~~~~!! 見たいっ!!
ええ!? 異世界とか四次元とかに連れて行かれちゃうよ!?
愛さん異世界も四次元も興味ある~!
あははっ、愛ちゃんって本当に「楽しい」に弱いんだね
おっ、改めてわかってくれたみたいだね?
そーなの、愛さん楽しいこと大好きなんだ~!
君はどう? ワクワクしない?
……確かにワクワクしちゃうね!
ちょっと怖いかも……
……確かにワクワクしちゃうね!
ちょっと怖いかも……
でも興味もある!
この「真実の姿を写す鏡」っていうのが気になるな
「真実の姿を写す鏡」だね。説明文を読むと……「調理室、理事長室、
視聴覚室、保健室、部室の順に全部の扉に触れてから鏡を覗くと、
そこに真実の姿が写し出される」……だって!
……それってもしかしたら、
記憶を失ってない私の姿が写る可能性……あるかもしれないよね
だとしたら試してみたい……
じゃあ、愛さんと試そうよ。
愛さんも自分の真実の姿っての見てみたいし!
ほんと!?
ほんとほんと!
ニジガクの七不思議を暴くぞーーー!
うーん……
どうしたの、愛ちゃん?
いや、ニジガクの七不思議なんだけどね、
不思議なことが起こる時間が書いてないやつは
夜限定じゃないかもと思っていくつかまわってみたんだ
でも何もなくってさあ。やっぱこういうのってとくに時間が
書いてなくても真夜中限定なのかなあ?
うーん……やっぱりそうなんじゃないかな? 昼間に学園内を疾走する
人体模型なんて目撃されてたら絶対動画上がってそうだし
だよね~~~! んじゃ真夜中に行くしかないかあ……
いつもは特に感じないけど……七不思議を探しに行くと思うと、
夜の学園ってちょっと怖いね……
あはは……確かに……
でもっ! 愛さん探検隊は前進あるのみ! 行くぞーーー!
ま、待ってーーー!
どこから行こうか。真実を写す鏡は最後に取っておきたいし……
んー、歩いてるうちに人体模型は見かけることもあるかもしれないね。
学園内を疾走、だから
たしかに。じゃあ教室系から行こっか!
まずは「真夜中、異世界に繋がる教室」と「真夜中に響く音楽室のピアノ」で、その後は「四次元に連れて行かれる階段」と「無人の体育館に木霊するボールの音」
階段ってどこかわかってるんだっけ?
うん、書いてあったよ。一段飛ばしで屋上に繋がる階段を登ると、扉の先が四次元なんだって! ワクワクするーー! 行こう!
異次元に繋がる教室、音楽室のピアノ、四次元に行く階段、体育館に響くボールの音……
ドキドキしたけど何もなかったね……
ないね~! でもすっごく楽しい~!
さ、次は「花壇の上の黒いモヤ」だよ
それはどういう内容?
えーとね……「真夜中、花壇の上に黒いモヤが出る。そのモヤを
QRコードで読み取ると、そのモヤに取り込まれてしまう」だって
消えちゃうってこと!? やだなあ……
愛さんがついてる、って! ほら、探してみよう
うう……
あ~、七不思議ってロマンだよねえ。愛さんも七不思議以外でいいから
何か不思議体験できないかな。そしたら新しい不思議を増やして
ニジガク八不思議にするのに
あっ、今何か聞こえなかった!? ニジガク八不思議になるかも!
ええっ!? 怖いこと言わないでよ~!
今のはたぶん、風の音だと思うんだけど……
ええっ!? 怖いこと言わないでよ~! 風じゃない?
今のはたぶん、風の音だと思うんだけど……
風かなあ?
だってほら、ちょっと空模様がおかしくなってきてるよ
雨の匂いもしてきてるし……
え? ……くんくん……ほんとだあ……
あれ、今向こうの雲の隙間光ってなかった?
え!?
雷来ちゃうかなあ……
ええ……
雨が来るまえに、なかに戻って真実の鏡を探そっか
う、うん! そうしよそうしよ!
えっと……これで調理室、理事長室、視聴覚室、保健室の扉は
触ったよね
う、うん、だね
なんか雨の音すごいね。廊下まで聞こえてる
そうだね……
じゃあ、部室に行こうか? あとは部室の扉だけだから
うん
(なんか愛ちゃん元気がないな……どうしたんだろう?)
部室のドア、触った……!
愛ちゃん、これで鏡に真実が写るんだよね!
あー、えーと、そ、そうだね! これで写るはず……
せっかくだから、レッスン室の大きな鏡を見る?
それもいいかも―
うわああああん!!
やだやだやだーーーーー!
あ、愛ちゃん!?
雷さまが来ちゃう! おへそ取られちゃうよー! 君も隠してーーー!
え? って、わああ!?
はっ……! 抱き着いちゃって、ご、ごめん!!!
ううん、大丈夫。愛ちゃん、ちょっと場所変えよう
ここなら防音されてるし大丈夫かな。愛ちゃん、落ち着いた?
う、うん……
あっ、ごめん! ずっと手繋いだままだった……
もうちょっとこのままにしとく?
……うん、お願いします
……雷苦手だったんだね
うーーー……、このことは忘れたままでよかったと思ってたのに
なあ……バレちゃったか
雷は簡単に落ちないしおへそだって取られない、って
頭ではわかってるの。でもなんかダメで……
人間誰しもダメなことはある!
愛ちゃんの場合はそれが雷ってだけだから気にすることないよ
私もわかったから次からはサポートするよ!
あはは……サポートって何をするの?
うーん、そうだな……
あっ、愛ちゃんの気が紛れるようにダジャレを言うとか!
それ……
ん?
前に君と話したんだ。雷の時間はダジャレの時間って
思えば雷のこと好きになれるかも、って
えっ……
いや、それはさすがに……
だったらすごい!
いや、それはさすがに……
あははっ、前もそう言ってた!
でね、愛さんはこう言ったの。「次の雷がきたらわかる」って
君が正解だったね
さすがだよ!
だったらすごい克服方法だね!
あははっ、前もそう言ってた!
でね、愛さんはこう言ったの。
「ダジャレは世界も愛さんも救ってくれるんだな~」って
でもまあ現実はそう甘くなかった! あははっ!
ねえねえ、鏡、見てみない?
扉は全部触ったし、今覗けば真実の姿が写るはず!
でも私、鏡持ってない……
愛さんの手鏡でいいっしょ! ほらほら、見てみよ!
せーの、でいくよ~
せーーーの!
…………
ん~……?
これが、私たちの真実の姿……?
まじでこれは真実かも!
だって今愛さんめちゃめちゃ楽しい気持ちだよ。
その通りの顔が写ってる! 君は?
あははっ、私も同じ! ワクワクした顔してる!
これはまぎれもない真実の鏡です!
だよね~~~!
愛さん、図書委員の子に報告するよ。
ニジガク七不思議には、たったひとつ本当のことがあります!
都市伝説じゃありません、って!
いっぱい買っちゃったー!
私も!
愛ちゃんに選んでもらったキャップ、大切にするね
たくさん歩いたし、疲れてない? 大丈夫?
愛ちゃんに選んでもらったキャップ、大切にするね
大切にもしてほしーけどたくさん使ってもほしいな!
今の服にも合うから被っちゃいなよ
じゃあそうする! ……どうかな?
きゃーっ、プリティー! キャップだけに!
あははは! 愛ちゃんそれ言いたくてコレ選んだ!?
いやいや、ちゃんと似合うと思ったんだって~
たくさん歩いたし、疲れてない? 大丈夫?
愛さん体力には自信あるから大丈夫!
でもちょっとお腹減っちゃったね
確かに。買い物に集中しすぎて何も食べてないもんね
あっ、ねえねえ、ここのドーナツ屋さんおいしいんだよ。買ってく?
愛ちゃんのおすすめなら食べたいな。どれがおすすめ?
えー、どれもおいしいんだよね、ここ。
このドーナツどーなつってるんだ~、ってくらいに!
あはははは! もうやめてー!
まだまだいくよ~!
もうお腹いたいよ~
ダメダメ、だって愛さんとの新しい思い出いっぱい
作らなきゃなんだから!
ん~、タンスぱんぱんになっちゃったな……
まあいっか! 今日の買い物楽しかったしオッケーオッケー
あ、写真の整理しとこ~。ツーショもいっぱい撮ったから
あの子に送らなきゃね
……えへへ、どれもいい写真だな~。次は動画も撮ろっと
あっ、そういえば前に原宿行った時の写真シェアしてなかったや!
あの時も結構撮ったんだよねえ……
…………
……あはっ、ほんとすっごい枚数あるなあ
あの子に誘われてスクールアイドルになってからの写真、
こんなにあったんだあ……すごいな
あの子との思い出、こんなにあるのに……
もうあの子とは共有できないなんて……
やっぱ、寂しいよ……
お疲れ様ー……あれ、愛ちゃんひとり?
うん、みんなはランニングに行ったよ
アタシはちょっと君に話があって残ったの
話? あ、また七不思議探す? 人体模型にはまだ会ってないし
四次元にも異次元にも行けてないもんね
あははっ、そうだね、それもしよう! でも今日はそうじゃなくて
あのさ、前買い出しに行った時に言ってくれたでしょ?
全部忘れちゃってる自分で大丈夫か、気にならないか、って?
で、愛さんは寂しいけど仕方ないよ、
それより新しい楽しい思い出いっぱい作ろうよ、って言って……
うん
あれ、半分本当で半分嘘かも
昨日ね、今までの同好会の写真見てて思っちゃったんだ。
こんなに楽しい思い出があるのに、
もう君と共有できないんだなあ、って
アタシね、君と一緒に楽しいね、って笑ってる時間が好きだった。
君と同じ気持ちを共有できてる時間を大切に思ってた
あれだけの思い出が愛さんだけのものになっちゃうのは、
やっぱり寂しいんだ
君とこれからたくさん楽しい時間を作っていくのも、
今までの時間を思い出すのも、全部一緒がいい
だからね……だからライブをして、君に愛さんの歌を届けるね!
愛ちゃんのライブ!? 嬉しい!
君と愛さんの始まりが全部詰まった『めっちゃGoing!!』を
キミに届けて、それで思い出してもらうんだ!
こっちこっち~
う、うん
はい、ここ座って~
はい
ん~、ポカポカだね~
……あの、彼方さん、部活に行かないの?
今日はちょっとだけ遅刻していこうかな~と思いまして
だってこんなにいいお天気だからね~
ほらほら、ごろんしちゃお
ふあ~、風が気持ちいいねえ……
ほんとだ……
部活に行くまえに、ちょ~っとだけお昼寝しよっかぁ
うーん……
目を閉じるだけでも休まるから、ね?
うん……
……ちょっといいかな?
わあっ!? な、なに? 私の顔に何かついてる!?
眉間がぎゅーってなってるよ。マッサージしちゃお……もみもみ
いっぱい考えちゃってるんだよね、きっと
あなたって根が真面目だからね~
よし、揉みほぐせました!
今は悩んでも仕方ないよ。ゆっくり思い出していけばいいし、
思い出さなくてもいいしね~
そんなゆるゆるでいいのかな……?
とは言っても……
そんなゆるゆるでいいのかな……?
いいのいいの
とは言っても……
いいからいいから~
ふああ……。ほらほら、お昼寝しよ~
すやあ……
さあさあ、召し上がれ~
うわー、おいしそう! これ彼方さんが作ったんだよね?
そうだよ~。今日は作りすぎちゃったから食べるの手伝ってね
彼方さんってお料理上手なのに、そんなこともあるんだね?
たまにはね。今日は考え事しちゃってついつい~
なにか悩み事?
悩み事じゃないよ、夢診断のこと考えてたの
夢診断って知ってるかな?
夢占い……とは違うの?
初夢に富士山を見ると幸運になるとか
おお、彼方ちゃん夢占いも好き~!
でも夢占いとはちょっと違うんだ
夢診断、っていうのは心理学に近いものだったりするんだな。
夢から潜在意識のヒントを見つけ出して自己分析したりなんやかや~
いろんな学者さんがいろんな説を唱えてるんだよね~
えっ、そんなメジャーな学説なんだ!?
夢は奥深いからねえ。何十万年も昔から人は夢をみているんだよ。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスだって夢について
見識を述べているのです……
古代ギリシャ!?
すごいよね~
彼方ちゃん、お昼寝するといろんな夢を見るんだけど、
その夢に何か意味が隠れてたらおもしろいな~と思って調べてるの
夢には自分の素直な気持ちが隠れてると思うんだよね。
だから、彼方ちゃんは夢診断で自分の気持ちを分析しているのです!
夢診断してわかったことってある?
ん~、まだ研究中。でも、彼方ちゃんの夢には小さい頃の遥ちゃんが
出てくることが多いから、あーやっぱ彼方ちゃんは遥ちゃんのこと
好きなんだな~って思ってるよ!
この前なんかね、小さい彼方ちゃんと遥ちゃんが迷子になった夢を
見たの。それをお母さんに話したら、昔本当にあったことよ、って
言われてびっくりしちゃった
彼方ちゃんも遥ちゃんもエンエン泣いてたから、
そのときの不安だった気持ちが深層心理に残ってたのかなあ
彼方さんは迷子になったときのことは覚えてないの?
うん、すごく小さいときのことだからね
でも、夢には出てきたんだ……
もしかしてだけど、私の夢にも何か隠されてたりするかな?
え?
何かの本で読んだことがあるんだけど、人間は脳の一部しか使ってない
らしいんだ。だから彼方さんも迷子になった記憶はない。
でも脳はちゃんと覚えてるから夢に出てきた……
って考えると、私の記憶も断片的にでも夢に出てきてたりして……
それはあるかも……
あなたは思い出したいと思う?
思い出したい……かな
脳が覚えてない方がいいかも~って判断して記憶に蓋をしちゃったの
かもしれなくても? 思い出したら辛くなっちゃうかもしれなくても?
それでも気になるよ
……やっぱりちょっと怖いかも
それでも気になるよ
……やっぱりちょっと怖いかも
でもそうは言ってられないと思うんだ
私、何も覚えてないのに彼方さんたちはみんなすごく親切で、
私のこと受け入れてくれてて……
それってすごく濃い時間を過ごして築き上げられたもの
なんだろうな、って思うから。そんなの忘れちゃうのは不誠実だよ
あなたって……ほんといい子だね~。よしよししちゃお
か、彼方さん!?
彼方ちゃんはずっとあなたの味方だからね
彼方ちゃん、あなたに協力するよ。一緒に夢診断しよう~!
さてさて、今日はどんな夢を見てきたのかな?
えっと……今日は見なかった……かな
えっと……普通に学校に行く夢
えっと……今日は見なかった……かな
んん~、怪しいなあ。ほんとに見てない?
えっと……普通に学校に行く夢
ふむふむ、学校で何したのかな?
ええと……学校では……その……
ごめん! 嘘ついちゃった! 学校に行く夢じゃないんだ!
夢診断には使えそうにない夢だから、また別の夢を見たときに話すよ
ええ~、言ってよお。夢診断できるかどうかは彼方ちゃんが判断します! さあさあ~!
……びに行く夢
え、もう1回言って?
彼方さんと放課後遊びに行く夢!
楽しいだけの夢見ちゃった……
ごめんね、なんの診断にもならなくて
うーん、これは……問題ですな
ごめんなさい!
あ、違う違う。そうじゃなくて、どんなデートをしたのかに、
何か深層心理が隠されてるかもしれませんな、ってことだよ~
え?
なので、夢のデートを再現してみよ~!
ええーー!?
お魚さんって気持ちよさそうに泳いでるよね~
彼方ちゃんもこんなふうにすいすい泳げたらいいのになあ
彼方さんがお魚になったら、フリルみたいなひらひらのヒレで
のんびり泳ぐ熱帯魚みたいな感じなんだろうね
夢みたいだね~
……んん?
でも、お魚さんになったらお布団で寝れなくなっちゃうよね
彼方ちゃん、お魚さんになっても、お気に入りの枕と
ふわふわのお布団は絶対手放さないぞ~!
水族館楽しかったねえ。夢の中だと次はどこに行ったの?
次は……ここみたいなテラスがあるカフェ
おお~
こういうところでパフェ食べてた
じゃあ彼方ちゃんたちも食べちゃおうか
何のパフェがいいかなあ
フルーツたっぷりもいいしチョコのもいいし……
どっちもおいしそうで選べないね
じゃあ、ひとつずつ頼んでシェアしよっか
え、いいの?
いいのいいの、彼方ちゃんとあなたの仲でしょ~
ありがとう。私、ほんとに仲良くしてもらってたんだね……
そうそう、あーんして食べさせあいっこするくらいね♪
ええっ!? 本当!?
ふっふっふ~
傘をさす夢は守ってくれる人が身近にいる……へえ、そうなんだ
水族館の水槽で泳いでる夢は自由になりたい気持ちがある……
やっほ~
あ、彼方さん
お、彼方ちゃんが貸した本読んでくれてるんだね?
うん。夢診断っておもしろいね。
何気なく見てる夢なのにいろんなことが隠されてるんだな~、って思う
そうそう、興味深いよねえ
で、昨日はどんな夢だった? 彼方ちゃんとまたデートしてた?
あはは、またそういう夢ならよかったんだけど……
なんか不思議な夢だったんだよね
どんな夢?
うーんとね、私は街を歩いてて家に帰ろうとしてるんだ。そしたら大きな虹を見つけるの。きれいだな、って見てたら虹がこっちに近づいてきて、追われてるように感じて逃げちゃうんだよね
追いかけてくる虹は、霧に覆われるみたいにだんだん薄暗い感じになっていってて……
それで走っても走っても家に辿り着けない……って感じ
あらら、ちょっと怖い夢だったんだね
うーん……夢の中の私は焦ってる感じだった
うん、怖かったな……
うーん……夢の中の私は焦ってる感じだった
うん、怖かったな……
この夢って「虹」がキーなのかなと思って本で探してみたんだけど、
悪い意味じゃないんだよね?
そうだね。大きな虹が出てくる夢は幸運、物事の好転を暗示してる、
って言われてるんだ~
そうだよね……
だけど、あなたが見た夢だと虹は薄暗くなっていっちゃったんだよね?
うん
好転するんじゃなくて停滞してる、ってサインなのかもしれないねえ
あと、逃げちゃった、っていう行動はストレスからの現実逃避の現れ
ってことから考えると……本当はいいことのはずが
なぜかいいことじゃなくなって、それがストレスになっちゃった……
みたいな感じなのかなあ
そうなのかなあ……
夢診断って答えはひとつじゃないからもっとあなたの状況に
ぴったりって感じられるものがあるかもしれないよ。
図書室に行って調べてみようか
そうだね、そうする
うーん……なんかあまりにも不穏な感じだよ~……
でも彼方ちゃん、ひとつだけわかったことがあるよ
え? どんなこと?
家に帰れない、って言ってたでしょ? これもいろんな意味が
あるんだけどその中のひとつは今のあなたに当てはまると思うの
「家に帰れない」っていうのは、ヘルプサインなんだよ
どうしたらいいかわからない状況で立ち往生してるってことだから、
それがわかれば周りがサポートしてあげられるの
小さなことでも気になることがあったら、何でも言ってね。
彼方ちゃん、全力でお手伝いするからね~!
彼方から聞いたわよ! アナタ夢診断をしてるんですって?
うん、夢には深層心理が隠されてる、っていうから、
自分のことがわかるんじゃないかと思って
でも、この前見た夢がちょっと不思議な夢だったんだよね
薄暗い虹のことですね
そうなんだ……
ねえ、夢の中の虹って、何かの兆候なんじゃなくて
ニジガクそのものを表してたりしないかな?
この子にとって何よりも身近な虹ってニジガクでしょ?
うーーーん……それもないとは言い切れないね
というか、その可能性のほうが高いかもしれませんね
その虹が霧に覆われて見える……そこから逃げてる、ってことは、
やっぱりスクールアイドルに関することで何かあった、って
ことかしら?
私たち……先輩に何かしてしまったんでしょうか
えっ、待って待って! それは絶対ないと思うよ!?
覚えてないけどそれだけは絶対だと思う!
だって、みんな記憶がない私にもすごく親切で優しくて
すぐ受け入れてくれて……そんなみんなが何かするなんて
ありえないもん!
落ち着きなよベイビーちゃん、
そんな立ち上がって演説しなくても通じてるから
あ……ごめん
ふふっ、庇ってくれてありがとう
庇う、っていうか……絶対それだけはないから! 信じて!
あーん、先輩! 記憶がなくてもかすみんたちのこと
信じてくれるんですね! すきすきっ!
でも、じゃあ本当に何があったんだろうねえ
歩夢先輩は気づいたことありませんか?
先輩が倒れる前の日、何かあったんじゃないですか?
前の日……あの日はニジガク初のテレビ中継のライブがあったよね
えっ!? テレビ中継!? すごいね!!
あなたもいろいろ手伝ってくれて実現したのよ
そうそう! 先輩かすみんのこと1分1秒ごとにかわいいね、って
言ってくれてましたしね!
盛るのやめなよ、ベイビーちゃんが本気にするだろ
言ってないけど思ってくれてたはずだもんっ!
まあまあ、それは置いておこう、かすみちゃん
むーー!
(テレビ中継かあ……なんかほんと、みんなってすごいな
雲の上の人ってこんな感じなのかなあ)
……大丈夫?
え? 何が?
ううん、何もないならいいんだ~
遅くなっちゃった……早く帰ろうっと
あれ? 彼方さん?
おつかれ~
まだ帰ってなかったの?
うん、やり残したことがあってね
……夢の話、みんなに話さない方がよかったかなあ?
みんなで力になれたらと思ったんだけど、
知られたくなかったかもと思って……
いろんな見方ができたほうがいいと思うし
みんな親身になってくれたし
え、全然いいよ! いろんな見方ができたほうがいいと思うし
あはは、気にしてないよ。みんな親身になってくれたし
でも、もやもや~ってしてなかった?
もやもや、っていうか……みんな、テレビ中継までするすごい
スクールアイドルで、今までの私はどうやって付き合ってきてた
のかな~とは思った……
彼方ちゃんたちをすごいスクールアイドルにしてくれたのは
あなたなんだよ
だから彼方ちゃんたちはあなたのことが大好きなの
それは前も今も変わらないよ
彼方さん……
あとね、はい、これ
? お手紙?
うん、帰ったら見て
それとね、ちょっとこっちに来て~
え? ……わあっ、何!?
いい夢が見られるおまじない……。ぎゅ~!
記憶喪失って本当にあるんですね……
って、ごめんなさい! あなたは大変な思いをしているのに、私……
あはは、気にしないで。私も本当にあるんだなあ、って思ってるし
なんか変な感じなんだよね。記憶がないって大変なことだと思うんだけど、痛いところがあるわけでもなくて普通に元気で変わったところなんてないんだもん
だけど、せつ菜ちゃんから見たら私は全然別人になっちゃったでしょ?
だからせつ菜ちゃんのほうが困惑してるよね
困惑……
そうですね、それは……しています
でもあなたはあなたです。雰囲気が変わったわけではないですし、
自分のことより私たち周りを気遣ってくれています。
そこは前と同じです
……あっ
? どうしたの?
い、いえ、なんでもありません!
……なんでもない、って顔じゃないなあ。言ってみてよ
いえ……こんなときに、不謹慎ですから……
いいからいいから
……うう、いいんですか、本当に言っちゃいますよ!?
聞きたい!
実は、ですね……。ついこの間、主人公の親友が記憶喪失になって
しまったアニメを……見たな……、と……
す、すみません! やっぱり言うんじゃありませんでした!
アニメ? ああ! そういえば、せつ菜ちゃんってアニメとか小説とか
マンガが好きなんだよね。前もらったお手紙に書いてくれてたよね
…………参考になるかな?
え?
そういう作品って、最後には記憶を取り戻すんだよね?
なにがきっかけになるのか、とかの参考になるんじゃないかと思って
……どうなんでしょう?
お医者さんは普通の生活を続けていくことも大事、って言ってたけど、
それで絶対思い出せる保証はないわけでしょ?
だったらそういう作品を見るのもアリかなと思うんだ
せつ菜ちゃんが「これは!」と思う作品があるなら教えてくれない?
そういうことでしたら……
そういうことでしたら! ぜひ私にお手伝いをさせてください!
実を言うと、作品のキャラクターが記憶を失うという物語は
いろいろあるんです!
ピンチの際に記憶が戻るもの、愛を感じることで記憶が戻るもの、
夢で以前の記憶を見るもの……
私がこれは珍しい!と思ったのは、ご飯を食べていてほっぺの内側を
噛んでしまった瞬間に記憶が戻った作品ですね!
思わず「そこで!?」と叫んでしまったのですが、たしかにほっぺの
内側を噛んじゃうのってとても痛いですし! それに―
あはははっ!
あっ……
せつ菜ちゃんって本当にアニメとかが大好きなんだね!
せつ菜ちゃんっておもしろいね!
せつ菜ちゃんって本当にアニメとかが大好きなんだね!
せつ菜ちゃんっておもしろいね!
す、すみません……つい熱く……
ううん、なんかこっちも元気出た。いろいろ教えてね、せつ菜ちゃん!
……っ、はい!!
あははは! おもしろかった~!
ほっぺの内側を噛んで記憶を取り戻す話、最高だったね!
ふふっ、あれはイチオシです!
私も好きになった!
とはいえ、さすがにあのお話はヒントにはならないですよね……
他に、今日見た中で気になったものはありましたか?
そうだなあ……。なんか、引っかかったのは「自分の嫌なとこから
目を逸らしたいっていう強い想いが記憶喪失の原因」だったやつ……
あの話、他の全部は覚えてるのに目を逸らしたかった「自分」のことだけを忘れちゃってたでしょ?
そこ、ちょっと私と似てるなと思ったんだ。
私、同好会の部長としての自分から目を逸らしたかったのかな……
そう……なんでしょうか
私たちの何かが、あなたにすごいストレスをかけてしまっていたのかも
しれません……
すべてを忘れたいと思ってしまうような……
…………
でもね、今、みんな私に良くしてくれるでしょ?
学内であったら声かけてくれるし、私が声をかけても話してくれるし
全部忘れてるくせに部室に行っても歓迎してくれる
同好会に行くの、楽しいよ?
それなのに、同好会が原因なのかなーとも思う
それでも、可能性としては一番高いと思います
そうかもしれないけど……
そんな顔をしないでください。これはチャンスかもしれませんよ!
私たちが原因なのであれば、
私たちで解決することもできるのではないでしょうか!
せつ菜ちゃん……
私も、何がいけなかったか考えたいと思います。
だから、あなたも自分自身の心に問いかけてみませんか?
自分の内側を深く掘り下げてみましょう!
う、うん……。やってみるね
ちょっと怖いな……
う、うん……。やってみるね
ちょっと怖いな……
だけど、なにごとも試してみなきゃだよね
やってみるよ
そうと決まればキャンプの準備です!
え?
自分との対話……それには森と星、
キャンプファイアーの炎がなくては始まりません!!!
ええっ!?
キャンプの準備はお任せください。私、経験があります!
じゃあ……お願いします……
では、早速買い出しに行きましょうーー!!
はあ……はあ……
大丈夫ですか?
頑張る~。せつ菜ちゃん、よくこんなところ知ってたね?
キャンプも趣味なの?
趣味……とまではいかないんですが、最近キャンプの楽しさを知って
興味を持ったところです
そうなんだ
以前、バスケ部の部長さんと2年生のみんなとで
来たことがあるんですよ
……もしかして、私も?
そうなんだ
……もしかして、私も?
そうなんだ
あなたも一緒だったんですよ
私も?
はい。スクールアイドルファンサイトというところから
「あなたの夢中を教えてください」という企画依頼をいただいたんです
私たちが今ハマっているものについて動画を撮って、
それをファンサイトに掲載する、というものでした
ちょうどその頃アウトドアに興味があったので、
じゃあキャンプに行こうということになりまして
そうだったんだ。その時は何したの?
釣りをしたり、食用の野草を探したり、バーベキューに
キャンプファイアー、満天の星空のもと語り合ったりもしましたし……
とにかく、とっても素敵な時間を過ごせました!
今回は自分の内側を見つめ直すことが目的ですが、
またあなたと来ることができて嬉しいです!
おなかいっぱい……
大自然の中だと、レトルトのご飯もおいしいですね
本当はちゃんとお料理をしたいところですが、
今日は目的があるので……
うん
……ほんと、なんで忘れちゃったのかな
同好会のみんなは優しいし、みんな仲良くて雰囲気もいいし、
今日だってせつ菜ちゃんとすごく楽しめているのに
今のあなたは、記憶がないというか、スクールアイドルを知る前の
状態に戻った感じですよね
その頃のあなたを、私は知りません。だから教えてもらえませんか?
スクールアイドルを知る前に好きだったこと、夢中だったこと……
好きだったこと、夢中だったこと……かあ。うーん、そうだなあ……
授業は……まあ苦手科目は別として基本的に楽しいよね。ピアノを弾くのも好き。歩夢ちゃんと出かけるのも楽しいし、あとは……
あとは……なんだろ? 思いつかないけど、
別に日常に不満はないし、普通に生活してたよ
これって……変なのかな?
好きでたまらないとか夢中で止まらないとか、せつ菜ちゃんはある?
あります。私にとってのそれは、スクールアイドルです
……と、今なら胸を張って言えますが、昔の私は違いました
私、中川菜々と優木せつ菜を使い分けていますよね?
うん、そうみたいだね
どうしてだと思いますか?
どうして? そうだな……
せつ菜ちゃんは戦隊ヒーローとか好きだから……変身願望?
ふふっ、今はそういうところもあります。でも最初は違うんです
中川菜々は優木せつ菜を隠していたんです。
中川菜々は両親の期待通りの優等生であらねばならない、
スクールアイドルなんてもっての他でした
優木せつ菜は中川菜々にとって必要ない存在、だけど私はどうしても
優木せつ菜を捨てることはできませんでした。
だから隠していたんです
せつ菜ちゃん……
でも、隠し事って辛いです。大好きな両親に嘘をついていることに
なるんですから……。しかもそれが心苦しくて告白したら
両親と喧嘩をしちゃいましたし
両親を説得できるような説明ができなくて、
私は家出したんです。逃げてしまったんです
その節は……同好会のみなさんにも迷惑をかけてしまって……
そんなとき、あなたが言ってくれたんですよ。
「それじゃあ、せつ菜ちゃんの気持ちはわかってもらえないよ。
私が思うせつ菜ちゃんのすごいところは、自分の気持ちを相手に
伝える力があるところだよ」
「大好きなことを、まっすぐに大好きって言って、それが心からの
言葉なんだってわかるくらいまっすぐ私たちに向けてくれるのって
本当にすごいと思う」
「私はそんなせつ菜ちゃんの力に圧倒されているよ。そういうことを
ご両親にも伝えてみようよ。それでせつ菜ちゃんの大好きって気持ちを
わかってもらおう」って
私が……?
(そんな熱い説得の台詞を、私が言ったの……?)
はい! あなたの言葉のおかげで、私は両親と仲直りできましたし、
今ではスクールアイドル活動も応援してくれているんです!
あなたは私を変えてくれたんです! 恩人です!
私にとって、あなたはなくてはならない人になったんです!
(……せつ菜ちゃんって、本当に情熱的な子なんだな)
(そんな子が、私のためにここまでしてくれてる……)
(私……思い出したい。思い出さなきゃ!)
おはよう!
あら、今日は早いのねえ
それに元気いっぱいだね~
はあ、はあ……
やっと追いついた~
あ、ごめん、歩夢ちゃん……
ふふふっ、気にしないで。前のあなたに戻ったみたい
あ、そのことなんだけど……。あのね、みんなに聞きたいんだ。前の私ってどんな感じだった? ここでどんなことをしてたんだろう……?
そんなの決まってますよ! スクールアイドル・中須かすみの大ファンで毎日毎秒かわいいねって言ってましたよ!
言ってない
ま、毎秒は言ってないかもだけど、結構な確率では言ってたもん!!
ランジュの最高で最強のパフォーマンスに酔いしれてたわよ!
これは本当!
私のセクシーで情熱的なパフォーマンスにも釘付けだったわよね
愛さんといーっぱい楽しいことしたよねっ!
私の世界観に浸ってくれてました!
あなたはここで部長として、一番近くで私たちを支えてくれてたんだよ
うんうん、あなたがいてくれたからこそ実現できたことが
たくさんあるよ!
それに、全員分の練習メニューを作って、その見直しも
よくしてくれてた
体力ギリギリで走り切ったと思ったら翌日はランニングの距離伸ばして
くるんだもん。そんな細かく見なくてもいい、ってくらい見てたよね
あなたが作ってくれる曲は不思議でした。
私たちの想いが全部表現されていて……
だから私たちも100%の気持ちを乗せて歌えるんです
彼方ちゃんたちがなんとなーく思ってて、
でもうまく言葉にできなくてもどかし~ってところが
歌詞になっててびっくりしちゃうんだよね~
かすみさんの言葉を借りると、
毎日毎秒私たちを見つめてくれていたんです。
あなたのスクールアイドル愛には、驚かされてばっかりでした!
……それ、本当に私なのかな?
間違いなく、あなたです!
アナタはここの部長だもの! ねえ、前みたいに活動してみない?
そうですよそうですよ!
頭では覚えてなくても体が覚えてるって言うじゃないですか!
ステップの練習するからさ、見ててよ!
フォーメーションの練習も見てほしいな~
ま、まって! 今の私じゃ無理……だよ
みんなをがっかりさせちゃう……
私がスクールアイドルに夢中だったことはわかった。
みんなに信頼してもらえてたのも。でも今の私は……
ごめん、ちょっと考える時間をちょうだい!
ちょっと……強引になっちゃいましたね
私たちが焦っちゃダメよね
でも、希望は見えた気がします
あの方は誠実な方です。考えがまとまったら、
きっと話してくれるはずですよ!
ちゃんと知りたいって思ってるのに……!
みんなの期待が重いよ~~
ああ~~! なんで逃げちゃったのかなあ!
ちゃんと知りたいって思ってるのに……!
みんなの期待が重いよ~~
でも、それだけ信頼してもらえてるってことだ
(あれだけ言ってもらえるってことは、私ものすごくスクールアイドルにハマってたんだよね。それは間違いないと思う)
(なのに、なんであと一歩踏み込めないんだろう……)
(わからなくてもわからないなりにやりようはあるはずだし、
絶対みんなサポートしてくれるはず。
だから練習を見るくらいしてもいいのに……)
(なんで怖くなっちゃったのかな……)
もしもし、せつ菜ちゃん、今いいかな?
もちろんです。どうかしましたか?
あ、今日のことを気にしているのであれば大丈夫ですよ
みなさんわかってくれていますから
うう……何もかもサポートしてもらってごめん……
私、キャンプのときにせつ菜ちゃんの話を聞いて、
ちゃんと思い出したい、って思ったんだ。
だから今日、みんなに前の自分のことを聞いたの
なんか……みんな、すごい人のことを話してるみたいだった。
私じゃない誰かのこと
でも、私のことなんだよね。だったら私も前と同じとまでは
いかなくても、今の自分にできる範囲でサポートしたい。
そう思ってはいる。だけど……
なんだか……怖くて……
記憶喪失の原因、本当にスクールアイドルに関してのことなのかも
でも、それでも私、思い出さなきゃ。
思い出して、向き合いたい。ちゃんと乗り越えたい
……あなたがそう決めたなら、私は全力でお手伝いをするだけです
任せてください!
……と、いうことがあったんです。なので、みなさんとも
相談をさせていただきたいと思いまして
怖くなっちゃった、かあ……
スクールアイドルのことが原因だったなら、
またスクールアイドルに関わるのは怖くなっちゃうよねえ
でも、あの子の応援がないのは寂しいよ……
ランジュもよ。あの子が喜んでくれるとやる気が出るのよ……
怖いけど思い出したい、って言ってくれてるんだよね?
わたし、それがすべてだと思うの
あの子がどれだけスクールアイドルに夢中だったか、
みんな覚えてるでしょ?
もちろんですよ!
エマの言う通り、「怖いけど思い出したい」がすべてだよ
ベイビーちゃんの中で、スクールアイドルを怖いと思う気持ちと
好きだって思う気持ちが戦ってるのなら、戦わせてみてもいいと思う
私もそう思います
だって、きっと勝つのはスクールアイドルが大好きだ、って
気持ちに決まっていますから!
そうなるわね
私……ライブをやってみようと思います
あの方のスクールアイドル愛が圧勝するようなライブを!
みなさん、協力してください!
あ! 先輩!
しずくちゃん……と、璃奈ちゃん、栞子ちゃんも。どうしたの?
あなたに、招待状を届けにきました
招待状?
せつ菜さんのライブ
せつ菜ちゃん、ライブするの!?
すごいライブになると思いますよ!
……うん!
(せつ菜ちゃん、急にどうしたんだろう……?)
……うん!
(せつ菜ちゃん、急にどうしたんだろう……?)
ええと、これで備品の買い物は全部できたよね
うん、意外と早く終わったね
ちょっと休憩して行かない?
こんなにお天気がいいと……彼方ちゃん……
すやあしたくなっちゃう~……ふああ……
ええ!? こんなところで寝られるの、彼方さん!?
それが彼方ちゃんの特技なのです~
ねえねえエマちゃん、彼方ちゃんに歌って~
ふふっ、いいよ~
お膝枕もしてあげるね
わ~い! おじゃましま~す……すやあ……
(えええ……どうなっちゃうの……!?)
はい、きらきら星でした~。次は何がいいかな?
うさぎとかめさんのおうた!
あれ?
(うわ! いつの間にか子供たちが集まってきてる!)
うさぎとかめさんのお歌だね、いいよ~。他にはあるかな?
とけいのうた!
やぎさんゆうびん!
とけいのうたとやぎさんゆうびんだね。みんなも一緒に歌おう~!
遅くなっちゃったね~
子供たちからのリクエストが止まなくてすごかったね!
聴き入っちゃった!
子供たちからのリクエストが止まなくてすごかったね!
聴き入っちゃった!
それに、いつもあんな風に子供たちに囲まれちゃうの?
ふふっ、エマちゃんが歌うといつもあんな感じのミニライブになっちゃうんだよ~
ライブ……? あれもスクールアイドルのライブになるの?
そうだよ~
そうなんだ……。ああいうライブも、なんていうか……
スクールアイドルの定義……の範囲なの?
スクールアイドルの定義……?
うーん……定義があるのかはわからないけど、
わたしの場合はそうなんだ
歌いたいわたしがいて、聴いてくれるみんながいて、
それでみんなが楽しくつながることができたら、
それはスクールアイドルのライブなの!
そうなんだ……。すごいね、スクールアイドルって自由なんだ!
そう、自由なんだよ! 自分の好きなことがなんでもできるの!
いいね、そういうの。
私、今日みたいなライブがあったらまた参加したいな。
エマさんの歌ってなんだか懐かしいような不思議な気分になる……
あなただけのライブもしちゃうよ
え~、彼方ちゃんも混ぜてほしいんだぜ~!!
あははっ、ごめんごめん。ああいうライブなら、
いつでも誰のためでも、喜んでやっちゃうよ~!
やったーーー! 最前列が当たったよーーー!
え、なになに? 何の最前列?
スクールアイドルのライブ!!
新しくできたスクールアイドルの初ライブなんだ!
スクールアイドルが大好きって言ってたもんね
スクールアイドルのライブも観に行くんだね
わあ、よかったね!
エマさん、スクールアイドルが大好きって言ってたもんね
そうなの! 覚えててくれて嬉しいな
そりゃ覚えてるよ。あんなに熱く手紙に書いてくれてたもん
えへへ、つい情熱のままに……
エマさん、スクールアイドルのライブも観に行くんだね
うん! わたし、スクールアイドルが大好きなの!
ねえ、エマさんがそんなにスクールアイドルにハマることになった
きっかけって何?
きっかけは1本の動画だよ。小さい頃にね、吹雪の晩ひとりでお留守番
しなきゃいけないことがあったんだ。でも吹雪の音が怖くて、
気を紛らわそうとしてネットで動画を見ていたらね……
わたし、出会っちゃったの!!
怖さも不安も全部どこかに行っちゃって、
その世界に引き込まれちゃうスクールアイドルに!
そうなんだ……エマさんにとっては救世主みたいなものだったんだね
ふふっ、だから一生懸命勉強して日本に来たんだよ
日本に来て、そのスクールアイドルには会えたの?
本人には会えてないけど、その曲と想いをを引き継いだ人には
出会えたよ
それでね、その人はわたしにそれを引き継がせてくれたの
えっ!? ということは、エマさんがスクールアイドルに憧れたきっかけになった曲が、今はエマさんのもの、ってこと?
今は、ね。この曲と想いは、これからも引き継がれて
ずっと残っていってほしいな
わたしが歌わせてもらってる間は、精一杯それを表現して、
たくさんの人に伝えていきたいと思ってるの
永遠に引き継がれていく曲と想いか……
すごく素敵だよね、そういうの
スクールアイドルを好きな人たちって、
スクールアイドルに傾ける愛情が深いよね
……あなたも、同じだったんだよ?
え?
あなたも、わたしと同じくらいスクールアイドルに愛情を
傾けてくれてたよ
……ピンとこないな。確かに今、スクールアイドルって
素敵な文化なんだな、って思ってるけど……
ピンときてなくてもいいよ。そうだったんだな~って
思ってくれればいいの
エマさんは、私の記憶が戻らなくてもいいの?
記憶が戻るなら戻ったほうがいいけど……。でもわたしは、
あなたが無理をしたり辛い思いをするくらいなら今のままでいいよ
あなたがそばにいてくれることが大事だから
おはよう~……あれ、今日は早いね?
あ、おはよう、エマさん
ん? それって……
あ、ごめん、部室にあったアルバム見せてもらってたんだ
同好会のアルバムなんだから、見ていいんだよ~
いい写真ばっかりでしょ?
うん……私もすごく楽しそう。もっと知りたくなっちゃったな、
スクールアイドルのこと
自分の記憶のことも気になるけど、スクールアイドルのことも
同じくらい気になるし、知りたい……
スクールアイドルのことを知ったら、記憶も戻るかもしれないし!
だからエマさん、私にスクールアイドルのこと教えてもらえないかな?
もちろんだよ!
わたしのこと頼ってくれて嬉しい! わたしに任せて!!
いらっしゃい~!
お邪魔します。寮のラウンジってこんな感じなんだ……
普段来ることないから知らなかった
ふふっ、他の場所も案内したいからこれからもどんどん遊びに来てね!
それで、今日はどうする?
スクールアイドルフェスティバルの動画は全部見たんだ。
すごくワクワクした! それでね、リンクにあったスクールアイドル
ファンサイトっていうところも見たんだけど
みんな楽しい企画をやってたんだね。
それにμ'sとAqoursの企画もおもしろかった!
スクールアイドルフェスティバルのステージもそうだったけど、
やっぱりこの2グループってすごく心が惹かれる……
μ'sとAqoursのみんなもあなたのことをよく知ってるんだよ?
ええっ!?
嘘だと思うなら連絡してみる?
連絡!? いや、まだ私、スクールアイドルの勉強中だから!
もっと詳しくなってからで!
みんなあなたのこと心配してるから、
声を聞かせてあげると喜ぶと思うんだけど……
私ももちろん話してみたい……けど、今は落ち着いて話せそうにないからもうちょっと待って、って言ってもらってもいいかな?
わかった。そう伝えておくね
あ、でもファンレターは出したいかも……
あははっ、きっと喜ぶよ~! じゃあ、わたしも書こうかな!
ちょっと待ってて、部屋から便箋持ってくる!
本当にたくさんの映像が残ってるんだね……
うん、あなたがたくさん撮ってくれたからね
あ、このカット……
わかるなあ、今の私でもエマさんのライブなら
この角度で撮りたいって思うもん
ええ!? こ、これはちょっと恥ずかしいんだけどな……
でも、まっすぐ見つめてもらえると
なんだかホッとするっていうか安心するっていうか……いい!
……今のあなたにも、そう思ってもらえるんだね
え? ごめん、映像に夢中で聞こえなかった
誰だって同じように思うよ!
え? ごめん、映像に夢中で聞こえなかった
ううん、いいの。それよりもっと映像を見てほしいな!
誰だって同じように思うよ!
エマさん、今日はどうしてここに?
あっ、ここでライブするとか?
だったら私、記録撮影頑張るよ!
じゃあ子供たち呼んでこようか?
だったら私、記録撮影頑張るよ!
じゃあ子供たち呼んでこようか?
ううん、ライブじゃないんだ
え、そうなの? じゃあどんなこと?
ふふっ、今日はね~……
はい、ちょっと芝生の上で横になってみて
え? う、うん……。横になったよ、この後は?
よいしょ
わあっ!?
首痛くない? 大丈夫?
えええっ!? な、なんで膝枕?
今日はね、スクールアイドルのことはちょっとお休み
あなた、最近ずっと動画や雑誌やネットを見たり調べたりで
ちゃんと休めてないでしょ?
だから今日だけちょっとお休み……ね?
うん……
ね、目を閉じてみて
うん
どんな感じがする?
うーん……。風が気持ち良くて、お日様があったかくて……
草の匂いがする
それにヤギや羊たちの匂いが混ざったらわたしの故郷と同じだなあ
あ、ネーヴェちゃん、って子ヤギがいるんだよね
そうそう、わたしのまわりでぴょんぴょん跳ね回ってかわいいの!
……ホームシックになったりしない?
日本に来たばかりの頃はちょっとね。でも今はそんなことないなあ
そうなの?
そうだよ~。だって今はホーム……故郷が増えたんだもん
スクールアイドルになれて、同好会のみんなにも会えたからね
日本も第二の故郷、って感じかな?
日本、っていうよりも同好会が……
あなたのそばが第二の故郷、って言い方にぴったりかも
わたしね、あなたのそばだと安心できるの
だから、あなたにもそういう場所があるといいなと思うんだ~
わたしがそういう存在になれたらいいなあ。
あなたの故郷的な存在に……
故郷、って温かい場所でしょ?
飾らないそのままの自分でいられる、安らげる場所
安らげる……
頑張りすぎちゃうあなたを癒してあげられたらいいな……
……あれ? 寝ちゃった?
ふふっ、おやすみなさい。ゆっくり休んでね
おはよう
早啊!
おはよう~
今日もふたりに負けた。早く来れたと思ったのに……
ランジュに勝つなんて未来永劫無理よ!
一番に来るのはランジュなんだから! あとエマ!
明日はふたりより早く来れるように頑張るぞ
くやしい~!
手強いな~、明日はふたりより早く来れるように頑張るぞ
わたしが電話で起こしてあげるよ
嬉しいけど……それじゃあ意味ないよ~
くやしい~!
……アナタ、前より顔色がよくなったわね
え、見た目でわかるほどおかしかった?
ランジュはなんだってわかるの。スクールアイドルの動画を見ると
止まらないのはわかるけど、睡眠は大事なのよ!
確かに……
ねえねえ、子守唄のCD、聞いてくれた?
うん! 効果抜群だったよ。今日スッキリ起きられたのはそれのおかげ
待って、今「子守唄のCD」って聞こえたんだけど……
うん、エマさんがよく眠れるように、ってくれたんだ
ずるいわ! ランジュも欲しい! エマ、ランジュにもちょうだい!
あははっ、じゃあ帰るまでには用意しておくね
約束よ!
おはようございます
早啊、栞子!
おはよう~
おはよう、栞子ちゃんも早いね
ええ、今日はエマさんにお知らせしたいことがあって急いで来ました!
え、わたしに?
はい。生徒会宛に依頼があったんです
エマさんに子供たち向けのコンサートを開いてほしい、と!
ええ!?
きゃあっ! すごいわすごいわ!
エマ、ランジュはなんでも手伝うわよ!!
で、でもわたしでいいのかな……
児童館でも日曜保育でもエマさんは人気者です。
子供たちのためにお願いします、エマさん!
子供たちのため……
あの……エマさん、今の私じゃできることは限られるけど、
私もお手伝いするから!
お台場でエマさんの歌を聞いてた子供たちの顔、私今もはっきり覚えてるよ。エマさんならもっとたくさんの子の顔を輝かせることができる!
私もそういうコンサートを見てみたい!
エマさん……!
……わかった!
ぜひやらせてください、ってお返事して、栞子ちゃん!
みんなにいっぱい頼っちゃうかもしれないけど、
素敵なコンサートにするよ!
先輩、こっちこっちー! かすみんの隣空いてますよ!
ここも空いてるよ。あなた昔から窓側が好きだったよね
あ、うん、えーと……
このやりとりってベイビーちゃんの記憶がなくても戻っても
一生変わらないんだろうなあ
それも愛ゆえ……だよ、愛だけにっ! あはははっ!
立ったままでは迷惑ですから、順番に座っていっちゃいましょう
きゃあっ! じゃあ、ランジュがかすみと歩夢の間ね~!
む~!
かわいいかすみを間近で見られてランジュは満足よ
まったくランジュ先輩はかすみんのこと大好きなんだからぁ~!
仕方ないですねえ、さ、座ってください!
謝謝!
歩夢ちゃん、この子のことで何か病院で言われたことはある?
まわりが気をつけることとかがあれば教えてほしいな
いえ、特には……。普通に接するのが一番いいみたいです
じゃあ、前と同じようにお姉さんが手取り足取り……
反則ですー! そんなことしてなかったもん!!
ふふっ、バレちゃった
普通に……と言われても、本当にこれまで通りに接したら先輩も戸惑ってしまいそうですよね。歩夢さん以外は初対面みたいなものですし……
でも、私たちは仲間です。わからないこと、不安なことがあれば
なんでも言ってください。全面的にサポートしますので
私も手伝うよ
かすみんもですー!
彼方ちゃんとエマちゃんは、なんか疲れちゃったかも~ってときに
お役に立てると思いま~す
体を動かしたいときはランジュに言いなさい!
ボクはそうだな……音楽科の勉強なら教えてあげられるよ
眠れない夜は愛さんに電話ちょーだい! おしゃべり付き合うよ!
私は、記憶を取り戻す装置、作ってみる
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
そ、そんなもの本当に作れるの!?
そ、そんなものありえないよ!
そ、そんなもの本当に作れるの!?
そ、そんなものありえないよ!
りなりーならありえるんだなあ
……そうなの?
そういう研究をしてきた人たちは、いる。
今、その人たちの論文や本を読み込んでるとこ
璃奈ちゃんってすごいなあ
……あ! そっか、ライブのときに着けてる璃奈ちゃんボードも
すごい機械だもんね
璃奈ちゃんボードのこと、知ってるの?
うん、動画で見たよ。最近寝る前にみんなの動画を見てるんだ~!
すごいなと思った
照れる……。璃奈ちゃんボード「てれてれ」
ちなみに、今使ってる璃奈ちゃんボードは愛さん考案。
これのおかげで、みんなと楽しくおしゃべりできるんだよ
いろんな表情があっていいよね、それ。
つぎはどんな顔がくるのかなって、話しててワクワクするよ
……ありがとう、嬉しい。璃奈ちゃんボード「ぽわわん」
ほかにもなにか発明したものってあるの?
その人が全力を出せるようにサポートする健康飲料、
その名も、璃奈ちゃん特製ドリンク!
ぎゃんっ!
ひええ~
おいしかったな~!
同好会のみんなも、飲んでくれてる
新作も、開発中。璃奈ちゃんボード「えっへん」
次は、栞子ちゃんにぴったりなものになる予定
……覚悟を決めますね
すごいなあ
みんな、あなたへのサポートは惜しまないと思う。
だから、私も私にできることを頑張る
すごい……本当に作れちゃうなんて……
もうすぐ完成。もうちょっと待ってね
これってどういう機械?
これは、もともと人体に流れてる微弱な電流にアクセスして
調整できる機械
病院の診断では、脳の器質的損傷や後天的疾患は認められてない。
だとしたら、解離性健忘の要因は心因性なもの
今、世界ではそういったものに対する研究が日夜続いてるの。
その中のひとつに、興味深いものがあった
それが、体内の電流を変容させる、ってもの。
マークラミルノフ・マケドニッチ博士の論文を参考にしてみた
おお……なんかわからないけどすごそう……
博士のアプローチは、とっても興味深い……試す価値、あり
よし、完成
被ってみて
う、うん……
(私のために作ってくれたものだし……)
(ふ、不安だな……)
(ちょっと怖いな……でも私のために作ってくれたものだし……)
(ふ、不安だな……)
心拍数や呼吸数はこっちでモニターしてるから、
異常があればすぐわかるようにしてる。安心して
よし……と。用意できたよ、璃奈ちゃん! やっちゃって!!
じゃあ、いくよ……スイッチ、オン!
ん? なにこれ?
緊張を和らげるように、搭載してみた
今、装置のレベルをあげてるよ。大丈夫? どこか痛いとかない?
う、うん、平気! 頭が……あったかいだけ……
終了……なにか、思い出せたことはある……?
うーん……うーーーーーーん…………
ごめん、ないかも……
そっか……
ごめんね
ううん、気にしないで。また他のを作ってみる
だから、また付き合ってね
うん、ありがとう!
ねえ、1年の天王寺さんが来てるよ
え?
こんにちは
どうしたの、璃奈ちゃん?
新しいマシンができたから、迎えにきた。行こう
わかった! 行こう!
い、今はその……
わかった! 行こう!
い、今はその……
忙しい?
(……いや、せっかく璃奈ちゃんが私のためにいろいろ調べてくれてるんだから、怖がってないで行かなきゃ)
ううん、平気! 行こう!
今度は何を作ってくれたの?
振動エネルギーマシン。このVRゴーグルを着けてみて
おお……極彩色の景色が見える……
今回参考にしたのは、アッキネーネ・ダット博士。
ダット博士はアーユルヴェーダの博士号を持ってる
アーユルヴェーダは科学と哲学を融合させた学問。
振動エネルギーで精神と肉体のシンクロ率を上げるの
ダット博士の論文は興味深い……試す価値、あり
わかった……スイッチお願いします!!
うわああ!? こ、このUFOみたいなのなに!?
これは、スピリットスフィアルーム。
外界の情報をすべてシャットダウンすることができる。
リース・マクアール博士の理論に基いてる
それに……入るんだよね? どうなっちゃうの?
瞑想に誘われる。自分の深層心理と向き合って、
記憶喪失の原因を探ることができるはず。……試す価値、あり
やってみる……!
璃奈ちゃん、今日はどんな発明?
今日はロボットを作ったよ
うわあ、大きいね~! これに乗るの?
惚れ惚れするシルエットですよね……!
私、あなたが乗る前の試運転でこの子に搭乗させてもらったんです!
感動しました……!
今回は、北欧の至宝、ヤーノ・ペロンパー博士の理論。
試す価値、あり
わかった! 乗ってみる!
頑張ってください!!
ごめん……ここまでしてもらっておいて、
まだ何も思い出せない……
ううん、私のほうこそ、役に立てなくてごめん
今度こそはと思ったのですが……
まだ、試す価値のある理論はある。
もうちょっとだけ、時間をちょうだい
それはもちろんいいんだけど……璃奈ちゃん、寝不足じゃない?
ちょっと顔色悪い気がするよ
悪く見えるのは、多分夕方だから。私は平気だよ
じゃあ、またね
璃奈ちゃん……
璃奈さんも一生懸命なんですよ。
ああ言っていますし、信じて待ちましょう
うん、そうだよね……
(璃奈ちゃん……どうしてここまでしてくれるんだろう……)
(このまま甘えてるだけでいいのかな……)
ええと……一応これで買い出しメモにあるものは全部買えたのかな?
うん、大丈夫だと思う
……買い出し、わざわざ付き合ってくれなくても大丈夫だったのに
あはは……今、私ができることってこういうお遣いくらいしかないから
やらせてよ
それに、なんか最近の璃奈ちゃん、
ちょっと元気がないみたいだから心配で……。寝不足だったりする?
少しはそうかも……。でも、平気。ゲームに夢中になってるときだって、このくらい普通だから
それならいいけど……疲れてるっていうか気落ちしてるっていうか……
そういう顔に見えちゃって……
……そうなの? そんな顔、してるかな?
いや、今のは私の主観!
だからあんまり気にしないで。元気ならいいんだ
……当たってるかも
え?
ちょっと、気落ちしてる……。何を作っても、効果がなくて……
私、璃奈ちゃんに感謝してるよ。
たくさん論文を読んで、調べて、いろいろ作ってくれて……
でも私のために時間を使いすぎじゃないかな?
どうしてそこまでしてくれるの?
そこまでしてくれなくていいよ
どうしてそこまでしてくれるの?
そこまでしてくれなくていいよ
迷惑、だった?
ううん、そんなことない!
でも、私のためにそこまでしてくれる理由がわからないよ……
私は……記憶喪失って、辛いと思うから
あのね、前、うちの学園のゲーム部が、映画を撮ったんだ。
その映画に出てくる子は、病気のせいで記憶が1日しかもたないの
これはもちろん映画の中のお話だし、その子も記憶がもたないことを
悲観してるわけじゃなかった。そういう状況でも楽しもうとしてた
だけど、思い出がなくなっちゃうのは辛いな、って……
私は、その子みたいに強くないから、どうしても思っちゃう
楽しくて、幸せで、忘れたくない思い出がいっぱいある
その思い出は、私とあなたの大切な繋がりだから……
あなたにも忘れてほしくない
だから、思い出してほしいの
そのためなら、私、なんでもするよ
璃奈ちゃん……
わかった。じゃあ、次のマシンもお願いしてもいいかな?
私も思い出したいから!
……ふう、あとひと息のとこまでできた
これなら、明日には学校に持っていけそう
(……だけど、本当にこれでうまくいくかな。また、無駄になっちゃったらやだな)
(マシンに頼らないやり方も、試してみるべき……?)
(得意なことで力になりたいと思ったけど……もしかしたら、
別の方法もあるのかも……)
はい、もしもし
Hi,璃奈! もし今時間あったらゲームのサポート頼みたいんだけど
いいかな?
あ、そっか。新しいステージできたんだったね
もしかして、今連絡くれるまで、ひとりで潜ってたの?
んー、まあね。だけどもうひとりじゃ倒せなくなっちゃってさ。
ちょっとだけ頼んでもいいかな?
もちろんいいよ
もっと早く誘ってくれてよかったのに
でも璃奈は毎日作業で忙しくしてたろ?
そうだけど……ゲーム好きは、私とミアちゃんの共通点だから、
いつでも言ってほしい
あははっ、何、璃奈? 今むくれてる?
え……わかる?
なんとなくわかるようになってきたよ
そっか……そうなんだ
どうしたの?
う、ううん、なんでもない。ちょっと待っててね、今ログインするから
今日はほんとありがと、璃奈! 念願の素材が手に入ったよ!
こちらこそ、誘ってくれてありがとう。
ミアちゃんとプレイするの、やっぱりすごく楽しい
えへへ、ボクも璃奈とゲームするのは好きだよ!
じゃあ、また明日学校でね! Good night!
……ミアちゃんに、ヒントもらっちゃったかも
マシンじゃなくて、別の方法があるかもしれない……
私も、無くしたものがある。それを今、ちょっとずつ取り戻してる。
だから、あの子だって……
うん、きっとできるはずだよ
明日、話してみよう!
こんにちは……
あ、せんぱーい! お疲れ様でーす!
来てくれたんだね~!
う、うん。私が来ても大丈夫かな?
もちろん! あなたも同好会の一員だもの!
ほらほら、こっちに来て座りなよ
私の隣が空いてるわよ
ランジュの隣にも椅子置けるわよ!
ここは間をとってわたしのお膝にきなよ~
エマちゃんそれはずるいんだぜ~!
えっと……どこに行けば……
みなさん、この方が困ってしまっていますよ
さあ、好きな席に座ってください。
決まった席というものはありませんから
うん、じゃあ……
こちらにどうぞ!
ホワイトボードに今日の練習メニューを書き出しましょう!
璃奈ちゃんボードの新しい表情のアイディア、一緒に考えてほしい
わ、わかった、えっと……
みなさん!!
……この方はまだ日常生活に戸惑いを感じています。
すなわちストレス過多の状態……
生徒会長として、不安定な状態にある生徒を放っておくことは
できません。あなたが落ち着くまでの間、私がしっかりとサポートを
努めさせていただきますね
え?
なんでも私に頼ってくださいね。
どんなことでもフォローしますから
ありがとう……
そんな、悪いよ……
ありがとう……
そんな、悪いよ……
これも生徒会長としての務めですから、遠慮しないでください
うまいこと言ってるけどさ、
ベイビーちゃんのこと独り占めする気じゃないの?
えーーーっ!? ずるいよ栞子さん!!
い、いえ、決してそんな下心はありません!
「下心」って言っちゃってるあたりがねえ……
あやしいぞ~
おうぼーだ! しょっけんらんよーだ!
そんなこと……!
……すみません、ちょっとだけありました……
うう……みなさんごめんなさい……
いいんだよ、栞子ちゃん!
みんなもこの子のことが心配で近くにいたいだけだよ!
歩夢さん……
この子の面倒は、私たちみんなでしっかりみようね!
はい!
(よかった……ちょっとひやっとしたけど、
みんな仲良しなんだな……)
なるほど……。ひと言に「記憶喪失」と言っても
その種類や原因は様々なのですね……
あの方の場合は病気、感染症、頭部外傷でないことは
わかっているので、やはり心的要因によるものと考えられそうです
記憶を取り戻す方法というのも
いろいろと考えられてはいるのですね……
あ、はい、どうぞ
会長、花壇の肥料について相談したいことがあります。
今、大丈夫ですか?
もちろんです。入ってください
会長、頼まれていた本の準備できてますよ
ありがとうございます
このところ毎日すごい量の本を読んでますね
ええ、今はまだ基礎知識で精一杯ですけどね。
できればこの分野についてもっと見識を深めたいです
あっ、あとこの本も一緒に借りていいでしょうか?
了解でーす!
(まずはこの本を読んで……次はこれ、その後にこれ。園芸部の―)
いたた……不覚です、壁にぶつかるなんて……
誰にも見られて―
きゃあっ!?
うわっ!?
い、いつからそこにいたんですか?
ええと……結構前から
見ました?
栞子ちゃんが壁にぶつかるところ?
えーーーと、なんのことかわからないな!
栞子ちゃんが壁にぶつかるところ?
恥ずかしいです! うう……
えーーーと、なんのことかわからないな!
すみません、フォローさせてしまって……
見ていましたよね、私が壁にぶつかるところ……
う、うん……
あの、大丈夫だった?
ええ、なんともありません
本に気を取られてたみたいだけど、一体何の……
あ、記憶に関する本だ……
はい、あなたが置かれた状況を理解したくて
気を遣わせちゃってるね……
そんなことありません!
私が好きでやっていることなので気にしないでください
会長ー! この前のこと、考えてもらえましたか?
ええ、なんとかなりそうですよ
ただ、もうちょっと調べさせてください。図書室に関連本があったので
何冊か読み比べて、どこまでできるか精査したいんです
はい! お願いします!
今のって……園芸部の人だよね? 何か頼まれてたの?
ええ、食堂で廃棄される野菜クズを使って肥料作りをしたいと
相談されたんですよ
実現できたら素晴らしいことです。なので私も肥料作りの知識をつけて、どういったやり方がベストなのか探っています
えっ……生徒会長ってそんな相談まで受けてるの!?
そんな……とは?
学園内で肥料を作りたい、とか
生徒たちが取り組みたいということはすべて私たち生徒会が
支援すべきことです。相談してもらえればなんでも検討しますよ
すごいな……。ねえ、よかったら私も何か手伝おうか?
知識はないけど体力はあるし、こういう本を借りたり返したり
雑用はできるよ!
ふふっ、ありがとうございます。でも今は無理をしないでください
だけど……
あなたは自覚がないかもしれませんが、記憶をなくすということは
一大事です。体や心になにかがおきていたはず……
私は心配なんです……
どうしてそこまでしてくれるの……?
あなたが私に同じようにしてくれたからです
はあ……
どうしたんですか、歩夢さん?
あ、栞子ちゃん。実はね、
なんだか最近あの子考え込んでることが多くて……
こんな状況だから、当然考え込んじゃうこともあるんだろうなと
思うんだけど、そういうのって聞いてもいいのかな?
そっとしておいたほうがいいと思う?
それは難しいですね……。無理に聞き出すこともできませんし、
かといってそのままにするのも心配ではありますし……
自然と話したくなるような雰囲気作りをしてみるのはどうでしょう?
さりげなくそばにいてあげるとか、
さりげなく頼りになるところをみせるとか……
なるほど……!
栞子ちゃん、一緒にやってもらってもいい?
はい! 私も心配なので、お手伝いさせていただけると嬉しいです
あれ、あの子からだ……
今日は病院に行くから部活に出れない、って。そうなんだ……
……歩夢さん、私たちも付き添いをしませんか?
手助けできることがいろいろとあると思うんです!
うん、そうしよう!
(今日も検診だけかな……なにかいい治療法とかあるといいんだけど。
いろんな人に心配してもらっちゃってるしな……)
もう検診は済んだのですか?
えっ、栞子ちゃん!? ……と、歩夢ちゃんも。どうしたの?
あ、あのね、えっと……
あ、今名前が呼ばれたようですよ
え、ほんと?
さあ、行きましょう
え? え?
さあさあ!
検診お疲れ様でした
……なんだか、表情が優れませんね
わかる? なんか検診って緊張しちゃって……
そ、そうかな?
わかる? なんか検診って緊張しちゃって……
そ、そうかな?
はい、大丈夫ですか?
大丈夫だよ、ちょっと緊張したからかな……
そうでしたか……それはよくありませんね。緊張をほぐすには……
マッサージです!
うわーーーーくすぐったいよーーー!!
ええっ!? ご、ごめんね、もっと優しく押したほうがいいかな……?
あはははっ、そこダメーー!
本によるとここに神経を落ち着けるツボがあるらしいです。えいっ!
あはははは! そこも無理ー!
えっとえっと……
歩夢さん、そこにもツボがありますから刺激してみてください
う、うん! よいしょ!
あはははっ
おかしいですね……、ここでしょうか?
くすぐったくてもうダメー!
栞子ちゃん、お待たせ!
いえ、私も今来たところです
ねえ、この前栞子ちゃんと歩夢ちゃんにマッサージ……っていうか
ツボ押しをしてもらったでしょ?
あの後自分でもやってみたんだけどなんかいい感じなんだ
夜もよく眠れるようになったし食欲も出たよ。
今日はパン3個も買っちゃった
あっ……
あの、実は私、お弁当を作ってみたんです……
えっ、私に……?
はい……。でも、もうパンがあるんですね。何も言わず勝手に作って
しまってすみませんでした。改めて、明日は私に作らせて―
いやいや! 明日と言わず今食べさせて!
パンは部活のときにみんなで分けて食べよう!
いいんですか?
それは私のセリフだよ!
私なんかにお弁当作ってくれるなんていいの?
もちろんです! 私はあなたの健やかな生活をお守りしたいんです!
栞子ちゃん……
こんな私でも変わらず親切にしてくれてありがとう
あの……ちょっと相談に乗ってもらえないかな?
私、前はどんな風にみんなに接してたのかな? できれば同じように
できたらいいなと思うんだけど、やっぱり聞きにくくて……
そうですね、あなたはスクールアイドルの一番の味方であろうとしていたと思います。みなさんのやりたいことを理解して支えてくれていました
理解して支えて……
あの、無理に前と同じようにしなくてもいいと思いますよ?
そういうことは、私もみなさんも望んでいないと思います。
あなたらしくいてくれればと、それだけです
ただ楽しく過ごしていて欲しいんです。好きなことに前向きに、
情熱を持って動いているあなたはとても魅力的なので
好きなこと、かあ……
探してみましょうか? あなたがまた情熱を燃やせるものを
ねえ、体験入部じゃなくて本当にうちに入ってよ!
うちもなかなか楽しいでしょ? レギュラーだって夢じゃないよ!
ええ、チームワークを大事にするあなたには向いていると思いますよ
あはは、ありがとう~! でも褒めすぎだよ
みんな息が合ってるからすごくプレイしやすい! みんながみんなの次の行動がわかってるみたいな動き方しててびっくりしちゃった!
えっ、わかる!? コートの中にいるときは、
自分やチームメイトがどう動くかを考えるようにしてるの!
やっぱり!? それってチームメイトみんなの心がひとつじゃないと
できないことだよ。ニジガクのバレー部ってすごい!!
走りっぷりを見てわかりました! あなた、いい筋肉してます!
中距離でも長距離でもいけそう!
だそうですよ! 陸上はどうですか?
はあ、はあ……私って中距離も長距離もできる筋肉だったんだ~!
そういうのわかるってすごいね!
それだけ毎日選手のことを見てるんだね
向いてる、っていう言葉に惹かれちゃうけど……
私は陸上部のみんなみたいに苦しいときにも笑えるくらいの
陸上に対する愛情が足りないよ
みんな陸上競技が大好きなんだな~、って伝わってくる!
あなたみたいな敏腕マネージャーがいるから安心して打ち込めるんだね
我が研究会では、推理小説を読むだけでなく
自分たちで書くこともしています。これは私が書いた……
おもしろすぎる!!
短編でこんなに満足できるなんてあなたってすごい作家さんだね!
学園でありそうなシチュエーションなのもドキドキしちゃって、
これから大廊下を通るとき緊張しそうーー!
栞子ちゃんもこれ読んでみて! すごいから!
は、はい!
そんなに褒めてくれるなんて……新作できたらまた読んで!
栞子ちゃん、体験入部に付き合ってくれてありがとう。
どの部活もみんな意欲的で楽しそうだったな。
栞子ちゃんたち生徒会のみんながサポートしてるからだろうね
……あれ、栞子ちゃん?
あっ、す、すみません! なんでしょう?
どの部活も意欲的で楽しそうなのは、
きっと生徒会のサポートのおかげだね、って
……あなたは、やはり根本からそういうお方だったんですね
え?
誰かの「好き」を自然に受け入れる。
自分のことのように考え、真剣に向き合える。
相手が全力で取り組んでいることを応援することができる……
みんなすごくキラキラしているから
あはは、大袈裟だよ
みんなすごくキラキラしているし、
なんだか応援したくなっちゃうんだよね
あなたにとっては普通のことなんですね……
ますます尊敬してしまいます
あはは、大袈裟だよ
決して大袈裟ではありません。素晴らしいことです!
そういう向き合い方をしてくれる人がそばにいると、
人はより一層頑張ることができるんです
(体験入部楽しかったな~。ニジガクの部活動があんなに活発だなんて知らなかった。前からそうだったっけ? 私が1年の頃は気づかなかっただけかなあ……)
(でも、栞子ちゃんみたいな生徒会長があんなに親身になってくれるなら頑張ろうって気になるのもわかる! 本当に親切でいい人だよね)
(でも……栞子ちゃんって生徒会長……ニジガクのみんなに頼られてる人だよ……。私、最近その人を独り占めしちゃってないかな?)
(栞子ちゃんを必要としてる人って私だけじゃないから、
いつまでも甘えてちゃいけないよね)
はい、どうぞ
失礼しまーす。栞子ちゃん、今いいかな?
もちろんです。どうしました、なにかお困りごとですか?
ううん、大丈夫だよ。でもちょっと相談、っていうか
聞いてほしいことがあって……
私、栞子ちゃんに頼りすぎちゃってると思うんだ。いつもそばで
サポートしてくれて、すごく助かってきたんだけど……
もっとしっかりしようと思って
もういろいろと付き合ってくれなくても大丈夫だから
もっとしっかりしようと思って
もういろいろと付き合ってくれなくても大丈夫だから
……そうですか……
あっ、ものすごく助かってはいるんだよ! 病院にひとりで行くのって
よくないことばかり考えちゃうから付き添ってもらえたのは
嬉しかったし、緊張をほぐすツボも効いたし
新しく情熱を燃やせるものを探そう、って体験入部に付き合ってくれた
のも嬉しかった。ニジガクっていい場所だな、って改めて思えたから
ふふっ、そんなにフォローしてくれなくても大丈夫ですよ
確かに、私も過保護になりすぎていたかもしれません
あなたこそ、私たちをひっぱり続けてくれた人なのですから……
あなたはどうしたいですか?
え?
あなたがやりたいと思うことはありますか?
…………
じゃあ、私……今まであったこと全部思い出したい
みんな無理に思い出さなくてもいいよ、って言ってくれるけど、
私はやっぱり気になる。みんなすごくいい子たちで、
こんな子たちと私がどんな時間を過ごしてきたのか思い出したい
絶対にいい思い出なはずだから
もちろん、思い出したい、って言って思い出せるようなものじゃないっていうのはわかってるよ。病院でも言われた。だけど何もしないままみんなの優しさに流されていくのはいやだな、って……
思い出せる保証はないけど、思い出したい、って
思ってもいいかな……
もちろんです
人生、やってみなければわからないことばかりですから。
それに、やって無駄なことはありません
……栞子ちゃん、どうしてそこまで断言できるの?
あなたや同好会のみなさんと過ごして、
教えてもらったことだからです
大丈夫ですよ、まずはやってみましょう!
ミアちゃん、いるー?
Hey! どうしたんだい?
よかった、いた! 部活にこないから探してたんだ
あ、連絡してなかったっけ。Sorry.
ううん、大丈夫だよ。それより、作曲してたなら邪魔しちゃったかな?
いや、もうできたから
え!? 新曲?
……まあ、新曲と言えば新曲だね。提出しなきゃいけないやつだけど
?
もしかして……補習的なやつ……?
ノーコメント
ミアちゃん、たまにサボってる雰囲気あったもんね……
失礼だな! あれは自主的な選択だ!
授業にはちゃんと出たほうがいいよ
それは尊重するけど……
授業にはちゃんと出たほうがいいよ、ミアちゃん……
それは尊重するけど……
このボクが今更何を教わるっていうんだよ
だって授業に出ないと余計な課題出されちゃうでしょ?
そうしたら部活の時間だって削られちゃうから
……いち意見として受け取っておく
それはそうと、曲はできたから、これ提出して部室に行くね
あ、待って! その前に……ミアちゃんの曲、聞いてみたいな
キミねえ……。仕方ないな
……って感じ
すごい……こんな曲をすぐ作れちゃうものなの!?
まあ、これは授業の成果を見せる課題だからね。
習ったものをうまく組み合わせただけ
でも、今流行りのポイントも抑えてる!
ミアちゃんって本当にすごい作曲家なんだね……!!
まあね。わかってくれて嬉しいよ
……と言いたいところだけど、ベイビーちゃんにそういう風に
褒められるのは変な気分だよ
作曲スピードだってキミも相当早い方だしさ
作曲って気分が乗れればできるものだと思うんだけど、
私ってみんなの分の曲を作ってたんだよね。
だとすると信じられないスピードだね……
スピードだけじゃない。本当に私が作った曲なのかな~、って
思うよ。どうやって作ってたんだろう?
へえ、おもしろいね
ベイビーちゃんの曲作りは、スクールアイドルと出会ったことで
前とは変わってしまった、ってことか
そういうことになるのかな
ふーん……
ねえ、1曲作ってみてよ。
今のベイビーちゃんが作る曲にも興味がある
ええっ!?
いいだろ?
う、うん……。じゃあ、作ってみるね
……うーん、ミアちゃんに聞いてもらう曲こんな感じかな
うんうん、ちゃんとまとまりのある曲になってるよね。
流行りもちょっと意識できたし
……合格点だとは思うんだよね
そうは思うんだけど……
一旦寝かせてみよう。一晩寝たら感じ方も違ってくるかも
……うーん。なんだろう? 悪くないんだけど、
これだって確信が持てない、っていうか……
前の私が作った曲と比べると、なんだか……
(あの曲って本当に私が作ったものなのかな? しかもひとりで)
(ジャンルもタイプも全然違う曲。
1曲1曲にものすごい世界観がある……
こんなに色とりどりな世界観は私の中にないよ……)
Hi.
あ、ミアちゃん
曲、もうできたんだって? 聞かせてよ
う、うん……
……どうかな?
ベイビーちゃんって真面目なんだね。
しっかり授業を聞いて自分のものにしてる。
流行りも意識できてるみたいだ
よくできてると思う
……だけど退屈だ
うう……だよね。私もそう思う
……合格点いってない?
うう……だよね。私もそう思う
でも、これが今の私の実力だよ
……合格点いってない?
いや、合格点ではあるよ。
少なくとも課題でこれを提出できればいい評価がもらえるだろうね
課題では、かあ……。これが今の私の実力なんだね
だとしたら、スクールアイドルとの出会いはキミにとって
すごくいいものだったんだね
…………
あ……。けどさ、またここから積み上げていけばいいんだよ!
音楽っていうのは体に染みつくものだ、って姉さんが言ってたよ。
だから今のベイビーちゃんにだってそういうものがあるはずだから……
あはは……スピードだけかな、残ってたの。
確かに記憶にある自分よりは早く作れたし
いや、他にもあるって!
…………
ベイビーちゃーん!!
(今日……ちょっとミアちゃんに対して良くない態度だったかも)
(ミアちゃんはプロの作曲家だし先輩だし、隠さずちゃんと言ってくれるのは私にとってもいいことなのに……反省しよう……)
あれ、ミアちゃんからだ。なんだろう?
ベースボールのチケットがあるんだ。明日一緒に行かない?
野球の試合? ルールわからなくても平気かな?
前、一緒に行ったことがあるんだよ。その時も楽しめてたから平気さ。ホームベースに人が戻ってきたら点が入るってことだけ
わかってればいいよ
じゃあ行く!
(……もしかして、今日のフォローしてくれたのかな?
なんていい人なんだ、ミアちゃん……)
(せっかく誘ってもらったんだから、明日は楽しもう)
あれ、ベイビーちゃん何飲んでるの?
烏龍茶だよ
えーーー!? ダメだよ!
観戦するときはコーラとホットドッグ!
え?
これはルールにも等しいことだよ!
もう……2杯目はコーラにするんだぞ
う、うん、そうする
Wow!! 大きいぞ! 入れ……入れ……やったーーー!
Yeahhhhh! High five!!
い、いえーーーい!
(……なんか意外。こういう子供っぽいところもあるんだ)
はあ……熱い試合だったね……!
ほんとだね!
最後3アウト目を獲る時、息止めて見守っちゃった
あーー、もったいないな。私、前にルール教えてもらってたんだよね。
それを覚えてたらもっと試合運びとか理解できて
面白かったんだろうな~!
あははっ、また教えてあげるって
まるごと忘れてるの悔しいよ~。記憶取り戻したいなあ
Only God knows. 神のみぞ知る、だね
え?
キミの場合、病気じゃないからアプローチできる医療は限られてる。
自分や他人がどうこうできる領域じゃないんだよ
なるようになるのさ、きっと
なるようになる、か……
そんなあ
なるようになる、か……
そんなあ
受け入れるしかない、ってこともあるんだよ
(ミアちゃんってやっぱり大人なんだな……)
よしっ、そこで撃つ! すぐ隠れる!
うん!
アイテムがあるから確保して……あっ、外から狙われてる!
扉に隠れて―
あーーーーーー! またやられちゃった……
OK! いい感じだったよ。反応速度は悪くない
やっぱりまだ訓練所で練習してたいよ~
いや、ゲームは慣れだから。慣れで反応できるからどんどん出て行こう
……このゲームも、もしかしてイチから教え直してくれてる……?
野球のルールみたいに
当然さ。結構遊んだよ、コレ。璃奈とチーム組んでさ
やっぱり……! ごめんね、また教えてもらっちゃって。
私は楽しめてるけどミアちゃんは物足りないでしょ?
またすぐ戦力になれるといいんだけど……
戦力……?
あはははっ! 大丈夫!
ベイビーちゃん、このゲーム前からそんなにうまくないからさ
えええっ!? そ、そうなんだ……
ごめん、すっかりゲーム強者だったんだと思い込んでて……
いいって! あははははっ
ミアちゃん……笑いすぎ……
恥ずかしいよ~!!
ミアちゃん……笑いすぎ……
恥ずかしいよ~!!
あーあ、なんかもうほんと……なんで忘れちゃったんだろうな~
うーん……人間誰しもコレは忘れたい、って
ことぐらいはあるんじゃない?
でもみんなの話を聞いてると、みんなとの毎日は私にとっても
すごく大切なものだったんだろうなあって思うんだよね
ベイビーちゃんは思い出したいの?
無理して思い出さなくたってなんとかなってるじゃん
それはそうだけど……
作曲のことだったらこれからまた積み上げていけばいいよ。
学生レベルで考えたらベイビーちゃんは優秀だと思うよ
それにさ、あんなに急に記憶がなくなったんだ……
もしかしたら、なんかすごく嫌なことがあったのかもしれないじゃん
そういうのがすっきりクリアになって新しい始まりができるって
悪くないと思うよ
たしかに……それは悪くないよね。無駄に悩まなくていいわけだし
でも、それでも気になるんだ。あんな曲を作ってた自分が
どんな生活をして、どんなことを考えていたのか
思い出せるなら、やっぱり思い出したいよ
嫌なことだけ都合よく忘れていられたら楽だけど……
でもいいことも嫌なことも全部含めて私の一部だから……
全部含めて、キミの一部……か
……ふう
うーん……、なんかノらないな
そういえば……ベイビーちゃんがああなってから1曲も作れてないや
まあ、バタバタしてたってのもあるけど……
もしかして、ボクも影響受けてるのかな……
いや、そんなことないよ。
だってボクは今のベイビーちゃんのままだっていいと思ってるもん
……だけど
思い出せるなら、やっぱり思い出したいよ
嫌なことだけ都合よく忘れていられたら楽だけど……
でもいいことも嫌なことも全部含めて私の一部だから……
あ~~、ダメだ。考えたって聞かなきゃわかんない!
ベイビーちゃんが本当に思い出したい、って思ってるなら……
ボクは……!
ミアちゃん、話ってなに?
連弾しよう
え? 連弾?
したことない?
授業でやったけど……
じゃあできるよね。ほら、隣にきてよ
う、うん。何弾くの?
そ、そんな急に言われても……!
う、うん。何弾くの?
そ、そんな急に言われても……!
いいから、ほら!
うう……何を弾くの?
そうだな……コレは?
たぶんできると思う……
キミならできるよ。じゃあ、いくよ!
……気持ちいいね
当たり前だろ。誰と一緒に弾いてると思ってるんだ
わあっ!? いきなりアレンジ入れないでよ~! 私も……!
あははっ、いいじゃん! 楽しませてくれるね
ねえ、どうして急に連弾なの?
……この方が話しやすいから。
姉さんもよくこうやって聞きにくいことを―
って、ボクのことはいいんだ
ボク、キミが言ったことをずっと考えてたんだ
え、なに? どんなこと?
嫌なことがあったとしても思い出したい、って言ってたろ?
うん、言ったね
ボクはさ、思い出せないならそれでもいいんじゃないか、
なるようになる、って考えだった
だけど、ベイビーちゃんが言うことも確かにそうだよな、って……
嫌なことも含めて大切な思い出なんだよね……
もしかして、ミアちゃんにもそういうことがあったの?
まあ、人間誰しもひとつやふたつはあるだろ
ボクにだってある。しかもとびきり嫌な思い出。
ずっとそれに囚われてきた
自分が本当にやりたいことに蓋をして、
なんとか体裁を取り繕って生きてきた
……でもさ、ここに来てそういうのから自由になれたんだ
今、すごく充実してて楽しい。そういう今があるのは過去があるから。
あんな過去でも今のボクの糧なんだ。
そう思うとボクも忘れたくはない
……だから、キミが本当に思い出したい、って思ってるなら、
ボクも手伝うよ
ミアちゃん……ありがとう!
ねえ、記憶がないってどんな感じ?
ランジュ!?
そ、そういうのはデリケートな問題ですから……!
知っててもらってたほうが私も気が楽だし
ランジュちゃんっておもしろいね
あははっ、いいよ、知っててもらってたほうが私も気が楽だし
ランジュちゃんっておもしろいね
うーん……そうだな……夢ひとつみないでぐっすり眠って、
目が覚めたら知らない場所にいた感じ
あれ、私寝てたのかな? ここどこかな?
今頭がはっきりしたんだけど、なにがあったか知ってる? みたいな
真っ暗から目が覚めた、って感じだから何もわからないんだよね。
あえて言うなら、覚えてるのは真っ暗だったことくらい
怖いとか痛いとかはないの?
ないよ。多少混乱はしてるけど
そう! ならいいわ!
ならいい、ってランジュさあ……
すみませんすみません、悪気はないんです!
気にしないで、純粋に聞いてくれてるのはわかるから
むしろ誰もが気になってるだろうな~ってことに切り込んでくれて
よかったかも
ほらね!
ほら、じゃないです! もう!
怖いとか痛いとかそういうのがないなら、
これからもアナタは同好会に参加できるわよね?
うん、こんな状態でよければだけど。あ、部長らしいことは
できないから、そこはサポートしてもらえると嬉しいな
任せなさい!!! ランジュは大部長だから!!!
だからその大部長ってのはどこからきてるんですかっ!
そんなのないです! ね、しお子? 校則にそんなのないよね?
ええ、まあ……
いや~、でもこの状況だとランジュちゃんが「大部長だよ~」って
言ってくれてたことが助けになるんじゃない?
確かに……。璃奈ちゃんボード「ウンウン」
そうよね、居残り練習をするのだって部長のハンコがいるし……
大部長なら……部長のハンコを代わりに押すのも……
ん~~~~~ギリ、オッケーかな……
オッケーなんでしょうかね……
何もわからないこの子が責任を取るようなことにならなければ、
私はいいと思うな
校則だとどうなのかな?
部長がいない場合は副部長の判断になるという感じですね。
ただ、うちは副部長がいないので……
副部長は部長の補佐よね? 大部長であるランジュも同じよ。
部長を助けるのが役目。だから無問題ラ!
そうなの!?
……役割的な部分でいえば、ランジュの言う通り……ですね……
ほらーーー! ね、言ったでしょ?
アナタは何の心配もしなくていいわ! ランジュに任せなさい!
バーベキューをするわよ!!
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
急にどうしたの!?
アナタ「混乱してる」って言ってたわよね
……言ったかな?
言ったわ。ランジュは覚えてるの
人は混乱すると脳が疲れてしまうの。そして、脳が疲れたときは……
お肉なのよ!!
栄養学的には、そこは炭水化物かも~
お肉がおいしければご飯もおいしいから同じことね!
それにランジュたち、あなたとは何度もバーベキューをしているの。
とっても楽しかったのよ!
だから同じようにすれば何か思い出すかもしれないわ
そう……
お肉はすべてを解決するのよ!!
ねえ、最近のランジュ前にも増して暴走してない?
私もこんなランジュは初めてです……
彼女なりに混乱してる……のでしょうか……?
お、おいしそう~~~!
おいしいわよ!
だってランジュは完璧な焼き方をマスターしているんだから!
んん~、ランジュ、焼き加減最高だよ!
ふーふー……はむっ……。璃奈ちゃんボード「ピカリーン」
ランジュさんはバーベキューマスターですね!
はい、あなたもどうぞ
うん、ありがとう。いただきまーす、
はむっ……んん~……とろける……
ホットドッグ用にパンも焼いたよ~
ボク食べる!
ウインナーもいい焼き加減よ、はい
Thanks!
お肉も乗せなさい! はい!
ウインナーにお肉……斬新なトッピングですね
でも絶対おいしいやつだよね~
私も焼こうか?
ランジュちゃん、おかわりある?
私も焼こうか?
いいのよ。
焼くのはこのバーベキューマスター・ランジュに任せなさい!
ランジュちゃん、おかわりある?
当然よ! どんどん食べなさい!
ランジュも焼いてばかりいないで食べてください
はい、どうぞ、ランジュさん
謝謝!
はむっ……
んん~、好吃! おいしいわ!
ねえ、このソースをかけなさい。もっとおいしくなるから
ありがとう、あむっ……ほんとだ!
これは止まらなくなっちゃうね~!
ふふっ、ランジュがいくらでも焼いてあげるわよ!
あら、あの子からメッセージが来てる
「今日はありがとう。お肉とってもおいしかったよ。またやりたいね!」
ふふっ、楽しんでくれてよかった!
…………でも、おかしいわね? あれでも記憶は戻らないのね?
最高に楽しかった記憶って、とっても鮮明に覚えているものよね?
ランジュにとっては、初めて観たスクールアイドルフェスティバル……
絶対に、何があっても一生忘れることはないわ。
フルカラーで隅々まで思い出せる。忘れることなんてできない
楽しかった思い出の再現も引き金にならないなら、
他に何が考えられる……?
忘れられないこと……
ランジュにとっては……
ここで受け入れてもらう前
(遊んでいても、ゲームをしていても、スポーツをしていても、
誰もランジュに敵わない。そしてランジュを置き去りにする)
(一緒にいたいっていう声は届かない……)
今が幸せすぎて見ないふりをしてきたけど、
何より染み付いて消えないのはこれよね。今も夢にみるもの
プラスの思い出だけじゃなく、マイナスの思い出も強く記憶に
刻まれるものだわ
……これは誰にでもあてはまるわよね
ランジュが散々なことをやった時、みんなランジュのことが嫌いだった
だったら、また……
嫌なランジュになるのは嫌だけど、ランジュにはそれができる。
ランジュにしかできないことよ
それなら、試さなきゃ
……なんだか、今日のランジュさんは厳しい顔をしていますね
ほんとだあ……どうしたんだろ?
(思い出すのよ……ランジュは最初からあの子に嫉妬してて
意地悪だった……なんて言った?)
(「アタシ、同好会のメンバーのことは認めてるの。スクールアイドルフェスティバルのステージを見て、この子たちだ、って思ったわ」)
(認めてるだなんて……本当は憧れて仕方がない存在だった)
(「アタシ、アナタはいらないの」)
(みんながあの子の話をするのが羨ましくて仕方なかった)
(あんなに意地悪をしたのに、あの子は……)
(ダメダメ! 今日はあの頃のように接するのよ。それがあの子の記憶を揺り動かすことになるのかもしれないのだから!)
うぐ……ぐぬぬ……
な、なんだか怖いです……!
空気が冷え冷えになってくぅ……
おはよう。3人とも今日は早いんだね
ねえ、ちょっと……!
なあに?
うう……っ
?
なんでもないの! ごめんなさい!
……ランジュちゃん、どうしたのかな?
あんなに慌ててどこに行くんだろう?
……ランジュちゃん、どうしたのかな?
あんなに慌ててどこに行くんだろう?
私たちにもわからないんですが……
なんか変だったねえ……
さて……。なぜこうして集まっているのか、わかりますね、ランジュ?
わかんないわよう……
自覚はないのかもしれませんが、最近のランジュはちょっと変ですよ
なにか思い詰めていることはありませんか?
どうしてあんなに怖い顔してたの?
変じゃないし思い詰めてないし怖い顔はもともとよ
私たちには話してよ、ランジュ
どうせ先輩に関することですよね?
かすみんたちなんとなくわかってますよ
ど、どうしてわかるのよ
一緒に活動するようになって、
ランジュさんと過ごす時間が増えたからだよ
てかランジュってわかりやすいほうだけどね
ま、大方考え過ぎてまた明後日の方向にぶっ飛んだんだろ?
なによう……ランジュはきちんと論理的に考えたわ
あの子の記憶を戻すためには、なにかきっかけが必要でしょ。
それってあの子にとってのなにか……強烈に刻み込まれた印象よ。
ランジュはそれを再現したかったの
ん……? じゃあ、あのバーベキューも……?
そうよ。鮮烈な思い出だわ
そ、そうかな? 確かにみんなでお外で料理したのは
いい思い出だけど……鮮烈、ってほどでは……
合宿のときの定番ですしね
えっ……そう……?
あの……
ランジュにとっては……初めてみんなと仲良く話せたときだから……
ランジュ先輩、顔真っ赤です……
えっと……ランジュちゃんにとっては、
それが一番鮮烈な思い出になっている、と……?
スクールアイドルフェスティバルを見たことの次に鮮烈な思い出よ……
そっか……えへへへ……
な、なんだかこちらまで照れてしまいますね……
そ、その話はまた今度詳しく聞くとして、
ではせつ菜さんたちが見たという怖い顔はどうしてですか?
とても話しかけられるような雰囲気ではなかったと聞きましたが……
それは、素敵な思い出の再現じゃ思い出してもらえなかったからよ。
強烈に刻み込まれた記憶っていうのはなにもいいことだけじゃない
でしょ。嫌なことだって同じくらい残るものだわ
ここに来たときのランジュは嫌な子だった。
その時の再現もしなきゃと思ったの。
あの子の中にある嫌な記憶を揺り動かせるのは、ランジュだけだから
待って、ランジュちゃん!
あの子は一度もランジュちゃんのこと悪く言ったことないよ!?
そうですよ! 2ヶ月の短期留学から帰ってきて久々に会ったかすみん
をかわいいかわいいって言い倒すのかと思いきやランジュ先輩たちの
ライブ観て楽しみまくってましたからね!?
部と同好会にわかれていた私たちの意見が対立してたことを知っても、
同じものが好きなら友達になりたい、って言ってました!
…………そうなの?
じゃ、じゃあ、部室で逃げ出しちゃったのは正解だったわね。
危なかったわ。またあの子に変なことしちゃうところだった
まあ、怖い顔で何か言われたからと言って、
あの子に嫌な気を起こさせるっていうのは難しかったと思うわ……
……ランジュ、あなたはひとついけないことをしましたよ
あなたが憎まれ役を買うことなんてないんです。
私たちは何のための仲間なのですか……
ご、ごめんね、栞子! みんなも、ごめんなさい……
いやいや、ランジュちゃんがそこまで覚悟決めてたとは思わなくて……
彼方ちゃんたちももっと突っ込んで聞けばよかったよ~
あの……私、今の話で閃いたことがあるのですが
人の中に強く残るものなら、楽しかったことや嫌だったことの
他にもあるのではないでしょうか
良い、悪いの感情がすべて吹き飛ぶくらいの激しさ……
衝撃的な印象です
衝撃……?
そうです、それこそ根源的な部分に刺さるんじゃないでしょうか!
……だったら、ランジュにできることがあるわ
ライブよ! ランジュのパフォーマンスを見せる!
あの子にとって、衝撃ってそれだわ!!
ライブをするわよ!!
わ、そうなんだ! 私も観に行くね!
アナタは最前列でランジュを見なさい
アナタのためにパフォーマンスをするわ!
えっ、私のため!?
いやいや、観に来てくれる人たちのためにしなきゃダメじゃない?
みんなのスクールアイドルなんだから
無問題ラ! ランジュが大丈夫って言えば大丈夫なの。
全身でランジュを受け止めなさい
う、うん……
できるかな……
う、うん……
できるかな……
アナタならできるわ!
あのね、ランジュはね、同好会に入れてもらったことで変わったの
ライブは気持ちの交換なんだ、ってちゃんとわかるようになったの
気持ちの交換……?
そう、それを理解して、できるようになったから、
ずっと憧れだったお友達ができたのよ
アタシはずっと間違えてたのよ。わからなかったの
もっと上手にできる、話せる、動ける、そういうことがわかるから、
周りのみんなにも教えてあげてた
でもそれって押しつけでしかなかった。
だからランジュの周りにはいつも誰も残らなかった
ここに来たばかりの頃もそうだったのよ
だけど、アナタが、みんなが教えてくれた
ランジュはスクールアイドルになれたの。
だから世界最高の衝撃をアナタにあげる!
安心しなさい! ランジュに見惚れていれば、
アナタがアナタである限り、きっと思い出せるわ
最高衝撃のライブを魅せてあげる!
(明日はみんなとお出かけかあ……)
(やっぱりまだちょっとぎこちなくなっちゃうんだよね……
それで気を遣わせちゃうし)
(あんな安請け合いしなきゃよかったかな……)
せんぱ~い! 週末かすみんとデートしませんかっ!?
ほらあ、先輩からしたらかすみんって知り合ったばかりの
キュートガールじゃないですかあ。だからかすみんのことを
知ってもらいたいんですう~きゃはっ!
過去最高に大きな猫被ってる……。
璃奈ちゃんボード「ゾクッ」
かすみさん、
その演技力はあらゆる賞を総なめの名女優の域です!
猫被ってないし演技でもないっ! もーーー!
あ、あの、えーと……
気にしないでいいわ、うちではよくある光景だから
同好会の醍醐味だね~
果林先輩も彼方先輩もそんなこと言わないで~~!
先輩、お出かけしましょうよお!
ちょっとぉ! ランジュだって行きたいんだけど!
私も親交を深めたいです!
じゃあ、間をとってわたしとお出かけしちゃう?
あの、誘ってくれてありがとう! でもその……
あ、歩夢ちゃん、どうしたらいいかな!?
ええっ、私!? ええとね……
そうだ! みんなで行けばいいんだよ!
ねっ、みんな!
それが公平でいいかもしれませんね
異論はないね。で、どこに行く?
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
※%4&☆@!!!
プラネタリウム!
遊園地!
横浜!
原宿!
動物園!
公園!
彼方ちゃんち!
ライブ!
科学館!
美術館!
ベースボール!
香港!
え? どこ?
横浜に行きましょう!
いろいろな観光スポットがあって楽しいですよ!
公園でピクニックはどうかな?
いっぱいサンドイッチ作っていくよ~
スクールアイドルのライブがいいと思います!
ライブではしゃいで盛り上がりましょう!
遊園地一択ですう~!
メリーゴーランドとか乗りましょうよ!
原宿でショッピングしよ!
手で持って食べられるミルフィーユ屋さんがあるんだよ~!
プラネタリウムはどうかな?
癒されると思うんだ
動物園だって癒されると思うわよ
球場で見るベースボールは格別だよ!
美術館はどうでしょう?
日本初来日の絵画が鑑賞できる企画展をやっていますから!
科学館も、興味深い。
サイエンスに触れる1日にしよう
彼方ちゃんちでのんびりお昼寝しようよ~。
起きたらおにぎりと豚汁と卵焼き作ってあげちゃう~
香港に行きましょ! 最高の飲茶をご馳走するわ!!
あの……あの……
どのプランもすごく興味をそそられるけど、えっと……
ベイビーちゃん、
これはないと思ったヤツはちゃんと言わなきゃダメだよ。
香港はぶっ飛びすぎだってちゃんと言いな
……でも、前の私は香港にも行ってたかもしれないし……
さすがにそれはない
なによう! ちょっと時間はかかるけど、
行ったら絶対みんな大好きになるわよ!
それはその通りです。ただ、日帰りで行くのは難しいかと……
そうだね~。せっかく行くなら、
お粥も飲茶も海老そばも食べて夜市行きたいし~
彼方! 詳しいのね!
ランジュちゃんの故郷だもん、そりゃ気になって調べてるよ~
きゃあっ! ありがとう、彼方! 招待するから、
いつかみんな一緒に行きましょうね!!
ということで、選択肢はひとつ減ったわ。
これで選びやすくなったでしょ?
11個もあったら選ぶの難しいよ!
じゃあ、くじ引きにする?
それなら公平だからいいかも!
愛さんくじ引きのアプリ持ってる! やろうやろう!
(すべてが怒涛のように決まっていったな……)
(でも、なんか楽しかった。あの子たちみんな好みがバラバラなのに、
不思議な連帯感があるっていうか……)
うわっ、考え事してたら迎えがきちゃった!
はーい! 今行くーーー!
みなさーん、集まりましたかー?
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
えー、「土曜日の先輩とデートDAY」のメンバーは、先輩、私、
せつ菜さん、果林さん、エマさん、璃奈さん、ランジュさんの7名です
場所はここ横浜! 今日は地元……が近い私がご案内しますね!
頼りになるなあ、よろしくね!
ふふっ、なんでも私にお任せください!
ランジュにも任せてくれていいわよ!
だって中華街ならおいしいお店を見分けられるわ!
氷川丸なら私も雑誌の撮影で来たことがあるわ
横浜は戦隊ヒーローの撮影でもよく使われています!
背景を見ればどんなヒーローが戦ったのかわかりますよ!
赤レンガ倉庫にはおいしいパン屋さんがあるんだよ~♪
うわ、みんなも詳しい! 頼りにさせてね!
ううう……ここはホームだと思ってたのに~
しずくちゃん……ナデナデ
あーーん!
あれ……なんかあのあたり、人がたくさんいるね。
なにかやってるのかな?
わあ、ご当地スタンプラリーだって~!
しかも謎解き要素もあるみたいですよ。スタンプのある場所は
エリア指定されていますが、謎を解かないとたどり着けない、と
へえ、全部集めると記念品がもらえるのね
記念品?
中華帽を被ったパンダのキーホルダーだって
中華帽を被ったマヌルネコのキーホルダーだって
中華帽を被ったパンダのキーホルダーだって
パンダ!?
ん? 果林さんパンダ好きなの?
え? あ、いや、特に好きってわけじゃないんだけど……
中華帽を被ったマヌルネコのキーホルダーだって
あ、あと中華帽パンダもあるみたい
あら……
このスタンプラリー、ものすごい難問が隠れている、って
聞いたことがありますよ
何人もの人が破れ去っていったのだと……
そっか、じゃあこれに時間をかけちゃうと
観光できなくなっちゃうかな……
確かに、今日はみんなで楽しく観光がメインのお出かけ
ですからね……。残念ですが……
パンダ……
え?
な、なんでもないわ
ゲーム……したい
数々の猛者が散っていった高き壁と聞くと、
挑みたいという気持ちが燃え上がります……!
猛者じゃなくて観光客ね
まあまあ、ふたりがやりたがってるんだし……
挑戦ならランジュも臨むところよ!
ね!? どうかしら? ご当地スタンプラリー、ってことなら
観光地も網羅していそうだし……
じゃあ、やってみようか
そうですね!
では、みんなでお揃いのキーホルダーゲットを目指して!
チャレンジです!
まず第1問よ。
「お馬さんもびっくり! 横浜発祥スイーツはなーんだ?」
お馬さんも驚くもの……?
お馬さんもおいしい~って思うものなのかな? にんじんとか!
にんじんスイーツなんてヘルシーそうでいいわね
スタンプ台が設置されたエリアは、ええと……
あっ、ここです!
ということは、ここにヒントも隠れていそうですね……
では、スイーツショップが並んでいるゾーンを歩いてみますか?
そうだね、謎解きもしなきゃだけど、
歩いているうちに見つけられたらラッキーだし
お店、いっぱい……
レトロな雰囲気が残る不思議な場所ね
ここも海のそばだけど、お台場とはまた違うのね
ふあ~、いい香り……
ああっ、エマさんがスイーツに引き寄せられていってしまいます!
ダメですよ、まずは謎を解いてスタンプを見つけなければ!
はっ、そうだったね、ごめんごめん!
うーん、スイーツと馬……なんかちぐはぐさを感じるんだよな
しずくちゃん、どう思う?
ランジュちゃん、どう思う?
しずくちゃん、どう思う?
ランジュちゃん、どう思う?
ランジュは果林のひらめきを信じるわ。
にんじんのスイーツ、ってことよ、きっと!
じゃあ、キャロットケーキかな?
キャロットケーキはイギリス発祥のスイーツなんだよ
えっ、そうだったの!?
横浜とイギリス……あまり関係はなさそうですね
そうなんだ。じゃあ、しずくちゃん……
ご近所さんとしての意見があれば教えてほしいな
うーん……このあたりで馬というと、横浜馬車道、
という場所くらいしか思いつきませんね
え!? その名前のアイス屋さん、さっき見たよ!?
えっ、どこで? 行ってみようよ!
スタンプゲットですーーー!
謎の答えは、横浜馬車道で生まれた「あいすくりん」のことだったのね
おいしかったあ~!
次のスタンプもこのエリアにあるみたい。
問題は「天を駆ける雷光を刈り取るスピアはなーんだ?」
か、かっこいいです……!
伝説の武器にありそうですね!!
せつ菜はこういうイメージのものが大好きなのよ!
うん、すごく好きみたいだね。目がキラキラしてる
この謎はせつ菜ちゃんに任せたほうがいいかな?
お任せください!!
天を駆ける雷光を刈り取る……刈り取る……
刈り取るスピア……
ああ……イメージが広がってきました……
不吉を感じさせる暗雲の中を切り裂く稲妻……
その稲妻を刈り取る伝説のスピア……
はっ!! 閃きました!!
雷を受けるもの……
避雷針ではないでしょうか!?
なるほど……
さっきもらったマップにそんなのがあったような気がするわ。
珍しいと思って目に止まったのよね……。あ、ええと……
あ! あった!
これよ、ここができた当時に使われていた古い避雷針は
1号館1階の床下に展示中、って書いてあるわ
すごいです、せつ菜さん! 行きましょう!
待っていてください、私のサンダースピア!!
せ、せつ菜ちゃん、元気出して!
はい……
おみやげの避雷針グッズが、あんなに高価とは……
お小遣い貯めてまた来よう
買ってあげようか?
お小遣い貯めてまた来よう
はい、きっと戻ってきます!
買ってあげようか?
いえ、欲しいものは自分で手に入れたいです!
お小遣いを貯めて戻ってきます!
待っていてください、私のサンダースピア!!
避雷針です、せつ菜さん……
お土産は残念だったけど、スタンプは押せたし
次のエリアに行ってみようか
さて、ここでの問題は「涙から笑いを生んだ名俳優はだーれだ?」
ん? 船がある場所なのに、俳優さんの質問?
璃奈ちゃんボード「はてな」
その問題のエリアってここで合ってる?
ええ、ここでいいみたいよ
くっくっく……
し、しずくちゃん……?
ついに訪れたようですね……私のエンペラータイムが……!
涙から笑いを生んだ名俳優とは、世界の喜劇王チャップリンです!
チャップリンはこの氷川丸に乗船したことがある、と本で読みました!
その時の写真も残ってるんですよ!
ということは……ここは聖地ですね!?
はっ……確かに……その通りです!
写真に写っていた場所はわかるんでしょうか?
そこにスタンプがありそうです!
はい! 探しに行きましょうー!!
ま、待ってー!
しずくちゃんって演劇の歴史にも詳しいんだね
はい、尊敬する俳優さんがどんな時代を生き、どんなことに
触れたのか、とても興味があるんです。私も歴史に名を残すような
大女優になるために、偉大な先輩たちをみて学ばなければ!!!
……と語っていたら、次のエリアに着いたみたいです!
4問目のエリアは、中華街。
問題は「すすきたなびく秋の日に守護獣は浄土よりかの地に降り立つ」
この問題だけ、「なーんだ?」じゃないんだね
これが例の難問ね
古より伝わる伝説のような響きで心惹かれますが……
何を問われているのかすらわかりません!!
う、うーん……
とりあえず、歩いてみる?
偶然スタンプが見つかる可能性もあるし、歩きながら考えようよ
そうね、そうしましょうか
くんくん……いい匂い……
お腹すいたかも。璃奈ちゃんボード「ペコリン」
こっちに惹かれる~……
ま、待ってくださーい!
蒸し立てホカホカの肉まんだよ~!
いただきま~す! はむっ……んん、ボーノ!
お肉がぎゅ~っと詰まってて、じゅわ~ってしてくるよ~
はい、あなたも半分どう?
じゃあ私のも食べて!
ありがとう!
じゃあ私のも食べて!
ふふっ、ありがとう
おいしいものを半分こするともっとおいしくなるね
ありがとう!
あむっ……うん、すっごくおいしい!
ランジュのも食べなさい! 見て、この特大の唐揚げを!!
なんて雄々しいのかしら。唐揚げの王様ね!
ゴマ団子もおいしい。あなたにもひとつあげる
北京ダックロールなんていうのもあったわよ。
甜麵醬の甘いソースがたまらないわ
ちまきもありますよ!
醤油味のもち米にたくさんの具が入ってます!
見てください! 超巨大小籠包です!
もっちりした生地とジューシーなお肉のマッチングが最高です!
わわっ、どれもおいしそう!
私のハリネズミの形のおまんじゅうもいっぱいあるからみんな食べて!
本当にいろいろなものがあるね。歩いてるだけで楽しい!
はむはむ……
あ、エマさんプリンも食べてるんですか
うん! おいしそうなもの見かけるとつい買っちゃう。
せつ菜ちゃんもどうぞ、あ~ん
あ~ん! ……とってもおいしいです!
ついおいしそうなものに惹かれてしまって、
なかなか先へ進めませんね
謎解きも……できてない
はっ、ほんとだわ!
謎を解くか歩き回ってスタンプを見つけるかしなくちゃ!
みんな、行くわよ!!
……あら?
どうしたの、ランジュさん?
果林がいないわ!
ええっ!? さっきまで私の隣にいましたよ!?
賑やかだし、はぐれちゃったのかな。探しに行こう!
あ、ねえ、かわいいポーチが―あら?
誰もいない……
これは……はぐれちゃったわね
早く戻らなきゃみんなに迷子がバレ……じゃなくて、心配させちゃう
ええと、どこを曲がって来たんだっけ
この角だったかしら……いや、それとももっと先……?
……あら、かわいいぬいぐるみ。
白虎のぬいぐるみなんてめずらしいわねえ
毛並みもいい感じ……ずっと撫でていたいわ……
あっ、あの子から!
「今どこにいますか? 目印を教えてくれたら迎えに行きます」
……正直、来てもらえるのは助かるわね。甘えちゃおうかしら
ええと、目印になるようなものは……
あっ、果林さんからメッセージ返ってきたよ。
なになに……「目印はパンダのマークのトレーラー」だって!
よし、そう遠くには行ってないはずだし目印を見つけに行こう!
はあ、はあ……この通りには見当たらないわね
あっちにもトレーラーはありませんでした
向こうも、なかった
もうちょっと遠くまで探しに行ってみる?
あの……
どうしたの、しずくちゃん?
ふと思ってしまったのですが……
パンダのマークのトレーラーってもしかして
引越し屋さんのトラックなのではないでしょうか……
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
ええっ!?
確かに……そのマークの引越し屋さん、あるもんね……
中華街だから、パンダのマークがついたトレーラーっていうのに
違和感がなかったけど、十分ありうる……
果林ちゃんってば、動くものを目印にしちゃダメだよ~~~!
あっ、見て!
パンダのマークの引越しトラック!!!
トラックが走ってきた方向を探しに行ってみよう!
はい!
み、見つけた~~~! 果林ちゃーーーーん!!
よかったですーー!
まったくもう、こんなに人の多いところではぐれたら危ないわ!
ランジュが手を繋いでいてあげる!!
見つかってよかった~。璃奈ちゃんボード「ホッ」
みんな揃ってひと安心ですね。ということで、
これからスタンプラリーの続きをしたいところなのですが……
そろそろ帰らないといけない時間だね
そうだね……
残念ですが、今日のところは帰りましょうか。
スタンプラリーの期間はまだあります。
横浜の歴史を調べて、改めて来ましょう!
ごめんなさいね、私が迷……はぐれちゃったから
気にしないで。果林さんが無事でよかったよ
だけど果林ちゃん、動くものを目印にするのはダメだよ
そ、そうよね、気をつけるわ
では、日曜日の担当メンバーのみなさんにお土産を買いましょうか
プリンにしようよ。さっきエマさんが食べてたやつ、
たくさん種類があってかわいかった
いいですね、そうしましょう!
みんなを心配させたお詫びに、私がお金を出すわ。
えーっと、財布はどこだったかしら……
……ねえ、果林それなに? なんか白黒のふわふわがあるわ
え……あっ!
きゃあっ! 白虎のぬいぐるみじゃない! かわいいわーーー!
いつのまに買っていたの!?
べ、別にいいじゃない、部室に飾ろうかな、って……
アイヤーーーー!
ど、どうしたの、ランジュちゃん!?
そっか……わかったわ。守護獣っていうのは四神のことだったのね!
ランジュとしたことが、
みんなとお出かけが嬉しすぎて論理的思考ができなくなっていたわ
「すすきたなびく秋の日に守護獣は浄土よりかの地に降り立つ」
守護獣が四神のことだとわかれば、この問題はすぐに解けるわ
四神とは青龍、白虎、朱雀、玄武という方角を守護する神よ
そして秋、浄土という言葉に当てはまる方角は西
西を守護する神は白虎
しずく、西の方角に、白虎に関係する建物や像はない?
建物や像……、そういえば、門があるはずです!
最後のスタンプはそこよ! みんな、行きましょう!
やったわーーー! お揃いのキーホルダーゲットよーーー!
ふふっ、中華帽を被ったパンダさん、かわいいですね
ほんとねえ……
果林ちゃん、よかったね!
べ、別に普通に嬉しいだけよ! 普通に!
今日はとてもすごい冒険をした気分です……!!
じゃあ、みんなへのお土産、買おう
そうだね。えーと、どのプリンがいいかなあ?
璃奈ちゃんはどれがいい?
杏仁プリンにしようか
璃奈ちゃんはどれがいい?
うーん、どれもおいしそう……
たしかに。マンゴーと杏仁両方買っちゃおうか?
杏仁プリンにしようか
うん! 璃奈ちゃんボード「ぶいっ」
……って感じでね、大冒険の1日だったんだ~!
ふふっ、濃い時間だったわよね
ランジュの鮮やかな謎解きをミアにも見せたかったわ~!
ふーん、楽しそうで何よりだね
1日そばにいて、ランジュたち改めてあの子と仲良くなれたわよね!
そうだといいなあ。食べさせあいっこしたし~
ま、それはこれからわかるわよ
へー! 順調そうで! 何よりだね!!
悪いけどボクもう寝るね。明日はボクたちのお出かけの番だし
じゃあね! Good night!
なんだよ、自慢してくれちゃってさ……
ボクたちだってベイビーちゃんともーっと楽しいことしてやる!
みんなにメッセージいれとこ。明日は気合い入れて遊ぶんだ!!
ねえねえ、昨日の話聞いたよー!
横浜で大冒険だったらしいね!
えっ、もう知ってるの!?
はい、昨晩聞きました
みんなにおみやげ買ってきたから、月曜日に持っていくね
ほんと~? 楽しみにしてるね!
今日もすーっごく楽しいプランを考えたので、
楽しみにしててくださいね、先輩!
うん! 今日は遊園地だよね。行くの久しぶりだな
効率的にまわれるプランを練りに練ったよ
ふふっ、私たちは昨日が作戦会議だったもんね
期間限定のメニューもいっぱいあって、考えるの楽しかったよね~
ほんと? どんなのがあった?
えっとね、ミルクティ味のチュロスとか~
抹茶ミルク味のポップコーンというのもありました!
分厚いベーコンが入ったハンバーガーもあったよ
クリームをたっぷり詰めたふわふわのカステラもあったよね
かすみん、キャラクターモチーフのアイスが食べたいな~
彼方ちゃんはホットクランベリージュースを飲んでまったりした~い
あははっ、彼方さんは遊園地でもまったりしちゃうんだ
どこでもまったりできるのが、彼方ちゃんの特技なのです~
今日はまったりしてる暇はないからね、彼方!
え~、隙をみてまったりしちゃうかも~
ボクたちのプランに隙なんかないよ!
うんうん、そうだね~、えらいえらい
もー! 子供扱いはやめてよ!
ボクはステイツでは大学生でここじゃ彼方の同級生だぞ!
そうやってムキになるとこがな~
子犬ちゃんは黙ってて
かすみん子犬じゃないってば! がるるる~!
ま、まあまあ! ほら、もうすぐ着くよ~!
おおお……これは……
あっちゃぁ~
なんだよこの大行列は~~~~!?
これは想定外でした~~~!
とりあえず、私たちも並びましょうか
そうだね
進まないね……
チケット売り場だけじゃなくて、入場口もギョッとする行列だね~
なんつって!
ぷっ……、あ、ごめん、笑ってる場合じゃないよね……
ふふふっ、笑いたいの我慢しなくていいよ
みなさんとお話していれば行列も苦ではないのですが、
これじゃあプラン通りに、とはいかなさそうですね
だね……
あの~、彼方ちゃんから提案です。
今日の目的は、遊園地じゃないよね?
今日の目的は、遊園地じゃないよね?
え? いえ、くじ引きで遊園地行きましょう、ってことに
なったじゃないですか
それはそうなんだけど、何のために行くのか、ってこと
この方との親睦を深めるため……ですね
栞子ちゃんせいか~い!
この子と彼方ちゃんたちがも~っと仲良くなりましょ~、って
集まりなんだし、思い切って場所を変えるのもありかも~、と
思いまして。どうかなあ?
んー……、あり!
ありだね。そのほうがいいかも
えー! じゃあ、どこ行きます?
かすみん、遊園地以外のプランないですう!
ここは歩夢さんにお伺いするのがいいかと
ええっ、私!? どうして!?
この方のことを一番知っていますから
むう……。
スクールアイドルにハマる前の先輩のことなら、そうかも……
歩夢ちゃん、
同好会に入る前にふたりでよく遊びに行ってたとこってどこ?
えええ……えっと……どこだったかな……?
うーん、特別な場所に行ってた、ってわけでもなくて、
普通にショッピングとか、家の近くの公園とか……
んじゃショッピング行こっか!
愛さん実はランニングするときに被るキャップが欲しくってさ~
私も、メイク用品を見たいです
えっ、しお子メイクに興味出てきたじゃん!
またなにかお揃いにしよーよ!
はい!
じゃあ今日のプランは変更! ショッピングへGO~!
どこ見に行きたい?
うーん、楽器屋さんかな。ちょっと楽譜を見たくて
あ、ボクも見たい
ミアちゃんはどんな楽譜が好き?
やっぱりクラシックかな?
やっぱり最新のヒット曲かな?
やっぱりクラシックかな?
やっぱり最新のヒット曲かな?
クラシックだね。最新のヒット曲も気にはなるけど、
好きで弾くのは小さい頃から慣れ親しんだ曲になるよ
うわ、わかる! 私もピアノ教室で泣きながら弾いた曲とか
今でも懐かしくてつい弾いちゃう!
泣きながら!?
あはは……うまく弾けないのが悔しくて
そういうのってない?
私はちょっとわかるかも
私の場合はピアノとかじゃないけど、卵焼きがうまく焼けなくて
ムキになって泣いちゃったことがあるよ
えー、歩夢かわいい~!
くっ、かすみんもそういうエピソードが欲しかった……!
えっ、なに、かすみちゃん、なにか言った?
なななっ、なんでもないでーす!
それより愛先輩、ほら、あそこ! キャップ売ってますよ!
あっ、ほんとだー! いいな、好きな感じかもー
ねえねえ、ネイビーとカーキだったらどっちがいいと思う?
どちらもお似合いですよ。
でも愛さんならこちらの明るい色も似合うと思います
おおっ、これいいね! 明るい色のほうがテンション上がって
きついランニングも耐えられそうな気がする!
しおってぃーはこの色かな!
ええっ、いえ、私にはこんな明るい色……
似合うよ、栞子ちゃん!
そうでしょうか……ありがとうございます!
おお、このショートパンツミアちゃんに似合いそう~、
ほらほら見て!
ふーん、彼方って悪くないセンスしてるね
えへへ、褒められちゃった! じゃあ全身コーデしちゃうぞ~
や、やめてよ!
先輩先輩っ、
かすみんにも似合いそうなもの選んでもらっていいですか?
かすみんは……
うん、わかってる!
かすみちゃんはかわいいのが好きなんだよね!
かすみちゃんは女の子らしいのが好きなんだよね!
かすみちゃんはかわいいのが好きなんだよね!
そうです! さすが先輩、かすみんのことわかってくれてます~!
かすみちゃんは女の子らしいのが好きなんだよね!
確かに女の子らしいのは好きですけど~。
先輩がかわいいと思うものを選んでください!
じゃあ、こういうワンピースはどうかな?
あ、そこのスカートもかわいくていいね
えへへっえへへっ、ちょっとかすみん試着してきまーす!
私もあなたに選んでほしいな……
歩夢ちゃんにはこのやわらかい色のストールがいいよ!
わあ、こういうの好き!
よ、よかった~、スクールアイドルになった歩夢ちゃんも
好みが変わってなくて
なんか……変わってたらどうしよう、ってちょっと不安だった
……変わらないよ
あなたはそのままの私を応援してくれてたもん
だから、私は私のままだよ
あ、でも、ちょっと体力がついたし、たくましくなったかも!
なんてね、ふふふっ
あーっ! ふたりでいい感じの空気作らないでくださーい、
かすみんも混ぜてっ!
かすみさん、かすみさん!
ん? どしたの?
次はメイクショップに行きましょう!
もう、しお子ったら~、かすみんとのお揃いそんなに楽しみに
してくれてたの? 任せて! 今すぐ探しに行こう!
わあ~、新作いっぱい出てるね~
このリップかわい~! しお子、こういう色試してみなよ
ええ!? こんな色、私にはハードルが……
いえ……何事も経験、ですよね!
かすみさんに選んでもらったものにハズレはありませんでしたし
そうそう、かすみんのこと信用して!
気に入ったらお揃いにしよ! かすみんはこのピンクの~!
あっ、このプチプラシリーズ、愛さん好きなんだよね~
ボクはあんま興味ないや
ええ~、そう言わずに~
ミアちゃんに似合いそうなものもいっぱいあるよ
ふーん
ペンシルタイプのアイシャドウは使いやすいですよ。
この、細かいラメが入ったシルバーブルーのものなんか似合いそうです
わかる。ミアチってクールでスマートだから、こういうの合うよね
クール……
別にそんなつもりはないけど、
キミたちがそこまで言うなら試そうかな……
かすみんやってあげる! こっち向いて!
えっ、かすみは失敗しそうだからやだ!
なにおう! 失敗しないもん!
ぷっ……あはははっ
んん?
んん?
んん?
んん?
んん?
んん?
ごめん、笑ったりして。仲いいなと思って。どうぞ続けて
続けて、じゃないよ! あなたは何か気になるものない?
ええ!? いや、私はメイクはそんなに……
洗顔料のいいのがあれば欲しいかな、くらいで
おっ、そういうのも愛さん得意だよー!
基礎化粧品大事ですからね!
ボク、クレイの入ったやつ使ってるよ
くれい?
泥のことだね。なんか汚れの吸着力に優れてるらしいよ
そう! 練習の後に使うとさっぱりするんだ
へえ~、いいね!
同じの買ってみようかな
じゃ、じゃあ、かすみんも!
かすみ、クレイが何かも知らなかったくせに……
やっぱり子犬ちゃんだね
だからっ!
かすみん子犬じゃないもん!
えーん、結構お小遣い使っちゃいました~!
私もです……。お小遣い帳をつけておかねば
えっ、しお子そんなのつけてるの!?
かすみさんは記録していないのですか!?
……つけようかな
そのほうがいいですよ。
自分の出費状況傾向を知っておくことは大事です!
ぴえ~ん
いや、私もちゃんとつけなきゃな……
栞子ちゃんはいいお嫁さんになるね
栞子ちゃんってしっかりしてる
栞子ちゃんはいいお嫁さんになるね
栞子ちゃんってしっかりしてる
ええっ!? そ、そうでしょうか……
本当にそうだといいのですが……
ねえ、この後はどうする? カフェにでも行く?
あっ、愛さんまだちょっと心残りがあって~……
えっと……愛さんたちも、君とお揃いの何かが欲しいな
ほら、昨日はみんなでスタンプラリー完走記念のキーホルダーを
もらったんでしょ?
私も欲しいな! 今日の思い出に……
本当は遊園地で買えればよかったんだけどね~
遊園地はまた別の機会に行こうよ!
それと、お揃いのものも買いに行こう!
キャップとかがいいかな!
ポーチとかがいいかな!
キャップとかがいいかな!
ポーチとかがいいかな!
みんなは何がいいと思う?
彼方ちゃん、迷う~。なんでもいいけどなんでもよくない……
なにそれ……
お揃いならなんでも嬉しいけど、
どうでもいいものをお揃いにするのはもったいないな~、って
気持ちなんだよ~
あはは、私も同じだよ。じゃあ、もう一度中に戻って探してみよう!
えへへへー、いいの選べたね~!
ストラップホールシートっていうのはナイスアイディアでしたね!
スマホ肩かけにすることも多いし、常に身につけれるし嬉しい!
確かにいいもの買えたけど……歩き疲れた!
じゃあ、この辺でちょっと休もうか?
うん、そうだね
ああ~、こんなふうにピクニックっぽいことできるなら
お弁当作ってきたかったです~
先輩が大大大好きなコッペパン持ってきたかったです~!
盛ってない、かすみ?
盛ってないってば!
そういえば、ここにいるのはお料理が得意なメンバーばかりですね
え、そうなの?
問題! かすみん以外で、誰がお料理上手でしょうか!
ええっ!? そ、そんなのわからないよ!
いーからいーから!
フィーリングフィーリング!
うう……う~~~~ん……
彼方さん……かな?
歩夢ちゃん!
彼方さん……かな?
おお、どうしてそう思ったの~?
フィーリング……?
歩夢ちゃん!
えー! なんかそれってズルですー!
歩夢先輩がお料理上手なのはもともと知ってるじゃないですかー!
でもでも、確実なのは歩夢ちゃんだし! ね、歩夢ちゃん!?
あはは……、でも私はお料理上手ってほど得意じゃないよ。
卵焼きだけは自信あるけど
正解は……カナちゃんと歩夢……かな!!
ふたりとも!?
誰かひとりを選んで、って愛さん言ってないもーん
確かに~~~!
愛は? 愛がくれるぬか漬けもおいしいだろ?
あれはおばーちゃん作!
でも愛さん、もんじゃ焼きは大得意ですよね
いっつもおいしーですよ!
もんじゃ焼きは愛ちゃんが一番だよね~
えっ、なに、みんな……
愛さんのことそんなに褒めてどうしたいの!?
ハグじゃ~!
わーん、みんな大好きっ!!
ちょっ……
あ、愛さん!
くるしーです!
あはははっ、じゃあ、お料理上手なのは全部で4人だね!
いつか4人が作ったお弁当食べてみたいな
遊園地もリベンジだけど、ピクニックも行こうね~
ていうか、みんなが行きたい、って言ってたとこ全部行きたいよね
はい、ぜひ!
ふふふっ、そうだね。でも今日は、あそこのキッチンカーで
いろいろ買ってシェアしよっか
見て見て、すごーく長いポテト!
ふむふむ……
彼方さん、真剣に見つめてどうしたんですか?
いや、こんな長いのに折れずに仕上がってるのすごいなと思って……
血が騒いじゃうんだぜ……
うわっ、ケバブおいしい~!
ほんとですね、ソースがちょっと甘めでこういうの好きです!
ケバブもスタジアムグルメとして有名なんだよね。
よかったら今度みんなをスタジアムに連れて行ってあげてもいいよ
愛さん行きたい! 連れてって~!
仕方ないな!
ドリンクもおいしいね~。これ、何が入ってるのかな?
ブルーですごくきれいだけど柑橘っぽさもあるし……
かすみドリンク調合師、この配合は……?
ソーダにブルーハワイシロップ、ライムと柚子……
ええっ!? かすみちゃんわかるの!? すごい!!
かすみん、コッペパンだけじゃなくておいしいドリンクを作るのも
得意ですから!!
そういうの得意なら化学とかも得意そうなのにな、かすみ
確かに……
お勉強のほうにその研究熱意は向きませんか、かすみさん?
やめてー! お休みの日にお勉強の話はやめてー!
ふふっ……あはははっ!
みんな本当に仲良しなんだね!
こういう仲間がいるっていいな
……あなただってその一員だよ
そうですよ!
……ありがとう。こんな私でも受け入れてくれて
ほらほら、もうそーゆーのはナシナシ!
愛さんたちの友情は変わらないんだよ!
……うん!
もうこんな時間かあ~
……遊園地に行ってたら、パレード見れたのになあ
ねえねえ、ゴミ捨て行った時に会った子に聞いたんだけどさ
愛先輩、また友達作ってきたんですか!?
うん! でね、その子が言ってたんだけどさ、
公園のライトアップがあるらしいんだ。
パレードの代わりに、それ見に行っちゃおうよ!
わあ、行きたい! みんなは?
行きたいでーす!
門限までに帰れるのでしたら……
仕方ないね
んじゃ行こっか~!
わあ……
幻想的だね
素敵です~!
なんかこういうの、
カナちゃんのライブのときに感じる空気に似てる~
ほんと~? 彼方ちゃんもこういうステージ作ってみたいかも~
客席にはクッション敷き詰めてみんな寝っ転がりながら見てほしいな~
聴いてるうちに寝ちゃいそうだよ
それもよし!
考えてきたプランは実現できませんでしたが、
楽しい1日になりましたね
うん!
みんなでお買い物して、お揃いの雑貨も買って、
キッチンカーで買ってきたものシェアして食べて
イルミネーションを見て……
とっても楽しい1日だったよ。みんなありがとう!
ボクたちのほうこそ……
なんか、2日にわけて連れ回して悪かったね
ミアちゃんでもそんなこと気にするんだ?
ちょっと疲れたけど楽しかったよ!
ミアちゃんでもそんなこと気にするんだ?
「でも」ってなんだよ!
ボクはステイツでは大学生だからこういう気遣いができるんだ!
あははっ、そうだよね、ありがとう!
まったくもう……
ちょっと疲れたけど楽しかったよ!
確かに悪かったとは思ってるけど……
このくらいで疲れてるなんてダメだね
ベイビーちゃんにはもっと体力をつけてもらわなくちゃ
明日からボクたちと一緒にトレーニングするかい?
ええっ!? 無理無理! あんな距離走れないって!
あははっ、ジョークだよ!
おっと、もういい時間だね~。そろそろ帰らなきゃ
まだ帰りたくないですう、先輩!
明日も会えるよ、かすみちゃん
もうちょっといたーい!
そんなわがままを言っていると……
またミアさんに言われてしまいますよ?
子犬ちゃ~ん
やだー! 彼方先輩やめてー!
かすみんわがまま言わずに帰りますっ!
あははっ、みんな、また明日ね!
(この週末、楽しかったなあ……)
(こんなことになってどうなるかと思ったけど、
みんな優しくて楽しくていい子たちで……)
(もっと仲良くなれたらいいな)
(よし、寝る前にお礼のメッセージ送ろう!
あと、これからもよろしくね、って!)
はあ、はあ……
(歩夢ちゃんのこと待たせちゃってる! 早く行かなきゃ)
(あ、いた!)
歩夢ちゃーーん、ごめん、待たせちゃっ―
う……うーん……
ここはどこ……?
哈囉! お目覚めのようね
えっ……あの、どなたですか? ここどこですか!?
ここはダークレインボー地球基地、アタシはランジュよ!
ダーク……基地?
ダークレインボー地球基地。まあ、知らなくて当然ね
ランジュは遠い遠い遥か彼方の星から地球を征服しに来たの
ええっ!?
この星はそう遠くない未来、ダークレインボーのものになるのよ
そのためのコマとして、アナタを連れてきたの
な、なにを言ってるんですか……?
ふふふ……とてもいい顔をしているわ。ランジュの好みの顔よ。
さあ、もっと絶望なさい!!
はあっ、はあっ
助けてくださいっ!!
いらっしゃいま―はい?
あのっ、はあ、はあ……助けていただきたくって……!
助けるといっても……ここは見ての通りの猫カフェよ?
救急箱ならありますが、お怪我ですか?
違うんです、お友達が……
私の大事な幼馴染がさらわれちゃったんです!!
えええっ!?
えええっ!?
えええっ!?
えええっ!?
そりゃ大変だ! 警察に連絡しなきゃ!!
警察じゃ、たぶんダメなんです……
どうしてですか?
誘拐犯は……空を飛んでいたから。
空からあの子をあっという間にさらっちゃって……
ここってご近所の平和を守るスクールアイドル戦隊の
秘密基地ですよね!? だから来たんです!!
ままま、待ってください! 先ほども言った通り、
ここは至って普通の猫カフェでして……
でも私、チラシをもらいました
え?
え?
え?
え?
「ご近所の平和承ります。何かあればスクールアイドル戦隊まで」っていうチラシを……
ええと……どこにそんなチラシが?
栞子ちゃんが配ってたんです。
自分はスクールアイドル戦隊を指導するマスコットキャラだ、って
言ってました
栞子さん……でしたか
あの、ちょっと待っててくださいね、ええと……
上原歩夢です
歩夢さん、ちょーーーっとだけお待ちを……
皆さん、どうしましょう……
どうするもなにも、完全にバレてるんじゃあねえ……
てかチラシ配られてるんだったら
もうご近所のみなさんには周知の事実、ってことだね
だったらもう隠す必要はないのでは?
いえ、でも司令官は全員揃うまでは隠しておいたほうがいいと
言ってましたよ
んじゃ、ひとまず、ご近所さんには今まで通り隠して、
あの子の手助けはする、ってことでどう?
そうね、私たちの使命はご近所の平和なんだから
決まりです!
ごめんごめん。じゃあ歩夢、詳しく聞かせてもらえるかな?
うわあ~~~、ねえねえ、見てみなさい
鳥ってあそこまで懐くのねえ。
頭を撫でられて気持ちよさそうだわ
歌も歌えるしおしゃべりもできるし、本当に賢いわね!
ねえ、聞いてる?
聞いてるけど……
ランジュ、ひとりで退屈してたの。話し相手になってよ
私、人質だよね……?
そうだけど、別に話すくらいいいでしょ?
いいのかな?
ドラマや映画とかだと話せないように
口に何か詰められたりしてるけど
ひどいことするわね!
確かにそうなんだけど……
ランジュはしないから安心しなさい!
う、うん……
きゃあっ! ほらほら! 次はペンギンが出てきたわよ~!
知ってる? 動物園ってところに行くといるらしいわよ。
ランジュも行ってみたいわ~!
動物園行ったことないの?
ないわ
ここから結構近いよ?
えっ、そうなの!?
うん、ペンギンもいるしオウムやフクロウもいるよ
すごいじゃない!!
ふれあいコーナーっていうのがあって、
確かそこではインコを肩に乗せられたはず……
いいわねえ~! ねえ、もっと聞かせて!
あっ、その前にちょっと出前でもとりましょうか?
おなかすいたでしょ? オムライスがおいしいカフェがあるのよ~!
オムライスとカフェオレでいい?
う、うん……ありがとう
私はいいや……
う、うん……ありがとう
私はいいや……
ダメよ! 食べなきゃ力が出ないんだから!
オムライスとカフェオレを頼むわね!
さあ、もっと話を聞かせてちょうだい!
ほらほら、見て!
ちょっと遠出になるけど鳥だけの動物園もあるんだよ~
ええっ、鳥だけ!?
そうそう。バードショーもあるし、
ペンギンとか抱っこして記念写真も撮れるらしいよ
楽園ね! ランジュも鳥たちと写真が撮りたいわ!
じゃあ今度一緒に―
なに、この曲!?
くーっくっく!
はめつのししゃ・ダークレインボーエマだよーー!!
は、破滅の使者!?
わ、悪者…かな?
は、破滅の使者!?
わ、悪者…かな?
あっ、ランジュちゃんたちだけオムライスずるいよ~
わたしの分は?
ちゃんとあるわよ、エマ。
安心しなさい、ランジュがエマの分を忘れることなどないの!
ありがとう、ランジュちゃん! あとでチンして食べるね!
ねえ、破滅の使者ってどういうこと!?
はめつのししゃは、はめつのししゃだよ
わたしはね、このひろーーーい宇宙で、
数多の星を征服してきた冷徹な支配者なんだよ!
そして……この美しき星・地球ももうすぐわたしのものなのだ~! わーっはっは!
だからこの曲はなんなの!?
なるほど、空からピンクのロングヘアの女の子がやってきたと……
そうなの。あっという間にあの子のことをさらっちゃって、
私、声も出なくて……ううっ……
ああっ、泣かないでください、歩夢さん!
今聞いた情報を司令官に送ったわ。
調べがついたら連絡がくるから、飲み物でも飲んで落ち着いて
はい……
ただいま戻りました
栞子さん、どこに行っていたんですか?
彼方さんにお手伝いを頼まれていました
……あら? そこにいるのは歩夢さん!? ど、どうしてここに!? 何かあったんですか!?
そうなの……大事件があって……。でも、前に栞子ちゃんに
チラシをもらってたからすぐにここに来れたよ。
話も聞いてもらったところなんだ
そうでしたか……
栞子ちゃん、私にチラシをくれてありがとう
い、いえ……
しおってぃー、尻尾ぶんぶんだねえ……
歩夢に懐いてるのね……
あっ! 早速、司令官から連絡が!
おっほん。ごきげんよう、諸君!
司令官! 情報は手に入りましたか!?
このハイパーミラクルかわいい司令官の手にかかれば、
情報集めなんて容易いこと!
みなさんが睨んだとおり……
敵はダークレインボーでしたっ!
やっぱそっか~!
嫌な予感程、的中するものね
あの、ダークレインボーって何なんですか!?
ダークレインボーというのは
宇宙の秩序を乱す悪の組織です
これまでに様々な惑星を我がものにしてきた強敵なんです
そ、そんな悪者がなんでここに……?
もしかして、地球を狙ってるの!?
残念ながら、そうなんです
かすみんが集めた情報によると、
ダークレインボーは地球征服に必要な3つのキーを探していて、
すでに2つを手に入れています
そしてきっと……残るひとつがあなたのお友達だったんです!
そんな……どうしてあの子が? ずっとお隣さんで……
いつも笑顔で優しくて……私の大好きな幼なじみだよ……!
安心してください、歩夢さん
私たちが連れ戻すわ
私たちスクールアイドル戦隊は、ご近所の……
いえ、この地球の平和を守るのが使命です!
ダークレインボーの好きにはさせないよ!
な、何!? 何の音!?
グッドタイミングですね
これはダークレインボーの出現を感知したアラームです
お台場方面に出現です、みなさん!
おっけー!
ダークレインボーを倒すついでに、
キミのお友達も連れ戻してくるわ
あ、危なくないんですか……? だって、敵は宇宙人なんですよね? あなたたちはみんな地球人でしょ?
地球人ではありますが……
私たちには心強い仲間がいます。
そして、スクールアイドルのスーパーパワーも!!
待っていてください、歩夢さん!
じゃあ、みんな、いっくよー!
スクールアイドーーール・モーフィン!!
スクールアイドーーール・モーフィン!!
スクールアイドーーール・モーフィン!!
スクールアイドーーール・モーフィン!!
出動!!
あれがスクールアイドル戦隊です!
スクールアイドル戦隊にお任せください、歩夢さん!
みなさんっ、大丈夫ですか!?!?
あ、しおってぃー、歩夢。
へーきへー……いたたた~!
情けないわね……
こんなはずでは~!
悔しいです……いたた……
璃奈博士、みなさんの怪我は大丈夫なんですか?
怪我は軽い。安心して
ダークレインボーってそんなに強い相手なんですか……
スクールアイドル戦隊が敵わないなんて……
あ、いや、これは敵にやられた怪我じゃないんだよね
武器をうまく扱えなくて負った怪我なんです
ダークレインボーとの戦いに備えて、
りなりー博士が秘密兵器を作ってくれたんだ
ただ……あまりにも強力すぎて4人では扱うのが難しいのよ
そう。これは、本来5人で戦う武器
スクールアイドル戦隊は4人ですよね?
それなのにどうして……?
それには司令官である、かすみんがお答えしましょう……
本来、スクールアイドル戦隊というのは
5人の戦士で構成される組織なんです!
しかし、地球では残りのひとりがどうしても見つかりませんでした
なので、4人でも戦えるよう、せつ菜先輩、しず子、果林先輩、
愛先輩にはつらく厳しい修行をしてもらい、
今日までご近所の平和を守ってきてもらったんです
今の4人なら、
りな子が作った秘密兵器をも扱えると思ったんですけど……
やはり、4人では使えないのですね……
いや、カンは掴めてきたと思うんだ
私もです! もう一度チャンスをもらえませんか?
ですが、次はこのくらいの怪我では済まないかもしれないんですよ!?
早急に5人目を探しましょう!
でも、今までどれだけ探しても見つからなかったのよ?
そうですね、そう都合よく見つかるとは思えません
愛さんたち頑張るからさ!
このまま引き下がれないわよね
ダークレインボーに立ち向かえるのは、
私たちスクールアイドル戦隊だけなのですから!
ですが……っ
……5人目は、もう見つかったかもしれない
ええっ!? 璃奈さん、どういうこと!?
みんな、戦士の条件……覚えてる?
そりゃ覚えて……ああっ!?
そっか……歩夢さんに当てはまりますね……
私!? ち、違うよ、私なんて戦士になれないよ!
どうして急にそんなこと言うの!?
それは、栞子ちゃんが、懐いてるから
スクールアイドル戦隊には、古来より語り継がれてきた教えがある
「誇り高き猛犬の寵愛を受けしもの、それすなわち、
スクールアイドル戦士なり」
栞子ちゃん、さっきからずっと歩夢さんの隣で尻尾振ってる
尻尾なんて振って……います……ね
これはもう……間違い無いと思う
ええええっ!?
いけます……これはいけますよ、みなさん!
あの秘密兵器が使えます!!
愛さんたちついに5人揃ったんだね!
喜んでる場合じゃないわ。すぐに戦いの準備に移らなきゃ
璃奈さん、秘密兵器の修理はどのくらいで終わりますか?
3時間……ううん、1時間で終わらせる
おっけー! 歩夢、一緒にお友達を助けに行こう!!
わ、私……私……。戦士だなんて……無理だよ……
私はなんの特技もない普通の人間だよ。
誰かの平和を守るなんて考えたこともない。
平和が当たり前の人生だったの
それでいきなりダークレインボーとかスクールアイドル戦隊とか
言われても……
歩夢さん……
いや……まあ、そうだよね。確かに話が急すぎた
勝手に話を進めてしまってすみません
やっぱり、私たちだけで戦いましょう。
はい、あなたも今日から戦士です、戦いましょう、とはいかないわよ
歩夢さん、すみませんでした。私たち、改めて作戦を立て直しますね
混乱してるでしょうから、ちょっと休んでてください
しおってぃー、カナちゃんのとこに歩夢連れてってくれる?
はい、わかりました
さ、歩夢さん、こちらへ……
あ、あの……ごめんなさい、私……
気にしないでください。作戦を立て直し次第、またご連絡します!
うん……
おかえりなさいませ~!
あの、彼方さん……
うんうん、話はだいたい聞いてるよ~
歩夢ちゃん……だよね?
彼方ちゃんはね、ここでメイドさんをやってるんだ~
こっち座って~、おいしいお茶を淹れるね~
なるほどね~
いろんなことがあったね。そりゃびっくりしちゃうよねえ
はい……。私、なんか途中から全部夢みたいに思えちゃって……
だけど、あの子がさらわれちゃったのは事実で、その……
私がスクールアイドル戦隊の5人目らしいってことも……
すみません、歩夢さん。私が懐いてしまったばかりに……
そ、それは嬉しかったんだよ!
こんなにかわいいお友達ができたんだもん、
謝るようなことじゃないよ! これからも私たち、仲良しだよ!
歩夢さん……!
それで、歩夢ちゃんは、これからどうしたいと思ってる?
スクールアイドル戦隊になることはぜーーーーったい無い?
私なんかじゃ無理ですよ……
そっか~
わわわっ、なになに~!?
上原歩夢!!
アナタをさらいにきたわ! 覚悟してちょうだい!
ええっ!?
あっ、歩夢さん! 歩夢さーーーん!!
……ちゃん、歩夢ちゃん!!
う……ううん……
歩夢ちゃん!? 気がついた!?
あっ……よかった、無事だったんだねーーーー!
わわわっ、く、苦しい!
あっ、ごめんなさい……。でもよかった……あなたが無事で……。
本当に本当に心配したんだよ! さあ、帰ろ―
あれ、ここどこ?
それがよくわからなくて……
なんか、ダークなんとか基地、って言ってた
もしかして、ダークレインボー?
それかも
地球を征服するとか言ってた。
映画の撮影とかドッキリとかじゃないかと思うんだけど……
ち、違うよ! それ、本当のことらしいの!
私、あなたがさらわれてからすぐに
スクールアイドル戦隊の秘密基地に行ったんだ
ああ、栞子ちゃんからチラシをもらった、って
言ってたところだよね?
え、待って……あれも本物なの……?
てっきり栞子ちゃんのごっこ遊びかと……。だってここにも来てたし
え!?
声はかけられなかったけど、さっき見かけて―
くーーーっくっく! ようこそ、ダークレインボー地球基地へ!!
はめつのししゃ・ダークレインボーエマだよ!
わたしはね、このひろーーーい宇宙で、
数多の星を征服してきた冷徹な支配者なんだよ!
そして……この美しき星・地球ももうすぐわたしのものなのだ~! わーっはっは!
(初めての人には同じ説明するんだ……親切だな)
あなたが地球を征服するつもり、ってことは
教えてもらったから知ってるよ。
でもなんでこの子をさらう必要があったの!?
この子はあなたの壮大な計画には関係ないでしょ!?
今すぐ帰して!
そうはいかないんだな~
この子は、わたしの大切な切り札……
そして、あなたが地球征服のための最後のキーなの!
ええっ!? 私!? また!?
え、歩夢ちゃん、またってなに?
あの、えっと……結構長い話になっちゃうから、あとで説明するね!
切り札とかキーとかなんなの!?
私たちは普通の人間で、征服とかそういうのには全然関係ないよ!
それが大アリなの
歩夢……
アナタは火星統一を成し遂げたア・ユームの血を受け継ぐ者なのよ!
ア・ユームの歌声は火星を包み、
そして火星に生きるすべてのものの心を支配したの
さあ、わたしのために歌って! この星を我が手に~!
何を言ってるのかわからないよ……
火星とか歌声とか、全然わからない!
私にそんな力なんてないよ! 早くこの子とおうちに帰して!!
はあ……そういうと思ったわ
この子を連れてきてほんとによかったね~
歩夢が歌わないと、ランジュたちこの子をくすぐっちゃうわよ!
笑いが止まらなくなっちゃうんだよ!
そうされたくなかったら……わかるわね!
そんな……!
歩夢ちゃん、私は平気だよ
歩夢ちゃん、助けて!
歩夢ちゃん、私は平気だよ
くすぐられるくらいなんてことないよ
ううん、そんなのダメ!
歩夢ちゃん、助けて!
もちろん助けるよ! 私を信じて!
……私が、歌えばいいの?
歩夢ちゃん!
私ね……たくさんの人を救う正義の味方になんかはなれないけど、
誰かひとりのためならできることがあるの
ねえ、私が歌ったら、この子は無事に帰す、って約束してくれる?
いいよ。わたし、約束は守るよ!
わかった……私のことは好きに―
なにごと!?
ごほごほっ、基地が壊れちゃったよ~!
とうっ!!
とうっ!!
とうっ!!
とうっ!!
何者!?
スクールアイドル戦隊、参上!!
スクールアイドル戦隊!? なぜここがわかったの!?
何度か出前に来ましたから!
えええ!?
彼方の喫茶店はスクールアイドル戦隊とはなんの関係もないはずよ!?
ありませんが、たまに頼まれて出前のアルバイトをしているんです
歩夢さんのお友達をさらったのが
ピンクのロングヘアの子だと聞いてピンときたんです。
こんなところで役に立つとは思いませんでした!
迂闊だったわ~~~!
その子と歩夢は返してもらうわよ!
ダメダメ!
地球征服には歩夢ちゃんの歌声が必要なんだから!
どういうこと?
必要なのは、その子じゃないの?
この子は歩夢を説得するために必要だったのよ
そう!
歩夢ちゃんの歌声には、地球を征服できるすご~い力があるんだよ!
今、歌ってもいい、って言ってくれたから、返さないよ!
歩夢さん!? どうして!?
地球がダークレインボーの魔の手に落ちてもいいんですか!?
私が歌えば、この子は無事に帰してくれる、って
約束してくれたから……。
それしかこの子を助ける方法がないんだもん
いーや、あるね。
歩夢がスクールアイドル戦隊の最後の戦士になってくれれば、
その子だけじゃない、地球のみんなが助かるんだよ
そうよ、歩夢! 悪の手に落ちないでちょうだい!
で、でも、私に正義の味方なんて無理だよ……
だったらこの子だけでも助かってほしい……
次はなに!?
Hey hey hey! ボクを呼んだね!?
呼んでいませんが?
いーや、感じたね。
誰かを応援したい、っていう想いを
どちらさまでしょう?
ボク?
ボクは応援のお姉さんさ!
お姉さん……?
あ、今子供扱いしたな! わかるんだぞ!
こう見えても、
ボクは土星では大学生で地球では高校3年生だ!
と、それは一旦置いといて……
えーーーーと……キミ! そこのベイビーちゃん!
キミの心の「応援したい気持ち」を感じてボクはここに来た
さあ、誰を応援したいんだい?
応援したい……のは、歩夢ちゃんです……
そんなのわからないよ!
応援したい……のは、歩夢ちゃんです……
そんなのわからないよ!
わかってるはずさ。さあ、胸に手を当てて感じるんだ!
歩夢ちゃん……?
いいね、もっと心を曝け出して!
あ、歩夢ちゃんは、私のために嫌なことを受け入れちゃって……
でも、そうしなくてもいい道があって……
それはそれで歩夢ちゃんにとっては難しいって
感じてることなんだろうけど、どちらかを選ばなきゃいけないなら、
歩夢ちゃんには正しい方を選んでもらいたい……
自分はたくさんの人は助けられない、ひとりだけなら助けられる、って歩夢ちゃんは言うけど、私はそんなことないと思う!
歩夢ちゃんは……歩夢ちゃんはたくさんの人を助けられる!!
いいね! その気持ち、歩夢に届け!
Are you ready?! Let's shout out! A・YU・MU, you got this!
A・YU・MU, you got this!
Everyone! Let's shout out! A・YU・MU, you got this!
A・YU・MU, you got this!
歩夢ちゃん、頑張れーーーーー!!!
私……私、やってみるよ!
歩夢さん、変身セットをどうぞ!
うん!
それではみなさん……行きますよ!!
炎のように焼き尽くす! レッドブルドーザー・せつ菜!!
轟く雷鳴司る! ブルーハリケーン・しずく!!
疾風迅雷駆けつける! タンジェリンマンモス・愛!!
眩い切っ先唸らせる! パープルブレイド・果林!!
夢見るように咲き誇る! ピンクフェザー・歩夢!!
5色に煌くブレイブファクター!
スクールアイドル戦隊、ニジガクファイブ!
5色に煌くブレイブファクター!
スクールアイドル戦隊、ニジガクファイブ!
5色に煌くブレイブファクター!
スクールアイドル戦隊、ニジガクファイブ!
5色に煌くブレイブファクター!
スクールアイドル戦隊、ニジガクファイブ!
5色に煌くブレイブファクター!
スクールアイドル戦隊、ニジガクファイブ!
な、なんだとお~~~!?
ニジガクファイブですって~!?
くっ……歩夢ちゃんを失ったのは痛いけど……
ニジガクファイブなんて、はめつのししゃの敵じゃないもん!
エマ! ランジュが戦うわ!!
みんな! 今なら、あの秘密兵器が使えるよ!
おっけー! みんな、秘密兵器を使うよ!
な、なによそれは!?
これこそが私たちの必殺技!
璃奈博士の超絶破壊力の秘密兵器は基地もろとも吹き飛ばします!!
パワーチャージ開始!!
チャージ完了まであと10秒!
待って! 待って待って! あの、ひとつだけ確認させて!?
なんでしょうか?
基地もろとも、ってことは……
ここにいる全員怪我しちゃうんじゃない!?
まあ、多少は
多少の犠牲は折り込み済みだよ!!
ダメーーーー! ダメダメ! ダメだよっ!
わんちゃんは絶対無傷じゃなきゃダメ!
わんちゃんの無事はなによりも大切なことだよ!
よしよし、怖かったね、もう大丈夫だからね~
私は誇り高き猛犬です! 危険など望むところです!
でもさっきの爆発で転んじゃってたよね? ほら、見せてみて……
ああ~擦りむいたところ痛いね、絆創膏貼ろうね
く~ん……
……はっ! 尻尾なんて断じて振ってませんからね
あの、エマ……? 最終決戦なのだけれど……?
うーん……中止! わんちゃんが絶対だし!
地球征服はまた今度にするね! じゃあ、またね、バイバーイ!
あっ、待って、エマ! 動物園だけ行かせて~~~!!
……っていう夢を見たんだ。
この前、せつ菜ちゃんから聞いたスクールアイドル戦隊の話が
おもしろかったから、それで見ちゃったのかな
あははははっ! なにそれめっちゃウケるーーーーー!
最高の夢じゃん!!
ふふふっ、そうですね。
所々、戦隊ヒーローの解像度が低いところがあって、
そこがすごくかわいくなっています!
応援のお姉さんってなんだよ!
そんなのヒーローものに出てこないだろ!?
たぶんヒーローショーと混ざったんだと思う、あはは
あははじゃないよ、もう~!
でも、素晴らしいストーリーでしたね……
1本の映画を観た満足感がありました!
わんちゃんが無事でよかったよ~
でも、もうちょっと悪くて強くてかっこいいボスになりたかったな
ランジュは必殺技が欲しかったわ!
ドラゴンボンバーとか!
そう! 必殺技は欲しいですよね!
璃奈博士の武器も「秘密兵器」のままでしたし……
なにかこう、魂が震えるような雄々しい名前が欲しかったです!
どんなのがいい?
そんな無茶な……
どんなのがいい?
そんな無茶な……
せつ菜ちゃんがつけるならどんな名前にする?
そうですね……
エンパイアパニッシャーとか!
ライジングハリケーントンファー!
マンモスアタック!
果林さんは?
あはは、どれも強そうな名前だね
果林さんは?
あはは、どれも強そうな名前だね
ピンクフェザー・歩夢の方がかっこいい名前
思いつくんじゃないかしら?
やめてよ~、必殺技なんてわかんないよ~!
彼方ちゃん、メイド喫茶のメイドさんだけど
実は6人目の追加戦士とかになりたかったな~
なんでもおいしくクッキング!
もふもふサンドイッチ・彼方ちゃーん! とか~
あははっ、すごくかわいいね!
璃奈ちゃんも追加戦士がよかった?
あははっ、すごくかわいいね!
璃奈ちゃんも追加戦士がよかった?
私は、博士でよかった。
秘密兵器、本当に作ってみたいな
かすみんが司令官、っていうのは先輩ナイスですねえ。
わかってる、って感じです!
やっぱり同好会を率いるものとして、
先輩の深層心理に刻まれてるんですねえ……えへへっ!
そうなのかもしれないね
でも夢の中だと愛ちゃんがリーダーっぽかったんだよなあ
そうなのかもしれないね
でも、夢の中だと愛ちゃんかせつ菜ちゃんが
リーダーっぽかったんだよなあ
えー! 司令官が一番えらいですよお!
あはは、それもそうだよね
……なんか、さっきから静かじゃない、しおってぃー?
い、いえ……別に……
栞子さん、結構物語のキーマンでしたよね!
影の主役、って感じでした!
まず、スクールアイドル戦隊の秘密基地を
本当の秘密基地にさせないようにチラシを配って歩夢さんを誘導
本当の秘密基地だと誰もたどり着けませんからね
そしてさりげなく歩夢さんに懐いているところを見せる……
まさかこれが伏線だったとは
伏線といえば出前!
彼方さんの喫茶店のオムライスとカフェオレを
ダークレインボー地球支部に届けていたと!
そしてラストの大どんでん返し!
わんちゃんの無事が一番というエマさんのセリフ……
これは痺れました!
最近の映画は、動物が無事かどうか
公開前に教えてくれたりしますからね
しずくちゃん詳しいんだね
あれ? 栞子ちゃん、なんか震えてない……? 大丈夫?
しずくちゃん詳しいんだね
えへへ、SNSでよく見るんですよ
……あれ? 栞子さん、どうしたの?
あれ? 栞子ちゃん、なんか震えてない……? 大丈夫?
……恥ずかしいんです!!
まあまあ、これはこの子の夢だから……。
それに、すごくかわいいマスコットで心がほかほかになっちゃった
歩夢さん……
お、尻尾が見えそう
尻尾は生えてませーーーん!!
今日は夢の話で盛り上がったね
あはは、そうだね。
すごい夢を見ちゃったから聞いてもらえてよかった~
しずくちゃんとせつ菜ちゃんは脚本にするんだ、って張り切ってたよ
どんなふうになるんだろうね?
必殺技とか武器とか秘密基地に名前がつくかな?
巨大ロボットも出るんじゃない?
あははっ、出そう!
なんか、ただの夢ではあるんだけど、大冒険し終えた気分だな……
……ねえ、夢なのはわかってるんだけど、
私も夢の中の私と同じことをしたいと思ってるよ
え?
私も、あなたのためなら、どんなことでもできるんだ……
どんなことでも、って……
なんてね、ふふふっ。じゃあ、おやすみ! いい夢を!
うわあ、すごいお屋敷!! 本当にここに泊まっていいの!?
はい! 真姫さんに許可をいただきましたから
真姫……さん、って、
音ノ木坂のスクールアイドルの子なんだよね?
そうだよ。来る途中話したでしょ?
私たち、μ'sとAqoursのみんなとで、ここで合宿したんだよ、って
うん。こんなすごいところで合宿したんだ……
ここの浜辺はいいトレーニング場なのよ
砂がいい負荷になるんですよね
いっぱい練習して、レベルアップしようね
するわ! ランジュは最高の中の最高になるの!
それじゃあ中に入ろうか~
先輩、早く思い出してくれないかな~。
先輩にかわいいって言ってもらえないと、かすみん力出ないです……
よしよし、かすみちゃん、シュークリームお食べ~
あーん、彼方先輩っ!
みなさんは早く思い出して欲しいな~、って思わないんですか?
毎日思っちゃうよ。
でも、思い通りにはならないことだし……
ある日ふと思い出したりもするんだろ?
なるようになるさ
私たちだってかすみちゃんと同じ気持ちよ。
だけど焦らせるようなことはしたくないわ
そうだね。そのためには、
わたしたちが焦ってるところは見せないほうがいいよね
その通りですね
ただ……やっぱり気持ちが焦ってしまうところもあります……
かすみさんが試しているというかわいい療法は順調ですか?
たぶん順調!
……だと思います
順調なのは喜ばしいことです!
ただ、こういうのはいろんなパターンがあったほうがいいと思うので、
全員でもう一歩踏み込んだものを試してみませんか?
もう一歩、って?
ショック療法……と、言いたいところですが、
素人の私たちにできるようなものではないので、
ドッキリとかどうでしょう?
ドッキリですか……
んー、試してみてもいいかもね
他のみなさんはどうですか?
あの方が悲しくならないものなら……
彼方ちゃんもそのくらいならいいと思う~
そうだね、わたしもいいと思うな
ま、いいんじゃない?
すごいドッキリにしましょうね!!
いえ、ですから衝撃度は低く、ですよ!
とりあえず、
やるとしたらどんなものにするか考えてみませんか?
みんな、今までこれよかったなー、ってドッキリはなに?
やはり思い出深いのは、μ'sのみなさんとの無人島合宿の
ドッキリでしょうか
あれは、計画段階から盛り上がった。璃奈ちゃんボード「むんっ」
わ、私は用意してもらったセリフを噛んでばかりでしたが……
そう? みんなお芝居上手だったよ!
わたし、すっかり信じちゃったもん!
うん! あれは怖かったよね……
孤島サスペンスの主人公になった気分でした!!
ああ、そういえばこの3人はすっかり騙されてたっけ……
純粋だからねえ
あの計画、途中でゾンビパニックがあったから
全部できてないんですよね……
計画、成功させたかった……
あの方へ向けたドッキリは、
前回のサスペンス劇の再現にしてみてはどうでしょう?
いいかもしれません。
次は私も仕掛ける側で大役をいただきたいです!
ねえねえ、ランジュたちその話知らないわ!
すごく楽しそうじゃない! 詳しく教えてよ!
詳しく教えてくれなくていいよ。
きっとたいしたことじゃない
そんなことないもん!
かすみんたちの孤島サスペンス、たっぷり聞かせてあげる!!
手短にね
ランジュたちの計画はもう始まっているわ!
みんな、張り切っていくわよ!!
しー! しー!
ランジュ、早速バレそうなこと言わないでください!
あっあっ、ごめんなさい!
ちゃんと誤魔化すから安心してちょうだい!
さあみんな!
荷物を置いたら早速練習よーーー!
ただし係の子は準備を済ませてね!
係? そんなのあったっけ?
ご、ご飯係のことだよ~!
ほらほら、あなたも中に行こ~!
海もきれいだね!
泳げたらよかったのに
ほんとね。
私もキミに水着姿を見せたかったわ
ええっ!?
前に来たときは泳いだ?
ええっ!?
前に来たときは泳いだ?
ええ、泳いだわよ
いいな~!
も~、果林先輩ってば先輩のことユーワクしないでください!
ふふっ、はいはい
えーと……まずは準備体操して、ランニング。
その後は個人練習かな
ダンスホールも使えるけど、
浜辺でダンスレッスンすると足腰が鍛えられていいわよ
浜辺でダンスっていつも以上に疲れるんだよね
その頑張りが足腰を鍛え、体幹を作るのよ!
きつそう……。だけど、頑張る。璃奈ちゃんボード「キリリ」
私たちも頑張ろうね!
はい!
それじゃあ準備体操しよ~!
あ、あの、私は何をしたらいいかな?
タオルとドリンクを出すタイミングとかってある?
とりあえず、みんなに危険がないかを見ててください。
タオルとドリンクは置いておいてもらえれば
欲しくなったら取りにいきますから
あ、救急箱もわかりやすいところに
置いといてもらえると助かる~
怪我しないにこしたことはないけど、
いつ怪我するかは誰にもわからないからね~
うん、わかった!
疲れた……もうダメ……ほんと動けない……
私も……。璃奈ちゃんボード「きゅう」
ほらほらみなさん、
次はバーベキューですから元気を出してください!
ランジュがいっぱいお肉を焼いてあげるわよ!
彼方ちゃん特製ダレに漬け込んだお肉だよ~
ええっ!? いつの間に!?
彼方ちゃん……
お料理は流れるように作業できちゃうんだな……
頼もしすぎる……。
私、お皿とか準備しておくから、みんなシャワー浴びてから来て!
じゃあ!
いい匂い~。もう食べていい?
うんうん、もう食べ頃だからね~。さあ、召し上がれ~!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
いただきまーす!
はむはむ……んん~、ボーノ!
お野菜がジューシーでおいしい~!
炭火で焼くとびっくりするくらいおいしくなるよね!
不思議~!
表面はパリッと固まって、
中身の水分が閉じ込められたまま焼けるからジューシーさが残るのよ。
炭火焼きの特性なの
へえ、果林、詳しいんだね
フードデザイン専門じゃないとはいえ、
私だってライフデザイン学科だもの。このくらいの知識はあるわ
果林先輩が賢く見えます……かすみんを置いていかないで……
あのね! 言っておくけど、
私、ちゃんと成績上位を取ってる科目もあるのよ!?
えっ!? 裏切り者です~~~~!
かすみさんも得意教科作ろうね! ナデナデっ
無理だよお~~~!
全部おいしそうで何から食べたらいいかわからないよ~!
焼きおにぎりがいい匂い……
やっぱりお肉かな……?
焼きおにぎりがいい匂い……
でもいきなりおにぎりでいいのかな、
お腹いっぱいになっちゃうかな
じゃあ私と半分こにする?
ありがとう、歩夢ちゃん! そうさせて!
やっぱりお肉かな……?
彼方さんが特別に漬け込んでくれたんだもんね
得意料理だぜ~。食べて食べて!
あむっ……うん、すごくおいしい!
彼方さん、焼いてばかりで食べてないんじゃない?
そんなことないよ~
そんなこと、ありそう。はい、あーん
あ~ん♪ んん~、おいしいねえ~
彼方、これも食べなよ。はい
あ~ん♪ おお、焼いたプチトマトもおいしい~
そうだろ。コレのヘタを取ったのはボクだし、おいしいに決まってる
ミアちゃん……ちゃんとプチトマトの緑のトコは「ヘタ」っていうの
覚えてくれたんだねえ……トマトを潰さずヘタを取れるようにも
なって……彼方ちゃん嬉しいよ……
今日のボクは足手まといなんかになってないんだ。
ナスのヘタだって処理できたんだからな!
あ……だから指に絆創膏……。
ナスのヘタにはトゲがあるからね
うう……頑張ってくれたんだね、ミアちゃん……
彼方ちゃん本当に嬉しいよお~
つ、次はナスだって上手に扱ってやる!
うんうん、期待してるよ~
みなさーーん! 新しいお料理を持ってきましたーー!
え、せっつー、何か作ってたの?
ふふっ、実は内緒で私も仕込んでいたんです!
じゃじゃーーーん! どうですか?
わ……わあ……
以前にもここで創作中華を作ったことを思い出しまして!
私の想像と閃きをフルに働かせ、隠し味にもこだわりました。
それと、筋肉にいいサプリ、疲れをとるエキスなんかも
ふんだんに入れています!
きゃあっ! せつ菜、また作ってくれたのね~!
ランジュ、実は密かに楽しみにしていたのよ!
ほ、本当ですか!?
ええ! ぜひいただくわ!!
たくさん食べてくださいね!
みなさんも遠慮せず!
あなたもどうぞ! はい、あーん
ええっ!? 自分で食べられるよ
まあまあ、このまま召し上がってください!
さあ、あーんですよ!
あ、あーん……あむっ……
ふふっ、どうでしょう? 会心の出来だと思うのですが!
もぐもぐ……もぐもぐ……もぐもぐ……
もぐもぐ………………ごっくん
な、なんていうか……
独創的な味で別の世界が見えそうになったよ……
そ、そんな! 褒めすぎですよ~! えへへっ
ふーん、おいしそうじゃん。ボクもいただこうかな
ミアちゃん、冷蔵庫に彼方さんが作ってくれたデザートが入ってる。
それ、取りに行こう
うん、いいよ
璃奈ちゃんのスマートな誘導、見習いたいわ……
りなりーってもしかしてニジガク1のイケメンなのでは……
ふあ~、おなかいっぱいだね~
お風呂も入っちゃったしもうこのまま寝たいかも……
エマさん、この後は例の計画があるよ
あっ、そうだった!
え、なにがあるの?
う、ううん、なんでもないよ!
それよりあなたもお風呂に入ってきちゃったら?
じゃあ、そうさせてもらおうかな。ちょっとお風呂入ってくるね
さあ……みなさん、ドッキリ作戦のおさらいをしましょう
はい! まず、さりげなく自然に怪談をする流れにもっていきます
んで、前に、にこっちが話してくれた島の言い伝えを話す
私がこっそり抜け出して、誰かに襲われたような感じで倒れとくね
怪談が終わったら、歩夢がいなくなった、って騒いで探し回る
そしてやっと見つけた部屋では惨劇が~
そこから疑心暗鬼パート、推理パートに移る、ってワケね
なかなかいい流れじゃない。こんな楽しいことをしていたのね
えへへ~、かすみんたち穂乃果先輩たちといっぱい考えたんですよ!
お芝居も、頑張った
そうですね。覚えるのが大変でした
え!? 栞子も仕掛け側でお芝居したんだ!?
すごいじゃない、栞子!!
ふふっ、楽しかったです
かすみさんがいたずらしたがる気持ちが少しわかりました
かすみんのはいたずらじゃなくて……
かすみんがこの中から一歩リードする気持ちで真剣に
やってるんだけど……
かすみちゃん、努力は認めるけど、性格的に本当に合わないから、
やめたほうがいい。璃奈ちゃんボード「しんみり」
そうなんだよね……なぜか自分が損しちゃうんだから……
そんなことないもん! いつか成功させる!
それでかすみんが一歩リードするんだから!!
努力する姿は尊いものです。成功を祈っていますね!
お祈りやめてーーー!
ふふっ、まあまあ、その話はまた今度ね。
さあ、あの子がお風呂を出る前に部屋の準備をしましょう。
彼方、ケチャップは?
歩夢ちゃんたちの部屋にセッティング済み!
愛さんはちょっとセリフの練習しようかな。
今回はみんなしずく大先生に習ったから臨場感出ると思うんだよね!
ボク電話線抜いてくるよ
わたしも一緒に行く~
ちょっとちょっと、かすみんたちの準備は?
すべて完了しています
あとは、歩夢さんのところに行く途中、
うまく抜け出せるかどうかだけ
みんな、部屋を出る時は一番後ろから行くんだよ
ラジャー
おーい、そろそろスタンバイだよ~
は、はい! 今行きます!
みんなお待たせ。いいお湯だった~
おかえりなさい先輩。ジュース飲みますか?
フルーツもあるよ~
スポーツドリンクもらおうかな
フルーツにしようかな
スポーツドリンクもらおうかな
はい、どうぞ
…………ぷはー! おいしい!
フルーツにしようかな
はい、どうぞ~
あむっ……うん、おいしい~!
ねえねえ、怪談しましょ!
怪談!?
ちょっ……さりげなく誘導するんじゃなかったの!?
いや、ランジュならあれが自然な気がする……
いつもと変わりませんからね
なんて便利なやつなんだ……
こういうときの定番だ、って聞いたわよ
まあ確かに……修学旅行じゃ定番だね。みんなどうする?
誰か怖い話嫌いな人いない?
あーん、ちゃんと聞いてくれる先輩すきすきっ!
でも今日のかすみんは怖いの平気でーす!
みんな平気そうだからやろうよ!
じゃあ誰から話す?
はい! 私がいきます!
これはこの島にまつわるお話なのですが……
え!? 島にまつわるお話なの!?
もし怖かったら愛さんに抱きついててもいーよ!
じゃ、じゃあ隣にいさせてもらうね!
だ、大丈夫……! 臨場感を楽しむことにするよ!
じゃ、じゃあ隣にいさせてもらうね!
いつ抱きついてくれてもいーからね!
だ、大丈夫……! 臨場感を楽しむことにするよ!
では……
その昔、この島に歌手を夢見る音楽学校の女生徒8人が
疎開してきたんだそうです
本土での生活はさぞ大変だったのでしょう。
皆すっかり消沈していました。それを見かねた島の娘さんが、
歓迎のお祭りを開こうと島の偉い人にお願いをしたんです
このご時世に、と反対の声もありましたが、
島民も女生徒たちを見て思うところがあったのでしょう。
控えていた夏祭りの再開を決めます
それを聞いた女生徒たちはもちろん固辞しましたが、
島の娘さんが説得しました。あなたたちの歌が聞きたい、
私も歌ってみたい、と……
そんな風に言われたら、女生徒たちもやる気になります。
夏祭りに向けて、島の娘さんも含めた9人で猛練習をしました
夏祭りまであと数日のところで訪れた台風も去り、
夏祭りのやぐらが壊れていないか心配で見に行った9人は……
土砂崩れに巻き込まれしまったのです……っ!!
長引く戦争の燃料不足から山の木を切りすぎて、
地面が緩んでいたことによる土砂崩れでした。
島民の悲しみはそれはそれは深かったそうです……
それからしばらくして、夜になると、
どこからともなく歌が聞こえると言い出す島民が続出しました
そして、その歌声を聞いたものはフラフラと海に入り、
溺死してしまう……という事故が相次ぎました
女生徒たちの無念が強く残っていると感じた島民は、
供養塔を建てたり、お経をあげたりと手を尽くしましたが
効果は無く、仕方なく、島の外に出て行くほかありませんでした
そんなことがあったのも忘れられた頃、
この島をリゾート化しようという計画が進み、
だんだんとまた島が賑わうようになりました
ですが、怪異はおさまってはいなかったのです。
誰かの歌う声が聞こえるというお客さんが続出しました。
そして、ついには過去と同じように海に入ってしまう人も……!
海に入ってしまった人の話はいつも同じです
「こっちに来て。一緒に楽しもうよ」という誘いに
抗えなかった、と……
いいですか、歌声が聞こえてきても耳を傾けてはいけません
次に連れていかれるのは……あなたかもしれないのですから!!
ひえええええ!!
こ、ここってそんな島だったの!? みんな平気!?
「もちろんこわいよ! こわいよー!」
「怖くて眠れないわー」
「ひとりでトイレに行けまひぇ……せん!」
ま、また噛んでしまいました
ランジュがカバーするわ
「こんなに怖いならみんなで寝なきゃダメね!!」
「彼方ちゃんさらわれたくないよお~」
「みなさんのことは私が守りますっ!」
みなさん……お芝居が上達していて嬉しいです!
「はっ……! み、みなさん! 大変ですっ!!」
え?
「歩夢さんがいませんーーーー!!」
「きゃ~」
「大変だ!」
えええっ!?
ま、まさか……歩夢ちゃん、言い伝えみたいに……!?
「そんな非現実的なことあるわけないですー!
まずはお屋敷の中を捜索しましょー!」
そ、そうだね! まずは落ち着いて探そう。
トイレかもしれないし……
「まずは寝室から行こっか!」
先輩たち……全員行ったみたい。
かすみんたちも急いで外行かなきゃ!
まさか自分がダブルでドッキリを仕掛けることになるなんて……
ちょっと楽しい、よね
はい!
よしっ、じゃあ行こうー!
真っ暗です~……
手、繋いでてあげるから我慢して歩いて!
歩夢先輩が隠れてる部屋はもうすぐそこだから!
その窓がそうですよ!
みなさん、ちゃんと怖い声を出してくださいね……!
頑張る……!
じゃあ行きますよ! せーの、でセリフを言いながら窓を叩いて
くださいね! Aqoursのみなさんたちのゾンビに負けないくらいの
怖いゾンビを演じましょう!
千歌さんたちよりこわ~いゾンビになりましょう!
せーーーの!
あ~け~て~!
い~れ~ろ~!
食べちゃうぞ~!
がお~がお~
あれ? みなさんの悲鳴が聞こえませんね?
かすみんたちが怖すぎて声も出ないんじゃない?
怖すぎて倒れてるとか
ちょっと覗いてみるね……あれ、誰もいない
そんなはずはない。ここが例のドッキリ作戦の部屋だから
……あれ、ほんとにいないみたい
ええ!?
じゃあ他の部屋なのかもしれませんね、向こうの部屋も見てみましょう
うん
誰もいなくなっちゃった……
みなさんどこに行ってしまったんでしょうか……
計画では、怪談の後に歩夢さんが倒れてるのが見つかって、
疑心暗鬼パート、推理パートに進む、って流れだったよね?
他に何かあったっけ?
ない。それがドッキリ作戦の全部
なのに……なんで誰もいないのー!?
これどう考えてもおかしいよね!?
みんなどこに行っちゃったんだろう!? 連絡もつかないしーー!
もう一度お屋敷の中を探しに行きましょう!
あれ、栞子ちゃん、椅子から何か落ちたよ
え、何でしょう……?
こ、これは……っ! 見てください!!
どうしたの……ああっ!?
「島の言い伝えを遊びに使う者、裁きあり」
え……なに、これ……?
……島の言い伝えを遊びに使う者……私たちのことですよね?
あの言い伝えって作り話じゃなかったっけ?
あれ? どうだったかな?
穂乃果さんかにこさんが作ったものだとばかり……
実は本物だったのかな……
ということは、
先輩たちは裁きにあっていなくなっちゃったってこと!?
私たちは? 私たちも、遊びに使った者だよ
私たちはみなさんと離れてたから大丈夫だったのでしょうか……
やだやだ先輩ー! どうしよ~~~!!
い、一旦落ち着きましょう! あまりにも非現実的です!
非現実的、って現に現実じゃありえないことが
もう起きちゃってるじゃん!
ど、どうしよう……裁きって……
言い伝えの通りなら、海に連れて行かれちゃうのかな……
そ、そんなの絶対やだよ~~~!
連れ戻さなきゃ! 海に行くよ!
おおお……結構雰囲気あるね~……
でしょー? 肝試しにはもってこい!
これ、ひとりで中に入って行く感じ? ていうか、
かすみちゃんたちがいないね? どうしたの?
えーと、その……
かすみちゃんたちはちょっと用事があるみたいなの
なんだ、そっか。さっきの歩夢ちゃんと同じだね
う、うん、そうなんだ!
さっきはびっくりさせちゃってごめんね
あはは、ほんとにびっくりしたよ。
島の言い伝えと似たようなことが起こるんだもん。偶然でよかった
えへへ……偶然偶然!
かすみちゃんたちも後で合流するから安心して!
ということで、肝試し開始ですーー!
今度こそ、しっかりとドッキリ仕掛け人としての責務を
果たしたいです……
栞子さん、そんな気負わなくたって平気だよ!
前もちゃんとできてたよ!
でもでも、セリフを噛むなんて、
お芝居では絶対ダメじゃないですか……
そういうのはアドリブにしちゃえばいいんだよ!
それか強引に進めちゃう!
私は間違ってない、って強気も大事だよ!
精進します……
んん~……
かすみちゃんが、難しい顔をしてる
どうしたんですか、かすみさん
やり忘れた課題のことでも思い出した?
もー、かすみんの悩みがいつも勉強だと思わないでっ!
そうじゃなくて、ドッキリ作戦のこと考えてたの!
? 何か、わからないところ、あった?
先ほどの相談内容、私から改めて説明しましょうか?
違う違う、そうじゃなくて。なんかさ……
仕掛け人がたくさんいるのって……ダサくない?
ださい? よくわかんない
なんかさあ、かすみんの美学に反するんだよね
美学なんて難しい言葉よく知ってたね
それはしず子に前聞いたから……じゃなくて!
かすみん的には……ドッキリにドッキリを重ねたい……
先輩に対して記憶が戻りますように、ってドッキリを仕掛けつつ、
愛先輩たちにもドッキリ仕掛けるとか!?
……おもしろそう
……確かに
いいかも
じゃあ決まりね! かすみんもうプランはあるんだ!
あの合宿のときいーーーーっちばんびっくりしたのって、
ゾンビ姿の千歌先輩たちに窓叩かれたときでしょ?
それをかすみんたちでやろうよ!
ゾンビメイクとかはできないけど、
怖い声でゾンビの真似して窓叩くだけでもびっくりすると思う!!
それなら準備もほとんどいらないしいいかも
気をつけるのは抜け出すタイミングだけですね
ワクワクしてきた……璃奈ちゃんボード「キラリン」
じゃあじゃあ~
はは~ん♪
おもしろそうな話聞いちゃったな~
ドッキリを仕掛けていいのは、
仕掛けられる覚悟のある者だけなんだぞ~♪
よしっ、みんなに報告だ~!
今頃かすみちゃんたちびっくりしちゃってるだろうね~。
ちょっとかわいそうだったかな……
大丈夫だろ。あんなわかりやすい手紙まで残したんだから
正直あの手紙を見たら「あー、逆ドッキリ仕掛けられた」って
気づく人がほとんどだと思うよ
え、そうかな!? 私はあんな手紙があったら信じちゃうけどな……
私もです。
みなさんを助けねばとすぐにでも行動を起こしてしまうと思います
わたしも、いてもたってもいられないと思うなあ
OMG. ボク、キミたちのほうが心配になってきたよ……
ふふっ、こういうのがこの子たちのいいところなのよ
悪い人から身を守る術は身につけさせなきゃとは思うけどね
彼方ちゃんたちが守ってあげねば~
だけど、ドッキリ返しだなんて、ちょっと気分いいわよね
バレないようにお芝居続けるの大変だったよ~
肝試しが終わったら、早く戻ってあげようね
怖かった~~~!
みんな、やっぱりひとりで行くの怖すぎるよ!
ふたりひと組で行ったほうがいいよ!
そ、そんなに怖かった!?
冷たい風が吹いてるし、暗いし狭いし怖かったよ~
不安にさせないでよ~!
ランジュひとりで行くつもりだったけど怖くなっちゃったじゃない!
わ、私と一緒に行こう、ランジュちゃん!
果林ちゃん一緒に行って~!
仕方ないわねえ
せっつーどうする?
私はひとりで立ち向かいたいです!
愛さんもゾクゾクするのを楽しみたいほうだからひとりで行く!
ボク……ボクだって……
私、一緒に行こうか?
べ、別に全然怖いわけじゃないけど、ベイビーちゃんが
もう一度行きたいっていうならついて来てもいいよ
一緒に行きたい!
そっか……
一緒に行きたい!
仕方ないなあ……
そっか……
来ないの? 来なくていいの?
じゃあ一緒させてほしいな!
よし、じゃあ行くよ、ベイビーちゃん!
うん!
楽しかったわね~~~!! 肝試しって最高だわ!
ふふっ、スリリングな気分が味わえたわ
いや~、彼方ちゃんはなかなか怖かったよ
私も! ランジュちゃんと一緒でよかった~!
愛さんはもっと怖くてもよかったなあ
次は驚かせる係も交代でやりましょう!
いや、驚かされるってわかってたら驚かないんじゃないの?
そうは言っても、きっと結構驚いちゃうと思うよ
ボクは平気だもんね!
じゃあその時は、ランジュが全身全霊でミアのこと驚かせてあげる!
宣言してくれてThanks. 心の準備ができて助かるよ
あはははっ!
あはははっ!
あはははっ!
あはははっ!
あはははっ!
あはははっ!
あはははっ!
あ~、いい夜だね。花火とか持ってくれば良かった
また来ようよ
うん、またみんなで来たいな……
ねえねえ、このまま帰るのはちょっともったいないわ。
少しだけ練習していかない?
え? 今?
そう。食後のトレーニングよ。ほんとにちょっとだけでいいから!
どうする?
みんながやりたいなら付き合うよ!
足元危なくない?
みんながやりたいなら付き合うよ!
足元危なくない?
この辺りは昼間も使った場所だもの。
危ないものはないって確認済みよ!
ランジュ、新しいステップを覚えたのよ。見て!
へえ、素敵ね。私にも教えてよ、ランジュ
私もやってみたいです!
じゃあ、みんなに教えてあげる!
いい? まずは……
みなさん、どこにいるんでしょうか……
言い伝えを考えれば、ここしかない。
とにかくこの辺を、探そう
そうですね……あら? あそこに何か……
あれ……人じゃない? ……先輩たちかも!
待ってください、なにか様子が変ですよ
ダンスしてるみたい……
ま、まさに言い伝えの通りじゃないですか!
一緒に歌おうという声に誘われて、
歌い踊りながら海へと入っていくところですよ!
助けなきゃ! 先輩! せんぱーーーーーい!!
ダメダメダメーーーーっ! その先は海ですっ!
歌声に誘われてはダメですーーーー!
目を覚ましてください!!
行っちゃやだーーー!
え、どうしたの!?
何事!?
え、どうしたの!?
え? どうしたのって……
今、言い伝えの声に誘われて海に入ろうとしてたじゃないですか!
何事!?
この先は、海。海は危ないから、行っちゃダメ!
海に入ろうとなんてしてないよ? ね、みんな?
う、うん
え……じゃあ、こんなところで何をしていたんですか!?
肝試ししてきてテンション上がって、
ちょっと食後のトレーニングでもしよーか、って
ランジュちゃんに新しいステップ教えてもらってたんだ~
えええ!?
えええ!?
えええ!?
えええ!?
すみません、混乱しています。
話を整理させてもらってもいいですか?
どーぞどーぞ
ええと……。みなさんは肝試しに行かれたんですね?
そう! 洞窟に行ったわよ! 楽しかった!
楽しくてテンションが上がり、
ここでステップの練習をしてた……だけ?
そういうこと
島に伝わる言い伝えのように、
呼ぶ声に誘われて海に入っていくところでは……なかった?
うん、なかった
私たちの……早とちり?
そうなるかな
な、なんだあ~~~~! よかったあ~~~~~!
って、全然よくないっ!
なんでこんな心配させるんですかー!
そもそも、なんで肝試しとか行っちゃってるんですか! しず子が怪談話したあとは歩夢先輩が行方不明になって、倒れてるのを見つけて疑心暗鬼になったり推理したりするって話だったでしょ!
かすみんたち、歩夢先輩が倒れてるはずのお部屋に行って
外から驚かしたのに、中に誰もいなくて
すごーーーくびっくりしたんですからね!
それに不気味なお手紙もあって!
先輩たちが言い伝えみたいに海に誘われちゃうと思って
心配してたんですよおおお!!
す、すみません、こんなにうまく行くとは思わなくて!
え? うまく……?
なにがですかぁ?
逆ドッキリを仕掛けたのよ!
逆ドッキリ!?
子犬ちゃんたちさ、ボクたちにドッキリを仕掛ける気でいたろ?
彼方ちゃん、秘密の会合を目撃してしまったんだなあ~。
それでみんなに報告したら、逆ドッキリやっちゃおうか~、って
話になったの
いや~、トントン拍子に計画進んだよね!
しかもこんなに鮮やかに引っかかってくださるとは!
あ、あの……ごめんね
うえーーーーーん!! 悔しいですーーー!
あまりに! あまりに悔しいっ!
かすみんたちがびっくりさせようと思ってたのにー! あーーーん!
よしよし、ごめんね、お姉さんたちのほうが一枚上手で
いつかリベンジしますーーーー!
と、とにかくよかったです……
安心しました~
力が抜ける……
え……? ねえ、どこに行くの!?
声が聞こえる
声? なんの?
こっちにおいで、って……
ええええ!? ちょっ、ちょいまちーーーー!
……なーんてね! 嘘だよ!
え?
嘘!
みんな楽しいことしててずるいよ!
何重にもドッキリ作戦仕掛けてて!
私もどっちかに入れてほしかったー!
私だって同好会の一員なんだから!
一員……
そ、そうだよね! あなたも同好会の一員!
次はきっとお誘いします!
絶対かすみんのチームに入ってください!
ランジュのチームにもよ!
両方のチームに入ったらスパイさんになっちゃうよ?
ここは間をとってわたしのチームに入ろうね!
あはははっ、
みんなの計画を見て決めさせてもらおうかな、なんてね!
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
あはははっ
なんかすごい濃い1日だったね~
ふふっ、そうですね
ドッキリが3つ同時進行だった、
なんてなかなかないよね
あははっ、ほんとだね
……でも、このドッキリ作戦は、結果的に大成功だったね。
あの子があんなこと言ってくれるなんて……
「私だって同好会の一員」かあ……。
愛さんたちがずっと言ってきたことだけど、
やっと本人から言ってもらえたね
うん。嬉しいのとびっくりで胸がいっぱい……
明日から、もっともっと頑張ろうね!
うん!
はい!
ふあああ……
よかった、早起きできた……
お米は炊き上がってるだろうから、おにぎり作っちゃお
(同好会のみんなって、楽しくて優しくて、
どんな私でも気遣ってくれる)
(今まではそれが少しだけ申し訳なかった)
(だけど、そういうのって私の気持ち次第なんだよね。
昨日、ドッキリ作戦の仲間に入れなかったのが悔しくて、
つい、いたずらしちゃった)
(自分が「悔しい、もっと仲間に入りたい」って、
こんなに強く思ってることに初めて気づいた)
(あのいたずらのおかげで、なんか吹っ切れた気がする。
私もちゃんと同好会の一員になりたい。
スクールアイドル同好会の一員です、って言えるようになりたい)
(ゼロからのスタートだけど、スタートはできたんだ。
だから、自分にできることを精一杯頑張ろう!)
ふあ~……あれ? おはよ~、もう起きてたの?
おはよう、エマさん。
朝ご飯の準備しようと思って早起きしたんだけど、
エマさんこそ早いね
えへへ、朝は得意だからね~
早啊!
おはよう、ランジュちゃん
ふたりとも、今日もすごくいいお天気だよ。
走りに行くと気持ちいいんじゃないかな
ふたりが戻ってくるまでに朝ご飯作っておくよ!
ほんと!? じゃあ走りに行ってこようかしら
お願いしちゃっていいの?
うん!
おにぎりとお味噌汁くらいなら作れるから任せて!
きゃあっ!
じゃあ、みんなを起こしてランニングに行きましょう!
そうだね! お寝坊さんたちを起こしに行こう~!
みんな、頑張れーーー! あとちょっとだよ!
はい、お疲れ様! タオルだよ!
ありがとうございます、先輩
はあ~、汗かいた~
あとアミノ酸ドリンク!
はちみつレモンもあるよ!
あとアミノ酸ドリンク!
いただいてもいいですか?
もちろん! はい、どうぞ
ありがとうございます! んくんく……うーん、染み渡ります!
はちみつレモンもあるよ!
あ、私欲しいです!
うん! はい、どうぞ
ありがとうございます。はむっ……
ふふっ、甘酸っぱくて疲れが吹き飛びます!
ねえ、帰りの船がくるのって何時だったかしら?
15時だよ
じゃあ、まだまだ練習できるね!
まだまだ!? 愛ちゃんの体力どうなってるの~!?
ほんと底無しだよね。ボクもう限界!
歌の練習するのもいいんじゃない?
こういうところで歌うの気持ちよさそうだし
曲流せるよ?
それもいいですねえ!
美しいビーチに響くかすみんのキュートボイス……絵になります~!
海を見てて、思いついた演出方法がある。
聞いてもらっても、いい?
うん! メモするね!
ランジュはもうちょっと走ってくるわね!
気をつけてね! あ、お水も持って行って!
なんか、わたしたちまたいい感じになってきたね
そうだね~。一段と団結力がアップした、って感じ! あははっ!
彼方ちゃんたち、心配しすぎてたのかもしれないね。
あの子のことを信じるだけでいいのかも
ええ、私たち、ずっとそうしてきたものね
あれ、歩夢ちゃんと話してるのは私? ……夢?
ええとね……私は、スクールアイドルとしてはまだまだだなって
思ってて……でも、毎日練習とか頑張って、みんなの前に立つたびに
「歩夢ちょっとうまくなったな」って思ってほしいんだ。
私はひとつひとつしかこなせないけど、あなたが言ってくれたように、
昨日よりも今日よりも明日はもっと上手になれると思うの。
それを、みんなに応援してってお願いしたいんだけど……
歩夢ちゃんらしい!
え?
昔から、歩夢ちゃんは諦めるとか投げ出すってことをしないよね。
それって本当にすごいことだと思うんだ。
歩夢ちゃんのその気持ち、みんなに伝えよう!
そのためにはどうしたらいいかな……うーん……つまり、
歩夢ちゃんの成長を見守ってくださいってことを
お願いしたいってことだよね……
そうなの! どうしたらうまく伝えられるかな?
成長を見守る……見守る……そうだ!
応援してくれるみんなと一緒に、お花を育てるとかどうかな?
みんなに花の種を配って、植えてもらおう!
お花が育つのを見るように、私のことも見てくださいっていうこと?
そう! どうかな!?
うん! 素敵!! すごく素敵だよ! じゃあ、なんのお花が
いいかな? チューリップ? ひまわり? いっそバラとか!
そうだな……歩夢ちゃんなら「ガーベラ」がいいかな?
ガーベラ?
ガーベラの花言葉ってね、希望、常に前進、前向き、なの。
だから歩夢ちゃんにぴったりだと思うんだ!
……私って、あなたの中でそんなイメージがあるの?
うん! 歩夢ちゃんはいつも瞳が希望でキラキラ輝いてて、
進んでいく先に明るい未来がひろがってるんだろうなって思ってるの。
ほ、褒め過ぎじゃないかな?
そんな素敵な言葉にしてもらえるなんてびっくりしちゃったよ。
うん! 歩夢ちゃんってコツコツ前向きに頑張れるでしょ?
小さいとき、逆上がりができなくて泣いてたけど、
毎日放課後練習してできたこと覚えてるよ。
わーん! そ、それは忘れてよ~~!
あはは、照れなくていいって!
歩夢ちゃんが頑張り屋だってことだもん。ガーベラ、似合うと思うよ
うん、あなたがそういうならガーベラにする! みんなで植えて、
ガーベラが咲くまで待ってください。その頃には私ももっともっと
素敵なスクールアイドルになりますって言いたい!
……あ! これって歩夢ちゃんが言ってた思い出の花のことかな?
ん? ここどこだろう?
うん! 歩夢ちゃんは今日はお弁当なんだね
うん。前の日にお母さんと相談して、材料を準備してるの
すごいなぁ。歩夢ちゃんのお弁当はいつも彩りが綺麗で
美味しそうだけど、ちゃんと時間をかけて考えてるからなんだね
そ、そんなことないよ。不器用だから野菜とか切っても
いびつになっちゃうし、玉子焼きもよく焦がしちゃうし……
そう?
少しくらい焦げ目がついてるほうが美味しく見えるんじゃないかな。
ほら、今日のお弁当に入ってるやつなんて、特に
ほんと? じゃあ……1つどうぞ
えっ、いいの?でも、歩夢ちゃんが食べる分減っちゃうし……!
気にしないで。というか、実はあなたにも味見をしてほしくて、
ちょっと多めに入れてきたんだ……。食べてくれると嬉しいな
あ、ありがとう。じゃあ遠慮無く、いただきます。もぐもぐ……
ん~、美味しい! 味付けもちょうど良いよ。私の好きな味!
よかったぁ♥
玉子焼きって簡単そうに見えて実は奥が深いよねぇ。
焼き加減とか味付けとか、家によって違うし
あなた、玉子焼きにはすごくこだわるもんね。覚えてる?
小学校の運動会の時、お昼に家族でお弁当を食べたでしょ?
玉子焼きの味がいつもと違う! って騒いだこと?
も~、忘れてよぉ。今思い出しても恥ずかしいんだから……
だーめ、忘れないよ。
恥ずかしくても何でも、あなたとの大事な想い出だもの。
だからこうやって玉子焼きも上手く……
ふふ、いつだって私は、歩夢ちゃんの卵焼きが好きなんだなあ
……あれ、私何してたんだっけ
次はあのガーベラを配ったときよりも成長したところを
見てもらいたいな
それなら、次はファンの人たちとステージの上で繋がれることを
しようよ。これまでは歩夢ちゃんが伝えるだけだったけど、
お互いに伝え合うって感じ
ファンレターみたいだね。
私がもらって、お返事を返して、またお手紙をもらって返して……
どんどん繋がっていくの
うん!
あ、お手紙のお礼の気持ちをいれてみるっていうのはどうかな?
いいかも! 歩夢ちゃん、手紙の返事長くなっちゃうって
言ってたから、言いたいことがたくさんあるんだろうね
うん、そうなんだ。ありがとうって気持ちは、
どんな言葉にしても足りなくて……
それなら、歩夢ちゃんとファンのみんながやりとりできるところも
作ったほうがいいよね。
みんなと繋がってるんだって実感できるように
それ、いいかも!
うん! 歩夢ちゃんはみんなに気持ちを贈って、
みんなも歩夢ちゃんに気持ちを返すんだよ!
とっても素敵な案だと思う。私、やりたい!
オッケー! 決まりだね!
ふふ、ファンのみんなに気持ちを贈ることが楽しみでしかたないよ。私、みんなのために頑張るね
本当にお疲れ様! 歩夢ちゃん!
最高だったよー!
前のソロイベントのときは、私、伝えるだけで精一杯だったの。
でも、今日はちゃんとお客さんたちとステージ上で
会話ができたような気がする
歩夢ちゃんはちゃんと自分のことをわかってて、
足りない部分を一生懸命に足そうとしてる頑張り屋さんだよ。
だから成長できてるに決まってる
……本当に?
ずっと近くにいて、
歩夢ちゃんの頑張りを見てた私の言うことが信じられない?
そんなことない! 誰よりも信じてるよ!
きっと歩夢ちゃんは、これからもずっと成長していくんだよ
私、前よりもスクールアイドルが好きになってる。
もっともっとファンの人たちと楽しい時間を過ごせる
スクールアイドルになるよ!
歩夢ちゃんは絶対に諦めない子だから、
いろんなことを吸収して成長して自信を持てるようになって……
それで出来上がった曲だったんだ!
……歩夢ちゃんが何か話してる?
今日もダメだった……
でも、これから出かけるってことは、わかったもん!
……だけど、後をつけるなんて、やりすぎかな?
ううん、やっぱりあの子がなにをしてるのか気になるし……
今日こそ真相を確かめなくっちゃ!
はぁ~、歩夢ちゃんに悪いことしちゃったな
………………
……なんだろう。さっきから誰かの視線を感じる。
今も後ろから!!
………………
……誰もいない。気のせいだったのかな?
まあ、いいや、急がなきゃ
お待たせしちゃってすみません。
今日は次のライブの……
ま、待って!
……この人、誰? もしかして毎週この人に会ってたの?
あ、歩夢ちゃん!? どうしてここに……
そんなことより、この人もスクールアイドルなの!?
え? え?
そうなんだね……?
あなた、私たちに内緒で新しいスクールアイドルの……
って、うわあああ!?
うわあああ!? びっくりした、何だったんだろう……?
あ、また夢を見ている気がする……
この間のライブの後にもらったお手紙を読んでたんだけどね
……なにかあった?
みんな褒めてくれてたんだけど……
うん……
歩夢ちゃんが自信を持ってくれて嬉しい、
そんな歩夢ちゃんのこと、
守ってあげたい気持ちが強くなった、って……
私、強くなるから、だからもう心配しないで、って
気持ちを込めて歌ったつもりだったんだけど、
まだ頼りなく見えるのかなあ……
あの……歩夢ちゃん。守りたいって気持ちはね、
歩夢ちゃんがどんなに強くなっても、大人になっても、
なくならないと思う
だって、大好きな人のことは誰だって守りたいって思うでしょ?
歩夢ちゃんの気持ちは、みんなにちゃんと伝わってるよ。
でも、その上で守りたい、って気持ちになるんじゃないかな
そう……なの?
そうだよ。どんなに強い人でも悲しいときや苦しいときがあるよね。
それを知ったらどうする? この人は強いから大丈夫だな、
なんて思わないでしょ?
うん、思わない。私じゃ頼りにならなくても、隣に座って、
背中を撫でてあげたい
でしょ? お手紙をくれたみんなも同じ気持ちだよ
そっか……そういうことだったんだね
……あなたも?
もちろんだよ! 歩夢ちゃんが、どんどん成長して、
もっともっと素敵なスクールアイドルになっても、
守りたいって気持ちは変わらないよ
えへへ……なんか急に嬉しくなってきちゃった
確かに……今だって守りたい気持ちは変わらないよ……
あれ、かすみちゃんと話してるのは私? ……夢?
うう……これでやっとかすみんのホームページの完成ですね!
結局ほとんどお任せになっちゃいましたけど……
それは私がやりたかっただけだから。かすみちゃんだって、
いろんなコッペパンのレシピ考えてくれたでしょ?
えへへ、じゃあ、これは先輩とかすみんの愛と努力の結晶ですね♪
では! いよいよホームページ公開!
かすみんファンクラブ会員の募集開始です!
あ、そうそう! 見てください、先輩!
ファンクラブ会員のために、かすみん、会員証を作ったんですよ~
わぁ、すごくかわいいね。これってなにでできてるんだろう……
虹色にキラキラ光ってて、かすみちゃんのイメージにぴったりだね
そうなんです、そうなんです。
いろんな色で輝くかすみんをイメージしてるんですよぉ♪
これ、あとで登録してくれた会員のみんなに渡そうと思ってるんです
けど……まずは! 一番最初に、これを先輩に贈呈します!
……えっ! 私に……? 一番にもらえるなんて、どうしよう。
すごく嬉しい!
ふふふふ~ん、そうでしょうとも~!
……じゃあ、ありがたく受け取るね
はい!
栄えある、かすみんファンクラブ会員番号001番の会員証です!
一生の宝物にしてくださいね!
……かすみちゃんと私で作ったファンクラブだったんだ!
……あれ、私何してたんだっけ
かすみんが住んでる街のお祭りで毎年やってるコンテストが
あるんですけど、そのコンテストに優勝すると、
なんと……「ホームアイドル」になれちゃうんですー!!
ホームアイドル?
商店街のイベントに出たり、区役所のイベントの広報をしたり、
この地域に住んでるみんなの楽しみをお手伝いするんです!
なるほど、親善大使みたいなやつだね
そんな感じです!
いいと思う!
えへへ~。かすみんも名案だと思ってます!
ぴえええええん!
な、なんでですか……生け花大会、木工技術頂上決戦、
一輪車チャレンジ……全部負けました……
うえええん、先輩~~!
お、落ち着いて、かすみちゃん。まだチャンスはあるよ
え?
ほら、あそこで交通ルールクイズが始まるみたい
先輩、見ててください。かすみんの絶対諦めない姿!
そして……
ホームアイドルを勝ち取るその瞬間を!!!
かすみちゃん……
頑張り屋さんなところは昔からだったのかなぁ……
……かすみちゃんと誰かが話してる?
先輩が思うかすみんの可愛さを教えてください!
かすみちゃんの可愛さ、だよね? うーん、たくさんあるなあ……
ぜーんぶ言ってくれちゃっていいんですよっ♥
かすみん聞いてますからっ♥
まずは、笑顔がかわいいよね。あと、声もかわいい。髪型。
ウインクが上手なところもかわいいし、
パン作りが上手なところもすっごくかわいい。おいしいし。
んふふ~♥
あとは、仕草がかわいい。目を惹いちゃうよね。
あ、くるくる変わる表情もかわいいなあ。
ちょっとはにかんだりとか恥ずかしがったりとか。目が離せないかな
えへへぇ……♥♥
あれ? かすみちゃん、顔、赤くなってるけど、大丈夫?
えっ?! そ、そんな、赤くなんてなってませんよ!
まあ、先輩が言うように、かすみんのかわいいポイントは
たくさんあるってことですよね!
うん。あ、そうだ。あとね、今までにもらったファンレターを
毎日毎日何回も読み返してるのに、それでも嬉しそうに
ニヤニヤしてるところ。これすっごいかわいいと思う。
なっ! なんでそんなこと知ってるんですかー!
バレないようにこっそり読んでたのにー!
あはは、そういうリアクションもとってもかわいいと思うよ。
あ、そうだ! いいアピールを思いついたよ、かすみちゃん!
かすみちゃんのことすごく褒めてるのは……誰なんだろう……?
ん? ここどこだろう?
かすみちゃんって、いつもお部屋をきれいにしててえらいね
ちゃんとしないと、このお部屋のかわいさがかわいそうですから!
私なんて、曲作りしてるときなんかはすぐに部屋が荒れちゃって、
よく怒られるんだ~
あっ、それならかすみんがお掃除に行きましょうか?
かすみんたちの曲作りをしてくれてるんですからそのくらい――
あ、カーペットがずれちゃってるよ?
あーーっ、ダメダメ! そこは触っちゃダメですっ! あーーー!
ん? 畳……? ええ!? ここって元々は和室だったの!?
あうう……
ぜんっぜんわからなかった! すごいね、かすみちゃん!!
そ、そうですか? 本当に今までわかりませんでした?
全く!
えへへっ、えへへへっ。かすみん、リメイクとか得意なんですよう~♪
……前にも同じことしちゃってたんだ、悪いことしちゃったな……
あ、また夢を見ている気がする……
鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番かわいいのはだ~れ?
それはもちろんかすみんです! 早起きしてブローしてる髪型も
最高だし、爪も磨いてぴかぴか、制服のシャツをいい匂いの柔軟剤で
仕上げちゃうとこなんかもう、可愛すぎです!
……なーんてね。はぁ……
かすみんのファンクラブだけ会員が増えないなんて変なの……。
誰かの陰謀じゃないかな? そうじゃなきゃ説明がつかなくない?
はっ
……もしかして、かすみん実は……可愛くないとか……?
ダメダメ、そんなことないもん。
かすみんは可愛くなくちゃいけないし、
そもそもかすみんの可愛さは無限大だし!
……あの、かすみちゃん、大丈夫?
せ、先輩!? い、いつからそこにいたんですか!?
えっとね……
そんなことより、聞いて! 私はかすみちゃんのこと、
本当にかわいいって思ってる!
まず笑顔が最高にかわいい!!
いつも元気で明るくて周りのみんなを笑顔にしてくれるところとか、
どんなときも一生懸命で頑張り屋なところとか……
あげたらキリがないくらいかわいいところがいっぱいある、
素敵な女の子だよ!!!
ししし、知ってますけど?
かすみんが最高にかわいいなんて当たり前じゃないですか~
今のは、あくまで! あくまで落ち込んだフリです!
かすみんの可愛さは揺らぎませんので!
昔の私はこんなにもかわいいを伝えていたのかな……
私も伝えたいな……
あれ、しずくちゃんと話してるのは私? ……夢?
先輩に見てほしいものがあるんです。見てもらっていいですか?
うん、なに?
わあ……。このノート、ものすごい書き込みだね
これは全部、キャラクターの設定なんです
どういうこと?
これまでずっと、理想のスクールアイドルを演じようとしてきました
でも、目に見える表現ばかりに気を取られていて、
その子自身になりきるところまでいけてなかったんだと思うんです
そんなやり方では、自分の目指すところにたどり着けなくて
当然ですよね
だから、私の目指すスクールアイドルについて、
考え抜いてみたんです
つまり、今度はここに書かれているスクールアイドルを
演じるってこと?
はい。私は、ここにいる子に近づけるよう成長していきたい……
私の中で、この子はようやく息をしはじめました
だから、最高の表現ができるはずです!
最高の表現……なんだかワクワクしちゃうね
記憶がない間もしずくちゃんはいろんなスクールアイドルを
演じたんだろうな……、思い出したいなぁ
あ、また夢を見ている気がする……
どうしてこんなに練習しても上手くならないんでしょうか……
やっぱ反復練習あるのみっしょー!
打って打って打ちまくる!受けて受けて受けまくる!
1000本くらいやれば、さすがにマトモになるんじゃない?
確かに……愛さんの方法が、一番確実かもしれません。
お芝居も、何度も繰り返し台本を読んで、
セリフや話の流れを覚えますし……
……ねぇ、それなら、お芝居をすればいいんじゃないかな?
? お芝居って……璃奈ちゃん、どういうこと?
しずくちゃんは、お芝居が得意でしょ?
だったら……バレーボールのプロ選手を「演じて」みれば……
なるほど……!
それはナイスアイデアです、璃奈さん!
サーブ! スパイク! トス!
すごい。前に練習した時と動きが全然違う。キレキレだ!
よっしゃ、しずく! 愛さん渾身の一撃を受けてみよ!
お願いします!
いっくよ~! そーーーーっりゃあ!!
今の私はプロのバレー選手、
幾多の試合を勝ち抜いてきた百戦錬磨の……
きゃむっ!!
…………
……本当に苦手なんだろうな、しずくちゃん
……しずくちゃんが何か話してる?
今日は、日頃のお礼も兼ねて!
私がエスコートします!
あはは、しずくちゃん力入りすぎだよ。でも楽しみにしてるね、
今日のデート
デ、デート……
えっと、今日はガイドブックや愛さんから情報を集めて
プランを立てているので、期待しててくださいね、先輩!
まずは、パンケーキ屋さんです!
季節限定のパンケーキ、半分こしましょう♪
こっちです! 先輩早く早く♪
ま、待ってよ、しずくちゃん~!
ふええ……どこに行ってもダメ……私のばか……
し、しずくちゃん、元気出して……
すみません、先輩!
今日は私が完璧なエスコートをお約束したのに……!
人気のパンケーキ屋さんは長蛇の列!
代わりに行ったどら焼きの有名店は売り切れ!
それならばと行ったパスタ屋さんは臨時休業!
次こそはと行ったコーヒーショップではエスプレッソマシンが
壊れていて紅茶しか飲めず! 先輩の知ってるおいしいおうどんの
お店の後に行った雑貨屋さんは店舗移転……!!
はあ……はあ……
一息で言い切ったね、しずくちゃん、さすがの肺活量
う、うう……、うわーん!
先輩みたいに、かっこよく案内したかったのに!
聞いた通りおいしいお店ですねとか、
素敵ですよねって言いたかったのにーー!
しずくちゃんと食べたパンケーキにはこんな思い出があったんだ……!
ん? ここどこだろう?
先輩のおかげでお姫様のイメージがつかめたような気がします。
外に出て、感じたままに演じてみると勉強になります
良かったよ。いい時間になってきたし、
そろそろお別れのシーンをやってみる?
え?
まだ、先輩と過ごしていたいです……
たしかに、お姫様だったらお別れの時にそう思いそうだね
あっ、そ、そうですね! 確かにそうです!
あの、じゃあ……
「お別れの時間ですね……。私はこの道をいきます。
きっと振り返りません」
「ですから、あなたも振り返らないで……」
「わかった」
「……ただ、私にはお別れの言葉が思いつかないの……」
「いえ。お別れの言葉を、言いたくありません!」
「私、いつかきっとあなたに会いにいきます!
どれだけ時間がかかっても……きっと、絶対に!」
すごいよ、しずくちゃん! 演技にみえない!
あっ……。す、すみません。
今のは台本の流れとは違いました。なんだか、つい……
ううん。私、1日楽しかったから、お別れは寂しいなと思ってたんだ。だから今のセリフ、すっごく感動しちゃった!
もっとしずくちゃんの演技が見れるといいな……
……あれ、私何してたんだっけ
しずくちゃんは、ファンクラブのみんなにどんな物語を伝えたい?
私がみんなに見せたい世界観というのは、
「この世界は演劇そのもの」ということなんです
この世界は、演劇そのもの……?
はい。誰もがみんな、自分の持つ役割……
キャラクターを演じているんです。演じているのだから、
やりたいと思えばどんなキャラクターにもなれる世界です
ひとりひとりが主役で、面白い物語を紡いでいる……
その物語と物語が交差するとき、
心躍る出会いと胸の高鳴りが生まれる
だから、私と出会ってくれてありがとう、
これからも一緒に、ずっとずっと続くアナタと私の物語を
一緒に織り上げていきましょう……
そんな物語を作りたいんです!
楽しそう!!
この世界は演劇そのものか……。
じゃあ、私の人生も舞台ってことかな? なーんて……
その通りです!! 先輩、それですよ!
人生は舞台そのものなんです……そう考えると、
日々が輝いて見えます!
そっか……。先輩、私、わかりました。
みんなに一番最初に見せたい物語
すべての、始まりの物語です
始まりの物語か……いいね。それで、どんな作り方をする?
まずは私の気持ちを整理していきたいと思います。
いつも私のことを支えてきてくれた先輩への気持ちが
この物語の中心になりますので
ええ!? 私!?
だって、私を演劇部からスクールアイドル同好会に連れ戻してくれたのは先輩じゃないですか。今、すごく楽しいんです。毎日充実していて、今日はどんなことがあるんだろうってワクワクしてます
それもこれも、先輩がいてくれたから……。
今日だって、私のとりとめもない話を聞いて、背中を押してくれました
こんなに心強いことって、ありません!
この世界は演劇そのもの……
しずくちゃんらしくて、すごく素敵な考えだな
あれ、果林さんと話してるのは私? ……夢?
……あまりこない場所だけど……、
ゲームセンターってこんなに賑やかなのね。
いろんなゲームがあるんだね。それで、愛ちゃんが言ってた
ダンスゲームって、どこに置いてあるんだろう?
確か、一番奥だって言ってたけど……ああ、あれじゃないかしら?
…………。なるほど……画面にでる指示に合わせて……足元の……
ふふ、理解したわよ……。
……えっと、果林さん? なんで靴を脱いで……?
ヒールじゃ本気だせないでしょ? さあ、いくわよ~!
……え? あら、おかしいわね……。
っと、えっ、思ったより……タイミングが早い……?!
果林さん、頑張って!
も、もちろん、よ……! 次は左……ええっ!
そこから斜め上はずるい! あ、ちょ、ちょっと待って!
(果林さん、気合いの割には動けてない?)
(ダンスはダンスでも、ゲームは全然違うんだなあ……)
……あっ、あっ、んもう! また踏み間違えた……あ、ちょっと!
少し待ってって……あー!
ゲームオーバーだね……。その、お疲れ様。
(果林さんってゲームでも負けず嫌い?)
こ、これはそのっ……、はじめてプレイしたから、
こんな結果になっただけで……
だから、慣れればパーフェクトになると思うのよ……
う、うん、そうだよね、わかってるよ~。
(悔しがってる……)
っていうわけだから……。
キミ、小銭を両替してきてもらえるかしら?
えっ?
熱くなっているわけじゃないのよ? 決して。
でも、愛とくるときまでには上手くなっておかないとだし、
その……、完璧にできるまでは、帰らないから
うん、両替してくるね。
(果林さんってこんな子供っぽいところもあるんだ。
よーし、果林さんの気がすむまで付き合おう!)
このくらい、すぐにクリアしてみせるわよ!
今度誘ってみようかな……
あ、また夢を見ている気がする……
私は動物園に行くところなの
え? 動物園には何をしに?
……パンダ
パンダ? パンダが目当て?
そうよ。私がパンダを目当てにしたらおかしいかしら?
ううん、パンダ可愛いもんね
そうなのよ、可愛いのよ!
だけど、私ってパンダってキャラでもないでしょ?
だからなんとなくみんなのことは誘いづらくて……。
ひとりで来てはみたものの、案の定迷っちゃったわ
そうだ、よかったらキミ付き合ってくれない?
お姉さんとデートしましょう
見て見て、パンダよパンダ! すっごく可愛い~!
あはは。本当にパンダが好きなんだね
だってパンダよ、パンダ! みんな好きでしょ?
だね
許されるなら寮に連れて帰りたいな~……
なんて、さすがにそれは無理な話ね
はぁ~、でも本当に可愛いわ~、
見てるだけで笑顔になっちゃう……
もう、キミったらなに見てるの?
私じゃなくてパンダを見に来たんでしょ?
パンダも可愛いけど、果林さんも可愛いから、つい
も、もう、冗談はいいからパンダに集中。
今日はそのために来たんだから
はぁ~、堪能したわ。大満足!
パンダにはもちろん大満足だけど、
果林さんの意外な一面が見られたから、二倍得しちゃった感じ
どうせ、パンダではしゃぐなんてキャラじゃないとか
思ってるんでしょ?
自分でもわかってるのよ。だけど、可愛いものは可愛いんだもの……
仕方ないじゃない
果林さん、パンダ好きだったんだ……。
パンダグッズ見つけたら教えてあげよう
……あれ、私何してたんだっけ
今までの私とはイメージの違う曲を作ってくれたでしょ?
キミが思う私のイメージを教えてくれない?
果林さんは、かっこよくてセクシーなイメージだけど、
それだけじゃないって思うんだ
あら、どういう意味かしら?
果林さんって大人だから、自分が本当にやりたいことよりも
みんなが求めているものに応えようとしてない?
でも、いつもそんなだったら疲れちゃうんじゃないかなって思ったんだ
だから、いつもしっかりしているけど、たまには誰かに甘えても
いいんだよ、もう少し素直になってもいいんだよって、
そういう曲を果林さんに作りたかった
なるほど……この曲はそこから来ていたのね
うん。私から果林さんへのメッセージをこめてみたんだ
言われてみれば、自分から甘えるの苦手かもしれないわ
私は、果林さんのことを心から応援してるから、
我慢しないでたまには思いっきり羽を伸ばしてもらいたい
まあ、大胆な告白ね。
それじゃ、キミが甘えさせてくれるのかしら?
わ、私でよければ!
前の私は大胆だなぁ、少し羨ましい……と思っちゃった
ん? ここどこだろう?
あら、これ……アルバムだわ。
こんなところにあったのね
果林さんのアルバム? あ、読者モデルのやつ?
ううん、これは小さい頃の
え! 見たい見たい!
ええ!? 別にそんな面白いものじゃ……
……笑わない、って約束するなら、見せるけど
笑わないよ!
じゃあ、ほら……。これが昔の私よ
……え? どれ?
どれ、ってひとりしかいないでしょ
え? これが……果林さん!? ええー!?
そんなびっくりしなくても……
だって、今と違いすぎて……。
何て言うか、活発そうな……
ふふっ、言葉を選んだわね。
いいのよ、男の子みたいでしょ、私
昔はずいぶんやんちゃだったのよ~。
島では1番だったんだから
やんちゃな果林さん……想像つかないな……
……果林さんと何を話してるんだろう
実は島にいた頃から憧れてた読者モデルコンテストに
誘ってもらってるのよ。だけど、今は迷っちゃって……
迷う、って、出るのを迷ってる、ってこと? どうして?
どうして、って。今は私、スクールアイドルだもの。
スクールアイドルに全力を出したいの
……果林さんの気持ちが固まってるならそれでいいと思うけど、
迷う、ってことは出たい気持ちも0じゃないんだよね?
……キミ、スクールアイドルの私が好きなんでしょ?
だったらスクールアイドルに全力でいて、って言ってくれないの?
私はどんな果林さんも大好きだよ! 大ファンだよ!
それに私、果林さんがどれだけ熱い気持ちを持ってるのかも、
知ってるつもり。挑戦しないなんて果林さんらしくないんじゃない?
……キミ、生意気なこと言うようになったわね
あ、果林さん、いい顔になってるよ
キミが私を燃え上がらせてくれたからよ
決めたわ。私、読者モデルコンテストに出る!
い、いよいよだね……
どうしてキミが緊張してるの
いや、読者モデルのイベントなんて初めてだから……
スクールアイドルのイベントとは違うし……
そうね。だけど似てるところもあるわ
え?
まわりにいるみんなが、本当に素敵なところ
ここには、私みたいに覚悟を決めてる子しかいないわ。
それに、私以上に努力してる子だっているかもしれない……
みんな自信があって輝いてるでしょ
果林さんが1番輝いてるよ
嬉しいけど、それは身内の欲目ね
でも、私だってできることをやってきた。当たって砕けろよ!
砕けるなんてセリフは果林さんらしくないよ。
あれだけやってきたんだから
当たって砕いてきてよ!
……
ぷっ、あははっ、キミってほんと……ふふふふっ
いいわ。そこで見てなさい!
果林さんかっこいいなぁ……、
いろんなことに挑戦する果林さんを応援したいな
あれ、愛ちゃんと話してるのは私? ……夢?
ねね、3人でお笑いしよ!
愛さんミアチりなりートリオ結成しよ!
What!?
うわ、見てみたい!
へ!? ベイビーちゃん、気は確か!?
私、ちょっと興味ある。璃奈ちゃんボード「ぽわわん」
璃奈も!?
お願いだよ~、ミアチ~
No
お願い、ミアちゃん
うっ
大事にするから!
何言ってんの!
大事にするよ
ううっ
あはははっ
なに!?
ご、ごめん、やりとりがおもしろくて……
挑戦してみようよ、ミアちゃん
……まあ、ちょっとだけなら
やったー! 大事にするよっ、ミアチ、りなりー!
ふふふ、愛ちゃんは本当に楽しいことが好きなんだなぁ
あ、また夢を見ている気がする……
今の気持ちを改めて考えてみたんだけど、
やっぱ、一番伝えたいのは、
愛トモってグループを作ってくれたみんなへの感謝なんだよね
ありがとうって気持ちを伝えたいわけだね
もちろん今までの愛さんらしく、楽しいのが前提だけどね♪
何がいいかなあー。アタシを応援してくれるみんなに
もっとありがとって伝えられるようなこと……
伝える……なら、やっぱり歌で、だよね
まあ、そう……なるかな? なるよね
じゃあ、歌詞を書こうよ、愛ちゃん
ええ!? アタシ、歌詞なんて書いたことないよ!
だったら尚更チャレンジしようよ。
みんなへの気持ちをそのまま書けば、きっといい歌詞になると思うよ。
いいアイディアだとは思うけど、愛さんにできるかなあ……
うう~ん……
うん、悩んでも仕方ない! やる!
けど、君がちゃーんと愛さんのこと応援してよね♪
そしたら頑張れる!
……で……できた……! できたよ! 完成!!
やったね! おめでとう、愛ちゃん!
見てみて! 今の一番正直な気持ち、こんな感じ!
…………あははっ、すっごく愛ちゃんらしい!
うん、愛ちゃんにしか書けない、歌えない歌だと思う!
これならきっと愛トモのみんなも喜んでくれるよ!
頑張ったね、愛ちゃん!
へへ……それもこれもぜーんぶ、ぶちょー様のお陰でーす!!
あはははは!
……ふう、君にそう言ってもらえて安心した。……でも、あのね?
最後にどーん! って背中を押してもらいたいから……
この歌、君に一番最初に聞いて欲しい。ってことで!
夜中だから小声だけど、歌うね。
ねえ、もっとそばに行っていいかな?
愛ちゃんが、愛トモのみんなのことが大好きなことが
すごく伝わってくる……
ん? ここどこだろう?
うわっ! 雷!
これは、しばらくここで足止めかもね
あれ? 愛ちゃん、お腹痛い?
えっ、あー、違う違う。なんか癖でさ、
雷がなるとついお腹を抑えちゃうんだ。おへそを取られるぞ!
へー、そうなんだ……なーんちゃって……えへへ
愛ちゃん……実は結構怖がってる?
ダジャレにいつものキレがない……
あーん、わかっちゃう!?
そんなことないってもちろんわかってるけど、
雷さまにおへそ取られるぞって小さい頃おばーちゃんに言われて、
それからなんとなく怖くて……
なんだか意外! でも、そういうギャップがなんだかかわいい
も~、愛さん的には恥ずかしいんだけど!
愛ちゃんにも怖いものがあるんだね~……ふふっ
あ、笑ったなー!
あはは、ごめんごめん。だってかわいいんだもん
もー、みんなには秘密だからね?
うん、ふたりの秘密だね
約束破ったらハリセンボンの刑だぞ~!
次は私がダジャレで愛ちゃんを笑わせてあげられたらいいな……
……愛ちゃんと何を話してるんだろう
愛さんちょっとやってみたいことがあるんだけど……
なになに?
病院でライブって……できないかな?
え、病院で?
この前、君にアタシは「楽しい」を作れる、って言われてさ、
思ったんだ
昔から、周りの人に笑ってもらえるのが嬉しかった。
だからアタシ、スクールアイドルとしても、
そういうところをもっともっと突き詰めてみたい
「楽しい」をどんどん作って、みんなをいっぱい笑顔にしたい
それで、みんなで前向きな気持ちになる……。
そんなスクールアイドルになりたいな、って
だから、人を元気づけるライブがしたい。
お疲れ様ー! すごいよ愛ちゃん! 最高だった!!
あははっ! ステージから見る光景だって最高だったよ~!
みんなすごく喜んでくれてたもんね
みんなの笑顔を見てると愛さんまで嬉しくなっちゃって、
ずーっとニヤニヤしちゃった
ニヤニヤって……キラキラ輝いた、いい笑顔だったよ。
今日の愛ちゃんは誰よりも眩しいスクールアイドルだったよ
ホントにそう思ってくれる?
思う思う。今日の最高のパフォーマンスを見た人なら全員思うよ!
最高か~♪
えへへっ、そう思ってもらえたなら、それ以上のことはないよ
また病院でライブをするときは私も何かお手伝いできるといいなぁ……
……あれ、私何してたんだっけ
あ! 愛さん閃いた!!
ソロイベントでは、友達たくさん作りたい!!
ええ!? どういうこと?
愛さんのイベントを見に来てくれる人はみ~んな友達!
愛さんの友達だから『あい友』!
アタシを応援してくれる人、み~んなと仲良くなりたいんだぁ!
それでみんなで笑顔になる!
それってすごくいいよ! そうしよう!
じゃあ、ソロイベントに来てくれた人には
あい友の印をプレゼントするってどう?
なにそれめっちゃアガる!
それを持ってると愛さんとあい友だよって印になるね!
でもどういうものがいいだろうね。
出来れば持ち歩けるようなものがいいと思うんだ。
持ち歩けるものっていうの賛成! パッと見ただけで、
あ、あの子もあい友じゃん! ってわかるような……。
……愛ちゃん、私、思いついた!
なになに?
バッジ! バッジはどうかな?
ほら、胸につけたり、バッグにつけたり身につけやすいでしょ?
それいいじゃん! じゃあ、愛さん手作りしちゃうよ!
ええっ! 手作りって……
ソロイベントに来る人、全員分?
うん! アタシ、手先器用だからさ。
それに、あい友のためなら、なんだってやれちゃうよ~!
あのバッジにはこんな意味が込められてたんだ!
あれ、彼方さんと話してるのは私? ……夢?
……あ、あの、すみません、近江彼方先輩は、今どちらに?
近江さん?
あー、授業が終わったらさっさと出て行っちゃったよ。
多分、保健室に寝に行ったんじゃない? あくびしてたから
そ、そうですか。ありがとうございます……
(彼方さん、どこ行ったんだろう……保健室にはいなかった。
けど、保健室以外で眠れる場所なんてある……?)
(はっ! もしかして、果林さんが言ってたみたいに、
アスファルトに寝転がってるんじゃ……早く見つけないと!
騒ぎになっちゃうかもしれない)
彼方さーん! 彼方さんどこー?!
はぁ……はぁ…………あっ?
い、いた! 彼方さん……!
むにゃ……? あれ、おはよう……どしたの、
そんなにはぁはぁして……
彼方さんを探してたんだよ……
保健室にいないからどこに行ったのかと……
今日は中庭で寝てたんだね……
んー……今日はおひさまがきもちいーからね~……。
こんな日はふかふかの芝生で寝るのに限るのさぁ~。あなたも寝よ~
ちょ、うわっ……!
あ、ほんとだ、あったかい……芝がちくちくするけど
このちくちくがクセになるんだよ~……むふふ~♪ ふああ……
そういえば、彼方さん今日も中庭で寝てたなぁ
私も今度寝てみようかな……
あ、また夢を見ている気がする……
彼方ちゃん、次のソロイベントで目覚まし時計が欲しい~!
目覚まし時計? みんなに持って来てもらうとか?
ううん、違う。
あのね~、みんなの声が入った目覚ましが欲しいんだ~
なるほど。録音できる目覚ましってあるもんね。
でも、なんで目覚まし?
彼方ちゃん、いっつも眠いでしょ……
それは夜にお勉強をしてるからなんだ。
奨学金もらわないといけないから、頑張ってるの~
でも、お勉強頑張ると朝起きられないの。
遥ちゃんに起こしてもらってるんだけど、
お姉ちゃんだから、ちゃんと、ひとりで起きたい……
そっか、みんなの声が入った目覚ましなら、絶対起きられるよね!
そうなの~。みんなの声で起きたいっていう
彼方ちゃんのわがままを、みんなに叶えてもらっちゃう
そんなの全然わがままじゃないと思うけど……
彼方ちゃんにとっては、わがままなんだな~。ていうか、
彼方ちゃんってスクールアイドルをやってること自体、
ちょっとわがままかなって思ってる
ほんとは、やらなくちゃいけないことがたくさんあるし、
ほかのことなら我慢できるんだけど……
スクールアイドルは大好きだからやりたいんだ。
だから、応援してくれるみんなにちょっと助けてほしい。
「彼方ちゃん起きろ~」って声を合わせて言って欲しい
みんな喜んで協力してくれるよ!
でも目覚ましボイスそれだけでいいの?
もっとみんなそれぞれに言ってもらったらどうかな?
え~?
みんながそれぞれ起きろー、起きてー、
布団剥がしちゃうぞーとか言ってたら、全部聞きたくならない?
みんな何言ってるんだろう、って気になって
二度寝なんてできなくなると思うんだ。
なるほど……二度寝防止も絶対必要……
そのアイディアすごくいいね~!
彼方ちゃんそんな目覚ましが欲しい!
じゃあ、決まり! 世界に一個の特別な目覚ましになりそうだね!
今度目覚ましボイス聞かせてもらおう……
……彼方さんと何話してるんだろう
いつも私のお弁当を美味しそうって言ってくれるから、
今日はあなたの分も作ってきたんだ~
え!? 本当!?
うん、絶対美味しいから、食べて食べて~
嬉しい! でも、本当にいいの?
あなたが作ってくれた曲のお礼でもあるの。
あ、でも、残り物で作ったお弁当だから、失礼かな?
ううん、全然そんなことないよ。ありがたくいただくね
どうぞ召し上がれ♪
うわ~、美味しそう。とても余り物とは思えないよ。
それじゃ、いただきます……あむ……
お口にあえばいいんだけど、どうかな~?
美味しい! 凄く美味しいよ! これ、本当に余り物なの?
そうだよ~、そのハンバーグは、
あまったひじきの煮物を入れて作ってるんだよ~
ひじきの煮物がハンバーグに! すごい、すごいよ!
お嫁さんになってもらいたいくらい
末永くよろしくお願いします。なんてね~
今日食べた彼方さんのお弁当も本当においしかったなぁ……
ん? ここどこだろう?
今日は大熱唱だったね
んふふ、みんなたくさん応援してくれたから応えなきゃって、
彼方ちゃんすーっごく張り切っちゃった♪
うん、凄かった。ステージも客席もひとつになって、
熱気に満ちた最高のライブだったよ
あ~、幸せ……みんなわがままな私を受け入れてくれて、
応援までしてくれて、やっぱりスクールアイドルは素敵だね~
あっ、遥ちゃんからメッセージだ
会場に来てたんだよね、なんだって?
ライブ最高に楽しかったよ。興奮しすぎて喉枯れちゃった。
お姉ちゃんってやっぱりすごい、格好いい! だって……
よかったね
うん! 頑張った甲斐があるよ~! 本当に本当によかった~!
あはは、今日一番の元気をもらったね
あれ? 遥ちゃん、私にもメッセージをくれたみたい。えーと……
「最高にかっこいいお姉ちゃんを見れました。ありがとうございます。
あなたのサポートがあってこそだってお姉ちゃんも言ってました。
また私の相談にものってくださいね」……だって
え……?
あれ? どうしたの、彼方さん……?
うーんうーん……遥ちゃんのお願いは叶ってほしいけど……
これはダメっ!
あなたのサポートは彼方ちゃんにはなくてはならないものなの!
だから、あなたはずっとずっと彼方ちゃんのサポートをしてね?
あはは、心配しなくても、私はずっと彼方さんのサポートをするよ。
彼方さんのわがままを叶えてあげるのが、私の仕事だからね
ふふ、彼方さんも遥ちゃんもお互いのこと大好きなんだろうなぁ
……あれ、私何してたんだっけ
なんか最近いつも眠そうじゃない?
そう見える?
おねむに関することでは、彼方ちゃんの目はごまかせないんだな~
……最近、寝つきが悪いんだ。ここのところずっとだから、
さすがにボーッとしちゃうよ
困っちゃうね~……うーん……
よし、彼方ちゃんにできることはひとつ!
睡眠環境の質を上げよう!
睡眠環境の質?
ベッドとか、敷布団とか掛け布団とかルームライトのこと。
そしてなにより……枕だね!
よーし! じゃあ次の休みに、最高の枕を探しに行こー!
今日はここで、枕ハンターをしたいと思いまーす! OK?
枕ハンター?
そう! あなたにぴったりな枕を、彼方ちゃんの、
このするど~い眼光で見極めちゃうのです! OK?
お、OK!
じゃあレッツハンティーング!
枕、なかなか選べなくてごめんね……
あなたがあやまることじゃないよ~
彼方ちゃんこそ力になれなくてごめん……
困ったね~
あっ、そうだ!
?
ふっふっふ。彼方ちゃん、必殺枕があったことを思い出したよ~
必殺ってどういう……?
いーから、いーから。ほれほれ、ここに寝て。
彼方ちゃんのお膝枕!
彼方ちゃん、エマちゃんのお膝枕だと瞬殺なんだな~
彼方ちゃんのお膝枕はエマちゃんほどじゃないかもだけど、
試してみてよ
うん、じゃあ……
いつも彼方ちゃんたちのために頑張ってくれて、ありがとうね。
よしよ~し
……あれ? 寝てる? おーい
ふふふっ。彼方ちゃんのお膝枕も捨てたもんじゃないね
ゆっくりおやすみ……
私……本当に彼方さんの膝枕で寝ちゃってたんだ……恥ずかしい
あれ、せつ菜ちゃんと話してるのは私? ……夢?
……あなたにも「大好き」なものはありますか?
もちろん、あるよ。せつ菜ちゃんのライブを観ること!
ふふ、私も、あなたに見守ってもらえることが大好きです!
あはは、それならよかった
「大好き」って感情はすごいね。伝える方も受け取る方も、
とっても幸せな気持ちになれるんだから
伝える方も受け取る方も幸せ……その通りですね
あの、私の大好きな話をしてもいいでしょうか?
あなたに聞いてもらいたいんです
もちろん。せつ菜ちゃんの「大好き」聞かせてほしい
改めてになりますが……
私、あなたに応援してもらえることが大好きです!
あなたは、私がスクールアイドルでいられるようにしてくれた
恩人なんです。心から感謝しています
あなたがいなかったら、今の私はいません
毎日がこんなに楽しくて充実しているのは、
あなたのおかげなんです
あなたが私を応援してくれるということが、
こんなにも私の力になっているんですよ
せ、せつ菜ちゃん、褒めすぎ。恥ずかしいよ……
え? まだ全然褒めるところまでいっていません。
感謝の気持ちの段階ですよ?
あなたへの感謝のあとは、あなたのどんなところが大好きなのかの
話をしますし、そのあとに褒めます
なので、最後まで聞いてください
私の「大好き」を、ぜーんぶ受け取ってくださいね!
私の「大好き」……
あ、また夢を見ている気がする……
これです!
これって……
そうです! みんな憧れの「漫画家セット」です!!
すごい!!
私、このセットを使って、漫画を描いてみたくて……。
でも、初心者には難しいでしょうか?
せつ菜ちゃんに描きたいものがあるならやりなよ。
説明書を読み込むほどなんでしょ?
私、応援するよ!
あ、ありがとうございます! やってみたいです!
……おお~、すごい! 本当に漫画だ!
えへへ。私も初めてペンを入れたときに同じことを思っちゃいました
「漫画みたい!」って
付録を使いこなしてるね
説明書を何度も読みましたから!
だけど、実際にやってみると、
説明書の通りにはいかないことも多いです
手も墨だらけで、原稿用紙を汚しちゃったり……
でも、そういうのって慣れだよね
そうです!
初めてダンスのステップを踏んだときはぎこちなくても、
何度も練習すれば上手になります
それと同じですから、頑張ります!
ふふ、せつ菜ちゃんは前から本当に漫画が好きなんだなぁ……
……あれ、私何してたんだっけ
みんな、ものすごい熱量のあるメッセージだね……
そうなんです! どの手紙にも胸を打たれてしまいます……!
この手紙を読んで、みんなが、
私になにをしてほしいのかということが見えてきました
みんな、自分の「大好き」を広めたいって思っているんですよ!
そうみたいだね。どの手紙にも、「今、自分はこんなアニメや漫画、
小説にハマってます、こういうところがとても良くて、
もっともっとたくさんの人に知って欲しい」って書いてある
きっとせつ菜ちゃんなら、この気持ちをわかってくれる……
そう思ってるんだね
いや、違うかな? せつ菜ちゃんに共感してほしい、
一緒に楽しみたい、っていう気持ちなのかも……
ええ。みんな、自分の大好きなものを、
私や他の人たちにも知ってほしいと思っているんです!
私、そのメッセージをしっかりと受け止めて、発信します!
みんなの気持ちに応えてみたいんです
アニメや小説のオススメは、せつ菜ちゃんの得意分野だもんね
ふふっ。だって、本当に大好きなので!
せつ菜ちゃんの「大好き」を私ももっと共有したいなぁ……
……あれ、せつ菜ちゃん怒ってる? どうしたんだろう
もうダメですー! 限界です! 堪忍袋の緒が切れました!
ど、どうしたの、せつ菜ちゃん!?
聞いてくださいっ! 聞けばあなただって分かってくれます……!
実は……
両親に隠れてスクールアイドル活動をしていたことを話したんです
ちゃんと説明してわかってもらおうと思ったのですが……
「スクールアイドルなんてやってるから生徒会長を降ろされたりするんだ」ってスクールアイドルの事を無駄みたいに言うんです!
そんなの許せません! あの人たちは、スクールアイドルについて
何にもわかっていないんです!!
私にも譲れないものがあるということをわかってもらうため、
家出します!
ほんとうにそれでいいの?
いいんです。私の決意は固いんです!
せつ菜ちゃんが言ってたご両親と喧嘩した時の記憶……?
ん? ここどこだろう?
うっ……うぅあぁぅぅ~……
うわっ!? どうしたんですか! 顔色が悪いですよ!?
せつ菜の……せつ菜の料理を食べたら……う、うぁぁ~……
……え? せつ菜さんの料理を食べちゃったんですか……
せつ菜さん、いつの間に料理を……
私がどうかしましたか?
な、なんでもないですっ!
そうだ。
よろしければ、かすみさんたちも私の料理召し上がりませんか?
キッチンに残ってた食材で作りました。
私の創造性を存分に活かした、創作中華なんです♪
え? いや、かすみんは……あっ、そうだ!
用があるのを思い出しました! ねっ、しず子?
それじゃ、せつ菜先輩、またです!
はい、また後で、せつ菜さん
あんなに急いで……トイレでしょうか?
かすみちゃんが逃げた。私たちも、
せつ菜さんの視界に入らないようにしたほうがいいかも……
せつ菜の料理、おいしそうじゃん。もらおうかな
ミアちゃん、海岸に行ったら、星が綺麗に見えると思う。
行こ?
うん、ボク、璃奈と行くよ
ランジュ、胃薬です。あまり無理をしないでください
謝謝……あぁ~……
せっかくせつ菜がランジュに作ってくれたのに……悔しい……。
帰ったら、胃腸も鍛えるわよ……うぁぁぁ……
あはは……、確かにせつ菜ちゃんの料理はパンチが強いよね……
あれ、エマさんと話してるのは私? ……夢?
エマさんの家族に会えるの楽しみ!
ふふっ、いっぱい家族がいるから紹介するのに時間がかかりそう
妹や弟たちには、あなたのことたくさん話してあるの。
だからみんなも会えるの楽しみにしてる、って言ってたよ
私も楽しみ! ちょっと緊張もするけど……
楽しいことだけ考えて! さ、搭乗口に行こう!
(ここがエマさんの育った場所かあ。のんびりして穏やかな空気……
本当に癒されちゃう)
(久々に会う家族に歓迎されて、大騒ぎの妹や弟さんたちに
もみくちゃにされてエマさんもうれしそうだな)
ご、ごめんね、ひとりにしちゃって
ううん、平気だよ
じゃあ、あなたのことを家族に紹介させて
みんなー!
この子が、わたしがいるスクールアイドル同好会の部長さんだよ
初めまして。いつもエマさんには……わあっ!?
み、みんな! 一斉にハグしたら危ないよ~~!
エマさんの家族……?! 忘れたままなのはいやだなぁ……
……あれ、私何してたんだっけ
これ……、この歌……
エマさん……?
わ、わたし! この歌が大好きで、スイスにいたときに
この歌を聴いて、わたしもスクールアイドルやりたいって思って……っ
だからずっと探してたんです!
この歌を歌っている人を。でも、なんでマイさんが?
もしかしたら、それはあたしの先輩かも。
あたしさ、この歌を先輩から受け継いだんだ
そうだったんですか……
うん。だから、もうすぐ歌えなくなっちゃうのはやっぱ寂しいな……
え? 歌えなくなる、って……どういうことですか?
あたし、スクールアイドルをやめて、
この写真館を継ぎたいと思ってるんだ
次の休みに最後のライブをやろうと思ってるから、
よかったら見に来てくれない?
みんな、今日は来てくれてありがとう!
たくさんの人が来てくれて本当に嬉しいよ!
こんなに大勢に見守られて最後を迎えられるなんて、
スクールアイドル冥利に尽きるよね
終わりを迎える前に、ここでスペシャルゲストを呼びたいと思います。エマちゃん、ステージに上がって!!
え、わたし?
ごめんね、急に呼んじゃって
ううん、でもどうして……?
この子は最近仲良くなった、
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のエマちゃん!
今から歌うのは、エマちゃんが惚れ込んでくれた歌です。
この曲はあたしにとっても大切で……思い出深い最高の曲
先輩から受け継いだこの素晴らしい歌を、
次に受け継ぎたいと思います!
……エマちゃん。あなたも、あたしや先輩と同じくらい、
この歌を愛してくれてるよね!
だから、受け取ってくれないかな。あたしたちからのバトン
え?
これからはエマちゃんに歌ってほしいんだ。
あたしと先輩が愛した、この歌を
マイちゃん……
だって、ずっと探してたくらい、エマちゃんもこの歌を
愛してくれてるんでしょ? 当然、歌えるよね!
もちろんだよ!
スイスでも日本でもいっぱい、いっぱい歌ってきたんだもん!
そうこなくっちゃ、それじゃ一緒に歌おう。
あたしたちが大好きな、この曲を!
うん!!
エマさんが受け継いだ曲ってどれだろう……
この曲を歌うエマさんもみたいなぁ
……エマさん? いつもと様子が違うような……
今日からよろしくお願いします、ご主人様♥
ほ、ほんとにやるの?
もちろんです!
ご主人様が素敵な曲を作れるよう、誠心誠意お仕えしますね!
はあ、いいお湯だった……
お風呂上がりのリンゴジュースです、ご主人様
え、いや……もう、歯も磨いちゃったし……
そうですか……じゃあ、お水でも。水分補給しなきゃ
あああっ、ごめん! やっぱり、リンゴジュースもらうね!
はいっ、慌てずに飲んでくださいね♪
あの……じゃあ、歯を磨いて寝ようか?
はい! ご主人様が寝付くまで、お布団ポンポンしながら
子守唄を歌いますね
そ、そこまでしないで大丈夫だから!
私、すごく寝つきいいから!
いいえ! これもメイドのお仕事ですからっ!
今日のお弁当はね~、エマ特製サンドイッチです!
わあ、おいしそう……
でしょ? じゃあ、はい。あ~ん……
あーん、ですよ。ご主人様
あの、自分で食べられるから、大丈夫だよ?
ダメです。これもメイドさんのお仕事なんですから
さすがにこれは、仕事とは違うんじゃ……
いーえ、大事なお仕事ですっ
はい、おっきなお口で食べてくださいね、あ~ん♥
あ、あーん……
これは現実……!? 私、エマさんにこんなことを!?
あ、また夢を見ている気がする……
あなたと一緒に作り上げたイベントで、
わたし、改めて感じたことがあったんだ
え? なに?
イベントに来てくれた人たちのことを、妹や弟みたいに……って
言っちゃうと少し違うけど、でも、そんな感じの近しくて大切で、
守ってあげたい相手なんだって考えたらね
みんなのことがとっても愛おしくて、
なんでもしてあげたいなって思えたんだ
これからも、応援してくれるみんなは、わたしにとって家族みたいな
存在なんだって思っていたいな
応援してくれるみんなを家族みたいな、あったかい存在だって考えて
優しく包み込む……うん、エマさんにぴったりだね!
ふふ、こんな風に思えたのはあなたのおかげだよ。
本当に、ありがと……ね?
……
ふふふ
えっと、エマさん? なんで私のことを撫でて……?
いや?
う、ううん! いやじゃないけど! 嬉しいけど!
でも恥ずかし……やっぱり嬉しいけど!
あはは。なんだろうね。あなたの頭をなでなでしてたら安心するんだ。もうちょっと撫でてていい?
エマさんは記憶がない私にもすごく優しくしてくれる……
私も何かお返ししたいな
ん? ここどこだろう?
エマさんってば子供たちからも大人気だね!
あ、もっと歌ってほしいってリクエストがあるみたいだよ
はーい! 次はなんのお歌を歌おうか――……ってあれ?
あの子、ひとりでいるね。どうしたんだろう?
ねえ、きみ! きみもこっちにおいでよ。
一緒にお歌を歌いましょう!
ぼく、うたわないもん
みんなで遊ぶと楽しいよ♪
こっちくるな!
え、ちょ、ちょっと待って……!
おーい、そこのきみ!
これからみんなとお歌を歌うんだけど、一緒に歌わない?
今日はね、きみと一緒に歌いたいなって思ってるの。わたしたち、
みんなで一緒に歌えるお歌をたくさん覚えてきたから……
あっ
(人通りは多いけど……路上ステージって難しいな……)
あれ、きみ、どうして、ここにいるの?
うるさいうたがきこえたからきた……
でも、ひとりでうたってて……なんかいやだった。
ひとりでうたうな
そう、だったんだ。……嬉しいよ。おねえちゃん、
きみがきてくれてすごくすごく嬉しい!
ねえ、おねえちゃんもひとりはさみしいから、
きみも一緒に歌ってくれないかな?
べつにいいけど……そこのおまえもうたうんだぞ
え!? 私も!?
ってあれ、夢……?
夢でも子供の心を開いちゃうなんてさすがだなあ
あれ、璃奈ちゃん誰と話してるんだろう? これは……夢?
よしよし、いい子いい子
ニャ~
ここでの生活にすっかり慣れたみたいだね
うん。もうここは、はんぺんの家
確かにみんなに受け入れられてるもんね。
休み時間とか撫でに来る子も多いみたいだし
人気があるのはいいけど、問題もある
え、なに? なにかあった?
みんな、はんぺんにご飯あげすぎ問題
あー……
可愛いからついエサをあげたくなっちゃうんだろうね
気持ちはわかるけど、もっちり猫さんになっちゃう
ご飯の時間を決めてあげようか
うん、それがいいと思う
ニャンニャ~
はぁ~、はんぺんに癒やされる
かすみちゃんと、しずくちゃんも癒やされるって言ってた
はんぺんは、みんなのアイドルだね
スクールアイドルを癒やすアイドル。はんぺん最強伝説。
誰もはんぺんには勝てない!
璃奈ちゃんとはんぺんはずっと仲良しさんなんだなぁ……
あ、また夢を見ている気がする……
うーん……。これなら……
璃奈ちゃん、難しい顔してるね。どうかした?
手作りハンバーガーの作り方、調べてるの
璃奈ちゃん、ハンバーガー好きだもんね。
ついに手作りかあ。すごいな
あのね、ミアちゃんのために作ってあげたいの
ミアちゃん、日本のハンバーガーのこと、
ボリューム以外は気に入ってくれてる
でも、たまにニューヨークで食べてたみたいなやつが
食べたくなるんだって
だから、作ってあげたくて。ただ、ちょっと難しい。
璃奈ちゃんボード「ムムム」
そういうことか。よかったら私も手伝っていいかな?
本当!? ありがとう
この間、ミアちゃんすごく喜んでくれたから 、
次のハンバーガーのアイディアをまとめたい
ミアちゃんほんとおいしそうに食べてたね
うん。うれしかった。璃奈ちゃんボード「テレテレ」
今回は、ミアちゃんの苦手な野菜も食べてもらいたい
確かに……
ミアちゃんもおいしく食べられて栄養がいっぱい取れる調理法、
ないかな?
ミアちゃんは璃奈ちゃんに愛されてるね
うん。私、ミアちゃんのこと、大好きなんだ
よし、じゃあハンバーガーの研究に戻ろう!
ふふ、璃奈ちゃん今日も、ミアちゃんに野菜食べないとだめだよって
言ってたような……
ん? ここどこだろう?
私、スクールアイドルになって、世界が変わった。
たくさんの人に、気持ちを伝えられるようになった
今までは、みんなと仲良くしたくても、うまくいかなかった。
どうやったらいいかわからなくて、難しかった
でも、スクールアイドルになった私は、
みんなに見てもらえるようになった
繋がりも、増えた
これって、ホントにすごいコト。
私は、とってもラッキーだっただけ。
あなたや愛さんがいなかったら、今の私はいなかった
学園には、昔の私みたいに、ひとりで寂しいなって思ってる子が
いると思うの。そういう子に、イベントにきてくださいって
お願いしたい。
もっともっとたくさんの人と繋がりたい。
そして、もっともっと私のこと、見てもらいたい。
それなら、私に任せて!
今の璃奈ちゃんの話を聞いてイメージが膨らんだから!
あなたがいてくれてよかった。心強い
素敵な曲を、ありがとう
気に入ってもらえたかな?
すごく、好き。私の気持ちが、全部、詰まってるから
私の歌でみんなと繋がれるように頑張る
璃奈ちゃん! 本当にキラキラしてたよ。スクールアイドル楽しい、
みんなも楽しんでって気持ちが伝わってきた!
今回感じられた繋がりを、もっともっと大きなものにしたい。
もっともっと、みんなと繋がってるって、感じたい
璃奈ちゃんが言ってた一番大事にしてること、
みんなと繋がることはこういう事だったんだ!
……璃奈ちゃんと何か話してる?
え!? 次のライブは璃奈ちゃんボードを外したい!?
だめかな?
ううん、璃奈ちゃんがやってみたいならもちろん応援するよ!
応援してくれるみんなに、私のこと、もっと伝えたい
そっか、わかった! じゃあ、早速今日からは、
璃奈ちゃんボード無しのステージ作りを考えよう!
うん。
私が、どんなに嬉しくて、どんなに楽しいか、笑顔で伝えたい
明日の本番の前に、あなたに、見て欲しい
ええ!? 私に!?
初めての、璃奈ちゃんボード無しのパフォーマンスは……
あなたに、一番最初に見て欲しい
お待たせ
璃奈ちゃん……
ボードがないと、なんだか落ち着かないし、怖いね。
でも……これが私。みんなに知ってほしい私だから
うん
今の私ができる、一番素敵なステージに、
パフォーマンスにしてみせる。楽しませるよ
璃奈ちゃんにならできるよ。
だって今、すごくワクワクしてるでしょう?
……え? わかるの?
うん! 歌うのが、踊るのが、楽しみ! って、
まっすぐ心に伝わってきてるよ。その証拠に……
証拠?
私、璃奈ちゃんの気持ちと同じ顔をしてるでしょ?
え……?
もし当日不安になったら、ファンのみんなの顔を見ればいいよ。
そうすれば、璃奈ちゃんの気持ちが伝わってるかどうか、
みんなと繋がってるかどうかがわかるから
そうだね。うん、そうする。
でもその前に、私のステージ、見て
うん!
私、すごく璃奈ちゃんのこと見てたんだろうなぁ……
もっと璃奈ちゃんのこと知りたい!
……あれ、私何してたんだっけ
応援してくれる人が増えて、たくさんの人たちと繋がれる場所が
できて、嬉しかった
でも、その一方で、静かに楽しみたいって人がいること、
話を聞くまで気がつけなかった
ひとりでも楽しめるイベントか……
ひとり……うーん……
一対一……難しい……
あ、待って。一対一だけど、一対一じゃない場所があるよ!
え?
今、私と璃奈ちゃんがしてるテレビ電話と同じことをしよう!
それなら賑やかな場所に行かなくても、部屋で楽しめるでしょ?
……! オンラインライブ!!
そう!
いいアイディアでしょ?
うん! とっても!
あっ……でも、私のことは、みんな見てくれるけど、
私はみんなの顔が見られない……
なるほど……そこが問題か……
……これは、専用アプリの開発しか、ない
専用アプリ?
みんなに私のライブを見てもらうのと同じように、
私もみんなの顔が見られるようにする、アプリ。作る。
私も、みんなの顔が見たいもん。頑張るぞ。
璃奈ちゃんボード「メラメラ」
だけど、やっぱり璃奈ちゃんって凄いよね
ライブ配信専用アプリをイチから作っちゃうんだもん
得意なことだから……
得意なことだからって、こんな短期間でできないよ!
アプリひとつとっても、
璃奈ちゃんがどれだけファンクラブを大事にしてるか、
みんなとの繋がりを大切にしてるのかがすごくわかる
それはみんなにも届くはずだよ。絶対
どうかな……そうだと嬉しい
あ、時間だ。始めるよ
うん
5秒前、4、3、2、1――
こんにちは、天王寺璃奈です。
今日はオンラインライブを見てくれて、ありがとう。
いつも通り、楽しもうね。璃奈ちゃんボード「にっこりん」
本当に璃奈ちゃんがみんなとの繋がりを大切にしていることが
伝わってくる……
あれ、栞子ちゃんと話してるのは私? ……夢?
私は、誰もが幸せになれる世界を作りたい。そのためには、
私にも姉さんみたいな広い視野が必要だと思いませんか?
そうかなあ……
私は今日確信したんです。絶対に必要だと!
あの、でもね、あんまり思いつめない方が……。
もっとよく考えてみてもいいと思うよ
あなたはやるべきことと思ったらすぐに行動し、
誰の意見も素直に聞き入れます
そんなあなたをそばで見ていたからこそ、
私ももっと変わろうと思えたのです
私の世界を広げる旅に、ついてきてもらえませんか?
ついにやってきました……
まさかサバンナまで来ちゃうなんて……
栞子、あそこ見える? キリンの親子だよ~
すっ、すごい! 野生のキリンです!
あそこだけ緑があるんですね
あそこはオアシスだからね。
オアシスには一日中いろんな動物たちがくるんだよ
なるほど。夜行性動物もいますものね……。
では今夜はそれを観察しましょう!
ふふっ、楽しいですね!
以前の私なら、絶対に考えられない行動をしています
こんなふうに変わることができたなんて、夢みたいです
そして、そんな自分をあなたに見てもらえるのがとてもうれしいんです
これからも、私の成長を見守ってください!
サ、サバンナ!?
栞子ちゃんの行動力もすごいけど、私もすごいんじゃ……
あ、また夢を見ている気がする……
あの……。あれから、考えてみたのですが、
私、スクールアイドルには、向いていない気がします
え、どうして!?
みなさんのように、スクールアイドルをやる信念……
みたいなものが見つからなくて……
信念って、そんな……。
スクールアイドルは、やりたいって思ったらやっていいんだよ!
……栞子さんは、どうして、私達と一緒にやってみようと思ってくれたんですか?
どうして……? そうですね……、
毎日の厳しい練習で磨き抜いたパフォーマンスで、
たくさんの人の心を動かす姿に惹かれたから……でしょうか
スクールアイドル活動をすれば、
私の気持ちも少しは上手く伝えられるようになるかもしれない、と
思ったんです
思いを伝えて……その後は?
その後……。今より少しでも、善い世界に変えたいです。
不幸な人がいない、そんな世界にしたいんです
……なんて、馬鹿げていますよね
そんな風に言わないで。すごいことだよ!
ですが、途方も無い夢物語です
……っ、感動しました! さすが栞子さんです!
そうところが、栞子さんのすごいところです!
せつ菜ちゃんの言う通りだよ。
栞子ちゃんのやりたいことを目指そうよ!
……現実的じゃない、とか、無謀、とか、思いませんか……?
え、どうして? 友達の夢なんだから、思うわけないよ。
応援するのが当たり前でしょ?
……スクールアイドルになろうと思った理由
前にも栞子ちゃんから聞いてたんだ、私……もっと応援したい
ん? ここどこだろう?
スクールアイドルの魅力……それは高揚感です。
そしてその高揚感を一番シンプルに伝えるもの、それすなわち衣装!
ということで、今日は私の用意した衣装を着てもらいます。
そして撮影もします
……よくわかりませんが、やるべきことはわかりました
衣装を着るだけでいいのですか?
動きもあったほうがいいのでは……ダンスをしてみましょうか?
さすが会長……お見事です。
会長に私の好きな服を着てもらうことしか考えて……
いえ、なんでもありません。
では、衣装にあったポーズをとってもらってもいいでしょうか?
わかりました
どんな衣装なのか楽しみ!
まず、メイド服です。これに言葉はいりません。
かわいいといったらかわいいのです
「ご主人様、私の歌を受け止めてくださいますか?
ご主人様の幸せを心から祈っている、私の歌を……」
……いい! すごくいいよ、栞子ちゃん!
いくらでも受け止めさせて!
思った通りの素晴らしさです。
では、さらに猫ちゃんカチューシャを追加して……
猫ちゃんカチューシャ……?
うう、わかりました。私はどんなことにも挑戦します!
「しおにゃん、あなたのためにお歌をうたいますにゃん。
あなたが幸せになってくれたら、しおにゃんもうれしいにゃん」
……か、かわいい!!!
……あれ、私何してたんだっけ
なんだか今日は、栞子ちゃんのすごいところをまたひとつ
知っちゃったな
栞子ちゃんみたいな子に見守っていてもらえるなら、
みんな心強いだろうね
いえ、そんな特別なことではありません
それどころか、私のしていることはお節介なのではないでしょうか……
え?
本人が本当に言ってほしかったことを言えているかはわかりませんから
栞子ちゃん、私思うんだけど……
自分以外の視点からのアドバイスは、
自分の選択肢を増やしてくれるんじゃないかな
選択肢……ですか
それにね、今日聞いた感じだと、
栞子ちゃんはその子の得意なことを生かして、
やりたいことに近づけるようアドバイスしてるでしょ?
そうやって寄り添ってもらえることは、
絶対にみんな嬉しいと思うんだ
そうでしょうか……
そう思ってもらえているのなら、私は成長できたということです
本当に周りをよく見てるんだろうなぁ、
私も栞子ちゃんの役に立てるように頑張ろう
栞子ちゃんと何を話してるんだろう
私の歌について、お話があるのですが……
どんなこと? なんでも相談に乗るよ
私は、どんな歌を歌いたいのでしょう……?
今の私には、「スクールアイドルになりたい」というものしか、
はっきりしたものはありません……
参考になればと思って同好会のみなさんに話を聞いたのに、
かえってわからなくなってしまって……
そっか……でも意外だな。
栞子ちゃんって、迷いなくなんでも決めていく印象だったんだけど
そうですか?
その子にどんな適性があるのか、客観的に分析できるでしょ?
それだけじゃなくて、どうしたらより力を発揮出来るか
適切なアドバイスもしてくれるし
だから、なんか意外だなと思って
……そうですね
人のことは見えるのに、自分のことはこんなにもわかりません……
急ぐ必要はないよ。
時間をかけていいから、納得のいく答えを出そうね
はい、私のなりたいスクールアイドルについて、
もっと深く模索してみようと思います
栞子ちゃんなら、きっと大丈夫。
なんて、無責任でごめんね
いいえ、そんなことはありません。
気持ちが軽くなりました。ありがとうございます
栞子ちゃんも悩むこともあったのかな……
助けてもらってばかりじゃなくて、私も支えられるようになりたいな
あれ、ミアちゃんと話してるのは私? ……夢?
え? ベイビーちゃん?
どうしたのさ、今は授業中だよ?
私は自習になったから図書室に行くところ。ミアちゃんも自習?
えー、まあ、自主的にね……
? 自主的な自習って……それはサボリ?
ああもう! なんで見つかるかな~
サボリはダメだよ?
体育はべつにいいでしょ。マラソンとか意味わかんないし
マラソンなんだ……。
まあ、マラソンは辛いから気持ちはわかるよ。でもダメ
あのさあ!
そもそもボク、ステイツでハイスクールを卒業してるんだ。
だからここで勉強することなんかないんだよ
それがマラソンなら尚更だよ
ん~~~……卒業してるって言われると、
ミアちゃんのいう通りなのかなあ……
そうそう。ボクのいう通り。
それにさ、ボクだって単に体を動かすようなことじゃなくて、
もっと頭を使う戦略的な授業なら受けるさ
体育の授業で戦略的? そんなのあるかな?
これだからベイビーちゃんは……。
知力戦略技術力、あらゆるものが必要なスポーツだってあるだろ?
そう、ベースボールだ……
ベースボール……
ミアちゃんってランニングが苦手なのかな……?
ミアちゃんと何の話してるんだろう……
姉さんから連絡がきたんだ。
ユニットとして一緒に歌わないか、って
ええ!? す、すごい……!
だからっていきなりそんな連絡、困るよ……
ミアちゃんもお姉さんと歌いたい?
それは……
歌いたいとか歌いたくないとかって話じゃないよ
そりゃ、小さな頃は一緒に歌える日がくるって思ってたよ。
なにも疑ってなかった
でもボクはテイラー家の名に泥を塗ったんだ
またあんな思い……
……ねえ、私思ったんだけど、悩む、ってことは、
やりたい気持ちがあるから悩んでるんだよね?
はあ?
だって絶対無理! って思ってたら無理だよ、って言うでしょ、
ミアちゃんの性格なら
う、うん……
てことはやっぱりやりたい気持ちのほうが大きいんだ!
それならどうしたらできるか考えればいいよ!
うん、悩むより建設的!
どうしてそう……
はあ……。ベイビーちゃんってほんっっとさ!
ボク、今もすごく怖いんだよ。
出ていけなかったステージのこと、忘れられない
うん
……前は、こんなこと人に話したことなかった。
でもここって、ベイビーちゃんみたいな変な子がいて調子が狂う!
怖いものは怖いけど、怖いまま踏み出せそうな気になっちゃう
だからさ、踏み出すよ
前の私って、ちょっと強引だったのかな……
でも、ミアちゃんの背中は押せてそう?
ん? ここどこだろう?
うわあ、広いな~
へえ、いい球場じゃん
試合が始まる前に、なにか食べるもの買ってこようか
ホットドッグとコーラ!
……が、定番なんだけど、ココ、すごいね。
いろんなお店があった
じゃあ、一通り見てから買う?
うーん……。
いや、やっぱりベースボールにはホットドッグとコーラだね!
でも、アイスとクレープなら追加で食べてもいいよ……
あははっ、じゃあそうしようか!
Run! Run! いけ~!
ランナー帰ってきた! 1点入った!
ベイビーちゃんも楽しんでるみたいだね
ルールを教えた甲斐があるよ。ま、ゲームを使って教えたんだけど
あはは……。なんか、ゲームの方が頭に入るんだよね
覚えてるならいいさ
でも、実際に見るとなかなか難しいね
目が慣れてないだけさ。
まあ最悪、打ったら走る、だけ覚えてればいいよ
だけど、ルールとか競技の難しさを知れば知るほど
面白くなるものでしょ?
……へえ、わかってるんだね
前はゲームで教えてもらったんだ!
たぶん、家にもあるよね、探してみよう
……あれ、私何してたんだっけ
はあっ、はあっ……
ミアちゃん、大丈夫? ちょっと飛ばし過ぎじゃない?
No problem. 問題ないよ
それより、ちょっとステップを見てほしいんだ。このーー
いたっ!
ミアちゃん!? 大丈夫!?
いたた……。もー! なんなんだよ!
ちょっと休憩しよう
何か悩み事があれば聞くよ?
……実を言うと、少し怖い
にこと花陽に本物を見せてやる、って言ったけどさ、
ベイビーちゃん覚えてる?
ボクはその「本物」の場で歌えなかったんだよ
絶対いいイベントにしたい、って思ってるのに、
どうしてもそのことを思い出しちゃうんだ……
ねえ、ベイビーちゃん。ボク、どうしたらいいの?
これって昔の記憶……だよね、
私はミアちゃんを助けてあげられたのかな
あ、また夢を見ている気がする……
ねえ、ちょっと今いい?
大丈夫だよ。どうかした? あ、練習メニューのことかな?
この間言ってたリストは……
ボク、歌おうかと思って
え!?
歌うって、え!? えっと……
驚きすぎだろ
歌うよ。歌いたいから。
完璧じゃなくても、ベイビーちゃん相手ならいいかな、って
ミアちゃん!!!
うわっ!? ちょっと! 苦しい!!
私、すごい嬉しい!!
ずっとずっとミアちゃんの歌が聞きたいと思ってたから!!
ふふっ。じゃあ離してよ。これじゃ歌えないだろ。
ボクの歌、聞けないよ?
……はあ。もう、ほんと……すごかった……。
ミアちゃんの歌、大好きだよ!
悪くない感想だね。ボクも、楽しかったよ……
また聞いてよね!
ミアちゃんが初めて歌ってくれた時の記憶……?
もっと聞きたいなぁ、ミアちゃんの歌
あれ、ランジュちゃんと話してるのは私? ……夢?
(ランジュちゃん……ピィピィがいなくなってから元気ないなぁ。
元気づけてあげたいな)
ランジュちゃん、今日は気分転換でもしようよ。
仕方ないわね。
ランジュは大部長だから、アナタの面倒もみなきゃいけないもの
うん! それで、どうする? カラオケに行く?
ボウリングとかゲームセンターもいいよね……あ、映画は?
…………
ランジュちゃん?
しっ! 声が聞こえるわ……
声……?
ランジュちゃん、あそこ!
アイヤー! ピィピィ!?
きゃあっ! アナタ、そんなにお友達ができたのね!?
さすがランジュが育てた子よ!!
……ピィピィ、ランジュちゃんに挨拶にきたんだね。
お友達と一緒に、強く生きてるよ、って
そうかもしれないわね……
みんなも呼ぼうか?
ちょっと困るわ、今は!
え……?
だって、こんな顔みんなに見せたくないもの
ピィピィにだって笑われちゃうわ
うう、アナタも、ランジュがこんなふうになったことは内緒よ!
約束だから!
ランジュちゃん、ピィピィのこと大切にお世話したんだね
……ここはニジガク寮? ランジュちゃん何してるんだろう
ねえ、これからはエマの部屋もランジュが掃除してあげてもいいわ
なんでも完璧にこなして、エマや果林やミア……
ニジガク寮のファミリーをランジュが引っ張ってあげるんだから!
とにかく、ランジュにまかせなさい!!
すう……すう……
ふふっ、よく寝てるね
あれだけ張り切ってればねえ……
ふふっ、こうやってみるとかわいい寝顔をしてるのね、ランジュ
寝ていると平和なのですが……。おふたりには申し訳ないです。
いつもランジュの世話を任せてしまって
ふふ、同好会のみんながいると安心するんだろうな……
ん? ここどこだろう?
みんなでお揃いのものを買う、なんてのも面白いかもしれないね
お揃い、か……。だったら……あれ、がいい
食器なら実用的だし……その……と、友達なら、
同じの持ってても変じゃないでしょ……
ミアちゃん……!
同じ釜の飯を食う、とか言うもんね!
よっしゃ、マグカップにしよ!
かすみん、それどこに置いてあったの?
こっちです。色違いのやつもありましたけど……
13種類はさすがにありませんでしたよ。
あ、先輩はかすみんと同じやつにしましょーね♪
じゃあ、ボクは璃奈と同じものにする
うん。お揃い、嬉しい
璃奈さん、ずるい! 私もミアさんと一緒がいいな
わたしも~
みんな同じのにしちゃう?
名前書いておけば見分けもつくっしょ
みんな、紅茶入れたよ。これで少しは目が覚めるかも
あっ、これ、ボクがあげたやつ!
ふふ、紅茶を飲むまでもなく目が覚めたみたいね
ミアちゃんが買ってくれたみんなお揃いのマグカップ、
早速使わせてもらったよ
お揃いのマグで飲む紅茶は最高よ。
今日ランジュちゃんが使ってたお揃いのマグカップだ!
またみんなでお揃いができるといいなぁ
……あれ、私なにしてたんだっけ
ふふん、アナタになら特別に見せてあげてもいいわね……
みんなとやりたいことノート、最新版よ!!
前書いてたことはもう叶っちゃったけど、
みんなとやりたいことならどんどんアイディアが出てくるのよね
だって、やっぱりニジガクのみんなは最高なんだもの!
同好会にきて、みんなと一緒に活動するようになって、
今までとは違ったところが見えてきたの
そんなの、ますます好きになっちゃうわ!
そんなみんなとやってみたいことよ。見て!
どれどれ……わ、すごい!
ランジュちゃん、楽しそうだね
楽しいわ!
お友達としたいことを考えるのはランジュにとって最高の幸せよ!
(ランジュちゃん、すごくいい顔してる。叶えてあげたいなあ、
このノートに書いてあること……)
私とやりたいことも書いてあると嬉しいな……と思っちゃった
……ランジュちゃんと何話してるんだろう
あら、どうしたの?
私は忘れ物しちゃって。ランジュちゃんは?
ランジュは読書よ。ここは集中できる最高の場所だから
わかる。部室って集中できるよね。ちなみに、何を読んでるの?
ふふん、これよ!
……動物の本?
ええ。いつどんな動物のピンチに遭遇するかわからないから
もう10冊は読んだわ。
だから、ランジュは慌てないで対処できるわよ!
すごいなあ、ランジュちゃんは
すごい? どうして? 普通のことよ
ランジュ、今度栞子にお願いして動物のボランティアに行くの
そのときは私も一緒に行っていいかな?
仕方ないわねえ。ランジュが栞子に頼んであげる
うん、ありがとう!
それにしても、読めば読むほど、動物に興味が出てくるわ。
また図書室で借りてこなくっちゃ!
ランジュちゃんは、どんなことでも100%全力で尊敬しちゃうなぁ
あの……
あれ、歩夢ちゃん?
よかった! ちゃんといた!
あはは、いるよ。だって自分の教室だもん。
歩夢ちゃんこそどうしたの?
なにか困ってることないかなって思って……
心配で来ちゃった
ありがとう! 多少戸惑うことはあるけど大丈夫だよ
よかった!
でも、なにかあったらすぐに相談してね!
なに見てるの?
あそこに広場あるの見える?
前にさ、あそこでライブしたんだよねー!
そうなんだ。ごめん、思い出せなくて……
あはは、なにも悪い事してないんだから謝らないでよー
……記憶、戻るかな?
きっとそのうち思い出すって!
もし思い出せなくってもさ、
また愛さんとたっくさん思い出作ろうよ!
愛ちゃんって優しいんだね
別にふつーっしょ! それに、君だってすごく優しいんだよ。
愛さんが保証する!!
今日は学食ですか?
うん、良かったらご一緒してもいい?
はい、もちろんです!
そういえば今ってアニメのコラボメニューがあるんだよね?
あなたもそれが目当てで学食に!?
実はそうなんだ
いや、さっき入り口で偶然聞いただけなんだけど……
実はそうなんだ
わあっ、仲間ですね!
メニューの再現度すごいよね!
いや、さっき入り口で偶然聞いただけなんだけど……
「あなたも」ってことは、せつ菜ちゃんはコラボメニューを
食べに来たの?
はい! この作品は、私的今期覇権アニメなんです!
作中に出てくる様々な料理を完全再現だなんて聞かされたら、
食べないなんて選択肢は存在しません!
もう楽しみすぎて、昨日の晩から何を頼むか悩んだほどです
それじゃ、もう注文するメニューは決まってるんだ?
いえ、それがまだ……。2品までは絞れたんですが、
どちらも捨てがたくいまだに悩み続けています……
それなら片方私が頼むからシェアしない?
あなたは神ですか!!!
(あ、しずくちゃんだ。お芝居の稽古中かな?)
(ちょっと見学させてもらおうっと)
ああ、ロミオ、なぜあなたは、ロミオなの?
お父様と縁を切り、家名をお捨てになって!
もしもそれが叶わぬなら、せめて私を愛すると誓って欲しい
そうすれば私は、キャピュレットの名をこの場で捨ててみせましょう!
(すごい、なんて緊張感……これが練習?)
ふぅ……あれ、先輩?
ごめん、勝手に見学させてもらっちゃった
私のお芝居どうでしたか?
すごかった!
言葉が出ないよ……
すごかった! 圧倒されて息をするのも忘れちゃったよ!
ふふ、懐かしいです……。前も同じように褒めてくれたんですよ
言葉が出ないよ……。
真に迫ってた、っていうか、観てるほうも緊張しちゃって……
ほ、褒めすぎです、先輩!
でも、いつも私に自信をつけてくれてありがとうございます
そうだったんだ……。ごめん、覚えて―
あ、先輩! 覚えてなくてごめんって言うのは無しですよ。
先輩になら何度褒められたって嬉しいんですから!
すみません。絆創膏もらえますか?
あれ、先生がいない?
どうしよう、勝手にもらっていっちゃダメだよね?
絆創膏なら勝手に使っていいって言われてるよ~
……彼方さん?
は~い、彼方ちゃんだよ
どうして保健室に……どこか具合が悪いの?
ん~? ピンピンしてるよ?
本当に……?
本当、本当。あ~、そっか……それも覚えてないのかぁ
彼方ちゃん元気!
ちょっとお昼寝してただけだから心配しなくて大丈夫だよ~!
それより絆創膏もらいにくるってことは怪我しちゃったんでしょ?
彼方ちゃんに見せてごらん~。貼ってあげるから
あ、うん。ありがとう
いえいえ、どういたしまして~
先輩、こんなところで会うなんて奇遇ですね
うん、そうだね。なにしてるの?
購買に消しゴムを買いに行くところです。
一緒に行って選んでくださーい!
せんぱ~い!
かすみちゃんこんにちは
また会いましたね。でも残念です……、
せっかく会えたのに今急いでるので失礼します
うん、またね~
せ~んぱい! またまた会いましたね!
今日はよく会うね
もうこれって運命ですよ。
やっぱり、かすみんと先輩は赤い糸で結ばれているんですね
先輩好き好き大好き~!
はんぺん、いいこいいこ
にゃ~
なでなで、気持ちいい?
ぷるにゃー
真っ白でかわいいね
はんぺんっていうの。よかったらあなたも撫でてあげて
え、大丈夫かな? 猫って警戒心強いんだよね
大丈夫
それじゃ……。はんぺん、こんにちは。
ちょっと撫でさせてね……よしよし
みゃん
本当だ。知らない人でも怖がらないんだね
はんぺんはあなたのこと知ってる。とっても仲良しだったよ。
これからもよろしく、って、はんぺんも言ってる
こちらこそよろしくね、はんぺん
ぷるにゃ!
(あ、果林さんがダンスの練習してる)
本当に私がお手本でいいの、璃奈ちゃん?
うん。お願いします
どんなダンスがいいかしら? ストリート、ヒップホップ、ジャズ、
ラテン……いろいろあるけど
璃奈ちゃんボード「はてな」
この前踊ってたやつ、もう一回みたい
あら、気に入ってくれたのね♪ じゃあ……
(わあっ、すごい! 流れるみたいに動いてる……
指の先から爪先まで計算されたみたいな角度……
きれいだなあ……目が離せない)
どうかしら?
え?
あ……ごめん。つい私も拍手しちゃった
すごいすごい!!
あ……ごめん。つい私も拍手しちゃった……見惚れちゃって……
嬉しいこと言ってくれるわね。
ふたりにアンコールの拍手をもらっちゃったし、
もう一回踊ろうかしら♪
すごいすごい!
そこにいたなら声をかけてくれればいいのに
ご、ごめん、見惚れちゃってたんだ
そう? そういうことなら今日は許してあげる♪
ふぁぁぁ~……
昨日はあまり眠れなかったの?
あははっ、大きなあくびだね
昨日はあまり眠れなかったの?
ちょっと作曲に集中しすぎちゃってね。
おかげで授業中ずっと眠気との戦いさ
あははっ、大きなあくびだね
み、見ないでよ! ちょっと寝不足なだけ
夜更かししちゃったの?
まあね、曲を作ってた
いい曲書けた?
ベイビーちゃん、ボクを誰だと思ってるの?
当然だろ。特別に聞かせてあげようか?
いいの!?
別に減るものじゃないし構わないよ。
感想があれば聞いてあげてもいい
まあ、Amazing以外の言葉が出てくるとは思わないけどね
(記憶喪失だなんて……何が原因なんでしょうか……)
(私にできることがあればいいのですが……)
会長!
会長、ここにいたんですね! 何かあったのかと心配しました
え……? あ! もうこんな時間でしたか、すみません!
会議が始まってしまいますね!
いつも時間厳守な会長がぼんやりしているなんて……
やはりあの方のことが心配なんですね
はい……。なにか私でお役に立てることがあればいいのですが
サビの振り付けなんだけど、少し変えてみない?
オッケー! どんな風にする?
こういう感じでどうかしら?
さすが果林、キレッキレじゃん!
うふふ、ありがとう
うんうん、いいねいいね
じゃあ、最後のところは……
こうしたらどうかな?
悪くないわね……。その方向で詰めましょうか?
やった!
それじゃさ、ついでってわけじゃないけど
他にも変えてみたいところあるんだよね。いいかな?
うふふ、奇遇ね。私もよ
じゃあ、ひとつひとつ検証していきましょうか、今日は遅くなるわよ?
(ふたりともすごい集中力だなあ)
ん~、ボーノ! 口の中が幸せでいっぱいだよ~
おいしそうに食べるね。見てるこっちも幸せになっちゃいそう
だっておいしいんだもん。あ~、幸せ、ほっぺたがとろけちゃうよ
エマさんを見てたら、私も食欲出てきちゃった
そういうときは、いっぱい食べよう
いっぱい食べて元気になれば、きっと色々思い出すよ
そうだね!
よ~し、食べるぞ!
あら、丁度良いところに来たわね。
アナタの意見を聞かせてちょうだい
え? 私の意見?
ここでライブをするとしたら、
どんなふうにしたら素敵だと思う?
ええ!? どんなふうだろう……、
みんなのことあまり知らないから……
アイヤー! そうだったわね
でも無問題ラ! ランジュがきっと思い出させてあげるから!
うん……
もしダメでも、もう一度知ってくれればいいのよ!
それはそれでいいかもしれないわ。
だって前よりもすごいランジュをアナタに刻めるんだから!
失礼します。プリントを持ってきました
しー……
んにゃぁ……
あ、はんぺん寝てたんですね
お疲れ様、プリント預かるわ
はい、失礼しました
んにゃぅ……ゴロゴロ……
あれ、せつ菜ちゃん。髪型、朝と違うんだね
驚きました。私がせつ菜だとわかるんですか?
え、わかるよ。なにかおかしなこと言ったかな?
学園では中川菜々、スクールアイドルとしては優木せつ菜を
使い分けているのですが……
あなたはそれも忘れてしまったと思っていました
そのことは、あえてお手紙にも書いていませんでしたし
……どうして私、わかったんだろう? 変だね?
ふふ、あなたなら来世でも生まれ変わった私を
見つけ出してくれそうです
ん~、お天気もよくて気持ちいいですね
そうだね
これくらい広いとオフィーリアと遊びたくなっちゃいます
オフィーリア?
あ、オフィーリアというのは、
うちで飼っているゴールデンレトリバーの名前なんです
そうなんだ。写真あったら見てみたいな
ぜひ見てください! すぐに出ますから……
ほら! この子がオフィーリアです
わあ、大きい! かわいい!
えへへ、人懐っこくて遊ぶのが大好きで甘えん坊な妹なんです!
動画も見てください!
ちょっと身体を動かしたいから付き合ってくれない?
いいよ。なにする?
そうね。バスケットボールもあることだし、1on1なんてどう?
いいね。負けた方はジュース奢り!
いいわよ、どうせ勝つのはランジュだもの
そう簡単には勝たせないよ~
期待しているわ。ランジュを楽しませてちょうだい!
えへへへ
何かいいことあったの? かすみちゃん
何かおいしいものでも食べたの? かすみちゃん
何かいいことあったの? かすみちゃん
えへへ、わかっちゃいますかあ~?
何かおいしいものでも食べたの? かすみちゃん
ち、違いますよう!
これ見てください!
これって……ファンレター?
そうです。これぜーんぶ、
かすみんのファンクラブのみんながくれたお手紙です
みんながかすみちゃんのこと大好きって気持ちが伝わってくるなあ
先輩だってかすみんのことだーいすきでしたよ!
なんてったって、ファンクラブ会員の1番は先輩なんですから!
早く思い出して、またかすみんを応援してくださいね!
さっ、ランチの時間よ♪
果林さん!? どうしてここに……
お姉さんが迎えに来てあげたわよ。
ほら、今日は何が食べたい気分?
う、うーん……なんだろう……?
果林さんは何を食べるの?
う、うーん……なんだろう……?
ローストビーフサラダなんてどう?
ヘルシーな赤みのお肉にお野菜で栄養満点よ!
炭水化物食べないとおなかすいちゃう……
果林さんは何を食べるの?
私? 私はサラダとコーヒーよ
ええっ!? 炭水化物も食べようよ!! おいしいよ……?
食の好みは変わってないのね……。安心したわ!
えっ、なんでベイビーちゃんがここにいるの!?
ちょっと外の風に当たりたくて。ミアちゃんこそどうしたの?
Ditching......
え? でぃ……?
気分転換だよ、気分転換! 作曲室に篭りっきりもよくないからね
ミアちゃんって有名な作曲家なんだよね?
そんな子でも行き詰まったりすることがあるんだ
What!? 行き詰まる!? 気分転換、って言ったろ!
あっ、そ、そっか、ごめん!
あやしいなあ
あっ、そ、そっか、ごめん!
ほんとにごめんね、失礼なこと言っちゃった
別にいいけど……そんな謝んなくても……
キミなら、こういうとき……
え?
なんでもない!
あやしいなあ……さっきミアちゃんが言ってた単語って、たしか……
べ、別にいいだろ!
それよりさ、ボクも外眺めたいからちょっと横にズレてよ
あ、私お邪魔だよね、もう行くよ
行かなくてもいいよ。キミも風にあたりたいんだろ?
ほら、隣にきなよ
うん、ありがとう
どういたしまして
ん~、どれもおいしそうで迷っちゃうな
歩夢ちゃんはもう決まったの?
うん、私はAランチにしようかな
Aランチか……確かにおいしそう。
だけど、こっちも捨てがたいんだよね
うふふ、なんだか懐かしい、
初めて学食に来たときのことを思い出しちゃう
あの時もなかなか決められなかったよね
そんなに悩んでたかな?
ちなみにその時はなにを頼んだか覚えてる?
もちろん覚えてるよ。
あなたってばおいしいおいしいって幸せそうに食べてたもん
え~とね、これだよ
じゃあ今日は、これに決めた! お待たせ、歩夢ちゃん
ふふふっ、大丈夫だよ。どれだけでも付き合うからね
ありがとう。持つべきものは幼馴染みだね
そうだよ。幼馴染みは大切にしないと
肝に銘じます
しずくちゃん
………………
しずくちゃん?
きゃあっ!
ご、ごめん! 驚かせちゃって
先輩でしたか……。いえ、私こそ気づかなくてすみませんでした
それ、お芝居の台本?
はい
すごい集中力だったね。いつもそんな感じなの?
いつも……こんな感じかもしれません。
つい没頭してしまうんです
お芝居の世界観に浸っていると時間を忘れちゃいます
しずくちゃん、本当にお芝居が好きなんだね
打ち込めるものがあるっていいことだね
しずくちゃん、本当にお芝居が好きなんだね。
次の公演、私も観に行っていい?
もちろんです! 先輩にも私の大好きな世界を知ってほしいです!
打ち込めるものがあるっていいことだね
はい! スクールアイドルと演劇……
ふたつのことに打ち込めるなんて、私は幸せ者です!
侬好!
あら、アナタこんなところでなにしているの?
ランジュちゃんこそ、どこか具合が悪いの?
心身共に絶好調よ
そうだ、彼方知らない?
ずっと探しているんだけどどこにもいないの
ここにはいないよ
そう、ここもハズレだったみたいね。
一体どこにいるのかしら?
あ、そうそう。アナタ、お肉を食べなさい、
お肉は医者いらずの完全食なのよ
お肉さえ食べておけば万事OKラ!
日々健やかに過ごせて保健室に来る必要もなくなるわ! じゃあね!
彼方さん、こんにちは
お~、いいところで会ったね。今、忙しい?
ううん、ヒマだよ?
それじゃ、彼方ちゃんおすすめの場所にご招待するよ。ついてきて~
到着~
図書室? ここが彼方さんのおすすめの場所なの?
とっても静かでお昼寝に最適なんだ~。
さあ、あなたも一緒にお昼寝しよ
エマさんのお弁当、おいしそう
良かったら少し食べる?
いいの? 璃奈ちゃんボード「もじもじ」
もちろん。はい、あーん
あーん……んぅ~、おいしい
それじゃ、次はこれ食べて食べて、あーん
あーん……んぅ~、これもおいしい
じゃあ、次はこれ!
嬉しいけど、エマさんの分が無くなっちゃう
試合終了―! 46対52で青チームの勝利!
やったーー!!
やっぱ愛ちゃんうまいなあ。バスケ部の助っ人に呼ばれるのもわかるよ
えへへ、バスケはちょっと自信あるんだ~
見るのもプレイするのも楽しいし!
もともとの運動神経がいいんだね~
そんなことないよ。みんなの教え方が上手くて、上達できたんだ~!
ねえねえ、教えるからバドミントン部の助っ人にも来てよ!
おっけ~、任せて~!
とっても面白かったですね!
ですね! 次週が待ちきれません!
来週何かあるの?
魔法少女ぽえりんについて話してたんですよ
魔法少女ぽえりん?
日曜朝に放送しているアニメです
そうなんだ。私も見てみようかな
是非見てください!
ぽえりんが本当にかわいくて、衣装とか髪型も参考になるんです~!
特に今週はすごかったんですよ!
親友だったまおりんとの決別!
ぽえりんの決意に涙しつつ、怒濤の展開と燃えるシチュエーションに
ワクワクがとまりませんでした!
まおりんもかわいいんですよね~、せつ菜先輩!
はい! 理解されない孤高の魂の叫びが表れています!
ええと……ふたりとも同じ作品のことを話してるんだよね?
もちろん!
もちろん!
部活の時間だよ~! 準備できてるかな?
あ、エマさん!
えへへ、迎えに来ちゃった。今日、部活来るよね?
う、うん、えっと……行ってもいいのかな?
もちろん! みんなあなたのことを待ってるよ!
だからほら、行こ~!
うん!
ねえ、授業は大丈夫だった?
あ、うん。大丈夫だったよ。
なんかみんなにいろいろ心配かけちゃってるよね
全然だよ~!
わたしたち、今まであなたに頼ってばかりだったもんだから、
次はわたしたちがあなたを支える番!
わたしにできることがあれば、何でも言ってね
はい、レシーブは腰を低くして重心は前に、ですね!
えい!
やった! できました。見ていてくれましたかコーチ!?
(今度やるお芝居の稽古かな?
まるで本当にボールを打ち返してるみたい)
………………
ふう……こんなもんかな?
お疲れ様、しずくちゃん
せ、先輩、見ていたんですか!?
うん、次のお芝居ってバレーボールのお話なんだね?
え? いいえ、違いますけど?
え? それじゃ今やってたのは?
体育のイメージトレーニングです。
これでどんなボールも打ち返せる気がします!
イメージトレーニングかあ。
私もレシーブしてるしずくちゃんが見えた気がしたもん、
体育では大活躍だね!
えへへ……ありがとうございます
んぅ~、口の中で肉汁が溢れてるこの感じ、
何度味わってもたまらないわね
すごく大きなステーキだね。それ全部食べられるの?
無問題ラ! この程度ランジュにとっては前菜レベルよ
前菜レベルかあ
ほら、アナタもお肉を食べなさい、
お肉はなんにでも利く万能薬なのよ
お肉を食べれば、きっと記憶だってすぐに戻るわ!
お肉にそんな効果が……!
そんなにボリュームがあるお肉、食べられるかなあ……
お肉にそんな効果が……!
あるのよ、きっと! まだ今は解明されていないだけなの。
さ、ランジュのステーキを分けてあげるからかぶりつきなさい!
う、うん……!
そんなにボリュームがあるお肉、食べられるかなあ……
何を言ってるの? こんなの一瞬でなくなるわよ?
ランジュが食べさせてあげる。口をあけて! はい、あーん!
だーれだ?
え?
えへへ、歩夢でした!
歩夢ちゃんかあ!
偶然あなたが講堂に入っていくのを見かけたから、声をかけちゃった
……なんだか、息が切れてない?
き、気のせいだよ! 別に走ったりとかしてないもん!
失礼します
しつれーしまーす! おーい、いるー?
あれ、璃奈ちゃん、愛ちゃん。どうしたの?
どうしたの、は、私たちのセリフ
君が保健室に行ったって聞いてびっくりしたんだから
心配した。 璃奈ちゃんボード「あわわ」
だからわざわざ来てくれたの?
あはは、大袈裟だなあ
だからわざわざ来てくれたの?
うん
怪我? 病気? 大丈夫?
あはは、怪我とも言えないくらいだよ。紙で指をちょっと切っただけ。消毒して絆創膏貼ってもらって終わり
よかった……ううん、痛い思いしたんだからよくないよね
とはいえ、おおごとじゃなくてよかったよ
あはは、大袈裟だなあ
大袈裟じゃないよ。記憶を無くした原因もわからないんだから、
何があるかわからない。心配だよ……
うん、りなりーの言う通り。ほんとになんともないの?
大丈夫。ちょっと紙で指を切っちゃっただけだから
心配してくれてありがとう、璃奈ちゃん、愛ちゃん
(あ、果林さんだ)
あ、朝香さんだ! 今日もきれいだね~
大人っぽくて落ち着いてて素敵だよね
(やっぱり果林さんって人気者なんだな)
あ、あの……私……大ファンです。
記事も全部見てて……応援してます!
ありがとう、励みになるわ
あ、制服のリボンが曲がってるわよ。
直してあげる、ジッとしてて
は、はい!
これでよし。うん、かわいいわよ
あ、ありがとうございます!
(憧れの的、って感じなんだな……わかる!)
彼方さーん!
あ、きたきた。待ってたよ~
じゃじゃーん、彼方ちゃん特製お弁当だよ~。
食べて欲しくて作ってきちゃった!
え、いいの?
いいのいいの。召し上がれ~
じゃあ、いただきます! ……んん、おいしい!!
えへへ~
え、なんでこんなにおいしいの?
こんなにおいしいご飯食べたの生まれて初めてかも
大袈裟だよ~。それに、生まれて初めてっていうのは間違い♪
だって彼方ちゃんのご飯、何回も食べてもらってるんだから
そうなの?
そうだったんだ……
そうなの? こんなおいしいご飯のことまで忘れてるなんて、
本当にダメだなあ
ダメなんかじゃないよ~、だって幸せそうに食べてくれる顔は、
記憶がなくなる前と変わらないよ
そうだったんだ……
あらら、おいしいものを食べてるときにそんな顔しちゃダメだよ~。
おいしい顔……して!
……うん!
あなたのその顔、彼方ちゃん大好きなんだ~。
さあさあ、どんどん召し上がれ~
いきますよ。そ~れ
バレーボールのレシーブは腰を低くして重心は前……いける!
きゃむっ!
ああっ、しずくさん!? 大丈夫ですか!?
ふええ……
ああ、鼻が赤く……。顔面でレシーブしちゃいましたね……
イメージではちゃんと返せてたのに~!
はあ……。せっかく練習に付き合ってもらってるのに
少しも上達してる気がしない……
やっぱり私には球技の適性がないのかな……
以前の私は、適性のないことを続けても人は幸せになれないと
考えていました
ですが、今はそれは間違いだったと感じています。例え適性はなくても挑戦することで得られるものもおおいにあります!
つまり適性はないんだね……
今日って何曜日だっけ?
火曜日だよ
火曜かよう!
あはははは、火曜かようって!
お、わかってくれた?
もちろん!
嬉しいから今朝買ってきたチョコをちょこっとあげる
チョコをちょこっと……
あはははっ、最高! おもしろすぎるよ~!
愛ちゃんダジャレの才能がありすぎる!
えへへ!
じゃあ、これから愛さんのダジャレショーをご覧に入れまショー!
(せつ菜ちゃんの教室はここで合ってるかな……)
みなさん、進路相談のプリントの提出は今日までです。
放課後までに提出してください
ねえ、中川さん、今日提出しなきゃダメかな?
今日が締め切りではありますが、なにかお困りでしょうか?
もうちょっと考えたくて……
そういうことでしたら、お任せください!
先生に伝えておきますね
本当!? ありがとう~!!
いえいえ。将来のことを真摯に考える姿勢は素晴らしいと思います。
頑張ってください!
(せつ菜ちゃんってすごくしっかりしてるんだな)
(あ、エマさんと璃奈ちゃんだ。朝から頑張ってるんだな……)
それじゃ柔軟いくよ。背中押すね?
うん、いつでも大丈夫
よいしょ~
ん~~!
おー、すごいすごい!
まだいける
本当に? じゃあ、もう少し押すね
ん~~~!
ずいぶん柔らかくなったね~
毎日の積み重ねのおかげ
毎日頑張ってるもんね。えらいえらい!
えへへ。璃奈ちゃんボード「テレテレ」
すみません、メロンパンと牛乳をお願いします
はむはむ……
おいしい……
あれ、栞子ちゃん? ランチ……にはまだ早い……?
あ……これはお昼というか……朝ご飯です
朝ご飯が今なの!? 大丈夫!?
じ、実は……今朝は寝坊をしてしまいまして、
朝ご飯を食べそびれてしまったんです
……なんか、親近感湧くかも
なんか意外だな……
……なんか、親近感湧くかも
え?
栞子ちゃんって生徒会長だし、いつも冷静に周りを見て行動するし、
本当にしっかりしてる子だな、って思ってたから。
そういう子でも寝坊しちゃうんだと思ったらなんか安心しちゃった
なんか意外だな……
そうですか?
だけどちょっとホッとしたかも。栞子ちゃんも、
私みたいに寝坊しちゃったりするんだね
ええと……その、かたい性格だとは周りによく言われるんです。
そのことで萎縮させてしまっていたらすみません
でも、あなたに安心してもらえたのならよかったです。
今日の寝坊は「情けないこと」から「よかったこと」になりました!
この前のライブ良かったなあ……本当に良かった
ここに来るとあの時の感動が押し寄せてきますね
そうそう!
会長史上一番盛り上がったライブだったと個人的には思う!
それは間違いありません。
それくらい会長のパフォーマンスは素晴らしいものでした
会長、どんどん魅力的なスクールアイドルになっていくよね~!
会長が成長していく様を間近で見ることができるなんて幸せです!
だけど、この程度のはずがない、会長ならもっと上を目指せるはず!
ええ、そのためにもこれからも会長のバックアップを頑張りましょう!
もちろん。
三船栞子の名前を世界中に轟かせるためならなんでもするぞー!
そう言うと思って、実はいくつか相談があるんです。
すべては会長のために
会長のために!
あったあった~。彼方ちゃんのすやぴスポットはここかな
ふあぁぁ~、おやすみなさ~い
おやすみじゃないよ、近江さん
おわ~っと! ツ、ツムギちゃん……?
このあとベッドを必要とする人が来たときに、
ベッドが埋まっていたら困ると思わない?
……もう少しで取り返しのつかないことをするところだったよ
それはちょっと大袈裟だけど
誰にも迷惑をかけずに眠る方法は……ん~……
そうだ。
部室に彼方ちゃん専用のベッドを置けば解決するんじゃないかな?
それは同好会の人たちが迷惑すると思う
むむ、怪しいぞ! りなりー、ここ怪しくない!?
確かに怪しい。調査が必要
あれ、ふたりともなにしてるの?
おっ、よくぞ聞いてくれました!
愛さんたちニジガク七不思議を探してたんだ~!
ニジガク七不思議……!!
おもしろそうだね
もう見つかった?
おもしろそうだね
うん! 愛さんこういうの大好き!
君も一緒に調査しよー!
もう見つかった?
はてさてどうでしょー!?
今日はボクがキミに芸を仕込んであげるよ。
手始めに、お手
にゃ~?
にゃ~じゃなくて、お手だよお手
にゃ~?
仕方がない……それじゃ、伏せ!
にゃう?
伏せだよ伏せ
にゃむぅ~
むぅ~、犬のようにはいかないなあ
にゃん!
例え体育の授業だろうと手を抜くつもりは一切ないわよ
私だって!
ここにいる全員を倒してランジュが1番だと証明してみせるわ!
さあ、みんなかかってきなさい!!
えっと……
遠慮はいらないのよ。さあ!!
今の時間はバレーボールだから、全員を倒すっていう感じではないかな
そうだったわね!
それならランジュがチームを1番に導いてあげる!
大船に乗ったつもりで安心なさい、
ランジュがボールを全部拾って全部打ち返すわ!
えっと……バレーボールは同じ人が連続してボールに触れない、ってルールがあってね……
そうだったわね! とにかくランジュに任せなさい!
はあ、はあ……すみません、遅くなりました!
もう朝練始まってますよね?
おはよう、しずくちゃん、さっきランニングに行ったところだよ
急いで着替えなきゃ
まあまあ、息も切らしてるみたいだし一息吐いたら?
でも……
慌てて怪我でもしたら大変だよ?
そうですね……わかりました
なにかあったの? 大丈夫?
演劇部の早朝練習に出ていたんです。
ちょっと長引いてしまいました
ええっ!? 朝練の前に!?
はい、早朝なので同好会の朝練の前に出られるんです
(スクールアイドル同好会と演劇部を掛け持ちだなんてすごいな……)
よし、着替え終わり! ランニングに行ってきます!
しお子、今日ランチのとき学食にいなかったよね?
ええ、ちょっといろいろあって行きそびれてしまいました
えっ!? じゃあ、お昼食べてないの!?
スムージーは飲んだんですが……
じゃあコレあげる! おやつにしようと思ってたコッペパン!
いいんですか……?
いいに決まってるじゃーん! でもそのかわり……宿題手伝って♪
ふふっ、では責任を持って宿題も予習も、
しっかりお手伝いさせていただきますね
宿題だけでいいからーーー!
せつ菜ちゃん、こんにちは
わあ、こんな所で会うなんて奇遇ですね
なにしてたの?
少し考え事をしていたんです
もしかしてなにか悩んでるとか?
そういうわけでは……
スクールアイドルとしてもっと高みを目指したいな、って
そのために私に出来ることはなんだろうと思いを巡らせていたんです
せつ菜ちゃんってすごいスクールアイドルなんでしょ?
ええっ!? 私なんてまだまだですよ!
もっともっと有名になって、「大好き」を多くの人に届けたいんです
そのためにも頑張らなくては!
せつ菜ちゃんはちゃんと目標があってすごいな、応援してるね
ありがとうございます!
新発売のジャンクバーガーはどう?
It's good!! 想像していたより遥かにいいよ。
しばらくLunchは、これでいいかな
喜んでもらえて良かった。璃奈ちゃんボード「にっこりん」
名前の通り、このジャンク感がたまらないね。
やっぱりバーガーはこうじゃなきゃ
ただちょっとピクルスが……
?
抜いちゃおうっと
野菜も食べなきゃダメだよ。
食べ物は粗末にしないでちゃんと食べなくちゃ
いや……
いやじゃない。ミアちゃんのために言ってるんだよ
それともミアちゃんのこと心配したら迷惑?
そんなこと……
わかった。食べるよ!
しずくちゃーん!
あ、先輩。どうしたんですか?
あのね。今からダンスの合同練習するんだって、
それで迎えに来たんだ
わざわざ先輩が!?
メッセージを送ってくれればよかったのに……?
あっ、そっちのほうが早かったよね!
ごめん、私しずくちゃんのこと呼びに行かなきゃ、ってことしか
頭になくて……
頭になくて……?
~~~~!
? しずくちゃん?
なんか顔が赤―
な、なんでもないです!
じゃあ行こうか?
はい! 先輩とならどこまででも!
先生、消毒液と絆創膏貸してくれる?
あら、膝をすりむいてるわね。どうしたの?
ソフトボールしてたら怪我しちゃった
これくらい水で洗えば問題ないって言ったのに、
みんな保健室に行けって大袈裟なんだから
それはみんなが正しいわね。ばい菌が入ったら大変でしょ。
座って、処置するわ
お願いしまーす。うっ……染みる
ほら動かない、ジッとしてて……はい、おしまい
ありがとう! それじゃ試合に戻るね。
先生のためにホームラン打ってくるよ
元気ね~、若さが眩しいわ
(あそこにいるのは、璃奈ちゃんとお友達かな?)
じゃあ、お願い
璃奈ちゃん
あ、こんにちは
こんにちは。今のお友達?
うん、浅希ちゃんっていうの。
オートエモーションコンバート璃奈ちゃんボードを
一緒に作ってくれてるんだ
そうなんだ。じゃあ、さっき話してたのも璃奈ちゃんボードのこと?
うん、バージョンアップの相談。
璃奈ちゃんボードの軽量化と省電力化が目標
すごいなあ。どんどん進化していくんだね
ふたりとも花壇で何してるの?
園芸部のお手伝いだよ
人手不足だって言うから、エマさんとふたりでお手入れしてるの
そうなんだ。わあ、きれいなガーベラだね
あなたと私の思い出の花のこと、そう言ってもらえて嬉しいな
思い出の花?
そんなのあったっけ?
思い出の花?
そう、あなたは覚えてないかもしれないけど、
素敵な思い出があるんだ……
そんなのあったっけ? ……って、ごめん!
私が忘れてるだけなんだよね
気にしないで。私がちゃーんと教えてあげる♪
その思い出の話、わたしも聞きたいな
えへへ、ちょっと恥ずかしいな……。あれは―
999
1000――
ふぅ~……本日のシュート練習おしまいと
おや、もしかして見ていたのかな?
すごい成功率ですね!
ボールが次々ゴールに吸い込まれていって……
もしかして毎日1000本のシュート練習してるんですか?
バスケを始めてから1日も欠かしたことはないよ
シュートというのは、ある日突然入るようになるものではないからね
とにかく1本でも多く打ち続けて精度を上げていくしかないのさ
日々の積み重ねが大事ってことですね。尊敬しちゃうな
好きでしていることさ、尊敬されるような事じゃないよ。
それに、スクールアイドルだって同じだろ?
好きだからうまくなりたい、頑張る、みんなそうさ
あ、いいところに来たね~。ちょうどお茶の準備をしてたんだ
かわいいお菓子だね
わあ、大きなクッキー!
かわいいお菓子だね
メレンゲクッキーだよ。召し上がれ~
いただきます。はむっ……
わあ! 口のなかでしゅわしゅわ溶けていっちゃった。
これおいしいね、エマさん!
気に入ってもらえてよかったよ~! また作ってくるね
わあ、大きなクッキー!
食べてみる? はい、あーん……
あむっ……ん~、おいしい!
ザクザクな生地と大きめのチョコチップが最高!
気に入ってくれた? また作ってあげる!
えっ、これ手作りだったの!? すごい……!
簡単なんだよ。今度あなたにも教えてあげるね
朝香さん、おはよう!
おはよう
朝香さんが載ってる雑誌見たよ~! すごく素敵だった!
見てくれてありがとう、褒めてもらえて嬉しいわ
スクールアイドルしてるときの朝香さんもいいけど、
モデルしてる朝香さんもいいよね~!
ふふっ、どっちの私も応援してくれる?
もちろん!
(果林さんってやっぱり有名人なんだ。すごいな……)
ら~ら~ら~~!
ら~ら~ら~~!
とっても素敵な歌声だね。聞き入っちゃった!
ランジュがすごいなんて当たり前よ。
アナタはランジュの歌声が大好きだったんだから!
大好きだったのもわかるなあ。今は覚えてなくて……ごめんね
無問題ラ! 別に謝る必要はないの。
だけどひとつだけ言わせてちょうだい
ステージに立ったときのランジュは、もっとすごいわよ
ランジュちゃんのライブ……見たい!
ランジュちゃんのライブ……気になる!
ランジュちゃんのライブ……見たい!
もちろん最前列で見せてあげる
ランジュちゃんのライブ……気になる!
気になるなら、観にいらっしゃい!
今度こそ2度と忘れられないように
ランジュの歌声を心に刻みつけてあげるわ
うわ~、楽しみだな!
期待して待っていなさい
ふぅ、少し休憩しましょ
最近コーヒーばっかりで、
食べてるところ見てない気がするんだけど……
少しは食べてるわよ
ダメだよ。それじゃお腹空いちゃうよ。しっかり食べなきゃ!
撮影が近いのよ。だから少し身体を絞りたいの
お仕事が大切なのはわかるけど、
果林ちゃんが倒れたら元も子もないよ
別に今回が初めてってわけでもないし大丈夫よ
ダ~メ、せめてクロワッサンひとつだけでも食べて
わかったわよ。エマに嫌われちゃ困るものね
良い子良い子~♪
もぉ……
次の公演の準備は順調ですか?
生徒会でサポートできることがあれば教えてください
ありがとう。じゃあポスターの掲示を10日ほど早めてもらうことは
できるかな? 次の舞台はうちの代表作になりそうだから、
たくさんの人にアピールしたいの
お安い御用です。では、学園で一番目立つところに掲示しましょう
あ、それと……
講堂の椅子なのですが、何席かシートの破れがみられますね。
これも公演までに補修しておきます
それは気がつかなかったわ。チェックありがとう
いえ、これも生徒会の務めですから
頼りになる生徒会のおかげで、私たちはやりたいことに打ち込めるわ
そう言っていただけるとうれしいです!
ぴえ~ん、痛いよお~しんじゃう~~~
動かないでください、もうすぐ処置が終わりますから
もっと優しくしてよお、しお子~
目一杯優しくしてるつもりです……はい、終わり
すんすん……
どうして怪我なんてしたんですか?
先輩の記憶喪失を治すコッペパンを作ってたら失敗しちゃって
記憶喪失を治すコッペパン? それはどういう……
おいしすぎてビックリした拍子に思い出す、みたいな!
はぁ、そうですか
ちょっとしお子、その目はなに!?
あ、先輩
しずくちゃんも移動教室?
はい、視聴覚室です。先輩はどこの教室ですか?
音楽室だよ
学年も学科も違うのに、こんなふうに偶然会えるなんてすごいですね。この後の授業も頑張れちゃいます!
それでは先輩、またあとで
うん、お互い授業頑張ろうね
ちょっと璃奈、なんで中庭なんか……。ボク、曲作ってたんだけど
とりあえず、ベンチに座ろ、ミアちゃん
いや、こんなところで休んでる場合じゃないんだってば
作曲は大切だけど、ずっと部屋にこもりっぱなしは、ダメ
ちゃんと太陽の光を浴びないと、健康に良くない。
ミアちゃんには、いつも元気でいてほしい
だから、大人しくひなたぼっこに付き合って
……璃奈ってたまに強引だよね。
わかったよ、付き合えばいいんだろ
じゃあ、全身で太陽の光を浴びるために、横になって。
私がお膝枕してあげる
ええっ!? いや、普通に座ってても太陽の光は浴びれるだろ?
私のお膝枕は……ダメ?
ダメじゃないけど……ダメじゃないけど~~!!
それじゃ最初はランニングから。ランニングの後は準備体操ね。
はい、スタート!
はあ……。ランジュの朝練に付き合わされてボクは疲れてるんだ
とてもじゃないけど付き合ってられないね
Yeah! Three-run big fly!
さいっこーの試合だよ! あ~璃奈にも見せたいなあ。
ベイビーちゃんも野球に興味あったから
ベイビーちゃんを呼んでもいいかも!
いや、やっぱり全人類ベースボールは見るべきだよ。
歩夢もしずくも彼方も……みーんな呼びたい
よし、みんなで観戦する機会を作ろう。きっと喜ぶぞ~!
せつ菜ちゃん、何かいいことあったの?
わかりますか?
うん、すごくニコニコしてるから
なんとなくだけど……そうかな、って
うん、すごくニコニコしてるから
ええっ、そんなに顔に出ちゃっていましたか……?
なんとなくだけど……そうかな、って
あなたはやっぱり鋭いですね
実はネットで、素敵なスクールアイドルの動画と出会ったんです!
歌もダンスも思わず見入っちゃうほどで!
今も頭の中で曲が流れています!
本当にスクールアイドルが好きなんだね
はい! スクールアイドルは私にとっての生きがいですから!
あなたの「大好き」はなんですか?
私の「大好き」? ん~……なんだろう?
記憶をなくす前の私には、きっとあったんだろうなって思うけど……。正直、今はなんて答えたらいいのかわからない
わからなくてもいいんです。でも、探してみませんか?
私で良ければ大好き探しを手伝わせてください
うん。ありがとう、せつ菜ちゃん
むむ……む……
そうそう、できてるよ、かすみさん
ん~……
いい感じ
……なんか、かすみんテスト大丈夫そうな気がしてきた!!
そこまで自信持てる……かな?
どう……かな?
絶対へーき! だってちゃんと解けてるもん。
だからもう先輩のとこに行っていいよね?
先輩もかすみんに会いたくてさみしがってると思うし~!
まだダメ
えー、なんで!? なんでなんでー!?
かすみちゃんが解いてる問題、
次のテストに必要な方程式を理解する前段階のものだから
? どういうこと?
今のかすみさんはね「上手に準備運動ができました」っていう
段階なんだよ
覚えなきゃいけないことが、まだまだある
やだーーーーーー!!!!
今日もいつもと変わらない1日だったね
なにか起きて欲しかった?
ううん、いつもと変わらないのが一番だよ
こういう何気ない時間って、
後から考えるととっても大事な時間なんだよね
わかる気がするかも
でも、そんな大事な時間の一部を私は忘れちゃったんだね
大丈夫、きっとそのうち思い出すよ
……だといいな
……そうかな
……だといいな
大丈夫大丈夫~
……そうかな
悩んじゃう気持ちもわかるけど……
果報は寝て待てっていうし、焦らず待とうよ
うん。ありがとう
いえいえ~。
そんなことより、部活が始まるまでちょっとだけお昼寝しよ~!
あ、先輩たち、かすみんもお昼ご一緒してもいいですか?
もちろんだよ。ね、歩夢ちゃん?
うん
おじゃましまーすっ♪
あ、かすみちゃんのコッペパンおいしそうだね。
そんなの購買に売ってた?
チッチッチッ、これはかすみんの特製手作りコッペパンですよ
え、かすみちゃんが作ったの?
そうですよ。覚えてないかもですけど、
先輩はかすみんのコッペパンの大大大ファンだったんですから
そうなの? ……また食べてみたいな
本当ですか?
先輩のためなら、かすみんいつでも作ってきますよ~!
ねえ、覚えてる?
?
子供の頃、うちとあなたの家族で動物園にいったとき、
私、初めてサンドイッチを作ったんだよね
覚えてる!
そんなことあったっけ!?
覚えてる! 歩夢ちゃん、自分で作ったのにマスタードを入れすぎて
辛い~って泣いてた!
そ、そこは忘れててよかったのに~!
くっ……!
そんなことあったっけ!?
もう、忘れちゃったの? じゃあ私だけの思い出にしちゃお……
ええっ!? それはやだ、困る! 教えて、歩夢ちゃーん!
くっ……!
…………
あっ! いたいた、探したよ~
エマさん?
部室に来ないから探しちゃった。ここでなにしてたの?
えっと……
(みんなが定期ライブをしてたっていうここにいたら、
何か思い出すかも、って思ってたんだけど……)
(全然なにも思い出せない……)
なでなで~
エマさん!?
毎日目まぐるしいよね~。ちょっと疲れた顔してる
そんなことないよ……。
迎えに来てもらってごめんね、部室行こうか
ん~
ちょっとここでゆっくりしていこっか。
講堂の椅子ってふかふかで座り心地がいいよね~。
ほらほら、座って!
う、うん……
ちょっとお話しよっか
じゃあ……エマさんのこと、教えてほしいな
いいよ~! あのね、わたしが生まれた日のお天気はね―
そこから!?
さあ、横になってください。
いつもより少し顔色が悪いような気がします
ありがとう。でも私、元気だよ……?
いえ、今は慎重に過ごすべきです
そうだよね
そうかなあ
そうだよね
栞子ちゃんやみんなには心配かけっぱなしでごめん……
気にしないでください
あなたのためならみんな……私だってどんなことでも……
あら?
すう、すう……
ふふっ、起こしにくるまで、ゆっくり休んでてくださいね
そうかなあ?
そうです
でも全然眠くない。おしゃべりしようよ、栞子ちゃん
えっ!? いえ、でも安静にしていたほうが……
お願い!
……仕方ありません。
では、今からニジガクの校則を読み上げますね
ええ!? 眠くなっちゃう!!
それが目的ですので
ランジュちゃん、こんにちは
ねえ、アナタ、今時間ある? あるわよね!
ランジュについてきなさい!
お、お邪魔します
どう、以前とは見違えるようでしょ?
ランジュ、掃除も洗濯も整理整頓も完璧にできるようになったの!
エマや栞子を困らせたこともあったけれど、今のランジュは違うのよ! アナタもそう思うでしょ?
ええと……
あっ、そっか、覚えてないんだったわ!
アイヤー……。ランジュが悪かったわ。ごめんなさい
う、ううん、悪いのは私だから
何を言っているの? アナタは悪くないわ。今のはアナタの状態を
忘れていたランジュの落ち度よ。だから謝罪を受け入れなさい
(ランジュちゃんってまっすぐなんだな……)
う、うん、わかった
前と今の違いを感じられるよう、早く思い出せるように頑張るね
思い出してくれたらうれしいけど、気にすることはないわ。
アナタはアナタだもの! ランジュのお友達!
璃奈ちゃん、なにしてるの?
ゲームしてる。あとちょっとで、最高得点がとれそう
……見たことないゲームだ。何のゲーム?
みんなで作ったゲームなんだ
え、これって璃奈ちゃんたちが作ったオリジナルゲームってこと?
私たちだけじゃない、あなたも一緒に作ったんだよ
私がこれを……?
もしかしたらなにか思い出すかもしれないから、やってみて
う、うん、わかった。
おもしろかった~!
む、難しい~!
おもしろかった~! のめり込んじゃいそう!
そう言ってくれて嬉しい。璃奈ちゃんボード「えっへん」
む、難しい~! 全然ダメだった……
一緒に練習しよう。私が教えてあげる。璃奈ちゃんボード「むんっ」
すごーい、また愛ちゃんのシュートが入ったわ
本当にすごい……愛ちゃんって本当にバスケ部じゃないの?
うん、愛ちゃんはスクールアイドルだもの
なのにどうしてあんな動きができるの?
相手は正真正銘のバスケ部員なのに……
練習試合だから手を抜いてるなんてことないよね?
ふふっ、愛ちゃんは小さい頃から運動が得意だから
得意ってレベルを越えてる……あっ、また決めた!
愛ちゃーん、その調子よー!
うわ~、やっちゃった……。ごめんね、果林さん。
ジュースかかってない?
あら大変、キミの制服、シミになっちゃうわ
え? 本当だ……
――って、ハンカチ汚れちゃうよ
なんの心配してるの。洗えば良いんだし大丈夫よ
ほら、ジッとしてなさい
(なんだか果林さん、お姉さんみたい)
はい、これでよし
ありがとう
お礼はお姉さんとデートね♪
ええっ!?
彼方ちゃん、次これがいいな! かわいいくまさんケーキ!
あの子に食べてもらいたいんだ~
どれどれ? あ、いいね、かわいい!
でしょ~! このくまさんはどうやって作るのか……
挑戦してみたい!!
うん、ちゃんと構造を考えないとダメだもんね。腕がなるなあ
よし、作戦会議だ~!
おー!
OK、それでいいよ
うふふ、楽しみだね
なにが楽しみなの?
今度一緒にショッピングモールに出かけよう、って話をしてたの
あー、もしかしてスイーツを食べに行くの?
期間限定の特別スイーツのポスターが駅に貼ってあったよね
別にそれが目的ってわけじゃないよ。
日本のショッピングモールに興味があるだけさ
でもスイーツも食べるよね?
私、楽しみにしてるんだけど……
まあ、歩夢が楽しみにしてるなら付き合ってあげてもいいよ
そういえば、期間限定のハンバーガーもあるらしいよ
え!?
あ、和牛バーガーのポスターもあったよね。
いろいろおいしいものが楽しめていいね、ミアちゃん
べ、別においしいものを食べに行くだけじゃないからね!
他にも見たい物はたくさんあるんだから
うふふ、楽しみだね
今、旅先どこにしよっかなーって悩んでるんですよね
旅行に行くの?
はい! 栞子うしろに乗っけてツーリングしたいなと思いまして!
うしろに、乗っけて……それは2人乗りということよね?
そりゃバイクですからね。あーでも、サイドカーもありか
事故のリスクが高いので薦めかねます
え~、それじゃどうしろって言うんですか?
車じゃダメなのかしら?
車か~……ありですね! 栞子が風邪ひいても困るし!
よしっ、車で旅行だ~~!
じゃ、車を買いたいので給料を上げてください
結果を出したらね
むぅ~……
せつ菜ちゃんもここでライブした?
はい、あなたはいつも客席から、私の事を応援してくれていたんですよ
そうなんだ……思い出せなくてゴメンね
謝る必要なんてありません。私があなたを覚えています!
というわけで私に対して記憶喪失関連で謝ることを禁止します!
いいですね?
う、うん。努力するね
でも、いつもせつ菜ちゃんのこと応援してたんだ……
誰よりも熱心に応援してくれていました。
あなたの声で何度奮い立たされたかわかりません
私、せつ菜ちゃんの歌が大好きだったんだね
また大好きになってもらえるよう、
次のライブも大好きな気持ちを詰め込んで歌いますね!
失礼します。テーピングを貸していただけますか?
あら、どうしたの?
ダンスの練習をするのに、足首を固定させておきたくて
怪我の予防措置は大切なことね。はい、これ持っていって
ところで話は変わるけど、これ読んだわよ。
雑誌に特集されるなんてすごいのね
ありがとうございます
それで、あの……サインしてもらってもいいかしら?
うふふ、もちろん喜んで
週末だけど泊まりで温泉に行かない?
日帰りではなく泊まりですか?
だって温泉入ったらお酒飲みたくなるでしょ、
そうなったらもう動きたくないし
私は飲めませんけど
私が飲むから。いいじゃんいいじゃん、温泉最高じゃん!
命の洗濯したい!
あっ、栞子は温泉なんかじゃ満足できなくなったかしら?
なんてったってあの子とアタシと3人で
サバンナの大草原を体験しちゃったもんね!
いや~、あれはまさに大冒険だったよね!
栞子ったらキリンみて大喜びでさ~!
ってことなら秘境にでも行くかー!
わかりました! わかりましたから話は家でゆっくり!
栞子も行きたいとこ考えておいてよ~
うんうん。さすがかすみんかわい過ぎます。
この調子でもっとたくさん撮ろうっと
あ、セルフィーしてるの?
えへへ~、
ファンクラブのみなさんにかわいいかすみんをお届けするためです
ファンクラブがあるなんてすごいよね
えへへ、えへへ!
このファンクラブは先輩と作った自慢のファンクラブなんですよ!
その名も「マジカル☆かすみんキャッスル」です!!
おお! 略称とかはあるの?
略称……? まじかすかす……? ちがーーう!
ありませんありません! 略称はなしです!
「マジカル☆かすみんキャッスル」って言ってください!
う、うん、わかった!
愛さん体育館でやってみたいことがあるんだよね~
なになに? 球技大会とか?
それもありだけど、運動の苦手な子もいるからね。
あまり運動神経は使わない感じで
運動神経を使わない……?
誰が1番遠くまで紙飛行機を飛ばせるか、とか?
それ面白そう。愛さんのやってみたいことリストに追加しとこっと! でも、それでもないんだなあ
正解は?
ズバリ、だるまさんが転んだ! 絶対盛り上がると思うんだよね~! 愛さんvs100人だるまさんが転んだ!
100人!?!?
声かけたらそのくらい集まるっしょ!
楽しそう!
愛ちゃんの交友関係すごすぎだよ……
楽しそう! 私も絶対参加する!
おお、してして~!
愛ちゃんの交友関係すごすぎだよ……
そう? ふつーふつー!
なに見てるの?
これだよ。見てみる?
ノート? うわ~、文字がびっしり……これなに?
この文字に見覚えない?
え? ん~……あ、私の字だ
もしかしてこれって私が書いたの?
あなたが私たちのために書いてくれてた練習ノートだよ
これを私が……こんなに細かく、みんなのことを……
私、みんなのこと大好きだったんだね
そうだよ。それからね、私たちもみんなあなたのことが大好きなの
ねえ、ほんとに全部忘れちゃったの?
うん、そうみたい……。ごめんね、みんなに迷惑かけちゃって……
Don't say that. そんな深刻な顔やめてよ!
あのさ、実はボク、あんまり心配してないんだよね。
長い人生こんなこともあるさ! なんとかなるって!
……長い人生、か……
あっ、14歳のボクがそんなこと言うのヘンって思ったな!
ええっ!? お、思ってない! 思ってないよ!?
14歳だけどステイツでは大学生でここでは3年生なんだから!
それはもう一度ちゃーーーんと覚えてよね!
(あ、歩夢ちゃんだ)
もし、このまま記憶が戻らなかったらどうしよう……
私との思い出が消えちゃうなんて、そんなの耐えられない……
(もしかして……泣いてる?)
(ど、どうしよう……私が原因だよね。どうしたらいいんだろ?)
あ、あの……歩夢ちゃん
えっ……?
い、いつからそこにいたの?
少し前からかな……えっと、もしかして泣いてたの?
泣いてないよ
(でも声が震えてる。やっぱり……)
そんな顔しないで、本当に泣いてなんかいないから
目にゴミが入っちゃっただけだよ!
でも……
あなたってば、どんなときでも私たちのことを一番に考えてくれる。
そんなあなたが……
?
ううん、ごめん、何でもないよ
ほら、部室に行こう! みんな待ってるよ!
りな子、もしかしてお昼ってそれだけ?
うん
パンだけ?
しかも全部甘そうですね
でも3個あるから、お腹いっぱいになるよ
ご飯ていうよりおやつじゃん
甘いものだけでお腹いっぱいというのはちょっと……
栄養のバランスがね……
そうかな?
もぉ、仕方ないんだから、かすみんの唐揚げあげる
それじゃ私は、卵焼きとウインナーをあげるね
私はほうれん草の胡麻和えとにんじんしりしりを
3人ともありがとう。パン食べる?
え、その席……
あ、せつ菜ちゃん! この席ステージがすごく見やすいね
…………
せつ菜ちゃん?
あ、すみません!
そこは、講堂ライブの時にあなたがいつも座っていた席だったので……
え、そうなの? すごい偶然だね
偶然でいつもの席に……
やはりあなたの中には記憶があるんです!
良かった……きっとそのうちすべてを思い出す日が来ますよ!
そうかな?
はい、これは確信です!
失礼します
あれ、栞子ちゃんどこか具合悪いの?
少し頭痛がして……あの、先生は?
会議に行っちゃってるんだ
そうですか……
頭痛薬なら彼方ちゃんも確か持ってたはず。
はい、すぐ効くやつだよ~
いいんですか? ありがとうございます
栞子ちゃん、たまには息抜きしないとだめだよ~、
少し休んでいきなよ~彼方ちゃんと一緒に
え? 彼方さんと一緒に?
彼方さんもどこか具合が悪いんですか?
あっ、えっとそうじゃなくてぇ……。
まあいいからいいから、こっち来て!
彼方ちゃんのお膝枕をどうぞ~
え、ええと……
さあさあ~
では……よろしくお願いします
あ、いたいた~~! あなたのこと探してたんだよ~。
これからいい所に行くんだけど一緒にどう?
いい所?
ふふっ、とーってもいい所だよ~
じゃあ、行ってみようかな
あなたならそう言ってくれると思ったよ~。それじゃレッツゴー!
じゃーん、ここだよ
パン屋さん?
すごい品揃えだね
いい香り~!
すごい品揃えだね
すごいのは品揃えだけじゃないの。
どれもほっぺたが落ちるくらいおいしいんだ~
いい香り~!
くんくん……この香りは……
クイニーアマンが焼き上がったところ!!
いっぱい買って公園で食べよ!
あの、近江さん見かけませんでしたか?
あの……
……え? あ、すみません、見てないです。
彼方さんのこと探してるんですか?
はい、急ぎの用があって……どこにいるんだろう
よかったら探すの手伝いましょうか
本当ですか、ありがとうございます。
もし見かけたら連絡してって伝えてください……
あ、加藤ツムギが探してた、って
はい、それじゃ、私は校舎の方を探しますね
お願いします!
バレー部から助っ人を頼まれたランジュの勇姿を観にきたのね、
ふたりとも!
うん!
ランジュが呼んだんだろ
そうよ! だってランジュが活躍するところを見たいでしょ?
うん!
ボク、バレーよりベースボールのほうが好きなんだけど
ふふっ、早くランジュの弾丸サーブを見たい、って顔ね!
ボクの話聞いてた!?
ショウ・ランジュのショータイムよ!!
ぷっ……あははは! ねえミアちゃん今のわかった!?
ショウ・ランジュのショータイムって
すごくうまいダジャレだよね……あははは!
ベイビーちゃん……
笑いの沸点が低いのは本当に変わってないんだね……
あっ、ランジュちゃんがサーブ決めた! すごい!
ん? なんかこっち見てるな……
2本目だ……
うわあっ、また決まった!
……めちゃくちゃこっち見てるな。ウインクまでして
ランジュちゃん、かっこいいよーー! がんばれーーー!!
すごい満足そうな顔してる、ランジュ……。試合に集中しなよ……
ランジュちゃんが集中できるようもっと応援しよう、ミアちゃん!
いや、こっちばかり気にするから黙って応援したほうがいいよ、
ベイビーちゃん。このままじゃワンプレイごとにこっち見る
ずいぶん熱心に読んでるね
ちょっと先輩、このページ見てくださいよ
あ、果林さんだ
しかも特集ページですよ!
(きれい……)
あっ、先輩見惚れてる!
だ、だって素敵だから……
ぐぬぬ……!
やっぱりこういう方向も狙っていかないとですね!!
かすみちゃんはモデルさんを目指してるの?
モデルさんを目指している訳ではないですけど……
かすみんだって素敵って思ってほしいじゃないですか!
(かすみちゃんはかすみちゃんでかわいくていいと思うんだけど……)
あの……この同好会はソロでの活動がメインなんでしょ? だったら、かすみちゃんはかすみちゃんらしくていいんじゃないかな?
果林さんは大人っぽくて素敵だけど、
かすみちゃんにはまた別の素敵な魅力がある気がしてて……
うまく言えないんだけど、かすみちゃんには
もっと自分の好きを突き詰めてほしいな、って……思ったかな?
えっ、先輩っ、すきっ!
ええっ!? なに、どうしたの!? なんで!?
すきすき~!!
ふぁぁぁぁ~……
大きなアクビだね。夜更かしでもしたの?
うん、先輩に見せたいかわいいポーズを考えてたら
寝るの遅くなっちゃって
いいの思いついた?
うん! 見たい見たい!?
中須さん、何か質問ですか?
いえ……すみません……
彼方さん、何見てるの?
今日ねえ、遥ちゃんが遊びにくるんだ。
だから、早く来ないかな~って眺めてたの
私も待ってていい?
いいけど、遥ちゃんが来るのは放課後だよ?
え!? それを今から待ってたの!?
だって待ち遠しいんだも~ん!
この世にピーマンが存在する意義ってある?
ミアちゃん、ピーマン嫌い?
別に。理解できないだけ
でも栄養たっぷりで身体にいいんだよ?
サプリで補えるだろ
……覚えてないかもしれないけど、
ベイビーちゃんはボクのピーマン全部食べてくれてたんだよ
え?
そうなの?
怪しい
そうなの?
というわけだから、はい、これ
怪しい……さすがにそこまでは私もしない気が……
じゃあ、試しにひと口食べてみようよ
そんなわけないでしょ! メッ、だよ、ミアさん!
さすがに今のは私も嘘だと思ったよ……
Dammit! もう少しだったのに!
こんなに機材を用意してなにしてるの?
オンラインニジガク案内ツアーの準備
それってどういうの?
ファンクラブのみんなのための、配信ツアー
普段私たちが生活している学園の様子を紹介して、
もっと私たちのことを知ってもらおうと思って考えた
なるほど。そういうの親近感が湧きそうだし、
ネットなら誰でも参加できるしいいね!
ネットがあれば、誰とでも繋がれる。
ネットでできること、もっと考えたい
あれ、せつ菜ちゃんどうしたの? 怪我でもしたの?
えっ? ここは……保健室ですか?
そうだけど……?
漫画の構想を練っていたら、いつの間にかここに来ていました……
やはり歩きながら考えるのはよくありませんね。
事故の原因になりかねません
そういうあなたこそ、どうしてここに?
どこか具合でも悪いんですか?
ううん、元気だよ。記憶喪失になってから、
ここで健康状態を診てもらってるんだ
そうだったんですね
ところで、どんな漫画を考えてたの?
ヒーローのお話です。力ではなく、想いをぶつけて敵と心を通わせ、
平和な世界を作る……感動すること間違いなしです!
面白そうだね。完成したら見せてね
はい、もちろんです!
ねえ、帰ったら一緒に宿題しない?
いいね、そうしようか
やった!
なにかおやつ持っていくね
クッキーでよかったら昨日焼いたのがあるんだけど……
えっ、そうなの!? 歩夢ちゃんのクッキーおいしいから楽しみだな
ふふふっ、おやつは宿題が終わってからね
あ、エマさん! 彼方さん見なかった?
彼方ちゃんなら、ここで寝てるよ
え? あ、エマさんに膝枕されて寝てる……
すー……すー……むにゃむにゃ……はぅかちゃん……
いい夢みてるみたいだね
それにしてもぐっすり眠ってるみたいだけど……
最近疲れてたみたい。
彼方ちゃん毎日部活も勉強も家事も頑張ってるから
彼方さんは頑張り屋さんなんだね
そうなの。だから休めるときは休ませてあげたいよね
倒れたら大変だもんね
うん。彼方ちゃん、いつもお疲れ様
んん~……
体育館にニジガク七不思議があるんですか?
なんでも、誰もいない体育館でボールの弾む音が聞こえるんだって
ちょうど運良く、私たちだけですね
よーし、偵察だー!
これでもし本当に聞こえたら七不思議は本当ってことになるよね
なんだかワクワクしますね
しずく、こういうの好きだったの?
未知な物って神秘的で惹かれます
おお、心強いな~! さあこい、ボールよ弾め!
あ、いたいた。ふたりとも部室に集まってだって
あ、呼ばれちゃいましたね。
残念ですが七不思議はまた今度偵察しましょう
だね。
まあ、七不思議も逃げたりしないだろうし気長にいこ~!
あれ、誰もいない……みんなまだかな?
果林ちゃん、朝だよ。早く起きないと遅刻しちゃうよ
んぅ~……あと5分寝かせて……
5分前にも同じこと言ってたよ~
それじゃ……あと30分……
どうして長くなるの~~!
エマ、ランジュに任せなさい!
こういうときは強引な手段もやむなしよ……。果林! 起きなさーい!
きゃっ! 布団返して~
ほら、丸まってないでさっさと起きなさい
う~、眠い……
この値をここに代入すれば……ほら! 答え出た!
なるほど……!
愛ちゃんって本当に教えるの上手だね。先生に向いてるよ
愛さんが先生?
うん、勉強が得意で教えるのも上手だし、
優しくて思いやりがあって面倒見も良くって一生懸命だもん
そんなに持ち上げられたら照れるー! でも先生も面白そうだね!
ふたりみたいなかわいい生徒のためなら全力で尽くしちゃう!
ふふふっ! じゃあ、愛先生、この問題も教えてください
私も!
うむ! 愛先生に任せなさい!
あ、エマさん
しー……今、丁度眠ったところだから
すう……すう……
よく寝てるね
ふふっ、わたしのお膝枕は安眠の魔法がかかってるんだよ
今度、あなたにもしてあげるね
あはは、ありがとう。その時はお願いします
それじゃ、起こしちゃ悪いし行くね
またあとでね
んぅぅ……
~~~♪
なにかいいことあったの?
はっ、私今声に出して!?
お恥ずかしい……あったというか、これからあるというか……
実は放課後、同好会の1年生とミアさんでファミレスに行くんです
ファミレスに行くと、かすみさんがオリジナルドリンクを
作ってくれるので、それが楽しみで!
いいね! 思いっきり楽しんできてね、栞子ちゃん!
はい!
ミアちゃん、こんな所でなにしてるの?
しー! 声を出さないで、見つかっちゃうだろ
見つかるって誰に?
悪魔だよ。見つかったら地獄に連れて行かれる
Dammit. 悪魔が来る……。
ボクは隠れるけど、もし誰か来たら適当に誤魔化して
う、うん……(悪魔って誰だろ?)
あ、ねえ、ミアを見かけなかった?
えっと……
見てない
見たような……? 何かあったの?
見てない、かな。探してるの?
これからランニングするよ、って言った途端逃げ出しちゃってさ。
めっちゃ足早かった!
見たような……? 何かあったの?
いや~、ランニング直前にいなくなっちゃったんだよね
長丁場のステージを歌いきる体力を作るには、
ランニングは最適なのですが、お気に召さないようで
まったく、スクールアイドルとしての自覚が足りないわね。
もういいわ、時間も惜しいしミア抜きでいきましょう
まあ、仕方ないか、せっかく一緒に汗を流せると思ったんだけどな~
それでは失礼します。お騒がせして申し訳ありませんでした
ふっ、どうやら悪魔は去ったようだね。
さ~て、部屋で動画でも見ようっと
本当に行かなくてよかったの?
みんなミアちゃんと走りたそうだったけど……。
ミアちゃんのライブも楽しみだよ?
むう……
わかったよ! いってきます!!
なんでダメなの? ランジュが用意するんだから別にいいじゃない
よくありません。学園で用意したものがあるのですから、
それを使うべきです
なによう! 栞子のわからずや!
ふ、ふたりとも、落ち着いて! どうしたの!?
むう……。彼方はよく保健室で昼寝をしてるから、
最高級枕を用意してあげようと思ったの。でも栞子が反対するのよ
ランジュの優しい気持ちは理解しています。
ですが個人が学園の備品を用意するのはダメなんです。
これはルールです
なるほど、それでもめてたんだね
ランジュちゃんの気持ちもわかるけど……
最高級枕はさすがに……
ランジュちゃんの気持ちもわかるけど、
使えるうちは無理に変えなくてもいいんじゃないかな?
誰にも迷惑はかけないわよ?
最高級枕はさすがに……
使うとき、逆に緊張しちゃうかもだし
慣れたら大丈夫よ。あ、そうだわ! そば殻とか低反発とか、
いろいろあれば使う人が自由に選べていいと思わない?
それは……そうですが……
あなたからもランジュを説得してください!
ええっ!? で、できるかな……
あっ、こんにちは! 今日はお邪魔します!
えっと……あなたは……?
近江遥です。いつもお姉ちゃんがお世話になってます!
あ! あなたが彼方さんの妹さんなんだね!
はい! お姉ちゃんからいろいろ聞いてます。
体調のほうはもう大丈夫なんですか?
うん、体は平気。ただいまだに何も思い出せてなくて……。
彼方さんやみんなには迷惑かけてばかりだよ
そんなことないと思いますよ。
お姉ちゃん、毎日充実してるみたいですし
そうなのかな?
今の私は前みたいなサポートもできなくて役に立ててないのに
友達なんだし、役に立つとか立たないとかは関係ないですよ。
一緒にいて楽しいなら問題ないです。
お姉ちゃんもそう言うと思います!
だったらいいな
(彼方さんが言ってた通り、遥ちゃんっていい子だな)
みゃう~♪
果林さんに撫でてもらって、喜んでる
なんだか、こうしていると癒やされるわね
ふにゃ~……
あ、寝ちゃいそう
ふふっ、安心しておやすみ
うみゅ~……
かすみんも愛先輩みたいに、他の部の助っ人とかしてみたいです!
なにかしてみたいことあるの?
かすみちゃんもバスケとか得意なの?
いいね。なにかしてみたいことあるの?
ええっと、特にないんですけど……、みんなから頼りにされて、
結果を出して、感謝されるのってかっこいいじゃないですか!
かすみちゃんも、愛ちゃんみたいにバスケとか得意なの?
と、得意ってわけではないですけど……!
ほら、かすみんが愛先輩みたいにドリブルで相手を抜いて、
スパッとシュートを決めたらかっこよくないですか?
確かにかっこいい!
かっこいいことしてかすみんのこと
もっともーっと見てもらいたいんですっ!
ただ……
先輩がかすみんのこともっとも~っと見つめてくれるなら……
助っ人しなくてもいいです!
が、頑張るね!
ふんふふ~ん♪
うわ~、おいしそうなパフェ、これって彼方さんが作ったの?
このあと大切なお客さんが来るからね~。張り切っちゃった!
お客さん?
遥ちゃんで~す!
みんなの分も用意してあるから、あとで一緒に食べようね♪
(彼方さん、本当に遥ちゃんのことが大事なんだな~)
ねえ、髪のリボン曲がってない?
曲がってないよ
そうかな? なんだかいつもと違う気がするの
気のせいじゃない? いつもと同じに見えるけど
んー、やっぱり気になるから結びなおす
いつもとどこが違うのか全然わかんないけど、
かわいいを妥協できない気持ちは痛いほどわかる!
だからかすみんがやってあげる!
ほんと? お願い!
んー……これでよし! うん、とってもかわいいよ!
ありがとう、かすみさん!
キョロキョロしてなにか探してるの?
どこからかピィピィの声がするのよ
ピィピィ?
ランジュが育てた小鳥の名前よ
成長して巣立ったのだけど……
もしかしてあの子、なにか困っているのかしら?
心配だわ。なんともなければいいけど
ランジュちゃんにとって特別な存在なんだね
もちろんよ。あの子のためならなんだってしてあげたいわ
かすみん渾身の新作コッペパンです。
さあ、がぶっと食べちゃってください
それじゃ遠慮なく、いただきまーす。あむっ
どうですか?
ボーノ! ボーノだよ!
すっごくおいしい、今までの中で一番好きかも
そうでしょうそうでしょう。
エマ先輩の好みを調べて作った特製なんですから
それじゃこれ、わたしのために作ってくれたの?
エマ先輩にはいつもお世話になってますし、
お礼というかなんというか
嬉しい、かすみちゃん大好き
エ、エマ先輩、そんなに思いっきり抱きしめられたら……
く、苦しいです~
ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ!
L、O、V、E、ラブリー・ハルカ!
(こんなに大きな声を出してる彼方さん初めて見るかも……)
彼方さん、なにしてるの?
今度、東雲学院スクールアイドル部のライブがあるんだよ~
遥ちゃんの晴れのステージを盛り上げるために、
コールの練習をしていたんだぜ~
それは楽しみだね
楽しみすぎてずっと興奮してるよ。
あ~、早くライブの当日にならないかな~
よしっ、もっかいーー! ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ!
L、O、V、E、ラブリー・ハルカ!
おっ、いいところに来たね~。良かったら一緒に遊ばない?
えっと……なんで保健室でボードゲーム?
具合の悪い私を、宮下さんが保健室まで連れてきてくれたの
もう良くなったんだけど、昼休みくらいゆっくり休んでいこう、って言ってくれて……
今に至るってわけ!
(ボードゲームはどこから出てきたんだろう……)
ゲームして大人しく過ごしてようね、ってことなのかな?
そうそう!
で、愛さんアナログゲーム研究部からゲームを借りてきたんだよ
大勢で遊んだ方が楽しいしさ、君も遊ぼうよ!
なるほど……それじゃお付き合いしようかな
そうこなくっちゃ!
……って感じならどうかしら?
なるほど、参考になりました。やはり果林さんに相談して正解でした
またなにかあればお姉さんに頼ってね
はい!
ふたりともなに話してたの?
次のライブで着る衣装について
果林さんに相談にのってもらっていました
私では型紙制作がどうにもうまくできなくて……
なるほど
果林さんはライフデザイン学科だもんね
いい感じになりそう?
果林さんはライフデザイン学科だもんね
その中でも服飾に関しては得意分野なのよ
いい感じになりそう?
ええ。キミも完成を楽しみにしててちょうだい
はあ……ずーっと得意な授業だけ受けられたらいいのに……
果林さん……
あっ……うそうそ! ちゃんと他の教科も頑張るわよ!
はんぺん、肉球ぷにぷに
みゃん!
柔らかくて癒やされる。肉球の魔力
にゃんにゃ~ん!
あ、璃奈ちゃん―あれ、今日はボード持ってないんだね
うん。はんぺん撫で撫でしてるから
あ、それもそうか
璃奈ちゃんもメロメロだね
璃奈ちゃんに撫でてもらって嬉しそう
あははっ、璃奈ちゃんもはんぺんと一緒だと
メロメロになっちゃうんだね
……え? わかるの?
? わかるよ?
璃奈ちゃんに撫でてもらって、はんぺん嬉しそうだね。
目を細めて気持ちよさそう、かわいいなあ
あなたも撫でてみる?
ううん。璃奈ちゃんがはんぺんを撫でてる姿って、
かわいくて癒されるんだよね
そっか……!
バレーボールを知らないんですか?
バレーは知ってるよ。知らないのはルールの方
バレーとは、ネットを挟んで2チームが点の取り合いをする競技です
主に手や腕を使い3回以内にボールを相手コートに返します
どちらかがボールをフロアに落とすまでこれを繰り返す感じですね
待って、さすがにそのくらいはわかる。
そうじゃなくてローテーションだったり
ポジションだったりそういうの
なるほど! それなら漫画で学ぶのが一番わかりやすいと思います! ちょうど今アニメもやってるおすすめの漫画があるんです!
え、いやそこまでは……
ボールを繋ぐ尊い青春の物語です!!
ボールを繋ぐなら野球のほうが興味あるな
お任せください! もちろん尊い野球漫画もありますよ!
……わかったよ、野球なら読んであげてもいいよ
歩夢先輩!
恥ずかしがっていては「かわいい」の道は極められませんよ!
そ、その道を極めるのはかすみちゃんに任せるよ……
じゃあ練習に付き合ってくださーい!
さあご一緒に!
一緒に!?
そう! ご一緒に! さん、はい! きゃぴーん!
きゃ……ぴーん!
いい感じです~~!
You'll get better with practice.
え~と……ユー、ゲット……なんとか?
You'll get better with practice. だよ
う~、ミア子の発音本格的すぎて全然頭に入ってこないよ
本格的って……そういう言語なんだから仕方がないだろ?
そんなこと言われてもかすみん、ちんぷんかんぷん。
なに言ってるか全然わかんない!
OK. 英語に馴れてないから、耳が聞き取れないんだろうね
だけど繰り返し聞いてればわかるようになるさ
本当に?
ああ、それこそ、You'll get better with practice.
練習すれば上達する、だよ
英語でお説教やめてーーー!
えい、やー! こういうのはどうですか?
いいですね!
さすが演劇部、指先の動きひとつとっても素晴らしいです!
ありがとうございます
今度は私の番ですね。
では、いきます! とうっ! せいやっ! チェストーー!
さすがせつ菜さん、全身からみなぎる闘志が見えます!
ふたりともなにをしてるの?
スクールアイドル戦隊の決めポーズを新しく考えていました。
よければあなたもご一緒にどうですか?
やってみると意外と奥が深くてハマりますよ
わあ、おいしそうなお菓子だね
彼方がくれたのよ。ダイエットしてるって言ったんだけど、
これはヘルシーだから、って
え? 果林さんダイエットしてるの!?
今度撮影があるのよ。
だから私には身体を完璧に仕上げる義務があるの
そこまで自分に厳しくできるのってすごいよ
周りのスタッフも全員プロなんですもの、
プロの仕事にはプロとして返すべきでしょ?
だけど彼方の気遣いは素直に嬉しいわ。
正直少し甘いものが食べたかったのよね
愛情感じちゃう
その言葉、彼方さんが聞いたらすごく喜ぶと思う!
みんな、練習お疲れ様ー、差し入れ持ってきたよ~!
いつも悪いわね。だけどそんなに気を遣わなくてもいいのよ
いやいや、愛さんが好きでやってることだから気にしないでよ
ふふっ、そんなに次の公演を楽しみにしてくれてるの?
もちろん! しずくから内容聞いたとき、
こりゃー愛さん目一杯応援しないとなって思ったんだ
それでどんな感じ?
いい感じよ。
公演日が近づいてみんなモチベーションが高まってきてるわ
早く観たい~~!
というわけで、これを食べて頑張ってよ
これは?
おばーちゃんのぬか漬け、ヘルシーでちょーおいしーよ!
歩夢ちゃん、彼方さんを探してるんだけど見なかった?
ううん、見てないけど……
どこにいるんだろう……
思い当たる場所ならあるよ。ついてきて
本当? お願い
失礼します
保健室?
やっぱりここにいた。彼方さんベッドで寝てるみたい
ぐっすり寝てる……
起こすのもかわいそうだから、起きるまで一緒に待ってよ?
明日6時に起こしてよ。もちろん目覚ましはかけるけど、
万全は期しておきたいんだ
うん、任せて!
毎日果林ちゃんを起こしてるから起こすのは得意なんだよ~
それはなんというか……お疲れ様
でも、最近なかなか起きてくれなくて困ってるんだ。
この前なんてランジュちゃんに起こすの手伝ってもらったの
もしミアちゃんも起きてくれなかったら
ランジュちゃんに助っ人してもらわなきゃ
ええっ!? いや、それは……うるさそう……
ボクちゃんと起きるから! ランジュは呼ばないでよね!
あ、栞子ちゃん! 今日の部活って―
あれ、ランジュちゃん……
今眠ったところなんです。だから、しー、です
わかった。いつもパワフルなランジュちゃんのこんな姿は珍しいね
ふふっ、私もランジュの珍しいところが見られて嬉しいです
確かに、すごく気持ちよさそうに眠ってる
ランジュちゃんのパワーの源は、栞子ちゃんの膝枕?
栞子ちゃんと一緒で安心したのかな
ランジュちゃんのパワーの源は、栞子ちゃんの膝枕なのかもね
私の膝にそんな秘めた力が……!?
栞子ちゃんと一緒で安心したのかな。寝顔を見てると、
栞子ちゃんのことをすごく信頼してるんだなって感じるよ
ふふっ、あなたにはそういう風に見えているんですね
だとしたら誇らしいです!
璃奈ちゃんってドローンの操縦も出来るんだね
そんなに難しくないよ。
少し練習すれば、誰でも飛ばせるようになる!
でもどうしてドローン?
次のライブで、カメラを付けたドローンを飛ばしたい
ドローンなら、色んな角度から撮影できて、
臨場感のある映像を撮ることができると思う
それは面白そうだね
というわけで、あなたも特訓開始!
That which we call a rose by any other name would smell as sweet.
どうでしょう、エマさん?
上手! アクセントもシッカリしてたし、聞き取りやすかったよ
嬉しい……ですが、やっぱり英語って難しいですね。
先は長いなあ……
ううん、先は長いからこそ、しっかり練習しなきゃ!
ですよね、エマさん!
うんうん、こんなに頑張ってるんだからきっと大丈夫だよ~!
流暢な英語でお芝居をするしずくちゃん! わたしもはやく観たい!
頑張ります!
ん~、どうしようかな~?
なにか悩み事?
みんなと楽しいことできるような何かを作りたいんだよね~!
だけど何を作ったらいいか思いつかなくてさ、
よかったら一緒に考えてくれないかな?
(愛ちゃんって、本当にいい子だなあ)
いいよ
私で力になれるかな?
いいよ。みんなを楽しませたいだなんて、
愛ちゃんはサービス精神の塊なんだね
だって、誰かの楽しそうな顔って見てるこっちも楽しくならない?
私で力になれるかな?
あはは、なれるに決まってるじゃん!
今までたくさんの人たちを笑顔にしてきた君だもん、絶対大丈夫!
みんなが笑えば世界も平和だよ
今日も天気がいいねえ。お日様もぽかぽかで暖かい
そうだね。暖かいし風も気持ちいい
なんだか歌いたくなっちゃう
ねえ、一緒に歌わない?
え? えっと……
遠慮しとくよ
少しだけなら
わ、私は遠慮しとくよ
いいからいいから、お腹から声を出したら絶対気持ちいいよ
じゃあ、少しだけ歌おうかな
やった~。あなたと歌えるなんて嬉しいな~
でも、歌うって言われてもなにを歌えば?
ん~、それじゃ校歌を歌おうか?
ん~、全身を駆け巡る肉汁の旨味、
身体の奥から力がこみ上げてくるわ~!
はぁ~、やっぱりTボーンステーキは最高ね!
ふふっ、ランジュちゃんニコニコだ
全身から幸せが溢れてるね
アジフライもおすすめだよ
全身から幸せが溢れてるね
お肉が最高で最強なのは間違いないけど、
アナタのアジフライもおいしそうね
うん、身が厚くて脂がのっててサクサク!
お肉もいいけど、アジフライもおすすめだよ。
この特製ソースとの相性が抜群なんだ~
そうなのね。確かに、ソースがかかって一段とおいしそうに見えるわ
ランジュも食べてみたい……
うん、いいよ。どうぞ、召し上がれ
きゃあっ! 食べていいの? じゃあ、いただくわね、あむ……
ん~、好吃! おいしいわ! アナタの言う通りね!
まあ、ボクが次のライブでやりたいことはそんなところかな
なるほど、なかなか大がかりですね
難しい?
そうですね。クリアしなければいけない課題がいくつか……
ですが、無理な話ではありませんし、
なにより最高のステージのためなんとかしてみます
栞子ならそう言ってくれると思った! 期待してるよ
お任せください
失礼します
あれ、しずくちゃん、鼻が赤いけどどこかにぶつけたの?
せ、先輩、いたんですか!?
これはその、ぶつけたというか、なんというか……
よく見たら膝もすりむいてる。大丈夫?
はい、こんなの全然平気です
でも痛そう……
しず子ー! またバレーボールで―むがっ!
かすみさんっ! いいところに来てくれたね!
その話はまた後ででいいよねっ!?
む~~~~~!!
バレーボールの話は今しないで~~~!
このことだけは忘れたままでいてほしいの!!
あの、しずくちゃん……?
な、なんでも! なんでもないんです、先輩!!
あの、すみません! スクールアイドル同好会の部室ってどこですか? 迷っちゃいまして……
ああ、ニジガクは広いですもんね。同好会の部室なら、
この先の階段を下がって右にまっすぐ行くと部室棟に繋がっていますよ
あー、上の階にきちゃってたんだ。教えてくれてありがとう!
いえ、お役に立てて光栄です
ん~……?
?
写真家の血が囁いてる……君には隠された魅力がある!
ねえ、スクールアイドルやってみたらどう? 一緒に部室行こうよ!
ええっ!? えっと……あの……
恥ずかしがらないでさ!
か、考えておきます。今日は用事があるので、これで……!
前向きに検討してね~~~! 君のことも撮りたいからさーー!
ん~、お日様ぽかぽか~、気持ちいい~
ふああ……
お膝枕、する?
今寝たら明日の朝まで寝ちゃいそうだよ~
あっ、そうだ!
愛さんおばーちゃんのぬか漬け持ってきてたんだった!
えっ!?
ミアちゃん、眠気が吹き飛んでる……
だ、だって……あのピクルスおいしいんだもん……
褒めてもらえて愛さん嬉しいっ!
さあさあ、ふたりともたっぷりお食べ~!
彼方さんも体育館に遊びに来たの?
ううん、通りかかっただけだよ。
彼方ちゃん体育館あまり得意じゃないしね
え、そうなの?
ん~、賑やかだからね。彼方ちゃん静かな方が落ち着くんだ~
どこからボールが飛んでくるかもわからないでしょ?
だから、すやぴスポットにはあまり向いてないんだよね~
そういうわけだから、彼方ちゃんおすすめすやぴスポットに行こ~
璃奈ちゃん、なにしてるの?
同好会のSNSにきてるコメントに返事してる
へぇ~、同好会のSNSか……って、すごいコメント数!
みんな人気者だね
このコメント、見て
どれどれ……「定期ライブにいつも行っています。どの曲も大好きです!」「ニジガクのPVで流れる曲が大好きです! 毎日動画を見ちゃいます!」
(他のコメントもみんな、同好会のみんなのことが大好きって気持ちが溢れてる……)
すごいなあ……
あなたが作ってくれた曲のこと好きって言ってもらえて、すごく嬉しい
あ、そうか……私が作ったんだよね……
そう。だからあなたもコメントを返してみない?
だ、ダメだよ! 今の私じゃ……
いつか……全部思い出せたら、書きたいな
約束だよ!
はい、どうぞ~
ありがと、助かるわ。
まさか教科書を忘れるなんて情けないわね
ウッカリさんは誰にでもあるよ~
そうね。
ただ、正直なところ教科書を借りてもあまり意味はないのよ……
どういうこと?
だって、この教科、見てるとものすごい眠気がくるの
今度の試験……大丈夫?
え? 試験? なんのことかしら? 記憶にないわね
現実逃避しても試験はなくならないよ?
やめて、言わないでちょうだい!
試験がなくなるか、勉強しなくても頭の良くなる方法を誰か教えて
それは……難しそうだねえ。
彼方ちゃんが勉強付き合ってあげるから、頑張ろ!
ここにいたんだね。日が暮れてきたし部室に戻ろう、かすみちゃん
はぅ~~~……
(どうしたのかな、なんだか元気がなさそう。悩みでもあるのかな?)
先輩、今のかすみんどう思います?
どうって……なんだか元気がないなって思うよ
ええー! それだけですか?
えっと……
儚げな雰囲気なかすみんもかわいくないですか!?
ん? 特になにかあるってわけじゃなく……
かわいいポーズをしてみたってこと?
そうです! ドキッとしちゃいましたか?
悩みがあるのかも、ってドキッとしちゃった。元気なら良かったよ
心配してくれたのは嬉しいですけどー、
でもでも、そうじゃないですぅ!
近々学食で、大盛りカレーチャレンジというフェアが
開かれるそうです。知っていましたか?
そんなフェアやるんだ! 知らなかった!
おもしろそう! 挑戦する子いるのかな?
ここにいます!
え、せつ菜ちゃんが?
チャレンジと言われては、挑まないわけにはいきません。
気合いと根性で必ずや試練を乗り越えてみせます!
おお、気合い入ってる! 応援してるね!
ありがとうございます! あなたの想いも背負って戦いますね!
あ、栞子ちゃん、ここにいたんだね
歩夢さん……あ、もうこんな時間ですか?
すみません、仕事が長引いてしまって
ううん、大丈夫だよ。まだ少しかかりそう?
いえ、丁度今終わったところです。お待たせしました
じゃあ、行こうか?
はい!
う~ん……あんこに抹茶にクリームチーズにラムレーズン、
まさか、たい焼きにこれほどまでの種類があるとは
どれもおいしそうで、悩んでしまいます
できることならすべて食べてみたい、
ですがそんなに食べられませんし……
それじゃ、私があんこと抹茶を買うから、栞子ちゃんは
クリームチーズとラムレーズンを買って、それぞれ半分こしない?
え!?
それなら全部楽しめるでしょ?
いいんですか……?
もちろんだよー!
嬉しいです! ありがとうございます!
あれ、どうしたの?
ちょっと頭が痛くて……
ええっ、大変! お薬飲む?
ううん、少し休めば良くなると思う
ちょっといい? こめかみを手のひらで包むようにして……
エマさん?
こうやって、ぎゅ~ってすると痛みが和らぐんだよ
あ……少し楽かも……
はやくよくなれ~、ぎゅ~
あなたを私のペットに紹介したいから、
放課後、うちに招待しても、いい?
璃奈ちゃんのペット? うん、私も会いたい!
それじゃ、また放課後にね
この子が私のペット。アランだよ
わあ、ロボットのペットだったんだね。初めまして、アラン
アラン、ご挨拶は?
ニャー
あはは、ご挨拶できるんだ! おりこうだね!
ニャー
うちのアランは、世界一おりこうで、かわいいの。
「お手」もできるし、録画機能も搭載
録画機能!? おりこうすぎるよ、アラン……
おりこうだもんね、アラン
ニャンニャン
あ、君、ちょっといいかな?
はい、なんですか?
これ、果林さんに渡してもらえる?
はい、これは……?
パンフレットだよ
この前、同好会の3年のみんなと舞台を観に行ったんだけど、
その時は売り切れていて買えなかったの
果林さんが残念がってたから、
ちょっと人づてに聞いてみたら譲ってもらえたのよ
みんなで舞台に行ったりするんですね
最近は結構行ってるかな。
演劇の面白さに興味を持ってもらえて嬉しい限りだわ
それじゃよろしくね
はい、確かに受け取りました!
歩夢ちゃん大丈夫? 緊張してない?
すごく緊張してる……こんなに緊張するのは、
ステージに初めて立ったとき以来かも……
でもどうして卓球部が、歩夢ちゃんに助っ人をお願いしようと
思ったんだろう?
わからない……でも私なんかを誘ってくれたんだもん、
頑張らなくちゃ!
愛ちゃんみたいには活躍できないだろうけど、
頼られたなら全力で応えたいの
歩夢ちゃん……!
応援することしかできなくてごめんね
自信持って
力になってあげたいけど応援することくらいしかできなくてごめんね
ううん、あなたの応援があればいいの! 私だけを応援しててね
歩夢ちゃんならきっと大丈夫だよ。自信持って!
ありがとう。そうだよね、せっかく私に声をかけてくれたんだもん。
始まる前からこんな気持ちじゃダメだよね。よし、元気出てきた!
あなたも応援よろしくね!
うん! 全力で応援するね!
ありがとう。絶対だよ!
いってらっしゃい!
はぁ~、もう身体に力が入らないわあ
ふふっ、今日は愛ちゃんとせつ菜ちゃんとランニングしたんだもんね
ランジュももっと頑張らないとダメね!
ねえ、エマ、お願いがあるの
なあに?
ランジュ、エマが作ったはちみつレモンが食べたいわ。
あれがあるとランジュは100倍頑張れるの!
ふふっ、お安い御用だよ~。じゃあ、寮に帰ったら作るね!
きゃあっ! 楽しみだわ!
私に質問ですか? なんでしょう?
栞子ちゃんは、どうしてスクールアイドルになろうと思ったの?
そうですね……
少しでも不幸な人がいなくなる世界にしたいと思ったから、でしょうか
身の程をわきまえない壮大かつ無謀な考えだと
自分でも理解はしています。
私は応援するよ
素敵な理由だね
無謀だろうがなんだろうと私は応援するよ、
それが栞子ちゃんの叶えたい願いなら
ふふっ……昔、同じようなことを言ってくれたんですよ。
その言葉があったから今の私があるんです
ううん、素敵な理由だと思う。
みんなの幸せを心から願える優しい栞子ちゃんなら、
その目標もきっと叶えられるって私は思うな
ありがとうございます。あなたに言われて、
ますます頑張ろうという気持ちになってきました
改めて、これからもよろしくお願いしますね
果林ちゃん撮影が近いからダイエットしてるんだって
ダイエットなんてしなくてもいいと思うけど……
だよね~。彼方ちゃんもそう思う。
無理なダイエットは健康によくないし、もし倒れちゃったら大変だよ
そんなことになったら撮影できなくなっちゃうもんね
だから果林ちゃんのために、
またヘルシーなお菓子を作っちゃおうと思ってるんだ~
いいね
果林さんも喜んでくれるよ
彼方さんはなんでも作れるんだね
果林さんもきっと喜んでくれると思う
そうだったらいいな~、実はもういくつか試作品も作ってるんだよ
彼方さんはなんでも作れてすごいなあ
えへへ、褒められちゃったぜ~。
あのね、今いくつか試作品を作ってる最中なんだ
それで、そのついでって言うわけじゃないけどこれも作ってみたの。
よかったら食べて
え、いいの? うわ~、私このお菓子好きなんだ、ありがとう!
もぐもぐ……ん~、おいしい! すごく私の好きな味だよ!
(好きっていうか、どこか懐かしいような……)
ふふっ、好きな味でしょ~?
彼方ちゃんはあなたの好きな物なんでもわかるよ~。
またいろいろ作るね!
あ、先輩! ちょうどいいところに!
どうかしたの?
実は学食で期間限定スイーツを食べたいんですけど、
すごく大きくてひとりで食べきれる自信がないんです
もしよかったら先輩、半分食べてくれませんか?
え、いいの?
期間限定って気になるよね
私も食べたいと思ってた
期間限定って聞くと気になっちゃうよね
やった~、先輩と半分こ!
だからかすみん、先輩のこと大大だ~い好きなんですよ~!
私も食べたいなって思ってたんだ
わーい、先輩もかすみんとおんなじ気持ちだなんて! 嬉しいです~!
それじゃ頼みますね。あまりの大きさに驚かないでくださいよ~
そ、そんなに大きいの……?
ねえ、あなたには、ステージに立っている今の私がどう見える?
私の知ってる歩夢ちゃんとちょっと違うかも……
どう違うの?
えっと……
素敵なスクールアイドル、かな?
キラキラしてる
なんだろう……上手くは言えないんだけど、
素敵なスクールアイドル、かな?
素敵なスクールアイドルか……
ごめんね、抽象的なことしか言えなくて……
キラキラしてるっていうのかな……
私の知ってる幼馴染の歩夢ちゃんのはずなんだけど、
ふとしたときに違う子を見ているような感覚がするんだ
つまり、知らない私を見てるみたいってこと?
たぶん、そうなのかも……歩夢ちゃんは歩夢ちゃんなのに、ごめんね
ううん、謝らないで。私の方こそごめんね。
意地悪なこと聞いちゃった
でも……
それより、このあと買い物に行かない?
限定のフルーツサンド食べたいな!
う、うん
誰もいないわね。今のうちに……
あ、やっぱり果林さんだ
きゃっ、あ、あなたこんなところにいたのね
ちょっとだるくてベッドで休ませてもらってたんだ
え……大丈夫なの?
うん、もう平気
そう、よかった
果林さんはどうしてここに?
え~と……ちょっと身長を計りたくて……。
少し身長伸びた気がしてね
あ、果林さんは読者モデルもしてるって言ってたもんね。
やっぱりモデルさんには身長が必要?
そうね。私が目指す世界には必要だと思うわ
果林さんが目指す世界か……。頑張ってね!
ええ、ありがとう
しずくちゃんなにしてるの?
演劇部の部員募集ポスターを貼っているんです
この時期に?
演劇部はいつだって仲間を求めてますから!
確かに、いつ始めたっていいもんね
私にもやらせて
頑張ってね!
ポスター貼りのお手伝い、私にもやらせて
本当ですか!? 嬉しいです、先輩!
演劇部に新しい仲間が増えるの、私も応援する! 頑張ってね!
ありがとうございます、先輩!
先輩にそう言ってもらえて、私もっとやる気が出てきました!
この情熱をポスター1枚1枚に込めて、貼っていこうと思います!
にゃ~ん
あら、アナタも日向ぼっこ?
ここ日差しが暖かくて気持ち良いわね。ご一緒しても良いかしら?
にゃ~
ふふ、ありがとう
そうそう、ピィピィはランジュのお友達だから、
見かけても追いかけちゃダメよ? 仲良くしてね
みゃん!
いい返事ね!
あれ、ベイビーちゃん?
あ、ミアちゃんも次の授業は体育?
まあね
あれ、でもジャージじゃないんだね、見学?
そう……
具合悪いの?
無理に見学しないで保健室行ったほうがいいんじゃない?
え? いや、そこまでじゃないし……
でも心配だよ。1回保健室行こ? ね?
も~! ベイビーちゃんって根っからのお人好し!
んん~
考え事?
そう。愛さん宝探ししてみたいな~って考えてるんだ
宝探し!?
みんなで宝物を持ち寄ってどこかに隠してさ、時間決めて探すの!
みんなでやったら楽しそうじゃん?
確かに楽しそう……
君だったらどこに隠す?
うーん、そうだなあ……
私だったら……
どこだろう?
そうだな、私だったら……
あ、やっぱ言っちゃダメ! 君の隠し場所がわかっちゃうから!
どこだろう……? パッとは思いつかないかも
あはは、確かにそうだよね~。ゆっくり考えていいよ、
期限はたっぷり取る予定だから!
やることは決定なんだね!?
エマさん、手紙を書いてるの?
うん。スイスの家族に送ろうと思って
メールでもメッセでもなんでもあるのに、手書きの手紙なのね
メールやメッセは便利だけど、お手紙はなんだか特別な気がするんだ
確かに、その気持ちはわかるわ。
私も応援してくれる人からもらう手書きの手紙は大好きよ
そんなに違うもの?
ええ、ひと文字ひと文字想いをこめて丁寧に書いてくれてるのが
伝わってくるもの
前言撤回するわ。やっぱり手紙が一番ね
果林ちゃんもたまには家族に手紙を書いてみたら?
うふふ、そうね。考えてみるわ
1234、1234――はい、ここまで。
タオルとドリンクどうぞ
ふぅ~……ありがとう
果林さんのダンスってすごいね
あら、褒めてくれてありがと
前に練習を見せてもらったときも感じたんだけど……
目が釘付けになっちゃう
果林さんの虜になるのもわかる
オーラがあるって言うか、目が釘付けになっちゃうよ
嬉しいことを言ってくれるのね。でも、まだまだよ。
もっと上を目指してるの
そのためにはまず練習!
みんなが果林さんの虜になるのもわかるなあ
ふふっ、じゃあ今よりもっとみんなを魅了できるように頑張らないとね
さあ、休憩はこれくらいにしてもう一度最初から始めましょう
うーん……
新作マカロンの構想が出てこない……
季節のフルーツは、ありきたりだしなあ……。
いっそスイーツっぽくない材料を使ってみようかな
う……冒険しすぎかな……
ううん! トライアンドエラー、だよね!
近江さんに相談してみようっと
とっても素敵! いいものを見せてもらったわ、しずく!
ありがとうございます
なんとなく舞台の稽古を覗きに来て、
こんなに感動させられるとは思わなかったわ
いつが本番なの? ランジュも招待してくれるわよね?
想像しただけでワクワクするわ!
もちろん招待します! 期待を裏切らないように頑張りますね
最高の舞台に決まってるわ。だってしずくだもの!
先生、プリントを持ってきました……あれ?
誰か寝てる……?
ん~……栞子ぉ……
薫子先生か
んふふ……セミ爆弾……
そんなに気に入ってくれたなら……次はぁ……
……セミ爆弾?
しおってぃー、今度愛さんもボランティアのお手伝いしてもいい?
はい、もちろんです。子供たちもきっと喜びます
やったー! サンキュー!
ねえねえ、ボードゲームとかどうかな?
いいですね! みんなゲームは大好きですから
じゃあ、アナログゲーム研究部から簡単なの借りてくる!
この前借りて遊んだら楽しくてハマっちゃったんだよね
みんなでやろー!
はあ……、なんか乗らないな
なんて言ってる場合か!
こんなに考えてひとつのフレーズも浮かんでこないなんて変だ!
……こんなとき、前ならベイビーちゃんが目ざとく気づいて
頼んでもないのに話しかけてきて……
…………
もういいや、今日は帰る!
マイちゃん、撮影しても大丈夫だって~
交渉してくれてありがとう、エマちゃん!
試合を撮影できる機会は貴重だよ~!
あ、でも条件があってね
条件?
撮った写真をちょうだい、って
なにかと思えばそんなこと……もちろんお安い御用
むしろ気合いがはいるよ! よしっ、撮るぞー!
(今日もみんなキラキラしてたなぁ。そろそろ私も帰ろうっと)
あれ、せつ…、菜々ちゃんだ。誰かと待ち合わせ?
あなたを待っていました
えっ!?
ご、ごめん! 何か約束してたっけ!
わ、私を……!? なんで?
ご、ごめん! 何か約束してたっけ!
いえ! そういうわけではないです!
わ、私を……!? なんで?
その、深い意味はないのですが……
ただ、なんとなく……今日はあなたと帰りたくなってしまって……
(何か悩み事でもあるのかな……?)
音楽史の副読本だよね……はい、これでいいのかな?
Thanks. いつも悪いね
いつも?
ベイビーちゃんは覚えてないだろうけど、
これを借りるのは今回で10回目
そんなに!?
夜寝る前には翌日の授業の準備しなきゃダメだよ、ミアちゃん!
うわっ、言うんじゃなかった!
明日からやるよ! じゃあね!
今日からやって……
見て見て、大きな飛行機雲
本当だ。きれいな飛行機雲だね。
あんなに長いのは、滅多にお目にかかれないね
ねえ、素敵なものを見つけたら、お互い教え合おうねって
昔約束したの覚えてる?
もちろん覚えてるよ。忘れるわけない―って、
私が言っても説得力ないか
ふふふっ、大丈夫だよ。
これからも素敵な物を見つけたら、すぐあなたに教えるね
ぜひとも次の学食コラボは、戦隊ヒーローものでお願いします!
せつ菜さんの熱意は十分すぎるほど伝わりました
ですが学食として採算のとれないものを採用するわけには……
もっともなご意見です。
ですから、実際に収支の計算をしたデータを用意してきました
この資料を見てください。見ていただければ私の提案が
現実的なものだと理解してもらえるはずです
すごい、こんなに細かく……。せつ菜さん……本気なのですね!
大好きを広めるためなら全力を尽くす。それだけです!
わかりました。前向きに検討させていただきます
ありがとうございます! この手に戦隊ヒーロープレートを!!
ファッションショーの準備中にお邪魔してごめんね
気にしないで。でも、衣装に着替えるわけでもないし、
ただ歩くだけなんだから面白いものではないわよ?
ランウェイを歩く姿を見られるだけで十分です。
後学のためにもよろしくお願いします
わかったわ。それじゃ、いい子に見学しててね
なんだか緊張するね
はい、本番でもないのに緊張感がありますね
あっ、果林さんが出てきたよ
すごい……
(きれい。これがモデルをしているときの果林さんなんだ)
ふたりともどうだったかしら?
感動しました! 「歩く」ということがこんなに表現力を
必要とするなんてすごい発見でした!
ふふっ、大袈裟ね
かすみちゃん、ここにもいない
そうだね
どこまで逃げたんだろう……。璃奈ちゃんボード「はてな」
かすみちゃん、そんなに嫌だったのかな……
小テストの結果が悪かったから、みんなで勉強会をしよう、って
言っただけなのに……
かすみちゃん、このままじゃおバカ王に君臨し続けちゃう……
(おバカ王? なんだかわからないけど、
そんな不名誉な称号は早くなくさなきゃだよね……)
一緒に探しに行こう
手分けして探そう
よし、璃奈ちゃん、一緒に探しに行こう
ありがとう、心強い
次はどこを探そうか?
他の場所も手分けして探してみよう
うん。じゃあ、私はあっちのほうを攻めてみる
あ、待って。すぐに見つける方法を思いついた。
あなたから「今から部室にきて」って、
かすみちゃんにメッセージ送ってほしい
え? 逃げてるなら、呼び出しても無駄じゃない?
あなたなら、大丈夫
そうかな? じゃあ、送ってみるね。
「今から部室にきて」……送信っと
逃さないよ、かすみちゃん
大量大量~! 今回はどんなことが書かれてるかな~
あれ、大きな箱持ってるね、かすみちゃん? 持とうか?
あっ、せんぱ~い! これ、こう見えて軽いから大丈夫です!
そうなの?
これ、同好会へのご意見ボックスなんです
ご意見ボックス?
はい! いつもはかすみんたち同好会へのメッセージとか
リクエストを入れてもらってるんですけど……
今回はニジガクのみなさんから、今一番やりたいことを募集したんです。そのお手伝いをかすみんたちがやりたいなと思いまして!
へえ、いろんな活動をしてるんだね
いっぱいお手紙来てるので、一緒に見ましょー!
うん!
んぅぅ……すやすやぁ……むにゃ……
……寝てる。こんな所で寝て風邪引いちゃいそう
起こしたほうがいいかな……
遥ちゃあん……かうぼーぃ……
あんもないと……
これは……
寝言……?
起きてる……?
寝言……?
んぅぅ~……遥ちゃん……りこぴんたっぷり……
彼方さん、もしかして起きてる……?
むにゃ……ぽかぽか……はんぺん……
……完全に眠ってるね。というか……
(かわいい寝言すぎて起こせない……)
ない……一体どこにいったの?
なにか探し物?
みんなとお揃いのタオルがないの! アナタも一緒に探して!
もちろんだよ。 ランジュちゃんにとって大切な物だよね?
そうなの! 絶対見つけなきゃなのよ、だからお願いね!
そんな切羽詰まった顔をして、よっぽど大切な物なんだね
ええ、ランジュの宝物よ
そっか、宝物なら絶対見つけ出さないとね
あれ? ねえ、ステージの上にあるあれって違う?
あ! あれよあれ! あんな所にあるなんて……
見つけてくれてありがとう。感謝するわ
お礼なんていいよ。それより見つかって良かったね
ええ、本当に……本当に良かったわ
(あんなに安心した顔をして、本当に宝物なんだ)
はぁ~~~……
ずいぶん深い溜息ですね。
溜息をひとつ吐くと幸せがひとつ逃げてしまいますよ。
私で良ければお話を聞きましょうか?
みんなのことも自分のことも覚えてないとか、
なんて情けないんだろうと思っちゃって……
でも、それはあなたのせいではないです
そうかもしれないけど、みんなとの思い出を忘れちゃってるのに
みんなすごく優しくて……
私、どうしたらいいんだろう……
……あなたの悩みとはちょっと違うかもしれませんが、
私も自分のことがわからなくて悩んだ時期がありました。
ですからお気持ちは少しはわかるつもりです
その時、栞子ちゃんはどうしたの?
悩みましたが、明確な解決策は見つかりませんでした
ただそれでも立ち止まってはいけない、
悩みながらも動いていくことが大事だと感じたんです
ですから急がず時間をかけてもいいんです。
あなたが納得するまで一緒に考えましょう
うん……ありがとう、栞子ちゃん!
会長の新衣装のデザインを作ってみたんだけど、
だんだんわからなくなってきたわ……
なんでも似合うもんねえ
左月はどの衣装の会長が良かったと思う?
そんなの選べないよ!
あ、でも会長の猫耳メイド服って最高だったよね~!
同意しかないわね。恥じらう姿もよかったわ
なんでも似合う、ってのも悩ましいねえ
そうね……。私としては、
ちょっとやんちゃな衣装も見てみたい気がするんだけど、どう思う?
ギャップ萌え……有りだね!
と、言いつつ正統派の着物も捨てがたい!
会長の意見も気になるから、今度それとなく話してみない?
そうしよう!
今話したようなライブをしたいのだけど、可能かしら?
少し準備に時間はかかるけど、十分可能だと思う
それじゃ、璃奈に舞台装置の製作をお願いしてもいい?
うん。面白そうだし、やってみたい。璃奈ちゃんボード「ワクワク」
謝謝! 璃奈に相談して正解だったわ
他にも、こだわりたいところがあれば教えてほしい。
やるなら完璧にしたい
そういうことなら遠慮せず言わせてもらうわ。
だけど長くなりそうだからランジュのお部屋に行きましょ!
おいしいお茶とお菓子もあるのよ!
うん! 楽しみ!
ミア、お砂糖とミルクは?
ボクを子供扱いしないでくれるかな、コーヒーはブラックに限るだろ
ふふ、意見があうわね。私もブラック派なの。
豆の香りと深みを感じたいならブラックよね
まったくその通りだね。わかってくれて嬉しいよ
ん~、いい香り……
ミアも冷める前にひと口どうぞ
そうだね。それじゃ―ケホッケホッ……
大丈夫?
ちょ……ちょっとおかしなところに入っただけだから……
改めて豆の香りと深みを味わうよ。―ケホッ!
あら、なんだか涙目になってるわよ
なってない!!
エマさん、お疲れ様。合唱部のお手伝い、私にもできることある?
わあ、ありがとう! だけどわたしひとりで大丈夫だよ~
あ、でもせっかくなら、
次の発表会で着てもらう衣装を見てほしいな。今回は自信作なんだ
ほら!
わあ、素敵な衣装!
お揃いのケープがかわいいね!
フリルを足したらもっとかわいくなりそう
お揃いのケープがかわいいね!
ふふっ、あとはリボンの先端に刺繍を入れるんだ~
あ、でも裾にフリルを足したら、もっとかわいくなりそう!
確かに! リボンの色と合わせたらいい感じになりそうだね。
リボンに刺繍を入れるときに試してみようっと
衣装の相談をしてもらえるの、とっても嬉しいから張り切っちゃうよ~
雷鳴ってる……こっちにこないといいなあ
雨が降る前に帰ろうかな……
うう~~!
愛ちゃん?
あ、奇遇だね~……こんなとこで……
うわああっ!?
……もしかして雷が苦手なの?
雷怖ガール……愛サンダーけに……あはは……
お願いっ! しばらく愛さんとお喋りしてて~!!
う、うん!
せつ菜ちゃん、急な話って―
こちら、ぜひ読んでください!
……これは?
おすすめの小説とマンガです
本当に面白い作品なので、
もっと多くの方に知ってもらいたくて布教活動をしているんです
ふふっ。せつ菜ちゃん、いきいきしてるね
そんなに面白いんだ?
見たことないのばっかり!
そんなに面白いんだ?
控えめに言っても神作です!
あまりの面白さに時間も忘れて一気読みしてしまうほどです!
見たことないのばっかりだから、どんな作品か気になるな
わあ、嬉しいです!
どの作品も素晴らしいので、読んで損はさせませんよ!
あはは! じゃあ、ありがたく借りるね
どうぞ! 後でぜひ感想を聞かせてください!
せんぱ~い、かすみんを慰めてください~!
はんぺんが、かすみんと遊んでくれないんです!
りな子たちとは遊ぶのに、かすみんが近づくと
どこかに行っちゃうんですよ
ネコは気まぐれって言うし、たまたまだよ。
次は遊んでくれるよ
む~、そうですかね?
あ、ほら、はんぺんが来たよ!
はんぺ~ん♪♪♪
あ、引き返した……
かすみちゃん、あの……
……くふふ……くーっくっく! わかりましたよ!
かすみんのかわいさに恐れをなしたに違いありません!!
かすみちゃん……泣かないで……
泣いてませんっ!!
ごめんね、来てもらっちゃって
いいえ、ネットが破れたというのは一大事ですから。
報告してくださってありがとうございます
さっそく見せてもらっていいですか?
これなんだよね……
これは……何度も補修を繰り返して使っていたのですね。
ここまで大事にされたらネットも喜ぶでしょう
ネットだってうちの仲間だからね。
でももう補修が追いつかなくなっちゃってさ
そうですね。新しいものを買いましょう。
申請書を出していただければすぐに手配します
ほんと? ありがとう!
では、引き続き練習頑張ってください
……あれどこに行くの? 体育館の出口は向こうだよ?
ついでなので、体育館倉庫に行って他の備品も確認していきます
さすがだなあ。いつもありがと、生徒会長!
しずくちゃん、これって……あ、ごめんね。何か作業中だった?
いえ、大丈夫です!
今度みんなで行くお店の情報を収集していただけなので!
え、ありがとう! じゃあ、しずくちゃんがいれば安心だね
計画通りにいけばいいのですが、
以前、調べずに失敗した経験があるので……
って、その話はいいとして!
スマートにみなさんを案内したいんです!
(そっか、それであんなに真剣な表情をしてたのか)
そういうことができる人ってかっこいいよね
楽しみだなあ
そういうことができる人ってかっこいいよね
そ、そうですよね! 私もそう思います!
しずくちゃんがどんなお店に連れて行ってくれるのか、楽しみだなあ
そう言ってもらえると、私も調べがいがあります!
ふふっ、というわけで引き続きリサーチです!
期待しててくださいね、先輩!
(あ、歩夢ちゃんだ)
(真剣な顔……何書いてるんだろう? 宿題?)
歩夢ちゃん
わっ!?
び、びっくりした……
驚かせちゃってごめんね。宿題してたの?
あ、これ? ううん、違うの。
理想のスクールアイドル像を書いてたんだ
理想のスクールアイドル像?
うん。楽しんでもらうことはもちろんだけど、
私がみんなに何をしてあげられるのか、ちゃんと考えたいなと思って
なんだか歩夢ちゃん……頼もしくなったね
ふふふっ、スクールアイドルになれたから、だよ!
あれ、愛ちゃん、おにぎり食べてるの?
うん、朝ご飯
ここで食べるといつものおにぎりも100倍おいしーんだよね!
あ、中庭で食べるおにぎりも100倍おいしいな……
あはは、そうなんだ
いつもよりおいしいと思える場所があるのはいいね
ピクニック気分を味わえちゃうね
いつもよりおいしいと思える場所がたくさんあるのはいいね
おっ、いいこと言うー!
そうだよね、おいしいと思う場所はいくつあってもいい!
ピクニック気分を味わえちゃうね
そうそう! 外で食べると気持ちいいし!
ねえ、君も一緒におにぎり食べようよ!
一緒に食べたら、もっとおいしいおにぎりになっちゃうんじゃない?
はい! おひとつどーぞ!
え、みんなサラダと野菜ジュースだけなの?
ふふ~ん! かすみんたち、
ビューティー部としてこれから1ヶ月はダイエット期間なんです
ねー!
はい!
頑張る。璃奈ちゃんボード「むんっ」
試練の時です
みんなダイエットなんてしなくてもいいのに……
おいしいねって笑ってるみんなが好きだよ
一緒に食べるとおいしいよ?
それに、おいしいねって笑ってるみんなが好きだよ
えっ……
一緒に食べるとおいしいよ?
せ、先輩……!
やっぱそうですよね~! かすみん、牛丼頼んできまーす!
ええ……
かすみちゃん……
あの決意はどこに……
急に呼び出してごめんなさい
ううん、気にしないで。それで、やりたいことって何?
私でお手伝いできるかな?
ええ、キミにお願いしたいの
わかった。何をしたらいい?
ええと……何もしなくていいわ。ただ、一緒に写真を撮りたいの
えっ?
いいかしら?
もちろんいいけど、それがお願いなの……?
ふふっ、そうよ
ありがとう。宝物が増えたわ
(増えた……?)
……あっ、もしかして前も撮ったことがあった?
まあね
急に呼び出して一緒に写真を撮りたい、だなんて言われて、
びっくりした?
えっと……
少し……
嬉しかったよ
少し……。果林さんっていつも大人でリードしてくれて、
なんでもひとりで出来ちゃうイメージで……。
人になにかお願いするタイプじゃないって思ってたから
まあ……そうよね
嬉しかったよ。
私と過ごす時間を大切に想ってくれてるんだなって感じたから
それならよかったわ
私も柄じゃないと思うけど、
前にキミが言ってくれたことを実行したくなったの
なにを言ったの?
いつか教えてあげる
あれ、彼方さんどうしたの?
ねえ、月曜日って一番眠たい日だと思わない?
あんまり曜日で眠気を感じることはないけど……
そう? 彼方ちゃんはと~っても眠いのです……
というわけで、おやすみなさ~い
おやすみな―じゃないよ! 彼方さん、授業始まっちゃうよ!
あ、ランジュちゃん
きゃあっ! こんな所で会うなんて運命だわ! さすがお友達ね!
あはは、確かに学科が違うし珍しいよね
アナタ、きっと心の奥でランジュに会いたいと思っていたのね
これからもいつでも会いたいと思いなさい
そうすればきっと、ランジュと会えるわよ!
にゃう~
肉球ってどうしてこんなに癒やされるんだろう
つい触りたくなっちゃうよね
……くんくん、くんくん
ん? なにか匂いする?
……あ、もしかしてオフィーリアの匂いがするのかな?
ふふ、いつかオフィーリアにも会って欲しいな
にゃーん!
しずくばかりくんくんされてずるいぞ!
ミアちゃんってバスケうまいよね
そう? まあ、ステイツではバスケは人気スポーツだし、
キミたちよりはプレイする機会が多いのかもね
ドリブルもうまいよね。
すばしっこく……じゃなくて機敏だよね
今なんか変なこと口走らなかった?
そうだっけ?
そんなことないよね?
騙されないぞ! ボク、ステイツでは大学生なんだからな!
え? ビックリした……来たなら来たって言ってよ~
声をかけようかと思ったんだけど、エマさんの歌に聞き入っちゃった
ただの童謡だよ?
なんだか安心感があるっていうか、心があったかくなっちゃった。
エマさんの歌って不思議だね
もし私が子供だったらエマさんのそばから離れられなくなっちゃう
子供じゃなくてもずっとそばにいてくれてもいいんだよ~
あはは、もっと聞かせて欲しいな
はぁ~……
難しい顔をしてどうしたの?
雑誌の編集さんから、子供の頃の写真を持ってきてほしい、って
言われたの。そういう企画なんですって
果林さんの子供の頃かあ。お淑やかでおすましさんだったのかな
お淑やかでおすましさん……
ねえ、もし子供の頃の私と今の私、全然違うタイプだったらどう思う?
違うタイプ?
想像つかないなあ
元気に走り回ってるとか?
んー……想像つかないなあ……
まあ、そうよね……
元気に走り回ってるとか?
えっ!? ま、まあ例えばね
でも、ギャップにときめいちゃうかも!
……!
ふふっ、ありがとう
ふふっ……ふふふ……
なに見てるの、しずくちゃん?
あっ、先輩、いいところに!
先輩もオフィーリアの写真見ませんか?
昨日ペットサロンでトリミングしてもらったんですが、
そのサロンではトリミング後に記念写真を撮ってくれるんです
大きなリボンをつけてもらったオフィーリアがかわいくてかわいくて! ほら!
わあ、かわいい! しずくちゃんがしてるのと似たようなリボンだね
そうなんです!
……あれ、なんかこの写真見てると……
懐かしい気が……
もふもふしたくなっちゃう
なんか懐かしい気が……
先輩……私のことより先に、オフィーリアのこと……?
え?
もふもふしたくなっちゃうな
そう言えばこんな気持ち、前にも……
ま、まさか……! 私より先にオフィーリアの記憶が……!
わかります、オフィーリアはかわいいから!
わかりますけど……!
……思い出せそうと思ったけど、やっぱりダメみたい
うう……オフィーリアが先でもいいです。
私のことも思い出してください!
ん~、幸せ~
あ、彼方さんなに食べてるの?
ロールケーキだよ~
実は昨日の夜、夢の中にロールケーキが出てきてね、
なんだかすごく食べたくなっちゃって~
ん~、おいし~!
あはは、夢を現実にしちゃったんだね
そう
強く強く願えば、夢だって現実にできちゃう
……と、彼方ちゃんは思うのです
あなたもひと口どう?
ありがとう! いただきまーす!
歩夢さん、突然引き留めちゃってごめんね
大丈夫だよ。それよりはんぺんどこ行っちゃったんだろうね
中庭にはいなかった
講堂にも……さすがにいないかなあ
はんぺんは、ひとりで電車にも乗っちゃう冒険家。
だから、どこにいてもおかしくない
そっか、じゃあ隅々まで探そう!
……あ、いた。はんぺん発見
……すごーく気持ちよさそうに寝てるね
起こすの可哀想だから、このまま見守りたい
そうだね、もうちょっと見守ろうか
うん
あれ、先生外出してるのかな?
先生が戻ってくるまで休ませてもらおうか?
う、うん……
ゆっくりで大丈夫だよ。ここに横になれる?
ありがとう……
どういたしまして。カーテン閉めるから少し休んでてね。
わたし、先生探してくるから
ううん、大丈夫だよ。たぶん寝不足なだけだから
じゃあ……寝るまでそばにいたほうがいい?
うん。ごめんね、子供みたいなこと言って
体調が悪いと不安になるよね。あなたが眠るまでここにいるから、
安心して眠ってね
ミアちゃん、なにか良い知らせ?
え、どうして?
見てたらわかるよ
ニコニコしてたから
鼻歌を歌ってたから
スマホ見てニコニコしてたから
ニコニコはしてなかったと思うけど……まあいいや
鼻歌を歌ってたから
あー……スマホで観てた動画につられたかも
姉さんから、動画が来たんだ。
ボクと姉さんが一緒に立ったステージの動画。
姉さんの友達が撮ったやつがよく映ってたから、って
ミアちゃんのお姉さんってプロの歌手……だっけ?
一緒にステージだなんてすごいね
……それができたのはベイビーちゃんのおかげなんだよ
え?
なんでもない!
それより、動画が見たいっていうなら見せてあげてもいいよ?
いいの!? 見たい!
はぁ~……
元気ないね、悩み事?
悩みというほどのことではないのですが、
実は姉さんがツーリングに行こうと何度も誘ってくるんです
誘ってくれるのは嬉しいのですが、バイクのふたり乗りは危険ですから
確かに危ないね……
ですが、ふたりで出かけたい気持ちはあるんです。
一体どうすればいいのか……
うーん……そうだなあ
自転車で行くのはどう?
電車でお出かけするのはどう?
じゃあ、自転車で行くのはどう?
お台場はサイクリングコースもあるし、
お弁当を持って行ったりしたら楽しいんじゃないかな?
いいですね!
電車でお出かけするのはどう?
遠出もできるし、車窓からの景色を2人で楽しめると思うな
確かに、電車で移動するのも楽しそうですね
あとで姉さんに相談してみます!
うわっ、今ぶつかりましたよ!?
バスケって激しいスポーツなんですねえ
うん、練習試合が近いらしいから気合い入ってるね
むむむ……これはかすみんも気合いを入れなきゃですね……
え? かすみちゃんも助っ人とかするの?
しますよ!
と言ってもかすみんが頼まれたのはチアリーダーですけど!
チアリーダー!?
えへへ~! かすみんにぴったりですよね!
フレーフレー、ってかわいい衣装で応援するんです!
……って、ウキウキしてたんですけど……
みなさんの真剣な顔を見たら、
かすみんも真剣に応援しなきゃって思いました
あ、でも衣装は先輩のリクエスト聞きますよ!
かすみんにどんな衣装着てほしいですか? 教えてくださーい!
はぁ~、やっぱりこのマグカップで飲むお茶が一番おいしいわ
茶葉じゃなくてマグカップで味が違うの?
そうよ。このマグカップで飲むものこそが世界一なの。
だって、みんなとお揃いの特別なマグカップなんだから!
はい、アナタのはこれよ
これが私の……
そう。はい、ランジュがお茶をいれてあげるわ
うん、ありがとう
さあ、飲んで! みんなとお揃いのマグカップに
ランジュがお茶を入れてあげたの! 宇宙一おいしいわよ!
ん~~
さっきから唸ってるけど、どこか痛いの?
あの子が元気になれるようなお菓子を作りたいんだけど、
なにがいいかな~って考えてたんだよ
ああ、部長さんね。イメージや方向性も浮かばないの?
ぜーんぜん!
でも挑戦したいテーマはあるの!
応援の気持ちを込めた、食べた人に勇気をあたえられるお菓子!
私とあの子の間ではこれ! っていうお菓子が作れたらいいな~
羽目を外して今日御出の何も様に
上ねば成らぬ、売ねば成らぬと、息せい引っぱり
東方世界の薬の元締、薬師如来も上覧あれと
ホホ敬って、ういろうはいらっしゃりませぬか
うまくなったわね、しずく。芯のある発声ができてる
ありがとうございます。でもまだまだです。もっと磨きをかけないと
じゃあ、次は腹筋だけでなく背筋も意識しながらやってみて
はい!
(演劇部の発声練習ってすごいんだな……。しずくちゃん、頑張れ!)
歩夢ちゃんの卵焼き今日もおいしそう
ふふふっ、はいはい、褒めてくれてありがとう。
ちゃんとあなたの分も作ってきてるよ
ありがとう! さすが歩夢ちゃん!
ん~、おいしい! 歩夢ちゃんの卵焼き最高!
ふふっ、
これだけおいしそうに食べてくれると作りがいがありますね、歩夢さん
栞子ちゃんもおひとつどうぞ!
ええっ!? いえ、私は……
栞子ちゃんがおいしそうに食べてくれるところも見たいな……
うん、私も見たい
卵焼きおいしいよ!
食べないなら食べちゃうよ~
歩夢ちゃんの卵焼き、とってもおいしいよ!
ううっ……!
食べないなら私が食べちゃうよ~
そ、それはダメです……!
では、お言葉に甘えて……
はむっ……
どうかな?
「幸せ」の味がします
そう! 歩夢ちゃんの卵焼きは「幸せ」の味だよね!
えへへ! また作ってくるね!
現在、講堂の使用申請を出している部はどこですか?
演劇部と軽音楽部、それとハンドベル部です
3つもですか……
公平にくじ引きかジャンケンで決めますか?
どの部も使える方法があればいいのですが……。
上手な使い方ができるよう各部の部長を交えて相談しましょう
りょーかいです! 部長たちを呼んできます!
はい、お願いします
みんなが納得できる案が見つかるといいですね
ええ、どの部も満足できる案を模索しましょう
失礼します
あれ、果林さん、どこか具合が悪いの?
え? そんなことないけど
それじゃ、どうして保健室に?
保健室? あ……
?
あの……そう! 身長を測りにきたのよ!
ほら、前もキミに見られたことあったわよね!
ああ、そういえばあったね。
あはは、1週間や2週間で身長はそんなに変わらないよ~
そうよね~……。じゃあ、私はこれで
え!? でもせっかく来たなら測っていけば?
いえ、いいの。じゃあね!
はあ……職員室はこっちだったかしら。
せめて学園内での迷子からは脱したいわ……
……よし、これでバッチリです!
菜々ちゃん、なんのポスターを貼ってるの?
美術部のアートフェスティバルのポスターですよ。
テーマに沿って制作した絵画や彫刻の展示をするそうです
面白そうなイベントだね
ええ、美術部のみなさんも張り切っていました
ポスターまだまだあるみたいだけど、他にどこに貼るの?
すべての階の掲示板と、昇降口、部室棟……
特別教室のほうにも掲示許可をもらっています
え!? それ全部ひとりで貼ってまわるつもり?
はい!
私も手伝おうか?
いいんですか?
もちろん
ありがとうございます! あなたと一緒に美術部のみなさんの
「大好き」を広めるお手伝いができるなんて嬉しいです!
あっ、ここにいたのね。ちょっとついてきて!
え? ラ、ランジュちゃん!?
ここで何をするの?
ランジュ、素敵なメロディを思いついたのよ。
だけどなにか少し物足りなくて、
アナタに協力してもらいたいの
えっ!? そういうの、私で役に立てる!?
もちろんよ。だから連れてきたの。
今から歌うから聞いてちょうだい
ラ~ララ~~~ラララ~ラ~♪
素敵なメロディだと思うよ
きゃあっ! 謝謝!
ただ、ランジュらしさが足りてないと思うの。
ねえ、アナタだったらどんなアレンジをする?
ランジュちゃんらしさか……
ちょっと時間をもらってもいい?
パワフルさを表現したい
……ちょっと時間をもらってもいい? ちゃんと考えたいから
もちろんよ! アナタは記憶がなくてもアナタね。
ランジュのことをちゃんと考えてくれる! だから大好きなのよ!
私だったら、ランジュちゃんのパワフルさをもっと表現したいなって
思う。その方向でアレンジを考えてみてもいい?
いいわ! どんどんやってちょうだい!
アナタのアレンジ、楽しみにしてるわね!
ん~、ピカピカ! ねえ、ボールこんな感じでどうかな?
ありがとう、完璧だよ。でも、ボール磨きまで手伝わなくてもいいのに
愛さんだってこのボールにお世話になってる一員なんだからやらせてよ
それにおばーちゃんが言ってたんだよね。
大切に使い続けられた道具には魂が宿るって
もし本当に魂が宿ったらさ、
このボールもゴールに吸い込まれやすくなってくれるかな~、なんて!
あはは! なら私も心を込めて磨かないとね
ミア子、さっきからなに見てるの?
これだよ
ああ、お台場のお祭りのときの写真だね。懐かしいなあ
あれ、お台場にこんな大きなお祭りなんてあったっけ?
あったっていうか、かすみんたちで作ったんですよ
作った!?
そうそう。お台場にずっと残り続けるお祭りを作ろう、って
みんなで協力して作ったんだよ
どのチームが1番すごいお祭りができるか競争したりもしたんですよ
まあ、かすみんのチームが1番だったけど!
どう考えたってボクたちが1番だったよ!
え~、私たちだって負けてなかったよ!
なんか楽しそう……。その写真、もっと見せて!
次はどんなゲームを作ろうかな?
また新作を作るの?
うん。楽しいから、いろんなジャンルに挑戦したい
でも、作りたいジャンルが多くて悩む……。
璃奈ちゃんボード「ぐるぐる」
ふんふん
パズルゲームもいいし、アクションゲームもいい。
シューティングゲームもありかも
でも、どんなジャンルでもみんなで楽しめるゲームにしたい
私でもプレイできるものだといいな。
あんまり難しいのはできないけど……
もちろん。みんな一緒に遊ぼ
あなたは、どんなゲームをしてみたい?
そうだなあ……
夜のお台場を冒険するゲーム!
楽しく勉強できるゲームとか?
私はワクワクできるものがいいな。
例えば、夜のお台場を冒険するとか!
昼のお台場はよく知ってるけど、夜のお台場って
あまり知らないでしょ? 昼と夜でどう違うのか、とか興味あるな。
ほら、メタバースとかって今流行りでしょ?
メタバース……
楽しく勉強できるゲームとか……? ゲーム感覚でなら、
普通に学ぶより楽しくできそうだし。ゲーム内の仮想空間とかで
友達と協力しながらプレイできたら面白そうだな~
ゲーム内の仮想空間……それって、メタバースみたいな感じ?
そうそう!
それなら、愛さんが詳しいかも。相談してくる!
ん~、いいお天気! ポカポカで気持ちいいねえ
ねえ、日向ぼっこしながらお茶会しようか?
いいね!
じゃあみんなも呼んでくるね
じゃあ中庭に行こう
じゃあみんなも呼んでくるね
あっ……
? どうしたの?
じゃあ中庭に行かない? 綺麗なお花が咲いてるのを見たんだ
いいね~! ふふっ、早くお茶の準備をしなくっちゃ!
じゃあその間に、みんなにも声かけておくよ
……今日はふたりだけじゃダメ?
なんだか最近、あなたとゆっくり話せてない気がして……
たくさんお話したいことがあるし、あなたのお話もたくさん聞きたいな
わかった。それじゃふたりだけのお茶会だね
うん♪
大女優への道は遠いなあ……
急にどうしたの、しず子?
察するに、この本を読んだのですね……
『とある大女優の自叙伝』?
うん、みんなは将来の夢への道は遠く険しい、って感じたことはない?
日本一かわいいスクールアイドルへの道はあと一歩って、感じだし
かすみさんに聞いたのが間違いだった
なんでそんなこと言うのっ!!
じゃあ、りな子は!? しお子はどう!?
いっぱい勉強すること、あるな、って思う。
璃奈ちゃんボード「むむむ」
遥か遠くにありすぎて、今はまだ見えてこないほどです
だよね~~~!
でも私、このスクールアイドルの経験を活かして、
なんでも演じられる大女優にいつかなるんだ!
なんでも……
じゃあ、薫子先生のマネしてみてよ!
薫子先生……? そうだなあ……
栞子、勉強ばかりしてないで、たまにはパーッと遊ぼうよ。
ほらほら、宿題なんていーからさ!
1日くらい宿題しなくたって世界が滅ぶわけでもないんだし、
今を楽しも!
すごいです、しずくさん……本当に姉が言いそうなことです……
お客さんがいない空間って、すごーく広く感じますよね
そうだね
じゃあ……
ライブで着てるかわいい衣装とか、かわいいメイクとかがないと、
かすみんも違って見えるのかなあ……
え?
(かすみちゃんって、もしかして自分に自信がないのかな……。
そんなことないよ、って言ってあげなきゃ……。
でも、どう言ってあげるのが正解……?)
そ、そんなこ―
かすみさーーーん!
え?
今日は補習だったでしょ!? 先生探してるよ!?
ぎゃんっ! そうだった!!
先輩っ、また後でーーー!
何も言えなかった……。なんですぐに「そんなことないよ」って
言ってあげられなかったんだろう……
ふむふむ、なるほど……。
先生、お忙しい中ご協力ありがとうございました!
いいのよ。
だけど保健室の使用頻度まで調べるなんて生徒会も大変ね
これも会長の目指すよりよい学園作りの一環なんです
しかし、やっぱり部活動での怪我は多いんですねえ
小さな怪我ではあるんだけどね
全部活、同好会、研究会に専用の救急箱を置いてもらえれば、
擦り傷切り傷くらいには対応できますかね
ええ、いい案だと思うわ
それじゃ戻り次第会長に話してみます!
では、失礼しました
お、丁度良いところにいた!
あ、愛ちゃん。どうしたの?
これから愛トモのみんなとカラオケ行くんだけど
君も一緒に行かない?
私が参加しても大丈夫なの?
あったり前じゃーん! 君も愛トモの一員なんだから!
ありがとう! じゃあ私も行かせてもらおうかな
そうこなくっちゃ! 今日は歌うぞー!
ガーベラ満開だね~
園芸部のみんなが心を込めて育てたからだね
歩夢ちゃんもお手伝いしてたでしょ?
うん、私のお手伝いもちょっとは役に立ててたらいいな
……ねえ、あなたはどの色のガーベラが私に似合うと思う?
歩夢ちゃんに似合う色?
うーん、そうだな……なんでも似合うと思うけど……
ピンク
白
ピンク……かなあ
ふふふっ、あなたならそう言ってくれると思ってた
白かな。純粋で優しい歩夢ちゃんのイメージにピッタリだと思う
そ、そうかな……?
……でも、あなたが言うならそうかも!
教えてくれてありがとう。
じゃあ次のライブは、ガーベラの飾りをつけた衣装にしようかな
……いえ、選択肢のひとつになれば幸いです。頑張ってくださいね
(栞子ちゃん、何の話をしてるんだろう?)
栞子ちゃん
はい。ああ、あなたでしたか
なんだか話し込んでたね、また部活の視察してたの?
いえ、バドミントン部の方からちょっと相談を受けまして
相談?
はい。バドミントンが好きでプロになりたいが
自分にはそこまでの力がない、でも競技に関わっていたい、
どうしたらいいのか、と……
将来のことか……。難しい相談だね
そうですね。進路に関わることです
なんて答えたのか聞いてもいい?
競技そのものを愛しているのであれば、
サポートをする側にまわってはどうかと答えました
例えば世界大会のような試合では、
選手に帯同するサポートチームがいます。
そういう職を目指すのもいいかもしれませんね、と
なるほど……
広い視点でアドバイスできて栞子ちゃんすごいなあ
自分ひとりじゃ気づけないことってたくさんあると思うけど、
栞子ちゃんのアドバイスがあの子にとって
納得できる選択に繋がるといいね
少しでもあの方のお役に立てていればいいのですが……
きっと役に立ってるよ! 私も迷ったときは栞子ちゃんに相談させてね
ふふっ、そう思ってもらえたら嬉しいです。
これからも精進します
(……あれ? 前もこんな話したような……?)
これは……食べるのに少し勇気がいるわね
カラフルなお菓子だね、これってどこで売ってたの?
ステイツの両親が送ってきたんだ。
まったくいつまでも子供扱いで困るよ
だってミアちゃんは14歳なんでしょ? まだ子供―
だから! ボクはステイツでは大学生で
ここではベイビーちゃんより上の3年生だ!
ご、ごめん
まあまあ、せっかくミアが持ってきてくれたんだからいただきましょ
まったくもう……
……ほら、食べてみたら?
私が先!? いや、すごい色だからなあ……
何か問題でも?
ないです! いただきますっ!
……どう?
なんか……複雑な味がするけど……おいしい!
果林さんも食べてみなよ
じゃあ……はむっ……
……ほんと、おいしいわね。意外だわ……
意外ってなんだよ! ボクが子供の頃から好きなスナックだぞ!
(寝不足だわ……眠い……)
(……5分だけ……5分だけ眠らせて……)
すー……すー……
あの、朝香さん
んん……エマ……?
え?
……あ!
ご、ごめんなさい! 何かしら?
先生が職員室に来るように、って呼んでたよ
わかったわ。ありがとう
(うう……条件反射って怖い)
ミアちゃん
…………
ミアちゃん?
うわっ!
なんだ、ベイビーちゃんか。声かけてよ
一応何度か声はかけたんだけど、気がつかないみたいだったから。
びっくりさせてごめんね
いや、こっちこそごめん。音楽を聴いてたんだ
何聴いてるの?
聴く? イヤホン片方貸すよ
ありがとう
こういう曲、好きだな
ミアちゃんの好きな曲なの?
あ……こういう曲、好きだな
あはは
ミアちゃんの好きな曲なの?
……まあ、そんな感じ。キミはこの曲……好き?
うん、もっと聴いていたいなって思うよ
なるほどね
?
いや、記憶がなくても変わらないものってあるんだなと思って
だからさ、毎日毎日、思い出そうと必死になんてならなくていいよ。
ベイビーちゃんはベイビーちゃんだからね
あ、ありがとう?
はぁ~、夢にまで見た限定プリンっ!
(プリンで喜ぶかすみちゃん、かわいいなあ)
はむっ……ん~、おいしいですね、先輩っ!
うん!
買えてよかったね
限定はやっぱり違うね!
限定プリン買えてよかったね
……それだけですか?
?
限定はやっぱり違うね!
確かに味はおいしいですけど……それ以外にも何かないですか?
何か?
ほらほら、ありますよね!
おいしそうに食べるかすみんかわいくないですか? ほら! ほら!
先輩……? なに固まってるんです?
あっ、かすみんのかわいさでそんなことに……?
あーん! かすみんのかわいさって罪かも~~!
以上が、私の考える天使の軍勢対堕天使のストーリーの全容です!
すごいです……予想以上の超大作でした……
もっとコンパクトにまとめる予定だったんですが、
アイディアが次から次へと溢れてしまいまして……えへへっ!
せつ菜さんの作品にかける情熱がヒシヒシと伝わりました!
今はまだ荒削りですが、いずれ脚本を完成させ、
しずくさんに演じてもらうのが夢です
私に、ですか? 光栄です
問題はどの役を演じて頂くか……
しずくさんはどの役を演じてみたいですか?
ええっ!? 選べません! どの役も魅力的です!
だから……全部の役を演じさせてください!
では、記憶がないということを除けば、
いたって健康ということですね
ええ、記憶を失った事による過度なストレスも懸念していたけど、
精神的にも安定しているわね
それを聞いて安心しました
だけど、いつ何が起こるかわからないし見守ってあげてちょうだい
はい、そのつもりです
生徒の健康状態まで気にかけるだなんて生徒会長も大変ね
いえ、これは生徒会長としてというよりも友人としてです
それにこれまであの方にしてきてもらったことを思えば
足りないくらいです。できる限り尽くしたいと思っています
あ、歩夢ちゃん
ふふふっ、学科が違うのに会うなんて、すごい偶然だね
授業のほうは大丈夫?
ほぼ一年遅れてるみたいなものだから正直大変だよ~。
でもクラスのみんなが助けてくれるからなんとか
そっか。数学とか英語とか、専門科目じゃないものは
私も教えてあげられると思うからいつでも言ってね
うん、助かる! ありがとー!
はぁ、はぁ……
璃奈ちゃん、大丈夫!? ヘロヘロになってる!
いつもはこのくらいちゃんと走れてるのにどうしたの?
今日朝ご飯、食べられなかった……
ええっ!?
ダメだよ、ちゃんと食べないと
じゃあ、朝練より朝ご飯にしよう!
ダメだよ、ちゃんと食べないと。
待ってて、おにぎりか何か買ってくる!
大丈夫。飴持ってるから
じゃあ、朝練より朝ご飯にしよう!
でも、それだと朝練できなくなっちゃう……
璃奈ちゃん、いい練習をするためには、ご飯もちゃんと食べなきゃだよ
……わかった
すぐ買ってくるから、待っててね!
ありがとう、待ってるね
よしよし、誰もいないな……
いえーーーい! 独り占めーーーー!!
ど真ん中で昼寝しちゃお!!
(薫子先生……見なかったことにしとこう……)
「この前のライブ興奮しました! ありがとう!」
いえいえ、こちらこそ来てくださってありがとうございます!
「せつ菜ちゃんの大好きをいっぱい感じられて幸せだったよ――」
私こそ幸せです!
「次のライブも期待してます!」
必ずご期待に添えるライブにしてみせます!
それってファンレター?
そんな風に読んでもらえるなんてお手紙書いた人も幸せだね
そんな風?
お手紙にコメントしながら読んでくれてるとこ
え、今、声に出ていましたか!?
うん、全部
つい、家での癖が出てしまいました……!
あはは! 全然いいと思う
私もファンレター出そうかな
私も見てもいい?
私もせつ菜ちゃんにファンレター出そうかな
ふふっ、実はもう、あなたからはたくさんいただいています
私も見てもいい?
あ、でもほかの人に見られたくない人も中にはいるよね……
はい。なので申し訳ないですが、
このお手紙はひとり占めさせてもらいます……!
代わりというわけではありませんが、
過去にあなたが私宛にくれたものを一緒に見ませんか?
たくさんいただいているので!
え、そうなの?
はい。あなたは毎日部活の後に練習ノートをつけてくれていたんです
そこには自分では気がつかないような
細かいことがたくさん書いてあって……。
あれはあなたから私へのお手紙だと思っています!
ミアちゃん、ハンバーガーの割引券あげる
あ、これ……
期間限定バーガーだよ。
私は有効期限内に行けそうにないから良かったらもらって
ボクも暇じゃないんだけど……まあ、もらっておくよ
Thanks.
あ、私そのお店のポテトの割引券持ってるよ。
ミアちゃん、いる……じゃなくて、もらってほしいな。
私も期限内に行けそうになくて……
……だから、ボクだって暇じゃないんだけど?
でも、アボカドディップも無料でついてくるんだよ?
アボカドディップ……?
本場の味を知ってるミアちゃんに確かめてもらいたいんだよね。
ほら、私たちは本場の味を知らないから
ふ、ふーん。そういうことなら調べてきてあげてもいいよ
ボクの舌は厳しいけどね
ハンバーガーとポテトの感想、待ってるね、ミアちゃん!
これが彼方さんの最初のソロライブかあ……
えへへ、彼方ちゃん、
今もしょっちゅうこのライブの動画見返してるんだ~
目一杯のわがままを叶えられた、最初のライブだからね
ねえ、このライブの時に作った目覚まし時計ってまだ使ってる?
ああ、みんなに「彼方ちゃん起きて~」とか
ひと言ずつ言ってもらって録音したやつ?
もちろん毎朝使ってるよ。これがなきゃ、
彼方ちゃん毎日朝練に遅刻しちゃう
あはは、生活必需品になってるんだね
あのね、実はその目覚まし時計には、あなたの声も入ってるんだよ
えっ、そうなの!? 私なんて言ったんだろ!?
なんでしょ~? 今ならなんて言う?
ええ……? 急に言われても……うーん……
そうだなあ……
あっ、そうだ!
起きてくれなきゃ夢の中に迎えに行っちゃうよ、ってどうかな!
……
そっかそっか~、ふふふ~
? 彼方さん、どうして頭を撫でるの?
ん~、あなたらしいな~って嬉しくなっちゃって。ふふふ~
「推しうちわ」って知っていますか?
推しうちわ? なんだろう、初めて聞いたよ
大好きなアイドルやキャラクターを応援するためのアイテムです。
大好きな気持ちをメッセージやシンボルマークで表すんです!
メッセージを書いたうちわ……
あ! みんなのライブ映像に映ってたかも!
そう、それです!
実は今度応援しているアニメのイベントがあるので、
私も作ってみようかと思っているんです!
応援グッズかあ……
私もみんなのうちわを作ってみようかな
私にも手伝わせて
面白そうだし、私もみんなのうちわを作ってみようかな
いいですね! では一緒に材料を買いに行きませんか?
よかったら私にも手伝わせてほしいな。
みんなを応援するときの参考にもなりそうだし
もちろんです! じゃあ、まずは材料調達から始めましょう!
うん!
あっ、愛ちゃんいた!
おっ、どしたのー?
これ、愛ちゃんに関係あったりする?
昨日、家で見つけたんだけど……
どれどれ?
あー! 愛トモバッジじゃーん!!
これね、愛さんの初めてのソロイベントのときに
君に手伝ってもらって作ったんだよ~! 懐かしー!
まだ持っててくれたんだね!
ご、ごめん……そんな思い出深いものだったとは思わなくて……
あははっ、いーっていーって!
てか、コレ見てなんか愛さんっぽいと思ってくれたんでしょ?
ちょーうれしー!!!
うれしーから、改めて君に授けましょう。
制服につけちゃお~っと!
テーピングはこうするときれいに巻けるのよ
本当だ。よれたり捻れたりしてない!
しっかり固定されている感じもします!
でしょ?
だけどテーピングの巻き方を教えて欲しいだなんて、
あなたたちの練習も激しくなってきた、ってことかしら?
そうです!
と、言いたいところですが、本当はまだまだなんです
でも怪我の防止はしておいたほうがいい、って
しずくちゃんが言ってくれたので、私も便乗しちゃいました
そうね、怪我をしないための備えは大切だわ。
だけどテーピングだって万能じゃないんだから
無茶はしないようにね
あなたたちのライブは私たち教師陣も楽しみにしてるんだから、
くれぐれも怪我には気をつけて
はい、ありがとうございます
はい、ありがとうございます
はい、どうぞ
あ、ありがとうございます。一生の宝物にします!
ライブも絶対見に行きます!
本当? 嬉しいわ!
みんなの応援がランジュをますます輝かせてくれるの
アナタの声援で、もっともっとすごいランジュになれるわ!
一番大きな声で応援します!!
かすみちゃん、なにしてるの?
花壇の雑草をとってるんです
園芸部のお手伝い?
そういうわけじゃないんですけど、
端っこにあるお花が埋もれちゃって見えにくくなってたんですよ
このお花たち、小さいけど色も形もすっごくかわいーんです!
もっと見てもらいたいじゃないですか!
ほんとだ、かわいいお花……
ですよね。先輩もそう思いますよね!
ということなので、先輩も手伝ってください!
本当に私なんかが助っ人でいいのかな?
あなたが頼りになるからバレー部からの声がかかったんだよ
そうかな……人数合わせなんじゃ……。
はあ……不安だよ
あなたなら大丈夫だよ!
大丈夫かな……
だって、あなたはいつでもどんな時でも頑張れる人だから、
今回だって助っ人としてできることは何か、たくさん考えてたでしょ?
バレー部の人たちもそんなあなたに期待してるんだと思うの
エマさん……! うん、そうだね
……精一杯やらなきゃ
頑張ってくる!
……精一杯やらなきゃ。
引き受けておいて不安だなんて失礼だよね
私にできるのは頑張ることだけなんだから、精一杯やるよ!
弱音吐いてごめんね、ありがとう、エマさん!
ここで応援してるね!
期待に応えられるように頑張ってくる!
うんうん、その意気だよ!
頑張って!
………………
えっと……私の顔に何かついてる?
最近調子はどうですか?
調子? そうだなあ……
普通……だと思うけど
変わりないかな
普通……だと思うけど
もし悩みなどあれば、どんな些細なことでもいいので
遠慮なく言ってくださいね?
変わりないかな。記憶のほうも相変わらず思い出せないし……
焦らず、ゆっくり進んでいきましょう。私にできることがあれば、
なんでも協力するので気軽に言ってくださいね?
あはは、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう
(栞子ちゃんっていつも誰かのために何かできることはないかって
周りを見てるんだな。なんだかすごく栞子ちゃんらしい気がする……)
(なんて、覚えてないのにこんな風に思うなんておかしいかな?)
しお子、ノート返しに来たよ。ありがとう
お役に立ちましたか?
立った~~~! すごい立った!
教科書にない説明書きもあるし、覚えなきゃいけないポイントに
マークも付いてるし!
よかったです。どうすればわかりやすいか考えながら書いたので
え、それじゃ……かすみんのために書いてくれてたの……?
ええ、まあ……。おせっかいかとも思っ―
しお子ーーーーーー!!
きゃあっ!? か、かすみさん!? 苦しいです!
しお子~~~すきすき~~~~!
あ、ありがとうございます
お礼を言うのは、かすみんの方でしょ!
最近、調子はどうですか?
相変わらず記憶は戻らないけど、
最初の頃みたいに焦ったりはしてないよ
楽しいことが多いから
新しい発見がたくさんあるから
楽しいことが多すぎるからかも。みんなの練習を見たり、
過去の動画を見たりしてるとそれだけで1日があっという間
毎日、同好会のことが好きになってる
それならよかったです!
みんなと一緒に過ごす毎日は新鮮で、新しい発見がたくさんあるから
そんなふうに感じてもらえているなら、私も嬉しいです
前の私って、何が好きだったんだろう?
私たちが教えることもできますが、前は前ですよ
私は、今のあなたが好きなものがもっと知りたいです。
聞かせてください!
へぇ~、このメニュー、ヤギのチーズが使われてるんだって。
珍しいね
ヤギの……
ネーヴェちゃんもミルク出るようになったのかなあ……
ネーヴェちゃん?
スイスで飼ってた仔ヤギちゃんだよ。
小さいのにとっても賢くて人懐っこいの
抱き締めるとあったかくてほわほわで幸せな気持ちになるんだ~
すごくかわいんだろうな、私も会ってみたいな
うふふ、実は会ったことあるんだよ!
え!? 本当に!?
うん、一緒にスイスに行ったんだよ
私がスイスに……? そうだったんだ……。
ごめんね、覚えてなくて……
いいのいいの。ネーヴェちゃんはとってもかわいいから、
初めて会ったときの感動が2回味わえるのはお得かもしれないよ?
そうかな……
そうだよ~! またスイスに行こうね。
ネーヴェちゃんにもまた紹介するから!
やっぱり、次のライブでは100個くらいミラーボールを
吊り下げたいわ!
わたしは風船を100個浮かべたいなあ
……ねえ、日本のことわざに「善は急げ」ってあるわよね
いいことをするのに、ためらっちゃいけない、って意味だよね
そう。だから今から小道具を買いに行くわよ!
うん!
なんでよう!
どうしてミラーボール100個売ってないの!?
ひとつひとつが大きいから、
100個はお店に置いておけないんじゃないかな
むう……。じゃあ通販する……
部室にも置けないかも……
あーん!
……くんくん……なんかいい匂いがしない?
たい焼きだ~! ランジュちゃんどれにする?
あんこ、カスタード、抹茶、チョコ、クリームチーズ、
ラムレーズン、マロンクリーム……
すごい種類だね……。え、選べない……
エマ……これは重大な問題よ。
ミラーボールのことで悩んでる場合じゃないわ。真剣に考えなきゃ!
あれ、かすみちゃん?
その声は……先輩ですか!?
うん。保健室にいるなんて怪我でもしたの?
えーと、膝を擦りむいてしまって……
そうなの、大丈夫?
はい、もう治療も終わったので大丈夫です
えっと……なんでずっと後ろを向いてるの?
さっき中庭で転んじゃって……その……
あーん! 顔が泥だらけだから見られたくないんですー!
ふふふん、ふ~ん♪
彼方さん、ご機嫌だね
そう! 彼方ちゃんご機嫌なのだ~
今ね、ケーキを焼いてるとこなの。でき上がりが楽しみで楽しみで~
あはは、それでか~
それは鼻歌も出ちゃうね
どんなケーキなの?
それは鼻歌も出ちゃうね
すっごいの作っちゃうから、放課後楽しみにしててね~!
どんなケーキなの?
クリームとフルーツたーっぷりのデコレーションケーキだよ~。
放課後に完成予定だから、一緒に食べようね~
うん!
さあ、スポンジが焼き上がったよ! 出来はどうかな……
おお~! ふわっふわ~~~~! 大成功だね~!
やったね!
じゃあ私、粗熱を取る間にフルーツ切っておくね
彼方ちゃんはクリームの準備する~
出来上がりが楽しみだね~!
うーん、雨の匂い……嫌な予感がする……
どうしたの、愛ちゃん?
あ、ううん、なんでもないよ。
なんか雨降りそうだな~、って思ってただけ
本当だ。ひと雨来そうだね
雨だけなら全然いいんだけどさ……
(愛ちゃん、不安そうにしてる……濡れるのがそんなに嫌なのかな?)
なんだか雷も来そう
傘を持ってくればよかった
なんだか雷も来そうだし、部室に戻ろうか?
え、雷って……もしかして……
どうしたの?
傘持ってくればよかったなあ
あ、愛さん、折り畳み傘あるから一緒に使お!
君と2人なら、雷さまが来てもへっちゃらだし!
雷さま……?
う、ううん、なんでもない。えへへ……
?
君のその、鋭くて鈍いとこ、愛さん好きだな
美里さん、こっちだよ。愛さんのチームの試合、今から始まる
ありがとう、璃奈ちゃん
こんな時間なのに試合をみたいだなんて
わがままを言っちゃってごめんなさいね
大丈夫。愛さんの応援するの楽しいから、好き
私も! 私たちは応援、頑張ろうね
うん、頑張る。璃奈ちゃんボード「むんっ」
あれ、歩夢ちゃん、そのノートって……
あなたが書いてくれた練習ノートだよ
でも、今は新しいこと書けてないよ……
そうだね、でもいいの
私、これを見ると元気が出るんだ!
あれ、ランジュちゃんまだ残ってたの?
ええ、大切な企画を練っているの。
お友達のバースデーパーティーの企画よ
ランジュちゃんが考えるパーティーかあ、すごく賑やかになりそうだね
もちろんよ! ランジュに頼んでくれたからには
一生の思い出に残るようなものにするわ!
クラスのみんな、ランジュのことを応援してくれてるんだもの。
ランジュもお返しをするの!
どんなことを考えてるのか気になる! 聞いてもいい?
じゃあ、ちょっとだけ教えるわね……
どれどれ……えっ!?
10泊12日ヨーロッパ周遊ツアー!?!?
宇宙で盛大にお祝い!?!?
10泊12日ヨーロッパ周遊ツアー!?!?
ふふっ、どうかしら!
宇宙で盛大にお祝い!?!?
ナイスアイディアでしょ!
一生の思い出にはなる……よね。えっと……
その子に選んでもらえるように、他の案も作ってみるのはどうかな?
きゃあっ! いいわね! ランジュ、まだまだ考えつくもの!
たくさん案を作ってみるわ!
はぁ~、疲れた
お疲れ様。なんか私、歩夢ちゃんがあんなハードな練習してるところを
見るとまだびっくりするよ
あははっ、そうだよね。昔の私だったら考えられないよ
でも、毎日続けるうちに少しずつできるようになったの
ずっと頑張ってきたんだね……
あなたがいつも側にいて支えてくれたからここまで頑張れたんだよ
あっ! ねえねえ、見て! きれいな夕日!
こうやって眺めてると、夕日ってあっという間に沈んじゃうよね
……
(昔から知ってるはずなのに、なんだか少し遠くに感じる。
歩夢ちゃんは同好会でどんな時間を過ごしてきたんだろう……
私もこんなふうに変われていたのかな……)
璃奈、オムライスもいいけどお肉を食べなさいお肉を
オムライスの中にも、鶏肉が入ってるよ
そんなちょっとじゃ全然足りないわ。
ランジュのステーキをあげるから食べなさい!
はい、アーン!
あーん……あむあむ……
ジューシー……
そうでしょうそうでしょう!
とっっってもおいしかった……ランジュさん、好き
ランジュも大好きよ! もっと食べなさい、璃奈!
何十枚でも好きなだけ食べなさい!
しずくちゃん、ノート落としたよ。はい
ありがとうございます
しずくちゃんも練習ノートをつけてるの?
ああ、これは違うんです。秘密ノートです!
秘密ノート?
はい。これには、演じてみたいスクールアイドルの設定を
書き溜めているんですよ
秘密ノートなのに教えちゃっていいの……?
ふふっ。なんと! 先輩はこれを見たことがあるんです!
そうだったの!?
そうですよ。
忘れてしまっていると思うので、もう一度見てください
これが、私が演じてみたいスクールアイドルたちです
……うわ、こんなに細かく……
ここまでが今まで演じた子、ここから先はこれから……ですね
私、しずくちゃんの動画を見るときいつも不思議に思ってたんだ。
曲ごとに全然違う子に見えてたから……。こういうことだったんだね
次にしずくちゃんが演じるのがどの子なのかわからないけど、
私、楽しみだな
ふふっ、ここにいる子は全員演じますよ!
楽しみにしていてくださいね、先輩!
げっ、薫子
こらこら、先生に向かって、げっとはなんだ。げっとは
こんな所でなにしてんのさ?
見てわかんない? サボリ
不良教師め
そういうミアこそサボリに来たんでしょ~
ぜ、全然違うし……
またまた、顔を見ればわかるって!
ほらほら、似た者同士仲良くサボろうじゃない。こっち来なよ~!
先生の隣、空いてるよ!
ボクを薫子と一緒にしないでほしいね。それじゃ!
お~い……あ~あ、なにも逃げることないのに
あれ、果林さん?
あら、こんな所で会うなんて奇遇ね
ここ、私の教室の前だけど……音楽科に用があるの?
え? ええ、まあ……
あの、果林さん……
道に迷ってる?
練習メニューを見てほしい
もしかして道に迷ってる?
え!?
え、ごめん、なんでこんなこと言ってるんだろ。
果林さんに限ってそんなことないよね、ほんとごめん!
今日の練習メニューを考えてみたんだ。
よかったら放課後、見てもらってもいいかな?
え、ええ、いいわよ
ありがとう。果林さんも忙しいのにごめんね
い、いいのよ……
じゃあまた、部活でね
あ、部長さん、こんにちは。愛ちゃんいるかしら?
こんにちは。……もしかして美里さんですか?
そうよ、愛ちゃんから話は聞いてるわ。はじめましてになるわね
私も愛ちゃんから聞いてます。改めてよろしくお願いします!
こちらこそよろしくね
愛ちゃんの忘れ物を届けに来たんだけど……今いるかしら?
愛ちゃんなら今ちょうどランニングに出ちゃってるんです。
よかったら預かりましょうか?
ありがとう。それじゃお願いするわ
はい、お任せください!
ふふ、記憶がないって聞いたけど、部長さんとしては頼もしいままね
え、そうですか?
これからも愛ちゃんのことをよろしくね
せつ菜ちゃん、頼まれた小物持ってきたよ
ありがとうございます!
でも体育館で何を……あれ? 何かの撮影?
はい。ライトノベル研究部のみなさんが新しい映像作品を作るんです
ライトノベル研究部って映像なんて作るんだ、知らなかった
ちょっと前に校内フィルムフェスティバルっていう行事がありまして、
その時に映像作品を作ったんですよ。
その経験を活かして新作に挑むんだそうです
私はフィルムフェスティバルの時にお手伝いをさせて
もらったのですが、とてもいい経験ができたんです。
なので今回もお手伝いをさせてもらっています!
そうなんだ。どんな映像を作るの?
なんとスパイ物のイメージムービーを撮るそうなんですよ!
すっごくワクワクします!
みなさん、自分の好きに向かって一直線なんです。
そういう活動に関わることができるなんて最高です!
ん~、やっぱりエマちゃんのお膝枕って最高~
いいな~、かすみんもエマ先輩にお膝枕してほしいです
私もしてほしいです!
ふふっ、じゃあ順番ね。いい子にして待っててね~
はーい!
はーい!
え? 愛先輩、せつ菜先輩もですか!?
エマさんのお膝枕はみんなのものですよ
そうそう。早く順番回って来ないかな~
じゅ、順番はかすみんたちの方が先ですからね!
せつ菜さんと愛さんは、私とかすみさんの後ですからね!
あはは、わかってるって
みんなしてあげるから、安心してね~
はーい、みんな座って座ってー!
今日はどこからだっけ? えーと……あれ? んー……
よし、今日は教科書を使いません!
なぜなら……人生に地図はないから!!
地図のない世界をどう歩くか、豊かに生きるか、
そういうことを先生は君たちに教えたい!!
(わあ、こんな授業する先生がいるんだ……)
地図と言えば、先生、地図にも載らない秘境に
行ってみたいんだよね。インドネシアの島なんかには、
まだ誰も登ったことがない山があるんだって
(ん?)
そういうとこ行ってみたいよね~。
次の旅はそういうとこにしようかな!
みんなはどんな冒険がしてみたい? 聞かせて~!
(んん……? 薫子先生の次の旅行の話になってる……?)
1234、1234――
ふぅ~
まだ改善の余地があるわね。5分休憩したらもう一度頭からやるわよ!
え、また頭からやるの!? すごく上手だったのに
あら! こんな時間に何をしているの? 朝練にはまだ早いでしょ?
それはこっちのセリフだよ。いつもこんな早くから自主練してるの?
いつもってわけじゃないわ。
昨日寝る前にいい振り付けを思いついたから試したかっただけよ
完璧にマスターしたらみんなに見せたいの!
もう完璧にできてるように見えたよ?
まだよ! あと30回はしなきゃね!
ハードだ……
だってランジュだもの。当然よ!
(誰も見てないところでひとりで努力してるランジュちゃん……
なんだか見覚えがある気がする……)
ねえ、ボーッとしてどうしたの?
ご、ごめん、なんでもないよ
せっかく来たんだから、練習に付き合ってちょうだい!
はい、これが練習プランよ
すごい量!!
みんなが来る前に終わらせるわよ!
ん~、やっぱもんじゃ最高!
愛ちゃんの家ってもんじゃ焼き屋さんなのに、
よそのもんじゃも食べるんだね
うん! 場所によって全然味も違っておいしいし、楽しい!
それにいろんなもんじゃを食べ比べれば、
うちのお店で出す新作のヒントになるかもだし
すごいな、愛ちゃんって勉強熱心なんだね
褒めてくれて嬉しいけど、結局1番の理由は好きだからかな。
メニューにあるとつい食べちゃうんだよね~!
うわあ……
カメラのレンズが違うとここまで撮れる絵が違うんだね……
びっくりしちゃう
そうなんだよ。だから撮りたい絵を思い浮かべて
ふさわしいレンズを選ぶことが肝心なの
って、私はまだまだその領域に届かないんだけどね~
あの……初心者でも見栄え良く撮るコツってないかな?
え? 写真に興味ある?
同好会のみんな、本当に毎日頑張ってて……。
私は見てるだけなんだけど、せめて記録を残してあげたいなと思って
そういうことなら任せて! 初心者用のカメラも貸してあげる!
ありがとう!
はい、治療おしまい。突き指だなんて災難だったね。痛くない?
大丈夫?
これくらい平気
ほんとに? ちょっと痛そうだけど……
璃奈ちゃんが怪我するのは心配だよ。無理に隠さなくていいからね
……ん? なんか、今はちょっと嬉しそう
どうして?
嬉しいって思ったの、顔に出てた……?
璃奈ちゃんボード「てれてれ」
あれ、また会ったね
うん、ほんとすごい偶然だね
ねえ……知ってる?
偶然がいっぱい積み重なっていくと、運命に変わるときがくるんだって
そうなの?
何かの本に書いてあったんだ
へえ、面白いことが書いてある本だね
じゃあ歩夢ちゃんとは何かの運命かも
読んでみようかな
じゃあ歩夢ちゃんとは何かの運命に導かれてるのかもしれないね
本当に……そうだったらいいな……
きっとそうだよ。それに運命って信じるほうが、
私は嬉しいしワクワクするな。歩夢ちゃんもそう思わない?
私も読んでみようかな。なんてタイトルの本なの?
それが、内容は覚えてるんだけど、タイトルを忘れちゃって。
ごめんね
いいよいいよ。もしかしたら、偶然出会えるかもだし。
それもまた運命って感じがしない?
確かにそうだね……うん、私もそう思うことにしようかな……!
あ! エマさん、
スクールアイドルファンサイトにスクープが来てますよ!
新しいスクールアイドル誕生、ですって!
本当だ~! わあ……かわいいねえ
動画のリンクも載ってます! どんな曲を歌うんでしょうか
見よう見よう!
あ、でもスマホの画面じゃ小さすぎるよね、大きな画面で見たい……
視聴覚室……行っちゃいましょうか!
行っちゃお~~!!
それじゃ、サーブいっくよー
お願いします!
そーれ!
山なりの緩やかなサーブ、これなら私にだって!
きゃんっ!!
うわっ! きれ~に顔面で受けたね……だいじょぶ?
だ、大丈夫です……
あとほんっっの少しでレシーブ成功だったはずなのに……
いや、顔面に当たってる時点で、だいぶズレがあるけど……
しずく、運動神経は悪くないのにどうして球技だけこんな……
(この前、バレーのイメージトレーニングしてたのってもしかして……
苦手だったから……?)
プロの選手を演じる気持ちでやってみたら?
私も手伝うよ
しずくちゃんは演じることが得意なんだから、
プロのバレーボール選手を演じる気持ちでやってみたら?
それは……っ! それは……!!
私も手伝うよ。イメージトレーニングするのもいいって言うし、
プロの試合の動画とかを集めてくるね
あ、ありがとうございます、先輩……!
その……気持ちはとてもありがたいのですが……
もうお試し済みなんだな、これが……
ごめん……
ふむふむ……三重構造ねえ……。
高反発ウレタンフォームなんてのもあるのかあ……ほほう……
真剣な顔……難しい宿題?
ううん、宿題じゃないよ。
彼方ちゃんの人生に関わる特大テーマの研究してるの
進路とか……就職とか?
枕の研究で~す
素晴らしい睡眠こそが素晴らしい進路や就職先に導いてくれるのです~
確かに……一理ある気がする
いい枕を教えてほしいな
もう見つかった?
私にもいい枕教えてほしいな
あなたにぴったりの枕は決まってるんだな~
もう見つかった?
まだだね~。なかなかこれだーっていうのに出会えなくって
あ、でもあなたのは見つかってるよ~
ほんと!? どんな!?
彼方ちゃんのお膝枕で~す。おいでおいで~!
せつ菜ちゃん、なに書いてるの?
野望実現のためのロードマップを作っていました!
せつ菜ちゃんの野望って……
確か「大好き」を世界中に広めること、だよね?
はい! これ、今思い描いているプランなのですが、
見てもらってもいいですか? 忌憚のないご意見を募集中です!
えっと……まずは身体を鍛える……?
バッファローキングみたいな?
バッファローキングというのは、今ハマっているアニメのキャラです。
鍛え上げられた肉体で、素手で薪割りもできちゃうんですよ~!
なにをするにも身体が資本ですからね!
それくらいの肉体は欲しいところです!
せつ菜ちゃんの野望を叶えるには、ここまでする必要があるんだ……
すごいな……
え? ボクの作った曲が聴きたい?
ミアちゃんは今までたくさんの曲を作ってきた、って璃奈ちゃんから
教えてもらったんだ。だからどんな曲なのか聴いてみたくて
言わなくてもよかったのに……
知ってほしかったから、ミアちゃんのこと
はあ、仕方ないな
まあ、いいさ。聴かせてあげるよ
はあ……いい曲しかなかった……
まあね。ボクが作った曲はどれもステイツのヒットチャート常連さ
すごいなあ
……最後に聴いた曲、私、ミアちゃんに歌ってほしいな
え?
ああ、曲を提供した人もアーティストだと、
提供曲のセルフカバーをすることってよくあるよね。
ミアちゃんはやらないの?
いや……ここに来る前に作った曲は、
自分で歌うためのものじゃなかったし……
そ、そうだったんだね……
でも、ミアちゃんが心を込めて作った曲なら、
きっとミアちゃんの気持ちの断片がいっぱい入ってるんだろうね
私もそう思う
……そうかもね
いつか、歌いたくなる日がくるかもしれない
その日がくることを祈っててよ
うん!
うん!
今日の学食、メイド研究会がお手伝いしてるね
ほんとだ。ニジガクって本当にいろんな部活があるよね
わたし、あなたのメイドさんになったことあるよ?
え!? なにそれ!?
だから、あなたのメイドさんになったの
すごいことがあったんだね……
どんなことをしたのか聞いてもいい?
エマさんにそんなことさせたなんて……
どんなことをしたのか聞いてもいい?
うん。あなたのお部屋に行って作曲のお手伝いをしたんだ~
(よかった、作曲のお手伝いか)
エマさんにそんなことさせたなんて……
変なことしてないといいけど……
ふふっ、安心して。そういうことは全然なかったよ。
作曲のお手伝いとか、一緒にお弁当を食べたりしたんだ~
それならよかった……
あと、お風呂上がりのリンゴジュースを一緒に飲んで、
お布団ぽんぽんしながら子守唄を歌ったんだから
!?!?
えっと……その節は……お世話になりました
うふふ、楽しかったな~。またお仕えさせてね!
以前ここで、歩夢さんが大演説をしたことがあるんですよ
歩夢ちゃんが?
はい。カメラの向こうの何千人に向けて、
自分の気持ちを訴えかけたんです
あの歩夢ちゃんが……? 信じられないな……
あの歩夢さんが、やらねばと思った理由があるんです
それは……やっぱりスクールアイドルに関係があったんだよね?
そうですね。スクールアイドルに対して一直線なあまり
誤解されてしまった人を、なんとしてでも助けたいと思ったのです
その一途な姿が……私にはとてもまぶしく見えました
……
歩夢さんがスクールアイドルを始めた理由も、続ける理由も、
ひとつなのかもしれません
すやあ……
幸せそうに寝てる……
彼方さん起きて、彼方さん
ん~……んぅ……?
あ、起きた
あれ……ふわふわの羊さんとスイーツと遥ちゃんは?
よくわからないけど、いい夢だったのかな
夢か~……それじゃ、もう1回見なきゃ
ええ!?
寝ちゃダメだよ!
もう授業始まっちゃうよ!
ちょ、彼方さん寝ないで!
素敵な夢は見れば見るほどいいんだよ~あなたも一緒に寝よ~
もう授業始まっちゃうよ! あと10分で昼休みも終わりだし!
じゃあ、あと5分くらいは大丈夫だね~
うわっ、引きずり込まれる~!
あ~、先輩、いいところに!
かすみちゃん、こんにちは
あの、部活のときに相談したいことがあるんです!
私で役に立つかな?
当たり前です! 先輩はいつもそう言うけど
絶対かすみんの期待以上のことをしてくれるんですから!
だから今回も大丈夫です! 放課後よろしくお願いしますね!
う、うん、わかった!
………………
璃奈ちゃん、なにしてるの?
自然の観察。璃奈ちゃんボード「じぃ~っ」
?
ファンクラブのみんなと、VRライブがしたい。
そのとき、自然のステージも作りたいから、観察してる
わあ、そんな風に楽しめるライブもあるんだね。
私も参加していいかな?
もちろん。あなたにも楽しんでもらえるように、もっと観察しなきゃ
ダンスの授業苦手なんだよなあ……
私も。うまく踊れないしなんか恥ずかしくて。
朝香さんくらい上手なら気分も乗っちゃうと思うんだけど
私だって初めはひどいもんだったわよ
本当!?
本当よ。鏡の前で踊ると心が折れたわ……みっともなくて
……でも、今すごいダンスうまいよね?
どのくらい練習したらそうなれるの?
自分が納得できるまで
10年くらいかかりそう
10年かけるの。ってのは冗談よ。
こういうの、見栄え良く見せるコツがあるのよ。
そこだけ気をつければなんとかなるわ。教えるから頑張りましょう!
朝香先生……!!
お礼にコーヒーチケット差し上げます!
ふふっ、じゃあ、みっちり仕込んであげる♪
10分経過、まだ愛さんの隠したお宝は見つけられないかな~?
これだけ探して見つからないなんて、一体どこに隠したのさ?
それを言ったら宝探しにならないじゃ~ん
なにかヒントちょうだい!
ヒントか~……ヒントはね、愛さんのお気に入りの場所!
お気に入りの場所?
愛のお気に入り……
わかったわ! ニジガクね!?
せいかーい!!
それって捜索範囲が広がっただけじゃない!?
見つけられる気がしないよ~!
こうなったら徹底的に探すわよ! ランジュについてきなさーい!
エマちゃんのライブが待ち遠しいよ~
わかる。私も癒やされたい
みんなお疲れなの?
小テストの結果が悪すぎて……
私は試合で活躍できなくて……
そっかあ……。よかったら今歌おうか?
う~、聞きたい……聞きたいけど、ライブまで我慢する!
私も次のライブを糧に頑張りたいから今は我慢!
ふふっ。じゃあ次のライブでは、
みんなが元気になるよう心を込めて歌うね!
璃奈ちゃん、こんなのはどうかな?
璃奈ちゃんボード「ムキムキ」
おお、強そう
えへへ。ランジュちゃんが、最近璃奈ちゃんは
どんどん体力がついてきて頼もしい、って言ってたんだ
ランジュさんにそう思ってもらえてるの、嬉しい。
もっと頑張りたくなる
今の気持ちは……璃奈ちゃんボード「メラメラ」かな?
正解。璃奈ちゃんボード「にっこりん」
このボードって本当に優秀だよね。いろんな気持ちを一瞬で表せて
……1回だけ、表せないことがあったよ
え? いつ?
あなたの記憶がない、ってわかったとき
それを表現できるボードがなくて困っちゃった
そっか……じゃあ今から作ってみる?
ううん、必要ない
記憶があってもなくても
あなたは変わらず私のことをわかってくれたから
ん~、おいしい!
ふふっ、歩夢さんの幸せそうな顔を見ていると、
私まで幸せな気分になります
これを食べたらもっと幸せになれると思うな、
はい、あーん
わ、私はいいので歩夢さんが食べてください
幸せをお裾分けしたいのに……
も、もう歩夢さんからもらいましたから
そう言わずに、あーんして
いえ、その……
前はさせてくれたのに……
あ、あれは風邪を引いてたからで……!
栞子ちゃん、本当はいやだったの……?
それはないです!
愛さんが言っていたニジガクの七不思議に
講堂も付け加えてもらえないでしょうか……
せつ菜ちゃん、ここで不思議な体験したことがあるの!?
はい!
ええっ!? 気になる! どんな体験?
ここにいると、ライブの熱気の追体験ができるんです
そして、それを思い出しながら練習に臨むと一層頑張れてしまう……
そう!
ここはニジガクのパワースポットと言えるような場所なんですよ!!
これ、七不思議に入ると思いませんか!?
愛ちゃんなら入れちゃいそうだな……
しつれーしまーす! せんせー、サポーター返しにきたよー!
……あれ? いないのかな?
せんせー? いるー?
おっと……
すう……すう……
カナちゃん、ぐっすりだね~。おやすみ~
あ、先輩発見! こんな所で会うなんて奇遇ですね~!
やっぱり先輩とかすみんは惹かれあう運命なのかも~
先輩はどこに行くとこなんですか?
私は……
図書室に本を返しに行く
部室に忘れ物を取りに行く
図書室に本を返しに行くところだよ。かすみちゃんは?
かすみんは~……あ!! 先生に呼ばれて職員室に行くところでした!
部室だよ。昨日忘れ物をしちゃって
忘れ物って、ついやっちゃいますよね~
ん? 忘れ物……忘れ……あー!!
かすみん、職員室に呼ばれてたんでした!
それじゃ先輩、またです!
呼ばれてるだなんて、かすみちゃん何しちゃったんだろう……?
いいこでちゅね~
にゃ~
ここが気持ちいい? いっぱいしてあげまちゅね~
にゃ~ん
あ、果林さん
きゃあっ!? いつからそこにいたの!?
え? いまだけど
そ、そう……
ごめん、はんぺんとの時間の邪魔しちゃった?
いえ、いいのよ。
璃奈ちゃんからちょっと相手を頼まれていただけなの。
キミがきたのなら私はもう朝練に行くわね
果林さん? あー、行っちゃった……
んにゃあ~……
というわけで、ぜひ体育館を使わせて欲しいの
なるほど……体育館でスイーツのイベントとはおもしろそうですね
ここでなら製菓の勉強をしてきたみんなのお菓子をいーっぱい
並べることができると思うんだ……だからお願いします!
わかりました。実現に向けて最善を尽くします
ありがとう!
イベントに向けて新作スイーツを考えなきゃ!
私も同好会にだいぶ慣れてきたし、
もしなにかできることがあれば手伝わせてくれない?
手伝いもいいけど、アナタには大切な使命があるの
使命?
そう。それはね、ランジュに見惚れることよ
え!?
ランジュに夢中になっていればいいの!
さあ、今から練習をするわ。見ててちょうだい!
……あ~、そっかそっか、こっちの公式当てはめればいいんだ。
うんうん、わかってきたぞ~
こんにちは、彼方さん
どうしてここに……あっ!!!
部室に来ないから呼びに来たんだけど、
なんだか集中してたから声をかけにくくって
ごめん~! そんな時間が経ってたと思わなかった
部活前にちょっとだけ課題やっちゃおうと思ったんだけど……
隙間時間を勉強にあてるなんて、彼方さん真面目だね
えへへ~、彼方ちゃんこう見えても特待生だからね~。
お勉強はしっかりしなきゃなのです
だけど部活もちゃんとやりたいんだ。
すぐ準備するから待ってて~
うん!
まったく、曲作りで忙しいのに、こんな所まで連れてきて
ごめんね。だけど、少しは外の空気を吸った方が良いかなって
どう、風が気持ちいいでしょ?
気持ちいいっていうか……寒いんだけど
……確かにちょっと寒いかも
……え、そうかな?
……確かにちょっと寒いかも
あ~、本当に寒い! ベイビーちゃんボクの風除けになって!
ええ!? 盾にしないでよ~!
……え、そうかな?
そうだよ、寒いよ
でもまあ、少しは頭が冴えたかな
あはは、ならよかった!
納得いかな~い! 改善を要求する~~!
食堂にもつ煮があるならビールもおいてよ~~!
教師だって、仕事終わりのビールは最低限の権利でしょ~~!
(栞子ちゃんの苦労がわかる気がする……)
あ、果林さん、ここにいたんだね。
果林さんが探してたトレーニングブック見つけたよ!
本当!? ありがとう、嬉しいわ
でも、部室で渡してくれてもよかったのよ?
わざわざ探しにきてくれなくても……
キミだって、最近はまたみんなの練習を見て忙しいでしょ?
そうだけど……
すぐ伝えたくて
気づいたら果林さんのことを探してた
すぐ伝えたくて……
ふふっ、キミってやっぱりキミなのね
気づいたら果林さんのことを探してて……
なるほど、それくらい私のことを考えてくれてたってことね
それ、見せてくれる? 早速取り入れたいわ
うん!
……あの、桜坂さん?
あ、私の事は空気だと思って気にしないでください
そう言われてもねぇ……ぴったりくっつかれると気になるわよ
でも、先生の一挙手一投足を学びたいんです
お芝居の参考に?
はい! 保健の先生役をいただいたときに備えて!
白衣を着ているときの振る舞いを目に焼きつけたいんです
桜坂さん……白衣は着物じゃないから、そう変わらないわよ?
まあ勉強熱心なのはいいことだから好きなだけ観察してちょうだい
ありがとうございます!
ねえねえ、お台場にスケボーできるところあるんだけど知ってる?
え、そうなの!? 知らなかった
全部レンタルできて手ぶらで行けるからさ、今度一緒に行かない?
スケボーか……
転んだら痛そうだし怖いな……
楽しそう!
スケボーか……転んだら痛そうだし怖いな……
転びそうになったら支えてあげる。君のことは愛さんが守るよ
愛ちゃん……!
楽しそう! 上手く乗れるかわからないけど、
みんなも誘って行きたいな~
じゃあ、愛さんが乗り方を教えるよ!
もし転びそうになったら助けるし、みんなで楽しも!
いいの? 愛ちゃんありがとう!
ただ、愛さんが助けられないときのために上手な転び方も教えてあげる
えええ!?
お~い
こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ~
ん……んー……あれ、エマさん?
気持ちよさそうに寝てるとこ起こしてごめんね
え? うわ……ちょっと横になるつもりが寝ちゃってた!?
最近忙しかったから、疲れてるのかもしれないね
ふああ……。もう部活の時間だよね、起こしてくれてありがとう。
行こうか
部活まで少し時間あるからもうちょっと寝ていこうよ
え? でも……
日陰で寝てたから起こしちゃったんだ。
ほら、こっちは日が当たって暖かいよ。もうちょっとだけ寝ちゃえ~
時間になったらわたしが起こしてあげるから
はい、お膝枕に横になって~
ええ!?
わたしのお膝枕は彼方ちゃんのお墨付きなんだよ~。さあさあ~!
えっと……じゃあ、ちょっとだけお願いします!
はあ、はあ……
お疲れ様、歩夢ちゃん
うん、ありがとう
あ、もうバレー部もバスケ部も練習始まっちゃうね。
私たちは行こうか
うん、そうだね
宿題終わった?
もうちょっと……
じゃあ、あなたが終わるまでストレッチしてるね
ストレッチ……あ!
もしかして、体、動かし足りなかった?
いいストレッチがあるよ
もしかして、体、動かし足りなかった?
今日は雨で体育館をちょっと走らせてもらっただけだったし
ん~、ちょっとね……
この前ネットでいいストレッチ方法を見つけたんだ。
ダンスする前にやるといいって書いてたから、今度同好会の練習にも
取り入れてみようと思ってたんだ。今アドレス送るね
ありがとう。早速やってみるよ
……あ! ねえ、雨がやんでる!
ほんとだ!
ねえ、宿題が終わったら、ちょっと公園に付き合ってもらえないかな? ダンスの練習がしたくて……
もちろんいいよ! じゃあ急いで宿題終わらせる!
あ、栞子ちゃん、お疲れ様ー!
痛っ……!
え、どうしたの!? 大丈夫?
だ、大丈夫です。指に針が刺さっただけですから
えっ、ごめん! 保健室行く!?
そこまでじゃないので大丈夫ですよ
そう……?
はい
ところで、何を縫ってたの?
衣装の手直し?
家庭科の課題とか?
衣装の手直しなら、私も手伝おうか?
といってもそんな器用じゃないんだけど……
あ、いえ。衣装の手直しではないんです……
?
真剣に作ってたし、家庭科の課題とかかな?
いえ、これは個人的なものですね……
個人的なもの?
ええと……お守り袋を作っていまして……
あなたの記憶が早く戻るようにと
ええっ!? あ、ありがとう……。あっ、指に絆創膏貼ろうね!
歩夢ちゃーん! ちょっといい?
え、どうしたの?
すぐ話したいことがあって
あのね、歩夢ちゃんのライブでやってみたい演出を思いついたんだ。
そしたら居ても立っても居られなくて来ちゃった
あははっ、そういうところ、本当にあなたらしいね
そうかな?
そうだよ。で、やってみたいことって何? 私も気になる!
えっと……ちょっと待ってね
絵を見せる
口で説明する
絵を見せたほうがわかりやすいと思うから……
これ!
こ、これを私が!? 壮大すぎない!?
まず、歩夢ちゃんがステージにピピピって感じで現れるの!
そのあとイントロに合わせて背景がブワワってなったら
素敵だと思うんだ!
ピピピって感じで、ブワワってなる……!? で、できるかな……?
でもあなたが考えてくれたものは実現したい……うう……
むむむ~~~~! あとちょっと~~~~!
かすみちゃん、大丈夫? 無理にやると……
無理じゃないです~~~これくらい楽勝です~~~ん~~~!
先輩もっとぎゅーっと押して大丈夫ですよ!
かすみん、前よりずっと体柔らかくなってますから!
わかった。それじゃ……
うぐぐ……うぅぅ~……なんのこれしき……!
この苦しみが明日の「かわいい」を作るんです~~~!
やっぱり無理してるー!
いっただっきまーーーす!
うわ、大きなおにぎりだね!
えへへ~、おばーちゃんのぬかづけ全部入れたら
こんな大きさになっちゃった
おばーちゃんのぬかづけ大好きなんだね
おばーちゃんのぬかづけは世界一だからね!
君もひと口どう? おいしいんだよ~
いいの?
もちろん。さあさあ、遠慮なくがぶっといっちゃって
それじゃ、いただきます。あむっ……
ん~~、おいしい! ご飯に合う~~~!
そーでしょ、そーでしょ!
今日のおすすめはこの赤かぶのぬかづけなんだな。
もうひと口いっちゃって~!
誰もいないな……。よし、ここに隠れてやり過ごそう
まったくもう、ランジュに付き合っていたら
身体がいくつあっても足りないよ
愛もせつ菜も果林も身体に負荷をかければいいってもんじゃない
ステイツの理論に基づいたトレーニング法を
研究してもらいたいもんだね
ミアちゃん見つけた! ランジュちゃんが探してたよ
うわっ、どうしてここにいるってわかったの!?
どうして、って……なんとなく?
なんとなくで見つけられたらたまらないんだけど……
はあ……勘の良さは変わらないんだね、ベイビーちゃん……
失礼します
あれ、栞子ちゃんどうしたの?
保健室に飾る絵を替えにきたんです
え、生徒会長ってそんな仕事もあるんだ?
いえ、仕事じゃないんです
ここに来る人は体調がおもわしくない人が多いと思うので、
少しでも心が穏やかに晴れやかになるようなものがあればと思いまして
そんなところまで気が回るなんてすごいなあ。
どんな絵を飾るのか見てもいい?
ええ、どうぞ!
美術部の方からお借りした新作です!
わあ、そうなんだ。わたしも見たかったな~
次に会った時に詳しく聞いてみようっと
エマさん!
わあっ!? びっくりした~
ご、ごめん、手紙読んでたの? スイスのご家族?
ううん、お友達!
そうなんだ
小さいけどわたしの力になってくれる、心強いお友達なんだ
頼もしい人なんだね
私も友達になりたいな
エマさんの力になれるなんて羨ましいな
どんな人? 私も友達になりたいな
ふふっ、あの子のことは、いつか改めて教えてあげるね!
エマさんの力になれるなんて、羨ましいな~
あなただっていつも力になってくれてるよ。いつもありがとね
そうだ、お返事にあなたのことを書いてもいい?
あなたのことを教えたら、あの子も喜ぶと思うんだ♪
見つけました。ここにいたんですね!
あれ、せつ菜ちゃん、どうしたの?
すごいものを作ってしまったんです……! 一緒に来てください!
すごいものって何?
工夫を凝らしたせつ菜特製シチューができたんです!
あなたにも食べてもらいたくてお連れしました!
お肉も季節のお野菜もたっぷり入れてコトコト煮込みました。
そして私の脳裏に閃いた隠し味の数々でインパクトを足したんです
はい、どうぞ召し上がってください!
(変わったシチューだな……)
手間暇かかってるんだね
せつ菜ちゃんはもう食べたの?
て、手間暇かかってるんだね。じゃあいただきます! はむっ……
(脳が味の解析を拒否してる……
でもその奥に懐かしい何かが見える様な……)
どうですか? 自信作です!
せつ菜ちゃんはもう食べたの?
あなたに一番に食べてもらいたかったので、まだです!
自分で言うのもなんですが、今回のは自信作なんですよ!
……そうなんだ。じゃあ、いただきます。はむっ……
えと……雷に撃たれたような、鮮烈で衝撃的な味だったよ!
そんなに褒められると照れちゃいます!
おかわりもたっぷりありますからね! ふふふっ!
ランジュにコーチを頼むとはわかっているじゃない、
バドミントンのプロにしてあげるわ
別にプロになりたいわけじゃない、試合で勝てればいいんだよ
それにしても補習で先生と試合だなんて、体育の授業をサボリすぎよ
お説教はパース
いいから教えてよ
それじゃ早速始めましょうか、
ランジュの必殺サーブ受けられるかしら?
……いきなり必殺はやめてくれない?
はぁ……
朝から疲れてるみたいだね、しずくちゃん。どうしたの?
オフィーリアが朝の散歩で海に飛び込んでしまいまして……。
砂まみれになったのでお風呂に入れてきたんです
なるほど、そんなことが……
オフィーリアは大きいからお風呂も大変そう……
よっぽどお散歩が楽しかったんだね
オフィーリアは大きいからお風呂も大変そう……
あの子、海もお風呂も大好きで大はしゃぎなので、
私もついつい楽しくなって一緒に遊んじゃうんですよね
よっぽどしずくちゃんとのお散歩が楽しかったんだね
確かに今日は一段とはしゃいでいましたね。
海岸で見つけた棒がとても気に入ったのか、
お散歩中も上機嫌で走り回っていて……
ふふっ、その姿がかわいくて私もついたくさん遊んでしまいました
てことは、もしかして……
お察しの通り、遊び疲れです……
今後のライブで、どんなことをすればみなさんに喜んでいただけるか、
おふたりの意見を聞かせていただけますか?
ええ!? 私たちの意見ですか!?
はい、信頼するおふたりの意見はぜひ取り入れたくて
うーん……
すみません、会長。言いたいことは山ほどあるのですが、
今回はお力にはなれません
同じくです……
なぜですか?
会長がやりたいことを、部長さんと一緒に作り上げるのが一番ですよ
そういうライブを見て、私たちは会長のファンになったんですから
だから会長、まずは自分が何をしたいかってとこから
考えてみてください!
私たちがお手伝いするのはコンセプトが決まった後です!
特に衣装など……
右月さん、左月さん……
ありがとうございます! 自分のやりたいこと、
喜んでもらえることをしっかり考えますね!
ごめんごめん~! 図書室寄ったら遅くなっちゃった~
……あれ、他のみんなは?
ランジュちゃんに連れられて、
お台場一周ランニングに行ったよ
おぉ……お台場一周だなんて彼方ちゃんには厳しすぎる……
遅れてきて助かったんだぜ……
彼方さんはどうする? みんなのこと追いかける?
ん~、彼方ちゃんは、みんなが戻ってくるまであなたとお話しようかな
彼方ちゃんね、あなたとスクールアイドルのお話をするのが
すごく好きなんだ~
最近あんまりできてなかったから……ゆっくり、したいな♥
あれ、果林さんこんな時間にお昼?
ええ、今日はほしゅ……じゃなくて
ちょっといろいろあって食べ損ねちゃったのよ
そうなんだ。私もそのパスタ気になってたんだ。
なんか麺が珍しいって聞いて
そう、このパスタは豆からできてるのよ。
だからタンパク質豊富で美容にもいいの
なるほど、素材が違うんだ。私も明日それにしようかな
じゃあ試食してみる? はい、あーん
え?
お姉さんが特別にあーん、して食べさせてあげる♥
さあさあ遥ちゃん! 彼方ちゃん、練習始めるよ~!
お姉ちゃん、いつもここで練習してるの?
いつもはレッスン室とか屋上とか中庭とかいろいろだけど……
今日は特別!
だって遥ちゃんが見学したい、って言ってくれたんだもん!
大きな舞台で練習する彼方ちゃんをたくさん見ていってね~
あの、お姉ちゃん……私、お姉ちゃんのいつもの練習風景が見たいな
え~、そうなの?
いつもの彼方ちゃんは結構のんびり屋さんだけどいいの……?
そういうお姉ちゃんが好きなんだもん!
あーん、彼方ちゃんも遥ちゃん好き好き!
じゃあ、中庭走って屋上でストレッチして
レッスン室でダンスの練習しよ~っと
お姉ちゃんすごい!
おねーちゃん、大丈夫!?
あら、愛ちゃん
美里さんは大丈夫だよ、愛ちゃん
よ……よかったあ……
この子からおねーちゃんがニジガクで倒れたってメッセきて、
アタシもう……
あーん、安心したよ~~~!
こらこら、愛ちゃん、苦しいわ
うわっ、ごめんなさい!!
ふふっ、はい、落ち着いて
アレ? でもなんでニジガクにいるの?
病院からメッセージを預かってきたんだって
そうなのよ。検診に行ったら頼まれたの。
愛ちゃん、この前病院でライブしてくれたでしょう?
入院してたみんなすごく楽しかったんですって。
だから、また病院でライブをしてほしいんですって
そう言ってもらえたことが嬉しくて、
直接愛ちゃんに伝えたいと思って来ちゃったの
部室に行こうとしたんだけど、途中でちょっと
立ちくらみを起こしちゃってね……。すぐにおさまったんだけど、
ここの生徒さんたちが保健室に連れて来てくれたの
えー、誰、誰? 愛さんお礼言いたい! 君、知ってる?
左月さんと右月さんだよ
おお! じゃあ、生徒会室に行けば会えるかな!?
ちょっと行って……いや、その前に!
おねーちゃん、伝えに来てくれてありがと!
愛さんまた絶対病院でライブするね!
ええ、楽しみにしてるわ!
んで、君!
え?
病院でライブするときは、君にも手伝ってほしいな。
愛さんに力を貸して~!
うん! 任せて!
はあ~……もう待ちきれません……!
あ、せつ菜ちゃーん!
あれ? おーい、せつ菜ちゃん?
きゃあっ!? び、びっくりしました……あなたでしたか
ごめんごめん、せつ菜ちゃんがボーッとしてるなんて珍しいね?
そうですか? そんなことないですよ!
(……あれ? なんだかソワソワしてるように見えるなあ)
誰かと待ち合わせでもしてるの?
えっ、それって……
この前貸してもらった小説だよね!?
私も読んだことあるよ
この前貸してもらった小説だよね!?
私もあの小説の続き気になってたんだ!
気になりますよね! 私もです!
もう本屋さんに予約はしているので放課後取りに行くだけなのですが、
もう今から早く読みたくて読みたくて……!
私も読んだことあるよ。すっごく面白いよね
そうなんです! しかも前の巻がすっごくいいところで
終わっていて……気になって仕方ないんですよ~!
ハムちゃんスクラッチ大会の準決勝は
あの北の豪傑・熊斬が相手なんです!
一体どんな技を使ってくるのか……
ああ~~~! 早く読みたくてたまりませんー!!
先輩は、好きな人の前でも演技をしちゃう子ってどう思いますか?
ん~、そうだな……そんなに怖がらなくてもいいのに、って思うかな
怖がる、ですか?
好きな人によく見られたいから演技しちゃうんでしょ?
でももっと自分も相手のことも信じてもいいんじゃないかな
だけど! そういう気持ちもわかるな。
やっぱり好きな人には少しでも良く思われたいもん
だから、好きな人に気持ちが届くよう応援する!
ふふっ……、先輩の答え、とっても素敵です!
高度OK、機体安定。ひねりを加えて空中旋回
すごい、ドローンってそんな動きもできるんだ
練習したから、こんな動きもできるようになった。びゅ~ん!
すごいすごい! ドローンの達人だね!
体育館の中はもう完璧。だから次は外での操縦に挑戦したい
屋内と屋外じゃやっぱり違うの?
一番の違いは風。回数をこなして感覚を掴むしかない
璃奈ちゃんならきっとすぐに上達するよ
頑張る。璃奈ちゃんボード「むんっ」
はぁ~真っ暗すぎ……スイッチどこだっけ……
ここらへんだったかなあ
あーあ、やっぱ忘れ物なんて取りにこなきゃよかった……
あれ、誰かいる?
Eeeeeek⁉
ミ、ミアちゃん?
ベ、ベイビーちゃん……? え、どうしてこんな時間に?
忘れ物をとりに来たんだよ。ミアちゃんは?
……ボクも同じ。も~~~~驚かせないでよ!
ご、ごめんね
いや、今の無し。そんなに驚いてない
でも……
気のせいだから、悲鳴なんて上げてないから、いいね!?
う、うん
愛ちゃん、なに書いてるの?
愛トモのみんなに手紙書いてんの!
ニジガクの七不思議のこともっと教えてほしい、って
言ってもらったからね!
どの学校にもあるけどちょっとずつ違うもんね。
私も他の学校の七不思議って興味あるな
……それ、おもしろいかも!
よしっ、次の愛トモミーティングのネタ決定!
それぞれの学校の七不思議を持ち寄って検証だーーー!
彼方さん、なにしてるの?
空を見てるの~、ねえ、あの雲、羊さんみたいじゃない?
あ、似てる!
それでその向こうは麦わら帽子~
じゃあ、左側の雲は……
ペンギン
飛行機
泳いでるときのペンギンみたい
お~、見えるね
飛行機みたいじゃない?
確かに~。びゅーんって飛んでいきそう
ふふっ……
ん? どうしたの?
なんかね~、あなたとこういう時間が過ごせるのが嬉しいな~って
思ったの!
ニジガクの食堂って本当においしいわよね
うん、メニューも豊富だし毎日何を食べようか迷うよね
……ねえ、こんなにおいしい料理をニジガクだけで独占するなんて
もったいないと思わない? もっとたくさんの人に広めるべきよ
そう……キッチンカーで全国展開しましょう!!!
ええっ!?
ランジュが企画して資金も全部出すわよ!
ねえ、いいと思わない!?
いえ、そういうのはなんというか……
学園の領域の話ではないというか……
ランジュに学園という世界は狭すぎる、ってことね!
そういう話ではなくてですね、ランジュ……。
確かにたくさんの方に味わってもらいたいとは思いますが……
それなら……
ライブ会場で振る舞うのはどう?
学校のイベントで出すのはどう?
スクールアイドルフェスティバルみたいな
ライブ会場で振る舞うのはどう?
あの時は調理部がいろんなお料理を出してくれた、って
スクールアイドルファンサイトの記事で見たよ。だから次は
理事長に頼んで食堂のキッチンカーを出してもらうとかしてみたら?
なるほど……そういう形であれば可能かもしれませんね
学校のイベントのときに出すのはどうかな?
一般のお客さんを招く発表会とかもやってるみたいだし、
理事長に頼んだら出してもらえるんじゃない?
確かに……理事長から承諾がもらえれば問題はありませんね
きゃあっ! アナタっていつでもランジュの願いを叶えてくれるのね! 大好きよ!
設備の確認終了、すべて問題なし。そっちはどう?
こっちもオッケー! 会長が言ってた座席シートの破れも直ってるよ~
さすが会長、手配が早いわ
緞帳も降ろして確認しとく?
そうね、そうしましょう
最近いろんなことに講堂が使われるようになったよね
ええ、ニジガク全体の士気が上がっている証拠です
私たちも安心して使ってもらえるよう、
士気を上げてチェックしなきゃだね!
そうね、もう一度最初から全部チェックしましょう!
先生、あの子、本当に大丈夫ですか?
私には強がっちゃうところがあるから、
不調を隠してるんじゃないか、って心配で……
大丈夫。記憶がないこと以外、身体はいたって健康。
むしろ元気なくらいよ
そうですか……よかった……!
あの子の記憶が戻らないままで心配なあなたの気持ちもわかるけど……
あ、あの、私、記憶が戻らないのは……いいんです
記憶を思い出さなくてもあの子はあの子だし!
元気ならそれが一番いいはず……
上原さん……物分かりが良すぎるのも、それはそれで先生心配よ……
ねえねえ、果林さん! 果林さんの記事を見たよ!
あら、ありがとう。どんな記事?
ファッションショーに出たときの記事!
果林さん、読者モデルをしてる、って言ってたけど、
雑誌の活動だけじゃないんだね
ああ、あれは読者モデルの活動じゃないのよ。
オーディションに応募して、受かったから出れたの
えっ、オーディション?
そうよ、今私、いろいろなオーディションに申し込んでるの
いつも結果がついてくるわけじゃないけど、
将来の夢のためにできることはなんでも挑戦したいと思ってね
そうなんだ……。
すごいね、果林さんは。そういう話、もっと聞いてみたい
ふふっ、いいわよ。お姉さんのこと何でも教えてあ・げ・る……♥
ええっ!?
あ、またドローンの練習?
うん
わあ……すごく上手になってる!
ライブの演出にも使えそうだね
あっちにも飛ばしてみてほしいな
これでライブの演出にも使えそうだね
むむ……、でも今、ちょっと風に流されちゃった
あれ、そうだった?
ねえねえ、あっちにも飛ばしてみてほしいな
了解。ホバリングしながらゆっくり……っと
あ、風で少し軌道が……よし、戻った
やっぱり外での操縦は難しい。もっと練習しないと
このくらいの風に負けないようにならなきゃ
熱心だなあ……。私に手伝えることがあったら言ってね!
お疲れ様、いい試合だったよ~! ナイス助っ人!
ありがとう。エマさんの声援ちゃんと聞こえたよ。
おかげでなんとか最後まで頑張れた
試合してみてどうだった?
すっごく楽しかったよ
またエマさんが応援してくれる?
最初はバレーの助っ人だなんて無理だって思ったけど……
すっごく楽しかったよ
だけどやっぱり悔しいな、もっと活躍したかった
ふふっ、負けず嫌いなところは変わらないね。もっと練習する?
またエマさんが応援してくれる?
もちろんだよ~! 今日よりも大きい声で応援するね
じゃあ、次はもっと活躍できるよう頑張らなきゃ
練習してみる?
そうだね。やってみようかな
わたしならいつでも付き合うよ
ありがとう。エマさん
うう……
ミアちゃん、眠そうだね……
昨日遅くまで作曲してたみたいなの
ミアちゃん、紅茶とサンドイッチだよ
ん?
朝ごはん、寮で食べられなかったでしょ?
持ってきたからちょっと食べて
……いい香り……
いただきます!
歩夢ちゃん、元気になったみたいだね
え?
表情が明るくなった!
そ、そう? っていうか、今まで暗い顔してた!?
そりゃ暗くもなるようなことがあったんだからそうだよ。
でもまた前の歩夢ちゃんに戻って来た感じで嬉しい
し、心配かけてたみたいでごめんね!
でも、もう平気だから
不安もあるけど、そういうマイナスな気持ちも
明るく変えてくれるのはやっぱりあの子だけなんだ、って気がついたの
栞子ちゃん、最近ちょっとお疲れ?
え? いえ、そんなことはないですが……
でもお気遣いありがとうございます。いつも私たちのことを
気にかけてくれるところは、前から変わりませんね
私もそうありたいと思っていますがなかなか……。
なにか秘訣のようなものがあるんですか?
ええ!? そんなのないし、私だって栞子ちゃんが
いつも周囲に気を配ってるところを見て真似しただけだよ!
ですが……
うーん、あえて言うなら……
大切な友達のことはつい見ちゃう
できることは全力でやりたいと思うのが秘訣
大切な友達のことはつい見ちゃうし、
いつもと違ったらどうしたのかな、って思うだけ
あなたにとっては自然な行動をしていただけ、ということですか……
大切なみんなが所属する同好会の部長として、私にできることは
全力でやりたい……と思ってるのが秘訣、なのかな?
なるほど。頑張り屋さんな、あなたらしい秘訣ですね
そんなあなたがいてくれるから、
私たちは安心して全力でスクールアイドルに打ち込めるんですね
私にとってもあなたは大切な存在です。
あなたに何かあったときは私にも頼ってください!
ご主人さま~! やっと見つけました~!
あれ、エマさん、かわいい格好してるね
えへへ、ご主人さまったら……
……ん? ご主人さまってもしかして私のこと!?
そうですよ♪
前、あなたのメイドさんになったことがある、って言ったでしょ?
話してたらなんだか懐かしくなっちゃって……
またあなたのメイドさんになってみたんだ~!
えええ!? エマさんが私のメイドさんなんて、申し訳ないよ!
わたしがお仕えしたいの。お部屋のお掃除とかお茶の用意とか、
わたしはやることいっぱい思いつくから安心して!
ええーーー!?
しずくちゃん、お疲れ様
ありがとうございます。
でも演劇部の練習まで見守ってくれなくてもいいんですよ?
それはそうなんだけど……
未来の大女優・桜坂しずくの出発点も見ておきたい
演劇部のしずくちゃんも応援したい
ここが未来の大女優・桜坂しずくの出発点なんだ、っていうところも
見ておきたいから
……今までも見てきたんだろうけど今の私は覚えてないから、
もう一度目に焼きつけたいんだ
先輩……
私は演劇部で頑張っているしずくちゃんのことも応援したいんだ。
しずくちゃんのお芝居を見るのも好きだし
先輩、そんな風に思っていてくださったんですね
えへへ、嬉しいです……
じゃあ、これからもたくさん見ていてください
先輩がいてくれると、私もやる気が出るんです!
お邪魔するわ!
あれ、ランジュちゃんどうしたの―って、大きなたんこぶ!?
バレーボール部の助っ人をしていたらポールに頭をぶつけちゃったの
え~、大丈夫? 痛そう……
無問題ラ! これくらいどうってことないわ
そんなに大きなたんこぶなのに?
ふふっ、ランジュは器の大きな人間だからたんこぶも大きいの!
えっと……
痛かったら痛いって言っていいんだよ?
な、なるほど……?
痛かったら痛いって言っていいんだよ?
……痛くないわ!
な、なるほど……?
確かにランジュちゃんはスケールも大きいし……?
そうよ! だからランジュは強いの!
わかった……でも手当てはしようね、ランジュちゃん……
せんぱ~い、これからかすみんのおうちに遊びに来ませんか?
お邪魔しちゃっていいの?
もちろんですよ! かすみんのライブの相談に乗ってください!
うん、私でよければ喜んで!
かすみちゃんのお部屋、女の子らしくてかわいいね
えへへ~、かすみんはお部屋も「かわいい」で
いっぱいにしたいんです!
うわっ! ご、ごめん、カーペットにつまずいちゃって……
あれ?
あーーーーーー! そこは……
カーペットの下は畳? ここって和室なんだ
えーーーん! 先輩に畳見つかるの2回目ですー!
あ、彼方さん?
いそげいそげ~
って、気づかず行っちゃった。
あんなに慌ててどうしたんだろう?
いらっしゃいませ~!
ただいまアプリコットディニッシュとふわふわ米粉パンが
焼きたてで~す!
今日の日替わりパンは大葉とベーコンの和風フォカッチャですよ~! とってもおいしいで~す!
スクールアイドル戦隊の司令官……というのは、
具体的になにをすればいいんでしょう?
司令官は指令を下し、後方でドンと構えているものです
指令……
「幼稚園バスが悪の組織に襲われている。スクールアイドル戦隊出動せよ!」みたいな感じですかね
……なぜ悪の組織が幼稚園バスを襲撃するんです?
古今東西悪の組織は初めの一歩として幼稚園バスを襲撃するものです
そういうものなのですか? 不勉強ですみません
大丈夫ですよ。これから学んでいけば良いんです!
では、私のあとに復唱してください
「幼稚園バスが悪の組織に襲われている。スクールアイドル戦隊出動せよ!」
「幼稚園バスが悪の組織に襲われている。スクールアイドル戦隊出動せよ!」
いい感じです。ですがもっと声を張り上げながら
腕を前に突き出すと更にいい感じです!
「幼稚園バスが悪の組織に襲われている。スクールアイドル戦隊出動せよ!!」
はあ、はあ……どうでしょうか?
完璧です! もはや私が教えることはなにもありません。
どこに出しても恥ずかしくない立派な司令官です!
ありがとうございます!
璃奈ちゃんボード「う~ん」
ライブの構想、まだまだ考え中?
考え中……
ねえ、璃奈ちゃんがライブで一番大事にしてることって何?
みんなと繋がること
みんなと繋がる……?
そう。私、スクールアイドルをしてるときは、
みんなと繋がれる、って思ってる
あなたとも、もっともっと深く繋がりたい
菜々ちゃん、借りてた小説読み終わったから返すね
どうでしたか? お気に召していただけました?
すっごく面白かったよーー! 一気に読んでハマっちゃった!
よかったです!
実はこの作品……
コミカライズもしてるんだよね!
ええっ、知っていたんですか!?
ハマっちゃった、って言ったでしょ? 調べたんだ。
で、菜々ちゃんってそれも持ってたりする?
持っています! またお貸ししますね
ねえねえ、今度一緒に遊びに行かない?
いいね。どこに行く?
ん~、そうだな……古着屋巡りしてスイーツ食べて……
カラオケとゲーセンもはずせないよね!
あ、ボウリング勝負もいいなあ~
てか、リクエストあったら教えて!
リクエストかあ……
愛ちゃん家でもんじゃ焼き食べてみたい
下町に行ってみたい
だったら、愛ちゃん家でもんじゃ焼き食べてみたい
えっ、うちで?
うん。愛ちゃん家がもんじゃ焼き屋さんって知ってから、
行ってみたいな~って思ってたんだ
えーーー! そういうのはもっと早く言ってよーーー!!
じゃあ、下町に行ってみたいな。前に行ってるかもしれないけど、
今の自分でも、愛ちゃんの育った町を見てみたいんだ
君にそんな風に思ってもらえるなんて……!
愛さん、めっちゃ嬉しいよ!
まっかせといて! 愛さんおすすめの下町スポットに、
いーっぱい案内してあげる! それで下町を巡ったあとは、
愛さん家でもんじゃ食べてってよ!
愛さんスペシャル……いや、ハイパーインクレディブル
ファンタスティック愛さんスペシャルを作るから!
すごそう!
さあさあ先輩、どれでも好きなだけ食べてくださ~い!
すごい数……このコッペパン全部かすみちゃんが作ったの?
そうですよ。
先輩に食べてもらいたくて愛情いーっぱい込めて作ったんですから
ありがとう。じゃあ、いただきます!
あむ……ん?
……え、なに、どうしたんですか、先輩!?
なんか難しい顔してる~お口に合わなかったですかあ……?
ううん、おいしいよ! ただなんか……
懐かしい匂いっていうか、食感っていうか……
お気に入りの味のやつがあった気が……
なんか、懐かしい匂いっていうか、
食感っていうか……なんだろう……?
それって……それって先輩!! 記憶が戻りそうってことでは!?
あーん、絶対そう!! かすみんのコッペパンが
先輩の記憶を取り戻すなんて運命的です~~~!!
お気に入りの味のやつがあったような気がして……
どのパンだったかな?
ふふふ……もちろん、この中に用意してありますよ!
それを食べたら先輩が記憶を取り戻せると思って……
かすみん、丹精こめて焼いてきたんです!
こうなったら全部食べてくださいね。
思い出すまでギブアップ禁止です
ええ!?
わたしも愛ちゃんみたいに、
みんなを巻き込むような一体感が感じられるライブがしたいな
え~、エマっちいつもやってるじゃん!
え?
愛さんはエマっちのライブ見てると
エマっちの歌に包み込まれてるって感じるよ
わあ、本当!?
ほんとだよー! タイプは違うのかもしれないけど、
一体感があるってことは一緒!
見に来てくれてる人も同じように思ってくれてる、って!
そうかな? 本当にそうだったら嬉しいな!
保健室のシーツを勝手に持っていっちゃダメですよ、薫子先生!
そうですよ、薫子さん! そんなの一体何に使うんですか!?
コレ、映画のスクリーンにぴったりなんだってば
映画のスクリーンってどういうことですか?
中庭で野外上映会をしようと思ってね。
みんなには豊かな感性を磨いて欲しいから
名作に触れてもらおうかな~、って
野外上映会……?
古典名作は一度は観ておくべきだと思うんだよね~
確かに、観ておくべきものはたくさんありますね!
それで先生はどんな作品を上映する予定なんですか?
しずくちゃん……?
……はっ! いえいえ、そうじゃなくて
シーツを勝手に持っていくのはダメなんです!!
映画、観たくない?
うう~~~……ダメな物はダメです!
持っていくなら許可をもらってからにしましょう!
ねえ、アナタに聞きたいことがあるの。コレってなんの紐?
紐? え……なんだろう? ちょっと触ってもいい?
ええ、どうぞ
あれ、これ素材がなんか……
布でもないし皮でもないし……植物?
そう! 触った感じがランジュの知ってる紐じゃないのよ!
見た目はうどんを干したものって感じなんだけど……
なんなのかしら!?
これ、どこから持って来たの?
もらったの。
ランジュ、クラスの子にいろんな国の料理に興味があるって
話をしたんだけど、だったらどうぞ、って……
食べ物の話でもらったなら……食べ物……なんだろうね……
あっ、わかった!!! かんぴょうだよ、これ!!
カンピョウ?
そう、かんぴょう。ちょっと待って、ネットで調べる……
あ、これこれ。ユウガオっていう植物の実を細長く剥いて
乾燥させた保存食なんだ
どうやって食べるの?
水でもどして柔らかくして料理するんだよ。
かんぴょう巻き、っていうお寿司が有名だよ
そうだったのね……食べ物って本当に奥が深いわ……
彼方に話したら、その「カンピョウマキ」っていうのを
作ってくれるかしら! ランジュお願いしてくるわーー!!
この辺かなあ……
ミアちゃん、なにか探し物?
彼方が言ってたお昼寝スポットを探してるんだ。
ベイビーちゃん知ってる?
へえ、ちょっと意外かも。
ミアちゃん、そういうの興味ないと思ってたよ
もしかしてサボる気じゃ……
中庭のベンチ
……ミアちゃん、もしかしてそこでサボる気?
人聞きが悪いな、英気を養うんだよ。サボリとは違う
…………
天気のいい日は、中庭のベンチでよく寝てるのを見かけるよ
ベンチか……見つかる可能性が高そうだし、
サボるのには向かなそうだな……
ミ~ア~ちゃ~ん……!
ま、またにするよ……
じゃあね、ベイビーちゃん
前に君たちとしたキャンプは楽しかったな
はい! 料理もキャンプファイヤーも楽しくていい思い出です
良かったらまた今度どうかな?
もちろん喜んで! 次はもっと大勢で行きませんか?
楽しかったので他のみんなも誘いたいんです
いいね。人が多い方がきっと盛り上がるだろうし、やれることも増える
私も部のみんなに声をかけてみるよ
はい、ぜひ!
まったく、こんなに散らかして
あ、掃除? 私も手伝うよ
ありがとうございます。助かります。
散らかっていると気になってしまって……
ん? なんでこんなところに車のパンフレットがあるんだろう?
車……? もしかして、姉さんのかも……
免許も取りましたし、ついには自分の車を……!?
いいね、いろんなところに連れてってもらえるね!
よくありません!
え?
バイクですら1週間のツーリングにほいほい出かけるあの人なら、
車を手に入れたら次は日本一周です!
また旅に出てしまいますーーー!!
栞子ちゃん、落ち着いて!
こんにちはー、ミアちゃんいる?
そんな大きな声出さなくてもいるよ。ボクの教室なんだから
で、どうしたのさ?
これ見て!
なにこれ?
愛ちゃんとランジュちゃんが考えた、
ミアちゃん専用スペシャルトレーニングメニュー
What!?
見てみて!
……あとで見るよ
ほら、すごいよ。こんなに計算されたメニュー、
なかなか見れないよ
これをやればもっとすごいことになるんだろうね
今日の練習メニューはこれをやろうと思ってる
これをやればミアちゃんのパフォーマンスは
もっとすごいことになるんだろうね
……まったく、キラキラした目をしてくれるじゃないか……
今日の練習メニューはこれをしようと思ってるんだ。
愛ちゃんとランジュちゃんが一緒にやろうって張り切ってたよ
ハードなメニューもあるけど、ミアちゃんならきっとできるって!
……そんな期待されたら、ボクも燃えてくるじゃないか……
え?
なんでもない。貸して、見るから
……あら、みんなは?
今日は歌詞とか衣装とかの作業をする、って言ってたよ
そうなの……
…………
ねえ、お姉さんとお出かけしない?
え? どこに?
行ってのお楽しみよ
え!?
好きなブランドの新作が出たから試着したいのよね
(果林さんのファッションショーだ……)
キミの意見も参考にしたいな。
だからちゃーんとお姉さんに感想を教えてね
が、頑張ります……
このDVDお貸ししますね。古い作品ですが、
今も色褪せることなく語り継がれる名作で、
私の大好きな作品のひとつです
ありがとう。これがしずくちゃんの好きな作品かあ……
はい! この映画のように、誰かの人生を変えたり
一生残るなにかを与えたりできる、
そんな表現ができるようになるのが私の目標なんです
もしまた先輩が記憶喪失になったとしても、
次は私の表現だけは残っているような、そんな……
そんな女優になってみせます
だから、私から目を逸らさないでくださいね
あと探してないのは、ここだけ
うーん……見当たらない感じだけど……
璃奈ちゃん、他に璃奈ちゃんボードを手放した場所に心当たりない?
ないと思う……
きっと見つかるから、そんな心配しなくても大丈夫だよ
え?
あれ、今心配そうな顔してなかった?
心配だな、とは思った
やっぱりあなたはあなた。私のこと、わかっちゃう。
記憶がなくても変わらない
このまま記憶が戻らなかったら、って考えることもあるんだ……
そうなっても、いい?
……うん、それは仕方のないことだから……
……あははっ、やっぱり思い出さなきゃだね!
うう……。やっぱりあなたに隠し事はできない
おお~、保健室にようこそ~!
やっぱりここにいた! でも今日は起きてるんだね?
今から寝るところだった?
ううん~、今は眠くないんだ~
お昼寝しようと思ってたんだけどね、目を閉じたらライブで
やってみたい演出のプランが頭のなかにぶわ~っと広がっちゃってさ~
そのこと考えてたらお目目ぱっちり!
そうなんだ。どんなプランか聞きたいな
私もライブの演出、考えてきたから彼方さんに言いたくて
そうなんだ。どんなプランか聞きたいな
聞いて聞いて~、あなたの意見も参考にしたいから~!
私もライブの演出、考えてきたから彼方さんに言いたくて
えー、そうなの? 教えて教えてー!
ふう、ふう……
あれ、栞子ちゃん、いっぱい本抱えてるね。半分持とうか?
ありがとうございます。実は、自分でもちょっと欲張りすぎて
しまったなと思っていたところなんです。
生徒会室まで持っていけばいい?
あ、いえ、これは教室へ。自分で読むつもりなので
あ、なるほど。へえ、いろんな本を借りたんだね
『はじめてのお弁当』かあ
『雑談の話題100選』かあ
『はじめてのお弁当』かあ。他にも栄養学とか盛り付けの本とかで
いっぱい。栞子ちゃんもお弁当作るの?
はい……。歩夢さんや彼方さん、かすみさんのように
私も自分で作れたらなと思いまして
『雑談の話題100選』かあ。面白い小話集とか、
栞子ちゃんもこういう本を読んだりするんだね
実はこの前、お料理の話題で雑談をしたら、
生徒の方に今度一緒に何か作ろうとお誘いしてもらえたんです
それで、生徒のみなさんともっと仲良くなれたらいいなと思って、
本を読んで勉強しようかと。
それと一緒にお料理の勉強もしているんですよ
偉いなあ
上手に作れるようになったら、食べてもらえると嬉しいです!
アナタ、記憶喪失になってすぐの頃より元気になったわね!
あはは、そうかな?
そうよ、ランジュにはわかるの
そしてランジュならもっと元気にしてあげられるわ!
さあ、このランジュになにしてほしい?
なんでも願いを叶えるわよ!
豪華客船に乗りたい? プライベートジェットで旅行?
え?
オーロラ観測する? 世界三大美食の食べ放題でもいいわよ!
え、えっと……それじゃ、ランジュちゃんたちの寮に遊びに行きたいな
きゃあっ! いいわねいいわね!
ぜひ来てちょうだい、寮のみんなでおもてなしするわ!
彼方さんがランニングから戻ってくるまで、見たいところを案内するね
ありがとうございます!
じゃあ、ミアさんの作曲しているところが見てみたいな。
どんな環境であんな素敵な曲が作られるのか興味があるんです
わかった! ミアちゃんに聞いてみるね
それと、音楽室もいいですか?
音楽室? 音楽室はどこの学校でも似た様なものだと思うけどいいの?
ええ、見てみたいんです
お姉ちゃんが曲を作るときは、いつもあなたとそこで話しながら
メロディや歌詞を考えていたんだ、って言っていたので
そうなんだ……。あの、聞いてると思うけど、私全然覚えてなくて……
わかってます
でも、お姉ちゃんってば、あなたの記憶の有る無しに関わらず
家だとあなたのお話ばっかりなんですよ
え!? そうなの?
はい、ちょっと嫉妬しちゃうくらいです
嫉妬……
ふふっ、冗談ですよ! ほらほら、行きましょうー!
あははっ、ほんとかすかすらしいよね~!
かすかすじゃないです。かすみんです!
どうしたの?
かすみちゃんのいたずらが発覚した
いたずら?
まあ、いつものことだよ
人を出し抜こう、って気持ちは人一倍なのに、
全然出し抜けないというか……人助けになっちゃうというか……
かすみちゃん、いたずら向いてないから、もうやめたほうがいい
えーーーーーん!! いつか絶対成功させるもんーーーーー!
が、頑張って……?
(かすみちゃんのこの顔、なんだか懐かしいんだよな……)
彼方ちゃん、学校でライブするの好きなんだ~
そうなんだ? 大きなステージよりも?
もちろん大きなステージも楽しいよ
でも、いつもは真面目に授業を受けている場所が、
ライブの時は賑やかで華やかに大変身するでしょ?
そういうのにワクワクしちゃうんだよね
彼方ちゃんも、ライブのときはスクールアイドルの彼方ちゃんに
大変身しちゃうから!
はあ……
ランジュちゃん、元気ないね、どうしたの?
ランジュが何度も考え直して作り上げたお友達の
バースデーパーティー企画、実現は難しいみたい
そうなんだ……どんな案だったか教えてもらってもいい?
豪華客船を貸し切ってのナイトクルーズよ
香港から一流のシェフを呼んで、ビュッフェを楽しみながら、
二千発の打ち上げ花火を見る予定だったの
ランジュが全部手配するからって言ったのだけど遠慮されちゃったわ
そっか……あまりにもお姫様みたいなパーティだから
びっくりしちゃったのかもね
だって1年に1度の特別な日よ。お姫様になってもいいでしょ?
困ったわ……またイチから考え直さなきゃ、
どうしたら喜んでもらえるのかしら? ねえ、いい案はない?
そうだな……
寮のラウンジを借りてみんなで料理を作る
お手紙を書く
寮のラウンジを借りてみんなで料理を作ったりするのはどう?
ランジュちゃんが手料理をふるまったら喜んでくれるんじゃないかな?
きゃあっ! それってすごく楽しそうだわ!!
そうと決まれば料理の勉強をしなくっちゃ!
アナタも付き合ってくれるでしょ?
お手紙を書くのはどうかな?
大切なお友達から心のこもったお手紙をもらえたら、嬉しいと思うんだ
確かに! ランジュだったら、とっても嬉しいわ!!
すぐに素敵なレターセットを準備しなくっちゃ!
アナタも探すのを手伝ってほしいわ!
うん、もちろん!
推しペンライト、というものをご存知ですか?
えっと……推しうちわと似たようなもの?
そうです! うちわみたいに様々なカスタムを施し、
推しへの唯一無二の気持ちを込めたペンライトです!
また一緒に作ってみませんか?
うん! 好きな人を応援する手段っていろいろあるんだね
ふふっ、他にもまだまだありますよ!
すごいね、生徒会の人たちがしっかり管理してくれてるから
いつでもここでライブできそうだよ
同好会の定期ライブとかあるんだよね? 次はいつ?
……? 歩夢ちゃん?
歩夢ちゃーん
あっ、ご、ごめんね、何だったっけ?
ここの設備は準備バッチリ、いつでもライブできるよ、って
そうなんだ。栞子ちゃんたちに感謝しなくちゃいけないね
なんだか歩夢ちゃん、最近考え込んでる?
うーん……。なんか、ちょっと思っちゃったの。
もしあなたの記憶が戻ったら、
この1ヶ月のことはどうなっちゃうのかな、って
前の記憶と引き換えに、
今の時間のことは忘れちゃったりするのかな……
うーん、どうなんだろう?
思い出してくれたらもちろん嬉しいけど、
それと引き換えにこの1ヶ月の記憶が無くなっちゃうとしたら……
それはすごく寂しいよ
うん、そうだね……。
私も、この1ヶ月、すごく楽しく過ごしてこれたから忘れたくない
はあ、はあ……さすがに逃げ切れたかな……
ミアちゃん、どうしたの? 逃げ切るって……
子犬ちゃんから逃げてるんだよ
かすみちゃんから?
そう。かすみのやつ、本場のボディランゲージを教えてくれとか
なんとか……わけわかんないこと言ってくるんだよ!
コミュニケーションをとりたいなら英語を覚えろって言ったんだけど
無理って即答だよ。まったく、なんなのさ……
あははは……。かすみちゃん、ボディランゲージで
コミュニケーションをとれた成功体験があるのかもね
来週、秋葉原に付き合ってほしい
秋葉原?
探してる部品が、秋葉原のお店にあるよって教えてもらった。
あなたと一緒に、お出掛けしたい
それで声をかけてくれたんだね
私でよければ付き合うよ
私もお出掛けしたい
私でよければ付き合うよ
ありがとう。璃奈ちゃんボード「ぺこりん」
私も璃奈ちゃんとお出掛けしたいな。
探してるパーツもどんなものか見てみたいし
よかった。璃奈ちゃんボード「わくわく」
お店の場所は調べてあるから、案内は任せて
あ、かすみちゃん!
あー、先輩! なんですかなんですかー?
あっ……えーと……
ワクワク
実は……
とくに用事があったわけじゃないんだ
小テストの心配をしてた
あの、ごめん……とくに用事があったわけじゃないんだ。
かすみちゃんって私を見つけるたび声をかけてくれるでしょ?
だからなんか私も反射でつい……
えーー! 反射ってなんですか!
先輩かわいい~~~~!!
この前、小テストの結果があんまり良くなかったって、
かすみちゃん言ってたでしょ? それで、どうしたらかすみちゃんの
手助けができるかなって考えてたら、つい声をかけちゃって……
先輩、そんなにかすみんのことを……!
先輩のそういうとこ、かすみんだーい好きですっ!
これからもかすみんのこと見かけたら絶対声かけてくださいね!
あれ、愛ちゃん今日はバスケ部の助っ人するんじゃなかったっけ?
今日はね、応援するほうの助っ人! 即席応援団作るの!
横断幕も用意しちゃってるんだよね~
あっ、まだまだ団員募集中だから君もやらない?
え、私!?
そうそう、応援団のセリフはこの紙に書いてあるからさ
えーっと……あははは、これって、ダジャレだよね?
応援までダジャレだなんて、愛ちゃんさすがだね!
えへへ、せっかくやるなら楽しくやりたいじゃーん!
ってことで、よろしくね!
果林さん、なにを描いてるの?
衣装のデザイン画よ
うわ~、どれも素敵! セクシーだね!
全部果林さんが描いたの?
すごいな、どれも果林さんに似合いそう!
うふふ、ありがとう。キミならどんな衣装を私に着せたい?
難しい質問だな。
果林さんならどんな服でも着こなせちゃいそうだし……
悩むけど……全部見たい!
果林さんが着たいと思うもの!
悩むけど……全部見たい!
だって果林さんならどんな衣装でも着こなせそうだもん!
あら、褒めてくれてありがと
果林さんが着たいと思うもの!
だとしたら……そうね……コレとかコレ……
あ、でもこっちのも似合いそう……
ふふっ、キミのそういうところ、好きよ
こんにちは、菜々ちゃんいる?
中川さんならあそこにいるよ。今呼ぶね、中川さーーん!
はい!
あっ……!
菜々ちゃん、迎えに来たよー!
すみません、わざわざ迎えに来てもらってしまって……
気にしないで。でも珍しいね、菜々ちゃんが部活に遅れるなんて
クラスメイトの子が、今ハマってるドラマの話をしてくれて、
つい時間を忘れて聞き入っちゃってました
菜々ちゃんは誰かの「大好き」を聞くのも好きなんだね
はい!
「大好き」を語る姿ってキラキラしてて元気がもらえるんです!
あ、カラスだ。エマさん、カラスの童謡知ってる?
知ってるよ~。とってもいい歌だよね、家族の歌!
歌ってあげようか?
ええっ!? 私だけのためになんて申し訳ないよ……
ふふっ、歌いたくなっちゃったから聴いてほしいな!
おお、せつ菜ちゃん小籠包セットにしたんだ~
はい! 実はこの5色の小籠包が好きなアニメのキャラクターの
イメージカラーでして……最近はこればかり食べちゃいます!
璃奈ちゃんは何にした?
えっと、山菜うどん……
ねえ、今日の部活の後、予定ある?
部活の後? 帰るだけだよ?
……ちょっとだけ、遊びに来ない?
うわ~、また負けた! 璃奈ちゃん、ゲーム強いね
毎日鍛えてるから
それじゃ勝てなくて当然かあ
次は別のにしよう。対戦じゃなくて協力プレイ
うん。やるやる!
……今日、急に誘ってびっくりした?
ちょっとびっくりした
うう、ごめん……。でもね、なんだかふたりでいたくなったの
そんなふうに考えてくれてたんだね
びっくりしたけど誘ってもらえて嬉しかったよ
私もまたふたりで遊びたい
びっくりしたけど誘ってもらえて嬉しかったよ
ほんと? また、誘ってもいい?
もちろん! 私も誘うね!
璃奈ちゃんさえよければ、私もまたふたりで遊びたいな
私も遊びたい。できれば、またすぐに……
じゃあ、次の予定を立てよっか
うん!
はあ、はあ……
とまあ、こんな感じかしら?
ありがとう。とっても参考になったよ!
本当に今のが社交ダンスの参考になるの?
なるなる。前からライブを見てて思ってたんだよね。
果林ちゃんって身体の使い方が上手だなって
体幹が優れてるのはもちろん、美しく見せるための所作っていうか、
見られることに対しての意識が高いよね
それって社交ダンスにも必要なことだから本当助かったよ!
ふふっ、お役に立てたなら嬉しいわ
忙しいのに、付き合わせちゃってごめんね
気にしないで。お互い好きなことに全力なのは同じなんだから、
助け合いましょう
うん。私で力になれることがあったら遠慮なく言ってね
ええ、ありがとう。そうするわ!
あう~……
かすみちゃん、大丈夫?
あ、熱測れたみたいだね。見せて……えーと……
うーん……やっぱりちょっと熱っぽいね……
うう~
風邪ひいたのかな? お腹出して寝ちゃったりした?
お腹なんて出さないですう~
でもかすみん、昨日すっっっっっごくたくさん考え事してて……
それからなんか体が熱くって……
考え事?
ライブのことです……。
どういうライブにしたらみんなが喜んでくれるかな、って……
そっか……。でも今はとりあえず休もうか
寒くない? 布団増やす? 氷嚢作ってこようか?
喉が乾いたとかはない?
こんなのなんてことないから大丈夫です~
何もしなくていいからそばにいてください…………
…………
かすみちゃん?
すう、すう……
起きるまでここにいるね……
おやすみ、早く元気になってね!
先輩、見てください!
なになに?
プラネタリウムのチラシ……?
動物園のチラシ……?
プラネタリウムのチラシ……?
はい、今すごく話題になってる演目です。
星座にまつわる物語が聞けるんですよ!
動物園のチラシ……?
はい、ふれあい体験でアルパカが触れるらしいんです!
一緒に行きませんか?
うん、いいね!
やった! チケットの入手は私に任せてください!
ん~~……
唸ってるねえ……
唸らずにいられないんだよ……
次のライブの構想を練ってたんだけど、
やりたいことだらけでなかなかまとまらなくてさ
いっそ全部やっちゃうっていうのは?
全部やったら半日あってもライブ終わらないよ~~!
えーと……じゃあ3日連続にするとか!
おお、いいかも~!
そんで夜はキャンプファイアー囲んでバーベキューして~!
……これじゃ3日耐久ライブになっちゃう
でも、そういうのも楽しそーーー!!
あれ、彼方さんがここにいるの珍しいね?
前は賑やかで苦手、って言ってたよね
うん、そうなの~。賑やかなのはちょっと苦手
……って、ずっと思ってたんだけどね~
今は違うの?
あなたと一緒なら、賑やかなのも楽しいな~、って
今は思うようになったんだ
だから彼方ちゃんもあなたと一緒にここで応援とかしたいな~
いいかな?
もちろん!
あれ……? 練習ノートが書き足されてる
これって……あの子の字だ
おーーい!
あれ、歩夢ちゃん? 歌の練習するって言ってなかった?
今みんなランニングに行っちゃったところだよ
はあ、はあ……
あの……えっと、歌の練習もするんだけど……。
その前に聞きたいことがあるの
?
ねえ、また練習ノートを書いてくれるの?
あっ……見つかっちゃった……?
なんか、みんなと過ごしてて……書き残しておきたいな、って
思ったから書いちゃった。ダメだったかな?
ううん! ダメじゃない!
嬉しいよ……!
あのノートに続きが増えていくんだと思うと、すっごく嬉しい!
早く起きちゃったな……
二度寝……もできそうにないし
今日はもう学校行っちゃおう
何か思い出せることがあるといいんだけど……
あっ!
せーんぱいっ!
かすみちゃん、おはよう
おはよーございます!
朝から会えるなんて、やっぱり先輩とかすみんって
運命の赤い糸で繋がってるんですねえ
そ、そうなのかな?
そーですよ! だから先輩、
なにかあったらなーんでもかすみんに相談してくださいね♪
おはようございます。
早いんですね
あ、おはよう、栞子ちゃん。
栞子ちゃんも早いんだね
朝練の前に生徒会室に寄ろうと思いまして
生徒会室? 栞子ちゃんって生徒会活動してるんだ
はい、生徒会長を務めさせていただいてます
生徒会活動をしながらスクールアイドルもだなんてすごいなあ
ふふっ、無謀ですよね。
でも、それでもやってみたらと背中を押してくれたのが
あなたなんですよ
え……そう、なんだ
そうです! だから私、あなたにはとても感謝しています。
今がこんなに充実しているのはあなたのおかげですから
先輩、おはようございます!
おはよう、しずくちゃん
ちょっといいですか?
え?
えいっ
わあっ!?
えへへ。これで先輩の背中がピンとしました。
背中が丸まってると気分もなんか沈んじゃいますから!
おお~、奇遇だねえ
あ、彼方さん。おはようございます
あれれ~、なんだか目の下が……
もしかして寝不足かな?
いえ、そんなことは
ちょっと寝つきが悪いかなってくらいです
むむ、それは彼方ちゃん見過ごせないなあ。
やっぱりもう一回快眠枕を作るべき……?
おはよう!
おはよう、歩夢ちゃん!
ここで待ち合わせしなくても、部屋まで迎えに行くのに……
そんな迷惑かけられないよ
迷惑なんかじゃないよ。
お寝坊したあなたを起こしに行くのは私の役目だもん!
ええっ!? そ、そんなに甘えてたの……?
幼馴染だったらこのくらい普通だよ?
そうかなあ……
少なくとも、あなたと私はそうだもん! ほら、学校行こ!
ほらミア、もう着くわよ!
んん~……
(あれ、ミアちゃんとランジュちゃんだ。何してるんだろう……?)
あの、おはよう!
あらっ、早啊!
ふああ……
ほら、ミアも挨拶よ!
Morning.
あはは、眠そうだね、ミアちゃん
ミアってばいつもこうなのよ。ランジュがいないとダメなんだから!
はあ!? 別に今日は特別なだけだよ!
今、ランジュが言ったこと信じないでよね、ベイビーちゃん!
なによう! 信じていいのよ!
あはは……
おはようございます!
おはよう、せつ菜ちゃん
あ、髪の毛になにかついていますよ
え?
ちょっとジッとしててくださいね……
はい、取れました!
ありがとう!
ほら、果林ちゃん、もう着くよ~
うーん……
(この前も見たなこういうの……)
エマさん、果林さん、おはよう
あっ、おはよう~!
えっ!? あっ……こほん
おはよう
あれ、果林ちゃんさっきまで眠そうだったのに起きたんだね~
エマ~~~!!
ふああ……
璃奈ちゃん、眠そうだね
昨日、遅くまでゲームしちゃった
ゲームは熱中しちゃうとやめ時がわからないよね
うん。もうちょっと頑張ったらアイテムドロップするかな、
とか思っちゃう
狙ってるアイテムがあるの?
うん。ミアちゃんが欲しがってたやつ。
私のレベルならゲットしやすいから取ってあげたい
そうなんだ! 頑張れ、璃奈ちゃん!
頑張る。璃奈ちゃんボード「むんっ」
(あれ、誰かきたのかな……?)
Wow!?
ミアちゃん!?
こんな早くからどうしたのさ!?
ミアちゃんこそどうしたの? 朝苦手なんじゃなかったの?
あっ、あれはたまたまだよ! 別にボクは朝に弱くない!
昨日から……起きてただけで……
ええ!? そっちのほうがダメだよ!!
朝練までにちょっとでも寝たら?
別に平気さ。ステイツにいた頃からこういう生活だもん
ダメ!!!
もーーー!
おっはよー!
おはよう、愛ちゃん
いい天気だね~
ほんとだね
こんなに天気がいい日は……鬼ごっこしたくなる!
今日の朝練はランニングじゃなくて
鬼ごっこしよ~って提案してみよっと!
あははっ、楽しそうだね
君も参加だぞ~!
せつ菜ちゃん、璃奈ちゃん、おはよう
おはようございます!
おはよう
あれ? なんだか目が赤いですよ?
寝不足?
うん、ちょっと……
なにか悩み事ですか!?
私たちでよければ、話聞くよ
あ、ううん、そういうのじゃないんだ。
ネットでみんなのPV見てたら止まらなくなっちゃって……。
楽しくって、ずっと胸がドキドキしてた!
おはよう
あ、果林さん、おはよう。あれ……?
キョロキョロしてどうしたの?
エマさんは?
もう! いつもエマにお世話してもらってるわけじゃないのよ!
そう……なの?
その目は信じてないでしょ!
あっ!
早啊ーー!
おはよう、ランジュちゃん
ねえ聞いてよ! 昨日ランジュたち、寮で餃子パーティーをしたの!
餃子パーティー?
手作りしたのよ! みんなで餡を皮に包んで焼いたり茹でたり!
とってもおいしくできたわ!
手作りなんて楽しそう!
アナタもやってみたい? みたいわよね!?
うん!
じゃあ、今度みんなで餃子パーティーしましょう!
ランジュがうまく包むコツを教えてあげる!
(んー、いい天気!)
(早く来すぎちゃったけど、ランジュちゃんとエマさんは
もう来てそうだな。ミアちゃんと果林さんは
きっとまだ眠いだろうからコーヒーを用意してみようかな)
(あ、柔軟用のマットが擦り切れてたから
栞子ちゃんに新しいの買えるか相談してみよう)
(そういえば演劇部の公演も近いんだっけ……。
同好会でお手伝いできることがないか、
みんなで話してみるのもいいかも)
(みんながやりたいこと、だんだんわかってきた気がする……。
もっと役に立てるようになりたいな)
よしっ、頑張ろーーー!
みんな、おはよー!
おはようございます、先輩
おはよ~
おはようございます
3人集まってどうしたの?
今、オフィーリアさんの動画を見せてもらっていたんです
ふふっ、今朝、衝撃動画が撮れちゃったんですよ
あなたも見てみて~!
おはよう~
おはよう、エマさん
はい!
あ、マフィンだ! エマさんが作ったの?
うん。ブルーベリーたっぷりのマフィンだよ~。
最近あなたが夜遅くまでわたしたちの動画を見てくれてる、って
聞いたから……
それで目にいいブルーベリーで作ってくれたの!?
えへへ。動画はいっぱい見てほしいけど、
目が疲れちゃうのはダメだからね~
ありがとう、エマさん!
ふああ……
ふふふっ、今日も眠そうだね
あはは……だって見始めたら止まらないんだもん
やっぱりあなたって……
おーい、おっはよー!
あーん、愛先輩置いていかないでくださいー!
せんぱーい、かすみんもいますーーー!
あ、愛ちゃん、かすみちゃんもおはよう
ふたりともおはよう
おふたりで何のお話してたんですかっ?
かすみんたちも混ぜてくださーい!
大した話じゃないよ
えー、ほんとですかあ?
あっ、愛さん大ニュースがあるんだー! 聞いて聞いて!
なんと! 新作ぬか漬けができましたーー!
えっ、どんなの!?
まあまあ慌てないで。みんなの分持ってきたから♪
やったー!
(いつもの道、いつもの駅、いつもの電車、いつもの校門……)
(だけどなんだかちょっと違って見える)
(生まれ変わった、って、こんな気持ちなのかな)
もう寝ちゃったかな?
歩夢ちゃんこんばんは! まだ起きてるよ~
よかった! 何か困ってることはない?
大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう
幼馴染なんだから、いつでも頼ってね。
私はいつでもあなたの味方だよ
わかった。ありがとう、歩夢ちゃん!
こんばんは!
歩夢ちゃんこんばんは!
お母さんがおかず作りすぎちゃったから
お隣に持って行きなさい、って言うの
行ってもいいかな?
もちろんだよ! なんのおかずだろう?
楽しみ~!
見てのお楽しみだよ!
せーんぱい!
かすみちゃんどうしたの?
なんだか先輩とお話したくなっちゃって。
先輩はかすみんとお話したくないですか?
したいかも……
したいかも、じゃなくてしたい!
って言ってくださいよ~!!
今から電話しちゃいまーす
先輩~! かすみんピンチです!
ええ!? どうしたの?
明日の小テストの範囲が
わからないんです……
それは本当にピンチなやつだ……
これから怒られるの覚悟で、しお子に電話
するのでうまくいくよう祈っててください
うまくいきますように!!!
しずくちゃん、今大丈夫?
先輩のことを考えてました
え!?
あ、あれです。今度の演劇の役なんです。
人知れず先輩に恋心を抱く子を演じるんです
なので先輩、
練習相手になってくれませんか?
そういうことか。私でよければ喜んで!
先輩はミステリーとか興味ありますか?
うん! そういうドラマ見たりするよ!
そんな先輩におすすめの映画があります!
なになに? 気になる!
では明日持っていきますね!
うん、ありがとう!
お姉さんにおやすみの挨拶はしてくれないのかしら?
え!? あの、おやすみなさい!
前は必ずしてくれてたのにな……
そうだったの!?
ごめん、忘れちゃって……
なんてね。冗談だから安心して。私が
おやすみ、って言いたかっただけよ
おやすみ。良い夢見てね
今日はお疲れ様
果林さんも。ダンスの練習があんなにハードだなんて思わなかったよ
あんなのまだまだ本気じゃないわよ?
ええ!?
明日の果林さんも楽しみにしてなさい
君の記憶は絶対に戻る!!
え、ありがとう!!!
愛さん今日神社でお願いしてきたんだー!
絵馬も書いたよ。エマっちと!
愛ちゃんのダジャレほんっと最高!!
君が笑ってくれるならダジャレ100連発
できちゃうよ♪
やっほー! 起きてる?
起きてるよー!
今ね、りなりーがゲームの配信してるよ!
えっ、そうなの!?
めちゃアツいからおすすめ!
ありがとう、見てみる!
やっほ~
彼方ちゃん聞きたいことがありま~す
なになに?
ナポリタンと和風パスタどっちが好き?
両方好き! でも急になんで?
明日のお弁当メニューだよ~
両方作るから、あなたにも食べてほしいな!
いいの? 楽しみ!!
もうすやぴのお時間かな~?
あ、彼方さん。ちょうど寝ようと思ってた
ところだよ
うんうん、上質な生活は上質な睡眠から!
いい夢見るんだよ~
ありがとう。おやすみ!
おやすみ~
聞いてください!
せつ菜ちゃんどうしたの?
今、次のライブに向けてすごくいい
アイディアが閃いたんです!
お話したいので電話をしてもいいですか?
もちろんだよ!
ありがとうございます!
今からかけますね!
知ってますか!? 明日の学食のメニュー、
すごいんですよ!
え、なになに?
朝採れたまごのプリンがあるんです!
ただ、数量限定なんですよ!
え! 食べたい!
ですよね! 4時間目が終わったら
急いで向かいましょう!
夜更かしはダメだよ~
えっ、なんでバレてるの!?
なんだか寝つきが悪くって困ってるんだよね
じゃあ、私が子守歌を歌ってあげる!
そんな迷惑かけられないよ!
いいからいいから。私がしたいんだもん!
今から電話するよ~
じゃあ……お願いします!
ミアちゃんがいっぱい
お野菜食べてくれたよ!
すごい! ミアちゃん野菜あんまり
好きじゃないのに! どうやったの?
ケーキに混ぜてみたの。そうしたら
おいしいって言ってくれたよ~
策士だね~!
えへへ! 他にどんなお野菜を入れられるか
明日、彼方ちゃんに聞いてみる!
一緒にゲーム、しない?
いいよー!
すごくおもしろそうなやつ、見つけた。
あなたも好きだと思う
しようしよう!
じゃあ、今から招待コードおくる。
ふたりで力を合わせて廃墟団地から脱出!!
おー!
ちょっと聞いてもいいかな?
どうしたの?
柔軟用のマットってどこにあるか知ってる?
探したんだけど見つからなくて
あ! 部室の掃除したときに
移動させちゃったかも
ごめん! 朝練のときに出しておくね!
うん、ありがとう。
璃奈ちゃんボード「ペコリ」
最近困ったことはありませんか?
保健室の先生があなたを心配してました
え、先生が!? 私は大丈夫だよ!
心配させちゃったかな……
先生には私から伝えておきますね。
あなたはいつも通りで大丈夫です
栞子ちゃん、ありがとう!
先生だけでなく、
私のことも頼りにしてくださいね
いつでもお話聞きますから
こんばんは。今少しお時間いいですか?
栞子ちゃんこんばんは! 大丈夫だよー!
ボランティアで子供たちにクラシック音楽を
紹介したいのですが
作曲家の背景を含めて子供たちも興味を
持ってくれそうな曲ってありますか?
いろいろあるよ!
後でまとめて連絡してもいいかな?
ありがとうございます!
あなたに相談してよかったです!
ベイビーちゃんが寂しがってないかと思って
連絡してあげたよ
ミアちゃん、こんばんは!
ありがとう、嬉しいな
はい、これ見て
野球の試合?
忘れちゃってるんだろうけど、ベイビー
ちゃんはボクのベースボール仲間さ!
そうだったんだ! じゃあ見なきゃだね!
https://baseball.road-news...
What’s up?
キミ音楽史の資料集って持ってる?
この前ミアちゃんが見てたやつだよね。
持ってるよー
Yay! 明日借りに行く!
了解!
ねえねえ、今お話できるわよね?
大丈夫だよ!
今からランジュの最高のパフォーマンスが映ってる動画をプレゼントしてあげるわ!
本当に? ランジュちゃんのパフォーマンス楽しみだな
存分に楽しみなさい! ランジュの
パフォーマンスは全部が最高よ
見応えがありそうだね
まだ起きてるわよね?
起きてるよー!
今ミアと璃奈がゲームで配信してるのよ! 見た方がいいわ!
えっ、そうなの!? 見てみる!
ランジュたちも配信を盛り上げるわよ!
(ある日出会ったまぶしいきらめき。私は一瞬で夢中になった)
(自分のすぐそばにもそのきらめきが隠れていたことに気づいて、
私の胸はトキメキで溢れた)
(きらめきはひとつひとつまったく違った色で、決して混じり合ったりはしない。だけど隣り合うひとつひとつがお互いを支え合って引き立てあって、まるで虹のような彩りを放っていた)
(きらめきを見つめる日々は目まぐるしくて。
虹の光に囲まれる日々は愛おしくて)
(講堂のステージ、拙い演出、小さいけれどあたたかいライブ)
(スポットライトはそこからどんどん遠くを射していった)
(私の知らない大きなステージ、私の知らない降り注ぐような歓声、
私の知らない……)
(あれ? そもそもあのきらめきってなんだっけ?)
(とっても大好きで、とっても大切だったのに……)
(目まぐるしくて愛おしい、かけがえのないなにか……。
でも、今はもう、きっと私の手には―)
……
あっ、目が覚めたんだね! よかったあ!
歩夢ちゃん……
お水飲む?
ううん、平気
起き上がれる?
うん
ゆっくりね
うん……
大丈夫? 璃奈ちゃんボード「ハラハラ」
急に倒れたと聞きましたが、何があったんですか?
頭が痛いとかない?
……?
……ねえ、やっぱり病院に行った方がいいんじゃないかしら
じゃあ私、この子のお母さん呼んで―
歩夢ちゃんっ!!
この人たち、どなた……?
もう、寝ぼけちゃってるのね!
仕方ないわね、ランジュが秘伝のツボを……
ランジュ、待ってください。なんだか様子が変では……?
え? ちょっと冗談でしょ、まさか、映画とかでよくあるアレ……?
いやいや、あるわけないって
そんな「記憶がありません」なんてさ~……
ごめん……本当にわからない……です
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
知らない人がいる! どうなってるの!?
知らない、って……あの、どういうことでしょう、先輩
あははっ、記憶喪失になっちゃったとか~?
もう、笑えない冗談ですよ!
こんなかわいいかすみんのこと忘れちゃうなんて!
えっと……
あれ……? 冗談……だよね?
記憶喪失……かもです……
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
えええええーーーーーーーっ!?!?
あの……この度は、本当に……
記憶喪失って本当なの!? 本当に本当!?
うん……
あのあと病院で詳しく検査してもらったんだけどね、
本当にそうみたいなんだ……
覚えてることはないんですか?
自分の名前とか家族のこととか昔のこととか、
たぶん覚えてることのほうが多いと思う。ただね、その……
この同好会に入る前くらいからのことを、
全部忘れちゃってるみたい……
というと、2年になってからの記憶がない、って感じ?
そんな感じ。
2年に上がって、歩夢ちゃんとどこかに遊びに行ったな~
くらいが一番新しい記憶
アキバでμ'sとAqoursの合同ライブを見たくらいから
覚えてないんだって……
えっ、それって先輩がスクールアイドルに目覚めたライブですよね!?
うん、そうだね
ええーーーっ!! もうちょっと後のことまで覚えてれば
かすみんは先輩の記憶に残ってたのにーーー!
え?
だって先輩、
あのライブの次の日には同好会の部室に来てたじゃないですか!
そ、そうなの?
そうですよう!
ニジガクにもスクールアイドル部があるはず、って
学園中探し回ってかすみんのところに来てくれたんですから~!
すごい行動力だなあ、私……
それが「あなた」なんだな~
そうそう、行動力の塊!
同好会解散の危機を数日で救ってしまったんですよ
え、解散の危機!?
……本当に私がそんなことしたの?
してくれたんだよ~
頼もしかった
そうなんだ……
そんなすごいことしたのにみんなのこと覚えてないなんて……。
本当にごめんね
落ち込まなくていいのよ
歩夢さん、この方の記憶が無くなったことに原因はあるんですか?
それがよくわからないらしくて……。
頭を打ったわけでもないみたいだし
……ということは、脳がダメージを受けたことによる
記憶喪失ではないということですよね?
だったら、記憶が戻る可能性はあるのではないでしょうか
しずくちゃんの言うとおりだよ。ほら、映画とかでもあるよね?
びっくりしたら記憶が戻るとか!
びっくりしたら治るのはしゃっくりでは……
そ、そうだった!
ええと、衝撃とかきっかけがあれば戻るはず!
衝撃、か……
衝撃……
……ミアさん、璃奈さん、物騒なことは考えないでくださいね
わ、わかってるよ!
こういうのは時間が解決するという話も聞いたことがありますから
うん、普段通りの生活を送ることが記憶を取り戻す手助けになる、って病院の先生も言ってたよ
ということは、これまで通り同好会の活動を続けていけば
記憶も戻るのではないでしょうか!
そうですよ! 先輩とかすみんたちの大切な思い出は、
そんな簡単に忘れられるものじゃありません!
その通りよ!
いいねいいね! じゃあ愛さんたちでこの子の記憶を取り戻すぞー!
急に元気いっぱいになったわね、愛
ゲンキンだから元気でた! なんつってー!
ぷっ……あはははっ! ゲンキンだから元気でたって……あはは!
先輩の笑いのレベル変わってませんね!
うん、赤ちゃんのまま!
希望が見えてきました……!!
それはそれとしてだね、彼方ちゃんからひとつ提案があるんだな~
なんですか?
この子の記憶を取り戻すまでは、彼方ちゃんたちは初めましての相手になるワケでしょ?
そういうことになる
だったら、改めて自己紹介とかしておかない?
申し訳ないけど、してもらえると助かるな
じゃ、じゃあ私から!
え? 歩夢ちゃんのことは覚えてるよ?
スクールアイドルの私のことは覚えてないでしょ……?
私ね、スクールアイドル同好会に入ってからすごく変わったと思うんだ。だから自己紹介、させてほしい!
(なんだか……本当にちょっと前の歩夢ちゃんとは違うみたい……)
うん。じゃあ、お願いします
上原歩夢、虹ヶ咲学園普通科2年です。
まだまだできることは少ないけど、応援してくれるみんなと一緒に
一歩一歩成長していきたいと思って活動してます
私がスクールアイドルになったのはね、あなたが誘ってくれたから。
でも今は私の意思で続けてるの。こんな私になれたのも……
あなたのおかげだよ
次はランジュよ! ランジュはアナタと同じ2年生で普通科。
歩夢とせつ菜と一緒なの!
ランジュは最強で最高のスクールアイドルだから、
それだけ覚えててくれればいいわ。
他のことは気にしなくても無問題ラ!
あっ、この子はミア! ミアの作る曲はすっごくいいの!
ランジュ、アナタの作る曲もミアの作る曲も大好きなのよ!
ちょっと! 勝手に紹介しないでよ
はあ……。ボクはミア・テイラー。ステイツじゃ大学生だけど、
ここでは音楽科の3年だよ。
ボクはボクのためにスクールアイドルになったんだ
まあ、キミにはちょっとは世話になったかもね……。
だからこれからはボクがキミの助けになってもいいよ
んじゃ次は愛さんかな
いえいえ、ここはかすみんが!
じゃあ、間をとってわたしがやるね~
わたしはエマ・ヴェルデ、虹ヶ咲学園国際交流学科の3年生だよ。
スクールアイドルになりたくてスイスから来たの。
スクールアイドルが大好き! パンの耳や日本の童謡も大好き!
いろんなことがある毎日だけど、
わたしの歌で癒してあげたいな~と思ってるんだ
あなたのことも、癒してあげたいな
ぐぬぬ……先を越されちゃいましたあ~!
よしよし
というわけで、次は私が
えっ!?
えっ!?
桜坂しずく、虹ヶ咲学園国際交流学科1年です。お芝居が大好きで
いつか世界に通用する女優さんになるのが目標ですが、
高校の3年間はスクールアイドルに打ち込もうと思っています
私の心のなかにいるいろんなスクールアイドルを全力で演じて、
応援してくれるみなさんに私の世界観に浸ってもらえるように
なりたいです!
はいはいはーい! 次、愛さん!
アタシは宮下愛、虹ヶ咲学園情報処理学科2年! 愛さんはね、
君にスカウトされてスクールアイドルになったんだ。
愛さんが見たことのない景色を見せてあげる、って
今はもうスクールアイドルに夢中!
君が見せてくれた景色が愛さんを変えたの。愛さん、
スクールアイドルとしてみーんなと楽しいこといっぱいするんだ!
ぐぬぬ……こういうのって話出すタイミングが重要なんですね……
よしっ! かすみんは―
やっほ~近江彼方ちゃん、
虹ヶ咲学園ライフデザイン学科3年生で~す!
かわいい妹に遥ちゃんがいまーす!
彼方ちゃんのことを忘れてるってことは遥ちゃんのこともだよね?
だから今度改めて紹介させてね~
あ、彼方ちゃん、スクールアイドルしてるときはわがままさんに
なるの。あなたがそうしていいよ、って言ってくれたから。
詳しくはこれまた改めて~
彼方先輩が割り込んでくるとか予想外すぎますよお!
えへへ~
優木せつ菜、虹ヶ咲学園普通科2年生です。私には野望があります。
それは、この世界を「大好き」で埋め尽くすことです
なにかや誰かを「大好き」って思う気持ちって、
すごいパワーがあると思うんです。
世界や時代を動かすくらいのパワーが
そんなパワーを秘めた「大好き」の気持ちを、
スクールアイドルとして叫んでいきたいです!
かすみちゃん、ほらほら!
あっ、あっ!
中須かすみ、虹ヶ咲学園普通科1年生です!
かすみん、日本一かわいーいスクールアイドルになるために
毎日頑張ってます! ちなみに目標達成は目前です!
先輩はかすみんのことちょー好きでしたよ!
かすみんのことかわいいかわいい、って毎日毎秒言ってくれてました
からね! ほんとですよ! 信じていいですからね!
やっと言えましたー!
さあさあ、みなさんもどうぞどうぞ~
かすみちゃん、こういうのはね、
順番じゃなくてインパクトが大事なのよ。
いかに言葉で射抜くか……ね
えっ……
朝香果林、虹ヶ咲学園ライフデザイン学科3年よ。
私は、この身体で目の前にいるみんなを虜にしたいの。
私から絶対目が離せなくなっちゃうようなパフォーマンスをするわ
キミのことも、また虜にしちゃうから♥
なんてね
さすが果林さんですね……
確かに射抜かれてしまいました
私も、頑張らなきゃ
天王寺璃奈、虹ヶ咲学園情報処理学科1年。私は、自分の気持ちを
伝えるのが苦手。だから愛さんと一緒にこの璃奈ちゃんボードを
発明したの。今は、誰にでも気持ちを伝えられるよ
あなたが記憶を失ってても、これがあれば私はあなたと繋がれる、って信じてる。大丈夫だよ。璃奈ちゃんボード「にっこりん」
では、最後は私ですね
立て続けですが大丈夫ですか?
置いてけぼりになっていませんか?
う、うん、大丈夫だよ、ありがとう
虹ヶ咲学園で生徒会長をやらせていただいている三船栞子と申します。普通科の1年生です。私は最初、適性が無いのにスクールアイドル活動をすることは無駄だと思っていました。
でも、あなたや同好会のみなさんを見て、
やりたいことをやるのに無駄なんてないとわかったんです。
そして、私も今は同好会の一員です。
いつか、ここにいるみなさんのように、
誰かの支えや希望、救いになれるような
スクールアイドルになりたいです
自己紹介しゅ~りょ~。
ちょっとは彼方ちゃんたちのこと知ってもらえたかな?
うん。みんな、ありがとう!
気になってるかもだから、これも教えておくね
?
あなたはね、この同好会の部長さんをしてくれてたんだ
部長であり、一番のファン、って言った方が正しいかもね
うんうん、だって先輩はかすみんのこと
毎日毎秒かわいいって言ってましたから!!
かすみさん、あんまり盛るのは……
盛ってないもん!
部長……
そんな責任ある立場で記憶喪失なんて私……!
ああっ、また落ち込んじゃった! 大丈夫だよ~、よしよし!
落ち込んでる場合じゃないよね、私もみんなのこと思い出したい。
だから、またよろしくお願いします!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
こちらこそ!
ふう……
(スクールアイドル同好会、かあ……)
あ……
あれ、歩夢ちゃん? どうしたのこんな夜中に?
それは私のセリフ!
あなたこそどうしたの?
私は、みんなからもらった手紙を読んでたところだよ。
ようやく読み終えたから外の空気でも吸おうかなと思って
ええ!? もしかしてずっと読んでたの!?
? うん
あのお手紙……すごい量だったでしょ。自己紹介で
言い足りなかったことを補足したほうがいいよね、ってことで
みんなで書いたんだけど……どれだけ書いても書き足りなくって……
結局すごい量になっちゃったから反省してたんだよ
反省だなんて、全然! みんなにはすごく感謝してるんだ!
あのお手紙、書いてもらえてよかった。
読んでて胸があったかくなったから。
私も、思い出したいな、って思ったよ
あなたがそう思ってくれてよかった。困ったことがあったら、何でも言ってね!
じゃあ、おやすみ
(……記憶喪失か。私、なんでこんなことになっちゃったんだろう)
(思い出せるといいんだけど……)
この人たち、どなた……?
知らない人がいる! どうなってるの!?
私、ライブをしようと思うんだ。
だからみんなにお手伝いをお願いしたいの!
きゃあっ! いいわねいいわね! お手伝いは任せなさい!
歩夢さんが思い切ったことをするなんて珍しいですね
ははぁ~ん、彼方ちゃん、ぴーんと来ましたぞ~
歩夢さんが大きな決断をするということは、
あの方が絡んでいますね
えっ!?
そ、そんなことないと思うんだけど……
あら、違うの?
……違いません
あの子のためのライブかあ~。なにか狙ってるな、歩夢~?
狙ってることなんてないよ!
そうじゃなくて……えっと……
……やっぱりそうかも
もう一度あの子の心を奪いたいな、って……
ひゅ~ひゅ~なんだぜ~
むー! ずるいです、かすみんだって先輩の心を奪いたいですー!
かすみんだって、かすみんだってーー!
かすみちゃん、どうどう
子犬ちゃんは落ち着きがないなあ。最後まで歩夢の話を聞こうよ
かすみん子犬じゃないっ!
でも、お話は聞きます……
あの子の心を奪って、どうしたいの?
もう一度、スクールアイドルに夢中になってもらいたいんです
あの子はμ'sとAqoursの合同ライブを見た瞬間に
スクールアイドルに心を奪われて、
この同好会も廃部の危機から救いました
だから、それに負けないくらいのライブを見せて、
もう一度スクールアイドルに夢中になってほしい……
そうしたら、きっと記憶も戻ると思うんです!
あの子の中に、私たちとの思い出は絶対残ってるはずだから。
思い出すきっかけさえあれば、きっと……!
歩夢さんの熱い想い……受け止めました!!
私たち全員でサポートしましょう!!
む~、かすみんもライブしたいけど……
歩夢先輩がそこまで言うなら、今回はお手伝いにまわります
すーーーーーっごくいっぱいお手伝いしますから、
かすみんの気持ちも歩夢先輩が背負ってくださいね!!
約束ですよ!
うん!
では役割分担を決めましょう!
歩夢さんはパフォーマンスに集中してください
セットリストは決めてもらう必要がありますが、
他のことは全部私たちがやります
えっ、そ、そこまでお願いできないよ!
いいのよ、任せなさい。その代わり、かすみだけじゃなく、
ここにいる全員の気持ちを背負ったステージにするのよ!
わかったわね、歩夢!
ランジュちゃん……みんなも、ありがとう!
え、歩夢ちゃん、ライブするんだ!?
うん! あなたも見てくれると嬉しいな
もちろん見るよ!
なにか私に手伝えることあるかな?
じゃあ……今まで通り、練習に付き合ってほしいな
そんなことでいいの? だったら任せて!
あ、私がお弁当作ろうか?
あ、私が朝起こそうか?
あ、私がお弁当作ろうか?
あなたがお弁当……? 作れるの?
……作ったことは……ないかな?
あははっ、残念ながらそれはなかったな
そっか~。でも……
あ、私が朝起こそうか?
ほんとに……?
いや、ごめん、気持ちが先走ってしまった……。えっと……そうだ!
おにぎりくらいならいける!
朝練の後に食べられるような小さいおにぎり作ってくる!
ほんと!? 嬉しいな、練習頑張れちゃう!
果林さんに相談して、練習メニューも増やしちゃおうっと
え!? 増やす……!?
そうだよ、ライブするんだもん。もっともっと練習しなくっちゃ
愛ちゃんとランジュちゃんに
おすすめランニングコースも教えてもらおうっと
今でもかなりしっかり練習に打ち込んでると思うんだけど
これ以上!?
歩夢ちゃん……なんだかすごいね。
歩夢ちゃんなのに歩夢ちゃんじゃないみたい……
あはっ、昔の私と比べたらそうだよね
昔は、あなたとショッピングしたり手芸したりお菓子を作ったり、
のんびりしてたもんね
私の中にある歩夢ちゃんのイメージってその時のままだから、
ちょっとびっくりしちゃった
歩夢ちゃんがこんなに変わったのって、
やっぱりスクールアイドルになったから?
そう、あなたがスクールアイドルにしてくれたからだよ
同好会に入って、私は体力もついたし、
ダンスも踊れるようになったし、人前に立てるようにもなったし……
成長することができたの
(ん? 待って、「してくれた」って……?)
(歩夢ちゃんが自主的に始めたことじゃないの……?)
だけど私、
最初からこんなにやる気満々、ってわけじゃなかったんだよ
やってみようかな、って軽い気持ちで始めちゃったから、
最初は自分がどんなパフォーマンスをしたいのか
どんな風になりたいのかもわからなかった
……好きな人に、喜んでもらえたらいいな、ってだけで
だけど、そんな私でも変われたの
スクールアイドルになって、成長することができた
それをあなたにちゃんと見てほしい……
歩夢ちゃん……
うん、わかった。私、ちょっと考えが甘かったみたい。
しっかりサポートするね! ライブまで頑張ろう!
うん!
歩夢ちゃーん! あとちょっと! 頑張れーーー!
はあっ、はあっ……
ゴール!! お疲れーーー!
はあ、はあ……はああ~~~、キツかったあ~!
はい、タオル。体冷やさないようにちゃんと汗拭いてね
うん、ありがとう……ふう……
本当にこの距離を走り切っちゃったんだね。
ランジュちゃんが作ったランニングコースの地図を見たときは
絶対無茶でしょ……って思ってたんだけど
キツかったよ~、ギリギリだよ~
この距離、前は走れなかったの。
でも今の歩夢ならできる、ってランジュちゃん言ってくれて……
信じてもらえたから、頑張れたのかな
それもあるかもしれないけど、
歩夢ちゃんが毎日頑張ってたからだよ
歩夢ちゃんは昔からコツコツ頑張ることができる子だもんね
(……私は、その積み重ねをほぼ一年分忘れちゃってる……
そりゃ「歩夢ちゃんじゃないみたい」なんて思っちゃうよ)
(私が忘れた時間分、歩夢ちゃんは成長してるんだから)
(今の歩夢ちゃんのこと、もっと知りたい……!)
クールダウンがてら歩こうか?
そうだね、こんなに暗くなっちゃったし早く帰らないと……
そうだ、セットリストのこと、
あなたに考えてもらってもいいかな?
私でよければ喜んで
じゃあ、あとで曲のリストを送るね
私の中にもイメージはあるんだけど、音楽を学んでるあなたなら
どんなセットリストを組むのか教えてほしいんだ
わかった
……だけど、大丈夫かな? 同好会のみんなと過ごしてきて感じたん
だけど、なんかスクールアイドルって理屈じゃないっていうか……
情熱が一番、っていうか
音楽のセオリーで決めるのはよくないんじゃないかなと思うんだけど
…………あなた、本当にスクールアイドルのこと忘れちゃってるの? 思い出してない?
え? いや、思い出せてないけど……
でも、あなたの言う通り……
ねえ、セットリストはやっぱり私が自分で決める。
でも一緒に考えてほしいの
記憶があってもなくても、
あなたは昔から私の気持ちを整理するのが上手だから……お願い!
う、うん!
……これ、本当に全部私が作ったの?
そうだよ、全部、あなたが私に作ってくれた曲
全部、そのときの私の気持ちがきれいに収まってるの
気持ちの整理、ってこういうことか……
今聞いてみてどう思う?
……歩夢ちゃん、すごく頑張ってきた、成長したんだな、って……
うう……
な、泣かないで~~! どうしたの、どこか痛いの!?
ごめん、大丈夫。ただ、どうして全部忘れちゃったんだろう、って
思ったらなんか泣けてきちゃって
歩夢ちゃんが一歩一歩進んでるところを
ずっとそばで見てたはずなのに……それを忘れちゃうなんて
よしよし……もう泣かないで
……昔とは逆だね。
昔は私が歩夢ちゃんを慰めてたのに
歩夢ちゃん、本当にすごく変わった……頼もしくなったんだね
えへへ、あなたや同好会のみんな、
それに応援してくれるみんなのおかげだよ
私ね、あなたの記憶を取り戻すためにライブをしよう、って決めたの
今の私になら、そんなライブができると思うから
歩夢ちゃん……
でも、やっぱり私はひとりじゃ何もできないんだよね
同好会のみんなの力も必要だし、あなたも必要……
何も覚えてないのに?
ほんとにそうかな?
何も覚えてないのに?
ほんとにそうかな?
あなたはあなただもん。
一緒にいるだけで私の気持ちを落ち着けてくれる、大好きな人だよ。
必要ないわけないよ
私ね、ライブの最後の曲は『夢への一歩』にしようってことだけは
決めてるんだ
これはあなたへの気持ちばかりが詰まった曲だから……
え? どういうこと?
この曲を作るときにあなたからいろいろ聞かれたんだ。
どんなスクールアイドルになりたいのか、
どんなスタイルでいきたいのか、どんなことを表現したいのか、って
だけど、この時の私はまだ何もわかってなくて
うまく答えられなかった。
だからあなたが喜んでくれるようなことを言ってたんだと思う
でも、今改めてこの曲を見ると「あなたに喜んでほしい」っていう
私の気持ちが……私のあなたへの気持ちがすべて詰まってる、って
感じるんだ
だからこそ、最後はこの曲を歌いたい。きっとあなたに届くと思うから
…………
……初めての曲なのに、込めた思いが不純で
びっくりさせちゃったかな……
あ、ううん、そうじゃないの。今の話が本当なら、
『開花宣言』を歌うまでの歩夢ちゃんに何があったんだろう、って
思って……
だってこの曲は文字通り蕾が花開いた曲だもん
歩夢ちゃんは絶対に諦めない子だから、
いろんなことを吸収して成長して自信を持てるようになって……
それで出来上がった曲でしょ?
うっ……
うわあああっ!? なんで泣いてるの!?
ごめん、変なこと言っちゃった!?
だ、だって、記憶がなくても、
あなたは同じような言葉をくれるから……
ぐすっ……。ダメだな、もう泣かないって決めたのに……
あなたのことでは泣いちゃうよ
あはは……またふたりで泣いちゃったね
あはははっ、ほんとだね。私たち、変わらない!
1,2,3,4,1,2,3,4。はい、オッケー!
バッチリだね、歩夢ちゃん!
はあ、はあ……うん!
あ、ひと口おにぎり食べる? 作ってきたんだ
食べたい!
シャケと昆布とおかか、どれがいい?
うーん……シャケ!
はい、どうぞ~
あなたは食べないの?
いや、私は運動してないし
でも早起きしたからお腹すいちゃってない?
うーん…………じゃあ私も食べちゃおうかな
うん! じゃあいただきます!
はむっ……おいしい~
おにぎりって誰が作ってもおいしくてすごいよね。
はむはむ……
あ、口の横にご飯粒ついてるよ。取ってあげるね
うわ、はずかしい……ありがとう
え、どこどこ!?
うわ、はずかしい……ありがとう
ふふ、どういたしまして
え、どこどこ!?
ここだよ~。
あー! おにぎり食べてるー!
おはようございます、今日も早いですね!
早朝練習するとおなかすくよね~
みんなも食べる? いっぱいあるんだ
わあっ、いいの!?
エマ、あれだけ食べてたのにまだ入るの?
さっき食べたのはパンだもん。おにぎりは別腹だよ~
スイーツは別腹みたいに言わないでよ、エマ……
いいじゃない! いっぱい食べるエマはかわいいわ!
シャケと昆布とおかかがあるよ。みんなどれがいい?
彼方ちゃんおかかがいい~
シャケ、食べたい。璃奈ちゃんボード「ワクワク」
昆布がいいです!
かすみさんは何にする?
えーとえーと……どれも好きだから迷っちゃう……
ご、ごめん、かすみちゃん……あとおかかしかないや
おかかも好きですっ! 先輩の手作りおにぎり~!
さて、歩夢さんのライブがいよいよ明日に迫っています。
みなさん、最終チェックは済んでいますか?
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
はーい!
最終チェックは済んでるんだけど、
ひとつ追加したいことがあるんだ~
どんなことですか、エマさん?
実はね、園芸部の子たちが花壇に咲いたガーベラを使ってほしい、
って言ってくれてるの
ええ!?
あ、エマさんと歩夢ちゃん、花壇のお手入れ手伝ってたもんね
そう! そのお礼なんだって!
えええ!? でもせっかくきれいに咲いてるのに……
きれいに咲いたから使ってほしい、って言ってたよ
あのガーベラね、
前に歩夢ちゃんが配ったガーベラの種から育てたものなんだって!
ええっ!? すごいじゃん! ならもう使わなきゃだよ、歩夢!
大事に育ててくれたんだねえ~
い、いいのかな……?
ガーベラも同じステージに連れて行ってあげましょう、歩夢さん!
……うん!
歩夢ちゃん、緊張してる?
……なんか不思議。今日は大丈夫みたい。
いつもはすごく緊張するんだけど
それより、やるぞ、って気持ちだよ!
……本当に歩夢ちゃんなの?
も~!
あはははっ、ごめんごめん。
これが今の歩夢ちゃんなんだな、ってわかるよ
ずっと練習に付き添ってきて、歩夢ちゃんが1曲ごとに
成長してきたんだ、っていうのがよくわかった
だから……今日はその歩夢ちゃんを見せて!
うん!
もう一度、私があなたをスクールアイドルに夢中にさせてあげる!
私から目を離さないでね!!
かすみちゃん、ライブの準備順調だね~
はい! みなさんが手伝ってくれてるお陰です~!
なかでもやっぱり先輩は頼りになります。
記憶がなくてもかすみんが困っていること全部わかっちゃいますから!
そうかな? ちゃんとできてたらいいけど……
も~、先輩ちょっとは自信持ってください!
そうだよ。あなたが私たちのために一生懸命動いてくれてるのは
前と同じだもん
体が覚えてる、ってことなのかな?
トレーニングは裏切らない、ということですね!
記憶喪失にもそれ当てはまるかな……
他の人がどうかはわからないですけど、先輩には当てはまってますよ!
だから先輩、今日もサポートお願いします!
うん、頑張る! それで今日は何をしたらいい?
今日はライブのセットリストを決めますよ~!
先輩、決めてください!
ええっ!? そんな大切なこと私が決めていいの!?
ええっ!? そんなの決められないよ!
ええっ!? そんな大切なこと私が決めていいの!?
ええっ!? そんなの決められないよ!
先輩のためのライブですもん! 決めてほしいです!
どの曲がいいですか?
……聞きたい曲、無いんですかぁ?
そんなことない!
私、かすみちゃんのライブ動画何度も見ちゃうくらい好きだもん!
じゃあ、好きな曲を教えてください
好きな曲……?
先輩が一番かわいいと思う曲!
一番かわいい……。
う、うーん……
(どうしよう……どの曲も大好きだし、
全部一番かわいいと思うし……決められない……)
せんぱああい!!
(先輩、もうかすみんのことかわいいと思ってないのかなあ……)
(う、ううん、そんなことないもん!
記憶がなくたって先輩はかすみんのこと……)
(かすみんは先輩のこと信じてるもん!!)
(信じてる……。信じてるけど……)
(不安になっちゃうよお……)
(信じてるのにこんな気持ちになるのやだ。
100%で先輩のこと信じたい)
(だから先輩、かすみんのこと信じさせてください……!)
あれ、かすみちゃんだ。
もしもし、かすみちゃん?
せんぱ~い! 今日のかわいい療法をお届けしますっ!
かすみんのファッションショーで~す!
どうですか? お気に入りのお洋服なんです!
(かわいいー!)
あっ、この服も見てください!
このお洋服を着たかすみんもおすすめです~!
これを着るとウキウキしてきちゃうんですよねえ
んー、かわいい!
(すごい! 全部似合ってる! 全部かわいい!)
こんなお洋服はどうですか~?
こういうお洋服のかすみんもかわいいー!
先輩、どのお洋服のかすみんが一番かわいいですか?
えっ!? 一番!?
(全部一番で決められないよ……!)
えっと……えっと……どの服もすごく似合ってるよ!
……えへへ、褒めてくれてありがとーございますっ、先輩!
……私のために、ファッションショーまでしてくれるなんて
本当に、かわいい療法で記憶が戻ればいいのに
……ううん、その悩みは後にしよう。
今はかすみちゃんのライブの選曲を考えなくちゃ。
せっかく託してもらえたんだから……
でもやっぱり難しいな。どの曲も本当にかわいいんだもん。
全部がかわいくて、全部が一番だよ
早啊!
えっ!? アナタもう来ていたの!?
あ……、おはよう、ランジュちゃん
なんだか顔色が悪いわよ?
ちょっと徹夜しちゃって
昨日、かすみちゃんにライブの選曲を頼まれたのに
何も言えなかったでしょ?
だからずっと曲を聞いて考えてたんだ
かすみちゃんが一番かわいくて輝いてる曲はどれかな、って
見つかったの?
ダメ。やっぱり難しいよ。だって……
どの曲も一番輝いて見えるんだもん
わかってるじゃない! かすみはどの曲でも最高に輝いてるのよ!
ランジュもそう思うわ!!
やっぱりそうだよね!?
一番を選ぶのは難しいの
でもランジュは、だからこそアナタに選んでほしいんだと思うわ
……私も、責任重大だけどちゃんと応えたいと思ってる
アナタ、前のアナタにちょっと戻ったかも
え?
目の輝きよ。ランジュが見たことのある目だわ
でも私、まだ何も思い出せなくて……
いいのよ、ランジュがそう思っただけだから。
でもそういう目のときのアナタはスクールアイドルに対して
一直線なの。だから今は、かすみに一直線、ってことね!
それは胸を張って、そうって言える!
かすみちゃんのライブが楽しみだし、全力でお手伝いしたいし、
とにかく、かすみちゃんの笑顔がみたい!
おはようございまー……
あれっ、かすみんが一番乗りだと思ったのにー!
早啊!
おはよう、かすみちゃん
おはよーございます! ふたりで何のお話してたんですか?
この子は今、かすみに一直線、って話よ!
へ?
かすみちゃんがライブで何を披露するか、じっくり考えたい、って
話を聞いてもらってたんだ
ほんとですか!? やったーーー!
期待してますね、先輩!
(かすみちゃんの曲……全部私が作ったって本当かな?)
(かわいくてキラキラしてる曲、ちょっと切なくて応援しなきゃ、って気持ちになる曲、魔法の世界でハッピーに包まれちゃう曲……)
(どの曲にもかすみちゃんの想いと、誰かの想いが込められてる)
(その「誰か」は私なのに、何も覚えてない……)
(みんな、私の記憶がないことなんて全然気にせずいてくれるけど、やっぱり思い出したい。今までにあったこと全部……)
(きっとかけがえのない思い出があったに決まってる。
曲がそれを表してる。なのにどうして私は忘れちゃったんだろう)
(思い出したい。ほんの少しでもいいから……)
あー、果林ちゃんまたそれだけ~?
それだけ、って……。ちゃんと食べてるでしょ?
サラダだけでは「それだけ」になると思いますよ
五穀米のおにぎり、ひとつあげます
え?
きんぴらごぼうもどうぞ。根菜も大事ですよ
豆乳、飲む?
バランスいいかも~! ほらほら果林ちゃん、お食べ~!
あなたたち、本当に美容にハマってるのね。
確かに、この方が健康に良さそう
美容については私の専門分野だと思ってたけど、
ライバル出現、ってとこかしら
ふふっ、果林さんと対等にお話ができるくらいになるつもりです
ねー!
あのぅ、先輩見なかったですか?
なんか調べ物があるって部室に行ったよ~
えー! 先輩にかすみん特製コッペパン作ってきたのにー!
じゃあ、部室行ってみまーす!
なるほど……
せーんぱい!
あ、かすみちゃん
先輩とランチしたくて来ちゃいましたー!
調べ物があるって聞きましたけど、どんな―
あ、練習ノートだ!
うん、前の私が何を感じてたか知りたくて見てみたんだけど……
すごい量だよね。全ページびっしり書いてある
えへへ、そうですよね! かすみんたちもそのノートよく見ますよ
そうなの?
はい! 練習の記録もですけど、先輩がどう思ったかとか、
本当に何でも書いてくれてるんですもん。
だからそれを見ると元気が出るんです!
そっか……
それで、先輩の知りたかったことはわかりましたか?
うん。ちゃんと書いてあった。
でね、かすみちゃんにも聞きたいことがあるんだ
何でも聞いてください!
かすみちゃんの気持ち。
曲を作ったときかすみちゃんがどんな気持ちだったのか、とか、
何でもいいんだけど、とにかく知りたいんだ!
気持ち、ですか……
かすみん、『Margaret』を作ったときは、
実はちょっとだけ揺れてました。
信じて頑張ってるけど理想には遠くて、へこたれちゃいそうでした
でも、先輩がいてくれたから強がれたんです
先輩はわかってたみたいだけど、
かすみんがやだなって思う部分はそっとしておいてくれたから
誰だってかっこわるいところは見せたくないじゃないですか
私がしたことは……正解だった?
大正解です!
それから、先輩すごいなって思ったのは
魔法少女研究部の映像のテーマ曲を作ったときです!
あのときも、いろんなことで頭がいっぱいになって、
何をどう選んだらいいんだろう、って
わからなくなっちゃったんですけど、先輩が解決してくれました!
だから先輩って魔法使いみたいです、って言ったら、
先輩はかすみんのほうが魔法使いだって言ってくれたんですよ
かすみんの笑顔を見るとどんなときでも元気が出る、
それが魔法だよ、って!
それは……今でもちょっとわかるかも
『ダイアモンド』を作ったときはびっくりしました。
会ったばかりの先輩が、かすみんの全部をわかってるみたいで
かすみんが絶対こだわりたいところや、
会場のみんなを巻き込んで歌えたら楽しいだろうな、ってことが
全部詰め込まれてました!
かすみんの気持ち、伝わりましたか?
うん、伝わってきた!
うん、ありがとう……!
うん、伝わってきた!
うん、ありがとう……!
かすみちゃん、ライブのセットリストの話をさせて!
ラストの曲が『ダイアモンド』ですか?
うん。すごく迷ったけど、この曲がいいと思うんだ
えへへっ、えへへっ! かすみんの予想大当たりです!
先輩ならこの曲を選んでくれる、って思ってました!
だってこの曲は、かすみんと先輩にとって、
本当に本当に大切な曲ですから
……なんかね、もし今の私が曲を作っても、
こういう曲になるだろうな、って思ったんだ
今の私はかすみちゃんとは出会ったばかり。
まだちょっとしか一緒に過ごせてない
でも、どれだけかすみちゃんが「かわいさ」を大事にしてるか、
頑張ってるか、ちょっとはわかったつもりだよ
ちょっとじゃなくて、全部わかりたい。
それが正しいかは、本当のところ自信がないけど……
本当は……。ちょっとじゃなくて、全部わかりたい。
全部思い出せたらいいんだけど
それが正しいかは、本当のところ自信がないけど……
先輩……
ここはこの! かすみんに!
ぜーーーーーーんぶ任せてくださいっ!!
思い出せますよ! かすみんがお手伝いします!
ライブでかすみんのかわいい療法の最高峰をお見せしますから!
かすみんのあまりのかわいさにショックを受けて思い出せますっ!!
かすみんと先輩の絆は、そのくらいすごいものだったんです!
かすみんはそう信じてます!!
だから先輩
もうそんな顔しないでください
たくさんの人が集まってますよ!
さっきから話しかけられてばっかりじゃん、かすかす~!
かすかすじゃなくて、かすみんですから
かすみちゃん、どうしたの? なんか元気ないけど……
なんか今になって緊張してきちゃいましたあ……
だって今日のライブ……かすみんちゃんと準備できてますかね?
忘れてることとか……なにか……なにか変なこと起きそう~~!
そんなことないよ、かすみちゃん!
そうだよ、何度も確認したし大丈夫だよ!
かわいいポーズが不安だったら、向こうでやる?
付き合うよ
そういえばかわいい療法を試してたわね。
それが成功するか不安なの?
それ「も」不安ですう……
(かすみちゃんが不安がってる。私も何か言いたい……)
(でも、こういうときって何て言ったらいいの?)
(「かすみちゃんのかわいさがあれば何が起きても大丈夫!」……
なんて、責任なさすぎな気がする。
部長として、ちゃんとした言葉を……)
アナタも何か言ってあげて!
う、うん! あの……かすみちゃん……
ちょ、ちょっとすみません! ひとりで頭冷やしてきますーー!
あーーーん! 先輩を心配させちゃったーーー!
心置きなくかすみんのかわいいトコを見てもらって、
かわいい療法大成功、先輩の記憶回復、ばんざーい! って
計画だったのにーーー!
また先輩に不安そうな顔させちゃうしぃ……
考えてみれば、かすみんが不安だなって思ったときは
いつも先輩が助けてくれてたなあ……
「かすみちゃんのかわいさがあれば何が起きても大丈夫!」とか……
先輩はいつだってかすみんを100%信頼してくれて、
先輩がそう信じてくれてるなら大丈夫、って思えて
だからかすみんはいつだって100%楽しめて……
うう~~~! 泣いちゃダメ!!!
今不安なのは先輩! 今辛いのは先輩!
かすみんにできることは、かすみんが100%楽しんでライブして、
先輩にいーーーーーっぱいかわいいとこ見せること!!
大丈夫だよ。
かすみんの中には先輩からもらった言葉がたくさんあるもん
それがかすみんを強くしてくれる……!
あっ、かすみが戻って来た!
かすみちゃん……
えへへ、心配させちゃってすみませんでした!
かすみん、もう大丈夫です!
かすみちゃん、あの……
先輩、見ててください。
かすみんの100%のかわいいを見せてあげちゃいますっ!
私にしかできないこと……か
ふふっ、かすみさんってほんとにすごい子だな……尊敬しちゃう
たまにだけどね!
先輩の記憶が戻ったら、
お礼にたくさんかすみさんのお勉強見てあげようっと
(私にしかできないこと……そんなの決まってる。お芝居だよ)
(お芝居で、私と先輩の過ごした日々を見せるのはどうだろう)
(私と先輩の過ごした日々は、きっと先輩のなかに残ってる……)
(その時間の追体験ができれば、
本当にあったことだって思ってもらえるはず……)
(だって、この世界は演劇そのものなんだから)
(だったら、スクールアイドルが大好きだった先輩の世界を
再現してみせる。先輩の人生……舞台を、私が作るんだ!)
先輩、これ、チケットです
これって……
ひとり芝居をしようと思うんです
ひとり芝居?
はい!
しずくちゃんのお芝居をずっと観ていられるってことだよね?
ぜひ行かせて!
……ん? これ、場所も日時もないみたいだけど……
実は、やろう、ってことしか決めていなくて……
でもこれは決意表明です。受け取ってください、先輩!
もちろん!
ねえ……まだ場所も日時も決まってない、ってことだったら、
私もその舞台のお手伝いをしてもいいかな?
え?
もちろん、今の私じゃお手伝いっていってもなんの戦力にも
ならないだろうけど、部の練習ノートにいろいろ書いてあって、
いくつかはできそう、って思ったんだ
私、しずくちゃんにはなにかとしてもらってばかりだから、
少しはお手伝いできると嬉しい
先輩……っ!
ぜひお願いします! 心強いです!
あのーーー盛り上がってるとこすみません。
愛さんたちもいますよー
きゃあっ!? い、いたんですね!?
すみません、
声をかけるタイミングを完全に失っていました……あはは
でも、もうふたりのお話は終わったからいいわよね!?
お話はすべて聞かせてもらったわ!
当然ランジュたちにもお手伝いさせてよね!
うんうん、人手があるほうがいいでしょ!
しずくさんのひとり芝居……楽しみです!!
あ、あのっ、ごめんなさい!!
このお芝居は先輩のためだけにやりたいんです!!
演じるのもひとり、観るのもひとり、
1対1のお芝居がしたいんです……!!
ええ……そうなの……?
そうしたいんです……
しずくがそうしたい、っていうならそれでいいと思うよ
やりたいことをやるのが私たちですからね
むう……わかったわ。我慢する
でも、お手伝いするのはいいでしょ!?
あといつかランジュにも1対1のお芝居をしてほしいわ!
ふふっ、ランジュさんへのお芝居だなんて……構想が膨らみますね
お手伝いしていただけるのはとても助かります。
それと、私のわがままを汲んでくださってありがとうございます!
脚本もしずくちゃんが書くんだね
ええ、そうなんです
向こうの棚に戯曲集もあったけど、
そういうの参考にしたりはしないの?
しずくちゃんは古典作品が好きなんでしょ?
古典作品は好きですよ。『リア王』や『ハムレット』などの
四大悲劇、『真夏の夜の夢』、『テンペスト』……
シェイクスピアの他にもチェーホフやラシーヌ、モリエール……
どの作品にも演劇の歴史や重みを感じられますから
でも、今回のお芝居に参考書は無いんです
イチから作る、ってこと……?
はい。私と先輩の物語ですから
え!?
前、先輩は忘れてしまったことを私に謝ってくれましたよね?
忘れたくなかった、とも言ってくれました
なので、私の記憶の限りを先輩にお見せします
私と先輩の過ごした日々をお芝居にします
……出会いのシーンから始まったりする?
どんなお芝居になるんだろう!
……出会いのシーンから始まったりする?
もちろんです! とっても印象深いものでしたから
印象深い……そうなんだ
どんなお芝居になるんだろう!
ふふっ、出会いのシーンからお見せしますよ!
そんなところから!?
はい。私にとっては大切な始まりのシーンですから
先輩の第一印象は
「なんて希望に満ちた目をしている人なんだろう」です
そして、その印象のまま私たちのそばにいてくれました
時に控えめに、時に大胆に、時に厳しく……
先輩はスクールアイドルに対して真摯でした。
その姿勢に私も励まされてきたんですよ
な、なんか……私の印象が壮大すぎない?
誰のこと言ってるのかな、って思っちゃうんだけど……
……そうでしょうか? これでも控えめなつもりだったんですが……
しずくちゃんの中の私が偉大すぎて……心配になる
ふふっ、その心配は当日まで大事に取っておいてください
きっと覆してみせます!!
さてと……
今日も脚本の続き?
いえ、脚本は昨晩書き上げちゃいました
ええ!? すごいね
えへへ……筆が乗ってしまいまして!
それはさておき、実は、脚本を書きながら思ったんです
このお芝居を演じたら、絶対に歌いたくなる曲があると……
なので、お芝居が終わったら、
1曲だけ歌わせてもらってもいいでしょうか?
えっ……!!
あ、すみません! やっぱりよくないですよね!
お芝居の余韻に浸る時間って必要ですもんね!
違う違う! そうじゃなくて、逆にいいのかなと思って!
私、しずくちゃんのお芝居は実際に観せてもらったけど、
ライブは経験がないんだよね。もちろん動画では観てるんだけど、
生で聴きたいな、ってずっと思ってて……
ええ!? そうだったんですか!?
そんなのもっと早く言ってください! 私、いくらでも歌います!!
いやいや、そうはいかないよ。
歌ってすごくのどに負担がかかるでしょ。毎日練習してるし、
ほら、定期ライブとかイベントに出たりもするんでしょ?
プロの歌手は年間で曲数制限もあるって聞いたことあるから、
私のためだけに歌うとかはしないで
……先輩、前よりルールに厳しい……
私の歌、聞きたいって言ってくれたのに……
聞きたいけど!
でも、しずくちゃんが本気でスクールアイドルやるなら
そういうことも気にしたほうがいいかな、って!
うう……だけど、もしよかったら1曲聴かせてほしいです……
ふふふっ……
素直になってくれて嬉しいです、先輩!
やっぱり我慢できなかった……
無理はしないでね?
やっぱり我慢できなかった……
ここは我慢しなくていいところですから!
私も聴いてほしいと思ってるんですから!
無理はしないでね?
はい! のどのケアには自信がありますから!
うん。それで、歌いたい曲って?
先輩が一番最初に作ってくれた曲
『あなたの理想のヒロイン』です
その曲、私もすごく好き。何度もリピートしてるよ
本当ですか!?
先輩は意識していなかったかもしれないんですが、
演じている時の気持ちや受け取ってほしいことが表現されているんです
ひとりでたくさん練習をして、
誰かのためのステージに立つ日を待ってる……
誰かのためでもあるけど、本当は、
一番はあの人のために技術を磨いている……
私もそんなヒロインになりたい
「演じる」ことが好きな私の気持ちを、
先輩はきれいに掬い上げてくれたんです
……ありがとう。
曲を作る人にとって「この曲は自分にぴったりだ」って
言ってもらえるのって最高に嬉しいことだと思う
私、やっぱり思い出したいな……
こんなに名誉な言葉はないよ
私、やっぱり思い出したいな……
こんなに名誉な言葉はないよ
何度でも先輩に伝えたい言葉ですよ
何度でも……
何度も、伝えてくれてたんだよね、多分……。
やっぱり私は思い出さなきゃいけないよね
しずくちゃんは、これから新しい日々を作っていける、って
励ましてくれたけど、今までのことも無かったことにしたくない
……私、先輩に思い出してもらえるようなお芝居とライブをします
実は、このお芝居は最初からそれが目的だったんです
私にできることで、思い出すきっかけを作れたらな、って……
もしできなかったら恥ずかしいから言えなかったんですが、
宣言します
先輩の記憶は、私が取り戻してみせますから!
舞台の設営はばっちりできたし、
そろそろしずくの舞台始まったかな?
大丈夫かなあ、緊張して舞台に立てないとかないかなあ
かすみさんは友達想いですね。
でも、しずくさんならきっと大丈夫ですよ!
だよね、しずくってこうと決めたらやりぬく子だもん
私たちのほうが心配性なのかもね
そばにいられないことがもどかしいですが、
これも今回の舞台には必要なことですから……
私たちはここで待ちましょう
それにしてもあの子ってば
ひとりでしずくのお芝居を観るなんて羨ましいわ!
いつかランジュにも、ってお願いしたけど、すぐやってもらいたいわ!
確かに……私も1対1の舞台……観てみたい。
璃奈ちゃんボード「ぽわわん」
しずくちゃんの熱演をひとりで受け止め切れるかなあ?
観る方にも熱意がないと対峙できないわよね
観る方の熱意……きっとあの子は持ってるから、平気だね
彼方ちゃんたちは、ここで待ってよう
はい!
はい!
うん!
えぇ!
うん!
はい!
うん!
はい!
うん!
えぇ!
これからついにしずくちゃんのお芝居だ……
楽しみなのと緊張でドキドキする
でも……目一杯楽しもう!!
「やっぱり、スクールアイドルへの情熱は無くなってなかったん
だね!」そう言ったあなたの笑顔に、私は可能性とトキメキを
予感しました……
「虹ヶ咲学園のスクールアイドル同好会は、グループ活動ってところに
こだわらないやり方をしましょう!」
そのひと言で、予感は確信に変わったのです
同好会としてはひとつにまとまるけど、
スクールアイドルとしては自分の理想を目指す
助け合いながら競い合う、仲間でライバル
私のスクールアイドルは、新しい光に照らされました!
新しい同好会で迎えた初めてのイベント、ソロのステージ、
そして初めての8位入賞、すべてはあなたの導きがあってこそ
私が私らしく伸び伸びと羽ばたける場所、あなたが作ってくれたところでこそ私らしく呼吸ができるんです……!
あなたに甘えたくて、お芝居の相手役をお願いしたことがありました
「先輩、私のお芝居の練習相手になってもらえないでしょうか?」
「私、お芝居なんてやったことないよ!
演劇部の人に頼んだほうが……」
「大丈夫です! セリフや演技はありません。
ただ私の前に立っていてくださるだけでいいんです。
演劇部の方が相手だと……ちょっと、恥ずかしくて」
身分の違うふたりが苦難を乗り越えて結ばれるストーリー
とっても素敵で、大好きなセリフ
それをあなたに向けて言いたかったんです……
それなのに、あなたを目の前にしたら、覚えたセリフが出てきません。あんなに繰り返し覚えたセリフなのに、うまく発声できない
あのときの私は、お芝居に入り込めていませんでした
あなたの前だから
「あなたを一目見た時から、私の心はあなたを求めてやまないのです」
「あなたを想うだけで、この身は燃えるように熱く―」
私が言えたセリフはここまで、
この先のセリフはどうしても言えませんでした
今の私なら……言えるのでしょうか
「私は、きちんと私を出せていたでしょうか?」
「私自身のことについては、
あまり深く考えたことがなかったので……」
「演じることを意識しないライブは、
私自身、どこに拠り所をおいていいのかわからなくて……」
「みんなは、どうやって
スクールアイドルをしているんでしょうか……?」
私が「演じる」ことについて疑問を持ったときに
向き合ってくれたのもあなたでした
ただ、どれだけ悩んで試してみても、結論はひとつ
私にあるのは「演じたい」という気持ちだけ
「だから、私はこれからも演じ続けます」
「うん……しずくちゃんがそう決めたなら、それが正解だね」
あなたの言葉が私の背中を押してくれました。「演じたい」という
想いだけで、スクールアイドルをやっていく決意ができました
あなたと私のふたりで、思い描ける限りの
スクールアイドルを演じるんです!
壁はいつでも立ちはだかります。
低いものから怯んでしまうくらいの高さのものまで
今までの私なら、ひとりで果敢に挑戦していたでしょう
そして、それが私を強くもしてくれる……
でも、私はあなたに教えてもらうことができました
誰かと一緒に乗り越えられた壁から得られるものは、強さだけじゃない
あなたと心を通わせることができた思い出……
私にとって、何よりかけがえのないもの
あなたと交わした言葉、目線、気持ち……すべてが私の糧となり、
私を生かしてくれるのです……
(涙が止まらない……私はこんな時間を過ごしてきたんだ)
(こんなに想ってもらえてた。どうして忘れちゃったんだろう)
桜坂しずく、ひとり芝居でした。
ありがとうございました!
(うう、泣いていられない、
次はしずくちゃんのライブパートだもん!)
(やっと実際に聴けるんだから、集中しなくちゃ)
(でも頭が切り替わらないよ……)
(やっと実際に聴けるんだから、集中しなくちゃ)
(でも頭が切り替わらないよ……)
(…………)
(……あれ?)
(ステージが暗いままだ。曲も始まらない……?)
音が出ない……トラブル?
どうすべきか冷静に考えて……そうだ!
ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー
ふう、今日の自主練は終わり
ああ、でも不安だな、もう少し頑張ろうかな
(え、なに? まだお芝居のパート……?)
まだまだみんなに比べたら未熟だもの。
いつか私もステージの真ん中に立てるように……
きゃっ、す、すみません! 大丈夫でしたか!?
私は平気です。あっ、それは……!
か、返してください、それは大事な台本なんです!
私の役……ですか? ええと……婦人その2です
なぜ婦人その2なのにヒロインのところにばかりメモ書きが、って!? な、なんで見ちゃうんですか! 返してください!
痛いところを突かれて慌てるようじゃ役者として
まだまだだね、って……。そんなのわかってます!
そんなの、自分が一番……
(あ、わかった! これ、あの曲のお話なんだ!)
(あの曲の子が、目の前にいる……
曲の中にしかいないと思った子が……)
え? 今、なんて?
わ、私なんかじゃヒロインは務まりません!
楽しみにされても困ります! あなたが言うようにまだまだなんです!
…………だけど、待ってくれるというなら、私、頑張ります……!
(あ、これから曲が始まる……!)
(しずくちゃんの曲が……!)
これから気をつけること……
「すぐに成果が得られなくても焦らない、気負わない」と
しっかり頭に叩き込まないとね
なんとかして前みたいにあの子の気を引きたい、って、
そればかりじゃダメ
私が何を伝えたいのか、ってことをまず考えなきゃ
だって……
本当のスクールアイドル・朝香果林をあの子に見てもらってない。
そんなのいやよ
ちゃんと見てもらわなきゃ……
これが本当の私よ、って
そして、本当の私を見て、
私たちふたりの思い出を取り戻してくれたら最高よね……
え? ライブ?
ええ、そうよ
この前出たばかりなのに……?
そ、それはそうなんだけど……なんていうか、
その……消化不良なのよ……
だから、納得できるライブをやろうと思うの
次はキミに手伝いを頼みたいの。私のライブには、
やっぱりキミが必要だから
もちろんやるよ! っていっても、
あんまり役には立てないかもだけど……
キミがいてくれるだけでいいのよ
あはは、いるだけでいい、ってことはないでしょ~。
だからどうしたらいいか教えてね、果林さん!
ええ、頼りにしてるわ
会場候補、このくらいかな?
前の記録を見ながらピックアップしてみたよ
どれどれ……うん、そうね、この中から選びましょう
果林さんのパフォーマンスを見たい、って人は
たくさんいそうだから、大きな会場がいいなあ
私も広いところで伸び伸び歌う果林さんが見たいから
ふふっ、じゃあ、そういう会場にしましょうか
やった!
じゃあ、会場の設備を確認して持ち込みが必要なら手配して……
あ、選曲ってラストの曲以外はもう決まってるんだっけ?
ラストの曲も決めたわ
『Starlight』にしようと思うの
あれ、新曲じゃないんだね?
ええ……。自分の曲はどれも大好きだけど、この曲は特別なの
キミが私をスクールアイドルにしてくれた曲だから
私たちふたりの始まりの曲なのよ
始まりの曲かあ……
そうなんだ……
始まりの曲かあ……
そうなんだ……
ええ。私ね、キミにはまだ見せられてないの。
本当のスクールアイドル・朝香果林を
えっ!? この前のステージすごかったよ! 圧倒された!
……ありがとう。でも全然満足できてないのよ。
キミにはもっと見て欲しい姿があるの
なんか……なんかいつもの私になれないのよ……!!
悩んでるねえ、果林ちゃん……
どうしていつもの果林ちゃんになれないの?
それは……
あの子があの子じゃないから……
わかってるわ。記憶を失ったのはあの子のせいじゃないし、
仕方のないことよ。ずっとこのままって可能性もあるし、
それでもあの子が元気でいてくれるならいいの
……それでいいと思ってたはずなのに、私って本当に欲張りね
もっと熱く私のことを見つめてほしい、って思っちゃうのよ
もちろん今だって熱く見つめてくれてるわ。
でも、心の奥から燃え上がるような迫力がないの
奥まで見透かすような目で見てほしい……
果林が欲張りなのは今に始まったことじゃないだろ?
そんなの気にする方が果林らしくないんじゃないの?
そうだね……。果林ちゃん、遠慮しちゃってる気がするよ
ぐいぐい押していくのが果林ちゃんだもんね~
熱くさせてやったらいいんだよ。
ベイビーちゃんに本気の果林をぶつけなよ
……本気の私、か
前みたいなことにならないよう、ボクたちも見てるからさ
ありがとう。私、もう一度自分を見つめ直してみるわ
見つめ直す、っていうなら、
やっぱり始まりの曲にヒントが隠れてるはずよね
だってあの曲が私を私にしてくれたんだもの
自分では気づかない何かを、あの子は汲み取ってくれたはず……
まずは歌詞から見直しましょう
(一晩かけてもコレ、っていうものにたどり着けなかった……)
(勉強って本当に大切なのね……
今度からもうちょっと真面目に勉強しようかしら……)
(自分の武器で相手を魅了する曲……
あの子が『Starlight』に込めてくれた想いは本当にそれだけ?)
(ううん、それだけじゃないはず。
だって、あの子は私以上に私をわかってくれていたもの)
(熱くなりたいのにクールぶってた私に、そのままでいい、って
言ってくれた……私の奥底にある想いが見えてた……)
果林さん!
きゃあっ!?
ご、ごめん! びっくりさせちゃった?
ちょ、ちょっとね……ふふっ
あのね、私、果林さんが『Starlight』を歌ってるライブの動画を
研究してきたんだ
え?
始まりの曲なんだ、って教えてくれたでしょ?
だから果林さんの「始まり」っていうのが気になって眠れなくて!
朝まで繰り返し見ちゃった
本当に、見てると引き込まれちゃう曲だよね。
ここから果林さんと自分の関係が構築されていくんだ、って感じ
果林さんは魅了する者、私は魅了される者
どういう経緯でこの曲を作ったのかって記憶はないんだけど、
聴く人をぐいぐい引き込みたいっていう気持ちがあるんだな、って
思った
ふふっ、それは私も大切にしてる部分よ
歌詞にもあるでしょう? 私以外には―
何にも感じない、考えらんない、絶対魅力度No.1
それよ
それが果林さんなんだね
すごく惹かれるフレーズだよ
それが果林さんなんだね
すごく惹かれるフレーズだよ
ええ、そうね
そこまで人が自分にのめり込むことを許せる、って
すごいことだと思うな。どうしてそんなに許してくれるの?
えっ……?
許す……っていうのは、意識したことがないかも……
待って、キミ、いいことを言ってくれたわ。
私が気づけてないこの曲の深い部分がわかるかも……
この曲……いえ、私。私には、自分の魅力や武器を理解して
解放することで見てくれるみんなの視線を独り占めするんだ、って
目的がある
私にのめり込むことを許す、っていうよりは
のめり込んで欲しいのよ……
だって、そうじゃなきゃ……
あ……そっか、私ってそんなふうに……
果林さん……?
ご、ごめんなさい!
ちょっと用事を思い出したから、また後でね
果林さん、どうしたんだろう……。
なんか、顔が赤かったような……?
(待って待って、私ってそういう子だったの!?)
(あの子には、私にのめり込んで欲しい……
だってそうじゃなきゃ……)
(私だけがのめり込んでるのは悔しいじゃない!)
(自分だけのめり込むのが悔しいだなんて……
こんなの駄々っ子よ……)
(かっこ悪すぎる……)
(でも、きっとこれが正解なんだわ。
『Starlight』は私の独占欲があの子に作らせた曲……)
(あの子、どこまでわかってあの曲を作ったの!?
表向きは自信満々なお姉さんが人を魅了する曲にしておいて、
裏には私の独占欲が溢れてる。全部わかってたっていうの!?)
……なんか、だんだんむかついてきたわ
私だけ本当の姿を見透かされていたなんて、不平等じゃない
こうなったら……私の独占欲ごとぶつけてやる。
絶対に思い出してもらって、真相を聞くから!!
やってやるわよ、もー!!
なんか果林ちゃん、ふっきれたみたいだね~
なんか……闘志みたいなものすら感じるんだけど
情熱的だねえ~
ふふっ、これくらい覇気があるほうが果林ちゃんらしい!
確かにそうかもね
どんなライブになるか楽しみだよね~。
何か手伝えることがないか聞いてみよ~!
はい、終了! 果林さん、ダンスすごいキレッキレだね!
カッコ良かった!
はあ、はあ……。ありがとう
はい、タオルとドリンク……あれ? なんか……
なんか果林さん、ちょっと近くない?
そうかしら? いつもこんな感じだったわよ?
そ、そうなんだ……
ふふっ
……ねえ、なんか変じゃない?
いつも以上にぐいぐいいくねえ
気迫……だね!
果林さん!
あら、お疲れ様
あ、お疲れ様……じゃなくて!
聞いたよ、予定してたライブ会場、キャンセルしちゃったの?
ええ……まあね
ええっ!? 本当なんですか、果林さん!?
どうしてですか!?
ライブ……やらないの?
その会場ではやらない、ってことよ
よかった、別の会場にしたってだけなんですね
安心しましたー!
びっくりした~。あれだけ熱のこもった練習をしてるのに
ライブはやらない、なんてことないよね
……そういえば、私、最近全然レッスン室で果林さんと
一緒になりません……
考えてみれば私もそうかもしれないです
えーと……そうだったかしら?
そうですよ! 熱のこもった練習、私も見たいなあ
私もです! 果林さんの熱は伝染しますからね。
私ももっと練習したい、って思えるんです!
わかる……。
不思議なんだよね……見てるとなんていうか気持ちが―
ま、まあ! 時間が合わなかったのはたまたまよ。
そのうち練習時間もかぶるんじゃないかしら
それもそうですね!
果林さん、ライブの会場はどこにするんですか?
みんなで手伝いますし、応援に行きます
応援うちわを作っていきますね!
……ありがと。決まったら教えるわね
はい!
はい!
果林ちゃーん……あれ、こんな時間から走りにいくの?
ええ、ちょっと走り足りなくて
そっか……
私に用事?
ミアちゃんの部屋でゲームをするから、
果林ちゃんも一緒にどうかな、って
お誘いは嬉しいけど、また今度にするわ
うん、わかった。いってらっしゃい、果林ちゃん!
行ってくるわ
はあっ、はあっ……
はあ~、今日はこのくらいにしておこうかしら……
やっぱり変に悩むより体を動かす方が性に合ってるわ
でもまあ……考えるのを避けてきたツケはやってくるものなのね
(我ながらびっくりしちゃうわ。私、驚くくらいあの子のことが好きなのよ……)
(かわいくてからかい甲斐のある後輩、なんていうのは嘘。
そう思うことで自分のプライドを守っていただけ……)
(本当は、自分と同じくらい私たちの関係性に
のめり込んでくれなきゃ嫌だった)
(だから、いつもみたいな反応がもらえないことに寂しさを感じて
空回って……)
(もう、自分を取り繕うようなことはしない)
(セクシーなのも情熱的なのも空回りやすいのも情けないのも
全部が私。これが私なの)
(見せたくない部分も全部見せる。もう一度、あの子にさらけ出す)
(あの子はどんな私でも受け入れてくれる。
変なプライドで拒んでいたのは私だけよ)
(どうか……どうか思い出してほしい。あの時間をまた過ごせるなら、私はなんでもやるから、だから……!)
……あれ?
今日はライブにきてくれてありがとう
あ、果林さん! こちらこそ招待ありがとう!
えっと……まだ開場してないのかな? 早く来すぎちゃった?
いいえ、時間ぴったりよ
え? じゃあ、他のお客さんは?
いないわ
いない!? いないってどういうこと!?
今日のライブは、キミのためだけのライブなの
私、ステージに上がるときは、
そこにいる全員の視線を奪いたいと思ってる
でも、今日奪いたいのはキミの視線だけ
キミに魅せるためだけにパフォーマンスしたいの
嬉しいけど……どうして?
果林さんのライブはみんな観たがるよ!
嬉しいけど……どうして?
果林さんのライブはみんな観たがるよ!
今日はみんなに向けてのライブじゃない、って言ったでしょ?
どうして……?
それは……見ながら感じてちょうだい
じゃあ、いくわよ!
愛ちゃん、ライブやるって本当!?
うん、そーなんだ~!
お手伝いできることがあればなんでも言ってね!
施設の使用許可の書類作成は得意です!
衣装の相談なら乗るわよ
ランジュはなんでもできるから、なんでも言ってちょうだい!
あははっ、みんなありがとー! めっちゃ心強いよ~!
でも、結構順調に準備できてるかも!
え、そうなの!?
愛トモのメンバーに頼んでホームページとフライヤー作ってもらって
工芸の学校行ってる子がグッズ作りは任せてーって言ってくれて
スケボー体験に行ったとき仲良くなったおねーさんが
ダイバーシティの人で会場として使うなら話通すよ、って
言ってくれてさ
爆速で進んでるじゃないですか……
演劇部の子が大道具作りで忙しくなる、って言ってたんですが、
もしかして……
あっ、愛さんがお願いした!
愛ちゃんの人脈の広さよ……
愛ちゃんのライブっていつもこんな感じなの!?
これが、愛さんのすごいとこ。璃奈ちゃんボード「えっへん」
私にも何かできることってあるかな?
もちろんあるさ
順調にできてるかな、って思うけど、みんなのサポートが必要です!
お願いしまーす!!
うーん……
愛ちゃん、美里さんが差し入れくれたよ
えっ、おねーちゃん来てたの!?
うん
顔見せてくれればいいのに~
集中してるだろうから、って言ってた
してるけど……
おねーちゃんはアタシの癒しなのに~!
あはは、ライブ楽しみにしてるって!
おお、気合い入ること言ってくれるじゃーん! 頑張らなきゃね!
今やってるのは何?
ライブまでの練習メニュー作り
カリンとせっつーとランジュに聞いたアドバイスをもとに
組み立てたいんだけど……
さすがにあの3人のアドバイスはきついよ~
ほんとにコレできんのかな!?
? セリフの割にいい笑顔……だね?
無理しちゃダメだよ?
? セリフの割にいい笑顔……だね?
あははっ、やったろーじゃん!って気になってるからね
無理しちゃダメだよ?
うんうん、無理すると怪我したりろくなことないからね
……って、頭ではわかってるんだけど、今はやっちゃいたい、って
思っちゃうんだよね~、あははっ
愛ちゃんってそういうことも楽しめちゃうの?
そうそう!
たかーーーーい壁ほど攻略しがいがある、ってね!
高い壁ってわかってて挑戦し続けられる、ってすごいと思うよ
そりゃ愛さんだってそういうのきついなあって思うことはあるよ
だけど、そういうのを乗り越えた先にあるものが見てみたい、って
好奇心も止まらないだけ
君が愛さんをスクールアイドルに誘ってくれたときに言ってくれた
言葉があるんだ
「スクールアイドルは、今までに愛ちゃんが体験したことのない、とびっきりを教えてくれるはずだよ。見たことのない景色を見せてくれると思う」
で、アタシは見ちゃったワケだ。「見たことのない景色」を
その「見たことのない景色」っていうのは、
夢みたいに楽しくて素敵だけど、毎回自分に対しての反省は出てくる
その反省点を活かすことができても、新しく気になるところが見つかる
もっと楽しいことしたい、って思えば思うほどそういうのって出てくる
だから大変だろうが辛かろうが、
結局高い壁も楽しいんだよね、ってこと!
愛ちゃん、今すごくいい顔してる。スクールアイドルに夢中なんだね
えーっ、そうかな!? あははっ!
私ができることはあんまりないかもだけど、
みんなみたいに協力させて!
愛ちゃんの楽しそうな顔を見たらじっとしてられない!
ふふっ、今の君だっていい顔してるよ
君にしかお願いできないこともあるし、
アタシのほうこそ助けてほしい! お願いしまーーす!
うん!
早速だけど、お願いしてもいい?
もちろんだよ! 何をすればいい?
この高い高い壁である練習メニュー……の中の、
これまたハードすぎる体力強化メニュー……
とりあえず当たって砕けろしてみたいから、付き合って!
えええっ!?
お台場一周ランニングからやってみるから
じ、自転車とか……ある?
どーだったかな?
ううっ……、自信ないけど……食らいつく所存です……
あははっ、ごめんごめん! 自転車はあるから大丈夫!
お台場サイクリングだと思って付き合ってよ! ね!?
えーっ!?
それで先輩、そのままお台場一周に付き合ったんですか!?
う、うん……
なんて無謀な……
自転車の無力さを感じたかい?
はい……
果林ちゃんとせつ菜ちゃんとランジュちゃんの
アドバイスが結集したコースをクリアできるのは、
その3人と同じ体力がある子だけだよねえ……
エマさんからそんな言葉が出るとは……
私たちにはとてもじゃないけど考えつかないようなコースに
なってそうだもん、そんな言葉も出ちゃうよ……
考えるだけで怖い。璃奈ちゃんボード「ゾゾゾ」
体は大丈夫?
かつてない筋肉痛……
ひええ
ちょっと……黙って聞いてれば失礼ねえ
そうです! 決して無理なコースの提案などしません!
愛のために考えた最善のコースよ!
おっはよーーーー!
いやあ、いい朝だね~
愛さん、汗かいてる
もしかしてお台場一周コースしてきたの!?
え? 違うよ~! あんな鬼コース、朝から走れないって!
そ、そうですよね、安心しました
だから家から走ってきたんだ
家から!?
まさに斜め上からとはこのことですね……
家からランニングしてきたとは……
これくらい走れなきゃ、お台場一周はできないっしょ
なんなんですか、ここには体力おばけしかいないんですかっ
あら、おばけだなんて人聞きがわるいわね。
妖魔って言ってくれなきゃ
私としてはモンスターのほうがロマンを感じて好きです!
ランジュはドラゴンかしらね
すごいメンバーに後押ししてもらって感謝だね~!
みんな脳筋すぎますぅ……
あっ、そうそう、君、放課後暇?
ちょっと付き合ってほしいところがあるんだ
もちろん! どこに行くの?
ライブ会場のダイバーシティ。
施設の人から音響のことで呼ばれたんだ。
音楽に関することだから君に一緒にいてもらえると心強いな
任せて!
あ、行くけど……あの、電車で、だよね?
え? あの辺ならランニングがてらちょちょいと行けるかなあと
思ってたんだけど
ちょっと私、また自転車借りてくるね!!
ランニングは無理~~~~!!
だよね!!! ちょっと私、また自転車借りてくるね!!
ランニングは無理~~~~!!
電車で来てよかったの?
いや~、よく考えたらさ、
ダイバーシティの人ときちんとした話をするときは
制服のほうがいいかな、って気がついて……
愛ちゃんってバランス感覚が不思議だよね
え、そう?
うん。周りが見えなくなるくらいになっちゃうのかと思いきや、
すごく冷静に見てるとこあると思う
あははっ、
まあ、ちゃんとしてないとおばーちゃんとかおねーちゃんに
怒られちゃうからね
とくにおねーちゃんはほわほわに見えて怒ると怖いんだよ~
悪いこととか危ないことするとめっちゃ怒る!
ええ!? 意外!
そういうとこあるんだよ~。
でも、ちゃんと納得できるように説明してくれるから、
やっぱ優しいんだよね~おねーちゃんは!
……と、話してないで行かなくちゃ! ゴーゴー!
すごいことになったね……!
うん、びっくりした……
野外用のスピーカーを新しくしたから試しに使ってほしい、なんて……
お仕事とかで使う本格的なものだよ!?
お試しとはいえアタシたちが使ってもいいのかな!?
うーん……
テストにはちょうどいいと思ってくれたのかもしれないね
壊さないように気をつけなきゃ……。もらったマニュアル読み込むぞ!!
ね、ねえ、それ私にやらせてくれないかな?
音楽に関することだし、私も、練習に付き合うとかそれ以外で
ちゃんと手伝いたいんだ。お願い!!
えへへ、嬉しい……
記憶がなくなって、ほぼ初対面みたいなものなのに
そんなに親身になってくれるなんて
愛ちゃんこそだよ。愛ちゃんこそ、
最初からこんな私に親身になってくれたでしょ? すごく嬉しかった
愛ちゃんのそういうところに助けられた子って
今までいっぱいいるんだろうな、って思うよ
私もそのひとりとして、もらった恩を返したい!
待った待った! 恩返しするのは愛さんだから!
え?
うーん……
ライブの後で話したいと思ってたんだけどいいや。
ちょっと場所変えよっか
愛ちゃん、話ってなに?
んーとね、恩返しのこと
愛さん、ライブするって決めたとき
「君に愛さんの歌を届けるね」って言ったでしょ?
その歌に込めたい気持ちにはいろんなものがあって、
恩返しもその中のひとつなんだよね
う、うん……
あの曲は君と愛さんの「はじまり」が全部詰まった曲
スクールアイドルを知らなかった愛さんを変えた曲だよ
君が愛さんをスクールアイドルに誘ってくれたときはさ、
こんなにのめり込む自分が想像できなかった
でも、せっかくやるなら君とも仲良くなりたいと思って
ランチ会とかカラオケとかいろいろ連れ回したんだ
何に誘っても一緒に盛り上がってくれて嬉しかった
同好会のメンバーもみんないい子でしょ? こんな子たちと
これから楽しいことを始めるんだと思ってワクワクしだした
で、スクールアイドルに興味が湧いて、
知れば知るほどハマっていった
スクールアイドルってさ、自由なんだよ
やりたいことになんでも挑戦できちゃう
あれもこれも、って欲張りな愛さんにピッタリ!
君と一緒の時間を過ごして、愛さん君のことわかってきたな~って
思ってたんだけど、君のほうが愛さんをわかってくれてた
それでできたのがこの曲だよ
ちょっとしたお喋りとか、交わしたメッセージとか、
そういうの全部ちゃんと聞いてくれてたんだ~、って思った!
この曲って、愛さんの憧れの生き方なんだ
この曲の通りに生きていれば、一生楽しいよね!
だから、スクールアイドルとしても宮下愛としても、
これは特別な曲なの
……私、そんな曲を作ったんだ……
そーだよ! 君の曲!
君と愛さんの曲!
だから、この曲の思い出語りはふたりでしなきゃ
楽しいが半分になっちゃうよ
君が持ってたはずのもう半分を、愛さんは取り戻す!!
愛さんが思い出させてあげる!!
(思い出語りはふたりでしなきゃ……か。ほんとそうだよね)
(思い出は共有できたほうが楽しい)
(現に、愛ちゃんが誘ってくれたニジガク七不思議のことだって、
卒業してからも絶対わすれないと思う)
(そういうの、もし愛ちゃんが忘れちゃったら……)
(私は、最初愛ちゃんが言ってくれたみたいに
「新しい思い出を作っていこう」なんて言えるかな?)
(言えても、やっぱり思い出してほしい、っていう気持ちも
当然あると思う)
(愛ちゃんもそう言ってたし、私も同じ)
(だからちゃんと思い出したい。
ずっと愛ちゃんに頼ってばかりだけど……思い出させてほしい)
(そのために、今の私にできることはひとつ)
愛ちゃんのライブを最高のものにする!
貸してもらった機材の知識を完璧にする!
できること全部して、愛ちゃんのライブを最高のものにする!
貸してもらった機材の知識を完璧にする!
どんどん人が集まってきますね!
愛のライブなんだもの、当たり前よ
ぜ~ったい楽しい、って保証されてるもんね!
愛、ランジュたち本当に客席で観ちゃってもいいの?
お手伝い大丈夫?
うん! この子がやってくれるからね
任せて!
ですが……愛さんは先輩のためにこのライブを決めたんですよね?
その先輩が裏方にいてもいいんですか?
へーき!
だって愛さんはここにいる全員と楽しむライブするんだもん!
席とかはかんけーないと思ってる! でしょ?
うん!
な~んかふたり……ラブラブな雰囲気を感じますねえ……
歩夢先輩はどう思います?
え、私!? ど、どうかな……この子は誰にでも優しいし、
愛情深い性格だから……
こんなときにニブニブですかっ! もー!
ねえ、ボクたちも客席に行こうよ。
早く行かないと観る場所がなくなっちゃいそうだ
えっ、それは困るー!
じゃあ、愛さん、頑張ってね! 璃奈ちゃんボード「キリリ」
彼方ちゃんの応援見ててね~!
うん! みんなでサイコーにたのしー時間にしようね!
愛ちゃん、いつでも始められるよ!
うん! そろそろ行くか~~!!
っと、その前に
あのさ、『めっちゃGoing!!』はキミだけに向けて歌うね
いつもはそういうこと絶対しないんだけど、今日は特別だから
愛さん、君からたくさんのものをもらってきた
君がいたから、今の愛さんがある
アタシがもらったもの、君に伝えたいこと、
全部込めて歌うから聴いて!
んじゃ、行ってきます!!
さて、そろそろ寝ようかな
起きてるとなんかいろいろ考えちゃってダメだ……
あ、そうだ、彼方さんからお手紙もらってたんだった!
えーと……
あった! なになに……?
「今晩、『安眠すやすや実況』をするので見てください」……?
安眠すやすや実況ってなんだろう……??
……うわっ、もう始まる時間なんだ!?
うわわ……同好会のサイトから飛べるんだね?
えーーーと……あ、ここか! よし!
やっほ~。
彼方ちゃんの『安眠すやすや実況』の時間だよ~
(なるほど、彼方さんの配信番組なんだ)
みんなお風呂入った? 歯は磨いた?
お気に入りの枕は?
うんうん、準備OKみたいだね~
じゃあ、彼方ちゃんと一緒にすやぴしよ~
(え?)
今日はあなたに特別な夢を届けられるよう、
彼方ちゃんは夢の中で頑張りま~す!
(……彼方さん、寝ちゃった)
(安眠すやすや実況って、おしゃべりしたりするんじゃなくて
彼方さんが寝てるところを配信するんだ。斬新だな~)
(……彼方さん、気持ち良さそうに寝てる。
かわいい寝顔だな。癒される……)
あれ、ここは……?
やっほ~、こっちこっち~
あ、彼方さん! ここはどこ?
やだなあ、忘れちゃったの?
彼方ちゃんといつもデートしてるところだよ~
そうだっけ……? 私が覚えてないだけ?
そうそう、それだけそれだけ~。さ、行こ~
どこに行くの?
彼方ちゃんのライブ会場だよ~
ええ!? ライブ!?
彼方さんのライブだなんて全然知らなかった……
あれ、これも私が覚えてないだけなのかな?
そうそう、それだけそれだけ~
さあ、ライブが始まるよ~!
(わあ……!!)
彼方ちゃんワールドへようこそ~
そんな遠くにいないでもっと近くに来て~
よしよし。
じゃあ、大きな声で「彼方ちゃーん」って呼んでみて~
彼方さーーーん!!
か、か……彼方さん……!
彼方さーーーん!!
えへへ、よくできました~!
か、か……彼方さん……!
もっと大きな声でお願いしま~す!
か、彼方さーーーん!
えへへ、ありがと~!
ここは彼方ちゃんがわがままでいられちゃう場所なの。
スクールアイドルをしてるときの彼方ちゃんはわがままだから、
こういう場所が必要なのです
彼方ちゃん、今ちょっとだけ寂しいな~。
パワーが足りてない……あなたの応援がなくてちょっと元気ない
あなたに応援してほしいな、頑張れ、って言って欲しい
彼方ちゃんにはあなたがいなきゃダメなんだ
あなたに記憶を取り戻してほしいな。
彼方ちゃんとの思い出を忘れないでほしいな
あなたが彼方ちゃんのわがままをきいてくれるから
スクールアイドルを続けられたの
あなたは彼方ちゃんを救ってくれたヒーローで、とっても大切な人
あなたと過ごした毎日は、これから先一生彼方ちゃんの宝物なんだよ
だから、夢の中でも現実でも……
…………あれ? いつの間に寝ちゃってたんだろう
(なんかすごい自分に都合のいい夢見ちゃったな)
(恥ずかしい……)
(いや、でもこれこそ夢診断すべきものかも。
シチュエーションから流れからいつもの夢とは全然違ったから)
(……でも、こんな夢に当てはまる診断なんてあるのかな?)
(まあいいや、とりあえず起きよう)
うーーーーーん! いい天気!
……あれ?
あ、おはよう、歩夢ちゃん!
おはよう、今日は早いんだね
うん、めずらしくすっきり起きられちゃった
ふふふっ、顔色もいいし、よく眠れたんだね
そうみたい。学校行こう!
うん! 準備して玄関の前で集合ね
うん!
おはよう!
おはよう~
おはよう~
早啊!
ねえ、今日の練習メニュー見せてもらってもいいかな?
はい、これだよ
アナタ、今日はやる気満々って感じね!
え、そうかな?
そうよ! とってもいいことだわ!
私もそう思う!
えへへ……みんなが揃う前に、練習に必要そうなもの出しておくね
うん、ありがとう
彼方さん!
はろ~
昨日の安眠すやすや実況見たよ
おお、見てくれたんだね~。ありがと~!
こちらこそありがとう。ぐっすり眠ってすっきり起きられたよ
ふふっ、よかったあ!
じゃあ、昨日は夢見てないかな?
ぐっすりさんだったんだもんね
あ、ううん、夢は見たんだ
どんな夢だった?
……彼方さんが出てきたよ。それで、私をライブに誘ってくれた
三日月のブランコに乗った彼方さんが、私にこう言うの
…………
彼方ちゃん、どんなことを言ったの?
……夢の話だから、笑わないで聞いてくれる?
もちろんだよ~
私の応援がないから、今ちょっとパワーが足りてない。
だから応援してほしい。記憶を取り戻してほしい。
思い出を忘れないでほしい
私がいたからスクールアイドルを続けることができて、
私のことを大切な人って言ってくれてた……
あはは、説明するとすごく恥ずかしいや
…………
彼方さん、びっくりしちゃった?
びっくりしてる……
だって、それは全部彼方ちゃんがほんとに思ってることなんだもん……
え?
……記憶をなくしちゃうって、すごくショックなことだと思うんだ。
だからあなたが不安になったり焦ったりしないようにしなきゃな、
って……
彼方ちゃんの気持ちは言わなくていいや、って思ってた
でも、あなたの夢の中の彼方ちゃんは全部言っちゃった
えへへ……恥ずかしいけど、ちょっと嬉しい
あなたの中には、本当の彼方ちゃんがちゃんといるんだね
私の話、変だと思ってない?
でも、夢の話だよ?
私の話、変だと思ってない?
思うわけないよ~
でも、夢の話だよ?
夢でも大正解だもん
あなたこそ、彼方ちゃんのわがままにびっくりしてない?
するわけないよ!
するわけないか……そっかそっか~!
……じゃあ、もうお姉さんな彼方ちゃんはやめちゃおうかな
夢の中だけじゃなくて、ここにいる彼方ちゃんも、
あなたに素直な気持ちを伝えたい
わがままな彼方ちゃんのこと、受け止めてくれる?
……うん!
彼方さん! ライブをするって本当ですか!?
そうなの~、やりたくなっちゃってね~
みんなでお手伝いするからね!
よろしくなんだぜ~
愛さん、練習メニューの相談乗るよー!
あ、私、練習メニュー考えてみたんだ!
ええっ、もう!?
では会場候補を出しましょうか?
実はもう生徒会に申請書をいただいていまして……
ええっ、そうなんですか!?
はい、この方が先ほど……
彼方さん、ここでライブをするのが好きって聞いてたから……
私たちの出る幕無しかしら?
そんなことないよ!
私は同好会のこと何もわからないから教えてほしい!
今までのライブの進め方とか気をつけることとかあったら教えて!
ベイビーちゃん、なんか生き生きしてるね
目が、輝いてる。璃奈ちゃんボード「きらりんっ」
先輩、かすみんがなーんでも教えてあげますね!
わ、私も教えるよ!
ありがとう、心強いよ!
アナタ、やっぱりやる気満々ね。
ランジュはそういうアナタが好きなの!
かすみんも好きですっ!
きゃあっ! アタシたちお揃いね、かすみ!
く、くるしいです、ランジュ先輩!
みんな、よろしくお願いします!
彼方さん……ライブの準備は……?
ん? 今してるでしょ?
でも、彼方さんが作ってくれたお弁当食べて
おしゃべりしてるだけなんだけど……
なんかこう、
もっと忙しくてたくさんやることあるのかな、って思ってた
あははっ、そうだねえ。
もちろんやらなきゃいけないことはたくさんあるけど、
彼方ちゃんとあなたの作戦会議だって必要なんだよ
そっか、作戦会議か
そうそう。でもまあその前にお弁当食べよっか。
さあ、召し上がれ~
いただきます! はむっ……うん、おいしい~!
これって何? ハンバーグみたいだけどふわふわしてる
鶏ひき肉と豆腐のハンバーグだよ。
余ったひじきの煮物も入れてるの
ひじきの煮物!?
すごいなあ……こんな使い方もできるんだね
ふっふっふ~、彼方ちゃんは節約上手でもあるのです
この豆腐ハンバーグはね、前にも食べてもらったことがあるんだよ。
そのときもおいしいって言ってくれたんだ
やっぱりあなたはあなただね~
そうなんだ……。なんか、食べたときすごくほわ~っとした、って
いうか、しみじみとおいしいな~と思ったんだ。
これって舌が覚えてたってことかな?
ありうるかも
あなたのその体の何%かは、
彼方ちゃんのお料理でできてるからね~
ええっ!? そんな頻繁にご馳走になってたの!?
……私、お弁当代とか払ってた?
あはははっ、そんなのいらないよ。
あまり物を使ったお弁当なんだから
それでも食材費はかかってるし
彼方さんが作ってくれた手間もあるしダメでしょ!
なんて真面目な子なんだ……
お弁当とかお菓子とかはね、彼方ちゃんがあなたに食べてほしいな~
と思って作ってるんだよ。だからそういうことは気にしないで、
もりもり食べてくれるのが嬉しいの
じゃあ、何か代わりにしてあげられることは?
でもお支払いしたいよ~!
じゃあ、何か代わりにしてあげられることは?
でもお支払いしたいよ~!
ほんとに真面目だねえ~。じゃあね、うーんと……
彼方ちゃんを応援しておくれ~!
彼方ちゃん、あなたの夢の中でも言ったんだよね?
もっと応援してほしい、パワーが足りないよ~、って
う、うん……
それ、ほんとーーーーに彼方ちゃんの本音だよ
だから、一番そばでいっぱい応援して!
……わかった!
むにゃむにゃぁ……
んん~、はぁぃ……
彼方さん、おはよー!
ふえっ!? え、あれ? えーっと……おはよう……?
朝弱いって言ってたから、朝練に遅れないよう
モーニングコールしてみたんだ。これから毎朝するね!
じゃあ、また部室で!
……あはははっ、頼りになるなあ
よし、今日は早めに出ますか~!
(私にできることはあんまりない。
だからできることを見つけて頑張ろう)
(彼方さんが頼ってくれると、なんか元気が出るんだよね……)
(ライブまであと少しだし、もっともっとサポートできるといいな)
よし! 衣装ばっちりです、彼方さん!
ありがと~
メイクするからこっちに来て
かすみんたちがかわいーくしてあげますねっ!
お願いしま~す
ステージに置くお水、このくらいでいいかな?
うん、大丈夫! ありがとね~
ボクと璃奈で置いてくるよ
ランジュたちはお客さんの案内をしてくるわ!
もういーっぱい講堂前に集まってくれてるよ~!
えっ、もう!?
みなさん早くふわふわの夢の世界に浸かりたいんですよ!
もう会場に入ってもらってても大丈夫ですよ。
音響も照明もバッチリ準備できてますから!
この子が手伝ってくれたからだよ~
ちゃんとお手伝いできてよかった!
立派な戦力でしたよ。頼もしかったです
みんなが教えてくれたおかげだよ。
私もライブ作りに参加させてくれてありがとう
それはこっちのセリフだよ。
あなたがいてくれてこその同好会なんだから
ほかにできることないかな? じっとしてられなくて……
ここから先はね、
彼方ちゃんをじ~っと見つめるのがあなたのお仕事だよ
あなたのこと、夢の世界でお迎えに行くから……
だから、安心して待っててね
わ、わかった……。頑張ってね、彼方さん!
(せつ菜ちゃんがライブをやるらしいという話が
学園内に広まってきて、なんだかすごい騒ぎになってる)
(せつ菜ちゃんって……ナニモノ!?)
ねえねえ、せつ菜ちゃんがライブするって話……本当なんだよね?
うん、そう聞いてるよ
ねえ、やっぱり本当みたい!
やったー! 絶対観に行く!
(せつ菜ちゃんのパフォーマンスは動画で見た。
すごい熱量を感じさせるものだった)
(映像で見るのと生で見るのでは段違いなんだろうな、ってのが
この子たちの反応でわかる……。
せつ菜ちゃんって、本当にすごいスクールアイドルなんだ……)
(そんな子が、私のためにライブをしようとしてくれてる。
私の記憶を取り戻すために)
(もちろん私も記憶が戻ることを望んでる。
だけど……もし……もしそこまでしてもらって……)
ごめん、お待たせ!
あー、先輩、今日はパスタランチにしたんですね!
かすみんとお揃いです~!
って、そんなこと言ってる場合じゃないんでした!
よく自制できたね、子犬ちゃん。よしよし
よしよししないでっ! あと子犬ちゃんじゃないっ!
そんなこと言ってる場合じゃない、って、何か大事な話でもあるの?
うん、今日はせつ菜ちゃんのライブのお手伝いの役割分担についての
相談なの
せつ菜、すごく気合いが入ってるの。
だからランジュたちがサポートするのよ!
みなさん、ありがとうございます!
ええと、お願いしたいことについては考えてきていまして……
まずはステージですが、ギミックを凝ったものにしたいんです。
私の燃える魂の視覚化に挑戦です!
イメージ図を作ってきたのでちょっと見てもらえますか?
ちょっと見せて……ふんふん、なるほどね……。
りなりー、これ愛さんとりなりーで担当しない?
うん、愛さんとなら、できそう
お願いします、愛さん、璃奈さん!
次は肉体改造についてです!
肉体改造!? せつ菜ちゃん、本当に戦隊ヒーローになっちゃうの!?
あははっ、そうではなくて、なんと言いますか……
今よりすごいダンスができるように身体を鍛えたいんです!
じゃあ、ランジュがパーソナルトレーナーになってあげるわ!
ダンスについては私がつきっきりで特訓ね
はい! ありがとうございます、ランジュさん、果林さん!
はいは~い! 彼方ちゃんも肉体改造のお手伝いできるかも~!
栄養管理、食事指導なんかはどうかな、せつ菜ちゃん?
ぜひお願いしたいです!
おっけ~! 歩夢ちゃんとエマちゃん、
一緒にやってくれると彼方ちゃん助かるんだけど、いい?
もちろんだよ!
私も頑張ります!
頼りにしてます、彼方さん、エマさん、歩夢さん!
それと……実はかすみさん、しずくさん、栞子さんにも
お願いしたいことがありまして……
何ですか? 何でも言ってください!
1年生のみなさんがやっているビューティー部に
私も入れてほしくて……
ケアやメイクも頑張っていきたいんです!
そういうことならかすみんたちにどーんと任せてください!
ねっ、しお子!
はい!
明日おすすめのフェイスパックやメイク道具を持ってきます!
すべては日々の研究と積み重ねですよ、せつ菜さん!
望むところです、かすみさん、しずくさん、栞子さん!
さて、トリはボクだね。ボクには何をしてほしいの。せつ菜?
ミアさんには、もちろん音響関係のことをご相談したいです!
大迫力な演出ができるようにスピーカーの位置や
歌の指導をしてください!
I got you. 任せてよ!
心強いです、ミアさん!
(すごい……みんな一丸となってせつ菜ちゃんをサポートしてる。
私も……私も何か……)
あの、私も何かできることない?
(だけど私なんかじゃ……)
あの、私も何かできることない?
(だけど私なんかじゃ……)
あなたにもぜひお願いしたいことがあるんです
どんなこと?
私を、そばで見ていてください
え?
その……私、暴走癖があるんですよ。
何かに一直線になると周りが見えなくなってしまうというか……
だから、あなたに見ていてほしいんです
(それなら私にもできるかも……!)
うん、わかった!
ふふっ……。ありがとうございます!!
これで、ライブに向けて練習に集中できます!
今までで一番のライブにしますね!!
やっと私も同好会の役に立てそう……
まずは、私も全力でせつ菜ちゃんのサポートをしよう。
思い出せるか思い出せないかよりも、今はそれが大事なことだよ……
せつ菜ちゃんの動画、もう一回見ておこう
この曲……すごく好き!
次は、えーと……どこでしたっけ?
家庭科室だよ。彼方さんたちが今日のお昼はそこに来て、って
え? 食堂ではなくて、ですか?
そう。ランチも作ってくれてるんだけど、
歩夢ちゃんとエマさんが衣装の手直しもしたいから、って
前より動きやすい素材とかパーツに変えるって言ってたよ
衣装のことまで考えてくれていたんですか!?
果林さんがせつ菜ちゃんのダンスを見て、エマさんに相談したみたい
そうだったんですね
果林さんのアドバイスで前より脚が上がるようになったので、
動きやすくなるのは嬉しいです
ランチを食べたら屋上ね。
ランジュちゃんが食後の瞑想とストレッチをするって
瞑想……ですか?
なんでも集中力が上がるらしいよ
なるほど!
みなさんにサポートをお願いして本当によかったです。
自分は知らないことばかりなんだと痛感しました
みんなすごく真剣だね。スクールアイドルって、
部活動なのに部活動じゃないみたい。熱量に驚かされっぱなしだよ
ふふっ、大好きなことですから!
せつ菜ちゃん、あとちょっとだよー!
ゴール!!
はあっ、はあっ……
すぐ止まらないで、歩きながら息を整えてね。
あとこれ、タオルとお水
はあ、はあ……ありがとうございます……
次は音楽室ですね。
ミアさんをお待たせしてしまっているので急ぎましょう
え、ちょっと休んだほうがいいんじゃない?
休んでなんていられません! 行きますよー!
ええっ、また走るの!? せつ菜ちゃん、待ってーー!
ミアさん、私の歌はどうでしょう?
パワフルでクリアで素晴らしいよ
ブレスのタイミングや喉の使い方などももっと研究したいんです
熱心だなあ、せつ菜は
そういうことなら、キミの力も借りようかな
え!? 私!?
ベイビーちゃんも音楽科の人間だろ?
基礎知識はあるはずだ
それは……理論だけだよ……
理論は大事だよ。基礎がなきゃ発展はないんだから
私からもお願いします!
せつ菜ちゃん……
私……今度のライブには絶対に妥協をしたくないんです。
できることはすべて! すべてやって臨みたいんです!
……わかった。今の私が持ってる知識は全部伝える!
(やりすぎなんじゃ……)
……わかった。今の私が持ってる知識は全部伝える!
(やりすぎなんじゃ……)
(いや、でもせつ菜ちゃんがやりたい、って言うなら……!)
わかった。協力するよ!
よし、じゃあまず、口の開け方からいこう。
基礎も基礎、最初の一歩から見直しだ
んー! 今日も充実していました!
せつ菜ちゃん、本当に大丈夫?
付いてるだけの私でも目が回るスケジュールだよ?
きつい、と感じたところから先に成長が待っているんです!
なので、この疲れにもワクワクしちゃいます!
……もしかして、今のせつ菜ちゃんって暴走状態?
そんなことないですよ! 気合いに満ちているだけです!
あ、でももう帰らなきゃですね。
宿題と予習復習をしなくてはいけませんし
えらすぎる……
成績は落としたくないですからね。
気持ちよくスクールアイドルをするためには、
学業にも力を入れますよ~!
では、私はこのまま走って帰りますね
ええっ!?
ランニングして体力アップです! それでは、また明日!
ま、待って、せつ菜ちゃん!
無理しすぎは良くないよ、ちゃんとセーブして―
大丈夫ですよー!
やっぱり……暴走してるんじゃ……
なんか……すごいな。
もうあれだけすごいパフォーマンスをしてるのに、
せつ菜ちゃんはまだまだ、って思ってる
それだけ、次のライブに思い入れがあるんだ
思い入れ……私のため、だよね
あそこまで頑張ってくれてるのに、
私が思い出せなかったらガッカリするよね……
どうしよう、思い出せるかな……
う、ううん、
今はそんなこと考えてる場合じゃない、って決めたはず!
……決めたはずなのに、また怖くなってきちゃった……
んん……? なんだろう?
……え!? ええっ!?
みんなせつ菜ちゃんからのメッセージ、見た?
ええ、ひどい風邪だとか
声出ないってそーとーだよね……
お見舞いに行ったほうがいいかな?
んー、今行くと無理させちゃいそうだから、
熱が下がるまではメッセージだけにしとこっか
そうですね……
私、せつ菜ちゃんが暴走しないよう見ててほしい、って
言われてたのに……
あれは……本当に止めて欲しかったわけじゃないと思うわ。
キミにそばにいてほしかったのよ
うん、私もそうだと思う。あなたがそばにいてくれることが、
私たちにとっては大事なの。力の源なんだよ
…………
信じられないかもしれない。
でも、私たちはそう思ってる、ってことだけ、知っててほしい
うん……
(せつ菜ちゃん、熱が下がったみたい。
明日は登校するって言ってたけど……)
(放課後、お見舞いに行ってみようかな)
おじゃまします。せつ菜ちゃん、風邪はどう?
熱は下がりましたし、
お伝えしたように明日から登校はできそうですよ
でも、せっかくみなさんにサポートいただいて
伸びていた部分がなくなっちゃったかもしれません、えへへ……
お肌もぼろぼろですし、喉の調子はもどらないですし、
体力も風邪と戦って使い切っちゃったような感じで、
あまり力が入りません
そんな……
でも、まだ時間はありますから
ここから絶対に戻します
だから気に病まないでくださいね
え……
あなたの顔色、私より悪いですよ?
そんなことないと思うけど……
話してみてください。
あなたは今まで私のどんな話も聞いてくれました。
そしてあなたは私に応えてくれてきました
今度は私にお返しをさせてください
お返しだなんて……。あの、じゃあ……言うね
ほんとに大丈夫だから!
お返しだなんて……。あの、じゃあ……言うね
ほんとに大丈夫だから!
大丈夫な人はそんなお顔をしませんよ
……情けないこと言うけど
まず、せつ菜ちゃんの暴走を止めることができなくて悔やんでる。
やりすぎだとは思ってたんだ。でもうまく説得できなかった
あと、私、また怖くなってきちゃった
せつ菜ちゃんが身体を壊すほど打ち込んでくれてるライブを見ても、
私の記憶が戻らなかったら、って……
大丈夫ですよ
え?
まずひとつ目です。私の暴走を止められなかった、ということですが、
実は止めてもらうことは本当の目的じゃありませんでした
ただそばにいてほしかったんです、あなたに
それとふたつ目。記憶が戻らなかったら……
それは、スクールアイドルが記憶喪失の原因じゃなかった、って
ことになります。それなら他の方法を探せばいいだけです
それに私、今回練習に打ち込んでいて思ったんです。
これはあなたと私の、2度目のスタートなのかもしれない、って
同好会が2度目のスタートを切ってからは、
私にとっては夢みたいな時間でした
いろいろありましたが、思い返せばやっぱり、
毎日が楽しくて幸せで……
だから、あなたとも2度目のスタートを切るのもいいのかもしれないと
思ったんです
だから大丈夫。大丈夫なんですよ
せつ菜ちゃん……!
私の『CHASE!』っていう曲、聞いてくれたことありますか?
もちろんだよ!
あの曲は、迷いの中から作られた曲なんです
え!? あんな熱い曲が!?
ふふっ、びっくりしました?
さっき、同好会は2度目のスタートを切ったと言いましたよね。
1度目をダメにしたのは私です
目指すものはあったのに、
うまく伝えることもうまく立ち回ることもできませんでした
そのせいでみなさんを戸惑わせ、
挙句同好会自体を無くしてしまおうとしました
それに、あの頃の私は優木せつ菜と中川菜々を使い分けることに
罪悪感も感じていました
スクールアイドルを続けるためにはこのやり方しかないと
決めたはいいものの、やはりどこかしこりは残ります
そんな私のぐずぐずした気持ちをすべて昇華してくれたのが
あの曲なんです
「進みたい」という心のままでいい、なりたい自分になっていい、
今はまだ遠くてもゴールは待っていてくれる、
涙からも希望は生まれる……
なにもかもを振り払って走り出せば、輝く夢に出会える!
……全部、あなたが私の心から拾い上げてくれたものです
怖くたっていいんです。記憶が戻っても戻らなくてもいい、
あなたがあなたでいてくれればいいんです
私と、またスタートを切ってください!
せつ菜ちゃーん、頑張れー!!
せつ菜、あと10本よ!
はい!
ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー
腕下がってる、疲れてからが本番よ!
はい!
せつ菜ちゃん、ファイト!
せつ菜ちゃん、これ喉にいいから飲んで~
ありがとうございます。とろとろしておいしいです~
蜂蜜とリンゴの葛湯だよ。おうちでも飲んでね
はい!
エマさん、しつけ糸全部取ったよ
ありがと~! せつ菜ちゃん、衣装もバッチリだよ!
わあっ! 着てみてもいいですか?
もちろん!
ステージのライティング、調整完了だよ
ギミックも凝ったのできたよ~、楽しみにして!
すごいです! 理想の遥か上です!
音響もセッティング完了
ミアちゃんが全部調整してくれたんだよ
ベイビーちゃんの耳を信じて調整したんだ
それは信頼できますね!
んー、お肌つるつるですっ!
かすみさん、くすぐったいです!
髪の毛もツヤツヤですね
おすすめしてもらったヘアオイルのおかげです
ひじひざかかとも完璧です!
お風呂で頑張りました!
せつ菜ちゃん、これで準備完璧だね
はい! 絶対に間に合わせると言いましたから!
早くライブがしたくてたまりません!!
せつ菜ちゃん、緊張してる?
いえ、ワクワクしてます!
あなたは緊張しているみたいですが……
う、うん。
私、せつ菜ちゃんのライブは動画でしか見たことないんだ。
それでも情熱を感じた
だから実際に見たらどんな風なんだろう、って思うと
ドキドキしちゃって……
そのドキドキは大切にしてください。全部あなたの思いですから
私は、ステージの上から今日も最上級の大好きを伝えます!
だから、全部受け取ってくださいね!
では、いってきます!!
エマっち、聞いたよ~!
子供向けのコンサートやるんだって?
えっ、どうして知ってるの?
わたし、これからみんなに相談しようと思ってたんだよ
栞子ちゃんから、聞いた
愛さんはりなりーから聞いた
そんでみんなに話した!
ふふふっ、愛ちゃんが広めてくれたんだね
じゃあみんな、改めてなんだけど……
なんでも言ってね、エマ
お手伝いさせてください!
子供向けなら被り物とか必要ですか?
演劇部にありますよ!
かわいい飾り付けだったら彼方ちゃんに任せて~
み、みんな、話が早すぎだよ~!
まだ全然内容とか考えられてないのに!
でも、一気に心強くなっちゃった!
みんなが協力してくれるなら素敵なコンサートになりそう
お手伝い、よろしくお願いします!
うーんと……機材運び入れの申請書の書き方は……
あっ、なるほどなるほど……
それ、わたし書き方わかるよ。やっておこうか?
ううん、前の私が書いたマニュアルがあるから大丈夫。
このくらいのお手伝いはさせて
助かるけど……
でも、このところずっと書類にかかりきりでしょ?
それを言うならエマさんも同じだよ。
コンサートが決まってからずっと準備にかかりきりな上に
練習も前より追い込んでるでしょ?
頑張りすぎてエマさんに何かあったら大変だよ
あ、そうだ! 今日は私がエマさんのお世話をしたいな。
お茶を淹れたり肩を揉んだり!
わたし、全然平気なんだけどなあ……
いいからいいから。エマさん、そこに座ってて。
お茶は……えーと
あ、茶葉はそこの棚だよ。
ポットとカップはバスケットのなかにまとめてるの
う、うん、わかった。ええと……あった。茶葉の量は……
ティースプーンに人数分プラス1杯ね
ティースプーンに人数分プラス1杯……と
あっ、ポットとカップは先にあたためておいたほうがいいかも
そ、そうだったね!
あ、私お菓子持って来てたんだ!
ええと……あれ、無いな……もしかして忘れてきちゃったのかな
ふふふっ
な、なんかごめんね、手際が悪くて!
ううん、いいの。癒されちゃった!
え?
わたしのために一生懸命になってくれる姿、
かわいいなあ、ってきゅーんとしちゃった
かわいい、って……
ね、わたしが替わってもいい?
あなたにおいしいお茶を淹れてあげたいの
う、うん……
はい、このクッキーを食べながら待ってて
これもしかして手作り?
うん、手を動かしてるほうがいいアイディアが出てくるから
つい作っちゃうんだよね
そうなんだ……あ、おいしい……
はい、お茶が入ったよ~
ずーっと書類とにらめっこで目が疲れたでしょ?
首の付け根にツボがあってね……ちょっと後ろ向いてみて
こう?
そうそう! ツボはここね。
ここをぎゅ~ってすると楽になるんだよ~
どう?
楽になりました……
うう……ダメだな。私がエマさんのお世話をしたかったのに、
結局こんなで……
よしよし、その気持ちだけで十分癒してもらったよ~
私で役に立てることがあったら、なんでもいいから教えてね、
エマさん!
うん! わたしはいつでもあなたのことを頼りにしてるよ!
あっ、見つけた~!
エマさん、どうしたの?
はあ、はあ……
あなたの力を借りたいの!
本当!? 嬉しい、何でも言って!
私で大丈夫かな? また何もできないんじゃ……
本当!? 嬉しい、何でも言って!
私で大丈夫かな? また何もできないんじゃ……
ううん、あなたに相談したいんだ。お願い!
わ、わかった! どんなこと?
あのね、コンサートの内容について相談したいんだ。
わたしひとりじゃ心細いから……
もちろん! 私でよければ喜んで!
よかったあ。じゃあ今日の放課後、部室で!
(心細い、って言ってたけど、エマさんがライブのことで
心細く思うことってあるのかな……? 責任重大だから、
しっかり話を聞かなきゃ)
お待たせ~
じゃあ早速なんだけど……。
相談っていうのはコンサートで歌う曲のことなの
エマさんの曲なら全部聞いてるよ。
どういう順番で歌うのがいいか、ってことかな?
ううん、今度のコンサートは全部童謡を歌おうと思ってるんだ
え!? そうなの!?
うん、子供たちのためのコンサートだからね~
それでね、どんな童謡を歌えば楽しんでもらえるか、ってことを
あなたに聞きたいの。
あなたが小さい時によく聞いていた曲とかがあれば教えて
そうだなあ……。『きらきら星』『ぞうさん』
『むすんでひらいて』『いぬのおまわりさん』
ふむふむ……。季節で歌われる曲とかはある?
季節だと『ゆき』とか『たきび』とか……
なるほどなるほど……
童謡って本当にいっぱいあるよねえ。
どれもいい曲だから本当に悩ましいよ~
ねえ、エマさん……
提案なんだけど……
歌ってほしい曲のリクエストを募集してみたら?
リクエスト?
そう。ほら、前に浜辺でエマさんが歌ってたら
子供たちからのリクエストが止まらなかったでしょ?
きっと子供たちに好きな曲を聞いたほうがいいと思うんだ
そっか……そうだね! それがいいかも!
ありがとう! あなたに相談してよかったあ!
ふふふっ
お疲れ様―
エマさん……溶けちゃいそうな顔してるね
エマさん、何かあった?
エマさん……溶けちゃいそうな顔してるね
えへへ、だって~、これはもう仕方がないんだよ~
どうしたの? すっごくいいことあった?
エマさん、何かあった?
そうなの! 見て、このお手紙!!
んん? ちっちゃい子からの手紙?
あ、妹さんたち……なわけないか、日本語だもんね。
小さいお友達がいるの?
うん!
前、日曜保育のボランティアに行った時に知り合った子なんだ~
引っ越してきたばかりでなかなか馴染めなくてね、
みんなとの遊びに入ってこれなかった子なの
一緒に歌おうよ~、って誘っても逃げちゃうばかりでね~
でもね、わたしのライブを見に来てくれて、
一緒に歌ってくれたの
そのときから仲良しになったんだよ~
そんなことがあったんだね……
やっぱりエマさんの歌って、
聞いてる人を安心させてくれるんだよ。
温かさが溢れてる、っていうか……!
エマさんのスクールアイドルとしての魅力だよね
……わたしがそういうスクールアイドルになれたのは、
あなたのおかげなんだよ?
え?
わたしね、とにかくスクールアイドルになりたい、って気持ちで
日本にきて、願いが叶って満足しちゃってたの
もちろん頑張るぞ、って気持ちで活動してたんだけど、
自分がどんなスクールアイドルになりたいか、っていうところは
あやふやなままだったんだ
同好会のみんなって自分がやりたいことや目指したいものが
はっきりしてるでしょ?
なのに、わたしはこれ、って言えるものがなくて……
だから、そういう話題になったときは
置いていかれた気になっちゃってたんだ
だけど、あなたは言ってくれたの
「これから活動していくうちに、掴めるんじゃないかな?」って
それで、わたしにはどんなスクールアイドルがぴったりなのか、
一緒に考えてくれたんだよ
わたしね、そのことがすっごく嬉しかった……
今考えても嬉しいなあって気持ちでいっぱいになる
あなたと話してるととっても安心するの。
全部さらけだしてもきっと受け止めてくれる、って思える
あなたはね、わたしがわたしでいられる場所……
故郷みたいな存在なの
……私、そのことは覚えてないんだけど……
故郷って言葉で思い浮かぶ曲があるよ
『Evergreen』
エマさんが歌う『Evergreen』って
故郷みたいな安心感があると思ったんだ
ふふっ、その曲は悩んでるわたしとあなたで初めて作った曲……
わたしが、聞いてくれるみんなを癒してあげるスクールアイドルに
なるんだ、って気持ちで作った曲だよ
そうだったの!?
記憶がなくても、あなたにはちゃんとそう感じてもらえるんだ……
よかったあ! えへへ、嬉しいな~
…………
あれ、どうかした?
……ごめん、すごく話が変わるんだけどいいかな。
コンサートで歌う曲のことなんだけど……
うん、今たくさんリクエストもらえてるよ!
私もリクエストしたい曲があるんだ
『Evergreen』をリクエストしてもいい?
ええっ!?
童謡じゃないけど、私、童謡を聞くみたいな気持ちになるんだ。
懐かしいような、落ち着くような、安らげるような……
だから、たくさんの人に聞いてもらいたいし、
子供たちも絶対大好きな曲になると思う。
ううん、子供たちのご両親も
……そのリクエスト、受けちゃおうかな
その代わり、わたしもお願いしていい?
何? 何でもする!
コンサートで、ピアノの伴奏をしてほしいの
わたし、あなたの伴奏で歌いたい!
ねえ、そのボードをこっちに持ってきてちょうだい!
えー! これステージに置くやつですよね?
重くて無理ですう!
まったく子犬ちゃんはひ弱だなあ。ボクが運ぶ……うっ
ほらー、ミア子だって持てないじゃん。
あと子犬ちゃんじゃないから!
ひとりでは無理ですよ。みんなで運びましょう
そうしましょう!
私ここ持つね
わたしはここ。じゃあ、せーので持ち上げるよ~、せーの!
んむむむ~!
ランジュのいる位置までゆっくり持ってきて!
ゆっくり、ゆっくりよ~……はい、OKラ!
ふう……
エマさん、
あとは飾り付けだけなのでここは私たちだけで大丈夫ですよ
ありがとう! じゃあ、わたし、着ぐるみのほう見てくるね!
着ぐるみまで用意するなんて、張り切ってるね、エマ
ねえ聞いた? ちびっこたちからのリクエストの数々!
かすかすっ!?
数々、だよ
そ、そっか……
で、そのリクエストがなんですか?
童謡からアニメから特撮ヒーローから、
とにかくすごい数で幅広いリクエストだったんですよ!
……実は、私も一曲リクエストを送ってしまいました……
ランジュもよ!
キミたちさあ……
かすみんも送っちゃいました
私もです……
私は直接頼んじゃった……
全員送ってどうすんのさ
ん? 全員? ってことはミアも送ったのね! 仲間ね!
うるさいなあ!
だって歌ってくれるっていうんだから聞きたいだろ……
あはは、そうだよね、わかる!
エマさんの歌声って常にそばにあってほしい、って感じだもん
んー、いいお天気だね~
ほんとだね。これならたくさんの子供たちが遊びに来てくれそう
子供たちがくる前に最後の準備しちゃお
ピクニックシートは木の下にしましょうか?
そうだね、そのほうがいいかも
ボク、璃奈と一緒にサンドイッチを冷蔵庫に入れてくる
エマさん、こんなにたくさん作ったの?
うん! コンサートは一日中やってるからね~。
おなかがすいた子に食べてもらいたくって
本当はひとりで作りたかったんだけど、今日は寮のみんなにも
手伝ってもらったからこんなに用意できたんだよ~
頼りになるよ~
まあ、パンに具材を挟むだけなら、ね
ランジュは卵を混ぜたわよ!
ボクだってレタスを洗ったもん
ふふっ、はいはい、たくさん手伝ったわね
みーんな頼りになったよ!
コンサート聞きながらおいしいサンドイッチも食べられるなんて
最高だねえ
ピクニックとライブが融合したみたいです!
すごくいいアイディアですよね! かすみんも真似したい~!
かすみのコッペパンが食べ放題のライブ!?
ランジュ絶対参加するわ!!
ランジュ先輩の席は確保しておきますね!
でもその前に、今日はエマ先輩のコンサートです!
エマさん、大変です!
まだ開場前なのですが、もう子供たちが集まってきてしまって……
ええっ!?
わかる……愛さんわかるなあ……。
楽しみがあるとすごい早く目が覚めちゃうんだよねえ
まだ準備があるんだけど……どうしよう?
エマさん、準備は私たちがやっておくから
子供たちの相手をしてあげたら?
そうですよ、みんなエマさんに会いたくて早く来てくれたんですから
あとは私たちに任せてください!
う、うん、ありがとう! じゃあお願いしちゃうね!
みんなー、おはよう~! 今日は来てくれてありがとう。
いっぱいお歌を歌おうね~
もうお昼だなんてあっという間だね
緊張した~!
もうお昼だなんてあっという間だね
本当だね。始まったばかりだと思ってたのに
でも、お腹は空いたな~って気がしてた……えへへ
あはは! いっぱい歌ったもんね!
緊張した~!
私の伴奏大丈夫だったかな?
もちろん大丈夫だよ! 安心して
それならよかった……あ!
子供たちがお昼食べてる間にエマさんも食べちゃって
うん!
あ、でもちょっと見てこようかな……。
サンドイッチ、おいしく食べてもらってるかが気になるの
大丈夫! みんな夢中で食べてたよ
それならよかった~!
あ! 待って、わたしだけ食べていられないよ、
あなたやみんなもお昼休憩して!
それも大丈夫。私たちも交代で休憩してるから
エマさんって本当に自分より周りのことなんだね
そういうわけじゃないけど……今日のコンサートは
わたしの家に遊びに来てもらった、ってイメージなんだ
だからみんなにもおもてなししたくって!
あの子たちも私たちも、もう十分してもらってるよ
リクエストの曲も全部聞かせてもらえてるし、
最高のおもてなしだよ!
ふふっ、たくさんリクエストをもらえて嬉しいんだもん!
みんな一緒に歌って踊って……
わたし今、本当に楽しいんだ~
私も伴奏させてもらって楽しい。
小さな子のパワーを私ももらっちゃってる気がするよ
あなたもそう思う!? わたしもなの!
小さい子って不思議だよね……
あの子たちの笑顔があるとなんでもできちゃう
おふたりとも、あと30分で午後の部が始まりますよ。
食事と着替えを済ませてくださいね
はーい!
では、また5分前に来ます!
着替え? 今日は着ぐるみを着るだけじゃなかったの?
うん!
だけど、『Evergreen』を歌うときはいつもの衣装を着ようと思うの
ここからは、コンサートじゃなくて
わたしのスクールアイドルのライブだよ
わたしの歌、あなたも楽しんでね!
さあ、ご飯を食べて着替えなくっちゃ~! 急げ急げ~!
あの……
あ、璃奈ちゃん!
新しいマシンできた!? 今日こそは―
あの、今日はちょっとお話したいことがあるの
いいかな?
うん……?
それで、話ってどんなこと?
あのね、あなたと私の共通点を見つけたの
共通点?
そう。それはね、「無くしちゃったもの」があること
無くしちゃったもの……私の場合は記憶だよね。
璃奈ちゃんは?
私は「表情」
私ね、小さい時は周りと同じように笑ったり泣いたりしてたんだ
だけどうちは、お父さんもお母さんもお仕事が忙しくて、
私がお留守番できるようになると、家を空けることが多くなった
お出かけや旅行もあんまり行ったことがないし、
幼稚園や学校の行事にも来てもらえなかった
それでも、電話やメールやお手紙やいろんな方法でお話してたんだ。
だから、もっと一緒にいたかったけど、我慢できた
お父さんとお母さんのお仕事は、たくさんの人を助ける大事なお仕事。
頑張ってほしいし、私も協力したい
だからひとりでも大丈夫なところを見せたくて、
なんでもひとりでできるようになって、
週末や夜のお留守番だって平気になった
そうしたら、だんだん、おもしろい漫画を読んでも、
テレビを見ても、笑えなくなっちゃった
お友達からも「私といても楽しくないの?」って聞かれちゃった
そんなことないよ、楽しいよ、って言ってたんだけど、
そんな顔で言われても信じられない、って
お友達とは仲良くしたかったけど、難しくなっちゃった
私は、表情を無くしちゃった
そういう理由だったんだ……
うん。でも、今は愛さんが璃奈ちゃんボードを作ってくれたから、
私の気持ちを人に伝えることができるようになったんだよ
それにね、今の私は、前の私よりも、
ほんのちょっとだけ、表情が出るようになった
ライブで使ってるオートエモーションコンバート璃奈ちゃんボードだけが感知できるくらいなんだけど、私は、ちょっとだけ、取り戻せた
だから、あなただって取り戻せると思うの
璃奈ちゃんは……どうやって取り戻せたの?
私に作ってくれたみたいなマシンを使って?
ううん。取り戻せたのは、スクールアイドルになれたから
スクールアイドルになって、私は変われた
あなたは……スクールアイドルが好き? まだ、興味はある?
好き……なんだと思う
うーん……どうだろう……?
好き……なんだと思う。毎晩動画を見ると止まらなくなるし
うーん……どうだろう……?
即答はできないけど、
動画を見ると止まらなくなるくらいには惹かれてる
前の私とは比べものにならないのはわかってるけど、
今の私も、スクールアイドルが好きだよ
よかった!
だったら私、あなたのためにライブをする
今まであなたにたくさん助けてもらってきた。
スクールアイドルとして、その全部をあなたに返したい
璃奈ちゃんのライブを観たら、私も変わるかな?
思い出せるかな?
変わるよ。全部は思い出せなくても、ちょっと思い出すとか、
懐かしいって感じる瞬間が出てくるとか
ちょっとずつでも良い方向に変わっていけるなら、それはもう大成功!
璃奈ちゃんボード「ピッカリン」
あれれ、璃奈ちゃん、マシン片づけちゃうの?
それ、まだ試してないやつでしょ?
うん、一旦、この作戦は中止。別の作戦に切り替える
別の作戦?
そう
璃奈ちゃん、私のためにライブをしてくれるんだって!
えー!? そうなの!?
そうだよね、璃奈ちゃん!
うん!
そっかそっか~、
何かお姉ちゃんがお手伝いできることはないかい?
お手伝い、お願いしてもいいの?
当たり前だよ~。なんでも言ってね
……あ、でもちょっとだけ待って!
他のみんなにも璃奈ちゃんのライブのこと
教えてあげなくっちゃだから!
えーと……
「璃奈ちゃんがライブするって言ってるよ~集合~!」っと
早速このあと作戦会議、だって!
はわわ……早い。璃奈ちゃんボード「グルグル」
みんなが来るまでにお茶の用意しよ~っと
あなたも手伝って~
うん、わかった!
いち、にー、さん、しーーー……
うう~……
璃奈ちゃん、もう少し押しても大丈夫?
璃奈ちゃん、いい感じだよ!
璃奈ちゃん、もう少し押しても大丈夫?
が、がんばる……む~~~~!
璃奈ちゃん、いい感じだよ!
も、もうちょっと……頑張れそう……む~~!
りなりー、頑張ってるね~!
愛さん!
やっほー!
朝から練習頑張ってる君たちに愛さんから差し入れだよ~
くんくん……この匂いは……ぬか漬け
せいかーい! じゃじゃーん!
わあ、おいしそう~!
食べて食べて~、
これ愛さんのおばーちゃんが漬けた最高傑作だから!
はむはむ……
あむっ……うん、おいしい~! なんとも言えない……
全日本人が郷愁をそそられる味だね……
あははっ、気に入ってもらえてよかった!
ソロライブ、楽しみにしてるよ! りなりー、がんば!
うん、ありがとう、愛さん!
よし! ポスター、これで全部貼り終わったかな?
うん、手伝ってくれてありがとう
たくさんの人に知ってもらいたいから、後で駅とかにも頼みに―
あー! 璃奈ちゃんライブやるんですか!?
うん
やった! 楽しみにしてま……
うわ、この日、塾があるんだった~!
あの……配信もできるようにする。アーカイブも残すよ
本当ですか!? 嬉しい……!!
私、オンラインゲームの友達にも璃奈ちゃんファンの
友達がいるんだけど、その子にも配信のこと話していいですか?
もちろん。伝えてくれると嬉しい。よろしくお願いします。
璃奈ちゃんボード「ぺこりん」
ありがとうー! ライブ楽しみにしてますっ!
璃奈ちゃん、配信するなんて急に言っちゃって大丈夫……?
大丈夫。私、配信のライブもたくさんしてるんだ
そうなの? スクールアイドルって生のライブが普通なんだと思ってた
パフォーマンスは観たいけど、ひとりで楽しみたい人とか、
カラオケで少人数で楽しみたい人とか、いろんな好みの人がいる
私も、賑やかなところは疲れちゃったりする
それに、今みたいに予定が合わない人もいるでしょ?
そういう人たちにも、楽しんでもらえる機会を作れたほうがいいから
なるほど……確かにそうだよね……
……このアイディアを、一番最初に思いついたのは、あなたなんだよ
えっ、そうだったの!?
うん。だから、すごく感謝してる
あなたとは、こういう思い出がたくさんあるんだ
私のスクールアイドルは、あなたとふたりで作り上げてきた
だから……私のライブを観て、
あなたがちょっとでも思い出してくれたり、
懐かしさを感じてくれたりしたら、私はとっても嬉しい
……私も、ちょっとでもそうなれたらいいなと思う。
ちょっとだけでいいから、取り戻したい
だから、駅にもポスター貼らせてください、って頼みに行こう!
うん! 璃奈ちゃんボード「キリリ」
ライブ音源の調整、できたよ
ありがとう、ミアちゃん
This is just a piece of cake. こんなの朝飯前さ。
いつでも言ってよ
ミアちゃんってすごいな、なんでもできちゃうんだね
前はキミだってしてたんだよ
えっ、そう……なの?
仮にも音楽科だろ? 今だってできるはずさ。やってみたら?
でも……
やってほしいな
あなたが音楽を好きな気持ちは、ずーっとあったものでしょ?
うん……でも、今の私が璃奈ちゃんの曲に触れるのは……
ちょっと怖いな
無理だよ
ちょっと怖いな
無理だよ
だって、自分がこんなすごい曲を作ったなんて思えないんだもん
動画で歌ってるところ見たよ。
どの曲も璃奈ちゃんにぴったりだし、きっとなにか
ストーリーがあって作られた曲なんだろうな、って感じた
それを、今の私が理解できるとは思えないよ……
でも、あれはあなたが作ってくれた曲だよ
音楽ってさ、理解しなくたっていいんじゃない?
ただ楽しめば、感じればいいんだよ
……って、理論で曲作りをしてたボクが言えたことじゃないけどさ
こんなことを言えるくらいボクを変えてくれたのも
ベイビーちゃんなんだよ
音楽に対して怖いなんて思わないでほしい
私の曲は、私とあなたの曲だよ。
だから、ひとりで触れるのが恐ければ、ふたりならどうかな?
私とミアちゃんで、ってこと?
そう
……わかった!
ふう……
私の曲、弾いてみてどうだった?
楽しかった!
とってもいい曲だよね。一緒に歌えたら楽しいだろうな
どの曲もいいけど、『ドキピポ☆エモーション』は、なんか特別っていうか……指に馴染んでる……みたいな不思議な感覚があったな
その曲は、あなたが一番最初に作ってくれた曲
私をスクールアイドルにしてくれた曲だよ
一番多く歌ってるし、あなたも一番多く演奏してくれた曲
だから、体に感覚が残ってたのかもしれない
そうなんだ……
そうなのかな?
そうなんだ……
そうなのかな?
この曲を作る前、
あなたと一緒にせつ菜さんのライブを観に行ったの
そこで、会場にいるみんなの心がひとつになるって体験をしたんだ
私は、それをすごく羨ましいと思った。
あの場所に立って、みんなと心を繋げられたらいいな、って思った
そして、ライブの後、あなたとたくさんお話をした。
私の願い、スクールアイドルになってやりたいこと、
どんなスクールアイドルになりたいか、他にもたくさん
正直、あの頃の私は、自分が思ってることを
正確に伝えられてなかったと思う
でも、あなたは全部お見通しだよ、って顔で笑って、
この曲を作ってくれたの
私が、大変だな、って思ってることも、こうなりたいな、って
思ってることも、全部入ってた
とっても素敵な、私のための曲
だから、今でもちょっと特別な感覚を持ってくれて、嬉しい
この曲なら、あなたにアクセスできるかも
ふああ……
ふふっ、大きなあくびですね。寝不足ですか?
えへへ……。ちょっと夜更かししちゃって
もうすぐ璃奈ちゃんのライブでしょ? 当日使う音源、
少しいじってもいいって言ってもらえたから研究してたんだ
わあっ、編曲したんですか!?
し、しないよ、そんなこと!!
……いや、最初はできたらいいな、ってちょっと思ってた
でも、璃奈ちゃんのライブ動画を見たり、自分が作った楽譜の
書き込みを見たり、部室にあった練習ノートを見たりしたら
やっぱり手なんて加えられなかったよ
一音一音に意味も想いも積み重なってるんだな、って
再確認しちゃったから
こんなすごい曲を作った私もすごい、って思っちゃった、あはは……
……その気持ち、大事にしてください
今のあなたは控えめすぎます。
もっとどんどん気持ちをぶつけてください!
私たちも同じくらいのパワーで気持ちをお返ししますから!
うわあっ!?
なにごと!? 璃奈ちゃんボード「はわわっ」
……あれ、せつ菜さん、なんでこの子に抱きついてるの?
す、すみません、つい気持ちが昂ってしまいました……
もっと、私たちに気持ちをぶつけてくださいと
お願いしたかっただけなんです……
……それは、私もお願いしたい
私たちスクールアイドルは、応援してくれる人の力が必要だから
私も……ぎゅ……
では私も! ぎゅーーっ!
待って! 苦しいからー!!
璃奈さん、着替えは終わりましたか? 終わったらこちらへどうぞ!
はい、じゃあ口を閉じて「んー」ってして
んー
……はい、リップ完了!
りな子その色似合う~!
やっぱ、かすみんが色を選んだだけある!
璃奈さん、髪の毛を梳かしてもいいですか?
うん
あら、つげの櫛? いいわねえ
つげ?
そう。
髪の毛がツヤツヤになるのよ、これ
ねえ、配信があるなら視聴覚室の大スクリーンで観たい、っていう
子たちが来てるんだけど……
視聴覚室って使用許可取ってたっけ?
はい、使用届は出ていますよ
じゃあ準備しに行こっか~
愛さんもそっち手伝うよ!
ミアチ、せっつー、配信機材のほうは任せていい?
OK.
お任せください!
みんなありがとう。よろしくお願いします。
お礼なんていいよ!
わたしたちもみんな璃奈ちゃんのステージ楽しみにしてるからね!
うん……!
璃奈ちゃん、オートエモーションコンバート璃奈ちゃんボードの
調整終わったって!
うん、ありがとう
…………だけどやっぱり、今日は使うの、やめようかな
え!?
今日は、素顔で歌いたい気分
でも、これは璃奈ちゃんの気持ちを伝える大切なものでしょ?
そうだけど、これがなくても、気持ちがそこにあれば伝わる、って、
今の私は知ってるし、できるから
今日は、私のままであなたに伝えたい
あなたなら、きっと感じてくれる
私、あなたに届くように精一杯歌うよ。
だから、あなたも私に気持ちを届けてほしいな
う、うん……!
約束だよ……ぎゅ!
滝行をしましょう!
滝行!?!?
驚かれるのも無理はありません。
ですが、私なりに分析をした結果、
滝行をするのが一番いいのではないかと思ったんです
どうして……?
あなたの記憶喪失の原因ですが、
心因的なものである可能性が高いと思われます
ですからその原因を見つける必要がある、
そしてそれは自分自身の中に隠れている……
ということであれば、
自分と向き合うことが原因を見つける一番の近道だと思うのです
で、滝行ってわけか……
ええ。私もたまにやっています
滝行を!?
はい、姉に連れて行かれました
姉が言うには三船家伝統の修行なのだそうです
そっか……ご家族みんなでやったりするの?
…………母や父は私の知らないところでやっているのだと思います。
伝統なので
私も姉に言われたときはあなたと同じように驚きました
しかも、思った以上につらいんです……
ど、どんなところが……?
まず、水が冷たいです。
山の湧き水ですから当然なのですが……
そして、水って重たいんです。
最初は立っているのがやっとでした。
少しでも気を抜くと水に体を持っていかれます……
うわあ……
しかし、精神統一ができてくると変わるんです!
背筋を伸ばし体の芯を意識して丹田に気を込めると、
水の重さも冷たさも気にならなくなります
絶え間ない水の音が集中力を高め、
閉じた目の奥に何かが見えてくる気がするんです
私もまだ未熟ゆえその何かがはっきり見えたことはないのですが、
自分と向き合うという意味で、滝行が最善だと思うんです
どうでしょうか……?
栞子ちゃんがそういうならやってみる!
わ、私には無理かも……
……わかった。栞子ちゃんがそういうならやってみる!
わ、私には無理かも……
そうですか……
(滝行なんて無理だよ……
でもでも、私のために提案してくれたんだよね……うう……)
ねえ、滝行って初心者でも大丈夫なのかな?
私修行とか何もしたことないから不安で……
大丈夫です。私がすべてお教えします!
……じゃあ、やってみようかな
はい!
さあ、後ひと息ですよ
この先に栞子ちゃん行きつけの滝が……
はい!
でも、その前にお弁当を食べましょうか?
この先に開けた場所があるんです。姉と私のお弁当スポットなんですよ
姉は「滝行の前には腹ごしらえ!」と言って、
いつも大きなおにぎりを作ってくれるんです
唐揚げと卵焼きと昆布が入ってて、うまく握りきれなくて
ちょっと唐揚げがはみ出ちゃってるんですが……
私、姉のおにぎりが大好きなんです
すごくおいしそうだね! 栞子ちゃんはお姉さんとよく出かけるの?
最近は……
ちょっと前までは、姉もいろんなところを放浪して
日本にいませんでした。たまに帰ってきても、
私が拗ねていたというか……あまり話すことがなくて
だけど、いろいろあって昔のように
接することができるようになったんです
そうなんだ……よかったね!
あなたにも同好会のみなさんにも、
たくさんたくさんお世話になりました
その「いろいろ」の部分、思い出したいな
今日は頑張るね!!
はい!
準備はできましたか?
う、うん。帯の結び方これで大丈夫かな?
ちょっといいですか?
それだとはだけてしまうかもしれませんから……
はい、これで大丈夫!
うう、思ったより大きな滝……
安心してください、私がやり方を説明しますので!
それに、もしあなたが倒れても私が支えます!
う、うん……!
(今日は頑張るって決めたんだから、怯んでる場合じゃない!)
栞子ちゃん、お願いします!!
(つ、冷たい! 重い! きつい! 転びそう!!)
(うう……体幹意識して、丹田に気を込めて……)
(……あ、安定してきたかも。水の音も心地いい……
こんなに水の音が大きいのに、鳥や虫の声も聞こえるものなんだ……)
(……私に、何があったんだろう?)
(栞子ちゃんのことは好き、同好会のみんなも好き、
スクールアイドルだって見てると楽しい、ワクワクする……)
(なのにどうして忘れちゃったんだろう?)
(……あの日、倒れる前……私がしてたことは何だった?
確か、何か見てたような……)
(……何を見てたんだっけ)
はあ……
疲れちゃいましたか?
あ、うん、大丈夫。疲れじゃなくって……なんていうか……
滝行中、記憶がなくなる直前のことを思い出そうとしたんだ
確か……何かを見て、何かを思った……
うう、これじゃ何も掴めてないよね……
すごく印象的なものを見たような気がする。
でもそれが何かわからない
ただ、たぶん私の心はすごく昂ってて……
だめだ……。最後の最後で扉が閉じちゃう感じ……
せっかくここまで連れてきてくれたのにごめんね
いいんです。輪郭が見えてきた、というのはいい兆候ですよ
さあ、今日はもう帰りましょう
うん……
あいたたた……
先輩どうしたんですか、どこが痛いんですか!?
全身筋肉痛で……いたた……
全身筋肉痛なんて大変そう……。璃奈ちゃんボード「ハラハラ」
何をしたの?
滝行。栞子ちゃんに連れて行ってもらったんだ
滝行!?
滝行!?
滝行!?
滝行って……滝に打たれる……あれ?
なんでそんなことしたんですか……
滝行って全身筋肉痛になるほどきついんだ……。
璃奈ちゃんボード「ゾゾゾっ」
いや~、自分に向き合わなきゃ、って思って
全然意味わかんないです……
ていうか! しお子に連れて行ってもらったっていうことは、
しお子は滝行の経験があるってこと!?
はい、ありますよ。姉に連れて行ってもらってます
みなさんのおうちでは、
一家の伝統的な修行のようなものはないのですか?
伝統的な修行……
あるっていう人のほうが少ないと思うわよ、栞子ちゃん
えっ……そう……なのですか?
かすみさんや璃奈さんのおうちはどうですか?
ないないない、修行とかないから
うん、ない。なんの修行なの?
精神を鍛える修行、です……。うちが特別なのでしょうか……
薫子先生が特別なのかもしれないわね……
まあ、それはいいとして、自分に向き合う、ってどういうこと?
記憶喪失になった原因を探りたいんだよね。
たぶん心因的なことで、だったら私の中にその原因っていうか
発端的なものがあると思うから、それに向き合いたいんだ
なるほど、だから精神の修行、ってワケなんですねえ
成果、あった?
うーん……何か見えてきそう……って感じだったけど、
これが成果です、ってのはなかった
でも滝行自体は面白かったよ
ええーっ!? 全身筋肉痛になっちゃうのに!?
あはは……それはそうなんだけどね。
最初はすーっごく冷たいし水の負荷がすごいし大変なんだけど、
だんだん平気になっていくんだよね
それがすごく不思議な感覚で……
またやってみたいな~って思うよ
経験してよかったなと思うよ
筋肉痛にはなっちゃったけど、またやってみたいな~って思うよ
経験してよかったなと思うよ
ほ、本当ですか!? またやってみたいですか!?
うん!
よかったです……!
あの、みなさんもどうでしょう?
私たちと一緒に滝行をしませんか?
ええっ!? か、かすみんはちょっと……。
果林先輩は好きそうな感じします!
私!? そ、そうねえ……
川で泳ぐのとそう違わないような気もするし……
川で、泳ぐ……?
な、なんでもないの! えっと……滝行……よね、
そうね、機会があれば……ね。璃奈ちゃんもどう?
たくさん準備運動して……頑張る
かすみちゃんもやろうよ
うう~、先輩がそう言うなら……かすみんも頑張りますっ!!
だって、栞子ちゃん! 同好会のみんなを誘ってみてもいいかもね
ふふっ、そうですね!
はあ……
あとちょっとで……何か思い出せそうだったんだけどなあ……
よかった、ここにいたんですね!
あ、栞子ちゃん
……大丈夫ですか? まだ筋肉痛、ひどいですか?
あ、ううん、平気……ではないけど大丈夫
わっ、もうこんな時間だったんだね!
ごめん、部室閉める時間だよね
急がなくても大丈夫ですよ。
私なんてまだ着替えてもいませんから
……考え事ですか?
うん……滝行のときのこと思い出してた
あの日も話したけどもう一回聞いてもらっていいかな?
倒れる直前に何か……
私、たぶん何かを見てたような気がするんだ
何か、手に持ってて、それでなんか気持ちがもやもやして、
そこから先がどうしてもダメ。そこで扉が閉じちゃう感じ。
その先に行けない……あと少しだと思うのに……
後少しで扉が閉じてしまう……最後の勇気が出ない、
ということなのでしょうか
そうかもしれない。
私、どこかで思い出したくない、って思ってるのかな
でも、今ここにいる私自身は思い出したいんだ
思い出したい自分と思い出したくない自分がいるみたい
……まるで、昔の私みたいです
え?
私も似たようなことがありました。
スクールアイドルになりたい自分と、なれるはずないと思う自分
同好会のみなさんを見ているうちに、
どうしようもなくスクールアイドルに惹かれて、
自分もやってみたいと思うようになりました
でも、その気持ちと同じくらい強く、
自分にはできないとも思っていました
私にはその適性がない、
今更やりたいなんて言うのは恥ずかしい……。
逃げる理由をいくつも探していました
栞子ちゃんでも、そんな風に思ってたことがあったんだ……。
なんか信じられないな
そうですか?
そうだよ!
私が変われたのは、やっぱりあなたのおかげなんです
あとひと息で立ち止まってしまう辛さは、痛いほどよくわかります。
そして……今の私なら、どうにかできるかもしれません
私に任せてもらえませんか?
クラスメイト(シルエット立ち絵、声無し)
あの方の記憶を取り戻すために、やってみたいことがあるんです
えっ!? どんなこと!?
『決意の光』を聴いていただこうと思いまして……
滝行じゃダメだった、ってこと?
私の歌で、滝行で見えた希望の後押しができたら、と
そういえば、何か見えそうだった、って言ってたよね
そうね、掴みかけた感じではあったわよね
そうなんです。詳しく聞いたところ、
最後の最後で扉が閉じてしまうような感覚があると言っていました
その扉を、開いてもらいたいんです!
いーじゃん、そういうことなら
しおってぃーの歌が一番だと愛さんも思う!
そうだね、あの曲ならぴったりだよ
じゃあ、ライブをするのね、栞子!
ランジュ、なんでも手伝うわよ!
できるだけ早いほうがいいよね、
役割分担して準備するよ
あ、いえ、ライブ……までは考えていませんでした
ライブじゃないんですか?
そうですね……ただ、私の曲を聞いてもらえたらと
……私に名案があります
なになに?
次の全校朝会で披露するのはどうでしょうか!
ええっ!?
おお~、それなら栞子ちゃんのステージが観たい人も
観そびれなくていいかも!
いえ、でも全校朝会を私物化するようなことは……
あの曲は学校のみなさんへの応援歌にもなるものです。
私物化ではないと思います
栞子さん、ライブをしないというのであれば全校朝会しかありません!!
「しか」ないんですか……?
ないと思うなあ~
栞子ちゃん、やろう
いいのでしょうか……
じゃあさ、学園のみんなにアンケートとってみる?
お便りボックスに賛成か反対か書いて入れてもらおうよ。
それでいいよー、ってなれば、しおってぃーも安心でしょ?
はい……
決まりです!
そういうことであれば、早速アンケートをとりましょう!
あ、栞子ちゃーん!
聞いたよ、全校朝会で歌うんだよね!
え? いえ、まだ決まったわけではありませんが……
そうなの? 同好会のアンケートってもう始まってるでしょ?
ええ、お知らせは出しました
もうかなりの子が賛成票を出しに行ってるはずだよ。
私もあれを見てすぐに出しに行ったもん
ええ!?
あ、信じられない、って顔してるね。
じゃあ、お便りボックス見に行ってみる?
え、ええ……
ほら、見て! お便りボックスから溢れちゃってるよ
本当に賛成票をいただけているのでしょうか……
ちょっと見てみる? えっと……
「賛成。全校朝会で歌いたいと聞いたときはびっくりしましたが、
あの真面目な栞子ちゃんが言うならとっても大事なことなんだと
思います。朝から歌が聞けるのも嬉しいです」
「賛成に一票。朝から頑張れそうです。
この先もずっと朝会で歌ってほしいな」だって
これも、これも……これも、全部賛成だって!
クラスの子も、あの栞子ちゃんがやりたいっていうなら、って
言ってた
ニジガクのみんなから慕われてるんだね
みんな楽しみなんだよ!
栞子ちゃんって本当にニジガクのみんなから慕われてるんだね
みんな楽しみなんだよ!
う、嬉しいです……
私、頑張ります!
(ふう……ちょっと緊張します。
全校朝会で披露するなんて前代未聞ですもんね)
(しかし、許しをもらえたからには、精一杯やらなくては)
(戸惑いや迷いを置いて半歩でも先に進めるよう……
願いを込めて歌います)
ねえ、いよいよだよね、栞子ちゃんのステージ
そうだね
あなたはこれが初めて聞く栞子ちゃんの曲なんだよね?
うん、今の私はそうなんだ
ちょっと羨ましいかも……。
私、この曲を初めて聞いたときものすごく感動したんだ。
その感動をまた新鮮に味わえるなんて……
あ、ほら、始まるよ!
みなさん、
今日は私にこんな機会をくださってありがとうございます!
今日歌う『決意の光』は、私にとって特別な曲です
以前の私は、やりたいことがあるのに、
やらない理由をいくつも並べて避けていました
そんな私の気持ちをきれいに掬い上げてくれた素晴らしい曲なんです。
この曲のおかげで、私は大きく成長できました
心を込めて、みなさんの……あなたのために歌います!
あ、ボクたちの座席はここだよ
もう応援合戦が始まってるんですね。
こんなにたくさん野球が大好きな人が集まってるなんてすごいです!
野球が好き、なんて言葉で片づけてほしくないね
え?
みんな自分が応援するチームと共に勝利を掴み取りにきてる。
この応援だって全員の士気を高めるための儀式なんだ
そっか……試合前から勝負は始まってるんだね
そう。わかってるね、歩夢
飲み物とか、買ってくる?
キミたちみんなこの球場に慣れてないだろ?
ボクが行ってきてあげる。最短のルートを知ってるんだ
私も手伝うよ。みんな何にする?
私は烏龍茶で
アイスティーがいいな
オレンジジュース
はぁ、ベイビーちゃん、ここでの流儀を教えてあげて
コーラとホットドッグを選ぶのがルールらしいよ……!
え、流儀? なんだっけ?
みんな……
ここではコーラとホットドッグを選ぶのが
ルールに等しいらしいよ……!
え、流儀? なんだっけ?
もー! この前教えたばっかりだろ!
全員しっかり聞いてよね!
ここではコーラとホットドッグを選ぶのがルールにも等しいんだ!
はっ……!
もしかしてそれも……士気を高め勝利を祈る儀式ですか!?
Yup!
なるほど……。じゃあ、そうする!
私も。チームに勝ってほしいから。璃奈ちゃんボード「むんっ」
ミアちゃん、元気だして……
うん……
すごく惜しい試合だったよ!
ええ、その通りです!
ただ、勝負とは厳しいもの……
喜べる日もあれば涙する日もある……
悲しみに暮れた日をどう過ごすかでその後が決まるんです!!
せつ菜ちゃん、すごくいいこと言うね
えへへっ、これは大好きなアニメに出てきたセリフなんです!
なかなか核心を突いたセリフだね
はあ……でも今日は勝ってほしかったな
ベイビーちゃんの記憶が戻る助けになるんじゃないかと思って
誘ったからさ
え?
真剣勝負の勝利によるアドレナリンていうのは
脳を活性化させるんだよ。
いい刺激になればと思ったんだけどなあ
またみんなで応援しに来ようよ
~~~~♪
はっ……みなさん聞こえませんか……?
何が? 璃奈ちゃんボード「はてな」
これは……ライブです!
スクールアイドルのライブですよ!!
ちょっ、せつ菜!? どこに行くんだよー!
はあ、はあ……、ちょっとせつ菜、急にいなくならないでよ
す、すみません! つい……
本当にライブやってた。璃奈ちゃんボード「ぽわわん」
ほんとだ。どこの学校の子たちかな?
みんなかわいいな~
(うわあ……すごくキラキラしてるな……)
ベイビーちゃん?
……あっ、ごめん、今何か言った?
いや、なんでもない
なんか……やっぱりいいね、スクールアイドルって……。
最後まで見ていってもいいかな?
そうしましょう!
応援、しよう!
うん!
今日のベイビーちゃん……顔が輝いてたな
ベースボールも好きみたいだけど、やっぱりあの子はあの子なんだ
覚えてなくても、変わってない
……もし、
スクールアイドルのライブがいい刺激になるんだとしたらどうする?
そんなの決まってる。
他の子のパフォーマンスじゃなくてボクを見てほしい
だったら……
お疲れ様―あれ、ミアちゃん、今日は早いね?
うん、やることいっぱいあるからさ
私でも手伝えること? 何かできるかな?
じゃあ、この書類ちゃんと書けてるか見て
うん、わかった…………あれ、これって
うん、エントリーしようと思って
スクールアイドルのイベント
ミアちゃん、ライブ出るの!?
イベントだからひとり1曲になるけど……出る
うわああああ!! 楽しみ!! 楽しみすぎる!!
準備とか手伝えることがあったら言ってね!
じゃあ、早速いいかな?
うん!
キミに伴奏してほしい
えっ!?
ええと……私でいいならやるけど……本当にいいの?
ベイビーちゃんにやってほしいんだ
曲は?
『I'm Still... 』にしようと思ってる
この曲はね、ボクがボクのために作った初めての曲
ここに来たからこそ……
ベイビーちゃんたちに会えたからこそ作れた曲なんだ
この曲を、ベイビーちゃんのための曲として歌うよ
家で練習してみたよ、あの曲
どうだった?
弾いてて心地いい曲だね
Thanks. 問題なく弾けそう?
弾くだけならできると思う。
だけど、まだミアちゃんの伴奏をさせてもらうには全然足りないよ
え?
曲についてまだ全然理解できてないと思う
せっかくイベントに出るんだから、
ミアちゃんがこの曲に込めた思いを理解しなきゃダメな気がするんだ。
そうじゃないとあの曲の本当の魅力が伝わらない気がする
ベイビーちゃん……
だからミアちゃん、私にあの曲のこともっと教えてもらえないかな?
……あの曲は、
とにかく自分の中にため込んでたいろんなものを全部出したんだ
それは、
前言ってた「人間誰しもひとつやふたつはある」もののことだよね
うん……
話したくないことかもしれないけど……
いや、いいよ。確かにベイビーちゃんの言う通りだ。
イベントで歌う以上、キミにもあの曲を理解して
伴奏してもらわなきゃ見てくれる人には響かない
もちろん、キミにも
キミのための曲にする、って言ったのに、キミに響かなきゃ困る
あのね、ボク、ここに来るまで歌えなかったんだ
え!? 歌えない、って……
人前に立つと歌えなくなるんだ
ボクの家はね、音楽家一家なんだ。
ボクの姉がシンガーだって話はしただろ?
うん、お姉さんの曲はよくCMで流れてるよね
そう。それから、父はテノール歌手、母もミュージカル女優なんだ
あっ……! テイラーってやっぱりあのテイラーだったんだ
そう。どうだい、有名一家だろ?
うん……
生まれたときから音楽は側にあった。遊ぶおもちゃも楽器だった
歌もよく歌ったよ。家族みんなよく歌うんだ。
嬉しい、楽しい、悲しい、寂しい……
言うより歌って伝える方が早いくらい
ミアちゃんにとって、音楽は生活の一部だったんだね
うん、大好きだった。
自分も早く父たちみたいにみんなの前で音楽を表現したい、
歌いたい……そう思ってた
……でもさ、ボクは臆病だったんだよ
せっかくお膳立てしてもらった舞台で怖気づいた。
目の前にいるのはボクがテイラー家の一員にふさわしいか
ジャッジする目だと思っちゃったんだ
そんな……
うん、今ならわかるよ。きっと心配してくれてただけなんだ
でも、あの時はわからなくて……
期待に応えられなかったらと思うと怖くて……
それで逃げた。テイラー家の名に泥を塗ったから、
どうにかリカバリーしたくて作曲家になった
作った曲が認められて、ランジュに誘われてここにきて。最初は
全然興味がなかったスクールアイドルに勝手に負けた気になって
いじけて逃げてほんともう最悪だったよ。みんなに迷惑をかけた
けど、璃奈がボクを救ってくれた
そしてみんなも。もちろんキミもだよ、ベイビーちゃん
私も?
キミたちみんな本当に不思議だよ
ボクのことなんて放っておけばいいのに……
みんなして……
……なんかわかるな。
みんな、困った人のことは絶対放っておかないよね
ミアちゃんも今はその一員
え?
ミアちゃんだって、
何にも覚えてない私のこと放っておかなかったでしょ?
だからミアちゃんも今はその一員だね
……いや、まあ……どうかな
そうかな……?
そうだよ!
……と、私は思うな
そうだよ!
……と、私は思うな
私、なんか理解できた気がする
この曲のこと……暗いところから明るい場所へ……
止めてしまった足を、また踏み出す決意をする曲。
止まったままでもなんとかなるけど、本当にそのままでいいのか、
心はそう言っているのか、って問いかけてくれる曲……
きっと、誰にでも似たような経験があるからこそ、
誰もが胸を打たれるんだろうね
嫌な話させちゃってごめんね、話してくれてありがとう
……別にいいよ
今は、やっぱりボクに必要なことだったと思うから
いや、正直言うと
本当はちょっと前までは忘れられたらいいのに、って気持ちはあった
だけど、ベイビーちゃん言ったよね。
いいことも嫌なことも全部含めて自分の一部、って
本当にそうだと思う。だってあの経験がなきゃボクは今ここにいない。
キミや同好会のみんなとも会えてない
今、これだけ素晴らしい時間を過ごしていられるのは、
やっぱり過去のおかげなんだ
こんなに堂々と歌うことが楽しいって言えて、
そんな自分を誇ることができてる……そのために必要なことだったんだ
……ねえ、ちょっと弾いてみていいかな? 掴めた気がする
練習しよう!!
え!? ここで!?
ここは防音だしキーボードもあるでしょ?
そうだけど……
今弾きたい! 移動してる時間が惜しい!
ね、ミアちゃん、練習しよう!!
わ、わかったよ! わかったから~~!!
ミアさん、もうイベントの荷物はまとめたんですか?
ああ、うん、まとめた
忘れ物ない?
ないよ
念のためもう一度確認しようか?
ええっ!? 昨日も確認したろ!?
そうだけど、念には念を入れて、って言うでしょ?
……わかったよ
はい、これでどう? 足りないものなんてないよ
やはり、タオルはもう1枚あったほうがいいのではないでしょうか?
あ、私靴ずれしたときにちょうどいい絆創膏持ってるの。
2枚入れておくね、ミアさん
いや、やっぱり4枚……ううん、箱ごと……
ゼリー飲料も、追加しておこう
ソーイングセット、もう1回中身確認しておくね~
お守り……入れてもいいかな?
かすみんのヘアアイロン貸してあげる
やっぱりランジュもついて行こうかしら!!
もーーーーー! なんなんだよ、みんなして!!
毎日毎日どんどん荷物が重くなる!!
大丈夫だから!!
そ、そうだよ、ちょっとみんな心配しすぎじゃない?
だってわたしたちが何かできるのはここまででしょ?
心配しちゃうよ~
しっかりしているといってもまだ14歳なんですから
14だけど! ボクはステイツじゃ大学生!
ここでも3年生だ!!
えっ!?!?
待って、14……えっっ!?
ん? もしかして知らなかった?
あれ、愛さんたち言ってなかったっけ?
ミア子は14歳なんですよ~
子犬ちゃんは黙ってて!
なんでかすみんだけー!?
あと子犬ちゃんじゃないから!
そうだったんだ……
なんか……ちょっと納得かも
とてもそうは見えない……
なんか……ちょっと納得かも
はあ!?
い、いや! たまに子供っぽいかわいいとこがあったから!
あ、でも普段はしっかりしてて大人だな、って思ってるよ!?
……今回だけは許す
ありがとうございます……
とてもそうは見えない……
だってあんなにしっかりしてて……
……いや、でも所々幼さはあった……? あれ……?
ベイビーちゃん、キミの中でのボクのイメージを大事にしといて
う、うん……
みんなにももう一度言っておくよ。ボクは大丈夫だから!
ベイビーちゃんだっているんだし!
だから安心して客席で楽しんでよ。OK?
わあ……すごい人だね!
うん、そうだね
見て、開場したばかりなのにもうこんなに集まってる
ああ、ほんとだ……
……ねえミアちゃん、みんなっていつもあんな感じなの?
ん? あんな感じって?
かほ……じゃなくて、心配性、っていうか……
……今その話するの?
別にいつもってわけじゃないよ。
ただこういうイベントにひとりでエントリーするのは初めてだし、
みんなはボクの過去を知ってるから……
あーあ、これでもステージ経験は積んできてるんだけどな。
心配しすぎなんだよ
でも、さっきからちょっと上の空じゃない? 緊張してる?
…………してる
でも、これはいつものことだよ。
歌えなくなるかもしれない恐怖はいつだってある
だから、ひとつひとつ乗り越えるんだ
ひとつ乗り越えると、ひとつ自分を誇れる。
スクールアイドルとして積み上げてきたその誇りが、
どれだけ怖くてもきっとボクにはできる、って信じさせてくれる
それに今日は、キミもいるしね
ねえ、ボクが言ったこと覚えてる? この曲を―
この曲をわたしのための曲として歌う、って……
うん
ボクは、過去を受け入れるつもりで歌ってきた。
でも今日は、過去に向き合うつもりで歌う。
だからベイビーちゃんもそれを感じてほしい
どうして忘れちゃったかなんてどうでもいい。
けど、忘れたものだってキミの一部、
大切な宝物なんだ、って感じてほしいんだ
あ、スタンバイいくよ
そ、そうだね!
今日は楽しもうね
……うん!
おはよう
おはようございます!
今日は早いんだね
ランジュちゃんからライブするって聞いたから、
何かできることないかな~と思って
いつもより5本も早い電車に乗ったんだよね
あはは、じっとしてられなくて
それでランジュちゃんは?
ランジュちゃんならランニングに行ったよ
え、もう練習始めてるの?
そうなんです。私もあなたと同じく
何かお手伝いができたらと思って早く来たのですが、
ここに着いたときにはもういませんでした
うん。ランニングに行ってくる、って書き置きがあったんだよね
ランジュちゃん……何時に来たの……?
あ、ランジュちゃーん!
あら!
これからランチ? よかったら一緒に食べようよ
お誘いありがとう。でも他の用事があるの
用事?
ええ、屋上でダンスの練習をしてくるわ!
お昼食べないの!?
もう食べたわよ。すごくいいゼリー飲料があるの!
すぐに栄養補給ができるなんてすばらしいわよね!
じゃあ、またね!
う、うん……
(よし……午後こそ、お手伝いするぞ……!)
ランジュちゃん! 何かお手伝いできること―あれ?
ここにならいると思ったのに……
ランニングの後はボイストレーニングする、って
言ってたから音楽室かも
ステップの練習もする、って言ってたよ。
だから、屋上の可能性も、ある
ランジュちゃん……どんなスケジュールで動いてるの!?
はあ、はあ……屋上にはいなかった……
ここにいてくれるといいんだけど……
ランジュちゃん、いるー?
しー……
ランジュ、ちょっと前に寝ちゃいました
ほんとだ……。
そりゃ眠たくもなるよね、あんな動き方してたら
この子、こうと決めたら盲目的に突っ走ってしまうところが
あるんです。同好会に入ることで直ってきたと思ったのですが……
そのくらい、この子にとっては必死の状況なのでしょう
なんでそこまで……
……あれ? ランジュちゃんの下に何か本があるね。
読んでる途中で寝ちゃったのかな?
寝にくいだろうから取ってあげよう……よいしょ
……野鳥の本?
ランジュちゃん、こういう本も読むんだ……
以前、野鳥の雛を拾ってピィピィと名付けて育てていたことが
あるんですよ。それからこういう本をよく読んでいますね
次、またいつ雛を拾ってしまうかわからないから、
その時に備えて知識をつけないと、と言っていました
練習の合間に勉強もしてるなんて……
一度野鳥を拾ったからってそこまでの備えを……
練習の合間に勉強もしてるなんて……
一度野鳥を拾ったからってそこまでの備えを……
この子、手を抜くことができないんです。
人にも厳しいですが、自分にはもっと厳しい……
そっか……
じゃあ、頑張りすぎちゃわないように、
誰かが見ていてあげないとだね
栞子ちゃんがお目付役? ふたりは幼なじみなんだよね?
え、どうして知っているんですか?
一番最初、みんなが自己紹介のお手紙をくれたときに、
ランジュちゃんは栞子ちゃんとのことをたくさん教えてくれたんだ
ええっ!? ランジュはそんなことひと言も……!
あはは、栞子ちゃんのこと大好きなんだな~、って思ったよ
もう、ランジュったら……
ですが、私はランジュのお目付役ではありません。
そんなのとても私には務まりませんから
だってランジュは―
やだ! 寝ちゃってたのね!!!!
すぐにボイストレーニングしなきゃ!
おはようございます、ランジュ、助っ人がきてくれましたよ
おはよう、ランジュちゃん
きゃあっ! ランジュの練習見に来てくれたのね!
ボイストレーニングの伴奏させてもらえないかな?
今日はもう練習終わりにしたら?
えっと……ボイストレーニングの伴奏させてもらえないかな?
それなら私にもできると思うから
えっ、いいの!?
じゃあ、ぜひお願いするわ!
今日はもう練習終わりにしたら?
朝から動きっぱなしでしょ?
ランジュは平気!
まだまだやることは山積みよ!
ランジュ、もっともっと歌唱力を磨きたいの。
アナタも栞子も厳しく指導してちょうだい!
心得ました!
うん!
ああ……いいレッスンだったわ!
ランジュの力がどんどん伸びてるのを感じる!
ふたりともありがとう!
……いけない、もうこんな時間!?
はんぺんのところに行かなきゃ!
え、はんぺん?
悪いわね、お先に失礼するわ!
……行っちゃった。何しに行ったんだろう?
何でしょうね……?
ボクからみんなに相談したいことがある
どんなこと?
最近のランジュのことだ
ストイックな練習してるよねえ。
彼方ちゃんも大丈夫かな~と思ってた
ランジュはバカみたいに頑丈だから、体は平気だと思う
じゃあ、メンタル的な部分が心配?
メンタル!? 絶対ない!
寮生活が……脅かされているんだ!
寮生活が、ってどういうこと?
早朝訓練だ、って言って暗いうちから起こしにくる
え? 私の部屋には来たことないわよ?
行ってたよ?
果林ちゃん起きなかった、って戻ってきたけど……
……ごめんなさい、続けて?
拒否すれば出ていくけど、ことあるごとに誘ってくる
早朝訓練をしない日は、夜間訓練がある
ボクが夜型だって知ってるから、絶対誘ってくるんだ
鍵盤を叩きながら寝落ちしそうになったのは初めてだった
エマの夜食は嬉しかったけど、
明らかにランジュはやりすぎ
ランジュちゃんがやりたい、っていうことなら
協力してあげるつもりだったんだけど、
今の状態はわたしもちょっと心配なの……
ランジュさん、どこまでもストイック……
そういう子なんです、ランジュという子は
ですがミアさんの言う通り、明らかにやりすぎです。
いくら体が丈夫であろうと、ランジュにも限度はあるでしょう
なんとかセーブできるといいのですが……
というわけで、ベイビーちゃん、君の出番だ
ええっ!? 私!?
みんなができないことを私ができるわけない!
いや、適任だよ。キミの言うことなら聞く
む、無理だよ!
一度だけお願いできませんか!?
先輩……!
ミア子の睡眠時間を守ってあげてください!!
うう……じゃあ、一度だけだよ? 私から話してみる……
頼んだよ、ベイビーちゃん!!
ふああ……
このくらい早ければランジュちゃんもまだ来てないよね……
うまく説得できればいいけど……
はあっ、はあっ……あら、早啊!
どうしたの、早いのね?
えっ、もう走ってたの!?
ええ、そうだけど?
アナタもこれから部室に行くんでしょ?
一緒に行きましょう!
ちなみに、どの辺走ってきたの?
愛が言ってたおすすめルートをぐるっと1周よ。
橋からの眺めは最高だったわ!
橋……
(もしかしなくても、橋ってあの橋のことだよね……
こんな早くからあんなところまで……)
(確かにこれはやりすぎだよ。
せめてもう少し体のことも考えた練習にしてもらわなきゃ)
(……でもランジュちゃんって自分が決めたことに
一直線らしいからな……なんて言えば伝わるのかな……)
どうしたの、難しい顔ね?
あ、あの……! あのね、ランジュちゃん!
今のペースで練習を続けるのはよくないと思う!
疲れって気づかなくても溜まっちゃうものだし、
もし無理して怪我なんかしたらライブできなくなっちゃうよ!
だから―
そうなの? アナタがそう言うなら気をつけるわ
え?
だから、気をつけると言ったの
あ……うん、ありがとう……
じゃあ、具体的にはどうしたらいいかしら?
ランジュ、ひとりでいると絶対に練習しちゃうから、
何か他にやることを作ってほしいわ
ほかにやること……ええと……
一緒にお出かけしない?
本を読むとか……?
あ、じゃあ! 一緒にお出かけしない?
たまにはゆっくり息抜きしようよ!
本を読むとか……?
読書は毎日寝る前にしてるわ
そっか。じゃあ……一緒にお出かけとか!
きゃあっ! いいわねいいわね、そうしましょ!
いつにする? 今日? 明日? 明後日!?
えーと、次の休みの日! 1日遊ぼう!
太好了ーー!
ランジュちゃん、どうしたんだろ……。メッセージに返事もないし
(遅れるなんて……もしかして何かあったのかな!?
ランジュちゃんが遅刻って性格的に絶対なさそうだし……!)
(寮に行ってみようかな……)
はあ、はあ……。ええと、何号室だっけ……?
ランジュちゃん! ランジュちゃんいるー!?
なあに……?
よ、よかった~~~~!!
んん……?
…………え!? アイヤイヤー!!
アタシ寝坊しちゃったのね!?
寝坊でよかったよ~!
ランジュちゃんに何かあったかと思って気が気じゃなかったー!
悪かったわ! ごめんなさい!
昨日寝るのがとっても遅くなっちゃったの!
いいよいいよ、気にしないで
急いで準備するわ! 10分待ってて!!
ゆっくりでいいよ、ラウンジで待ってるね
お待たせ……
本当にごめんなさいね。寝坊しちゃって……
気にしないで。ランジュちゃんずっと練習頑張りすぎだったし、
疲れてたんだよ。もし体がきついようなら、
おでかけは無しにして部屋で遊ぶ?
疲れて寝坊したわけじゃないのよ。今日はアナタとおでかけだから、
ランジュが最高に楽しいコースを案内しようと思って、
昨晩はシミュレーションが止まらなかったのよ
え……そ、そっか、ありがとう
でも、最高のコースを用意できたわ。行きましょう!!
さあ、まずはここよ!
わあ、こういうところでゲームするの久しぶりだな~
璃奈に聞いたのよ。アナタ、ここで楽しそうに遊んでた、って!
ランジュとも遊びましょう!
次はここ!
愛と、愛のお友達と盛り上がった、って聞いたわ!
ランジュとも盛り上がりましょう!
メイド喫茶!? き、緊張するな……
彼方がアルバイトをしてたところよ。
今日は彼方はいないけど、オムライスがとってもおいしいらしいの!
メイドさんにハートマークを描いてもらいましょ!
へえ、今ってこんな企画展をやってるんだ。素敵だね
栞子がアナタと行った、って言っていたわ。
栞子はこんなふうにゆっくり芸術に触れるの好きそうよね
ランジュも堪能するわ
はあ~……いっぱい遊んだね~!!
楽しかった?
うん! いろんなところに案内してくれてありがとう~!
ふふっ、考えた甲斐があったわ
もう一箇所行きたいところがあるんだけどいいかしら?
もちろん! どこにでも付き合うよ!
わあ、この公園も久しぶりだな。
小さい頃は歩夢ちゃんとたまに来てたんだよね
ここって水辺もあるし花もいっぱい咲いてるし、
夏は虫取りもしたな~
虫取り……。じゃあ今度ランジュとも虫取りしましょうね!
お散歩をしたいのだけど、
ちょっと公園の管理事務所に行ってもいいかしら?
いいけど……どうして?
あのね、これを渡したいの
それって……もしかして鳥の巣箱……?
そうよ! ランジュが作ったの!
この公園にはたくさんの野鳥が住んでるのよ。
だから公園の人が野鳥のために巣箱を設置してるの
栞子が、ボランティアで巣箱の提供ができる、って教えてくれたから、
出来上がり次第持ってくるようにしてるのよね
見て、なかなか上手にできてるでしょ?
ランジュなら巣箱造りだって造作もないのよ! ふふん!
栞子ちゃんから野鳥の雛を拾ってから勉強してるとは聞いたけど、
こんな活動もしてたんだ!
ランジュがしているのは巣箱造りだけじゃないわよ
見なさい!!
……ん? それは何? 毛玉にしか見えないんだけど……
そう、毛玉よ。でも最高の毛玉。
はんぺんをブラッシングしたときに出る毛を集めて持ってきたの
これは鳥たちが巣を作るときに欲しがるものなのよ
はんぺんのふわふわの毛が敷き詰められた雛のお部屋……
きっと最高に居心地がいいわよね!
ランジュちゃんってすごいなあ……
いろんなことをしてるんだね
ランジュがすごいのは当然ね!
これを渡したら、お散歩に行きましょう。
ランジュが作った巣箱が設置されてる木を教えてあげる!!
うん!
ふああああ……おはよう、歩夢ちゃん……
おはよう~。ふふふっ、眠そうだね
うん、毎日早起きは辛いよ~……
辛いけど、今は頑張れちゃう
わかるな。ランジュちゃんの練習してる姿を見てると、
こっちもやる気がもらえる、っていうか、
じっとしてられない、って思うもん
あなたがランジュちゃんの練習を見るようになってから、
前みたいな無茶はしなくなったけど、その分濃密な練習になってるよね
最初からうまかったのに、もっともっとすごくなって、
ランジュちゃんには限界なんてないなあ、って思うよ
……そこまで打ち込めるものがある、ってことが、
もうすごいんだと思うよ
私から見たら歩夢ちゃんも同じ
心からすごいと思う
ええっ!? わ、私なんて全然だよ!
それより準備して学校行こ!
きっともうランジュちゃんなら出かける準備済ませちゃってるよ!
うわっ、そうだよね!
ちゃんと見てなきゃいくらでも練習しちゃうんだから~~~!
おはようっ! ランジュちゃんいる!?
もー、遅いわよ! 待ちくたびれたわ!
でもちゃんと待ってたランジュを褒めなさい。
アナタとの約束だから守ってるわよ
えらい! 守ってくれてありがとう!
ふふん! 当然ね!
それよりライブはいよいよ明日!
今日は最終調整よ!
一段と気合いを入れなきゃね!
さ、走りに行ってくるわよーーー!
橋までは行っちゃダメだからねーーー!
もう準備できちゃったわ!
え!? ライブまでまだまだ時間あるよ!?
仕方ないわ、ランジュなんだから
確かに……。それがランジュちゃんだもんね
仕方ないかあ……
確かに……。それがランジュちゃんだもんね
仕方ないかあ……
アナタに少しでも早く観てもらいたいんだもの。
もう始めちゃいましょう
う、うん……じゃあ、そうする?
ええ、そうするわ。観てもらえればアナタの記憶もきっと戻る。
早く記憶を取り戻したいでしょ?
うん、そうなればいいなとは思うけど……
そうなるわ。ランジュにはわかるの
ランジュの全部を伝えるわ
今のランジュには、それができるの! 観てて!
今日も学校楽しかったな~
記憶がなくて心配だったけど、みんなのおかげで普通に過ごせてる
心配ばかりかけてられないし、
私も同好会のみんなの役に立てるように頑張らなくちゃ!